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AppleTVがやってきた

  • 2010/12/03 18:14
  • カテゴリー:散財

 新しいものやデジタルガジェットに対して,スイス並みの中立っぷりを信条とする嫁さんが,あろうことかAppleTVを買いました。

 国内発売されたのが確か11月中旬でしたが,直後に品薄となり都内の量販店では売り切れが出ており,欲しいと言い出した時には絶望的な状況でした。

 しかしあるところにはあるものですね。自宅の近所の家電量販店に会社の帰りにふらっと寄ってみたところ,複数の在庫がありました。わずかとはいえポイントも付くので,Appleストアで買うより良かったのではないでしょうか。

 珍しく嫁さんが自分のお金で買うというので,そうしてもらいました。ゆえに,もし我々が離婚するようなことがあると,AppleTVは無条件に嫁さんに引き取られることになりますね。わはは。

 テレビは私のお金で買いましたから,天然ガスよろしく,ロシアのように意地悪をしてもよかったのですが,そんなことをしても誰も得をしないという大人の判断で,貴重なHDMI端子を1つ,気持ちよく提供することにしました。

 正直な話,私自身はAppleTVに興味がありつつも,具体的な使い道を考えつかなかったので購入を見送ったところでしたから,嫁さんの所有物であるとはいえAppleTVがどれほどのものなのか,気にはなります。

 簡単にレビューを書いてみましょう。


・簡単?難しい?

 接続は死ぬほど簡単です。HDMIでテレビとつなぎ,電源は直接AC100Vに繋ぎます。ほんとにこれだけです。

 ここで「簡単だ」などという話になると,これは実は正しくありません。ここからがとても大変で,私が思うに,およそ素人さんには無理なんじゃないかと思うほどでした。

 AppleTVは,ネットワーク接続された環境でなければ,全く動作をしません。なぜなら本体にストレージを持たず,コンテンツの再生はすべてネットワークを経由するものだからです。

 ところがこのネットワークの設定がなかなか難しいのです。無線LANを使えば配線は必要ありませんが,まず無線LANのアクセスポイントに対し,AppleTVのMACアドレスを登録し,接続許可をしなければなりません。

 はて,AppleTVのMACアドレスってどこに書いてあるの?

 これを探すのに15分。箱にも説明書にも本体にも書かれておらず,二人は途方に暮れました。

 答えは,電源をいれて,メニュー内の情報を表示することでわかりました。まずMACアドレスフィルタリングの設定をしてから電源を入れようとすると,永遠に電源が入りません。やられました。

 続けてネットワークの設定です。

 うちは固定IPで運用をしていますので,DHCPではありません。使いにくいリモコンでポチポチと設定を続けることは,もはや拷問です。

 DNSサーバの設定がおわると,設定完了,のはずです。ですが,画面が次に遷移しません。設定完了のボタンを押しても,次に進んでくれないのです。なにか設定が間違っているのかなあと,もう一度あの拷問を甘んじて受け,戻るボタンを連打して最初からやり直しますが結果は同じ。

 ぶち切れて戻るボタンを連打,メニューまで戻ってみると,あろうことか無線LANに繋がっていると表示されています。なーんだ,設定は済んでいたのか・・・それならそういってくれよー。

 拷問で傷ついた心と体を引きずりながら,いよいよ真面目に操作をしてみますが,なにやらテーブルの上の嫁さんのMacから「プツプツ」という音がすることに気が付きました。もしかして・・・そう,AppleTVのリモコンに,MacBookも反応しているのです。

 上下キーを押すとMacBookの音量も変化してしまいます。これは大変困りました。Appleは,AppleTVのユーザーに,Macユーザーがいないと思っているのでしょうか???

 きっと無効にする方法があるだろうと試行錯誤に血みどろになっていると,どうも本体とリモコンはペアリングが出来るらしいのです。日本の家電では,リモコンにスイッチがついていて,こうした問題は起こらないようにわかりやすく出来ていますが,さすがというかなんというか,Appleはペアリングをするんですね。

 いろいろ試していると,どういうわけだかAppleTVがリモコンに全く反応しなくなってしまいました。どうやら,ペアリングを行った上で,解除してしまうと動かなくなるようです。

 こうなると初期化が必要ですが,AppleTVにはなんのボタンもありません。リモコンでしか操作できない製品を,どうやって初期化するのでしょう。

 途方に暮れて私は絶命しましたが,嫁さんが初期化の方法を見つけて,根気よく設定をしました。よって私は,どうやって解決したのかを知りません。

 ここまで,約2時間経過。果たして皆さんは,これを「簡単」といってよいと思いますか?私は理不尽な難解さ,これすなわち「不条理」を感じました。


・使い心地

 せっかく動くようになったのですから,少し使ってみましょう。電源スイッチはなく,操作をすればスリープから起き上がって動き出します。一定時間操作しないとスリープに入るので,ユーザーが能動的に電源を切ったり入れたりすることは,基本的には必要ありませんが,そういう概念も真新しいですから,丁寧に説明が欲しいです。

 動き始めるとサクサクと小気味良い間隔で動き,このあたりはAppleの真骨頂です。もともとOSもCPUもiPhoneやiPadのそれと同一ですので,当たり前の心地よさです。

 日本語の入力が出来ない事は,想像以上に厳しい制約です。特にYoutubeは日本語が入らないと,ダウンタウンの名コント「やすしくん」になかなかたどり着けません。

 そんなこんなでYoutubeは問題なし,大画面でみると面白いものですが,これって冷静に考えるとPS3でできる事ですね。それを言い出すとなんでもそうで,映画のレンタルもネットワークで再生することも,PS3で既に実現していますが,私はやったことがないのです。Appleという会社は,こういう無関心な人にもアピール出来てしまうんですね。怖いです。


・映画を見る

 せっかく買ったのですから,夫婦で映画を見ようということになりました。何を見ようかと考えたところ,公開時に見よう見ようと思って結局見そびれていた,ドリームガールズを見る事にしました。もちろんHDでです。

 2時間以上の映画ですから,終わる時刻を考えて,満腹で苦しいおなかをかばいながら,大慌てで夕食の後片付けをします。やっと終わったとAppleTVを操作し,レンタルをしてみます。

 カードの番号の入力に少し手間取ったのですが,手続きは完了。さーみるぞ,と意気込んでみたものの,再生が始まりません。

 ・・・再生できるのは,1時間以上あとだと表示されています。詐欺だ。

 ストリーミング再生出来るんじゃなかったのか,我々は何のために苦しいなか急いで片付けをしたのだ!

 怒りにまかせ,私は風呂に行きました。風呂から出てくると再生可能になっていました。結局再生可能になるのに,1時間半ほどかかりました。

 「1時間もあったら,ツタヤにいって帰ってきて,また返しにいって戻ってくるだけの時間があるやんけ」と毒づいた私を,哀れなものを見るような目でみた嫁さんを忘れません。

 確かにAppleTVは,AppleTVで直接映画をレンタルすると,ストリーミング再生が出来ます。ですから,ダウンロードが全部終わってからでないと見る事ができないというわけではありません。

 しかし,ネットワークの帯域が狭い場合には,途中で途切れることのない程度にバッファリングをしないといけません。AppleTVはなかなか上手に,再生のビットレートとネットワーク帯域の幅から,どれくらいバッファリングすべきかを計算しているようです。

 うちは,ADSLで実力5Mbps程度です。HDのAVCのビットレートがもし5Mbps程度なら,10分程度バッファリングすれば済むでしょう。全部で2時間の映画を,プログレスバーを見る限り半分程度バッファリングしたということは,3時間30分かけて2時間分のデータを取り込んでいることになります。

 ということは,うちのネットワーク帯域である5Mbpsでは全く足りず,その1.75倍の帯域,つまり9Mbps程度ないといけないという事になりますね。

 これから,1280x720のAppleTVのHDのビットレートを9Mbpsとしますと,720x480のSDではこの1/3として3Mbps。これなら全然うちでも間に合いますね。MPEG2はAVCのざっくり倍ですから,DVD-Video出考えると6Mbps相当になりますので,SD解像度の映画でも,ごく普通のDVD-Videoと同程度の画質は期待できそうですね。

 ということで,AppleTVでHDの映画を堪能するなら,10Mbps以上の帯域は確保することをおすすめします。


・画質

 画質は悪くないです。上手く調整をしてあるせいか,9Mbps程度のHDでも目に付いた破綻はありませんし,ごく普通に楽しめました。バッファリングが長かったぶん,途中で止まったり途切れたりすることもありませんし,見ている間は全く違和感も不自由さも感じませんでした。


・結論

 すでにおわかりのように,AppleTVは映画をレンタルして見るという事に限れば,とてもシンプルな仕様になっています。しかし,ここでMacのiTunesと連携する,iPhoneやiPadと連携する,ということになると,途端に話が難しくなります。特に従来AirMacExpressでのみ許されていたAirTunesがAirPlayと名前を変え,AppleTVに対しても音楽をストリーミング出来るようになったので,そういう利用方法が出てくるととても便利になってきます。

 うちはすでにAirMacExpressでAirTunesを使っていますので,特にAirPlayの必要性を感じませんが,AppleTVの底なしのポテンシャルを使い切ろうと考えると,素人にはかなり難しい領域になるように思います。

 価格は8800円,小さくて格好良くて,接続は簡単,使いこなしは底なしに難しく,その代わり自由度も大きいくせに,DLNAには対応しないばかりか,実はPS3でできる事ばかりだったりするこのAppleTVに対する評価は,ちょっと分かれるかも知れません。

 でも,iTunesとの連携でいえば,実質これしか答えはありません。それ相応の覚悟を持って買われるなら,幸せになれる機材といえるかも知れないです。

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