NECのTCXO
- 2016/09/13 13:53
- カテゴリー:make:
NEC製のTCXO(と推測される)ものを先日の秋月での買い物でいくつか手に入れました。スペックもさっぱりわからず,壊れている覚悟も必要という事で,1つ200円となかなかお安いです。
周波数調整用と思われるトリマーの調整穴をシールで塞いであるあたり,おそらくTCXOと見て間違いはないと思うのですが,とにかく買ってみるしかありません。
というわけで全部で5つ買いました。
DIPのロジックICと同じで,右下をGND,左上を5Vにつなぎ,右上から出力を取り出します。5つ全部,とりあえず発振しました。周波数も振幅も思ったほどばらついておらず,周波数はかなりよい精度で12.8MHzにあわせてあり,振幅は歪んだ正弦波で2.8Vp-p程度出ていました。
どうも50Ωくらいで終端しないと波形が暴れてしまうようで,周波数カウンタでも終端抵抗なしでは,高調波をカウントしてしまいました。
電源電圧を5V(5.0428V)にして周波数を測定すると,12.8000038MHzとなりました。12.8MHzに対し,+3.8Hzのズレです。他の4つも±5Hz以内に入っていました。5Vぴったりに対して0.04V高い電圧でしたので,5Vジャストではもう0.3Hz程低めに出るのではないかとおもいます。
いずれにせよ初期精度は±0.5ppm以内というところでしょうか。なかなか優秀です。
このうち1つを再調整したのですが,少し動かしただけで大きく周波数が変化してしまうため,元の精度を超える調整はなかなか難しいと感じました。出来る事なら再調整をせずに使うのが良いと思います。
一番気になっていた電源電圧に対する周波数の依存性についてです。先程のサンプルで実測したところ,
4.8049V : 12.8000026MHz
4.9027V : 12.8000029MHz
5.0428V : 12.8000038MHz
となりました。
4.8Vから4.9Vの0.1Vで0.3Hz変化していますが,4.9Vから5.04Vへの0.14Vでは0.9Hzずれています。0.1Vあたりで計算すると0.64Hz変化していることになります。
同じ0.1Vでも,0.3Hz変化するポイントと0.6Hz変化するポイントがあるというのが不思議ではありますが,どちらのケースでも変化は1Hz未満です。5.1Vに振った測定はやっていませんが,1Hz未満ではないかと思いますので,0.1Vに対して0.1ppm以下です。
何度かここでも触れた,秋月の正規品であるTCXO,VM39S5Gもついでに測定してみました。
4.8041V : 12.799987MHz
4.9044V : 12.799991MHz
5.0432V : 12.799997MHz
桁数が一桁少ないのは,NECのものと同じ桁数では最下位が暴れて読み取れなかったからです。この段階ですでに部品としての性能の差が見て取れます。
4.8Vから4.9Vの0.1Vで4Hz,4.9Vから5.04Vの0.14Vで6Hzずれています。0.1Vあたりで計算すると4.3Hzとなりますので,0.1Vあたりほぼ4Hzとなり,リニアな特性を示しています。他の方が発表している結果と一致しています。
それでも,12.8MHzの1ppmが12.8Hzですので,0.1Vの変化に対して0.3ppmということになりますから,大したものではあるのですが・・・
この結果から分かることですが,NECのTCXOはVM39S5Gに比べて,電圧の変動による周波数の変動が一桁小さく超高安定である,そして初期値もかなりの精度で調整がなされているということが言えます。
ゆえに,これはお買い得です。
うちでは,すでに引退してサブ機になってしまった自作の周波数カウンタのタイムベースを,VM39S5GからこのTCXOに交換しました。おかげで電圧に対する周波数の変動がぐっと少なくなり,また12.8MHzに再調整をかけることで,絶対精度と安定性の両面でやっと安心して使えるようになったと思います。
そんなに数があるわけではないですが,電圧変動による周波数変化が大きく出るのが当たり前なTCXOのなかでも,貴重な存在だと思いますので,欲しい人は早めに手配された方がいいと思います。