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イコライザアンプの大改修とMCカートリッジの個性

 先日からアナログレコードの再生に,コツコツを取り組んでいます。

 なにせ,日々の生活に忙しく,またそれが楽しかったりするので,時間を気にせず没入していくオーディオにはなかなか取りかかれないのですが,それでも10分15分お時間を見つけては,アナログらしい音を聴くために作業をします。

 きっかけは先日も書きましたが,V15typeiVの入手です。これに安いtypeIII用の互換針を差し込んで,私もようやく本物のV15を手に入れました。

 案外いい音を出すので,ついつい楽しくなっていろいろなレコードを聴いてみたわけですが,ラックからレコードを出して眺めていく鬱に,どうもCDで手に入れていない音源もいくつか発見され,これをデジタル化しないといけないという,新しい課題が見えてきました。

 気分とレコードに合わせてカートリッジを選んでトーンアームに取り付けて,ゼロバランスを取ってから,やはり気分とジャンルに合わせて針圧を増減,レコードを慎重にターンテーブルに載せてクリーニング,ゆっくり針を落としてリードインのパチパチに胸を膨らませるという演奏が始まるまでの儀式は,人によっては「道」とよべるほど洗練されているかも知れませんが,これを面倒と思ってしまうとアナログの良さがすっ飛んでしまうわけで,積極的に楽しめることもまた,その人の素質やスキルであろうと思います。

 私などは緩い人なので,こういう手続きが楽しいのはいいとして,どうせその時だけという刹那感もありますから,完璧を求めるようなことは最初からしません。だからこそアナログレコードという底なしの金食い虫の淵をのぞき込むことなく生きていられるんだと思いますが,ゆえにノイズやハムといった絶対悪にさえ,大らかであることが出来ます。

 不思議なもので,レコードのゆっくりとした回転や,ほのかに灯る真空管のヒーターなんかが目に映ると,ハムやノイズに寛容になってしまうものです。これを録音しておき,別の機会に再生すると途端にハムやノイズも気になって仕方がないという経験は,多くの方がされているんじゃないかと思います。音は音だけ作られているのではないという証拠です。

 ちょっと脱線しましたが,最終目的が録音である以上,それなりのクオリティでないといけないわけで,どうせその時だけだからと大らかに構えていたイコライザアンプのハムやノイズに,真剣に取り組むことになってしまいました。

 私のイコライザアンプはいくつか自作した後,K&Rというガレージメーカーのキットを使っています。創意工夫が光る回路はCR型とNFB型のいいとこ取りをし,現代的でスピード感のある音を実現している一方で,音質的な部品へのこだわりが解像感のある。しなやかな音を奏でてくれます。

 MCヘッドアンプも同社のものですが,これも半導体とトランス方式のどちらの弱点も克服する完成度の高さを安価に実現しています。

 電源と実装は私が手元でやったわけですが,これがまあなんとも適当で,電源は三端子レギュレータで済ませていますし,ケースは安いアルミの小さいケースに十重に押し込んでいるお粗末さです。

 電源トランスも近いところにあるし,ワイアリングにも制限があるので,ハムも出まくりです。

 これではいかんと,改修を行うことにしました。

 まず,電源トランスを少し小さいものに替えて,基盤との距離を稼ぐことにしました。その上で純鉄のシールド板を立てて,電磁誘導によるハムを軽減させます。

 電源回路は面倒なのでこのままでもいいんですが,負電源の7912のパスコンが不適切だったので仕様書に従って大きめの値の電解コンデンサを追加しました。とうも発信しやすい不安定な状況にあったように思うのですが,この対策でノイズも減りました。

 ワイアリングも見直し,アースの取り方も時間をかけて検討しました。試行錯誤をしましたが,ACの3Pコネクタをノイズフィルタ内蔵のものに交換し,ノイズと共にACからの誘導ハムをシールドでカットしました。

 MMではほぼハムもノイズも気にならない程度に押さえ込みましたし,MCでも少しハムが残っているくらいに出来ました。ここまで格闘するのに4時間かかってしまいました。なんと贅沢なことか。

 これまでは,レコードに針を落としていれば,無音部分でハムが聞こえて興が冷めてしまったのですが,今回の対策では無音部分のスクラッチノイズよりもハムが小さいので,針を落とすともう気になりません。このくらいで手を打つことにします。

 実のところ,V15typeIVを楽しめれば,MCでのハム退治なんて必要はないはずなのですが,幸か不幸か私はMCカートリッジの決定的なすごさに気が付いてしまい,これで録音をしようと思った事で,ムキになってMCでのハムやノイズを押さえ込むことに夢中になったのでした。

 Kenny DrewのEverything I Liveというアルバムを,カートリッジをとっかえひっかえで聴いていたときのことです。確かにV15typeIVはいい音を出すのですが,いまいち見通しが良くなく,ピアノとの距離が近く,ペタッと張り付いて聞こえます。

 そこで,ものは試しとAT-F3/IIにしてみると,くぐもって聞こえたピアノが華やかになったと同時に,目の前にすーっと音が通る道のようなものが通り,ピアノとの距離がリアルに生まれ,コトッという弦の振動以外の音もきちんと出てくるようになりました。

 おお,なんという空気感,これはAT-F3/II独自の音なのか,それともMCの音なのか,あるいはオーディオテクニカの音なのか,気になって仕方がありません。

 そこで,AT-15Eaにしますが,急に音の空間が狭くなりました。ならGRADOのPrestige2ならどうかと交換するも,さらに窮屈になって聴いてられません。音が籠もって狭いところに押し込められて,首をすくめているようです。

 DL-103に交換すると,AF-F3と同じように,頭上の蓋が取れたような開放感と新鮮な空気を感じ,ピアノと私の距離が適度に生まれました。前の前がぱっと開けた感覚は,AT-F3/IIと同じ傾向です。

 ただ,AT-F3/IIが華やかすぎたのに対し,DL-103は実に適度で,焦らず落ち着いた,重心の低い音を出してくれます。いや,これは実に聴きやすくて心地いいです。

 AT-F3/IIはきらびやかで,1970年代初期のジャズピアノのアルバムを現代風に甦られてくれますが,ちょっと冷たい感じがして,これならCDで聴くのが正しいよなあと思うくらいです。さすがDL-103,日本の標準器です。

 ということで,MMかMCかの違いは,なんとなくMCの方が線が細いくらいに考えていたのですがとんでもない,MCの空間表現能力であるとか,音源との距離感の再現能力であるとか,まるで冬の朝に深呼吸するような爽やかさというのは,理由はさっぱりわかりませんが,もう認めなくてはならないほどはっきりしています。

 一方でMMの閉塞感,音源との距離の近さと窮屈さはなんでしょう。まるで,ピアノの弦にマイクを立てて,平面的に拾っている感じです。(というか実際にはそうやって録音されているんだから正しい再生をやってるわけですが)

 この距離感の近さが有利に働くソースもあるんですが,少なくとも今回のEveryting I Loveについては,見通しの良さと音源との距離感がとても重要であると感じました。そう,まるで,私が鍵盤を前に座って,自分で演奏をしているかのような感じです。

 ああ,なんと奥が深いことか。

 と,こんな顛末があって,デジタル化はDL-103で行う事が決まったのでした。それで,なんとかハムとノイズを低減させる必要に迫られたわけです。

 惜しいのは,DL-103が丸針であり,特に内周でのトレース能力が他の針に比べて低いことでしょう。それでも,0.65ミルの丸針とは思えないほどの音を出してくれるのでいつも感心しますし,丸針であることも含めて,DL-103のバランスを作っているのだと思うので,かつて存在した楕円針がラインナップから消えているのも,わかる気がします。

 DL-103が凡庸な音を出すカートリッジに過ぎず,よほどV15typeVxMRの方がいい音をさせるというケースももちろんあります。MCとMMの違いがここまではっきりわからないソースも多いです。

 だから,どのカートリッジで聴けば楽しいかを考えるのが楽しいのだと思います。おそらく,どのカートリッジを選ぶのが正しいかという正解などないのでしょう。楽しいかどうか,それに尽きるのがアナログレコードの再生なんだと思います。

 忘れてはいけないのは,これを楽しいと思えない人が大半であるという事です。また,これを楽しむためには手間だけではなくお金もかかるという現実があります。

 だからCDに置き換わったことは正しいですし,良いことだったと私は思います。

 

やっぱりDE-04も調整してみた

 先日手に入れて,なかなかよい感触を得ているポケットテスターDE-04ですが,うちのテスターがことごとくそうであるように,この手で再調整を行って,測定値が他のテスターのものと大きく違ってこない状態にしないと,どうも落ち着きません。

 とはいえ,これを行うには調整方法を調べないといけないわけで,そう簡単にはいかないものでもあります。

 DE-04も,良く出来ているとはいえ,0.5%近くも値が小さく出ている状況をどうも看過できず,うちで調整ができないものかと調べてみました。

 DE-04はサンワのPM3のOEMと言われているだけあって,類似点が多くあります。そしてその類似点というのは,概ね同じLSIを使っていることに起因していたりするものです。

 調べてみると,FS9711LP3というLSIを使っていることがわかりました。残念ながらデータシートはFS9721しか入手出来なかったのですが,後継品種だということなのでこのまま進めます。

 FS9721のデータシートによると,調整方法は昔ながらの半固定抵抗で行うとあります。リファレンス回路にもこの半固定抵抗は用意されていますが,果たしてDE-04にも同じものがありました。繋がっているLSIの端子も同じです。

 DE-04のVR2というのが,直流電圧の調整用なのですが,これをいじればとりあえず調整出来るようです。レンジごとの調整はどうするのか,という話になると,これはもう分圧抵抗の精度に依存するので,このVRだけでは追い込めません。

 ここまでわかれば簡単です,いつもの基準電圧発生器を34401Aと一緒に繋ぎ,同じ値になるようにVR2を回すだけです。

 レンジ間の相対精度が揃っていることは前回の確認でわかっていますので,半固定抵抗の調整だけである程度追い込めるはずです。

 で,やってみた結果が以下です。

 まず,基準電圧発生器を34401Aで測定した値です。

2.5017V
5.0035V
7.5054V
10.0066V

 うーん,以前とちょっとだけ値がずれています。34401Aがズレたのか,基準電圧発生器がズレたのか・・・でもまあ,立派なもんですけどね。

 そして,DE-04を調整した結果です。

2.502V 0.3mV 0.011991846%
5.00V -3.5mV -0.069951034%
7.51V 4.6mV 0.061289205%
10.01V 3.4mV 0.033977575%

 まず,ぱっと値を見てみます。34401Aの値を4000カウントに丸めた値が,そのまま出てきていることがわかります。誤差何パーセント言う話ではなく,丸めた結果が同じになっていると考えると,DE-04としてはもう誤差ゼロと言ってよいです。

 であらためて誤差を見てみます。0.07%以内に入っており,かなり良い値になっています。これなら胸を張って正確だという事が出来るでしょう。

 で,今回の比較対象が34401Aによる実測ですので,これまでの「製造元による実測値」とは違います。もちろん,すでに基準電圧発生器の電圧がズレている可能性も大きいのですが,仮に両者の値のズレが34401Aだけで起きたと考えて,これまでの結果と比較をやりやすくするため,製造元の実測値からDE-04がどれくらいズレているかを再度計算してみます。

 製造元による実測値は,これまで同様,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 とします。

2.502V 0.013990766%
5.00V -0.060363540%
7.51V 0.072755958%
10.01V 0.046675122%

 とまあいうわけで,34401Aがズレていたとしても,十分過ぎる精度で落ち着いていることがわかります。7.5Vについては7.50Vと表示すべきところなのでしょうが,どのみち最終桁は±1くらいは当てにならないものですし,これでもう十分でしょう。

 DE-04という使い勝手よく,スペックも十分なテスターに,精度まで備わりました。これでもううちの測定環境は盤石で,はっきり言えば調整出来ないものや,2000カウントの古いテスターはすべて処分してしまおうかと思うくらいです。

 ただ,最近のテスターはバッテリチェッカーが付いていないことが多く,DE-04はもとより,うちでもP-10以外には付いていません。

 P-10のバッテリチェッカーは使用頻度も高く,結構便利に使っているので,これがあるから,すでに調整が出来なくなってしまうほど壊れているP-10を捨てられないでいます。

 負荷抵抗が入るだけの機能ですし,負荷が入るということはそれだけ電池に負担をかける(特にボタン電池など小さい電池)ということでもあるので歓迎されない機能でもあるのですが,そのあたりをわかった上で,損電池をさっと「捨てるか捨てないか」判定する事の出来るこの機能は,やっぱり欲しいのです。

 テスターがこうして調整可能になり,自分で精度管理を行えるようになると(もちろん公式な測定結果としては採用されないわけですが),気分がいいというのもありますが,それ以上に長年使い続けることが出来るという安心感が出てきます。

 測定器は,動くようにするだけでは修理もメンテも出来た事にはならず,調整して誤差がどのくらいあるかを明確にして初めて,使えるようになります。周波数の基準はもう手に入れましたし,中国製の安価なものとはいえ基準電圧も手に入れました。

 素人の測定環境としては,もう十分なところにきたと思います。なにを信じていいのやら,と言う子供の頃のその疑問に,ようやく回答を出せたように思います。

 

新しいテスタ,DE-04を買う

  • 2019/03/29 12:30
  • カテゴリー:散財

 停電時の電源確保にと用意してあったセルスターのPD-350という電源の蓄電池がダメになっていたので,先日新しいバッテリーをみんな大好き秋月電子で購入しました。

 この話は後日きちんと書きますが,この時同時にちょっと気になっていたテスターを一緒に買いました。

 またテスターかよと自分でも呆れるのですが,秋月と言えば安いけどハズレもあるテスターのパラダイスで,私も何度かお世話になっています。

 一方で,精度管理や信頼性,あるいは単なる見栄からか,やはりプロが秋月で買った事(もしくは秋月で買ったとわかる品名)を堂々と公言することは目にしません。

 そんな厳しいプロでも,実は常用機が秋月で買ったものだったりしますし,普段使いをしていなくても机の引き出しに1つや2つ,必ず秋月のテスターが転がっていたりするものです。

 数々の名機をラインナップしてきた秋月ですが,数年前から定番になっているものにDE-04という機種があります。これ,秋月の中の人達も使っているという,いわば本物のプロの道具です。

 小型軽量のポケットテスターで,4000カウント,更新周期が3回/秒,導通チェックのレスポンスも大変よく,リードを交換出来ないこと,多機能ではないこと,電流を測定出来ないことを除けば,確かに便利そうです。

 製造は台湾のDER EEで,私は個人的にここが好きで,とても信頼しています。日本のメーカーにも多くOEM供給している,廉価なテスターの隠れた一流メーカーです。

 それでいて価格は1890円。この値段ならガシガシ使い潰せます。

 当の秋月は否定していますが,どうも某メーカーのベストセラーの同等品らしく,これがまた良く出来ていてプロの評判も良いのです。

 テスターはもうゴロゴロしていますし,今さらポケットテスターを買っても,人嫌いで引き籠もりの私が,テスターを家から持ち出すことなど死んでもないと思うのですが,それはそれ,そろそろ終息するということもあって,この機会に買ってみました。

 届いて真っ先に箱から取り出し,使ってみます。

 なるほど,使い心地はとてもよいです。ケースが今ひとつですが,本体そのものはとてもよく,スイッチの感触も表示の見やすさもレスポンスも良くて,使っていてストレスがありません。リードも思ったほど使いにくいものではなく,なるほどこれなら定番になるのも頷けます。

 続けて精度の確認です。うちでは,テスターに関しては精度の確認をして,信頼できるか出来ないかの目処を立てます。

 いつものように,基準電圧発生器を使います。製造元で製造時に測定された値は,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 です。

 以下は,DE-04で測定した結果です。

2.492V -9.65mV -0.385745408%
4.98V -23.02mV -0.460122086%
7.47V -34.54nV -0.460254726%
9.97V -35.33mV -0.353111791%

 当然のことですが,すべて仕様の範囲に十分入っています。それに,各レンジでの誤差に偏りがなく,すべて-0.4%前後です。このくらいの誤差で揃っていると,実用上はほぼ問題はなく,ごく普通の正常なテスタということになると思います。

 ただ,個人的にはですが,せっかくの4000カウントですし,もうちょっと頑張って欲しかったかなあと思います。同じような秋月の4000カウントでも,P-16というこれまた安いテスタでは,10V以外は0.1%未満の誤差,10Vでも0.15%という高精度でした。

 うーん,いいんですが・・・いいんですけど,すっきりしないです。


 

V15typeIVを手に入れる

  • 2019/03/27 13:43
  • カテゴリー:散財

 私が中学生の時のことですから,もう35年近く前の昔の話なのですが,音楽とオーディオに目覚めた私は,The BeatlesのLetItBeというアルバムを,とにかくいい音で聴きたいという強い衝動に駆られ,遠方に住む叔父に頼んで,カセットテープに録音してもらうことにしました。

 叔父は1970年代前半に大学生だった人で,オーディオとジャズがど真ん中の人でした。プレイヤーはDENONのDP-3000にV15typeIII,アンプはおそらくONKYOのINTEGRA725,チューナーはトリオのKT-5000,カセットデッキはTEACのA-350,スピーカーは自作でした。

 レコードはずらっとジャズばかり90cmのスチールラック2段にびっしりだったのですが,当時の私はジャズには全く興味がなかったので,豚に真珠でした。

 叔父が持っていたLetItBeは,日本で最初にリリースされた当時のもので,私にはまぶしくて直視できない宝物でした。

 で,そのLetItBeを録音してもらったわけですが,青版を安物のセラミックカートリッジで聴いていた私にとって,それは全く別物であり,自分がこれまで扱ってきたものとの「非連続性」に深い感動と悔しさを感じたのでした。

 静かなイントロのあと,ポールの声がまるで目の前にあるかのように,奥行きを伴って浮かんできます。この男声ボーカルの強烈な立体感は,これ以後私のV15シリーズにおける印象として刻まれ,V15かそれ以外かを分ける決定的な差となります。

 私がアナログレコードを評価するとき,この音が出るか出ないかで判断をすることになるわけですが,結果としてこのレコード以外ではV15でもダメですし,このレコードを使ってもV15以外ではダメで,つまりこの時の音に最も近づけるには,是非ともこのレコードを入手しなければならないわけです。

 私は叔父に頼み込み,このレコードだけ,譲ってもらえないかとお願いしました。叔父は物持ちのいい人だったので,心やすくとはいかなかったものの,最後には気持ちよく中学生の私に譲ってくれたのでした。

 このレコードは私の宝物の1つになっていて,1980年代に出たLP,2000年代に出たLPとは全く別次元の存在です。

 当時私にV15など買えませんから,安売りしていたオルトフォンのVMS30mk2で聴くわけですが,どうにもその立体感が出てきません。プレイヤーも徐々にアップグレードしていきますが,それでもやっぱり出てきません。

 ME97HEというこれまた安いカートリッジでもだめで,やっぱりV15を買うしかないのかと思い続けていたのですが,ようやく社会人になって念願のV15を買った時には,すでにV15typeVxMRになっていたのでした。

 腐ってもV15の名前を冠するフラグシップです。あの立体感が蘇り,やはりV15でないとだめなんだと納得しました。

 その後,DL-103やオーディオテクニカのカートリッジなども手に入れてみましたが,やはりこの立体感は得られません。今もってこの確信に揺らぎはありません。

 ただ,昨年,そのV15typeVxMRを落下で壊した際にいろいろ調べた結果,これが「なんちゃってV15」である事を知ります。V15の血統だと信じていたのに,実はラジオシャック向けの廉価版だったと知り,軽いめまいを覚えました。

 そういうバイアスがかかった状態でもう一度聴いてみますが,やはりあの立体感は健在です。ならばと新品で手に入れたM97XEで聴いてみますが,やはり立体感はなし。

 そこでスタイラスを入れ替えてみると,なんとまあ,この立体感はスタイラスについて回っていたのでした。

 もちろん,音質は微妙に違います。しかし最大の個性である,あの立体感はスタイラスが支配的だと思います。そんなことはない,スタイラスでそんなに変わるはずはないという人もいるでしょうが,何度聴いても結論は変わりません。

 この時,私は,カートリッジの音質差は,スタイラスチップの形状と,カンチレバーに支配されると結論したのです。

 ここに至って,V15typeVxMRはなんちゃってにもかかわらず,私にとってのリファレンスの座と,オーディオ趣味の原点にして目指すべき方向を示すものという地位をその実力で守り抜いたのでした。

 しかし,私の心にはなにか引っかかったものが残りました。そう,いくらV15typeVxMR(しかも本体はVSTIII)が私の知るV15の音であると確信していても,本物のV15の音はどんなものなんだろうという好奇心です。

 そこで,なんとなく某オークションを眺めては,V15の安いものを探すことが日課になりました。

 V15シリーズは今でも人気のあるシリーズです。昨今のアナログブームがさらに拍車をかけ,完動品が安く出てくる事は希になりました。以前,V15typeIVのジャンクに手を出し,片側断線のものを掴まされたことは今でも覚えています。

 そんなおり,こんな値段で落ちるはずもないかと思って突っ込んでおいたV15typeIVが偶然落札出来ました。針なしシェルありで7200円ほどですので,決して安くはありません。一応動作はしているとは書いてありましたが,仮にダメでも文句なしという条件です。

 手続きを終え,届くのを待っている間に,スタイラスを手配しなければなりません。実はV15typeIVには,typeIIIのスタイラスが使えるので,安価に出ているtypeIIIの新品のスタイラスも入手しておきました。輸入品で3000円ちょっとです。まあ,動作確認という意味でも,あまり高価なスタイラスは買えません。

 本体とスタイラスの両方で1万円ほどで,V15typeIVが手に入りました。揃ってから早速音出しをしますが,恐れていたコイルの断線はなさそうです。よかった。

 で,その音ですが,確かにV15の音の傾向ではあるのですが,あの立体感はとても薄いです。決して出ていないわけではなく,明らかにM97XEなどよりはずっとV15らしいのですが,それでもV15typeVxMRには及びませんし,私の記憶にあるV15typeIIIにも全く追いついていません。

 一応楕円針とのことですが,ルーペで確認すると接合針ですし,V15typeVxMRよりも随分大きいチップです。カンチレバーも当然アルミですし,とても太いです。

 調べてみると,この手の格安のスタイラスはオリジナルに備わっている機構が省略されていたりして,とりあえず音が出るレベルのものらしいです。そりゃそうです,この値段なのですから,オリジナルと同じはずがありません。

 ここでも結局,カートリッジの音はチップとカンチレバーで決まるという持論がより強まったという結果になったわけですが,あれこれ試してみると,V15typeIVに格安スタイラスも,そんなに悪くはないなあと思うようになってきました。

 V15typeVxMRに比べて,低音の張り出しはやや控えめになり,押しつけがましくありません。高音は自然に伸びるようになっていて,とてもバランスがいいのです。

 スタイラスの性能に寄るところが大きい歪みやスクラッチノイズは大きめではありますが,針圧を上げなくても大音量時に盛大に歪むこともなく,安定したトラッキングを見せてくれます。

 いいんじゃないか,これ。

 ちょっとガサガサ落ち着かないけど,解像感もそれなりにあるし,バランスも良くて聴き疲れしないし。

 ということで,数枚のレコードを一気に聴いた結果,このカートリッジはリファレンスにはなれなかったものの,常用カートリッジの椅子に座ることになったのでした。

 V15typeIVは,1980年代後半に出ていたV15シリーズで,ちょうどCDが普及してアナログはもうダメだと言われ始めた時期に,シュアのフラグシップを担った薄幸のカートリッジです。

 特に導電性のブラシで,ホコリと静電気を掻き取る仕組みには賛否両論があり,とりわけV15typeIIIが異常な人気を保っていた日本においては,過小評価されがちなカートリッジでした。

 中古市場でも不人気で安めの価格で手に入ったものですが,最近は値段が上がってきています。

 シュアは1990年代前半に,V15の最終進化形であるV15typeVとそのマイナーチェンジであるV15typeVMRを出し,実質的にV15の販売を終了します。このカートリッジは完成度も高く,日米問わず高い人気を誇っていますが,それがますますV15typeIVを地味な存在にしているように思います。

 そのV15typeIVですが,当時バイトをしていた日本橋で,よく行くオーディオショップのレジの下のガラスケースに,いつも鎮座していました。

 いいなあ,欲しいなあ,でも買えないなあ,とME97HEを買ってはみたものの,やっぱり全然違うとがっかりしているうちにV15typeVに入れ替わり,あの格好悪い,でも憧れたV15typeIVは買えなくなってしまったのでした。

 そして30年がたち,Made In USAのV15typeIVがやってきました。スタイラスさえオリジナルにすれば当時の夢が叶います。

 ただ,このオリジナルのスタイラスというのがなかなかくせ者らしく,V15typeIVのスタイラスは,ほぼ例外なくダンパーが硬化していて,まともな音が出ないのだそうです。

 そうなると,JICOなどの互換品を買うことになりますが,スタイラスの違いが支配的と確信する私にとっては一種の賭でしょうし,そのわりには随分と高価な出費になるので,今ひとつ前向きになれません。

 同じ理由で,ボロンを使ったカンチレバーを製造できない互換針メーカーが,V15typeVxMRのオリジナルのスタイラスに並ぶものを作る事は出来ないはずで,本体がVSTIIIである以上,V15typeVxMRがV15シリーズである唯一の拠り所であるオリジナルのスタイラスだけは,なんとしても壊さないように大事に使い続ける必要があります。

 実のところ,四六時中レコードをかけまくっている人でない限り,スタイラスが摩耗して交換が必要になることはほとんどありません。ですので,カートリッジはもう一生ものだと考えてよいわけですが,今回のV15typeIVも,この組み合わせのままずっと使い続けることになるだろうと思います。

 

Dyson V7 Motorheadが安かった

  • 2019/03/12 14:41
  • カテゴリー:散財

 故障と修理を何度も繰り返し,ここまで頑張ってくれた我が家の主力掃除機,ダイソンDC45ですが,とうとう一線から退くときが来ました。

 DC45などの旧シリーズは,ダストビンと本体との間にタービンブラシ用の電源を供給するための接点がありますが,長年の使用でここが接触不良を起こし,タービンブラシが止まってしまうと言う持病があります。

 うちも購入から2年を待たずこの現象に悩まされてきたのですが,ダストビンの割れを修理し,接点を強化することでここ数年は快適に掃除が出来ていました。

 もちろん,これまでにタービンブラシ駆動用のMOS-FETが焼損するとか,ダストビンが割れてしまうとか,ロングパイプが割れてしまうとか,そういう問題は頻発していて,その都度修理を重ねてきたのですが,幸いにして電池もモーターも元気で,このあたりが壊れてしまったら買い換えだなあと思っていました。

 ところが,先にダストビンの接点がおかしくなってしまったのです。

 今回も修理を修理をし,とりあえず問題なく使える程度には回復したのですが,これからも同じトラブルに悩まされるだろうし,その度に修理の手間がかかることを考えると,そろそろ買い換えてもいいんじゃないかと,常々思っていました。

 近所のスーパーでV6が25800円でぐらっときて,少し調べてみるとV7が28000円で売っています。買うか!

 いつもそうなのですが,壊れてからあわてて買い直すと,高い値段で買うことになりますし,。それ以前の問題として,高いのか安いのか,古いのか新しいのか,お得なのか損なのかが,勉強不足でさっぱりわからんということが起きてしまいます。

 ですので,壊れてしまう前に,納得出来る金額で買うことが理想的です。

 かくして,Dyson V7 Motorheadが届きました。注文当日に届くなんて,ヨドバシすごいです。価格は,ポイント込みで約28000円です。ただし,このV7は特価商材で,ミニモーターヘッドが付属していません。正直,使い道がないので私はその分安くなったことを歓迎しています。

 V7は2017年に発売になった比較的新しい機種で,V6-V8-V7という流れで登場した,中級機種です。最上位にはV10という全く新しい最新モデルがありますが,こなれているV7やV8には安定した魅力があります。

 V8は確かに完成形だとは思いますが,これを旧機種並みの性能に押さえて価格を下げたものがV7だと思えばいいと思います。とはいえ,基本性能は底上げされているので,旧機種並みというのは連続動作時間くらいのものです。

 そのV7ですが,DC45という古い機種との違いはもう歴然で,なんと言っても静か,そして吸引力も強くなっています。

 タービンブラシ(モーターヘッド)は大きくなって取り回しが良くないと思いきや,滑るように軽く動くので負担がとても軽いです。

 しかもDC45と比べてみても,圧倒的にホコリを集めてくれます。トリガースイッチが軽くなったこと,静かになったこと,排気が綺麗になったことは,ダイソンの掃除機がマニアックなものから一般的なものへと進化したことを示しています。

 やや残念なのは連続動作時間時間で,タービンブラシを使うと20分です。これは実はDC45と同じです。ですので,DC45の時に感じていた,あと5分使えたら,という希望は,おそらくV7でもかなわないでしょう。ここが進化しなかったことは残念です。

 戸惑ったのは,ゴミを捨てるときです。DC45ではダストビンの底が開くだけだったのですが,V7ではV8で採用された新機構が踏襲されています。ダストビンから本体がせり上がり,本体に絡みついたゴミをゴムのへらのようなものでそぎ落としてから,ダストビンの底が開くようになっています。

 これで,手を汚さずゴミを綺麗に捨てることが出来るようになりました。

 ついでにいうと,私はDC45のゴミ捨ての際に,ダストビンをゴンゴンと叩いてゴミを落としていたのです。実はこれが接点の接触不良の原因の1つだったと思っています。

 静かになってしまったので感覚的には頼りなさを感じるのですが,実際に掃除をしてみれが以前よりも強力に吸い込んでいます。確実に進化していることに,私は非常に好感を持ちました。

 ということで,DC45の導入により掃除機がコードレス化し,掃除の仕方が根本から変わった我が家は,V7の導入によってさらに掃除が楽なものになるだろうと思います。

 DC45の時にも買いましたが,そもそも掃除を20分以上かけて行うってのは,時間のかけ過ぎです。家中の掃除も20分以内に終わるくらいでないと疲れてしまいますし,億劫になってしまいます。20分くらいで家中が綺麗になるように,先に片付けをするとか,日によって掃除をしない部屋を設けるとか,そういう工夫をするのが掃除を快適にするコツだと思います。

 

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