MJテクニカルディスク第3集
- 2007/05/21 15:59
- カテゴリー:散財
「MJ無線と実験」というオーディオ雑誌があります。なにかとオカルト色の強いハイエンドオーディオの世界ですが,自作中心の雑誌として長い間親しまれてきました。昨年1000号というたいへんな記録を打ち立てたことも,少しだけ話題になりました。
で,ここがオリジナルのLPを出しています。その名も「MJテクニカルディスク第3集“月の光”」です。
第3集と言うからには第1集と第2集があったのでしょうが,私が知るのは第3集です。それもかなり昔から広告が出ていて,ひょっとするともう在庫が底を尽きるのではないかと,不安に駆られて買うことにしました。
テクニカルディスクと名乗るくらいですから,技術的なテストが可能な音が収録されていて,先日無線と実験のバックナンバーをPDFにしようとスキャンをしているときに,このディスクを使ってレコードプレイヤーをチェックする方法を特集しており,私も試してみたくなりました。なにせ,今私が使っているプレイヤーは,中古のジャンク品を格安で買ってきて,以来素性も分からずに使ってきたもですので,ずっと心配だったのです。
なんでもショウルームに行けば直接買うことができるそうですが,面倒なので通販にしました。ちなみにレコード屋さんでは売っていません。
一緒に同じようなディスクでCDもあるので,こちらも思ったのですが,誠文堂新光社のホームページからは,1回の注文で複数の商品を買うことが出来ないそうで,買う場合は連絡を別途よこせ,とあります。メールを送ったのですが,2週間以上放置されてしまったので,仕方がないからLPだけでとりあえず注文をすることにしました。
それが先日届いたのですが,2枚組で,1枚目は竹松舞というハーピストの演奏を収録したもの,2枚目はテクニカルディスクです。
いやー,新品のLPなんて買うのは,何年ぶりでしょう。新品のLPを袋から取り出すときの感動を,久々に味わいました。
2枚目には,溝を切っていないトラックがあり,ここに針を落とすと,インサイドフォースキャンセラーのチェックを行うことが出来ます。
針は,レコードの溝に対してある角度で接していますから,ディスクが回転すると内側に引っ張られるような力が発生します。つまり,溝の左右の壁にかかる力がアンバランスすることになってしまい,これは好ましくありません。
そこで,トーンアームには,外側に力をかける機構が用意されていて,内側にかかる力をキャンセルすることができます。この,内側にかかる力をインサイドフォースといい,これをキャンセルする機構をインサイドフォースキャンセラーといいます。
私のトーンアープにもついているのですが,本当に正しく動いているのか疑問でした。
試してみると,とりあえず正しく機能している様子です。インサイドフォースキャンセラーを0にするとスススーと内側に針が流れていきますし,インサイドフォースキャンセラーを増やしていけば,次第に針は外に流れるようになります。
一般に,針圧と同じ重さにあわせるとされているインサイドフォースキャンセラーですが,それも針の形状による物らしく,確かに丸針のカートリッジならほぼ同じ設定で針の流れが止まります。しかし,楕円針やファインラインなどの特殊形状の針では,多めにかけないといけないようです。
例えば,AT-F3/2では針圧の1.5倍ほど,AT7Vでは1.6倍ほど余計にかけないと,針の流れが止まりません。
同時に針圧のチェックです。標準的な音量のトラックと,それより3dB大きな音の入ったトラックがあり,どちらも歪まないように再生できるならokというチェック法です。
テクニカのカートリッジはどれも優秀で,標準針圧でどちらもクリアです。V15typeVxMRは少し重めの1.8gにしないと歪みました。面白いものです。
手持ちのカートリッジで一通りこのチェックを済ませたあと,今度はトーンアームの共振周波数を見る事にしました。
3Hzから20Hzくらいまでスイープする溝が刻まれたトラックがあり,ここに針を置くと,そのトーンアームの持つ共振周波数でシェルが大きく振動します。
それを見てどうするのという話ですが,例えばレコードが反ってしまって,5Hzくらいの振動があったとします。もし,トーンアームが5Hzで共振すると,レコードのそりでトーンアームが大きく振動することになってしまい,音が途切れたり揺さぶられたり,ひどい場合には針が飛んだりするわけです。
説明書によると,これが大体10Hzから13Hzくらいだとよいのだそうです。
早速測ってみます。AT-F3/2やAT7Vは大体8Hzくらいです。V15typeVxMRで9Hzという感じです。ひどかったのはAT15Ea/Gで,5.5Hzでした。
ところで,V15typeVxMRやME97HEはには先端にブラシがついています。これはホコリを取る,静電気を除去する,という目的以外に,レコードの反りなどで上下する振動をダンプするためのものとされているのですが,ダンパーとしての機能については目で見て確かめるわけにも行かず,あまり信用していませんでした。
ところが,今回の共振の実験をすると,ダンパーのおかげでほとんど振動しないのです。確かに振動の方向が縦ではなく横なので効果的なダンピングが行われているとは思いませんが,それでも目で見て振動に気が付かない程です。
この共振周波数を下げるには,トーンアームの重量を下げる必要があります。トーンアームそのものを軽くするわけにも,カートリッジを軽くするわけにもいきませんので,シェルを軽くすることになりますが,すでに私にシェルは軽いものですので,もう手がありません。AT15Ea/Gはちょっとひどいとしても,それ以外は8Hzくらいですので,諦めました。
こうして素性を確認した上で聞き慣れたLPを聞いてみましたが,正直,あまり違いは分かりません。まあ,少なくともレコードに致命傷を与えないような状況であることが分かっただけで,よしとしましょう。
で,1枚目をようやく聞きます。クラシックですので私にはあまり馴染みがありませんが,その割には楽しんで聞きました。特にB面のラヴェルは結構いいな,という感じでした。
音そのものが余り良くないという評価をしている人もいますし,私もそんなに音の良さを感じたわけではありませんが,それでもLPでこれだけの音を録音しようというのは大変なことだろうと思います。
一応,アナログプレイヤーの入り口くらいには来たでしょうか。あまり深みにはまるときりがありませんが,もう少しくらいは頑張って見たいところではあります。
しかし,肝心のLPがなかなか手に入りにくい感じです。先日渋谷の中古レコード店に来ましたが,やはりそれ程の品数がないのと,全体的にお値段も高めでした。10年前なら,あるいは20年前なら,もう少しお手軽だったんだけどな思ったのですが,今度こそ本当にLPレコードは死滅するのかも知れません。