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nanoKONTROL2を改造する

 nanoKONTROL2というガジェットを買いました。

 続にフィジカルコントローラという音楽制作のツールで,スライダやらツマミやらボタンが一杯ついている,物理的なコントローラです。

 ハードウェアをソフトで実現して統合した物がDAWのくせに,操作部分,つまり人間との接点はやっぱりハードウェアがよいという,なんだかおかしな話ではあるのですが,おもいおこせば1980年代,DX7を端緒としてボタンとLCDだけになったシンセサイザーが,その絶望的な音作りの面倒臭さゆえにスライダーをパラメータごとに備えた専用のプログラマーをオプションとして用意していたのと,同じようなお話だと思います。

 私もDAWを使うようになり,トラックパッドでのミキサーの操作に辛い肩凝りを誘発してしまい,フィジカルコントローラへの興味がこのところ出ていたのです。

 そこへ,microKEY Airに付属していたはずのバンドルソフトや音源のライセンスカードをなくしてしまい,探し回るよりもお金で解決するのが大人だろうと,同じコルグから出ていたnanoKONTROL2を買ったというわけです。

 でもこれ,10年ほど前に出た物がそのままのロングセラーですし,しかも当時の価格は5000円程度だったそうで,今の半額です。これだけ円安が進むとバンドルソフトの価格だけでも5000円を超えるだろうと思うので無理もないのですが,なんでも早めに買っておく方が得をするんだなと,物価高が本格的に庶民を襲う昨今の教訓にしないといけないところです。

 で,とりあえず手に入れたnanoKONTROL2ですが,これが1万円というのはちょっとどうかと思う安っぽさ。とりあえず便利になりそうですし,大きさも手頃で悪くはないのですが,これで満足かと言われればさすがに難しいでしょう。

 気に入らないのは大きく2つ。

 1つは,LEDの色,もう1つは今どきのmicroUSBであることです。

(1)左上の電源LEDが白なのは当時としては精一杯の贅沢だったのでしょうが,他のLEDが全赤というのは頂けません。せめて再生は緑にすることくらいできたんじゃないかと思います。

 そこで,フィジカルコントローラの標準色に交換を考えます。再生は緑,SOLOは黄色,MUTEはオレンジ,RECは赤とし,これ以外のLEDはオレンジで統一とします。

 幸いにも1608サイズの各色LEDが手持ちにあったので交換したのですが,黄色と緑が暗すぎて,光っているのかどうか分からない位です。オレンジもかろうじてというレベルで,赤に完全に負けています。

 そこで,LEDに入っている抵抗を下げました。もともと330Ωが入っていたのですが,これをとりあえず100Ωにします。するとオレンジはかなり明るくなって実用レベルになったのですが,黄色と緑が相変わらず厳しいです。

 ならばとこの抵抗を47Ωまで下げましたが,あまり明るさには違いが出ません。抵抗をパラ付けして23.5Ωまで下げましたが変化無しです。ダイアミックドライブですので元々抵抗は低かったのですが,さすがにこれくらい小さくしても明るさに変化がないとなると,電源電圧が3.3Vなので電流が頭打ちになるとか,そういう理由で意味がないことになりそうです。

 こうなってくると電流が少なくても明るいLEDにするのが対策で,緑色は純緑にしました。これだとさすがに明るく,赤色に負けないくらい光ります。

 しかし,黄色は高輝度タイプが手元にないので,このままとしました。白色に黄色の透明テープで対応することも考えましたが,1608の白色が全く手元にないのであきらめました。これは次回の課題です。


(2)microUSB

 個人的には嫌いじゃなく,microUSBよりはずっと気に入っていたminiUSBは,まさにこの時代の象徴であり,古くささの元凶でもあります。

 なにより,今どきminiUSBのケーブルなんて身近にはありません。ましてMacBookと直結するためのTypeCとminiUSBのケーブルなんて,探さないと入手さえ難しいでしょう。

 ならば,時代遅れのminiUSBをmicroUSBのコネクタに改装すれば解決します。

 ただ,基板のパターンまでコンパチなmicroUSBのコネクタは私の知る限りなく,当然手持ちもありません。なにより,microUSBはminiUSBに対し,オス側のサイズはそんなに変わらないのに,メス側のフットプリントがかなり小さい事が,製品の設計者にはありがたいわけです。

 私の部品箱を探すと,aitendoの福箱に入っていたmicroUSBコネクタが出てきました。これ,落とし込みタイプで,通常の表面実装の基板には使えませんし,当然アマチュアにも使い道がないのですが,私はこれを見てピンときました。

 miniUSBの代わりにこれをマウントし,配線は細い銅線で手配線するのです。手配線するなら基板に接した足よりは,基板からちょっと浮いている方がやりやすいわけで,まさに今回の作戦にはぴったりです。

 壊してしまう危険性もありましたが,最近涼しくなったこともあり,意を決して改造です。

 まず基板を壊さないようにminiUSBコネクタを外します。外れたら新しいmicroUSBコネクタの外側のスリープから出ている固定用の足を曲げて,基板に触れるくらいに調整します。

 この足の部分をminiUSBの固定用ランドにくっつけてハンダ付けします。位置を上手く調整して問題なく差し込めることもこの時確認します。

 終わったら,コネクタの端子と基板を配線します。5ピンのうち1本はIDですので,オープンかもしくはGNDですので,配線の必要はありません。オープンにしたままか,隣とくっつけてしまいます。

 案外上手くいったのでテストをすると,当然動作します。ケースに組み込んでも問題なくコネクタは刺さりますので,改造は成功です。

 これでnanoKONTROL2は,うちのMacBookとTypeC-microBのケーブルで直結出来るようになりました。

 miniUSB用の角穴がmicroUSBには大きすぎて不細工なのですが,便利さにはかないません。これですっきりしました。

 バンドルソフトもインストールし(使えそうな物はあまりなかったのですが),この件はこれで終了。環境の改善ばかりやってないで,いい加減に音楽を作らないといけません・・・

 ところで,これで気をよくした私は,他に残ったminiUSBの機器をmicroUSBに改造する計画を立てることにしました。この話は後日。

microKEY AirにMIDI OUT端子を増設する

 2年ほど前のことですが,Jupiter-Xmを弾いて憂さ晴らしをすることを続けていた時期がありました。

 とても楽しく弾いていたんですが,1つだけフラストレーションを感じたのが,鍵盤の音域の狭さでした。これほどの表現力を持つシンセサイザーが37鍵というのは厳しすぎる。せめてもう1オクターブ,49鍵なら文句はない(見た目も格好いいし)と常々思っていました。もしJupipter-Xmの派生モデルとして49鍵のモデルが出たら予約して買い換えます。

 まあ,そんな世の中にないものを期待して待ち続けるのもむなしいですから,当座49鍵のミニ鍵盤を外付けにしようと考えました。しかし,49鍵になるともう実質KORGのmicroKEYシリーズしか選択肢がありません。

 せっかくだからとワイヤレスMIDIを経験してみようと,microKEY Airを買ったのはいいのですが,結論からいうとJupiter-Xmには繋がってくれませんでした。

 BluetoothLEも,USBも,microKEY Airは「受け身」専用だからです。接続のためには,USBならHOSTが,BluetoothならSOURCEがいないと繋がりません。しかし,Jupiter-XmもmicroKEYもUSBはDEVICE,BluetootはSINK専用です。

 だーっ,もともとMIDIには主人も従者もなく平等でINとOUTを繋げば即動くのが利点だったのに,物理層がUSBやBluetoothになった途端に仕切るのはPCがやってくれるだろうと受け身になって,結局DEVICEやSINK機器だけが集まっては互いの顔を見合わせて途方に暮れることの,なんと多いことか!

 USBで繋がるMIDI機器がほとんどになったのですが,これもPCを核にしたシステムを前提としているからであり,鍵盤を音源を分離するというMIDIの最初の理念からは変質を遂げているのがわかります。もう,MIDIに期待される役割が変わってしまったということでしょうか。

 しかしですよ,せっかくハードウェアのシンセサイザーを鳴らすのに,わざわざPCを立ち上げて鍵盤を繋ぐなんて,そんなアホな話がありますかいな。

 と,憤りを強く感じた私が2年前に採った作戦が,Jupiter-XmにSOURCEになるBluetoothを装備することで,そのためにWIDI MasterというMIDI-Bluetooth変換器を買ったのでした。

 当時のの艦長日誌を見ると,これはこれで使いやすく,レイテンシも少ないとあります。便利だという事で使い続けることになるかと思えば,実は全然使っていません。

 というのも,他の機器との併用を考えると,もうなにがなにやらわからなくなってしまったからでした。microKEY Airを複数の機器とペアリングして使うと,以後はどの機器につながっているかわからない上に,選択的に接続機器を選ぶ手段もないのです。

 MIDIならケーブルを繋ぐだけなのに,ワイヤレスにすると繋いで音を出すだけでこんなに困るなんて,話になりません。WIDI Masterも設定にスマートフォンが必要だったりするのでとにかく面倒。ケーブルならINとOUTをさっと繋ぐだけなのに・・・

 ということで,microKEY AirもWIDI Masterも使うことはなくなりました。

 ですが今年,PRO-800を買ってから,事情が変わってきました。PRO-800から音を出すのに,音源を内蔵するJupiter-Xmを引っ張り出すのもおかしいですし,かといってPCを起動してmicroKEY Airと繋ぐのもバカバカしいです。私はただ,PRO-800で音を作りたいだけなのです。

 話は2年前と同じ道をたどります。USBホストとMIDIを変換するコンバーターを探してみると,さすがに2年の年月のおかげもあり,完成品も6000円弱で手に廃しそうですし,自作についてもRaspberryPiを使って簡単に作る事が出来そうです。

 しかし,私は2年前とは違う発想にたどり着きました。

 私がもしmicroKEY Airの設計者だったら,キットレガシーなMIDI信号を内部に持たせるだろう,なぜならデバッグやちょっとした実験に便利な上,その信号を用意することはとても簡単でコストもかからない・・・

 そこでさっさとmicroKEY Airを分解し,あちこちの波形を見てみました。するとMIDIの信号があっさり見つかりました。32usのタイミング,8ビットのシリアル。鍵盤を押したりベンダーを動かしたらバラバラと出てくる波形なので,間違いはないでしょう。

 ただ,振幅は3.3Vなので,このままではMIDI機器に繋ぐことは出来ません。5mAのカレントループであるMIDIインターフェースの物理層を作る必要があります。

 内蔵することを前提にチップ部品で物理層の回路を真面目に作り,これを介してバラックでPRO-800に繋いで実験してみると,あっさり音がなりました。やはりmicroKEY Airは内部にMIDI信号を宿しておりました。

 ここまでくると,microKEY AirにMIDI OUT端子を装備するための改造をきちんとやろうという気持ちになります。

 まず最初に端子をどこに出すかです。標準であるDINの5Pは取り付けられそうな場所がなく断念しました。3.5mmのジャックならなんとかなりそうです。幸いMIDIも正式に3.5mmや2.5mmのジャックによる接続も規格化されたので,ケーブルは新規に用意することになりますが,これで綺麗にまとめましょう。

 microKEY Airを分解し,左側のこの位置にジャックを取り付けました。

 20250929101249.jpg

 次に回路です。昨今,マイコンのポートの起動能力がそれなりにあるので,5mAのカレントループをマイコンのポートで直接実装することが一般的になっています。

 簡単で結構な方法なのですが,実は今回はMIDI OUTをBluetoothモジュールへの信号からもらう事になるので,ドライブ不足が心配です。そこで真面目にトランジスタでドライブすることにしました。

 教科書通りにオープンコレクタのトランジスタに電流を吸い込ませるわけですが,このトランジスタはmicroKEY Airの内部信号で直接駆動出来ません。と言うのも論理が反転しているからで,インバータが必要です。

 ここで,74HC04なんかを選んでしまうと,3.3Vで動かないのでアウトな訳ですが,手持ちのTC7S04Fは3Vから動くので問題なし。これと,やはり手持ちの汎用トランジスタである2SC2412で作る事にします。

 抵抗は供給側も吸い込み側も5V時代は220Ωでしたが,3.3Vではそれぞれ33Ωと10Ωです。低抵抗なので電力が心配ですが,5mAならチップ抵抗でもとりあえず問題ありません。(ただしショートを考慮すると0.5Wを見込まないといけないですから,正しい設計では御法度です)

 20250929101137.jpg

 上の写真が作った基板です。この大きさだと,ペダル用のジャックに貼り付けられるほどの大きさです。

20250929101139.jpg

 さて,信号ですが,以下の位置から取り出します。

20250929101138.jpg
 これを先程の基板に繋いで完成です。

 試しに3.5mmのTRSとDIN5Pの変換ケーブルを作って動作確認をしましたが,全く問題なし。49鍵のMIDI OUT付きミニ鍵盤が出来上がりました。見た目もPRO-800とマッチしています。

 ただ,本気で使うにはちょっと難ありで,microKEY Airの問題ではあるのですが,まず鍵盤の質が良くありません。指の腹の位置が支点から近く,ベロシティが調整しにくいのが致命的です。

 トランスポーズも専用ソフトからは出来るのですが,単体では出来ません。

 それでも,ちょっと音を出したい時,音を作りたいときには重宝するので,microKEY Airは以前よりもずっと活躍してくれそうです。


 ところで,ここまで出来るとちゃんとした3.5mmのMIDIケーブルが欲しいじゃないですか。ちょっと高いなと思いつつ,amazonで3.5mmのTRSとDIN5Pのオスのケーブルを900円ほどで買いました。

 ところがこれが全く動いてくれません。調べてみるとピン配置がデタラメで,全くMIDIとは違います。コネクタの配線を変更出来ないのでゴミになるところなのですが,どうせゴミならとDIN5Pのコネクタをカッターで分解し,配線を変更して使っています。

 ちょっと不細工ですが,大きくなったり太くなったりせず,普通に使えるようになったのでこのまま使い続けるつもりですが,それにしてもひどい話だと思います。ちゃんとMIDIケーブルと書いてあるんですよ,これ。

 

BOSSのMX-10を修理

 R100が動き出したのを確認し,ミキサー経由で使うことにしました。

 R100にはリバーブレベルの調整がありますので,単一の音源にかけるだけであれば,わざわざミキサーを使う必要はありません。しかしこの場合,原音も丸ごとサンプリングされてしまいますので,音質の劣化ははっきりわかるレベルです。

 特に豊かな低音を含むアナログシンセでは劣化が顕著で,出来たらリバーブを通さないおきたいわけです。

 そこでミキサーの登場な訳ですが,私がかつて使っていたヤマハのKM802は捨ててしまいましたし,未使用品をそのまま箱に入れてしまってあったBOSSのBX-8も廃棄。

 今手元にあるのはラインミキサーであるBOSSのMX-10だけです。これでもキーボード用のローカルミキサーには重宝していて,ハーフラックの手軽さから今も残してあるわけですが,10年ほど前に電解コンデンサの交換とOP-AMPの交換を行って以来使っていないので,ちゃんと動くかどうか怪しいところです。

 専用のACアダプタをなんとか探しだし,動かして見ました。とりあえず動いているようなのでR100に繋いでみたところ,どうもリバーブがかかりません。リターン端子からの入力はちゃんとミキシングされているようなので,どうもセンド入力に問題がありそうです。

 早速分解して確認しますが,目視では問題なし。波形の確認を行っても大丈夫なので,現場に戻すとこれがまたリバーブがかかりません。

 そんなことを2,3度やったところで我慢ならず,本格的な原因究明を始める事にしました。

 基板単体では問題なしでも,組み立てると問題が出るとか,ジャックをいじると音が出たり出なかったりするので,どうもジャックのハンダのクラックではないかと目途を立てて補修をします。

 でも,問題は完治せず。手で基板をゆがめたりしてストレスをかけたところ,どうも特定の部分をたわませると再現します。そのあたりのハンダ付けをやり直すと,ようやく症状が治まりました。

 この状態で組みたてて現場に戻しましたが,今のところ問題なし。しかし,当時の基板は片面のベークで,吸湿して信頼性も低いものです。外側は立派に作ってありますが,中身はこんなもん,というのもバブル期の機材の特徴かも知れません。そりゃ,今どきのガラエポの基板は信頼性抜群で長寿命ですよ。

 これで綺麗にリバーブもかかるようになりました。Matrix-1000もPRO-800も繋ぎっぱなしでOKですから,ちょっと音を出したい時にも便利です。

 ハーフラックのミキサーにハーフラックのリバーブです。当時はこれでも十分小さくまとまった物だったのですが,前回書いたように,今どき15000円のミキサーにリバーブが内蔵されているわけで,なんだかバカバカしくなってきました。

 とはいえ,ラックマウントのラインミキサーというジャンルはほぼ絶滅,ましてリバーブ内蔵で安価なものは皆無という状況ですので,MX-10にR100という組み合わせは,どれなりに理由があったりします。(R100ではなくSE-50やSE-70ならもっと良かったんでしょうけど)

 ただですね,実際にMatrix-1000にR100のリバーブをかけて以前のセッティングを再現してもみても,記憶とは違う音にしかならないんです。あれ,こんなに悪い音だったかな,そんな印象です。

 それでも,当時なら許されたレベルかも知れませんが,今の水準なら許されない音の悪さという感じです。オーディオインターフェースに繋ぐだけでDAWに取りこみ,高品位なリバーブをかけることが簡単な昨今,こんなことをやっていて何の意味があるのかと,寂しい気分になりました。

 

記憶に残る美化されたヤマハR100の音

 空間系のエフェクトをPRO-800やMatrix-1000にかけようと,Pocket Masterを買ってみたものの,ギターでは思いのほか楽しかった反面,本来の目的が今ひとつ達成されなかったことをうけ,新しいエフェクタを用意しなくてはならなくなりました。

 Pocket Masterが悪いのか,それとも記憶に残るヤマハのリバーブが良いのか。

 回り道をするのも面倒ですので,私が昔々に使っていたR100を手に入れる事にします。某オークションで探してみると,終了まで2時間で安い物が出ています。

 傷だらけで程度は悪そうですが,雑に使われた感じでもないですし,壊れていてもR100なら修理出来ます。安いのが正義でしょう。

 他の方と少し競争がありましたが,送料込みで3500円ほどで決着。思ったより高いなと思いましたが,ACアダプタ付きですし,仕方がないでしょう。

 調べてみると,ヤマハの80年代のリバーブは,ギターの世界で特に人気があるらしく,とあるヒット曲で耳にする,とあるスタープレイヤーが奏でる独特の音が,この時代のヤマハのリバーブでしか再現出来ないのだそうです。でもそんな音いるか?

 本物はSPX90で作られるこの音,R100でも出来ると知れてから人気も価格も上昇とのことで,それでも数が出ているから貴重品にならずにすんでいるみたいです。

 そういう事情があるとは知らず,気に入った音が出るから欲しかったR100は,久々に私の目の前に姿を現したのでした。

 手にしたR100は汚れて傷だらけで触るのも気持ち悪いレベルですが,丁寧にレストアしていきましょう。

 まず分解。出来るだけ分解したらツマミや筐体を全部ハンドソープで洗います。落ちない汚れはアルコールでさっと拭き取ります。

 ケースの両サイドが,なにやら尖った物でひっかいたような悲惨な状態でしたので,黒のつや消しスプレーで補修します。

 そして基板です。基板は一見すると非常に程度が良く,分解前の通電テストでも正常だったので,それほど手間はかからないと思います。

 まず電解コンデンサの交換。しかし4級塩の電解コンデンサが使われる前なので,液漏れもなく,容量ヌケもなくて,非常に良い状態です。いちぶバイポーラの電解コンデンサが使われているので要注意です。

 加えて2箇所,電源部にタンタルコンデンサが使われています。当時は高級な部品だったタンタルコンデンサですが,今はもう時限爆弾みたいなもので,見つけたら即交換しないと恐ろしいことになります。これは同じ容量のセラミックに交換です。

 次にバッテリーです。メモリーバックアップ用のCR2032を交換するのですが,せっかくなのでソケットにします。外した電池の電圧はまだ3Vをキープしており,35年たってもメモリーを維持するこのマクセルの電池には感動しました。マクセルすげー。

 ソケットの足はそのままでは基板に取り付けできないので1mmの穴を新たに基板にあけて,ソケットをハンダ付けします。

 そして最後にOP-AMPです。OP-AMPは音質やノイズに直接関係のある部分に使われているのですが,三菱のM5238と新日本無線のNJM4558です。

 M5238はFET入力のTL082の改良品らしく,音にも定評があるようですが,いかんせん設計も古いですし,ここは同じFET入力のOPA2134にしましょう。

 NJM4558もオーディオ用にはノイズや帯域で今一歩なところがあるので,その改良品種であるNJM4580にします。NJM4580は本当にいい音がします。幸いにしてどちらも面実装品が手元にあるので,なにも考えずに交換します。

 ここまでで筐体に取り付け,通電テストをします。同時に電源電圧を測定して問題がないことを確認出来たら詳しいテストと調整です。

 まず,BYPASSとPARAMボタンを押しながら電源を入れます。これでテストモードに入りますので,MEMORYキーのあとUPやDOWNキーでファンクションを選び,RECALLで決定します。

 まずはファンクション1のLEDです。すべてのLEDの点灯を確認したら,ファンクション2のキーに進みます。

 左から順番にキーを押すとLEDの数が増えていきます。最後にフットスイッチまで確認出来たらd2と表示されるので,次に進みます。

 ファンクション3はADコンバータのオフセットです。0.1秒おきに位相を入れ換えるように動作しますが,もしオフセットがあるとクリック音が出るので,出力にアンプを繋いでVR104を調整し,クリック音が最小になるようにします。

ファンクション4はメモリーの初期化です。電池を入れておけば内蔵メモリが元通りに復活します。

 ここから先はオーディオのテストと調整ですが,入力に1kHz,-20dBmの信号を入れ,出力に-10dBmが出てくるようにVR102を調整します。

 最後にノイズをチェックして,-85dBm以下にいなければ,VR104を少しだけ動かして範囲に入れます。あまり大きく動かすとオフセットが出てしまいますので,出来るだけ触らない方が無難です。

 と,まあここまでスムーズに行くと思ったのですが,いろいろ大変でした。

 まずノイズ。実は音を聴かずに測定器だけで調整を進めたからでもあったのですが,最後のノイズのチェックで,まさかの-60dBmというとんでもなく悪い値が出てきました。これはおかしいと音を聴いてみたところ,ビーというかギャーというか,マイコンがいかにも出しそうなノイズがはっきり聞こえます。

 さらによく聴いてみると,LEDの表示によって音が変わります。点滅すればその周期に合わせてノイズが出たり引っ込んだりするので,これはLEDの表示まわりの回路から電源に回り込んだノイズが原因でしょう。

 交換した部品はコンデンサとOP-AMPですので,順番に元に戻すというのも考えたのですが,それもまた面倒なので回路図を見ながら可能性のある部分に対策を打っていきます。

 この件の原因は,タンタルコンデンサをセラミックに交換したことにありました。タンタルコンデンサを同じ容量のセラミックに交換することは割と普通に行われているのですが,そうはいっても主波数特性は異なりますし,セラミックは電圧がかかると容量が減るという特性もあります。今回の条件では電源を綺麗に出来なかったんでしょう。

 対策はセラミックコンデンサに並列に大きめの容量のアルミ電解コンデンサを取り付けました。これで嘘のようにノイズが聞こえなくなり,最終的なスペックも-90dBmとなりました。

 次に調整の問題。dBmという単位は電力の単位で,dBm=1mWを示し,電力ですから負荷抵抗には無関係に使える単位ではあります。実際R100の出力レベルは負荷抵抗10kΩで測定するように指示があります。

 ただ,同じ1mWでも負荷抵抗が変わると電圧レベルは変わってしまいます。私が使うオーディオアナライザではdBmで出力を設定したり測定値を表示したり出来るので心配ないわ,と思っていたのですが,そのままではどうも上手く調整出来ていないことに気が付きました。

 簡単に言えば-20dBm入れて-10dBm出るようにするというのが調整のゴールです。ただ,電圧ではなく電力であり,電圧で調整をするのではないということを頭に入れておく必要もあります。

 メーカーの言うように,本当に負荷10kΩで-10dBmにするなら,1Vrmsというかなり大きな電圧に合わせることになってしまいます。一報の入力である-20dBmも,標準的な負荷である600Ωで扱いますから,実際にR100に入る電圧は一体どのくらいなのかは,測定しないとわかりません。

 私の場合,無負荷での-20dBmの電圧は0.156Vrmsでした。この電圧をそのままdBmで書くと-14dBmになってしまうので,600Ωの負荷をちゃんとくっつけて,その時の電圧で見る必要があるということです。おそらくもう6dBm下がって-20dBmになるんでしょう。

 どっちにしても,今回調整したいのは電圧ゲインであって,無理に電力で扱う必要はありません。

 ただ,最初はオーディオアナライザを無条件に信じてdBm表示で調整を試みました。試行錯誤をしたのですがどうも元の半固定の位置から大きくズレてしまうので,自分自身の解釈を疑っては何度もやり直すことになりましたが,冷静に考えればとても簡単な話です。

 -20dBmから-10dBmということは,電力比で10dBですから,10倍のゲインです。電力が10倍になるのは,電圧と電流がSQR(10)ですから,電圧が3.16倍になればいいわけです。

 私のオーディオアナライザの-20dBm出力の電圧は前述の通り0.156Vrmsでしたから,その3.16倍の0.493Vrmsに合わせるとOKです。これだともとの半固定の位置から大きく外れず,実際に使ってみても違和感はありません。

 ただ,この場合でも入力ボリュームの位置によっては,ノイズがバリバリ出ることがあります。これはかなり面倒なのですが,どうもオフセット調整とも関連がありそうで,何度かやり直して,ようやく普段使うところでノイズが小さくなるように調整出来ました。

 ということで,電気的にはこれでいいんですが,もう1つ大きな失敗をしました。LEDの窓のスモークです。

 パネルを何度か付けたり外したりしているうちに,LEDのスモークの裏側を触ったらしく,指紋がついてしまいました。気持ち悪いので拭き取ろうとしたのですが,ここでアルコールを使ったのが失敗。なんとこのスモークは,アルコールで剥がれてしまう塗装でした。

 濃いめの紫のスモークでしたので,てっきり塩ビかアクリルだとおもっていたのですが,まさか塗装とは。仕方がないので全部アルコールで剥がして吹きとりましたが,そうすると完全な透明になってしまい,LEDの下地である白色が丸見えです。

 こういう失敗をやらかすのが私の鈍くさいところで,本当に情けないことです。気を付けて触らなければこんなことにはならなかったはず。せめて水拭きで済ませればまだよかったのに,そこでアルコールなどを使うからこんなことになるんです。

 外側からは見えなく,内側からのLEDは透過するような,そんな都合の良い材料があればいいんですが,なかなかいい物が浮かんできません。

 しばらく考えてなんとか思いついたのが,LCDの偏光フィルムです。試したところ1枚では薄くて下地が見えてしまいます。そこで2枚ずらして重ねて,透過量を調整ながらスモークフィルムを作る事にしました。

 なんどもやり直しましたが,きりがないので我慢出来るレベルで手を打ちました。

 こうしてようやく完成したR100,早速実際に使ってみることにします。

 改めて音を聴いてみると,懐かしいです。そうそう,こんな音でした。アーリーリフレクションの強い音を選ぶと左右に音が広がり,PADに適したエフェクトだと当時は多用した物です。

 でもさすがに今のリバーブとは演算精度もメモリ容量も段違いに少ないですから,不自然な音の消え方をしますし,当時は気にならなかったようなノイズも耳障りに聞こえます。これ,さすがに今使うのは厳しいかもなあと思いました。

 これもまあ,個性と考えればいいのかも知れません。ヤマハのリバーブはパリッとした透明感のあるリバーブという印象で,今どきのしっとりした音とは違った個性を持っていて,欲しい音が手に入って満足です。電池も交換しましたし,これで当分使える事でしょう。

 ・・・単体のリバーブが絶滅したのは事実なんですが,実は安いミキサーにも内蔵されていることを,つい先日知りました。15000円の6chミキサーに,わりとちゃんとしたリバーブが入っているの知り,こっちの方が良かったかもなあと,ちょっと後悔しました。やっぱりデジタルリバーブは安くなっているんですね。

 

Pocket Masterを買ってみた

  • 2025/08/27 09:10
  • カテゴリー:散財

 先日PRO-800を買って,こいつを実戦投入するのに,コーラスとリバーブが必要だと感じました。さすがにリバーブ無しでは,PRO-800の音が出ている位置をコントロール出来ません。馴染ませるのか際立たせるのか,包むのか一点から放射するのか,アナログシンセサイザーには考えなくてはいけない要素が多いものです。

 私が以前Matrix-1000を使っていたときにはヤマハのR100を使っていました。一番安いデジタルリバーブだったから,というのが理由ですが,実は他社のリバーブに比べてヤマハのリバーブは綺麗にかかるので大好きでした。

 JX-8Pにはコーラスが,他のD-70やVintageKeysには一応リバーブまで内蔵されていたので,モノラルアウトのアナログシンセサイザー特有の問題として,外部エフェクタをどうするかが課題だったわけです。

 Matrix-1000も使わなくなって久しく,結局R100もSE-50も数年前に廃棄してしまったわけですが,まさか今になってPRO-800のためにエフェクタで悩むときが来るとは思いもよりませんでした。

 仕方がない,空間系のエフェクタを1つ買うか,1万円くらいであるだろうよ,と探してみたのですが,なんとまあ,新品で買える物はほとんどないのですね。愕然としました。

 以前は1Uはもちろんハーフラックのものもいくらでも売ってましたし,高価なものから安価なものまで選ぶ事が出来たはずなのに,今や絶滅しています。エフェクタといえば,もうギター用の足で踏んづけるものか,ガジェット系のものしかない有様です。

 しかも,リバーブもコーラスも単独のエフェクターとしては存在せず,マルチエフェクタの要素の1つと,随分惨めな扱いを受けています。すでに1980年代後半にそうした傾向はあったにせよ,それでも単独のリバーブには凛としたたたずまいがありました。

 かくして私は焦り,R100やSE-50を廃棄したかつての愚行を悔やむことになりました。

 冷静に考えてみると,リバーブもコーラスもわざわざハードウェアで用意しなくても,DAWのプラグインでかければ済む事です。しかし,ちょっと演奏したいときとか,ステージに持ち出すときに,一々PCを立ち上げる手間をかけるか,と言うと,やっぱり抵抗がありますよね。

 どうしたものかと腕を組んで考えた結果,1つの結論に達しました。

 PRO-800を購入したお店で見つけた,Pocket Masterというマルチエフェクタを買うことです。

 お値段8800円。ポイントでかなり安くなりそうです。

 なになに,中国はSONICAKEのギター用マルチエフェクタで,安いのに本格的な音が出てくることで話題沸騰中,ガジェット系とはいえしっかり使えるものらしいです。

 以前から話題になっていたとのことで,私は恥ずかしながらノーチェックでした。ギター用なのでモノラル入力,ステレオ出力ですから,今回の用途にも使えそうです。

 そもそもどんなエフェクトがあるのかという話ですが,目当てにしているコーラスとディレイ,リバーブも一応あるみたいです。ただ,あくまでギター弾きにとってうれしいエフェクタであり,なかでも売りはNAM機能なので,評判を真に受けると悲しい事になるかも知れません。

 でもまあ,一応ギターも弾きますし,この値段ですから,オモチャとして買ってみましょう。その感想です。

(1)外観,第一印象

 ギター用のエフェクタらしからぬ外観で,私はこういうの大好きです。縦長でごっついダイキャスト,いかにも踏めと言わんばかりのスイッチやペダルは私には「いつまで1970年代を引き摺ってるのよ」と感じざるを得ません。

 プラスチックで角の取れたかわいらしいケース,小さなカラフルなディスプレイにツマミ1つにスイッチ2つのシンプルさ。これは確かにガジェット系ですね。

 ちなみに,最近ファミコンっぽい色やスケルトンなどのカラーバリエーションが追加されたみたいです。私はグレーを買いました。


(2)操作性

 これは独特の物があるので,慣れるまで大変です。まず電源投入が最初の壁でしょう。ツマミを長押ししただけではだめで,そこから電源投入を選択して短押しという2ステップで要約電源が入ります。

 電源オフもなかなか難しく,通常操作の画面から長押しでメニューを出し,電源OFFを選んで短押しです。このメニューを出すのもなかなかわかりにくく,エディットなどの階層に入っている場合には,通常の画面まで戻らないといけませんが,その戻る方法も2つのボタンの同時&短押しです。わかるかそんなもん。

 こういう,ちょっとズレた操作体系に慣れてしまうと,案外サクサク操作できる物で,エフェクトの選択や編集も簡単にできるようになりますし,システムの設定などもストレスを感じなくなります。


(3)音

 音はですね,まずギターなら,特に欠点もなく楽しく演奏出来ると思います。良く出来ています。大きな音を広いところで出した場合にどんな風に聞こえるかわかりませんが,ひずみ系もディレイも,しっかり作ってある割に真面目すぎず,適度に遊び要素もあって,楽しいですよ。

 アンプシミュレータも良く出来ていると思います。JCのクリーントーンににコーラスとディレイなんて,本当に気分良く演奏出来ます。

 アコースティックシミュレータも追加されたそうなので試しましたが,これは今ひとつ。ZOOMの安いやつの方が,もっと強力にアコギっぽくなります。

 で,肝心のNAMですが,これがもうにやけるレベルです。私はPignoseを持っているのですが,音は気に入っているものの,近所の手前実際に使うことはほとんどありません。このPignoseのデータを手に入れてPocket Masterにロードしてみるとあら不思議,Pignoseの音が出てくるわけです。

 これはちょっと感動です。エフェクトを出来るだけ外しダイレクトにPignoseの音を楽しんでいます。


(4)使い心地

 なんといっても電池内蔵というのが便利過ぎます。乾電池もいらない,ACアダプタもいらない,と,ようやくエフェクタも今どきの仕様になりました。しかもBluetoothに対応しているので,私は試していませんがヘッドフォンもワイヤレスに出来そうです。

 少し気になったのがレイテンシです。すべて有線で繋いだ時にも,僅かに遅れが出る場合があります。弾いているうちに気にならなくなってしまいますが,それは人間がレイテンシを補正して早めにピッキングを行っているからで,褒められたことではありません。


(5)空間系のエフェクト

 私はPRO-800のために,リバーブをかけたくてこのPocket Masterを買いました。ということで,リバーブだけのパッチを作って試しましたが,正直なところ満足出来る物ではありませんでした。

 まず,基本となるアルゴリズムが少なすぎです。しかもそれぞれのアルゴリズムで調整出来るパラメータも少なすぎ,調整の範囲が狭くてなにも出来ません。

 アルゴリズムによってはタップ数が少ないのか,かなり雑なかかり方です。チャーチなどは使い物になりません。

 左右の広がりも音の消え方も中途半端であり,初期反射音も今ひとつで,残響も透明度が低いうえに,途中でブツッと切れてしまいます。いや,こっちが切れるわ。

 コーラスは実用レベルですが,JX-8PのアナログコーラスやJupuier-Xの内蔵コーラスを知るものとしては,シンセサイザーに馴染まない変なコーラスだと思います。僅かに厚みも出ますが,音が前に出てこなくなるのは致命的かなと感じました。


(6)ところがどっこい

 そんな不満だらけの空間系ですが,ギターに繋いで歪ませてアンプシミュレータを通すとあら不思議,心地よいエフェクトがかかるのです。不思議です・・・


(7)結論

 面白いです。そして生真面目ではない音は,プレイヤーとリスナーに,ワクワクするような躍動感を共有できるんじゃないかと思います。

 NAM機能は強力です。これがDAWのプラグインではなく,リアルな実機で,しかもこの値段で扱えるというのは,本当に面白いと思います。もっといろいろ試してみたいです。

 空間系は,私の期待には応えてくれませんでしたが,ないよりまし,PRO-800でもMatrix-1000でも,ちょっと弾いてみる時には便利に使うでしょう。

 ただ,ギターで使うとこんなに面白いとは思ってなかったので,ギターのお供に使うことが主になりそうな気がします。

 うーん,そうすると空間系のエフェクターを考えないといかんなあ・・・捨てなきゃよかったなあ,R100。

 

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