54645Dが壊れていた~どうしたものか編
- 2017/04/14 14:14
- カテゴリー:make:
先日,TDS3054Bを手に入れた話を書きました。いい機会なので,うちの主力機で,私の大好きな54645Dもメンテをしようと考えました。
54645Dは古い機械なので,調子が悪くなっています。特にフロントパネルのロータリエンコーダがチャタリングを起こしていて,水平,垂直共に誤動作が増えてきました。
それに,考えてみるとうちにきてから一度も分解掃除をしていません。気になるともう止まらないのが私の性分で,これらの問題をパッパと片付けようと思ったのです。
最初の問題は,分解でした。なにせフロントパネルが外れてくれません。ちゃんとサービスマニュアルをみれば良かったのですが,面倒なので適当に分解すると,ようやく外れたパネルに続き,なにやらプラスチックの部品も一緒に出てきました。
パネルを固定していた,爪も一緒に折れてしまったようです。
これが折れてしまうとパネルが固定できず,ブラブラします。心も折れそうになるのを必死で踏みとどまり,まずは水洗いをします。
乾かしている間に,ロータリーエンコーダの修理です。一番いいのは新品への交換なのですが,そういうわけにもいかず,とりあえずクリーニングをやります。ただ,よく知られる接点復活剤はかえって部品を劣化させるので,使わないのはもはや常識です。
そこで,投入したのが,クレのエレクトロニッククリーナーです。速乾性の強力な洗浄剤で,スイッチやボリュームの接点の汚れを取り除くことができます。評価も概ねいいようで,基板の洗浄に使っている人がいるくらいですから,部品を壊す心配はないと思います。
ただ,軸に塗り込まれたグリスが溶け出して接点に流れ込むことが懸念され,そうなってしまうともう交換しか方法がないですから,覚悟を決めてスプレーします。
結果は上々で,チャタリングもだいぶ少なくなりました。副作用もなく,シャフトも軽く回るようになり,なかなか良い感じです。よし,これで1つ問題は解決。
で,組み立てに入るのですが,先程の爪の破損をどうにかせねばなりません。
ABSの接着はなかなか難しく,固定用の爪のように,材料自身の粘りに頼って力がぐっとかかるような部品は,なかなかうまく接着できません。
そこで,アクリル板をあてがい,これと一体化するようにエポキシ接着剤で固める事にしました。これが案外うまくいき,一晩経過するとがっちり固定できています。
よろこんで組み立てるのですが,問題の詰めはがっちり本体に引っかかるものの,パネルの他の部分がプカプカと浮いてしまいます。よく見ると,そこにも爪があり,これが折れかかっているのがわかりました。
うむ-,結局2つある爪を両方とも折ってしまったわけですね。
仕方がないので,パネルをもう一度外し,もう1つの折れた爪を修理しようとしたところ,接着した爪もポロッと外れてしまいました。導電性のメッキがかかっているので,これが接着しにくくなる原因になっているようです。
作戦の練り直しが必要になりました。しかし手元にあるのはエポキシ接着剤だけです。出来るだけ大面積で,しかもたくさんの接着剤を盛って接着したのですが,これがなかなかよくて,どちらの爪もしっかり接着できたようです。
この話,ABSの接着をみんなどうしているのか調べてみたところ,アクリサンデーの接着剤で要略するのが一番いいというのがわかりました。幸いアクリサンデーの接着剤は手元にありますので,これを最初から使えば良かったのですね,トホホ。
念のため,これと同じ成分を含む,プラモデル用の接着剤を買っておきました。これが後々役に立つのです。
ちゃんと組み上がって,動作試験です。以前と同じように動いてくれるのでこれでおしまい,と思ったのですが,これもまたせっかくの機会ですので,自己校正をテストも兼ねてかける事にしました。
54645Dは背面のキャリブレータ出力端子からフロントパネルの端子に信号を入れることで,自己校正が出来るようになっているのです。もちろん出来る事は限られますが,細菌のオシロでは割に当たり前の装備です。
ところが,この自己校正でエラーが出ます。CH2のトリガがかからず。ここでFailとなり,他の校正結果もキャンセルされています。
そういえば,1年か2年ほど前に,確か2465Aの修理が終わった時に,54645Dの自己校正をやってみたらエラーになったことを思い出しました。全く同じ状態です。
その時は,まあいいかで済ませたんですが,今回は冷静に考えて見ました。このエラーから推測するに,CH2でトリガがかからないわけですから,結構致命的な問題となります。
CH1とCH2に信号を入れ,トリガソースをCH1からCH2に切り替えてみたら,やはりトリガがかかりません。これはえらいことです。Ch2で本当にトリガがかかりません。
54645Dを私が気に入って使っているには理由があって,これはMEGA ZOOMの便利さもあるのですが,ミックスドシグナルオシロスコープであることも理由です。
ミックスドシグナルオシロスコープは,アナログとデジタルの波形が見られることをメリットだと感じている人も多いと思いますが,実はトリガの条件にアナログとデジタルを複雑に組み合わせることが出来ることこそ,最大のメリットです。
アナログだけのオシロなら,トリガをどちらかのCHでかければ済むだろうと思うわけですが,54645Dの強さは18個の入力を縦横無尽に組み合わせてトリガをかける事ができることにあるわけで,貴重なアナログ入力が1つ死んでいるというのは,もう普通のオシロでいいじゃないかと言ってしまっていいほどの問題なのです。
まあ,偉そうなことを言っていますが,こういう使い方をして助かったことは実は数えるほどしかなく,日常的にはアナログ入力だけで,しかもトリガはCH1でしかかけていないので,別にどうでもいいのですが,ここ一番欲しい機能であるには違いないので,54645Dでないといけない理由が壊れていることに,とてもがっかりしました。
選択肢は4つ。修理する,同じ物を中古で探す,現行の新品に買い換える,キーサイト(HPですね)のオシロはあきらめて,TDS3054Bを主力に据える,です。
中古を探しましたが,54645Dはなかなか見つかりません。これは気長に探すことになるでしょう。
現行の新品ですが,アナログ入力のデジタルオシロなら,MEGA ZOOM搭載の高性能なモデルがとても安く売られているんですね。DSOX1000シリーズがそれで,100MHzの2HCで12万円です。デジタル入力がないこと以外は54645Dと同等以上ですから,これを買ってしまおうかと思ったくらいです。
一応ミックスドシグナルオシロスコープも調べましたが,これは今でも強烈に高いですね。車が買えるほどの値段ですので,あきらめました。
滅多に使わない機能のために何十万円も追加が必要になるわけで,それならもうアナログ入力だけでいいじゃないかと思う訳です。
でも,それだったら操作系が気に入らないとはいえTDS3054Bをそのまま使えばいいわけですし,54645Dも全く使えないわけではないので,無理をして新品を買う必要はありません。
残った選択肢は,修理です。
長くなったので,続きは後日。