グリーンマックスの大改修
- 2021/08/20 09:36
- カテゴリー:鉄道模型
私鉄,とりわけ近鉄や東急という私に馴染みのある車両の模型は大手の完成品ではなく,グリーンマックスのキットで具現化することが,太古からの習わしとなっています。
というと大げさですが,今でこそカトーやトミックスから私鉄車両が出るようになっていますが,特に通勤車両についてはグリーンマックスのキット一択だった時代も長かったのです。
それも,ズバリそのものではなく,近似した車両のキットを改造して「なんちゃって」で再現したりと,一工夫も二工夫も必要で,それがまた面白さの1つでもありました。
思うに,鉄道模型というのは,非日常への羨望が,動機ではないかと。
普段使うことがない長距離特急に人気があるのはそれが理由で,日常の足となる原液の通勤電車にはそれほど人気が集まりません。しかし,それが世代交代で過去の車両になると話は変わってきて,101系や201系,あるいは115系といったあたりに懐かしさを感じる人も多いでしょう。
つまり,乗る事が難しいものほど人気があるという事です。ただし,それもその存在を正しく認知しているというのが前提です。知らないものは乗りたいと思えません。
この点で,"現役"の"私鉄"の"通勤電車"という三重苦は,誠に不人気極まりないわけです。
それでも,鉄道に興味があって足として使う鉄道には,一定の興味や関心がついて回るもので,それをなんとか自分の箱庭で再現したいと思うのは自然な感情でしょう。10年経ち,それらが現役を引退すると,懐古まで加わってさらに魅力が増します。
私もかつて作った東急の8000系や8090系,近鉄の6020系や6420系は,当時の技術の未熟さから満足な仕上がりではないにせよ,雰囲気と当時の熱量を伝えるには十分だと思っていて,完成品よりも愛着が沸いています。
そんなグリーンマックスのキットですが,動力車のモーターが不調で,メンテをした話をここに書きました。今は復活しているのですが,いつ壊れるかわからないので出来れば新品の動力ユニットに買い直しをしたいところです。
しかし,グリーンマックスの動力ユニットは世代が変わっています。かつての社内を埋め尽くすようなごっつい動力ユニットは廃止され,今は室内が見える低床のもので,フライホイールのみならずなんとコアレスモーターまで搭載している最先端のものです。
動力ユニットのみとはいえ,それなりに高価なものなので全部を交換出来ないと思っていましたが,22000系(改造して16400系)の2モータ仕様の動力ユニットだけは,交換したいと思っていました。
早速注文,届いた21mm級の動力ユニットは今どきの薄型ですが,とても軽くて牽引力はあまり期待出来そうにありませんでした。
分解はとても簡単で,構造もシンプルです。また,ギアは台車側に密封されていますので,ゴミやホコリに強いだけではなく,台車を取りはず際に壊したりバラバラになったりすることもないでしょう。信頼性の確保にはとても良い工夫です。
新しい動力ユニットは,台車と床下機器が別売りになっていて,ユニットそのものは汎用性が高くなっています。しかし裏を返すと,台車と床下機器が発売されていなかったり,売り切れていたりするともうお手上げです。
そこで22000系の床下機器と台車枠を探したのですが,ぴったりのものが見つかりません。入手することは可能だったようですが,今簡単に手に入るかものではないみたいです。
そこで,ちょっと残念ではあるのですが,もとの動力車から移植を考えます。当然元の動力車は再利用できません。
肝心のモータはコアレスモータです。コアレスモータにしては大型で,トルクもしっかりあります。
まず床下機器ですが,これは加工せず,そのまま新しい動力ユニットに接着できそうです。
問題は台車枠です。これは元の動力ユニットの台車から切り取って,新しい台車に接着します。この場合,前述のように元の動力ユニットは使えなくなってしまいます。それだけではなく,接着による強度の問題に加え,台車枠を取り付ける事によってしっかり固定される集電金具がグラグラして集電不良を起こしてしまうので,その対策も必要です。なにより,そんなに器用に台車枠を切り取れるのかどうかもわかりません。
幸いなことに,切り取りは上手くいきました。車輪のピボットを納める集電金具の膨らみが入り込む内側のへこみもドリルでさらって作りました。
今回は台車側に0.4mmのプラ板を貼り付け,かさ上げしたところに台車枠を接着して完成させましたが,やはり集電の問題が出てしまいました。そこでペンチでカシメ手動かないようにして,安定した集電が出来るようになるまで調整を繰り返しました。
そうそう,うちはDCCですので,自作したワンコインデコーダV6を搭載します。両面に実装した超小型のものを運転席のすぐ後ろあたりに立てて取り付け,ヘッドライトとテールライトもデコーダから配線します。
それから,この際ですのでワンコインデコーダからモータードライバを省いたファンクション専用のデコーダをさっさと作り,これを後部側の車両にも搭載しました。モータードライバICが110円ですので,400円ほどでファンクション専用のデコーダが出来上がったことになります。
ということで,とりあえず22000系は更新工事が完了。コアレスモーターはDCCとは相性が良く,超スローな運転も可能ですし,静かでスムーズです。フライホイール付きですので加速率を設定出来ないワンコインデコーダでも問題はなく,とても好印象です。
この印象の良さによって,私はグリーンマックスの車両の更新工事を全車輌にすることを決断しました。
近鉄6020系冷房なし旧塗装・・・台車枠はKDタイプ,しかし床下機器は該当するものがありません。そこで元の動力車から移植を考えるも,大きさが異なるためそのままでは取り付けられません。そこで切って削ってを繰り返し,どうにか上手く取り付ける事が出来ました。
近鉄6020系冷房改造新塗装・・・旧塗装の6020系と同じな訳ですが,そもそも旧塗装の床下機器が実車と同じかどうかと問えば,どうもそれはウソのようです。もともと車体が同じという前提で2410系のエコノミーキットを流用しているので,床下機器は6020系のものではありませんし,やたらとならんだ抵抗器は2410系としてもエラーなんじゃないかと思います。
そこで,ちょっと他の車両と食い違うのですが,台車枠と同梱されていた床下機器をそのまま使って見る事にしました。
ところで,この4両もともと全部非動力で作ったものでした。旧塗装に連結したり動力ユニットを使い回すことを考えていたのですが,もうせっかくだからこの編成だけで自走できるようにしました。
東急1000系・・・かつての池上線を再現したものです。先頭車の動力ユニットを更新しますが,台車枠も床下機器も販売されていません。そこで,床下機器と台車枠も移植します。
元の動力ユニットは2モータ仕様のものなので,床下機器はそのまま取り付け可能です。問題は台車枠ですが,今回はプラ板でかさ上げしなくても済むように,台車を切り離す時に,少し厚めに切り出して削って合わせ,直接接着しました。
東急8090系・・・これもエコノミーキットキットです。幸い専用の床下機器と台車枠セットが買えましたので,楽勝のはずでした。
3両目に動力ユニットを仕込んであったものを交換するだけなのですが,床下機器が全然違います。どうもこの床下機器は2両目もしくは4両目のパンタグラフのある車両用のもののようです。
しかし,実車とは全然違っているので,私はここで間違っているもので統一するか,1両でもいいから正確なものを使うかの選択を迫られました。ここは河口が面倒という理由で,後者を選択。
しかし,もともと動力ユニットだった3両目を4両目にしたので,3両目をトレーラにしなくてはいけなくなりました。この作業はなかなか面倒で,床下機器の交換が必要です。手間がかかりましたが,なんとか交換出来たので,DCCの配線を行って完成です。
東急8000系・・・これもエコノミーキットです。8090系と同じ方針でいくのですが,この系列は動力ユニットを最初から2両目にしてあったのでほとんど加工は必要ありませんでした。これは楽勝。
近鉄12400系・・・塗装さえしっかりやればぱっと見でばれないだろうと安易に考えて16010系に改造したものですが,屋根上や窓が全然違うので,ちゃんとした16000系が出た今となっては恥ずかしい作品です。塗装も未熟で人前に出せるものではないのですが,手間と時間をかけたので愛着はありこれも動力ユニットを更新しました。6020系と同じく台車と床下機器が問題になりましたが,もともといい加減な改造を行ったものですので,もう気にしないことにします。
近鉄6620系・・・動力ユニット付きの4両編成のキットだったのですが,これも動力ユニットを交換します。台車と床下機器の問題はマッチしたものが売られているので解決,問題なくスムーズに走っています。
勢いで全車更新となったわけですが,いちいち正方形型のDCCデコーダを作ったりしているうちにえらい時間がかかってしまいましたし,お金もかかったように思います。
古い動力ユニットも予備をあわてて手配したのですが,それも含めると結構な出費になりましたし,さすがにちょっと反省です。