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私のAppleII~パドルが動かない

 修理が終わったAppleIIでしばらく遊んでいたのですが,思った以上にパドルやジョイスティックがないと全く遊ぶことが出来ないソフトが多いことに気が付きました。

 ジョイスティックがあくまでオプション扱いだった国産の同時期のパソコンでは,ほとんどの場合キーボードで遊ぶことが可能だったので,AppleIIでも似たようなものだと思っていたのですが,冷静に考えて見るとAppleIIではパドルが標準添付で,同梱のデモソフトの1つにあったブロック崩しもパドルが繋がっていないとゲームが始まらないというものだったりします。

 AppleIIのパドルはスイッチでもなく電圧入力でもなく,抵抗入力です。内部にかの有名なタイマICである555が4つ入った558というICがいて,コイツの時定数を外部のボリュームで可変するのです。

 その結果558の発振周波数が変化しますが,この周波数をソフトで読み取って,パドルの回転角を知るわけです。

 標準添付されたパドルはまさにツマミであり,ジョイスティックのような二軸のもんではありませんでしたが,後々オプションで販売されるようになったジョイスティックは,再田尾で4つまで接続可能なパドルのうち2つをX軸とY軸に割り当てていました。

 ボリュームは150kΩで,目一杯回して0Ωになった場合でも,本体内に100Ωが入っていますので発振は止まりません。

 ということで,amazonでプレスレ用に作られたと思われるアナログスティックのコピー品を安価に買います。これは10kΩですので,そのまま接続してもまともには動きません。

 そこでいろいろ調べてみると,GNDとの間にコンデンサを追加する方法がありました。なるほど,よく考えつくなあ。

 内蔵のコンデンサは0.022uFで,外部のボリュームが150kΩですので,その積は3300。これを10kΩで割ってやると,0.33uFになります。この組み合わせなら同じ周波数が発振するというわけです。

 早速作ってみました。問題ないはず・・・なのに,全く動きません。

 ボタンは動くのですが,パドルは全く動作してくれないのです。配線ミスかもしれないと思い,直接100kΩの抵抗をゲームI/Oに差し込んだのですが,反応なし。

 オシロスコープで波形を見てみると,発振していません。ははーん,これはよくある,558の故障だな。

 しかし,558はすでに製造中止。「買えない」「見つからない」「aliexpressで買ったら偽物が届いた」「555を4つ使った互換基板を作った」と,世界中のAppleIIマニアが558の故障に怯えて毎日を過ごしているのを知っているだけに,私も焦りました。

 しかし探してみると,秋葉原のお店で売っていることが判明。通販もやっているので早速手配しました。本場アメリカでは枯渇したICが秋葉原の店頭にあるとは,すごいです。

 数日後届いた558を交換しましたが,やっぱりだめでした。うーん,ここが故障しているわけではなさそうです。しかし,558は555に比べても単純な回路で動作しますし,4つのモジュールすべてが動いていませんので,どうも納得いきません。

 回路図を改めて眺めてみると,4つのモジュールで共有している0.1uFのコンデンサが目に付きました。普通の積層セラミックなのであまり気にしなかったのですが,調べてみると正常に値が出てこず,非常に小さい値を示しています。

 交換すると,まさにビンゴ。ちゃんとパドルが動くようになりました。積層セラミックって劣化するんですね。これ,DCで容量を測定すればほとんど容量が出てこず,しかし1kHzで測定すると正常な値が出てくるのです。こういう故障もあるんだなあと,いい勉強になりました。

 さすがに40年を超えた部品ですしから,そりゃ壊れるでしょう。ということで,一気にマザーボード上の0.1uFを全部交換することにしました。手間がかかりましたが,これで一安心。

 起動すると,なにやらカーソルの点滅がやけに速いのです。こんなものかなあと思っていたのですが,どうも気ぜわしいのでYouTubeで他の方のAppleIIを見てみると,やはりもっとゆっくり点滅しています。

 そういえば,AppleIIのカーソル点滅は,555を使ってハードウェアでやってたよなあと思い出し,回路図を見てみました。すると,ここでも0.1uFのコンデンサに3.3MΩと12kΩの抵抗でタイミングを作っています。計算すると理論値は2.1Hz程度になるのですが,実測すると2.8Hzと随分高速です。

 この部分のコンデンサは精度と温度特性を考えてセラミックではなく,フィルムコンデンサにしたので,値がおかしいという事は考えにくいです。新品ですので破損もないでしょう。

 ならば抵抗か,と周波数を決定する抵抗の3.3MΩを調べてみると,なんと2.5MΩほどに下がっていました。計算すると2.8Hz程度になりますので,これが原因だったようです。

 手持ちの3.3MΩに交換すると,点滅がもとの落ち着きを取り戻してくれました。

 抵抗,それも1MΩを越えるような高抵抗は,結構簡単に劣化して値が変わります。今回は近くにあるコンデンサの交換の際に熱がかかって,値がずれたのでしょう。

 他の抵抗も予防的に交換して,これでようやく完成です。

 電源ユニットの一次側のコンデンサも,高圧のコンデンサを入手出来たのでこの機会に全部交換しました。いやー,大変でした。

 これで思いつく所はすべて手を入れました。チェックプログラムも通ります。怪しかったキーボード裏側のスライドスイッチ(RESETかCTRL+RESETかを選ぶ)も直しました。

 あとは散々遊ぶだけです。試しにと始めたチョップリフターで,あっという間に1時間。ロードランナーは本家ならではのサークルクリアに見とれているうちに30分経過してしまいました。

 私のAppleIIはそれほど程度は良くなかったのですが,それでも致命的な故障はなかったですし,それでもプロンプトは出てくれましたので,対応が楽でしたし,必ず直せるという見込みも立ちました。ラッキーだったと思います。

 AppleIIへの理解が深まり,興味も出てきました。当時,AppleIIを買えたのは大人だけで,いわば今の私の年齢の人が手に入れたものだったはずです。もし私が当時生きていたら,今のような関心を持つのだろうと思います。

 それは,子どもの頃に使っていたPC-6001への理解の深さとは別の物で,単に長い時間使ったとか,自分の基礎を作ったとか,そういうノスタルジーとは違う,大人ならではの理解力の高さによる,楽しさなんじゃないかと思います。

 そういえば私は,PC-6001のメモリマップやVRAMの構成を,知りませんからね。

 もうしばらくAppleIIで遊ぶことにします。

私のAppleII~電源修理編

 さて,昨日のことなのですが,修理したばかりのApple2が,壊れてしまいました。

 リビングのテーブルにApple2を設置し,のんびりとディスクのフォーマットを行っていたところ,なんだかお湯が沸いたような音が出たと思ったら,突然ボンと爆発音がしました。

 煙がふわーっと立ち上がってプラスチックの焦げた臭いが広がります。不思議と本体は動き続けているので,私はてっきりディスクドライブが壊れたんだと思っていました。

 あわてて電源を切りましたが,煙はおさまりません。嫁さんが血相を変えてすっ飛んできました。このあとしばらく説教され,私は打ちひしがれながらApple2を自室に運び込んだのでした。

 よく見ると,電源ユニットから煙が出ています。しかもカラカラと音がしています。なにかの部品が吹き飛んだのでしょう,1980年の日付印が押されたASTEC製の電源ユニットですので,42年前ですから壊れてもそりゃ仕方がないです。

 しかし,爆発というのは妙にテンションが上がります。命の危険があると動物はアドレナリンを増やして活発に動くようになるそうですが,まさにこれです。

 気を取り直して電源ユニットを取り外して開封しました。このASTEC製のAA11040Bという電源は,開封に2ヶ所あるリベットをドリルで潰してしまわないといけませんので,ドキドキしながら作業を続けます。

 フタを開けると,見事に1次側のMPコンデンサが破裂して吹き飛んでいます。ACラインに入っている0.1uFです。焦げ臭いので,袋に入れたまま撮影しました。

 20220303115447.JPG

 ヒューズも切れていませんし,他の部品に破損や焼損はなさそうです。発熱や放電による変色も見られませんので,とりあえず壊れたのはここだけのようです。

 しかし,これだけの破損がありながら,なぜヒューズが切れなかったのかなあと思って回路図を見ていると,このコンデンサの後ろにヒューズがあるんですね。これじゃコンデンサの破損による事故を防げないですよね。いいのかなあ。

 早速修理ですが,あいにく私は高圧系の部品の在庫はほとんど持っていません。なので耐圧250VのAラインに使えるようなコンデンサなんて持っていたかなあと探してみたのですが,なんと半年前に買ったデジットのお楽しみ箱に数個入っていました。安規マークも入ったものなので,今回の用途にもってこいです。

 さらに,せっかくですので電解コンデンサも可能な限り交換しますが,やっぱりスイッチング電源の高圧側に使えるような高耐圧品の在庫を持っていないので,低圧側のコンデンサを中心に交換を行います。

 ここで失敗したのが,電解コンデンサの極性です。基板のシルク印刷が間違っていると思われる部分があり,回路図を確かめる羽目になりました。google先生に聞いてみると,どうも世界中のユーザーが同じような問題で困っているようで,正しい極性を調べることが出来ました。いくつか反対になっていたようです。

 外したコンデンサの容量をチェックすると,ほとんどのコンデンサで問題がありません。1つだけ半分になっていた物がありましたが,無理に交換する必要もなかったのかも知れません。

 高圧側についてもチェックしましたが,こちらも今のところ問題はなし。

 ところでASTECと言えば,今でも電源メーカーとして知られていますが,当時は香港で製造されていました。香港がまだイギリス領であり,西側と見られていた時代の話です。

 さすがに香港ということで,部品も日本製が多いです。まだ日本が製造で潤っていた時代ですからね,なんか感慨深いものがあります。トランジスタは松下やNECのものが多く使われていますし,電解コンデンサもニチコンのものが入っていました。

 さて,部品の交換を済ませたのち,目視で確認を行ってからこわごわ通電します。電圧は問題なく出ているようで,これなら本体に戻すことが出来るでしょう。

 本体に戻して電源投入。何事もなかったようにApple2は起動しました。

 一難去ってまた一難。そりゃ40年以上前の機械ですので,まともに動く方がおかしいのですが,予防的な交換作業も行えましたし,これでもうしばらく安全に使えるでしょう。
 

 

私のAppleII

 昨年秋に実家が引き払われ,すぐに必要がないが捨てるに惜しいものは,捨てるか自宅に運び込むかの判断を迫られました。

 多くが捨てられる運命にありながら(そしてそれは時に失敗でったことを思い起こさせますが),しぶとく生き残ったものがAppleIIです。

 このAppleII,経緯は良く思い出せないのですが,大学時代に働いていたパソコンショップに,ジャンクとして持ち込まれた大量の廃棄物に混じっていたものを,安く分けてもらったんじゃなかったかと思います。

 AppleIIに非純正の5インチドライブ,たったこれだけです。あとはお店に残っていた数枚のディスクのバックアップで,他の周辺機器もマニュアルも一切ありません。

 一応,DOS3.3が起動するところは確認出来たのですが,ProDOSは起動しません。そこから先はなにもすることが出来ず,また使い方もよく分からないので,そのまま放置していました。

 せめてなにかゲームが動けばなあ,と思ったりしましたが,ないものはないですし,そもそもこのAppleIIの素性がわからないですから,ゲームが動くものなのかどうかさえも判然としません。

 しかし,少し温かくなってきたこともあって,目の前にあるAppleIIを本気で動かして見ようという事になりました。(同時にPC-6001も復活させるのですがそれはまた後日)

 まず,このAppleIIが何者なのかです。調べてみると,AppleII J-plusであることがわかりました。RAMは48kB実装,ROMは10kBASICが搭載されています。キーボードにはカタカナも印刷されており,底面には冬至の代理店である東レのシールが貼られていますし,マザーボードにも"Toray"のスタンプがあちこちに押されています。

 当時わからなかったのはここから先で,まずJ-pulsとは何者なのか,です。互換性が低いので嫌われているとか,いろいろ話は耳にしますが,本当の所はどうなのでしょう。

 まず,東レが輸入したものですので,電源は100Vにもきちんと適応しますし,検査も行われています。信頼性は高いでしょう。ただし,F800からのモニタROMには,ベースとなったplusの"AUTOSTART"とは異なるROMが刺さっており,これが互換性を下げているのだそうです。

 ただ,この個体はROMがEPROM(2716)に換装されていて,そのためにCS2を反転させるインバータ(7404)を挟んだ下駄が履かされていました。これ,もしかしたらplusのAUTOSTARTに感想してあるんじゃないですかね・・・

 30年ぶりに通電しますが起動せず。ソケットを少し押し込めば起動するようになりましたので,接触不良だったのでしょう。

 次,ディスクドライブです。ニューテックという会社の互換ドライブ「飛鳥」で,チノンのハーフハイトのドライブが使われています。

 純正のDiskIIが良かったのですが,これもないものは仕方がありません。とはいえ,問題は互換性だけの話であって,信頼性や大きさなどは飛鳥の方がよいと思います。

 インターフェースカードは何故か純正と互換品の2枚が手元にあります。純正品は16と書かれたシールがあるので16トラック対応品でしょう。たしかどちらのカードも動作したと思うのですが,今回は純正品を使うことにします。

 これも最初は動かなかったのですが,抜き差しを何度かやっているうちに動くようになりました。接触不良には困ったものです。

 さて,ここまで動作する事がわかったので,一度分解して清掃します。ケースは風呂場でゴシゴシ荒い,キーボードはキートップを外して洗剤で洗います。マザーボードもホコリを払い,元通り組み立てます。

 綺麗になったAppleIIですが,さらに話を前に進めましょう。

 AppleIIには膨大なソフトがあるのですが,その多くが合法/非合法な形で,ディスクイメージとしてネット上に転がっています。体験するだけならエミュレータですぐ楽しめるのが良いところなのでしょうが,実機で動かすという話になると急激にハードルがあがります。

 AppleIIのディスクは一般的なフォーマットとは異なり,PCで書き込んだり出来ません。仮に出来たとしても,今どきPCに5インチの1Dや2Dのドライブが繋がっている可能性はほぼゼロでしょう。

 調べてみると,ADTProというソフトがあるそうで,これを使うとPCから実機に転送し,ディスクに書き込むことも出来るんだそうです。

 ただし,基本的にはAppleIIeやAppleIIcをターゲットにしているようで,私のAppleII+ではかなり大変なことがわかりました。

 まず,データの転送にはシリアルポートを使うのですが,AppleIIeやAppleII+ではSuperSerialCardなるカードが必要です。そんなもんあるかいな!

 そういう人のために,とカセットインターフェースを使う方法も用意されていて,その発想に感心したのですが,ディスクへの書き戻しはProDOSベースでないといけないそうです。

 そのProDOSはAppleII+でも動くのですが,RAMを64kBに増設しないといけないらしく,それにはLanguageCardなるカードが必要です。そんなもんあるかいな!

 とまあ,ここで詰んでしまったのですが,時代は21世紀です。今手元にある部品をかき集めれば,16kBくらいのメモリ増設など訳ないんじゃないかと,自作の道を模索してみました。

 AppleIIの生みの親のWozは,他社に先駆けてDRAMを手なずけて,安い価格で大容量メモリをAppleIIに与えることが出来ました。これがAppleIIの勝因の1つだと言えるのですが,私の手元には256kBitのSRAMが腐るほどあります。アクセスが簡単な非同期メモリであるSRAMを使えば,こんなカードは朝飯前,のはずでした。

 検討を始めて,私は増設っていうけど,どのアドレスにメモリを増設すんのよ,という疑問にぶち当たります。そう,AppleIIは,48kBのRAM,12kBのROM,そして4kBのI/Oがマッピングされていて,6502という8ビットCPUのアドレスをすべて使い切っています。

 64kBをすべてRAMにしてしまえば,ブートさえ出来ません。こういう時日本のマシンではバンク切り替えを使うんだよなあ・・・

 調べてみると,なかなかややこしいことがわかってきました。まず,64kBフルRAMしてBASIC以外の言語を走らせるために,LanguageCardというものがありました。

 これは16kBのRAMとF8のROMソケットがある純正カードですが,この16kBがマッピングされるのは本体のROMのエリアである$D000から$FFFFまでです。あれ,12kBしかこのエリアはあいていませんが,このうち$D000から$DFFFまでの4kBは,バンクを切り替えて2枚使えるようになっています。

 これで一応16kBマッピングできましたが,今後はROMとの切り替えが必要です。そこでカード内にソフトスイッチを設けて切り替えています。以下の様な感じです。

$C080 : BANK0のRAMをリード,ただし書き込みは禁止
$C081 : ROMをリード,2回目のアクセスでBANK0のRAMが書き込み可能
$C082 : ROMをリード,RAMへの書き込みは禁止
$C083 : BANK0のRAMをリード,2回目のアクセスでBANK0のRAMが書き込み可能
$C088 : BANK1のRAMをリード,ただし書き込みは禁止
$C089 : ROMをリード,2回目のアクセスでBANK1のRAMが書き込み可能
$C08A : ROMをリード,RAMへの書き込みは禁止
$C08B : BANK1のRAMをリード,2回目のアクセスでBANK1のRAMが書き込み可能

 いやはや,これを実装しないといけないんですね・・・面倒くさい。

 素直にLanguageCardやサードパーティーの互換品をデッドコピーすることも考えたのですが,これにはDRAMが使われているので面倒すぎます。ここはさくっとSRAMを使いたいのです。

 そこで,いろいろな回路を参考にして,256kBitのSRAMを使った16kB増設メモリカードを設計しました。

 256kBitだと計算があわない?鋭いですね,その通りで,今回は半分の16kBだけ使っています。もったいないですが,設計が楽なのでそうしました。

20220302153430.JPG

 これが完成写真です。SRAMは手持ちの関係でNECのuPD43256を使っています。あとは74HCが5チップで,なかなか小さくまとまっていると思います。余ったゲートは1つもありません。

 そうそう,~INHという信号を本体に戻す必要があるのですが,これ,本体内部でワイアードORされるので,オープンコレクタで出力しないといけないんですよ。でも,せっかくCMOSで作っていますし,わざわざこれだけのためにTTLを使うのもバカバカしいので,ここは基本に戻って,トランジスタで作ってあります。といっても抵抗内蔵のデジタルトランジスタなので簡単でしたが・・・

 あと,カードエッジコネクタと基板ですよ。今どきApple用のユニバーサル基板なんか簡単には手に入りませんので,MSX用のものを買いました。形がややいびつなのと,コネクタのサイズがやや大きいので削ったことを除けば,良い基板だったと思います。

 基板も高価ですし,せっかく作るのですから,真面目に回路を設計,検証して,間違いないように配線をしていきます。ソフトスイッチまわりはD-FFを多用しますので,その出力を上手く条件に当てはめて,SRAMのアドレスやらCSなどを作っていきます。

 慎重に進めた結果,一発動作です。これはうれしいなあ。

 DOS3.3では,整数型の6KBASICをこのカードにロードしてくれます。INTと打ち込めばプロンプトも>になりますし,6kBASICでないと動かないデモソフトも動くようになりました。

 さて,これでうちのAppleIIplusは64kBモデルになりました。ProDOSも動くはず・・・あれ,動きません。

 ロードが途中で止まりますので,RAMカードに問題があるのかも知れません。

 そこで,いろいろ調べたのですが,まずDOS3.3で6kBASICに切り替えが出来ているので,多分RAMは大丈夫なはずです。その後,どうにかRAMチェックプログラムを手に入れたのですが,やはり問題なしという結論になりました。

 ただ,このチェックプログラムは,文字化けがすごくて,まともに画面が表示されていませんでした。AppleIIeなど小文字が使えるマシンをターゲットにすれば文字化けも起こるものなので気にしてなかったのですが,どうも大文字ばかりが使われているようです。

 さらに同じプログラムでROMをチェックすると,F8のROMは"Unknown"となってしまいました。ここは本来"AUTOSTART"と出て欲しいのです。

 うーん,もしかしてこれがJ-plusの非互換性なのかも・・・

 とりあえず,AUTOSTARTのROMを入手しましょう。とはいえ,ROMそのものを手に入れるのはもう不可能。そこで,PlusのF8のROMイメージを手に入れ,これをEPROMに書き込むことにします。

 でも言うは易しで,私は2716や2732が書き込めるライタなど持っていません。これらはピン数が少ない,複数電源が必要,書き込みに21Vが必要ときつい縛りがあり,多くのROMライタが対応しなくなっています。

 ということで手持ちのライタで書ける2764を9316BというAppleIIのマスクROMに変換する下駄を作る事にしました。せっかくですので,PlusのROMの続きにJ-plusのROMも置いておき,スイッチで選べるようにしておきます。

 さっとバイナリを準備し,いざ書き込むとエラーで書き込めません。しばらく悩んだのですが,私が使っているLEAPER3cは27C64には対応していても,2764には対応していないことを忘れていました。そう,このデバイスには21Vの書き込み電圧が必要で,LEAPER3cは対応しないのです。

 仕方がないので27C256で書き込み,下駄基板を改造して本体に装着。凡ミスをいくつか修正して,起動させることができました。

 チェックプログラムでもROMを"AUTOSTART"と認識してくれるようになりましたので,ドキドキしながらProDOSをブートさせます。すると上手く起動してくれました。ああ,初めて見るProDOSの起動画面・・・

 こうなってくると,ADTProも動き出しますし,ゲームを書き戻すことも出来るようになりました。夢だったTimeZoneも,この目で実機で動くのを見る事が出来るなんて。移植版で死ぬほど遊んだChopLifterやLodeRunnerも,動いています。

 大きな感動に包まれ,こういう作業をちゃんと続けられる技術力がまだ残っていたことに安心したのですが,気が付いたのは5インチのFDの在庫です。2HDばかり手元に残し,2Dは捨ててしまったのですが,実はX68000もPC-9801も捨ててしまったので2HDには出番がありません。むしろ,X1turboやPC-6001,AppleIIといった2Dばなり使うマシンが残っているのです。

 しかも,貴重な10枚のブランクディスクは,カビにやられていました。

 そこで当時,高価だったディスクを節約する方法として良くおこなれた,裏返して使うという方法を試みました。

 AppleIIのディスクはかなり特殊で,インデックスホールを用いずソフトだけでセクタを管理します。なので書き込み禁止ノッチだけを開けてやれば,裏返しても使えるそうなのですが,果たして互換ドライブでも使える手口なのでしょうか?

 やってみたところ,上手くいきました。これでAE(ゲームです)なんかも1枚におさまります。

 ということで,立った1週間で急激にAppleIIを進化させました。まさか私のAppleIIのROMがAUTOSTARTではなく,それが原因でProDOSが動かなかったというのも,このAppleIIを入手した時には思いつくことすらなかったことでしょう。

 一発動作のRAMカードもうれしく,久々に30年前の根性による配線を堪能しました。面倒と思い土,やってみると楽しい作業でした。

 今回の製作にはもう1つ記念すべきことがあり,それはワイアリングペン用のワイヤを,とうとう使い切ったということです。

 それは小学6年生の時の話で,万能基板を使い出した当時の私は,配線をなんとか楽ちんに出来ないものかと悩んでいました。抵抗の足では交差させることができませんし,ビニール線では太くて盛りそばのようになってしまいます。

 そんなとき,ペンの先から細いワイヤーが出てきて,しかもハンダの熱で被覆が溶け,そのままハンダ付け出来てしまうと言う夢のような話があると耳にしました。当時よく行っていたシリコンハウス共立でも売られていましたが,輸入品だったのでびっくりするほど高価でした。

 そこで,消耗品として売られていたワイヤだけ買ってきました,それでも当時500円ほどしたと思うので,大変高価なものだったのです。

 本当にハンダの熱で被覆が溶け,そのままハンダ付けまで出来るのかなあと試したのですが,そんな甘い話はなく,被覆が溶けるのは事実でも,はんだめっきをしないでハンダ付けを行うのは難しく,そんなに作業が楽になるというものではありませんでした。

 ペン本体も,古いボールペンを改造して作ってはみたものの,やっぱり不便で使わなくなりましたが,一生かかっても使い切れないだけの長さのワイヤを,絶縁された極細のワイヤとして細々と使うことにしたのでした。

 しかし,数年後にはそこそこ使いこなせるようになり,このワイヤで多くのものを作ってきました。使っても使っても減ることのない,底なしのワイヤでした。

 そんなワイヤですが,少し前から量が減っているのが目立って来ました。そして今回,とうとう使い切ったというわけです。35年かかりました・・・

 実は,このワイヤはただのポリウレタン線で,コイルを巻いたり小型モーターをバラしたりすれば,簡単に手に入るものです。一応この太さのポリウレタン線はリールで買ってあるのでそれこそ一生困ることはないとおもいますが,独特の緑色で着色されたこのワイヤーが見納めになるというのは,さみしいと同時に妙な達成感もあったりします。

TDS3054BのRTCの電池を交換するためにAVRで治具を作る

 TDS3054Bというテクトロの古いオシロスコープは,私の持つオシロスコープでは最高のものです。4ch,500MHz,5GS/sと,今でも立派に通用するスペックですし,なんと言っても当時のベストセラー機であり,その測定結果はどこに出しても信用されるといって過言ではありません。

 ひょんなことから我が家にやってきたTDS3054Bですが,2年ほど前に内蔵の電池が切れてしまい,電源を切っている間は時計が進まなくなってしまいました。

 不便なのは測定前に時計を合わせることくらいなので別に困っていないのですが,やはりちょっと気持ちが悪いもので,このオシロスコープを使う作業が一区切り付いたら対策をしようと思っていました。

 TDS3054BなどのTDS3000シリーズは,リアルタイムクロック(RTC)として,DALLASのDS1742Wを使っています。このIC,コイン電池とRTCとSRAMをエポキシでパッケージしたもので,外からは16kbitのSRAMそのものに見えるのですが,電源を切っても中身が消えないという便利さから当時はずいぶん流行りました。

 しかし一次電池ですのでいつか電池切れになります。そうするとRTCもSRAMもバックアップ出来なくなるので,ある時急に「あれっ」となるわけです。

 今はフラッシュメモリやらEEPROMやらがあるのでこんなものを使うことはないのですが,ある時期の電子機器にはこういう特徴的なデバイスが多く使われ,その時は(ほぼ)永遠だと勘違いされた5年や10年がリアルに経過した時,様々な問題を引き起こしているんです。迷惑な話です,

 TDS3000シリーズは幸いなことに,SRAMでバックアップされる内容に重要なものはなく,完全に放電してデータが失われても使用を続けることが出来ますが,先程書いたように時刻を毎回合わせる必要があったり,セットアップが保存できなくなったりするので,やっぱり正常な状態に戻したいところです。

 戻すには2つの方法があり,1つは新しいDS1742Wに交換すること。しかしこのICは随分前に製造終了していて,入手はほぼ不可能です。よく中国の業者が売りに出していますが,あれはほぼ偽物です。

 ならばともう1つの方法ですが,これはパッケージを分解し,電池を交換することです。そんなに難しい作業ではありませんが,破損のリスクはあります。

 とはいえ,現実には後者しか選択肢がないわけで,私も電池交換で検討を始めました。

 まず,通電しながらだと電池の交換を行ってもデータは消えません。しかし,不慮の事故で消えてしまうと二度ととり戻せないので,なんとかバックアップを取っておきたいところです。

 先人達の知恵を借りれば,なにやらDS1742Wの読み書きも可能な安価なROMライタがあるそうです。ただこれ,かつては4000円ほどで買えたものが,今は8000円以上するようです。それでも十分安いとは思いますが,4000円が8000円ですからね,バカらしいです。

 そこで自作することにしました。DS1742Wのデータシートを見ていると,本当に普通の非同期SRAMです。ならば,使い慣れているAVRをつかってさっとでっち上げてしまいましょう。

 ピン数の関係で,ATmega88Vを使うことにします。まず8ビットのデータバスと11ビットのアドレスバス,これにコントロール信号を確保します。

 それから,16kbitのデータを保存するメモリがいりますが,これは電源を切っても残っている不揮発メモリであって欲しいのですが,あいにく内蔵のEEPROMでは全然たりません。なので外部にI2CのEEPROMを用意します。I2CはATmega88VではTWIで簡単に実現出来るので,ついでにI2CのLCDも取り付けて便利にしましょう。

 しかしこの段階で端子が1つ足りません。ならAVRのリセット端子をGPIOに切り替えればいいよと手を打ったのですが,これをヒューズビットで設定してしまうと,もう普通のプログラマでは書き込めないことを忘れていました。

 そこで,SRAMのCSとOEを常時Lowに落として読み書きすることにしました。SRAMからEEPROMへ転送,EEPROMからSRAMに書き戻し,そしてベリファイと機能を実装し,普通のSRAMでテストして完成!

 早速TDS3054Bを分解しDS1742Wを取り出し,自作のリーダーにセットします。そしてEEPROMにデータを保存します。EEPROMを専用のリーダーでPCに読み出してダンプすると,なんかおかしなデータっぽいのですが,正解がわかりませんのでこれまでのテスト結果を信じ,先に進めます。

 TDS3054Bにはソケットをハンダ付け,取り外したDS1742Wは慎重に削って電池を露出させます。すでに電圧は0.6Vになっていて,もう動かないも同然です。

 新しい電池はCR2032を外部に電池ケース使って用意します。古い電池と並列に繋いで直ちに古い電池をカットして作業は終了です。作業は上手くいったのでデータは消えていないと思っていたのですが,TDS3054Bに組み込むと,やっぱり時刻も狂っていますし,連続稼働時間も無茶苦茶になっていました。セットアップも初期化されています。

 ならばとすでに保存してあるデータをEEPROMから書き戻します。しかし,やっぱりデータは化けたままです。ああ,正常にデータを保存できていなかったのです。

 もう消えてしまったのですから,今さらどうすることも出来ません。あきらめてSRAMの内容を初期化しました。連続稼働時間も0時間にリセットです。

 しかし,何が悪かったのか気になるじゃないですか。そこでもう一度自作のリーダーのコードを見直し,さらに波形も確認すると,SRAMからのリードにバグがありました。実は,念のためにいれた一行を,結果が同じだからとコメントアウトしたんです。しかし,波形を見ると必要なコードであることがわかりました。

 AVRは,ポートに出力する時にデータを設定するレジスタが,入力時には内蔵プルアップを指定するレジスタとして機能します。SRAMをリードしてその結果を読み込んだあと,単に出力に切り替えただけだとプルアップの端子がデータによって毎回変わるようで,入力ポートにする時には同時にプルアップの設定もやり直す必要があるのでした。

 ここを修正して改めてDS1742Wをリードすると,今度はそれっぽいデータが読み込めています。これを書き戻してTDS3054Bにセットすると,元の状態で起動することも確認出来ました。しかし時既に遅し。DS1742Wは初期化されています。

 ならばと,連続稼働時間を復活させようと,メモっておいた時間を所定のアドレスに書き込んでやりました。すると連続稼働時間だけは元に戻せました。やれやれ・・・

 しかし,電源投入回数だけは戻せないのです。これは,電源投入回数はSRAMではない別のメモリに書き込まれているからだそうで,ここを初期化してゼロにすると,もう復活させる方法はないということでした。

 完全に元の状態に戻すことは出来ませんでしたが,バッテリは復活してデータの保存は出来るようになりましたし,時刻も毎回合わせずに済むようになりました。連続稼働時間は戻せましたが電源投入回数は失われてしまいました。その他に支障はなく,残念ながら今の私に出来る事はこれ以上ありません。

 加えて,私がAVRで作ったリーダーは正常に動作し,SRAMの読み書き,EEPROMの読み書きも問題なく出来ることが確認出来ました。つくづく惜しいのは,本番に行く前にちゃんと波形を見ておけばバグに気が付いただろうなあということです。波形確認は大事ですよ,本当に。

 そして,リセットをGPIOにしてしまった書き込み出来ないATmega88Vですが,これはリセッタを自作して復活させました。久々にAVRで遊んだわけですが,もう少し慎重にやらないといけません。

 ということで,久しぶりに仕組みを考え,ハードを設計して組み立て,ソフトを書いてバグを取って,という一連のパズルを楽しみました。目的がないとやる気が起きない不精者のホビーストですが,やっぱりモノづくりは楽しいものです。

 

クアデルノの潔さ

 黎明期のE-Inkに関わっていたこともあり,その見やすさや技術的な筋の良さも気に入って,歴代のKindleを愛用してきました。ゴソゴソと引っ張り出してみると,まだ日本で電子書籍サービスが始まる前にわざわざ海外から輸入したKindleDXを皮切りに,以後Kindle3やKindlePaperWhite,Voyage,Oasisと,順調に買い換えてきました。

 特に,Voyageがエポックメイキング私には記念碑を的な一台で,初の300dpi越えと言うだけではなく,フロントライトを暗所で見るためのものとしてではなく,紙に近づけるために搭載したこと,ディスプレイが奥に引っ込まないように工夫されていることなどが素晴らしく,開発者は熱意を持って取り組んだのだろうと思わせる一台でした。

 現在は一世代前のoasisを使っていますが,これは私にとってはVoyageのマイナーチェンジくらいのもので,現行のoasisも必要性を感じないので買い換えてはいません。

 E-Inkは文字通り電子制御の紙です。紙は書くことが出来るのも大きな魅力で,以前からE-Inkに書き込むデバイスは,ちらほらと目にしていました。

 しかし,どれも高価ですし,使い勝手も良さそうではありません。もともとプリンタの代わりにE-Inkを繋いでしまえることを理想として考えていた私ですが,本を読むというのではなく,A4やB5の紙を一覧し,必要に応じて其所に書き込むということを自然にしたいと思っていたにも関わらず,その価格と性能の問題が,ずっと私の欲求に邪魔をしていたのです。

 数年前,ソニーから私の希望に近いものが発売されたのですが,価格が高い上に法人向けと言うこともあり断念,ちょっと使う機会があって触って見ると,やっぱり紙とは違うというので興味も薄れていたのですが,先日偶然amazonをフラフラ見ていると,信じられない価格の電子ペーパーを見つけてしまいました。

 富士通のクアデルノ,です。

 これ,法人向けだったソニーのものを個人向けに販売したものと言われていて,価格は若干下がったとは言えA5サイズのものでも5万円。それはちょっと高いよなあと思っていたことを思い出して今したが,それが25000円ちょっとと半額になっています。

 私の基準では,3万円以上は覚悟が必要,3万円以下なら即買って後悔するのも一興,ということで,嫁さんの決済をとってポチりました。

 そうそう,安くなっていたのは一世代前のFMV-DPP04というモデルです。今年の夏にFMVDP51という新製品が出たため,型落ちになって処分されているという感じです。

 この次世代品は旧世代のものとは大幅に違っていて,タブレットがワコムのものに変わっていて抜群に良くなったとか,プリンタに直結出来るとか,ペンの種類をたくさん選べるとか,筆圧を認識するとか,それはもう別物です。

 ただ,電池寿命が大幅に短くなっていたりするので,良いことばかりではないのですが,そうした差分が引っかかりながらも,私は25000円で使えることを重視したわけです。

 届いた旧クアデルノは,私の勝手な想像を完全に超えていました。軽い,薄い,大画面。これが第一印象です。

 実際に書いてみると,さらに期待が裏切られます。書きやすい,レスポンスはもっと悪いものだと思っていた,消しゴムが使いやすい,などなど。

 そして,楽しい。

 娘もこの新しい文房具に夢中で,あれこやこれやと書いては消して楽しんでいます。人間は,それが何であっても,書くことが楽しい動物なんだなあと思いました。

 ということで,せっかくですので,軽くレビューです。

(1)大きさ,重さ
 A5用のFMV-DPP04ですが,実際に表示させるとA4でも全然問題はありません。多くの人がA4サイズのものよりA5サイズの方がよいと言っていますが,その通りでしょう。
 手に持ったときにまず驚くのが軽さです。そして薄さにも驚きます。
 これは,紙と言うよりクリップボードです。紙はほぼ無限にあり,消しゴムを使わずにさっと消せます。紙をめくることも必要ありません。素晴らしい。
 そう思うと,多少剛性感がないこともあきらめがつきます。華奢な印象が色が白色であることからも強まりますが,画面そのものはしっかりしているので,印象ほど悪い書き味ではありません。

(2)使い勝手
 まず充電です。それなりに時間がかかることも問題ですが,どれくらい充電されたのかがさっぱりわからないのはダメだと思います。いつも言っているように,モバイル機器というのは電池がなくなったらただのゴミです。
 そして,ペンにも充電が必要です。これもまあ仕方がないのですが,やっぱり電池残量がどれくらいあるかを知る方法がないのはストレスになります。
 次に操作系ですが,ホームボタンが上にあるのはやっぱり慣れません。それにペンを持った手でボタンを押すには持ち替えが必要になるので面倒です。ペンでも操作できるようにして欲しかったなあと思います。
 それと,ファイルの管理方法がどうもしっくりきません。しかもホームボタンを押して出てくるとカテゴリは,結局フォルダに飛ぶだけのショートカットですので,私のようにスケジュールを使わない人は,ホームメニューのスケジュールが無駄になります。これもカスタマイズが出来て欲しいかなあと思いました。
 ネットワークが搭載されているのは当たり前と言っても良いのですが,問題はその使われ方です。NASに直接アクセスできるのは普通の事だと思うのですが,今どきPCを母艦にしてSYNCするという仕組みですから,30年前の考え方ですよね。Palmを思い出す老人も多いことでしょう。
 WEBにアクセス出来ない事も問題です。いろいろ難しいこともあるのでしょうが,WEBアクセスとNASへのアクセスくらいが出来るゆおになっていないと,PC上の専用アプリが開発中止になることが,この製品の寿命を決定してしまうことになるので,残念だったなあと思います。
 また,せっかくPCを母艦にするのに,ファイル変換をしないというのも解せません。というのは,本体に転送できるファイルがPDFに限定されていることを窮屈に感じたからなのですが,まさかテキストくらいは大丈夫だろうと思って試したところ,テキストでさえも転送できないという現実に愕然としたのです。せめてテキストくらいはなんとかして下さいよ。
 もう1つ大事な事ですが,書き込めるのがハンドドローイングの線画のみで,文字入力が出来ません。クアデルノはPDF編集ツールという側面もあると思うのですが,文字を入力出来ないことで,例えば何かの書式に文字を記入することが出来ないので,結局PCを使うことになってしまうのです。
 手書き文字で書き込むというのも,許されていない場合やふさわしくない場合もあるので,やはり文字入力は必須だと思います。
 機能的に不可能なものではありません。ソフトウェアキーボードもかな漢字入力もファイル名の編集などで使えるようになっていますので,もしこれが実現したらPDFに直接記入できるハードウェアという,新しい役割が生まれると思うんですけどねぇ。

(3)ペン先
 ペン先は結構すり減ります。これだけ柔らかいから画面に傷が付かないんだと思いますが,それならそれでもう少しペン先を安くして欲しいなと思います。1本200円もすると,ボールペンより高いですよね。

(4)細かい機能
 WiFiは便利ですが電池の消費が大きいので現実的にはOFFにしないといけないとか,Bluetoothは接続が出来ないので使い物にならないとか,PCを母艦にする必要ってないよなあと思ったりしますが,文字の色が黒と赤と青だけで,同時使用が2色だけというのは厳しいなと思います。
 また,ページ送りの方向がファイル単位でいちいち設定しないと面倒ですし,操作の一部に指で操作するものがあって,いちいちペンを持ち替えないといけないのも,もう少し考えて欲しいところです。

(5)ScanSnapに接続
 実はScanSnapに接続して,直接紙を取り込む事ができます。これ,結構便利だと思うのですが,残念な事に現行のScanSnapには対応しません。私は数世代前のWiFiモデル(iX500)を持っているので試せるのですが,冷静に考えてその必要性ってあるかなあと思うと,試す気にはなりません。

(5)まとめ
 あれこれ書き散らかしましたが,PDFに手書き出来て,それをPDFとして保存したり印刷出来る事が何よりのメリットですし,実は大きな画面であることを利用して電子書籍端末としてもなかなかよいと思います。
 その場合対応フォーマットがPDFのみというのが最大の問題ですが,家中の機械の取説を集めておくとか,学校のプリント類を溜めておくとか,そういう用途はかなり有効だと思います。
 
 ごちゃごちゃ書きましたが,やっぱり楽しいですし,紙の手軽さや機動力を損なわない,良く出来た商品だと思います。

 ゆえに,紙よりも遙かに高価であることをすぐに飲み込める人は限られるだろうなあと思いますし,つまりそれはPCの連携やPDFであることにお金を出せる人という事になります。

 大学関係者が論文を持ち歩くのに最適で,もはやその界隈では必需品とも言われているようですが,なるほどそれも納得出来る話です。

 どっちにしても,私は大変良いものを買ったと思っています。最新のクアデルノである必要は今のところ感じません。この機能でこの価格なら買い,です。

 私は,長年愛用している"Makers Note"を1枚スキャンし,ノートのテンプレートとして使うことにしました。これでMakers Noteが無限に使えるようになりました。

 あれ,買って数日で500円ほど値下がりしてる・・・


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