デジットの味をご家庭で2025
- 2025/08/01 14:16
- カテゴリー:散財, マニアックなおはなし, make:
先日,デジットのランダムボックスが久々に売り出されました。200回記念という事だそうですが,前回は確か年始だったと思うので半年ぶりです。
その年始のランダムボックスは発売されたことに気が付くのが遅く,売り切れていました。今回こそは買い逃さないようにしようと,急いで買うことにします。
過去には決済官僚に時点で残り数個になっているほどの人気商品なので,あわてて決済まで済ませたのですが,なにやら今回は在庫数がなかなか減りません。ちょっと拍子抜けしつつ,自宅でデジットを味わえるのを楽しみに,翌日の到着を待っておりました。
果たして届いたランダムボックス,今回はこれまでになく,微妙な中身でした。
まず,スカスカです。いや,別にぎっしり入っている方がお得とか,そういうことは電子部品には当てはまらないのですが,それでもランダムボックスというのは届いた部品をあれこれと品定めするのが楽しいわけで,数が少ないのはその楽しみも少ないという事になります。この時,私は少し嫌な予感がしました。
詳しく見ていきます。2つのビニル袋が入っていたのですが,こんな感じの中身でした。
・DIN 13Pメスコネクタ
DINコネクタの13Pです。確かに今は貴重かも知れませんが,もともとPC-8801のキーボードで使われているのをみたことがある程度で,正直使い道がありません。
・Y14H-1C-12DS
12Vの小型リレーで1回路2接点のものです。秋月電子で120円です・・・
・PX-10
今回の最大のゴミはこれでしょう。キーエンスの製品なのですが,なんだろうと思って調べてみると光電センサ向けのアンプユニットだそうです。センサがないと意味がないだけではなく,仮にセンサがあっても使い道はないなあ。
分解して部品取りにでもと思いましたが,めぼしい物もなさそうです。
後述するように2つ目を買った時に感じたのは,こいつが入っているから,中身が少なかったんじゃないだろうか,ということです。
・Z80A-CTC
Z80ファミリのうち,CTCです。これもまあ,かつてX1用のMIDIボードを自作するときに買いましたし,X1turboやFM音源ボードに搭載されていた関係でおなじみのLSIですが,今使うかと言えば・・・
・LH5116-10 4個
シャープ製のCMOS SRAMで,2k x8ビットの「普通」のSRAMです。4個入っていても2kバイトでは全然うれしくないですし,補修用としても手持ちが腐るほどあるので,もはやゴミです。
・GAL16V8B
今回,一番興味を惹いたのが,このGALです。1990年代中頃,まだまだFPGAがアマチュアには遠かった時代,自分でプログラム出来るロジックICとして,唯一アマチュアが手作り出来るカスタムICだったのが,PALやGALと呼ばれる小型のPLDです。
PALはワンタイムだったのに対し,GALは何度でも書き込み出来たので,アマチュア向けでした。TTL数個をまとめる事の出来る便利なデバイスで,特にアドレスデコーダなんかで重宝するのですが,書き込み器が高価で自作例も少なく,今で言うEDAツールであるPALASMも高価で入手困難と,やっぱりアマチュアには高い壁でした。
今ならPALASMは無料で使えますし,ライタは汎用の物がサポートするのですぐに始められるのですが,そんな今はデバイスの入手が難しくなっています。
私も使いたい時が何度もありました。今さらという気もしますが,当時の追体験という事で,なにかプログラムしても面白いかも知れません。
・4.7V 1W ツェナーダイオード
品名など一切不明,ガラスモールドの4.7Vツェナーです。ポイントは1Wという大型であることでしょうか。普段自分が作る回路でこんな大きな物は必要ないのですが,修理で使うこともあるかも知れませんので,ストックとしては意味があるでしょう。
ただ,私はなぜかツェナーの手持ち在庫は豊富でして・・・
・78L06
TO-92の小型三端子レギュレータです。メーカーはMCCで,10個ほどありました。欲しい時には欲しいものですが,別にいつでも買えますし,安いですし・・・
・その他
LEDも5mmの砲弾型で赤と緑の普通の物が大半,あとは訳のわからん基板(ボタン電池のホルダーのついてるやつで,これまでのランダムボックスにも大量に入っていた)や,機械時計のムーブメントみたいなものやら,スイッチ,抵抗,コンデンサ,という感じでした。
うーん,これはつらい。別にICやLSIが欲しいとか,面白い部品が載った基板が欲しいとか,そういうことではないのですが,キーエンスのモジュールとか,これはかんぜんにハズレだったと思います。今後もこれが続くようなら,もうデジットのランダムボックスもおしまいかなと,そんな風に思いました。
で,翌日の夕方・・・まだ在庫があるじゃありませんか。
同時には1つしか買えないものだったのですが,翌日に在庫があるなら買えるかも知れません。前回はたまたま運が悪くてハズレを引きましたが,今度は当たりが出るかも知れません。
ああ,完全にガチャで破滅する人の心理になってます。
しかし,彼らと同じく,欲望にはあらがえず,気が付いたら注文を終えて多幸感に満ちておりました。
翌々日に届いた2つ目のランダムボックスですが,基本的には微妙。しかし,幾分ましになっていました。やはり前回のものはどん底だったみたいです。
・M62X42B RTC
なにやら見慣れないICだなと思って調べてみると,沖電気のRTCでした,そういえば沖電気もRTCの国産主力メーカーだったよなあ(他にはNECとリコーですかね)と懐かしそうに目を細めて眺めてしまいました。
水晶発振子も内蔵していて,使い勝手は悪くありません。これを採用した機器を全く知らなかったので少し調べてみると,なんとシステムSSV(なんとCPUがV60で,サウンドチップがエンソニックのES5506)というアーケードゲームのシステム基板のRTCとして使われてました。補修部品として欲しい人には刺さるかも。
さらに今回はAランク品ということで,誤差が10ppmのものでした。普通に時計として優秀です。
・LH5116-10 x3
1回目と同じ2k x8ビットのSRAMです。いらんいらん。
・Z80A-CTC
Z80ファミリのCTCです。1回目と同じシャープ製。
・TC4584BP
東芝のCMOSでシュミットインバータです。これ,なにげによく使うICなのでちょっとうれしいです。
・TC4017BP
同じく東芝のCMOSで10進カウンタとして有名です。これ1つで10個のLEDを順次点灯できるので,小型の電子ルーレットや電子サイコロでは定番でした。上記の4584は1ゲートで発振回路が作れるので,クロックと効果音の発振に使い,4017でLEDをグルグル回すという感じです。
・GAL16V8B
1回目と同じGALです。
・EXO3 8K 12.000MHz x2
キンセキの水晶発振器です。分周器を内蔵していて,1/2から1/256まで選択可能です。12MHzなのでなにかと使い道があるかも知れません。
・LT1384ACN x4
お,リニアのICやんけ,と色めきだったのですが,調べてみるとMAX232と同じようなRS232Cドライバでした。少し前にAppleIIのSuperSerialCardを自作していた時に手に入っていれば,と悔やまれます。120kbpsに対応,0.1uFでチャージポンプが動作するという,この手の製品では高性能なものです。
・LTC485
これもリニアです。期待したのですが,名前の通りRS485(RS422)のドライバでした。おもしろそうですが,1個では実験も出来ませんし・・・
・FCZコイル 7mm 7MHz x3
今回一番うれしかったものの1つが,大久保OMが作り出した偉大なコイル,FCZコイルです。アマチュアが無線機器を自作すると,その再現性はコイルによって左右されがちです。コイルは伝統的に標準品がなく,AMラジオ用のIFTでさえ細かいスペックはもちろん,巻線の方法も異なった物が売られています。
標準品がない故にコイルも自作されることが多いのですが,これもまた安定性や再現性を損ないますし,結局のところ無線機器の性能はコイルが握っていますので,とかく当時のアマチュアの作ったものはコイルに振り回されていたのです。
これでは自作文化が育たないと大久保OMがFCZ研究所を立ち上げてご用意されたのが,高性能なアマチュア無線向けのコイル,FCZコイルです。
周波数帯ごとに用意されたコイルは基本性能も高い上安定性や再現性もよく,誰が作っても一定の性能が出る魔法のコイルでした。といっても入手は通販か秋葉原に限られていて,私が子ども時代を過ごした大阪では入手出来ないものでした。
しばらくすると大阪でも帰るようになりましたが,そうこうしているうちにFCZコイルも製造中止。互換品も出回りましたが一部は巻き方が異なるなど全く同じものとは言えなかったりと,またもアマチュアはコイル難民になるかと思われました。
現在は一部のパーツ屋さんが互換品を作って販売しているようです。
今回入手したFCZコイルは,FCZのスタンプがあるのでオリジナルだろうと思いますが,1つ200円以上したはずなので,3個入っていればすでに元は取っています。
・FCZコイル 7mm 144M x4
これもFCZコイルで,144MHzのものです。144MHz用のFCZコイルも,初歩のラジオの自作記事でよく見ました。私は結局アマチュア無線は全くやらなかったのでFCZコイルを買うことはなかったのですが,こうして手にしてみると,もっといろいろやっておいても良かったかなと思います。
・2N2905A
モトローラ製のCANタイプのトランジスタで,なにやら特殊っぽい感じがしたので期待しましたが,60V600mAでfTが200MHzという,普通のスイッチングトランジスタでした。
・78L06 x10
これも1回目のものと同じです。そんなに78L06ばっかりあっても仕方がないんだけどなあ。
・2SA733
NEC製の汎用PNPトランジスタの定番品で,2SC945のコンプリペア,2SA1015なんかと同等のものです。NECが半導体から撤退して久しく,当時の勢いを知る人も少なくなる昨今,オリジナルの2SA733で未使用品もなかなかお目にかかることがありません。
・クリスタルイヤホン
厳密にはセラミックイヤホンではないかと思うのですが,ゲルマラジオでは必須となる,クリスタルイヤホンです。ダイナミックイヤホンやマグネチックイヤホンでは全く代替できないイヤホンですから,貴重と言えば貴重でしょう。
とはいえ,今でも普通に(それこそamazonでも)買えますし,珍しい物でもないんですが,お値段は500円と結構高価だったりします。
・超小型サーボ EK2-0500
とても小さいサーボです。これ,なんか見覚えがあるなあと思っていたら,2年前に購入出来たランダムボックスにも同じ物が入っていました。やったー,これで2つ揃った!
・その他
DIPスイッチを含むいくつかのスイッチ,懐かしのロッドアンテナ,電池ボックス,お約束の訳のわからん基板,リードタイプのLEDに抵抗にコンデンサにノイズフィルタと思われるトロイダルコイルが入っていました。
ということで,2つ目については十分元を取ったでしょう。FCZコイルは今手に入らない物ということで貴重品でしょうし,RTCも入手の難しそうなものです。
もし2つ目も1つ目と同じくらいのハズレだったら,もうランダムボックスは買わないつもりでした。2つ目もかつての面白さに比べたら全然ですが,このレベルならまた買おうという気がしています。
すぐに売り切れなかったことも不思議ですが,今回はなんと蔵出しセールの200回記念だったみたいです。前回買ったのが100回記念(2023年7月)だったので,あれからもう2年かあと,あらためて時間の流れの速さを感じたのでした。