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知恵と工夫でPoly-Liteをシングルウォールリムに使う

 自転車のメンテシリーズ,今回はハンドルバー,クイックリリース,リムテープの交換です。

 まずハンドルから。

 これまでついていたハンドルは鉄製で,錆びてみっともなかったということと,ポジションはやや低めでバーハンドルだったことから,前屈姿勢のため視野が狭くて怖かったため,もう少し体を起こして乗りたいなと思っていました。

 ハンドルの高さはこれ以上上げられない様子なので,ハンドルバーを交換することにします。今度はバータイプではなく,昔の自転車のように少し曲がったプロムナードというものを選んでみました。40年ほど前のデコチャリによくあったやつですね。

 当時私が乗っていた自転車はドロップハンドルだったので,それにしてもいいかなと思ったのですが,視野の狭さが解決しないことに気が付いてやめました。

 交換作業はスムーズで簡単だったのですが,やはりというなんというか,ワイヤー類が短くなってしまっていました。一番深刻なのはブレーキワイヤーで,長さはもうはやギリギリで,調整後は全くゆとりがなくなりました。

 これでブレーキワイヤーも交換するというのはもったいないですから,次の機会にやり直します。

 ディレイラーのワイヤーは幸い変更はなく,フロントに至っては再調整の必要もありません。これは助かりました。

 で,早速乗ってみましたが,本当に楽になりました。前屈みはしんどいですし,前が見えないので怖いです。音も良く聞こえるようになりましたし,自分にとって一番楽な速度域で流すという事が出来るハンドルです。

 あらためてみるとレトロと言うより古くさくてダサイんですが,まあもうそんなことを言っていても仕方がありませんので,私は楽を取りますよ。

 次,クイックリリースです。

 リアのクイックリリースの調整ネジ(レバーの反対側のネジ)のキャップが空回りするようになってしまい,ちょっと怖くなりました。そうでなくてもレバーを倒すときに渋いですし,サビがひどく出ていてみっともないです。

 そもそも20年も使っているのですから,破損も心配です。そこで高いものではないんだし,と言うことで交換することにしたのです。

 私のCOM70Mのハブの幅(OLD)は,フロントが100mmと標準的なもの,リアが135mmでした。クロスバイクで135mmは一昔前なら普通なのですが,近年は130mmが一般的だそうで,あまり見かけなくなっているそうです。まあ,COM70Mはボスフリーで135mmですから,もはやホイールも補修部品で探すしかないんですが・・・

 で,シマノのクイックリリースを探してみると,長さがなんだかおかしいです。どうもシマノ場合OLDではなく全体の長さが書かれているみたいで,フロントは135mm,リアが168mmというのが,それぞれフロントとリアのOLDである100mmと135mmに適合します。

 で,これもまた前後でセットではなく,完全にばら売りなので面倒です。前後を揃えるのに一苦労,ホイールの部品の1つという扱いらしく,クイックリリースは交換部品みたいです。

 フロントは980円の安い物が見つかったんですが,これと同じリアの物がありません。そこで探し回った結果,WH-6800という旧品種のホイールとセットだったものを買いました。1つで1800円ほどしたので,合計で4000円近くです。随分高くついた物ですが,届いたものは実にしっかりしていました。これも昔なら安かったのかも知れません。

 これを交換するついでに,気になっていたものを交換します。リムテープです。

 リムバンドともいいまして,リムの内側にかけるゴムのテープなんですが,これがないとスポークをリムに固定しているニップルの頭の飛び出しがチューブに穴を開けてしまいます。劣化するのでチューブと同時に交換するのがいいんですが,私の場合面倒だという事でずっと交換せずにいました。

 しかし,今回はきちんとしましょう。2ヶ月前にチューブを交換したわけですが,今さらながらもう一度分解して,リムテープを交換します。

 今回はパナレーサーのウレタンテープ,Poly-Liteを選びました。ウレタンテープが一般的になっているみたいで,安いゴムの物はあまり見なかったのですが,ウレタンは使わなくても放置するだけで加水分解でボロボロになりますし,一方のゴムは20年以上もその役割を果たしてくれている訳ですから,個人的にはウレタンを信じていません。

 また,前回はあまり意識せずにタイヤの交換も行ったので,タイヤの向きもフロントとリアで逆になっていて格好悪い。幸いパナレーサーのコンフィには回転方向の指定はないのでこのままでもいいんですが,やはりこれは気分の問題として,ロゴマークが右側に来るようにし,かつバルブの真上に来るようにしましょう。

 で,早速交換作業です。なんと,ここで私はまた失敗をしてしまいました。

 交換前のゴム製のリムバンドの幅もちょうど15mm。同じ幅ですので問題ないはずとリムテープをはめていくのですが,どうも上手くおさまりません。リムの真ん中の溝にきちんと入り込まず,テープの端っこが起き上がっていて,チューブにあたりそうです。

 ゴムと違いウレタンですから結構固いですし,チューブのゴムが負けてしまうでしょう。どう考えてもこれ,パンクの原因になりそうです。

 上手くU字のようにはめ込むことが出来ればいいんですが,それでもやはりテープの端っこがチューブにあたることを避けられそうにあります。

 どうしたものかとパッケージをみたら,「シングルウォールには使えません」とあります。ん?シングルウォールってなんじゃ?

 調べてみるとリムの構造で,高級な物はリムが二重構造になっていて丈夫になっているそうです。これをダブルウォールリムと言います。アルミの押し出し材が使えるからこういう素晴らしい構造が可能になるんですね。この場合,ニップルは外側の壁に固定される一方,チューブは2枚目の壁に接することになるので,チューブに傷がつきにくいです。チューブに穴を開けるのは,ニップルを通す穴くらいのものです。

 一方ママチャリを含む一般的で安いリムは二重になっていませんので,ニップルがそのままチューブにあたります。これがシングルウォールリムなんですが,Poly-Lite使えないとまあこういうことになるわけです。

 私はこういうリムしか見た事がありませんので,まさかPoly-Liteが使えないなんて思わないじゃないですか。

 ならばと,普通のゴム製のリムバンドを探してみますが,これがなかなかいい物が見つかりません。幅が同じで700Cに対応する物を探しますが,高いもの,日数がかかるもの,選択肢が少ない上に都合の良いものも見つかりません。

 26インチの物を無理矢理使うことにしてamazonに注文を済ませたところで,もう一度Ploy-liteを使うことを考えてみます。

 先人達の中には,3mm程度のクッションテープを巻き付けて段差をなくして,その上からPoly-Liteを巻いて使っている人がいます。皆さんパンクには困ってらっしゃるみたいです。

 それも1つの方法かなあと思いつつ,じっと眺めていると,要するにニップルがカバー出来ればいいわけで,それならリムに沿って巻き付けるのではなく,リムから浮かせてU字にしてやればいいんじゃないかと思ったのです。

 テープの端っこがリムのくぼみにはまり込んで足になってくれれば,尖った物がなにもない柔らかいテープの真ん中が盛り上がってかまぼこのようになっている部分はズレることもなく,膨らんだチューブに沿って変形しつつ,しっかり支えてくれそうです。

20241015143710.jpg

 わかりますかね,Poly-Liteがかまぼこのようになってリムの溝にはまり込んでいる様子。こうしておけば,Poly-Liteの反発力でチューブが浮き,ニップルに直接チューブが触れないように出来るのはもちろん,Poly-Liteの端っこなどの固い部分にチューブが触ることもありません。しかも空気圧に従って理想的な形状にPoly-Liteが変形して,チューブを守ってくれそうです。

 気をよくして早速チューブとタイヤをセット。空気圧をとりあえず4.5barまで入れて様子を一晩みてみますが,空気は抜けていません。

 同じようにリアも処理して,結局Poly-Liteをシングルウォールのリムに使ってみたという話になってしまいました。理屈の上では我ながら良いアイデアだと思っているのですが,実際に走ってみて上手くいくかどうかはまた別の話。今後注意していこうと思います。

 出来上がった車輪をフレームに取り付け,新しいクイックリリースで固定して完成です。新しいクイックリリースはいいですね,こくっとロックがかかりますし,しっかり挟み込んで安心感が違います。

 さて,これで本当にすべてのレストア(メンテではなくもはやレストアといっていいでしょう)が終わったのかと自問すると,1つ忘れていたところがありました。

 ハンドルやフロントフォークなど,前輪に関係する部分の分解や点検です。特にハンドルが回る部分はグリスがなくなっていると思いますので,このまま放置するのは気分的にも良くありません。

 ですが,私はこの部分の分解をしたことがないので,特に問題が出ている訳ではないこともあり,分解しておこうという発想がありませんでした。

 逆に言うと,この部分さえ点検してグリスアップしておけば,本当の意味でレストアが完了です。すべての部分に私の手が入った状態ですので,自己満足という意味でもやらない手はありません。特に部品の注文もいらないと思うので,時間を見つけて作業をしようと思います。

 
 ここまで一区切りということで,軽くフレームを自動車のワックスで磨いてみました。

 しかし,ワックスをかけると大分フレームも傷んでいたことが見えてきました。錆も出ていますし,塗装もひび割れが出ていました。PEUGEOTのロゴも私の大好きな旧ロゴですし,形状も気に入っていますので大事にしたいところではあるのですが,20年ですし仕方がありません。

 それに,実はホイールもブレがあります。曲がったり打撃痕があったりするわけではないのですが,何度か転倒していますしちょっと心配ではあります。

 リムはAREXRIMSのP20Fと書かれていて,ハブはFORMULAとロゴがあります。以前のクイックリリースも同じブランドのものでした。

 これを丸ごと交換すれば,前後で2万円は最低かかります。それだけではなく,特にリアは135mmのものを探す必要がありますし,スプロケットもボスフリーではなくカセットのものに替わるでしょう。

 そうするとスプロケットも交換です。7速以外のスプロケットにしてしまったらシフトレバーも交換ですし,ホイールを交換すると快適になるという話は良く目にしますので残念ですが,結構大ごとになってきますのでホイールはこのままでいいです。

 心配なのは,スポークが折れてしまった場合です。スポークが折れたら折れたものだけ交換してもいいんですが,なにせ20年以上使っていますので,他も折れやすくなっていることでしょう。いわばその場しのぎなわけで,アルミのリムは消耗品だと言う人もいるくらいですから,スポークが折れたら一大決心が必要になると思います。

 そうそう,ブレーキですね。ブレーキは前後とも時代遅れのカンチレバーですが,別に不満はないし調整もきちんと出来るので,これもVブレーキにしようとは思っていません。それにカンチレバーブレーキのブレーキシューも予備で買いましたので,数年はこのままです。

 ということで,今後こそ自転車のメンテは終了です。思えば随分頑張りました。レストアと言うより現在手に入る部品で組み立て直した感じさえします。私にとってはメインの自転車ですので,快適性も粗末に出来ないので,フロントはシングルから3速にしましたし,ハンドルも交換しました。

 1つ2,3000円だからと始めた部品の交換ですが,10回買い物をすれば30000円です。あれ,COM70Mって確か39800円で買った記憶が・・・工具を買ったり,実際には使わなかった部品(交換用に最初に買ったチェーンリングは新品ですが捨てました)も含めると,ちょっとした自転車が買えたかも知れません。

 この話を嫁さんにすると,まあいじった楽しみを買ったと思いなさいよと,女神のような優しいお言葉を賜りました。そうなのです。今回オノ自転車のメンテは,実は実物大の模型工作のようなものだったのですよ。

 途中からは屋内での作業を許してもらって快適な環境で作業を進めることもできましたし,プロや先人達の知恵がネット上に転がっています。ホントにこれでいいのかなあと迷うことも確かめながら進めることができます。

 そういえば,パンクの修理だって我流ではなく,父に教わって出来るようになったのでした。何でもそうですが,最初から自分一人で出来る事などありません。

 出来ないと思っていたことが出来るようになる,他の人に任せていたことが自分で出来るようになるというのは,楽しい事です。部品が手に入って,時間も根気も技術あって,なにより自分で作業をするのが楽しいなら,自転車に限らずいい機会だと思って自分でやってみようと思います。

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