スロージューサーを買う
- 2016/05/23 15:09
- カテゴリー:散財
4歳の娘に,ミックスジュースなる物を作ってあげようと思い立ち,バナナとオレンジとキウイフルーツに牛乳を入れ,ブラウンのブレンダーで細かく粉砕したものに,メイプルシロップを入れた物を出したところ,これがまた随分と喜んでくれたのです。
これはこれでうまくいったのですが,ブレンダーは刃が高速回転するし,洗うときにも危険だという事と,音が大きくて使うのが億劫という問題点があり,それなら小型のジューサーを買ったらどうかという話になりました。
で,一人分のジュースを作る小型のジューサーを探していたら,スロージューサーなるものが流行していることを,ふと思い出しました。
存在自体は知っていたのですが,ゆっくり果物を搾ることで得られるメリットに対し,繊維を「絞りかす」として捨ててしまうことになるデメリットが気に入らず,これまでも興味の対象にはなっていませんでした。
オレンジ1個から搾り取れる果汁はカップ1杯に満たないものですが,そのまま1個を丸ごと食べると,随分と満足感が得られるものです。しかもおいしいでしょう。
わざわざジュースにする理由など,見当たりません。
ジュースにすることのメリットと言えば,他の果物を混合して味をデザイン出来ること,皮を剥いて食べるなどの手間をかけずに済む事(これは食べるときに手間がかからないというだけの話で,作る時に手間がかかってますから,あまりうれしくありません)くらいのもので,効率は悪い,手間はかかる,片付けも面倒くさい,とデメリットばかりなわけです。
ですが,娘がジュースという存在そのものを面白いと思うのであれば,話はちょっと違ってきます。
ここで,もう一度スロージューサーのおさらいです。毎分40回転程度で果物をすりつぶし,果汁をとるのがスロージューサーです。これまでの高速回転する刃で切り刻むジューサーと違うのは,
繊維質を分離するので舌触りがよい
かき混ぜないので空気に触れず,酸化しにくい(栄養素が壊れにくい)
静かで安全
ということのようです。デメリットはこの裏返しになり,繊維質を取る事が出来ない,カスを捨てるからもったいない,ミックスジュースを作るなら混ぜないといけない,ということになります。
なので,どうもメリット・デメリットというよりは,個性の問題という感じがします。しかしこのスロージューサー,4万円も5万円もするものらしく,そんなものがヒットしているというのがにわかに信じがたいところでした。
ところが,登場してから数年経ち,価格もこなれてきていることがわかりました。この分野を切り開いたシャープのものも,新機種機との入れ替えの関係で2万円ほどで買えますし,パナソニックのものも2万円ちょっとです。
そうなってくると,本当にこれを使ってメリットがあるかどうか,という話になるわけですが,こんな風に考えてみました。
・ミックスジュースを主に構成することになるバナナやキウイフルーツは,そもそも皮や種がないので,ペースト状になる。ゆえにカスが出ないだろう・
・オレンジやグレープフルーツは,雑味が出るので内側の袋は出来るだけ取り除いて,果肉だけでジュースを作る物なので,それが自動化されると考えればカスが出るのは当たり前。
・そもそも,高速で粉砕するタイプのジューサーだったら,今あるブレンダーで十分対応可能。わざわざジューサーを買うんだから,ブレンダーでは出来ないものでないと意味がない。
・凍らせたら果物を使えばフローズンが出来るらしい。これは喜ぶだろう。
よくもまあ,こんな都合のいい話をポンポン思いつく物だと自分でも感心しますが,とにかくここまで来たら,もう購入にむけての反対勢力は散り散りになっています。向かうところ敵無し。意気揚々とポチるだけです。
果たして,土曜日の午前中に届いたのは,シャープのスロージューサー「ヘルシオ ジュースプレッソEJ-CF10A-R」です。6月に発売になる最新機種との差は,音がやや小さくなることと,青汁がうまく作れるようになることだそうです。いらんわ。
まず,嫁さんの第一印象は,でかいこと。これは私も同感で,想像を超えた大きさでした。貴重な常設場所を確保するには,かなりの稼働率をたたき出さないと認められない大きさです。
一応,購入した張本人ですから,開梱して洗って,使えるようにします。前日に凍らせてあったキウイを,フローズンにしてみましょう。
フローズン用の刃を取り付け,説明書通りに組み立てます。投入口から小さく切ったキウイをいれます。ぐいーんと大きな音を立てて,みるみる潰れていくキウイ。
本来カスが出るところから,フローズンが出てきました。
大喜びの娘に,食べてもらいます。
「どう?」
「おいしくない」
私も食べてみましたが,酸っぱくて,はっきりいって美味しくありません。どうも,アイスクリームやシャーベットの味を期待して口に入れて,すりつぶしたキウイの酸っぱい味しかしないので,脳ががっかりするようです。
0勝1敗。
気を取り直して,バナナのフローズンです。凍らしたバナナがありますので,これでフローズンを作ります。リベンジです。
しかし,投入したはいいのですが,なかなかつまって出てきません。時間が経つうちに溶けてしまい,グニャグニャの,ただのバナナペーストになってしまいました。
「どう?」
「まずい」
嫁さんが笑いを堪えて,娘の残した「かつてフローズンと呼ばれたバナナ」を食べてみますが,「これはバナナをすりつぶしたものだ」と,まるで大辞泉のようなこと言っていました。想像するにまずそうなので,私は食べていません。
0勝2敗。
次に,オレンジを使ったミックスジュースを作ります。ジュース用の刃をセットして,皮を剥いたオレンジに続けて,説明書の通り,バナナを等量の牛乳と一緒に入れます。
オレンジからは盛大にカスが出てきました。そしてバナナは牛乳でドロドロになって,山芋のすり下ろしのように,ぼたぼたと出てきます。しかし,バナナが詰まってしまい,スクリューがグルグルと回転する透明な容器の中で,バナナと牛乳がぐちょぐちょと撹拌されているだけの様子です。
途中で止めて,娘の目の前に。
「どう?」
「もうのめない」
・・・嫁さんは無言で,オレンジのカスをスプーンで食べています。娘が残したジュースを嫁さんも口にしましたが,「ドロドロのバナナに牛乳を混ぜた物」と,まるで広辞苑のような感想を述べていました。
0勝3敗。
これだけ連敗が続けば,常設場所はおろか,ファーム落ちですよ。まずいです。
とにかく,まともなジュースを作る前に勝手なことをやるからうまくいかないわけで,ここはグレープフルーツを1個丸ごと使って,100%のジュースを作って,スロージューサーのメリットを精一杯アピールしてもらうことにします。
皮を剥いて,袋のまま投入します。ドボドボとジュースが出てきますが,カスも一杯出てきます。
しかし,これは見た目にも美味しそうです。娘に出します。
「どう?」
「おいしい」
やったー。やっとグラスを空っぽにしてくれましたよ。私も少しもらいます。うん,確かにおいしい・・・おいしいけども,グレープフルーツの味だよな,それならグレープフルーツをそのまま食べりゃいいんじゃないか?
嫁さんも飲みましたが,「100%ジュースが高い理由がわかったよ」と,これまたスパイスの利いたコメントを頂戴致しました。
0勝4敗。
そして,毎回毎回嫁さんから出たコメントは,「シンクの排水口フィルターが詰まる」でした。かなりむかついていたようでした。
そしてその日の夜,娘は既製品の桃のゼリー(自分でスーパーで選んだ)を,美味しそうにほおばっていました。0勝5敗。
さらに翌日,デザートにグレープフルーツを食べたいという娘に,ジュースにするか,そのまま食べるかと聞いたところ,そのままという返事をもらうに至り,試合すらさせてもらえず,0勝6敗です。
てなわけで,今のところ,手間がかからず,コストがかからず,ゴミが出ず,美味しく,繊維も摂れるようなジュースを,このマシンを使って作れない物かと,今後も検討し続けることになりそうです。
結論としてですが,柑橘系など果汁の多い果物を100%ジュースにする場合は,とても美味しい。美味しいけども,そのまま食べるのと本当に同じ味がするので,メリットとしては袋や種を出さなくてもいいという,面倒臭さのちょっとだけ回避,という感じです。
フローズンはかなりそのままで食べるのは厳しいです。脳が混乱します。
バナナは牛乳と一緒にして,柑橘と合わせれば美味しいミックスジュースになりそうですが,ブレンダーの方がもっと美味しくできそうです。
この悲惨な状況をよそに,嫁さんは「ああ,ジャガイモをつぶせるのね」と言ってました。ああ,スロージューサーが,芋を潰すマシンになるとは・・・
どうすんのよ,これ。