ADTProへの長い道~UthernetII編~
- 2022/08/09 15:20
- カテゴリー:マニアックなおはなし, make:
まさかの自作失敗で動作がかなわないADTPro。ここで悔しがっていても前に進まないので,不本意ながら別の方法を考えてみます。
オーディオ経由は非現実です。なら残った方法はイーサーネットだけ。
しかし,AppleIIの時代にイーサーネットなんて,どう考えても不自然です。純正品のカードもなかったはずですし,ならどんなカードを用意すればよいのやら・・・
調べてみると答えは簡単でした。イーサーネットカードは自作されたもの。しかもそれはすでにマニアの間では標準的なものになっており,ADTProもそれをサポートしています。
そのカードとは,UthernetIIというものです。
開発者が頒布するもの以外で完成品もキットもありません。基本的には公開された情報で自作です。しかし,イーサーネットの回路など作ったことがありません。どうしたものか・・・
そもそも,AppleIIにTCP/IPならなんやらを実装できるのか?
仕掛けは案外簡単でした。実は世の中には,ハードウェアでTCP/IPなどを組み込んでしまうイーサーネットコントローラICが存在します。W5100というチップなのですが,上位からは通信したい内容をレジスタでやりとりすれば,チップ内部ですべて処理され,内蔵されたPHYに出てくるという便利なものです。PHY内蔵だけでも一昔前なら超便利と言われたのにねえ。
このW5100を使えば,非力なCPUでも少ないメモリでも,イーサーネットに繋がるマシンが作れます。実際,Arduinoでも標準的に使われているようです。
しかし,W5100は0.4mmピッチのQFPです。これをハンダ付けするのも大変ですし,そもそも基板はどうするという話もあります。
すると,なんとありがたい事に,W5100とイーサーネットのコネクタまで搭載した小さい基板が売られていました。チップ製造元が評価用に用意したもののようですが,組み込み用途にも十分使えるものです。
W5100とAppleIIとの接続は簡単ですので,このボードを使えば1日もかからずUthernetIIのクローンが作れるでしょう。2500円とちょっと高いですが,早速注文です。
W5100は5Vトレラントですので,基本的にはAppleIIのバスト直結出来ます。しかしUthernetIIではデータバスのバッファはもちろん,アドレスバスやコントロールバスにもシュミットのバッファを入れる念の入りようです。
面倒な私は全部すっ飛ばして直結です。
さくっと結線を終えて,マニュアルにあるモニタからのレジスタ読み書きテストは合格。しめしめ。
しかし,ADTProでは動かず。DHCPで失敗します。IPアドレスを手動入力しても,実際の通信は出来ません。
もしかしてIRQかと思って波形を見ますが,ヒゲのようなものが出ています。よく見ると,IRQはW5100の出力ですので,3.3Vが出ています。一方のAppleIIは入力ですが,オープンコレクタの出力端子が繋がるようになっているので,5Vでプルアップされています。
ありゃ,W5100に5Vがかかってしまった。
あわてて回路図通りに,オープンコレクタのバッファ(LS07を追加しますが,結果は変わらずで,ヒゲも出ているし動作もしません。この段階でW5100の破壊を疑い,チップだけを手配しました。(結果これは無駄に終わります)
さらに波形を見ていくと,途中でDHCPに成功することもありますし,上手くいくとDirectoryコマンドまでは通ることがあります。差し込むスロットを2にすると上手く動くことが増える代わりに,7にするとさっぱり動きません。やはりバスですね,こりゃ。
そこでLS245を追加。これは想定済みです。
試してみますが,確かに安定しますし,DHCPも通ることが増えましたが,まだまだです。ならばと,回路図通りに他のバッファも追加しましょう。手持ちの関係でLS244を使います。
うれしいことに,ここまでやると上手く動くようになりました。ADTProが初めてまともに動いた瞬間です。さすがにイーサーネットだけに高速です。
この時,IRQを確かめてみますが,ヒゲは出ています。どうもヒゲは関係ないようです。IRQは使っていないんじゃないかと思っているところです。
ようやくADTProがまともに動き出しました。長い時間をかけましたし,失敗もしました。でも,これでようやくゴールです。
・・・といいたいところですが,あと3つ,ネタがあります。待て次号。