PC-386BookL,次のステージへ~その1 内蔵メモリ動かす
- 2026/03/03 16:02
- カテゴリー:マニアックなおはなし, make:
先日,ここを読んで下さった方からメールを頂きました。
PC-386BookLのパーツを無償で提供しましょうか,というありがたいお申し出です。
21世紀も1/4が過ぎた今日において,まるで黎明期のインターネットを支えた性善説を彷彿とさせるお話を,私は最初失礼ながら詐欺かと思って警戒してしまいました。
不要品を現金に変える仕組みがなかった昔ならいざ知らず,ヤフオクなりメルカリなり,少しの手間でちょっとしたお小遣いが作れる現代,同じような手間をかけて見ず知らずの人に無料で部品を送ろうと思う優しさを,今の私は一瞬とはいえ見失っていました。
ああ,なんと心の汚れてしまったことよ。
とても丁寧で心のこもった,そして手作り感のある文面を見て私は,ありがたくそのお申し出を受け,パーツを頂くことにしました。
数日後私の手元に来たパーツは,以下の様なとても貴重なものでした。
・PC-386BookL専用内蔵RAMボードPCRB6(PCZRM3を3枚実装済みでトータル8MB)
・Lスロット用RAMボードESL-4000
・Lスロット用FM音源ボード FM Station II
・PC-386BookL付属のACアダプタ
特にすごいのが内蔵メモリです。PCRB6はとても貴重で,ずっと欲しいと思っていたものでしたが,そもそも実物がなかなか出てこないという幻のボードで,これ単体で2MBの容量があります。
推測ですが,2.6MBが標準搭載されているPC-386BooLCなどのカラーモデルは,このボードが最初から実装されているのでしょう。
で,このPCRB6には2MBのサブボードPCZRM3が3枚まで搭載出来るコネクタが用意されていて,最大で8MBのメモリを内蔵出来ます。値段はともかくとして,当時このサイズのマシンで8.6MBのメモリを内蔵出来るというのは,なかなか大したものだと思います。
今回頂いたPCRB6は,このPCZRM3を3枚フル実装してあり,8MBの状態になっていました。生まれて初めて見ました。これは当時相当高かったでしょうねえ,純正ですし。
改めてボードを見てみると,PCRB6にもPCZRM3にも,4bitx1Mの4MbitDRAMが4つ搭載されていて,これで2MBのメモリを構成しています。ですが,なぜか1bitx1MbitのDRAMも2つ搭載されています。
おそらく8bitごとにパリティを持っているんじゃないかと思います。だとすればパリティ付きの高信頼性RAMボードというわけですから,これはもう高級品ですよね。
問題は使い方がさっぱりわからないということです。取説はありませんし,スイッチなども見当たりません。数が少ないので情報も少なく,どうやって動かせばいいのか正確なことはわからないですから,壊れているのか使い方がまずいのか,判断も難しいです。
さて,ESL-4000もなかなか貴重です。Lスロットの拡張メモリで,メルコのハードウェアEMSボードです。設定次第でプロテクトメモリにもなる多機能ボードではないかと思うのですが,これも取説がないため設定方法がわかりません。
ただ,MELWAREという付属していたソフトを起動すると,機種や機能に相応しいスイッチの設定が表示されるらしく,試してみる必要があるでしょう。
FM音源ボードは八戸ファームウェアというメーカーのボードで,26K互換のものです。面白いのは,スピーカーが内蔵されていない機種向けのFM音源ボードゆえ,音をFMラジオ用の電波で飛ばす機能がついていることです。
確かに当時,こういう商品があったことを覚えています。PC-9801noteシリーズ用110ピンの拡張コネクタに直結するものがありましたが,これもFMラジオで受信して音を聴くものでしたし,そのシリーズでLスロット用のものもあったことを覚えています。
小さいのに生意気にジョイスティックの端子も装備していて,スピーカーがないことを除けば完全に26K互換なんでしょうが,FMラジオをいちいち用意しないといけないのも面倒で,これはやっぱり小型のスピーカーを内蔵するべきだったんじゃないのかなと思いました。
最後にACアダプタです。提供頂いた方からは「おかしな臭いがする」というコメントを頂いているので修理が必要でしょう。
私のPC-386BookLにはACアダプタすら付属しておらず,仕方がないので手持ちの15Vのアダプタが使えるようにDCジャックを交換してしまったのですが,もっと早くにこのアダプタが手に入っていれば良かったのになあと思います。
ということで,まずはメモリから動かしてみたいと思うのですが,ちょっと液漏れの跡がある電解コンデンサを同じ容量のセラミックに交換してから,の自作の3MBメモリボードを本体から外して準備OK。
ワクワクしながらPCRB6を底面のコネクタに取り付けて起動します。が,メモリカウントは640KB止まってブートしてしまいます。どうも認識していないみたいです。
抜き差しを続けるとハングアップすることがあるので,何かが起きているんだと思いますが,規則性がつかめません。1時間ほど試行錯誤をしましたが動かないので,この時はここで一旦終了しました。
翌日,少し頭を冷やして再チャレンジです。もしかしてクロックを上げているせいかもしれないと,クロックを落としてみました。それでもメモリチェックは640kBまでです。
ところが偶然HELPキーで初期設定メニューを起動していると,見慣れない設定項目が増えている事に気が付きました。
お,メニューにメモリボードの設定が追加されています。と言うことは,メモリボードそのものは認識されていたみたいです。
設定は想像以上に細かく可能で,拡張メモリをRAMディスク,EMS,プロテクトメモリに配分できます。もちろん私は8MB全部プロテクトメモリです。
設定後リセットすると,うれしいことにメモリカウントが8MBまで進みます。Lスロットの3MBに見慣れた私には,ノーウェイトの拡張メモリのカウントの速さに衝撃を受けました。
これでDOSを起動しTMEM.EXEでメモリチェックを走らせますが,全エリアOKとなり故障もないことが判明しました。よかったー。
ただ,この状態でクロックを最速に切り替えると,そこでハングアップします。つまり,クロックのせいで動作しないという問題と,メニューで設定を変更しないとプロテクトメモリとして動かないという2つの問題が重なって,動作してくれなかったんですね。
偶然とは言え,動くことが分かったので助かりました。こうなってくると,クロックを落として使うか,高速でも動作するようにするか,考えなくてはなりません。
とりあえずここまで。せっかくの貴重なメモリボードです,焦らずじっくり,気が済むまで検討してみたいと思います。
それにしても,今回はとてもありがたいお話を頂きました。頂いたものが貴重でありがたいものだったことはもちろんですが,なによりこうして同じ楽しみを持つ方と善意で繋がることのうれしさ,暖かさを久々に感じた,そんな出来事でした。