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2022年09月の記事は以下のとおりです。

PC-386 Book Lの復活劇 その5 ~コンパクトフラッシュを内蔵

 PC-386 Book Lは過渡期のマシンだと言えます。この後可搬型のPCはノート型に急速に進化していき,PC-386 Book Lのようなラップトップ型は死滅します。

 ノート型は高速なCPUと大容量メモリ&ストレージを持つようになり,しかも軽く小さく薄く,長時間稼働に耐えるようになっていきますが,ラップトップ型はキーボードとディスプレイが一体化したオールインワンモデルという意味合い以上のものを持たず,唯一のアドバンテージだった拡張スロットによる拡張性も肝心の拡張カードがほとんど入手出来ないという事情から,存在価値を失っていくわけです。

 その後,PC-CardやCardBusの登場によって拡張スロットの問題も解決,しかし最終的にはUSBによってそれらも消えてしまいます。

 PC-386 Book Lが過渡期と思うのは,メモリもストレージも内蔵出来ること,拡張スロットを持つこと,CPUはギリギリ32ビットということで,なんとかラップトップ型の意地を見せて,まだまだ制約の大きかったノート型に一矢報いたと感じるからでしょうか。

 しかしそれも1年ほどで価値を失い,マイナーモデルとなるわけです。

 そんな状態ですから,内蔵可能と言ってもメモリもストレージも現在ではほとんど入手不可能。30年前でもメモリは純正しかなかったですし,とても高価でしたから今手に入る可能性はほぼゼロでしょう。

 いろいろ調べていると,PC-386 Book LのHDDはIDEであることがわかりました。この頃のPC-9800シリーズはIDEのHDDを正式にサポートしておらず,あくまで小型の必要性の高いノート型の内蔵HDDとして特殊な方法で使われていたに過ぎません。

 PC-386 Book Lもその流れでIDEのHDDを内蔵することになっていますが,幸いなことにピン配置もIDEそのままです。BIOSの制約があるので容量は最大40MBですが,それでもないよりずっとましです。

 でも,こんな小容量のHDDなんかもう絶望的です。そこで閃いたのがコンパクトフラッシュです。

 コンパクトフラッシュはIDEモードを持っており,このモードに入ってしまえばあとはIDEのHDDとして振る舞ってくれます。それこそ20年前の128MBや256MBのコンパクトフラッシュなど使い道もありませんので,これを使えば解決しそうです。

 amazonで変換基板を探すと800円ほどで購入可能です。ちゃんと動くかどうかはわかりませんが,これでIDEのHDDとして認識してくれるならありがたいところです。

 コンパクトフラッシュを手持ちから探してみると,32MB,128MB,256MBありました。マイクロドライブもありましたが,1GBと6GBという大きなものしかありませんでした。これらはさすがに認識してくれないでしょう。

 早速PC-386 Book Lに取り付け改造をします。HDDコネクタを基板からはずし,そこから40ピンの標準のIDEケーブルを直接ハンダ付けしていきます。信号名をあわせるだけなので簡単です。

 出来たら変換基板に接続,コンパクトフラッシュは32MBのものを差し込んでおきます。

 ドキドキしながら電源を入れて起動します。とりあえず暴走はしません。フロッピーからちゃんと立ち上がります。

 MS-DOSが起動したらformatコマンドでコンパクトフラッシュを認識しているかを確認すると,残念ながら認識していません。やっぱだめか・・・

 いえいえ,まだ試すことがあります。変換基板のジャンパがMasterではなくSlaveになっていたのでMasterにしました。さらにメモリスイッチからHDDのセクタ容量を512バイトに設定して再起動です。

 起動後formatコマンドで確認すると「固定ディスク」と出ています。おお,認識しました。

 しかし,32MBで認識してくれるわけではなく,20MBで認識しています。これは厳しいですね。そこで128MBに交換して再起動するのですが,あいにく起動しなくなりました。コンパクトフラッシュを見に行ったと時に止まってしまっているようです。

 それならと256MB試してみるとあっさり再起動成功。40MBのHDDとして認識しています。BIOSの制限ですから解除できるかも知れないのですが,面倒なのでもういいです。

 128MBのコンパクトフラッシュはフォーマットを別のマシンでやり直したりしましたがどうもだめで,これもあきらめました。

 ということで,DOSだと40MBでも十分広いですし,高速で快適ですね。そういえば生まれて初めて使ったHDDが40MBだったなあ。

 かつて私が使っていたPC-98RLのHDDの中身を保存してあったのですが,これを一部書き戻して,懐かしのMS-DOS環境が目の前に現れると,ちょっと感動するものがあります。

 40MBですが十分な広さですし,ちょっとしたことになら今でも使えそうな感じがするくらい手に馴染んでいます。唯一プロテクトメモリが未搭載なのでUMBを駆使してコンベンショナルメモリを確保することが出来ないのですが,メモリを食うデバイスドライバ(日本語FEPですね)を外しておけば問題なし。

 この段階でちょっとしたデスクトップ機なみのマシンが完成しました。

 しかし,案外EPSON機というのはなにかと制限があるんですね。EPSONのユーザーはこんな面倒に耐えていたのかと今さら驚くばかりです。DOS版のN88-BASICが動かないなんて,みんな当時はどうやって解決していたんですかねえ。

 

PC-386 Book Lの復活劇 その4 ~CPU換装で死線を彷徨う

 PC-386 Book Lは5インチドライブを動かすところまで来ました。これで組み立ててしまっても問題はないのですが,ここまで来るともう少し欲が出てきます。

 ふと,このマシンが現役だった時代の話をふり返ってみると,CPU換装ってのが流行っていたよなと,急に思い出しました。そう,CyrixのCx486SLC/DLCです。

 Cx486SLCは386SXの,Cx486DLCは386DXのピンコンパチで,486で追加された命令の一部(全部かもしれませんが忘れました)を加え,キャッシュメモリを1kB内蔵,乗算器のクロック数を減らしたもので,特に外部16ビットで286程度の速度しか出ない386SXでは,なかなか効果的なアップグレードパスとしてブームになりました。

 ベンチャーだったCyrixは一躍有名になり,メーカー製のマシンではほとんど採用例がなかったにもかかわらず,ついには雑誌の付録になるなど広くs知られたCPUとなりました。

 ソケットのCPUを差し替えるだけの38DXと違い,386SXはQFPですので自力で取り外しハンダ助をしないといけませんが,これがなかなか難しく,失敗したという声があちこちで聞かれたのもこのころです。換装を請け負う業者が現れたのも懐かしいです。

 で,私は386SXのマシンをこの頃持っていませんでしたので,その効果を実感することはなかった(386DXのPC-98RLではCx486DLCに換装したものの大した効果は得られず,その後IBMのBluelightningを使った4倍速アクセラレータでその劇的な速度向上に腰を抜かした覚えがあります)のですが,少ないとはいえバス幅の狭いCPUにキャッシュは効き目も大きいだろうと,思った以上に遅いPC-386 Book Lで使えないかと調べてみました。

 キャッシュをONするユーティリティはフリーで見つかりましたし,標準的な改造で交換も可能でしたが,問題はCx486SLCをどこで手に入れるかです。さすがに30年前のCPUですし,QFPですからはずし品が流通しているとも思えません。

 Cyrixはすでに買収されて存在していませんし,386SXのCPUとしての寿命が尽きれば自動的に市場から消える運命にあるCPUが新品で手に入る可能性も低いでしょう。

 と思っていたら,なんと若松通商で新品が特価で売られていました。しかもCx486SLC/eという低電力バージョンです。在庫はたくさんありそうですし,欲しい人もそんなにいるとは思えないので慌てず発注しました。

 数日後届いたCx486SLCは間違いなく新品で,なんだか懐かしい気分です。

 これを早速貼り替えるわけですが,先に書いておくと失敗しました。私としたことが・・・

 専用の工具を持っていない私は,とりあえず一気に取り外しのが良かろうと,2つをハンダゴテで一気にハンダを溶かして剥がす作戦に出ました。1つはいつものハンダゴテ,もう1つはハンダ吸い取り機で行くことにしました。

 しかし,特にハンダ吸い取り機の温度が高かったのでしょうね,パターンを剥がしてしまったのです。一部はNCだったので剥がれても買わないし,ただの両面基板なら剥がれても仕方がないところもあるのですが,一部パターンまで剥がれてしまったものが数本もあります。いや,これは情けない。腕が落ちたものです。

 これは本当に駄目かもしれない,そんな風に少しの焦りを感じつつ,修復できそうなパターンはそうっとダメなものはメモを残して切ってしまいました。

 それらがどこに繋がっているのかを慎重に確認し,Cx486SLCのデータシートと見比べて矛盾がないかを確認します。

 するとデータバスが破損していることが確定したので,思い切ってCx486SLCをハンダ付けします。失ったランドは後で細いエナメル線でメモの通りに繋いで修復します。

 まあ多分ダメだろうなと思いつつ電源を入れたところ,なにやらアラームが最初鳴りましたが,リセットをかけるとちゃんと起動しました。おお,少なくとも修復は正しく行われていそうですし,CPUの偽物ではなかったです。

 不安な箇所のハンダ付けを確実にやり直して完成。一時はダメかと思いましたが,案外簡単に復活しました。

 そう,昔ならハンダ吸い取り線で丁寧に1本1本ハンダを吸い取り,きちんと足を浮かせてからそーっと取り外したはずなんです。横着したらこれですからね,情けないです。(でもおかげで剥がした386SXは再利用可能です。)

 さて,で,ベンチマークですが,これも30年前の本にあるとおりの結果に終わりました。10MHzの20286比で386SXでは1.55倍,Cx486SLCに換装すると1.45倍に落ちましたが,キャッシュをONにすると2.46倍に跳ね上がります。今のところトラブルもなく正常に動作してくれています。

 1.5倍から2.5倍ですのでさぞや速くなったことを体感できることだろうとワクワクしましたがそんなことはなく,気のせいかとキャッシュのON/OFFで比べて見ましたが,ほとんど違いはありません。やはりクロックを上げるのが一番効き目があるようです。

 ということで,CPUがCx486SLCになりました。30年を経て体験することになるとは(しかもご丁寧に失敗までするとは)思いも寄りませんでしたが,上手くいかない可能性も高いと思っていたので,良かったです。


 あれ,PC-386 Book LでCPUなんか交換しても,そもそもフロッピーベースじゃどうにも使い物にならんのじゃないかと思ったあなた,その通りです。単純なメディア変換だけならCPU換装なんかするのは愚の骨頂でしょう。

 ですが,この換装の前に私のPC-386 Book Lはフロッピーベースの運用から脱却を果たしているのです。詳細は次で。

PC-386 Book Lの復活劇 その3 ~外付け5インチドライブを動かす

 PC-386 Book Lを手に入れようと思った動機は5インチフロッピーを読みたいからでした。なら5インチのモデルを買うのが正解だという突っ込みもわかるのですが,それだとデスクトップモデルしか手に入りません。

 キーボードも別になっているし,ディスプレイも外にという事になると,置き場所の問題が深刻です。かといってノート型ではいろいろ制約もありますので,ここは中途半端なPC-386 Book Lを選んだというわけです。

 しかし5インチのフロッピーディスクドライブも買わねばなりません。

 5インチのフロッピーディスクドライブなんて,2Dも2HDもかつては実家にゴロゴロしていました。FD-1157DもYD-380もありましたし,FD-55BVやYD-274も持っていたのですが,もったいないことに全部処分してしまいました。

 仕方がないのでこれも某オークションで無理して落札。VFO付きのドライブを使った外付けドライブはつぶしが利かないので,ここはFD-55GFにVFO基板を内蔵したものを選んで入手しました。ACコードが付け根で切られていることに少し不安がありましたが・・・

 派手に汚れていた本体を出来るだけ分解し水洗いします。ドライブ自身はかなり綺麗になりました。内部も綺麗です。ファンがないと汚れないもんですね。

 ACコードを付け直して通電。電源ユニット単体では正常に電圧がでています。気をよくしてドライブに接続して通電すると,今度は電圧が全然出なくなりました。デンゲニュニットの故障です。

 良く眺めてみると,これもまあ派手に電解コンデンサの液漏れが起こっています。電源に使われる電解コンデンサはサイズが大きいので電解液もたくさん入っていますから,漏れるとかなりの電解液が外に出てきます。厄介です。

 とりあえず電解コンデンサはすべて交換します。交換してから組み立て直し通電チェックをしたところ,残念ながら出力が出てきません。1次側のコンデンサには100V近い電圧がしばらく充電されたままですので,発振そのものをしていないんじゃないかと思います。

 まずパターン切れを確認しますが,これはなさそうです。次に部品の不良ですが,もし1次側のダイオードに問題があればヒューズが飛ぶのでこの可能性は低いです。一応すべてのダイオードを調べますが問題なし。トランジスタも壊れていません。

 では電解液による腐食も含めて部品をチェックしていきます。抵抗をピンセットでつまんでみると,1つだけポロッと取れてしまったものがありました。これは同じ値に交換です。

 コイルやコンデンサも問題なし。いよいよ追い詰められてきました。

 この段階で何度か通電したのですが,出力が出る時もありました。しかし負荷を繋ぐと出力が止まり,その後は負荷を外しても出なくなります。
 
 最後に残ったのはTL431とフォトカプラです。TL431はNECの互換品が使われていましたが念のため交換。フォトカプラも交換する予定で外したところ,下側に電解液が溜まっていたのを発見しました。

 これを綺麗に拭き取り,同じフォトカプラを取り付けたところ,出力が出るようになりました。TL431に不良があった可能性はそんなに高くはないと思いますので,おそらくですがフォトカプラの下側に溜まった電解液がフォトカプラの端子をショートさせたんだろうと思います。

 ということで電源は復活。組み立て直して通電しても問題はありません。

 あとはケーブルを用意すれば,PC-386 Book Lで5インチのフロッピーディスクドライブが使えるようになるはず・・・なのですが,このケーブルの問題が結構難しかったりします。

 かつて実家には,ありとあらゆるケーブルが揃っていました。アンフェノールの50ピンはもちろん,ハーフピッチは櫛形のものまで用意していましたし,フロッピーディスクドライブのコネクタは5インチのものも3.5インチのものも揃えていましたので,どんなものも繋げる自信がありました。

 しかしほぼすべてを処分してしまったので,必要なものを揃えないといけないのですが,昔ほど簡単に手に入るものでもなくなっているので厄介です。

 PC-386 Book Lの外部フロッピーディスクドライブのコネクタは,36ピンのハーフピッチです。ハーフピッチと言うだけでも難易度が上がる昨今,36ピンなんてのはもう世の中には存在していないんじゃないかと思うほどの稀少品です。

 しかも,反対側は50ピンのアンフェノールで,エプソン専用の配線が必要です。結局専用のケーブルしか使えないことになるわけで,そんなものを探し当てるのは最初からあきらめた方がよいでしょう。

 ないものは作るしかないのですが,36ピンのハーフピッチのコネクタの入手がとにかく難しいですから,ここは別の方法を考える事にします。

 36ピンも端子があるコネクタですが,半分はGNDですので実質20本弱の信号しかありません。なら信頼性に欠けますが,入手容易なコネクタに交換してしまうのはどうでしょう。

 数的にDサブ25ピンが手頃ですね。ケーブルも全線結線のケーブルが今でも安価に入手可能ですし,これに交換すればどうにかなりそうです。場所の問題は使う予定のないLスロットを使いましょう。ここにコネクタを出しておき,内部で36ピンコネクタから配線してしまいます。

 こうして作業をさっさと済ませて,本体の改造は済みました。あとはドライブ側です。

 ドライブ側は50ピンのアンフェノールがついています。最初はこれもDサブ25ピンに交換しようと思ったのですが,VFO基板に直接マウントされていることがわかったので,急遽変換ケーブルを作る事にしました。圧着型のオスコネクタを偶然持っていたので,これを使って作ります。

 完成したケーブルを使って試してみましたが,上手くいきました。外付けドライブですので2DDには対応しませんが,5インチで2DDなんて利用価値がありませんので,これは手を付けないことにします。

 これでPC-386 Book Lの当初の目的は果たせそうなのですが,人間欲が出てくるものです。まだまだ続きます。

 

PC-386 Book Lの復活劇 その2 ~フロッピーディスクドライブ

 PC-386 Book Lは,とりあえず本体が動き出しました。

 しかし,完成までは多くのメニューをこなさねばなりません。私の前に立ち塞がった次の壁は,フロッピーディスクドライブでした。

 PC-386 Book Lは可搬型デスクトップにこだわっていて,フロッピーディスクドライブも2ドライブ搭載しています。エプソン製のSMD-1000という3.5インチが使われているのですが,コイツが標準的な34ピンのコネクタの癖に,電源まで一緒に供給出来る珍しいものです。

 ドライブ1を試したところ,とりあえず読み書き出来ます。よしよし。しかしドライブ2を試すと,読み込みは出来るのですが書き込みが出来ません。これは典型的な4級塩電解コンデンサによる故障です。

 ということで,ドライブ2を分解したところ,予想通りコンデンサが派手に液漏れしていました。これはいかんということで,120uFのものは同サイズの220uFに,10uFのものは積層セラミックに交換しました。

 これで読み書きが出来るようになったので,ドライブ1も予防的に同じように交換をしました。しかし,ここからが茨の道になります。

 交換を終えたドライブ1を試したところ,最初の30分ほどは問題なく読み書き出来るのですが,暖まってきた頃になると読み書きのエラーが増え始め,1時間もすると半分以上のトラックでエラーが出ます。これでは使い物になりません。

 基板を改めて眺めてみると,電解液がかなり広範囲に広がっていて腐食しています。基板のパターン切れも心配ですし,フレキのコネクタへの影響も大きいでしょう。

 まずはハンダの付け直しです。スルーホールへもきっちり流し込みます。しかし効果なし。

 無視できないのが,ICの下側に回り込んだ電解液です。なかなか蒸発しないので影響も長く続き,パターンの腐食やICへの進入など深刻な問題の原因になります。モータードライバのICを剥がして清掃して付け直しますが,これも効果なし。

 これ以外にも気付いたことをいろいろ試してはみますがどれも効果がなく,万策尽きたように思えてきました。そこでふと基板を取り出すときに外したフレキを見てみると黒く汚れていることに気が付きました。腐食もあるようなのですが,なにより導電性のある電解液がフレキとコネクタに回り込んでいるということは,特に小さい信号を扱う部分では正常に動作しないであろうということです。

 特にひどかったのが,どうやら製造チェック用に用意されたジャンパコネクタのフレキです。これを外してみるともう真っ黒です。IPAを清掃して差し込んでみたところ,やや効果ありで,エラーは減りましたし時間も長く動くようになりました。

 これはこれで関連がありそうだと,コネクタを外してしまいジャンパの接続を直接基板上でハンダ付けして見る事にします。すると嘘のように問題が消えました。

 詳しいことは調べていませんが,このフレキを通っているのはどうもヘッドとのやりとりを行っている信号のようで,当然微弱です。これが電解液でレアショートして誤動作していたのでしょう。

 これで完成と思っていたら,今度はドライブが不調です。ドライブ1からドライブ2に切り替わった時の最初のトラックで,時々リードエラーを起こしています。

 切り替え時の電流変化が悪さをしているんだろうとコンデンサや電源ラインを追いかけますが改善しません。不思議なことに書き込みでは全くエラーは起きません。

 ドライブ1と同じようにジャンパコネクタを外して基板上で配線してみますが,これも効果なし。いろいろ試してみようと何を調整するものかわからない半固定抵抗を少しずつ動かすと,エラーの頻度が上がったり下がったりします。


 回路図もないのでこれ以上は面倒になり,エラーが最も少なくなるところで調整をすませて,終わりにしました。エラーが出る頻度は少ないですし,リードだけならリトライでカバー出来るでしょう。

 一応これでフロッピーディスクドライブの検討は終わりにします。完全とは言いがたい結論に少々不満ではありますが,たかだかフロッピーディスクドライブに時間をかけるのも面倒ですし,ごまかして使うことも出来るので,もうこれくらいにしておきます。

 まだまだPC-386 Book Lのメンテメニューは終わりません。続く。

PC-386 Book Lの復活劇

 ある時,急にPC-9801を動かしてみたくなりました。

 私にとってのレトロPCというのは8ビット機までであり,それ以後の16bitマシンはPC-9801やX68000を含めて,レトロなんていったらあかんよな,と思うところがありました。(あ,ただしインテレビジョンとぴゅう太は別です)

 X68000はともかくとして,PC-9801というのは現在のPCに繋がるハードウェア構成であり,WindowsやDOSが走るという点でも,ビジネスマシンとして進化してきたという点でも,使った時の感触というか手触りに,本質的な違いがないように思います。

 当時も道具として割り切って使っていたPC-9801シリーズに対して,ホビーとしての懐かしさを感じることはなかったわけですが,しかしながらPC-9801全盛期だった1990年代前半からすでに30年です。

 割り切って使っていたものであっても,懐かしいと思うに十分な時間が経っていることに,私は今さら気が付きました。

 つらつらと考えると,初代PC-9801というのは1982年に誕生したマシンであり,まだ8ビットマシンの考え方やシステム構成を引き摺っています。

 ついでにいうと,1990年代前半というのは私にとってもちょっと特別な時期であり,大阪日本橋のパソコンショップで中古パソコンの担当をしており,最新のマシン,高価なマシン,珍しいマシン,そして懐かしいマシンまで,本当にたくさんのマシンを実際に動かすチャンスに恵まれていました。

 なかでも,王者NECのPC-9801に挑む,EPSONのPC-286/386シリーズは私も注目していました。PC-9801の殿様商売を悪く言う人も当時はいたのですが,今にして思うと,価格に相応しいお金のかけ方をしていて,当時のPC-9801は本当に堅牢でした。

 PC-286/386は,同じかちょっと上くらいの性能のものを安くした主力製品と,NECが出さないだろう個性的な機種やEPSONが得意とする小型モデルという,独自製品の2本立てでした。

 主力機種はPC-9801VMの互換機であり,VX以降との互換性は完全とは言えません。しかし,実質的にVM互換機であれば主なソフトはちゃんと動いてしまうので,CPUに高速なものを用いて全体を安く作る事が出来れば,決まったソフトしか動かさず,しかもそのソフトが高速で動作して,かつ安く買えるなら,事務機器としてはむしろ好都合だったはずです。

 個人的にはPC-286/386には頑張って欲しかったのですが,DOSのプロテクトを外すのが面倒くさい,フォントが気に入らない(好みの問題ですが私はEPSONのフォントは嫌いでした),なによりキーボードが気に入りませんでしたから,最初に買ったPC-386VRは数ヶ月で売り払い,NECのPC-9801RS2を買い直しました。

 ですが,一方の個性的な独自路線については,注目すべきマシンも多かったように思います。ラップトップもノートもEPSONが先でした。キーボード一体型もEPSONでしたし,今で言うタブレットのようなモデルもEPSONでした。

 なかでも,PC-286Bookという,ノートより一回り大きなマシンが印象に残っています。フロッピーディスクを2台装備したポータブル型で,NECだと完全なラップトップに相当するモデルを,随分小さくまとめてあります。

 ノート型の色が黒や紺などの暗い色だったのに対し,PC-286Bookはアイボリーを明るくしたような色で爽やかでした。

 実はこの後,PC-386NoteWという機種で,ノート型なのにフロッピーディスクを2台装備した完全版が登場するのですが,それまでフロッピーディスクを2台つ買いたいなら,このBookシリーズを選ぶ事になるわけです。

 PC-286Bookの後継機種でありPC-386BookLは,名前の通りLスロットと呼ばれた拡張スロットを持ち,拡張性さえも備えた完成形です。HDDも内蔵可能,メモリも専用スロットを持ち,バッテリー駆動も可能ということで,とても魅力的だったことを覚えています。

 数あるPC-9801でも,このPC-386BookLは,今でも手に入れたいマシンです。

 手に入れたい・・・探してみるか。

 そしてやってきたのが,満身創痍なPC-386BookLでした。某オークションで約5000円。送料まで入れると結構高い買い物だったと思います。

 ACアダプタがありません。なんとかなるだろうと思っていたのですが,コネクタが特殊と聞いて軽いめまいがします。ピンを差し込んで安定化電源から15Vを供給して様子を見ます。

 ピーと電源が鳴き,ドライブがガコガコいったかと思うと,沈黙。以後うんともすんとも言いません。甘かったですねえ。

 分解して内部を見てみます。

 まず,バックアップ用のNi-Cd電池が盛大に液漏れしていてドロドロです。メイン基板に電解液が流れています。

 そして問題の電源基板ですが,この頃のマシンによく使われていた4級塩の電解コンデンサがことごとく液漏れを起こしています。

 4級塩の電解コンデンサについては詳しい説明が他にありますのでここでは省略しますが,液漏れ被害が市場で頻発した1990年代後半は,各電機メーカーが戦々恐々としていました。今もって公式にこの問題を認めたメーカーはないと思いますが,その筋では常識となっている問題です。

 運が良ければコンデンサを交換するだけで動き出しますが,多くは電解液が基板のパターンを壊したり,他の部品に染み込んでショートさせたりと散々な悪さをします。覚悟していたとはいえ,かなり見通しは悪いです。

 とにかく電源基板のコンデンサを交換します。

 しかし結果は変わりません。メイン基板のヒューズの1つが切れているのを発見しましたが,これを交換しても変化はありません。

 電源基板を分解し,可能なものは部品を取り外して部品レベルの破損チェック,そして基板の清掃とパターンの確認をしていきます。それでもなかなか解決してくれません。

 嫌気がさしてきたので,とりあえずハンダで端子をなめて基板との接続を確実にしたのと,メイン基板とサブ基板のすべてのコンデンサを交換したところ,幸いなことに起動に成功しました。ピッとシステムディスクを入れるようにとの警告音が出たときには,信じられないような気持ちでした。

 しかし,喜ぶのはまだまだ。LCDを取り付けても表示は出てきません。CRTに繋いでもなにも出てきませんが,これは[GRPH]キーと[CTRL]キーで出てくるメニューで設定を変更し,表示が出ていることは確認出来ました。

 フロッピーディスクも接続し,DOSあ立ち上がるところまではなんとか進みました。

 ここからトントン拍子かと思ったのですが甘かったです。

 まずLCD。なにも表示が出ないので途方に暮れていたのですが,オシロスコープで信号を追いかけていきました。

 このマシンは,LCD制御用の回路をCRT用途は別に独立して持っており,LCDコントローラと専用のVRAMが存在しています。そこでLCDコントローラとVRAMの端子を見ていたところ,バスが衝突している箇所を発見。電解液によるショート(300kΩくらい)があったので当該箇所を清掃しました。これで波形は正常になったのですが,問題は解決しません。

 そこで徹底的に清掃を試みたところ,突然画面がパッと現れました。驚きました。

 これで直った,よかったと思っていたのですが,1時間ほどすると画面が乱れ始め,横方向に8ドットずつ2回表示されるようになってしまいました。ゴミも出ています。さらに時々表示が出なくなります。

 この問題がなかなか大変だったのですが,まず表示が出ない問題は,水晶発振子の株に染み込んだ電解液でした。これが発振を止めてしまうので,外して清掃。これで直りました。

 次にゴミですが,これは先程の電解液によるレアショートが復活していたので,再度清掃しました。これで直りました。

 最後に苦労したのが表示の乱れです。これ,8ドットごとというのがミソなのですが,LCDコントローラの端子を慎重にお隣同士でショートさせたところ,規則性のある似たような画面の乱れが起きる場所を探し出し,ショートさせても変化しない箇所を探し出しました。

 たどっていくと,VRAMのA0です。ここの波形を見ると,なにも出てきません。A1やA2は出ているのにです。ならばと,A0をLCDコントローラと繋いでやると,ばっちり画面が出るようになりました。

 つまり,A0のパターンが電解液で切れてしまったのです。LCDのVRAMは1バイトで8ピクセルだと推測されますが,A0が変化せず固定されるので,8ドットずつ同じ物が表示されるというわけだったのです。

 これでとりあえず本体は直りました。

 しかし,次なる問題が・・・続く。

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