スカイツリーとハイレゾ音源
- 2012/05/08 12:27
- カテゴリー:マニアックなおはなし
この連休は,実家から母が6ヶ月になる娘の顔を見に来たり,たまった家事を片付けるなどで慌ただしかったのですが,趣味関係でちょっと気になることがあったので,2つほど片付けました。
(1)NHK-FMの受信状況の改善
スカイツリー?ああ,もともと業平橋だったところでしょ?くらいの,蚊帳の外っぷりに甘んじていた私ですが,なんと,NHK-FMとJ-WAVEが,東京タワーからスカイツリーに送信アンテナを移したんだそうです。
いやー,抜け落ちていました。全然知りませんでした。
4月23日からということですので,すでに送信場所が変わっています。
これがなんで大ニュースかと言えば,今までの送信所では状況が悪すぎて,FM本来の音質を楽しめなかったのです。
その元凶は,マルチパス。送信アンテナから出たアンテナは,FMチューナーのアンテナにまっすぐ届く電波以外に,あちこちに反射して少し遅れて届くものもあります。
この時間差が問題で,歪み,ギュルギュルという音が混じるなどの,どうしようもないくらいの受信障害を引き起こします。
東京タワーからの電波は,周囲の高層ビル群に反射しまくって届くため,はっきりいって都内で満足にNHK-FMを受信出来る人は少ないのではないかと思います。
東京スカイツリーになっても,高層ビル群が消えてなくなるわけではありませんが,なんといっても高さが違います。アンテナの地上高が東京タワーが204m,対するスカイツリーは550mと,かなりの高さです。
かなりの指向性を持つビームアンテナを用いてもマルチパスから逃れることが出来なかったNHK-FMの受信は,今回の変更でかなり改善されるというレポートがあちこちにあります。私も早速状況を確認しました。
結果ですが,アンテナの向きを再調整しないといけませんでしたが,まず歪みは激減しました。受信レベルが1つ下がってしまい,これに伴ってS/Nも悪くなっているように感じるのですが,歪みがこれだけ下がるというのは大幅な改善です。
NHK-FMは,本来持っている音質は良いにもかかわらず,受信状況の悪さのせいでその音質を楽しめずあまりに残念だったのですが,これだけ改善されれば問題なしでしょう。
この秋の東京Jazzの生放送が楽しみです。
(2)ハイレゾ音源
先日,Steely DanのGauchoのSACDに感激した私は,最高傑作とされるAjaもSACDで手に入れたいと思いました。でもこれ,高いんですね。4500円もします。しかもSHM-SACD仕様ということで,ハイブリッドではありません。みんな文句をブーブーいいつつも,結局買って「素晴らしい」というので,滑稽なものです。
先日届いたので聴いたのですが,楽曲も音質も素晴らしく,少々高価であっても良い買い物だったと思います。素晴らしい音楽との出会いは,まさにいくつになっても起こりうるもので,その深さと複雑さに,めまいがするほどです。
それでGauchoですが,これはDVD-Audio版が安価で売られていることを知りました。しかも,自分のオーディオ機器がこんなにいい音がするのかと見直すと言うほど,いい音なんだそうです。
そこで私も,DVD-Audio版を購入し,24/96で取り込んでN-30でならしてみました。SACD版も良かったのですが,こちらはこちらで,素晴らしいです。SACDと違い,汎用フォーマットですから,今後はこちらがメインになりそうです。
ただ,最初からハイレゾ音源を前提にして録音されたものと違いますので,ハイレゾ音源の最大のメリットである小音量・高次倍音の再生能力について,目立った違いはないように思います。
しかし,奥行きや低音の出方など,さすが24/96と思われる音が出てきていますので,もう普通のCDには戻れません。
24/96の素晴らしさは,実際に聴いてみないとわかりません。24ビットのダイナミックレンジは,音が消えゆく瞬間を見事に再現し,96kHzのサンプリング周波数は,豊富な非整数次倍音を含む打楽器や金属音を,まさに抜けるような音で聴かせてくれます。
16bit/44.1kHzも決して悪くはありません。しかし,24bit/96kHzの前では,すでに歴史上のフォーマットに過ぎないと,言ってよいでしょう。
今市販されているヘッドフォンは,安いものでもその違いを再現できる力はあると思います。ヘッドフォンアンプや音楽プレイヤーには不安もありますが,まず最初に24/96の再生能力を持たない限りは,どうにもなりません。
ストレージの価格が下がり,プロセッサの演算能力が上がっている昨今,それを音質向上に向ける動きが,もっと本格化することを願ってやみません。