80年代との対話
- 2007/12/13 16:51
- カテゴリー:散財
私は,電池で動いてボタンがいっぱい付いていて小さい液晶画面があるものが大好きでして,電卓でもリモコンでも喜んで飽きずに触っている人ですが,考えてみるとそれは子供の頃にポケコンと出会ったことが大きかったと思います。
ポケコンはその当時から,すでに厚さ10mmを切っていて,大きさも重さも電源も電卓並みの手軽さを持つ,ある程度完成された形で世に出ていましたから,その高密度感にメカ好きな子供がころっといってしまうことは,想像に難くはありません。
残念なことに,その後ポケコンというカテゴリは消えてしまい,すでに昔話となっているのが寂しい限りですが,ポケコンが存在したある特定の時期を生きた我々のような人々にとっては,やはり特別な存在であり続けています。
10年ほど前ですが,ポケコンをちょっと集めたことがありました。PC-E500の中古品を改造して遊んでいたのですが,先日久々にそのPC-E500に電池を入れてみると,全く動かないではありませんか。
ポケコンの中でも最も人気の高いPC-E500が死んでいるという事実に私は軽いめまいを覚え,あわてて修理を始めますが,結果はX-07を復活させ自信を付けた私をまた奈落の底に沈めるものでした。
私は何かに取り憑かれたように,某オークションにログインしていました。
結果,かなり無駄遣いをしました。これはその闘いの記録です。
・PC-E500
・PC-E200
PC-E500は今もって「最強」とされるポケコンで,8bitCPUでありながら大容量のメモリを搭載可能,強力なBASICに当時としては大きなLCDを搭載したモデルです。よく知られたことですが,1MByteのRAMにスマートメディアを搭載し,日本語の読み書きが最終的に可能になっています。当時まだPDAの機能が低く,PC-E500がそれらに比肩するスペックをパワーユーザーの工夫によって実現していたことは,なかなか面白い事実でしょう。
私も入手してすぐにRAMを512kByteにし,クロックを上げる改造を済ませてあります。
PC-E200はPC-E500と同時に広告に出ていたから覚えているんですが,Z80を搭載していたことが売りだったように思います。
というのも,当時のポケコンは電池駆動をする関係上,CPUは低消費電力に特化したオリジナルのものしかなく,Z80などというメジャーなCPUを使うことは考えにくかったのです。
PC-E200はPC-G801という学校用のポケコンの一般販売モデルですが,PC-E500などと比べるとなにかと見劣りするところがあり,私もあまり欲しいと持ったことはありませんでした。
実際に使ってみると,16進数の扱いが弱かったりして実用的にも苦しいものがありました。サイズも大きく,厚みもあるため私の金銭にはいまいち触れず,単純にコレクションになってしまいそうです。
・PC-1245
・MC-2200
PC-1245は今から20年以上前に親に買ってもらった,私にとっての初めてのポケコンですが,中学,高校,大学と学生時代の面倒な計算を一手に引き受け,社会人になってからも私を面倒な計算から開放してくれています。
心配なのは壊れてしまうことで,予備機を手に入れようと考えました。
毎日学校に持ち歩いていた私のPC-1245はもうボロボロですが,今回手に入れたものはなかなか程度もよいです。ほっとしていると,液晶の隅っこが黒ずんでいるではありませんか。
シャープのポケコンは,経年変化で液晶が黒ずんでしまうことがよく知られています。動作するのに液晶が死んでいる個体は数多いのですが,残念なことに液晶パネルそのものを修理する方法はないので,諦めるしかありません。
気温が上がると黒ずみが消えるので,まだ程度は軽いと言えるのですが,予備機としての役割は苦しいなあというのが実際です。
MC-2200は,PC-1245のOEM版。セイコーから発売されていました。液晶の位置が真ん中に来ていることと,キーの色が大きく違うので,同じポケコンでも随分印象が違います。
見ての通り液晶はもう真っ黒になっていて,さすがに使い物になりません,動作は正常なようですからすごく残念なのですが,まあこれもコレクションということで諦めます。
液晶を復活させる方法があるといいなあ。
ところで10年ほど前に手に入れたPC-1251,いつの間にか液晶が黒ずんでしまっているのを見つけて,ショックでしばらく無口になってしまいました。また,専用のプリンタとカセットレコーダであるCE-125も,カセットが死んでいました。ベルトが伸びてしまっていたので,これは交換が必要です。
・PC-1401
・PC-1445
私が今回初めて手に入れたPC-1400シリーズです。PC-1400シリーズはPC-1200シリーズとほとんど同じハードウェアを持ちながら,関数電卓としての方向性を強く打ち出したラインナップで,その結果として後年まで学校用モデルとして長く続いたシリーズでした。
PC-1401はその初代モデルで,RAMは4kByte,16桁のLCDを持っています。非常に程度が悪かったこともあり,説明書付きでも安く手に入れることが出来ました。
PC-1401は10kByte搭載のモデルにPC-1402というのがあるため,簡単にメモリ増設の改造が出来ると思っていたのですが,どうもうまくいきません。
PC-1402の発売当時,64kbitのSRAMは入手できず,8kbyteのメモリは16kbitのSRAMを4つ使って実現していました。PC-1401にもRAMカードを入れるスペースとコネクタが用意されていて,ここがユーザーに開放されていなかったことを考えると,PC-1402がこのスペースを使っていたことは間違いなさそうです。
そのコネクタのピンを調べてみると,やはり予想通り。そこでこの信号を増設したメモリに繋いでみたのですが,取り付けた新しいメモリのうち2kbyteと一部しか認識していません。動作はするので配線そのものは間違ってないと思うのですが,どうしてもトータル4kByteまでしか認識しないのです。
原因は未だに不明ですが,どうもPC-1401には前期型と後期型があり,前期型のCPUはSC61860A07,後期型はSC61860A08のようなのです。
そして,メモリ増大版のPC-1402は,PC-1401の前期型よりも後に発売になっているらしいのです。つまり増設したメモリを認識できるのは,もしかすると後期型だけではないだろうかと思っています。
実家にはもう少し詳しい資料があるので調べてみようと思います。
一方のPC-1445ですが,こちらはそこそこに程度のいい状態でした。しかし故障しているとのこと。電池を入れると,電源スイッチをOFFにしても電源が切れません。リセットボタンも無視されてしまいます。
一応一通りの動作はしているので,CPUやROMといった部品が壊れていないことははっきりし,まずは一安心です。
PC-1445の回路図は持っていないので,PC-1401の回路図を参考にします。PC-1445でも,電源を切るのは,CPUのあるポートをGND(シャープのポケコンはGNDが電池のプラス側なのでややこしい)につなぐ必要があるのですが,調べてみるとどうもこの端子とスイッチが繋がっていないようです。
さらに調べると,スルーホールで反対面にパターンが移るところで切れています。スルーホールでパターンが途切れているようです。
怪しいと思っていたのですが,どうもこの個体は電池の液漏れをやっているようで,白い粉やサビが結構残っています。そもそも電池のサイズも小さいので電解液の量も少なく,一見すると被害は小さいように見えたのですが,スルーホールに入り込んだ電解液がパターンを切ってしまうほど深刻な被害を出していたのでした。
電池の液漏れに驚いたのは,X-07の修理でのことでした。マンガン電池の液漏れはそんなに大したことはないのですが,アルカリ電池やリチウム電池といった高性能電池の電解液はなかなか厄介で,銅箔を溶かしてしまいます。X-07でもアルカリ電池の電解液があちこちのパターンを切断しており,修理に手間取ったのでした。
このPC-1445も,スルーホールが切れてしまっているという点で深刻さは同じようなものです。とりあえず電源スイッチとリセットスイッチのパターンを修復し,それぞれのスイッチがちゃんと有効になっていることを確認しました。
そしてお約束のRAMの増設。PC-1445は海外にはないモデルなので情報が少ないのですが,基板上には実装済みの64kbitのSRAMに加えて,もう1つ28ピンのRAMのランドが用意されています。さらに回路を追っかけていくと,ここにもう1つRAMがのり,チップセレクトが別に出てきていることも分かりました。
64kbitのメモリの手持ちが少ないので,手持ちの関係から256kbitのSRAM64kbit分だけ使うようにのせて試したところ,あっけなく16kByteを認識しました。SC61860で16kByteのメモリというのはなかなか素晴らしいです。
ところが,組み立てを終えると電源が入りません。リセットもかかりません。もう一度ばらすと電源が入ります。しかし組み立てるとまた電源が入りません。
半日悩んで分かったのは,もう1つスルーホールが導通していない箇所があったということです。そのせいで起動に失敗してしまっていました。基板がたわむと導通が切れたりするので,再現性がなくてなかなか調べるのに時間がかかってしまいました。
ここを繋いで,今のところ問題なく動いています。液漏れの影響でベークの両面基板が反ってしまっているのも気になりますが,変にいじると壊れるのでやめおきます。
大きさも重さも機能も十分で,メモリも一番多い機種ということで,期待してなかったのですがうちで一番使い道のあるモデルとなりました。
・PC-1211 + CE-122
PC-1210は以前に手に入れたのですが,メモリ増設モデルであるPC-1211は,専用のプリンタが欲しくて手に入れたら,おまけに付いてきたという感じでした。
見ての通り,液晶はひどい物です。処理速度も遅く,使う気にならないのですが,さすがにBASICが動作するポケコンの始祖ですので,歴史的な意味は高いです。
そのプリンタも,届いたときの状態は非常に深刻でした。このプリンタはNiCd電池を内蔵しているのですが,この電池が液漏れしていたのです。
NiCd電池の電解液も強烈で,今回はパターンが消えてなくなっていた部分もありました。
それらを丹念に繋いで,なんとかプリンタが動くようになりましたが,残念な事に本体がこんな状態ですのであまり利用価値はありません。まあコレクションとしてメカ物が動くというのは気分のいいものです。
・PC-2001
80年代初頭,月刊マイコンの表紙の裏側の見開きにはきまってNECの広告が出ていました。私が初めて買ったマイコン1983年2月号には,当時のPCシリーズのフルラインナップが紹介されていました。
PC-6001しか知らなかった私は,PCシリーズにPC-2001,PC-6001,PC-8001mk2,PC-8801,PC-9801,N5200モデル05があることを知り,とりわけPC-2001という変なモデルが常に心に残っていました。
15年ほど前にPC-8201とHC-20を手に入れましたが,PC-2001というハンドヘルドマシンは現物を見ることもないままだったのです。しかし今回,付属品一切無しのものを手に入れることが出来ました。
この頃のポケコンやハンドヘルドマシンは搭載メモリが少なく,また消費電力の関係からSRAMを搭載していることが多いので,私はまず実用的に使えるだけのメモリを増やすことを最初に行います。
PC-2001の場合,海外に出ていなかったらしく,海外のマニアが立ち上げたWEBサイトがほとんどない中で情報を集めねばならなかった(X-07の場合海外のマニアのおかげで随分助かりました)ので,ちょっとだけ大変でした。
RAMを増やすには,メモリマップを探さねばなりません。結局見つからなかったのですが,複数の情報を総合し,その通りに改造することにしました。
写真は「PRINT FRE(0)」でフリーエリアの大きさを表示させた直後の写真です。見ての通り18kByteもあります。RAMカートリッジをいれて最大16kByteだったんじゃないかと思う方がいれば,その方は正しいです。ただ,PC-2001のエミュレータでは最大で18kByteまで認識する事が知られているので,私にもそれにならってRAMを取り付けてみました。
結果はこの通り。当たり前ですがエミュレータと同じです。
ただ,液晶の表示が薄く,エネループではほとんど見えません。新品のアルカリ電池でもギリギリですので,さすがにちょっと厳しいです。
使ってみた感じですが,持ち運びの出来るフルスペックのBASICマシンとして,非常に面白いものであることは事実です。しかし,40桁x2行の画面も中途半端ですし,いろいろ使いにくいところもあるので,実用マシンとしては使えそうにありません。X-07といい勝負です。
先日はPC-1600Kも起動しなくなって修理しましたし,実家のHC-20やPC-8201も長い間様子を見ていないので壊れているかも知れません。年末年始に確認してこようと思います。
80年代のコンピュータにはなかなか味があるのですが,ポケコンやハンドヘルドは小さくて場所も取らず,表示装置も内蔵されているので単体での動作が可能というのも,コレクションに最適です。
そんなわけで,オークションも盛況なようですが,私もとりあえず休憩です。オークションだからというわけではないのでしょうが,やはり30年近く経過したものは程度が悪く,修理も難しくなっています。お金はともかく,時間の確保が難しいこともあり,理由です。
ただ,BASICインタプリタが電源ONで起動するポケコンは,まさにユーザーとポケコンが対話をする感覚です。のんびりとした動作速度に身をゆだねていると,ポケコンがまるで小動物のような錯覚に陥ります。
興味のない人にとってはタダのゴミですが,もし不要になったポケコンがあったら譲ってやって下さい。捨てるとかわいそうです。




