エントリー

ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

D850の初仕事

 9月の発売日に無事に手に入り,その後何の問題もなく私と馴染んでいるD850。D800との違いは元々少なく,Lightroomが対応してからはD800と全く同じワークフローで印刷まで完了しますし,そこから出てくる画質にも恐ろしいほど違和感がないため,特にストレスなくスッと手に馴染んで生活の一部になった感があります。

 そんなことならD800でも別に良かったんじゃないのか,と非難されそうな気もしますが,まあそれはそれ,と軽く考えています。

 そのD850とオーナーの私にとって,ちょっと大きなイベントがありました。いや,何のことはない,子供のお遊戯会の撮影です。

 子供は保育園の年長さんなので今年で最後になりますし,成長の速い保育園の子供にとっての年長さんというのは,年下の子供たちと違って体も大きく,やっていることも高度になるので,実に興味深い被写体です。

 当たり前の事ですが,子供は撮影者の意思に無関係に動き回り,出てきてはひっこむを繰り返しますし,これも当然ですがやり直しが利かないシビアな現場ですので,私のようなのんびりしたアマチュアには緊張の仕方さえ分からないくらいです。

 D850は高画素と連写,そして高感度と高性能を高次元でバランスした一眼レフであり,まさに死角はありません。何かのために何かをあきらめることが必要ない,現時点で最も汎用性の高いカメラといってよいと思います。

 かつて,現場になれていないアマチュアが分不相応な高価なカメラをこれ見よがしに持ち込む姿に嫌悪していた私は,いつしか自らが嫌悪の対象そのものに成り下がっていたことに軽いめまいを覚えましたが,この鬱屈した気持ちを跳ね返すには,その高価なカメラを使いこなし,それでなければならない理由を胸を張って語るしかありません。

 ということで,ようやく現場に持ち出せたD850の印象を書いてみたいと思います。

 あまり大げさな装備もどうかと思っていましたが,娘の晴れ舞台を綺麗に残したいという自然な気持ちもありますし,これがD850の評価の機会という気持ちもあって,レンズは70-200F2.8VRII,バッテリグリップにEN-EL18を入れて9コマ/秒を仕込みました。

 え,気合い十分な完全武装ですって?いえいえ,ストロボがありません。
 
 そんなわけで,若干周囲に引かれながらも,9コマ/秒を炸裂させてきました。

(1)高感度と画質

 会場は明るいので,D800でもそんなに問題になることはなかったのですが,それでも200mmで手ぶれを防ぎ,かつ被写体ブレも押さえ込もうとすると,やっぱり1/250秒以上のシャッター速度は欲しいです。そうするとISO2000から3000くらいになってしまう場合も覚悟せねばなりません。

 D800でもISO2000や2500くらいで破綻することはなく,ノイズ軽減を強めれば問題なかったのですが,D850はさらにそこからもう2段くらいのゆとりがあるように思います。

 そのゆとりはノイズの少ない画像を得ることにも使えますし,1/500秒を切るために使うことも出来るので,とても融通が利きました。

 Lightroomで処理をしていて感じたことですが,高画素機というのはノイズリダクションをかけやすいです。画素数が少ないと,ノイズ軽減で塗りつぶされた感じが強く出てしまい,不自然な仕上がりになりやすいので慎重に調整をするのですが,画素が増えると少々ルーズな調整をやっても,ノイスだけスッと消える感じがあります。

 当たり前の事ですが,ノイズというのは空間周波数に対して広く分布する成分であり,これを減らして本来の情報を強調するには,本来の情報が豊富なほど有利です。高画素は情報が多いといい切れませんが,D850は画素ごとの情報量も豊富なので,ノイズ軽減を調整中に急激に破綻することがありません。

 露出不足で潰れたところから,現像で綺麗な画像が浮かび上がらせる経験をD800でそれなりに味わっていた私ですが,プラスの露出補正をした際の明部が良く粘り,ちゃんと階調が残っているのは驚きました。これはD800以上です。

 露出に失敗して現像時に補正をかけると,やはりなにか失うものだったのですが,D850には±2段くらいならなにも失うものはありません。沈んでいた画像が浮かんで最初から失敗などなかったようになります。このスムーズさは情報量の多さからくるものでしょう。

 そして,色による偏りが少ないのもすごいです。どの色も豊富な階調を保持していて,さらに磨きのかかったホワイトバランスと相まって,複雑な色の光源とカラフルな衣装によって生まれる異なる色のグラデーションも,見事に記録しています。

 どちらにしても,D850は画素方向と明るさ方向の3次元で,情報量が飛躍的に増加しています。少々の失敗はこの情報量でカバー出来ると感じる人も多いでしょう。


(2)連写とレスポンス

 EN-EL18を使えば9コマ/秒というD2Hを越える連写速度が手に入るD850ですが,ミラーの動作速度も確実に上がるので,ブラックアウトの時間も短縮されます。これはもう気のせいではなく,確実です。

 EN-EL15ではCHモードでワンショットなのに,EN-EL18では思わず2枚撮影してしまうということが起こるくらい,レスポンスが良くなります。

 とても軽快で,気持ちよく,意のままに撮影出来るのですが,ミラーが高速で動作することもあり振動の発生も大きく,油断するとブレが出ますし,しっかりホールドせねばというプレッシャーが負担になることもありますから,私は普段はEN-EL15で運用しています。

 今回,非常に限られたシャッターチャンスを生かすために,9コマ/秒で臨みました。D800では連写をすると,ちょうどよいところでシャッターが切れていないことがありましたが,そこはさすがに9コマ/秒です。必ずどこかに気に入った画像が収まっています。

 加えて軽快なシャッター音は,またこの音を聞きたいという中毒性を持っており,一度押したレリーズボタンからなかなか指が離れません。

 こうして,あっという間に何百枚というカットが記録されます。

 そして,この連写とレンスポンスを支えるのが,非常に高いAFの性能です。

 D800も良かったと思うのですが,そこはやはり連写速度に見合った性能になっていました。クセもあるので撮影者はそれを見越して使うことも求められたと思うのですが,D850はそんなことは考えずとも,フォーカスを外しません。

 事実,撮影した写真のほとんどでフォーカスを外していませんでした。

 見やすいファインダーで被写体をとらえ,使いやすいUIでフォーカスポイントをさっと動かし,AF-ONを押せば一瞬で狙った所にフォーカスが合います。

 少々動いてもちゃんと食いついていき,まつげをきちんと解像するそのAF性能には,もう脱帽です。


(3)トリミング耐性

 最後にすごいと思ったのは,このトリミング耐性です。

 保育園のイベントですので,撮影に使える場所には厳しい制限がかかっています。制限がなくてもマナーの問題ですので無茶はそもそも出来ませんが,撮影条件の良し悪しは,自分の意思だけでは決まりません。

 距離については保護者ですので裸眼で見えなくなるような距離ではないのですが,最前列でない限りは視野が開けているという可能性は低いです。

 自ずと人垣の隙間から被写体を狙うことになりますが,そうすると上半身だけとか,顔だけとか,右側にハゲ頭とか,左側にでかい横顔とか,そういう面倒が起こります。

 別にハゲ頭を見たいわけではない我々は,当然そこをトリミングで削り取ることにするわけですが,左上にちょこっと子供の顔がある,という状況で,しかもその顔がとてもいい表情だったりすると,そこだけ切り抜くようなトリミングをしてでも,この写真を救いたいと思うものです。

 ですが低画素機ではそういう自由度もなく,やはり撮影時の努力で防ぐしかないのですが,D850の4600万画素はD800の3600万画素を越えた,トリミング耐性を備えていました。

 本当に,ちょこっと入っていた顔を切り抜いてもへこたれません。この余裕と安心感はすごいです。

 高価な一眼レフの高画素化は,実はそれまで害悪とされていたトリミングを積極的に使う事の出来る新しい価値を産み出しているのではないかと思うほどです。

 
 とまあ,D850で強化されたところに注目して現場に出てみましたが,想像以上にD850の使いやすさと失敗の少なさ,そして余裕と安心感を堪能しました。このカメラはもう手放せません。

 私の周りにはスマートフォンはもちろん,ビデオカメラやコンパクトデジカメ,EOS Kissクラスの一眼レフやm4/3のカメラを使っていた人がたくさんいました。皆一様にシャッターチャンスを逃すまいと頑張っていていましたが,背面のLCDに写った写真をのぞき見すると,そんなに良い写真になっているとは思えませんでした。

 しかし私は,自分の観覧席に悠々と座り,座ったまま手持ちでぱぱっと撮影していました。そして家でじっくり現像してトリミングをして,満足な写真を仕上げました。

 隣にいた嫁さんに私は自分の思ったことをつぶやきました。

 それは,機材の悪さは自分の足でカバーせねばならず,条件の悪さは機材にかけたお金である程度カバー出来る,ということでした。

 つまるところ,カメラの性能というのはここに集約出来るのかも知れず,少々条件が悪くてもへこたれない適応性ともいうべきものが,価格に対して手に入るメリットなのでしょう。

 裏を返せば,安い機材であっても,自分の足と努力でカバー出来る場合が多いという事も言えて,アマチュアらしいバイタリティを忘れないようにしたいものだと,改めて思いました。

AT-X 16-28 F2.8 後ピン発覚

 先週手に入れて,すっかり気に入って常用レンズになっている,トキナーのAT-X16-28 F2.8 PRO FX。飛び出した前玉の扱いにも慣れ,狭い部屋を広い画角でまるごと写し取る面白さや,目一杯に寄って背景をぼかしつつ取り込む楽しさを味わいながら,広角レンズを練習しているところです。

 で,購入時からなんとなく思っていたのですが,娘の写真を撮っていると,まつげがちっとも解像しません。これはブレかもしれないし,測距点がずれているのかもしれないとあまり気に留めなかったのですが,座っていたソファーの背もたれの部分にバチッとピントが来ていることに気付いて,これはおかしいと気が付きました。

 どうも後ピンのようです。それもかなりズレています。16mmのワイド端でも28mmのテレ端でも同じ傾向です。

 気になり始めるともう落ち着きません。なんでこんなにひどいズレに今まで気が付かなかっただろうと思いましたが,気のせいかもしれない(そんなわけはない)ので,幸い12月9日にトキナーで開催される「レンズクリニック」にいって見てもらおうと思っていました。

 まあ,その前に状況を確認しておこう,うまくすればD850本体の「AF微調整」を使って穏便に済ませることが出来るかもしれないと,昨夜試してみたのです。

 娘のまつげが解像しないことで気が付いた後ピンは,被写体との距離が1.5m程度です。三脚に固定したD850で1.5mほど先に置いたチャートをライブビューでAFで合わせて,AFモード切替ボタンとRECボタンの同時長押しをして,自動調整を行います。

 調整結果を見てみると,-19。調整範囲が±20ですので,調整範囲ギリギリです。やはりこれくらいズレると目で見て分かるものです。

 これでうまくいくかもと撮影すると,確かにジャスピンです。16mmでも同じようにうまくいっています。

 これでもう調整を依頼しなくていいかなあと思って,今度は10cmの距離でクリスマスツリーの枝を撮影しますが,ちゃんと人工の葉っぱの筋まで写っています。

 ならばと今度は5mほど先の壁掛け時計を撮影します。

 ・・・なんだかぼやーっと眠いのです。あれ,これはおかしいと,調整値を-19から0にして同じように撮影です。

 するとまあなんと,シャープな壁掛け時計が写っているではありませんか。三脚を使わなかったのであくまで参考値ですが,ライブビューからの自答調整で得られた調整値は-4でした。

 何度か-19と0を繰り返して撮影しますが,どうもピントのずれ量が被写体との距離で一定ではないようです。もう一度近距離の撮影をやってみると,葉っぱの筋が見えているのは事実ですが,これも後ピンでした。

 というわけで,どうも後ピンの傾向があるのは確かなのですが,一番ひどいのは被写体との距離が1.5mくらいの時で,10cmでも後ピンが出ていて,5mも離れるとほぼ解消するという事がわかりました。16mmのワイド端でも同じような傾向です。

 こうなるともう素人の私には手が出せません。D850のAF調整はレンズごとに行うことが出来ますが,ズーム域で切り替えできるほど親切ではありませんから,やはりもう白旗です。

 遠景を撮影した時も気が付かず,近距離を撮影した時にも気が付かないのは,ここでのズレ量が小さかったからでしょう。しかし,1.5mというおいしい距離でこれだけズレてしまうことを放置できませんし,ここでズレ量を調整すると,他でピントが合わなくなります。

 そこで私は考えました。、レンズクリニックで見てもらっても,調整は結局預かり修理になります。それならば,もうズレていることが分かっているのですから,さっさと修理に出してしまった方が解決までの時間が短くて済むでしょう。

 平日の午前中にサービスセンターに電話をしたところ,保証期間内なら無償で調整する,往復の送料も無料だというありがたいお返事を頂きました。

 そもそも「こんなもん」だと時間の無駄だと思うのでそのあたりも電話で話をしたいんだけどというと,とりあえず見てみないとなんとも,という誠実なお返事を頂き,週末に送る事にしました。

 数日で診断結果が出て,そこで電話をもらうことになっています。調整だけで済むのであればそこからまた数日という事で,うまくすると10日ほどで戻ってきそうです。

 レンズクリニックに行くのも悪くないと思っていましたし,仮に発送するにしても電車賃代わりに元払いでいいやと思っていた私としては,保証期間内だから送料も無料ですという話にちょっとびっくりしました。

 本当かどうかは分かりませんが,純正のレンズと非純正のレンズとでは,バラツキの違いをどのくらい許容するかが最終価格の差になると聞いたことがあります。手間暇かけて調整をし,どうしても調整出来ないものを廃棄するとなると,そりゃお金はかかるでしょう。

 安いレンズはそこまでやらないというのは確かに真実ですが,だからといってバラツキを容認するということではないと私は思っています。調整をしなくても性能が維持できるような設計を最初にしておけば,調整は入らないし,廃棄するものも出てきません。

 安いことを目指す場合にまず設計者が行うことは,こういう製造時のコストを下げることです。もちろん部品を減らす事,部品の値段を下げることもやりますが,それらはコツコツとした小さい積み上げによるものなので,品質に関わるコストが発生すると,一発で吹き飛んでしまうものです。

 だから,安いレンズを作る事は生産技術に長けていることが必要なわけで,日本のレンズメーカーはいずれもその実力を知られています。

 ただ,誤解を招くといけないので書くのですが,プロのように失敗が許されないケースや,会社の備品のように簡単に修理や調整に出せないケースでは,お金はかかってもいいので最初から高品質であることに強いニーズがあります。

 純正のレンズはまさにこうした期待に応えるものとして,おそらく過剰とも言える品質管理を行っていて,その結果高価なものになっているのだと思います。

 一方で,数を売るレンズメーカーのレンズは,純正よりも安くなければ買ってもらえませんし,また数が揃わなければ数が出ません。だから品質基準もリーズナブルになっているのだと思いますが,それは決して悪いことではありません。

 そこまでの品質を必要としない人に取っては安く買えてラッキーですし,こだわる人には個別の対応をした方がトータルで安くなるという計算もあるでしょう。買った人は手間がかかりますが,そのおかげで安く買えたのだとしたら,それは公平な話です。

 トキナーについては,こうした項別対応の結果で良くなった,と言う話がネットにゴロゴロしています。

 実は,私は20年前にトキナーの100-300mmF4のマニュアルの望遠ズームを買った時,絞り羽根が閉じないという初期不良にあたりました。アウトレット品だったので交換にはならず修理扱いになったのですが,修理後の動作は完璧だったとしても,やはりつまらない思いをしたことが記憶に残り,トキナーに対してあまりいい印象を持っていませんでした。

 先入観は良くないと,今回はトキナーのレンズを買いましたが,最初はキズの初期不良で交換になり,交換品も後ピンで修理となり,純正の信頼感とは違うなあと思いつつも,値段の安さと良い意味で個性の強いレンズで,そんなにマイナスに感じません。

 うまく調整が出来て,常用レンズになることを期待したいと思います。

 

AT-X 16-28 F2.8 PRO FX を買った

  • 2017/11/27 14:52
  • カテゴリー:散財

 F2.8通しのズームレンズは,広角,標準,望遠の3つで「大三元」と呼ばれていて,通常考えられる撮影シーンをほぼ完全にカバーします。

 カバーするのは焦点距離ですが,もちろんそれだけでは成立せず,F2.8という明るさと単焦点をしのぐ画質がなければ成り立ちません。

 そのために大きさ,重さ,そして価格が犠牲になるわけですが,これも考えて見ると,一昔前なら単焦点レンズをいくつも揃えてカバーしていた撮影域がわずか3本で大丈夫になったわけで,トータルで考えると大きさも価格も,一概に大きくなったとは言えないものがあります。

 ただ,以前なら28mmF2.8を選ぶなら35mmF2.8は当分いらない,という人も多かったはずで,少ない予算を自分の好みやスタイルに合わせて配分していくことは難しくなったと思います。

 とまあ,大三元についていろいろ思う訳ですが,トータルで安いとはいえ純正で20万円は随分高価ですし,トータルで軽いとは言え1kgもあるレンズは,やはり購入に一大決心が必要です。

 以前のように,高価で大きなレンズは特殊なレンズだけならば,それでなければ撮影出来ないものがあるわけですので,高い大きいはあまり関係がありません。しかし,単焦点でも大丈夫な撮影をわざわざ20万円のズームで撮影するという事は,単焦点を揃えるよりもメリットがある撮影スタイルを確立しているか,写真に入れ込んでいることを示しているか,のどちらかでしょう。

 どちらにしても,そうした理由で20万円のレンズをわざわざ買うのですから,いい加減なレンズを売るわけにもいかず,そこはメーカーの威信をかけた,まさに「顔」となるようなレンズであることが強く求められるのです。

 当然画質などの性能にはその時々の最高のものが期待されますし,バラツキや不良,耐久性などの品質についても厳しいものが求められます。

 理屈では分かっているのですが,実際に大三元を手に入れて使ってみると,これらを本当に実感するのです。

 今や,大三元の画質は,かつての単焦点をしのぎます。ですので単焦点のレンズは,小型であるとか,クセがあるとか,F2.8よりもずっと明るいとか,安いとか,そうした個性で選ばれるようになっていますが,こんなの25年前にはちょっと考えられなかったことです。

 D800という新鋭機を手に入れた当時の私は,レンズの性能がD800の足を引っ張っている事実を突きつけられていました。安いレンズの収差を味わうことで成り立っていた私のカメラ趣味は,この悩みを凡庸に解決する道を選んだことにより,最新機種と高価なレンズで高画質を狙うという,ごく自然な方向に向くことになります。

 標準域はAF-S24-70,望遠域はAF-S70-200VR2で普段は困らないようになったのですが,やはり広角が欲しくなります。キヤノンユーザーがマウントアダプタを買ってまで使うという神レンズAF-S14-24を当然狙いたいところではあるのですが,いかんせん20万円を超える買い物を,そうそう簡単にできるはずもありません。

 また,広角域はそんなに出番もなく,かけた費用を回収することも出来ないでしょう。

 そこで私は,AF-S18-35mm f/3.5-4.5G EDを買ったのでした。7万円ほどで上位機種をしのぐ画質を誇る,小型軽量の高画質レンズです。

 2014年の10月末に手に入れて,最初はいろいろ遊んでいましたし,その後はD2Hに付けっぱなしにしていたのですが,D800やD850で使うことはほとんどなくなっていました。

 もったいないと思ってしばらく付けていたのですが,出てきた写真がどうもしっくりこず,結局やめてしまったのです。

 解像度もコントラストも優れているレンズのはずなのですが,どうもありきたりのズームレンズの眠たい画像ばかりで,目の覚めるような写真がなかなか出てこないのです。

 我慢できずにシグマの35mm/F1.4に付け替えると,やはりその画質の差にニンマリしてしまうことになり,もうAF-S18-35に戻すことはなくなってしまいました。

 思うに,18mmという広角端がちょっと物足りないのと,やはり開放が暗いということがあったんじゃないでしょうか。

 収差を改善しようとして2段も絞ると,もうF8まで暗くなってしまい,背景もぼけず,シャッター速度も落ちてキレがなくなり,あげく感度が下がってノイズも増えるし色も悪くなるしと,写真の負のスパイラルにはまり込んでいるようです。

 明るい屋外では問題がないかもしれませんが,室内で撮影することが多い私の使い方では,どうもこのレンズは進化を発揮出来ていないようです。

 なので,最後の課題として広角ズームが残っている状態なのですが,AF-S18-35は基本性能が高く,外に持ち出すレンズとして重宝しますし,純正のレンズを手放すにはちょっと惜しいと思っています。

 もちろん,AF-S14-24を買うならすべての問題は解決しますが,やはり20万円を越えるレンズですし,前玉に傷を付けたときの精神的ダメージが大きすぎるように思いますから,これも手を出しにくいです。

 純正のF4ズームからAF-S16-35を選ぶという手もあるのですが,AF-S18-35よりも劣るという話を耳にすると,手を出す気が起きません。

 そうなるとレンズメーカーのF2.8ズームということになるのですが,これはこれで当たり外れもありますし,リセールバリューも低くて,よく考えないといけません。気に入らないと理由で処分することが現実的には出来ないのですから。

 そんなことをここ1年くらい考えたいたところ,発売が古くて全く無視していたトキナーのAT-X16-28を改めて確認する機会がありました。

 16mmと手頃の広角端を持つF2.8通しズームで,前玉が飛び出しているデメキンレンズです。

 登場は2010年と古く,当時はその画質絶賛されたレンズですが,一方で量産性を大きく改善する製造技術により,純正の半額というお値段を実現したレンズでもあります。

 今なら1/3で手に入るこのレンズは,F2.8通しらしい大きく重いレンズで,解像度もコントラストも大変よく,色のりもコク出てくる事で知られています。特に青空の青色が濃く抜けるように出てくることは魅力の1つで,トキナーブルーと呼ばれています。

 ただ,逆光に弱いことは当時から厳しくされています。まあ,でもそれはなんとかなるでしょう。個性として割り切ればいいです。

 そうしているうち,キャッシュバックで1万円も戻ってくることが告知されました。このレンズがなんと実質6万円で買えるのです。これはいい機会かも知れません。

 最安値は7万円ちょっとで,ヨドバシは79020円で10%のポイントですから,実質71200円ほど。差額は1000円ちょっとなので,これくらいならヨドバシで買う方が安心出来ます。(そしてこの選択が正しかったことを私は後に知ることになります)

 ちょうどヨドバシの配達が通常の速さに戻ったこともあり,23日の夜に注文しました。24日の午前中に届くというので待っていましたが出荷の遅れがあり,届いたのは24日の夜でした。

 届いて見てみると,さすがにF2.8の広角ズームです。ずっしりと重く,レンズらしい質感です。デザインは私の好みではないのですが,そんなに悪いものではありません。お金がそれなりにかかっていることがわかります。

 早速試し撮りです。16mmという画角でも周辺光量の低下は少なく,中央部の解像度は極めて良好です。色収差はそれなりに出る条件がありますが,絞れば気にならないレベルです。

 逆光はいわれている通りで,ゴーストもフレアも派手に出ますし,コントラストの低下も見られます。しかし,それも回避方法がないわけではなく,うまく逃げる方法を考えた方が賢いと思います。

 いいなこれ,やっぱりF2.8だなあと思って前玉を覗き込むと,フードの内側にひっかき傷のようなものが見えました。

 あれ,これはなんだと,少し湿らせた綿棒で拭くと,一応とれます。しかし,その周囲を注してみると,レンズに1.5mmほどのキズを発見してしまいました。

 さらに,レンズを固定してあるカニ目にも分解痕のようなものがあります。

 一応レンズを拭き掃除しておこうと,シルボン紙にアルコールを少しだけつけて拭いたところ,油のような汚れもポツポツと出てきます。

 うーん,これはおかしい。

 写りに影響はないとはいえ,これは新品です。外観は綺麗でもレンズにキズはちょっと悔しいです。もしこのレンズを売却する場合,このキズが理由で大きく減額されるでしょう。売らない場合でも,気分的にマイナスです。

 あれこれ考えましたが,こんな時のヨドバシです。

 翌朝電話をしてみたところ,即座に交換するという返事。しかも代品を最短で送るので,届いたときに交換をしてくれればいいと,とても助かる対応を頂きました。

 先に送ってくれとか,初期不良と認定されないとダメとか,メーカーに直接電話しろとか,そういう面倒なことにならず,ヨドバシで買って良かったと思いました。

 果たして翌日の朝に届いた交換品はもう完璧で,チリ一つなく,写りもさらに良いベストコンディションでした。キズはもちろんですが,レンズが入っていた袋も,ピシッと折り目の付いた綺麗な袋で,交換前のものがくしゃくしゃの透明なものであったことを考えると,やはり今回の交換品の方が正解だったんじゃないかと思います。交換してよかったです。

 さて,そこからは試写です。というか,楽しくて随分な枚数を撮影しました。

 繰り返しになりますが,軽くレビューです。

 まず外観ですが,デザインコンセプトは安いズームと同じの癖に,重量も大きさも質感も高く,その辺のアンバランスさに違和感がありますが,そこは質感が勝つわけで,良く手に馴染みます。

 思ったほど大きくも重くもなく,私はこれなら十分取り回せますが,そうはいっても飛び出した前玉が心配なので,それなりに気を遣います。フィルターが付かないことは割り切らざるをえませんが,どうも落ち着かないものです。

 AFとMFの切り替えは,フォーカスリングを前後することで行います。今ひとつ操作性が悪く,切り替えに力がいるので,AFで合わせたフォーカスがMFに切り替えるときにズレてしまうこともしばしばです。

 AFの速度はそんなに速くはありませんが,そんなにレンズを動かすものでもないので,合焦までの時間が遅いと思ったことはありません。音も小さいので,この点で不満を言う人は以内でしょう。

 撮影ですが,さすがにF2.8です。ファインダー越しに見える16mmの景色は胸のすくよな気分です。中央部の解像度もコントラストも十分高く,色も良く乗っています。周辺部の光量低下も思ったほどではありませんが,解像度はやや落ちるので,F5.6くらいで使うのが一番美味しいでしょう。

 気になるのは色収差が大きいことで,周辺部では盛大に色ズレが出ます。これもF5.6まで絞れば消えてしまいますので,うまく使いこなしを覚えていけば大丈夫でしょう。

 それとやはり逆光です。

 トキナーブルーを堪能するには空に向ける必要がありますが,太陽が画面から消えてもゴーストやフレアがずっと残っています。コントラストの低下も出てくるので,超広角なのに光が入ってくるとダメというのは,なかなか厳しいかも知れません。

 望遠なんかだと少し自分が動けばゴーストも消えるものなのですが,広角では少しくらい動いてもなにも変わりません。なかなか難しいですね。

 しかし,室内では怖いものなし。F2.8という明るさと,16mmという画角は狭い部屋でも綺麗に被写体をとらえることが出来ます。まつげ一本一本をきちんと解像し,色もしっかり乗っているので,これは買って良かったなあと,つくづく思った次第です。

 気をつけたいのは,レンズキャップです。フードを完全に覆うレンズキャップで,フードの内側を挟み込むように固定するのですが,もし被せ損ねると前玉を直撃します。

 ですから,少しでも被害が小さくなるよう,28mmのテレ端にすることを忘れないようにすることと,キャップを被せるときはきちんとフードが内側に来ていることを確認しないといけないです。

 というわけで,大きさと重さは想定内,質感も十分で,解像度などの性能も申し分なし。中編の性能低下は2段絞れば余裕で改善し,なんといっても色の出方が素晴らしいです。純正にはない色ですから,これは楽しいです。

 これが実質6万円ちょっとですから,なんと大盤振る舞いかと思います。発売後7年もすれば新製品が出てくることでしょう。そうなるとこの値段では買えなくなるわけで,私はいいタイミングで買ったのかも知れません。

 惜しいのはやはり逆光への弱さで,これは無視できるレベルではありません。明らかにカバー出来る撮影範囲を制限されるものだと思います。

 それと当たり外れへの不安です。私の場合交換品が満足なものでしたが,不安を抱えて使うのもつまらないことですから,良く品定めをする必要はあるかも知れません。

 もう1つは16mmというワイド端です。14mmまでとはいいませんが,せめて15mmくらいまでいってくれれば思しかったのにと思います。16mmがダメだといいませんし,18mmに比べれば圧倒的に面白いのですが,もう一歩ワイドになればなあ,と思う事がしょっちゅうあるので,ここは残念な所かも知れません。

 今回はとてもよい買い物をしました。いくら純正のリセールバリューが高いとはいえ,22万円のレンズが22万円そのままで売れるはずもなく,7万円でこれだけ素晴らしいレンズが手に入るなら,売ることを考えず使い潰したって全然構わないでしょう。

 D850に相応しいレンズかといわれれば素直にNoといわざるをえないと思いますが,試写でこれだけ面白がってバシャバシャ撮影したレンズというのも久しぶりです。今までのAF-S18-35と違って,本当に面白いレンズです。

 これで,私の撮影カバー域は一応の完成を見ました。広角ズームにあえてトキナーを選んだというのも私らしいなあと思いますが。純正とは一味違うその画質が,撮影を単調なものからワクワクするものにしてくれることでしょう。

 

ORANGE Picoを作ってみました

 IchigoJamというBASICが走る安価なワンボードマイコンに触発されてか,この手のマイコンボードがいくつか市場に出ています。

 その1つがORANGE Picoです。

 高性能化したワンチップマイコンでBASICインタプリタとスクリーンエディタが走り,ビデオ出力もソフトで作るというコンセプトは同じなのですが,そこはさすがに後発だけあって,浮動小数点が扱える,カラーグラフィックが扱える,といった特徴を持っています。

 このあたりまで来ると1980年代前半のパソコン程度の能力は持っているといってよく,あのころのBASICなら目を瞑っていても書ける,というおっさんどもには心強い味方になってくれそうです。

 IchigoJamを手に入れてみたものの,案外なにも出来ない事に気が付いてから,この手のコミュニティから距離を取っていた私ですが,カラーと浮動小数点にピクッとき,その上320x240のLCDまで搭載出来ると聞いて,これはもしかしたらポケコンの後継機になるんじゃないかと思って,結局買ってしまいました。

 買ったのはtypeDという最上位機種です。CPUを2つ搭載し,1つは主にUSBの処理を任せたものになっていますが,これっていわゆる「I/Oプロセッサ」ですよね。古くはメインウレーム,新しいところではソニーのNEWSなんかがこういう構成を取ります。

 USBキーボードが繋がり,LCDが搭載され,5V単電源で動いてくれれば,もうどこでも動作出来るフルスペックの8ビットパソコンです。

 私が買ったのはtypeDのキットと専用として売られていた2.8インチのLCDです。素早く送られて来たのはよいのですが,説明書がほとんどなくて,慣れていない人は途方に暮れるんじゃないかと心配になりました。

 部品表を見ながら組み立てるのはそんなに難しくはないのですが,問題はそこからで,どこにどんな電源を繋いで,どういう操作をすれば組み立て完了なのかとか,そういうことが全然わかりません。これホントに初心者向けなのかと思ったのですが,まあそれはそれ。

 MicroUSBに5Vを,ビデオ出力にモニタを繋いで電源を入れます。問題なく起動しました。キーボードはHappyHackingKeyboardLiteのUS版を繋ぎました。

 気になる配列の違いを設定しようと,kbset 1としたのですがキーのマッピングは変化無しです。すべてのキーボードがちゃんと動くわけではないので,まあこれも仕方がありません。

 電源を一度切って,LCDを取り付けます。電源を入れてもなにも表示されませんが,そこはspitft 1としてLCDをイネーブルにすれば,無事に表示されるようになります。

 あとはさくっとプログラムをいくつか入れてみて動作確認です。

 しかし,LCDを使った場合に厳しい制限がありました。スプライトが使えないのです。これは参りました。スプライトがなければ,この手のBASICではゲームを作るのが大変です。

 そしてスプライトが使えないと言うことは,turtle関連の命令が全滅だという事です。私は別にturtle graphicを使いたかったわけではないのですが,デモとしてはこれほど興味をそそるものもなく,使えないのはもったいないと思いました。

 結局の所,Bluetoothの小型キーボードも動作せず,US配列への変更も出来ず,スプライトも動作せずということで,どこでもBASICというポケコンの代わりにはなりそうもありません。

 もっとも,これをポケコン代わりにしようと思えば,ケースにいれて電池を組み込み,小型のキーボードを探さないといけませんから,なかなかハードルが高いです。

 かといって開発者が自らいう,教育用のコンピュータとしては,いまさらBASICもないよなーと思うこともあって,あまり価値を見いだせません。

 そもそもビデオ出力などもう必要なくて,その代わりにLCDをわざわざ取り付けているのですから,ソフトでNTSCの信号を合成することはもうそろそろやめにして。システムとして綺麗にまとめる事が出来るかどうかを,考えたものがあってもいいんじゃないかと思います。

 もしかしたら娘が興味を示すかも知れません。それまでは置いておこうと思いますが,私自身は積極的に使うことは残念ながらないだろうなと思います。

 と,そんなことを考えていたのですが,1つ大事な事を思い出しました。ORANGE Picoは教育用と書いてありましたが,実は組み込み用も想定してあるのです。I2CもGPIOもBASICから叩けるようになっていて,しかもIchigoJamほど制約が強くありません。

 なんといってもBASICインタプリタですから,どんどん修正もできます。そして完成すればそのまま組み込んでしまえばいいわけで,ちょっとした用途には便利に使えそうです。電源を入れたら自動的にプログラムを実行する機能も持っていますので,ディスプレイもキーボードも繋がなくて大丈夫です。

 大事な事は,作ったシステムを他の人が修正することが出来るわかりやすさを持っていることで,ソースコードがないと手も足も出ないとか,開発環境をインストールするだけで半日かかるとか,そういう面倒な事がないことはとても有意義だと思います。

 クロス開発が当たり前の組み込みで,ターゲットで直接開発ができ,しかもそれが安価で簡単だとくれば,これはもしかしたら組み込み初心者向けの学習用にぴったりなんじゃないかと思います。

 うーん,なにかこれでオモチャでも作ってみますかね。

 

どうした,ヨドバシ!

 ヨドバシ・ドット・コムの配達遅延が,今度は大手ニュースサイトや新聞で報道される事態になってきました。

 今度は,というのは9月末にも配達遅延が起きていて,配達予定を過ぎても届かなかったり,配達予定日が数日遅くなっていたりといったことがあったからなのですが,この時には徐々に回復,1週間ほどで正常化し,ヘビーユーザーでありファンである私は,胸をなで下ろしました

 その後,「もしかしたら私の地域ではスピード配達をやめるのか」「この状態が常態化するのではないか」と心配していることをメールで問い合わせたところ,そんなことはない,正常化に向けて頑張っていると,そういう返事をもらったので,とりあえず安心したというわけです。

 ところが10月末からまた配達予定日が後ろにずれ始め,私が11月4日に頼んだプリンタのインクの配達予定日は,最短でなんと11月9日の18時以降でした。仕方がないのでこのまま頼んだのですが,一向に出荷される気配がありません。

 公式サイトに10月27日付で「時間がかかっている」と書かれていましたが,この件でその後の更新は行われておらず,ちっとも好転しない状況にどうなってるんだろと思っていた所,昨日ニュースサイトや新聞で報道され,追いかけるように公式サイトの情報が更新されたのでした。曰く,10月31日午前8時以降の注文は順次出荷,それ以前の注文については出荷停止とのこと。出荷停止とは随分大変なことになっています。

 実は,子供部屋の照明を買いたくてヨドバシ・ドット・コムを見たところ,電話で注文すると下取りをするというので,試しに電話で買い物をしてみたのです。すると納期は明後日の朝とのこと。

 ヨドバシ・ドット・コムよりも数日早く,連休中に決着が着きます。これはありがたいことだと思ったついでに,なんで電話だと早いのかを聞いてみたところ,今回は倉庫が混乱していて時間がかかっているが,電話での注文は手動で処理できるので優先して出荷出来るのだそうです。

 実際,ヤマト運輸が指定時間に持ってきてくれて,古い照明器具を引き取ってくれました。値段もポイントも同じ,下取りで100ポイントもらえて,送料もゼロという事で,今回は一番よい選択だったと思います。

 一方のインクはというと,納期が「最短」とだけ出ており,注文時の納期が見えなくなっています。

 公式のコメントが出るまでは,きっと送料無料のヨドバシにamazonから流れてきた人が増えたせいだとか,ヤマト運輸の値上げに伴いゆうパックが激増し,そのせいで大口のヨドバシにも影響が出たからとか,いろいろな憶測が出ていました。

 ですが,川崎にある物流センターの引っ越しのせいだと一応詳細が出たことで,今回のひどい状況が特別な事であることがわかったわけです。

 まあ,普通これだけの失態をやらかせば,担当者は無傷ではすみませんわね。大丈夫なんでしょうか。

 ヨドバシは目の前のお客さんに対してはとても誠実だと感じていますし,店員さんも印象の良い方が多いです。特にカメラコーナーでは,カメラを好きなんだなと思うお店の人と会話が出来ることも多く,このあたりから自分達はカメラ屋なのだという矜恃を感じたりするわけですが,唯一引っかかるのが,直接のお客さんではない人には興味がないんじゃないかと思われることです。

 例えばヨドバシカメラの経営陣が雑誌や新聞に出てくることは少ないですし,彼らがどういう考えでいるのか,これからどうしようと考えているのかを知る機会はほとんどありません。

 我々のようなお客は,売り場や施策を見て実際に利用し,彼らのメッセージを受け取ることになるわけです。個人的にそれは好ましいものが多く,また利用させてもらおうという気持ちになるので,このことが問題だとは思いません。

 しかし,同業他社はもっと経営者が表に出来ますし,メッセージを社会に向けて発信することも忘れません。

 もちろんヨドバシカメラは株式を上場していない会社ですから,別に社会に話しかける義理はないのですが,すでのこれだけの規模の企業となり,多くの人の消費活動を支え,様々な商売相手の生き死にを握る存在になったわけですから,すでに社会の公器としての役割は大きなものになっていると考えなければならないでしょう。

 amazonやヤマト運輸の動勢がNHKの夜のニュースで取り上げられるのは,それらがすでに多くの人の知りたいという欲求の対象となっており,もっといえばそれらの動き振り回されてしまう人が増えたという事です。

 数あるカメラ量販店や家電量販店がインターネット通販に乗り出しては今ひとつ波に乗れなかった10年前,ヨドバシカメラは頭1つ抜け出して,私の見るところamazonの唯一の対抗馬に勝ち上がった思うのですが,目の前のお客への誠実さとは裏腹に,直接見えにくい相手に対する配慮が,まだ大企業のそれではないと感じるのです。

 もっとも,表に出まくる経営者を私はあまり好みませんし,そうした派手さがないことも私がヨドバシカメラが好きな理由の1つでもありますが,それはトラブルなく,お客さんとしての我々がなんの不満も感じない場合にはよくても,一度トラブルや不祥事を起こした場合には裏目に出ることが多く,それまで無関係だった人たちからも批判を受けることになります。


 私が一連のトラブルで心配しているのは,そうした表向きの対応の手際です。今回の件でいえば,9月末のトラブルが比較的静かに沈静化したことを1つの教訓とし,今回のトラブルについては「聞かれる前に説明する」という姿勢を取ってくれれば,我々ファンは安心出来たのにと思ったりします。

 報道機関に取り上げられてようやく出たコメントによって,ようやく私は自分の商品が出荷されないことを知ったわけです。これを,マスコミの役割だと実感する向きもありますが,やはり残念なのは,ここまで話が大きくなる前に自主的に情報を公開してくれなかったことでしょう。

 ヨドバシカメラは10年前よりさらに強くなりました。新宿のカメラ量販店だったヨドバシカメラが,全国で強さを誇り,ネット通販でも他を圧倒する強さを持つに至っています。

 私が感心するのは,こうした強さを手に入れた企業というのは勘違いして奢るものなのですが,ヨドバシカメラはその強さを,目の前のお客さんのために使うことを忘れません。

 例えば転売対策です。同じ名義で複数の注文があったり,異なる住所に配達する場合には,転売の可能性ありと一方的に注文をキャンセルしてしまいます。

 聞いた話に過ぎませんが,実際には転売ではないケースであっても,事前に話し合うチャンスもなく,いきなりキャンセルされるそうです。

 もし本当なら,奢りの最たる例である「嫌なら他で買って下さい」という商売人の禁じ手が「大多数の普通のお客さん」のために使われているわけで,力を持ってもぶれないことは,なかなか出来る事ではないなあと思う訳です。

 取扱量が増えて,以前に比べると一人一人の客の印象は薄くなっていると思いますが,それでも万が一指定時間に届けられない場合には必ず電話をして謝罪し,そこから超特急で持ってきてくれますし,持ってきた人は丁寧で,またよろしくお願いしますとお店を背負っている自負を表明して,気持ちよく帰られます。

 ヤマト運輸はamazonの人ではありませんが,ヨドバシの配達員の方はヨドバシの人です。この一体感に私が安堵するのは,それがおそらく自然な事だからでしょう。

 これまでにも自転車やベビーカーなども買いましたが,不思議なくらいトラブルもなく,問い合わせにも丁寧に答えてもらいました。ありがたいのは無理なものは無理,出来ない事は出来ないとはっきりいってくれることで,だからこそ出来るといったことを信じて待つことが出来るのです。
 
 ヨドバシ・ドット・コムの勝因は,送料無料に配達速度,そして品揃えですが,私はそれ以上に約束を守ることにあったと思っています。信頼は安心に繋がります。ネットショップがお店と同じ安心感を維持するのは並大抵のことではないだけに,個々が踏ん張りどころと頑張って欲しいと思います。

 

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed