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Pocket Masterを買ってみた

  • 2025/08/27 09:10
  • カテゴリー:散財

 先日PRO-800を買って,こいつを実戦投入するのに,コーラスとリバーブが必要だと感じました。さすがにリバーブ無しでは,PRO-800の音が出ている位置をコントロール出来ません。馴染ませるのか際立たせるのか,包むのか一点から放射するのか,アナログシンセサイザーには考えなくてはいけない要素が多いものです。

 私が以前Matrix-1000を使っていたときにはヤマハのR100を使っていました。一番安いデジタルリバーブだったから,というのが理由ですが,実は他社のリバーブに比べてヤマハのリバーブは綺麗にかかるので大好きでした。

 JX-8Pにはコーラスが,他のD-70やVintageKeysには一応リバーブまで内蔵されていたので,モノラルアウトのアナログシンセサイザー特有の問題として,外部エフェクタをどうするかが課題だったわけです。

 Matrix-1000も使わなくなって久しく,結局R100もSE-50も数年前に廃棄してしまったわけですが,まさか今になってPRO-800のためにエフェクタで悩むときが来るとは思いもよりませんでした。

 仕方がない,空間系のエフェクタを1つ買うか,1万円くらいであるだろうよ,と探してみたのですが,なんとまあ,新品で買える物はほとんどないのですね。愕然としました。

 以前は1Uはもちろんハーフラックのものもいくらでも売ってましたし,高価なものから安価なものまで選ぶ事が出来たはずなのに,今や絶滅しています。エフェクタといえば,もうギター用の足で踏んづけるものか,ガジェット系のものしかない有様です。

 しかも,リバーブもコーラスも単独のエフェクターとしては存在せず,マルチエフェクタの要素の1つと,随分惨めな扱いを受けています。すでに1980年代後半にそうした傾向はあったにせよ,それでも単独のリバーブには凛としたたたずまいがありました。

 かくして私は焦り,R100やSE-50を廃棄したかつての愚行を悔やむことになりました。

 冷静に考えてみると,リバーブもコーラスもわざわざハードウェアで用意しなくても,DAWのプラグインでかければ済む事です。しかし,ちょっと演奏したいときとか,ステージに持ち出すときに,一々PCを立ち上げる手間をかけるか,と言うと,やっぱり抵抗がありますよね。

 どうしたものかと腕を組んで考えた結果,1つの結論に達しました。

 PRO-800を購入したお店で見つけた,Pocket Masterというマルチエフェクタを買うことです。

 お値段8800円。ポイントでかなり安くなりそうです。

 なになに,中国はSONICAKEのギター用マルチエフェクタで,安いのに本格的な音が出てくることで話題沸騰中,ガジェット系とはいえしっかり使えるものらしいです。

 以前から話題になっていたとのことで,私は恥ずかしながらノーチェックでした。ギター用なのでモノラル入力,ステレオ出力ですから,今回の用途にも使えそうです。

 そもそもどんなエフェクトがあるのかという話ですが,目当てにしているコーラスとディレイ,リバーブも一応あるみたいです。ただ,あくまでギター弾きにとってうれしいエフェクタであり,なかでも売りはNAM機能なので,評判を真に受けると悲しい事になるかも知れません。

 でもまあ,一応ギターも弾きますし,この値段ですから,オモチャとして買ってみましょう。その感想です。

(1)外観,第一印象

 ギター用のエフェクタらしからぬ外観で,私はこういうの大好きです。縦長でごっついダイキャスト,いかにも踏めと言わんばかりのスイッチやペダルは私には「いつまで1970年代を引き摺ってるのよ」と感じざるを得ません。

 プラスチックで角の取れたかわいらしいケース,小さなカラフルなディスプレイにツマミ1つにスイッチ2つのシンプルさ。これは確かにガジェット系ですね。

 ちなみに,最近ファミコンっぽい色やスケルトンなどのカラーバリエーションが追加されたみたいです。私はグレーを買いました。


(2)操作性

 これは独特の物があるので,慣れるまで大変です。まず電源投入が最初の壁でしょう。ツマミを長押ししただけではだめで,そこから電源投入を選択して短押しという2ステップで要約電源が入ります。

 電源オフもなかなか難しく,通常操作の画面から長押しでメニューを出し,電源OFFを選んで短押しです。このメニューを出すのもなかなかわかりにくく,エディットなどの階層に入っている場合には,通常の画面まで戻らないといけませんが,その戻る方法も2つのボタンの同時&短押しです。わかるかそんなもん。

 こういう,ちょっとズレた操作体系に慣れてしまうと,案外サクサク操作できる物で,エフェクトの選択や編集も簡単にできるようになりますし,システムの設定などもストレスを感じなくなります。


(3)音

 音はですね,まずギターなら,特に欠点もなく楽しく演奏出来ると思います。良く出来ています。大きな音を広いところで出した場合にどんな風に聞こえるかわかりませんが,ひずみ系もディレイも,しっかり作ってある割に真面目すぎず,適度に遊び要素もあって,楽しいですよ。

 アンプシミュレータも良く出来ていると思います。JCのクリーントーンににコーラスとディレイなんて,本当に気分良く演奏出来ます。

 アコースティックシミュレータも追加されたそうなので試しましたが,これは今ひとつ。ZOOMの安いやつの方が,もっと強力にアコギっぽくなります。

 で,肝心のNAMですが,これがもうにやけるレベルです。私はPignoseを持っているのですが,音は気に入っているものの,近所の手前実際に使うことはほとんどありません。このPignoseのデータを手に入れてPocket Masterにロードしてみるとあら不思議,Pignoseの音が出てくるわけです。

 これはちょっと感動です。エフェクトを出来るだけ外しダイレクトにPignoseの音を楽しんでいます。


(4)使い心地

 なんといっても電池内蔵というのが便利過ぎます。乾電池もいらない,ACアダプタもいらない,と,ようやくエフェクタも今どきの仕様になりました。しかもBluetoothに対応しているので,私は試していませんがヘッドフォンもワイヤレスに出来そうです。

 少し気になったのがレイテンシです。すべて有線で繋いだ時にも,僅かに遅れが出る場合があります。弾いているうちに気にならなくなってしまいますが,それは人間がレイテンシを補正して早めにピッキングを行っているからで,褒められたことではありません。


(5)空間系のエフェクト

 私はPRO-800のために,リバーブをかけたくてこのPocket Masterを買いました。ということで,リバーブだけのパッチを作って試しましたが,正直なところ満足出来る物ではありませんでした。

 まず,基本となるアルゴリズムが少なすぎです。しかもそれぞれのアルゴリズムで調整出来るパラメータも少なすぎ,調整の範囲が狭くてなにも出来ません。

 アルゴリズムによってはタップ数が少ないのか,かなり雑なかかり方です。チャーチなどは使い物になりません。

 左右の広がりも音の消え方も中途半端であり,初期反射音も今ひとつで,残響も透明度が低いうえに,途中でブツッと切れてしまいます。いや,こっちが切れるわ。

 コーラスは実用レベルですが,JX-8PのアナログコーラスやJupuier-Xの内蔵コーラスを知るものとしては,シンセサイザーに馴染まない変なコーラスだと思います。僅かに厚みも出ますが,音が前に出てこなくなるのは致命的かなと感じました。


(6)ところがどっこい

 そんな不満だらけの空間系ですが,ギターに繋いで歪ませてアンプシミュレータを通すとあら不思議,心地よいエフェクトがかかるのです。不思議です・・・


(7)結論

 面白いです。そして生真面目ではない音は,プレイヤーとリスナーに,ワクワクするような躍動感を共有できるんじゃないかと思います。

 NAM機能は強力です。これがDAWのプラグインではなく,リアルな実機で,しかもこの値段で扱えるというのは,本当に面白いと思います。もっといろいろ試してみたいです。

 空間系は,私の期待には応えてくれませんでしたが,ないよりまし,PRO-800でもMatrix-1000でも,ちょっと弾いてみる時には便利に使うでしょう。

 ただ,ギターで使うとこんなに面白いとは思ってなかったので,ギターのお供に使うことが主になりそうな気がします。

 うーん,そうすると空間系のエフェクターを考えないといかんなあ・・・捨てなきゃよかったなあ,R100。

 

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