ダビング10などどこ吹く風
- 2008/05/30 21:33
- カテゴリー:ふと思うこと
6月からスタートするはずだったダビング10,暗礁に乗り上げ,期限の決まらないまま延期となるのが確実となりました。
権利者側の意見も,メーカー側の意見も,それなりに分からなくはないのですが,お互いを辛辣に攻撃し合っている現状では,両者が問題の解決をしようと思っていないと考えざるを得ません。
こうした議論に,利用者の意見が入りにくいことを今さら問題にするつもりはありませんが,どちらの立場の人も,ちょっと条件を変えれば利用者の立場になる,むしろ利用者としている時間の方が長いのだということを思い出してもらえればと思います。
すでに感情論になっている中では,もうこの話はそう簡単に着陸しないだろうと,私は悲観的です。
それなりに関心の高かったこの問題が未解決になってしまうことは残念ではありますが,でも実は利用者の中には,もうどうでもいいと思っている人も多いのではないかと思うのです。私もその一人です。
例えばですね,20年前のFMラジオ全盛時代,週間の番組表まで買ってエアチェックに勤しんでいた頃に「1回しか録音できません」などと言われれば,随分と反対意見も出たことでしょう。
しかし,今同じ事を言われて,どれだけの人が反対意見を言うのかなあと思うわけです。この背景を考えると,FMラジオの役割がこの20年で随分と変わって来たということを見逃すわけにはいきません。
20年前までは,FMラジオはその高音質を生かした音楽ソースの1つでした。録音し,編集し,ライブラリとして保存する。そうした習慣が音楽ファンにきちんと存在していたからこそ,高性能なFMチューナー,高性能なカセットデッキ,日夜改良されるカセットテープが買えたのですね。
番組制作側もこのニーズを理解していたから,エアチェック前提の番組はナレーションが曲にオーバーラップすることもなく,フェードインもフェードアウトもなし,もちろん1曲まるまる放送され,しかもきちんと送出レベルも管理されて,音楽ソースとして十分な品質を備えるよう,配慮がありました。
今,そうした番組は非常に少なくなっています。DJを楽しむ番組が増えたこと,ヘビーローテーションに代表される,完全なプロモーションの道具と化した現実に,FMラジオはAMラジオと同じように,役割が変わったんだなあと実感します。
そうした番組を高音質で録音し,編集,ライブラリとして保存するわけはありません。自ずと録音の市場は縮小していきます。音楽との関わりは刹那的になり,生まれてからずっとそういう付き合いしかしてこなかった世代にとって,音楽とは心に刻む物から通り過ぎる物に変わっていったと,そんな風に思います。
同じ事がテレビで起こっているように思いませんか。
面白い番組,残したいと思うべき番組が激減している今日,私個人はテレビの役割は変わったのだと思っていますし,結果として録画して残そうと思うこともほとんどなくなりました。
だから,ダビング10については,もうどうでもいいです。テレビもニュースくらいしか見ていませんし,見逃しても構わないので,録画に失敗しても問題なしです。
ということで,権利者さんもメーカーさんも,もう勝手にやってください。私はもう関心がありません。
しかしこの点,映画は実にうまくやってますね。一日の長ありといったところでしょうか。テレビは所詮テレビですね。