AT-X 16-28 F2.8 後ピン発覚
- 2017/12/01 15:22
- カテゴリー:カメラに関する濃いはなし
先週手に入れて,すっかり気に入って常用レンズになっている,トキナーのAT-X16-28 F2.8 PRO FX。飛び出した前玉の扱いにも慣れ,狭い部屋を広い画角でまるごと写し取る面白さや,目一杯に寄って背景をぼかしつつ取り込む楽しさを味わいながら,広角レンズを練習しているところです。
で,購入時からなんとなく思っていたのですが,娘の写真を撮っていると,まつげがちっとも解像しません。これはブレかもしれないし,測距点がずれているのかもしれないとあまり気に留めなかったのですが,座っていたソファーの背もたれの部分にバチッとピントが来ていることに気付いて,これはおかしいと気が付きました。
どうも後ピンのようです。それもかなりズレています。16mmのワイド端でも28mmのテレ端でも同じ傾向です。
気になり始めるともう落ち着きません。なんでこんなにひどいズレに今まで気が付かなかっただろうと思いましたが,気のせいかもしれない(そんなわけはない)ので,幸い12月9日にトキナーで開催される「レンズクリニック」にいって見てもらおうと思っていました。
まあ,その前に状況を確認しておこう,うまくすればD850本体の「AF微調整」を使って穏便に済ませることが出来るかもしれないと,昨夜試してみたのです。
娘のまつげが解像しないことで気が付いた後ピンは,被写体との距離が1.5m程度です。三脚に固定したD850で1.5mほど先に置いたチャートをライブビューでAFで合わせて,AFモード切替ボタンとRECボタンの同時長押しをして,自動調整を行います。
調整結果を見てみると,-19。調整範囲が±20ですので,調整範囲ギリギリです。やはりこれくらいズレると目で見て分かるものです。
これでうまくいくかもと撮影すると,確かにジャスピンです。16mmでも同じようにうまくいっています。
これでもう調整を依頼しなくていいかなあと思って,今度は10cmの距離でクリスマスツリーの枝を撮影しますが,ちゃんと人工の葉っぱの筋まで写っています。
ならばと今度は5mほど先の壁掛け時計を撮影します。
・・・なんだかぼやーっと眠いのです。あれ,これはおかしいと,調整値を-19から0にして同じように撮影です。
するとまあなんと,シャープな壁掛け時計が写っているではありませんか。三脚を使わなかったのであくまで参考値ですが,ライブビューからの自答調整で得られた調整値は-4でした。
何度か-19と0を繰り返して撮影しますが,どうもピントのずれ量が被写体との距離で一定ではないようです。もう一度近距離の撮影をやってみると,葉っぱの筋が見えているのは事実ですが,これも後ピンでした。
というわけで,どうも後ピンの傾向があるのは確かなのですが,一番ひどいのは被写体との距離が1.5mくらいの時で,10cmでも後ピンが出ていて,5mも離れるとほぼ解消するという事がわかりました。16mmのワイド端でも同じような傾向です。
こうなるともう素人の私には手が出せません。D850のAF調整はレンズごとに行うことが出来ますが,ズーム域で切り替えできるほど親切ではありませんから,やはりもう白旗です。
遠景を撮影した時も気が付かず,近距離を撮影した時にも気が付かないのは,ここでのズレ量が小さかったからでしょう。しかし,1.5mというおいしい距離でこれだけズレてしまうことを放置できませんし,ここでズレ量を調整すると,他でピントが合わなくなります。
そこで私は考えました。、レンズクリニックで見てもらっても,調整は結局預かり修理になります。それならば,もうズレていることが分かっているのですから,さっさと修理に出してしまった方が解決までの時間が短くて済むでしょう。
平日の午前中にサービスセンターに電話をしたところ,保証期間内なら無償で調整する,往復の送料も無料だというありがたいお返事を頂きました。
そもそも「こんなもん」だと時間の無駄だと思うのでそのあたりも電話で話をしたいんだけどというと,とりあえず見てみないとなんとも,という誠実なお返事を頂き,週末に送る事にしました。
数日で診断結果が出て,そこで電話をもらうことになっています。調整だけで済むのであればそこからまた数日という事で,うまくすると10日ほどで戻ってきそうです。
レンズクリニックに行くのも悪くないと思っていましたし,仮に発送するにしても電車賃代わりに元払いでいいやと思っていた私としては,保証期間内だから送料も無料ですという話にちょっとびっくりしました。
本当かどうかは分かりませんが,純正のレンズと非純正のレンズとでは,バラツキの違いをどのくらい許容するかが最終価格の差になると聞いたことがあります。手間暇かけて調整をし,どうしても調整出来ないものを廃棄するとなると,そりゃお金はかかるでしょう。
安いレンズはそこまでやらないというのは確かに真実ですが,だからといってバラツキを容認するということではないと私は思っています。調整をしなくても性能が維持できるような設計を最初にしておけば,調整は入らないし,廃棄するものも出てきません。
安いことを目指す場合にまず設計者が行うことは,こういう製造時のコストを下げることです。もちろん部品を減らす事,部品の値段を下げることもやりますが,それらはコツコツとした小さい積み上げによるものなので,品質に関わるコストが発生すると,一発で吹き飛んでしまうものです。
だから,安いレンズを作る事は生産技術に長けていることが必要なわけで,日本のレンズメーカーはいずれもその実力を知られています。
ただ,誤解を招くといけないので書くのですが,プロのように失敗が許されないケースや,会社の備品のように簡単に修理や調整に出せないケースでは,お金はかかってもいいので最初から高品質であることに強いニーズがあります。
純正のレンズはまさにこうした期待に応えるものとして,おそらく過剰とも言える品質管理を行っていて,その結果高価なものになっているのだと思います。
一方で,数を売るレンズメーカーのレンズは,純正よりも安くなければ買ってもらえませんし,また数が揃わなければ数が出ません。だから品質基準もリーズナブルになっているのだと思いますが,それは決して悪いことではありません。
そこまでの品質を必要としない人に取っては安く買えてラッキーですし,こだわる人には個別の対応をした方がトータルで安くなるという計算もあるでしょう。買った人は手間がかかりますが,そのおかげで安く買えたのだとしたら,それは公平な話です。
トキナーについては,こうした項別対応の結果で良くなった,と言う話がネットにゴロゴロしています。
実は,私は20年前にトキナーの100-300mmF4のマニュアルの望遠ズームを買った時,絞り羽根が閉じないという初期不良にあたりました。アウトレット品だったので交換にはならず修理扱いになったのですが,修理後の動作は完璧だったとしても,やはりつまらない思いをしたことが記憶に残り,トキナーに対してあまりいい印象を持っていませんでした。
先入観は良くないと,今回はトキナーのレンズを買いましたが,最初はキズの初期不良で交換になり,交換品も後ピンで修理となり,純正の信頼感とは違うなあと思いつつも,値段の安さと良い意味で個性の強いレンズで,そんなにマイナスに感じません。
うまく調整が出来て,常用レンズになることを期待したいと思います。