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カテゴリー「マニアックなおはなし」の検索結果は以下のとおりです。

さすがはCherry

 先日購入し,キー配列に満足したDN-915975ですが,使っているとやはり価格相応だなあと思う,気になる事が出てきました。

 それはキータッチの問題で,キーを押した時の感触,キーを離したときの感触,そして音です。

 3つとも,Gateoronのキースイッチに起因する問題で,キーを押し返すときのバネの品質に問題があるように思います。

 とにかく音が耳障りで,最初は音が大きいからだと考えて,静音リングなるものをはめ込んでみましたが,結果は全然ダメ。音が云々と言うよりも,ストロークが1.5mmも短くなってしまえば打鍵感覚が全然変わって来ます。それに,上段と中断ではキートップの厚みが大きく異なりますから,そこに1.5mmのリングなどを差し込めば,ストロークそのものが変わってしまいます。

 この状態で無理に使っていたら,急に肩が凝るようになってしまい,もう大変でした。

 CK-63CMB-RDJP1はCherryの赤軸ですが,同じ赤軸でもこういう不満はなく,静音リングを試そうと思うこともそもそもなかったですし,気持ちよくタイピング出来ることは変わらずでした。

 なら,もうキースイッチの違いだろうと,よくよく調べてみました。

 結論は,やはり戻りバネの品質です。特にキーを離すときに「ピーン」と甲高いバネの音が響いています。全体のガタも大きめですし,軸の摩擦も均等ではないので,引っかかったような感じも,僅かですが差があるように思います。

 押し込むときの反発力のかかり方にも違いがあり,スコンスコンと心地よく入っていくのはさすがにCherryです。Gateronはよく頑張っていますが,接点がコリコリとくっつく感覚や,バネが縮むときにビリビリと振動する感覚も,大きめに出ているようです。

 気のせいかも知れないと思い,Cherryの赤軸をために10個ほど買ってみて,1つ交換してみました。するともう全然違います。やはりCherryは偉大です。値段だけのことはあります。

 軸のブレがありません。キートップのどこを押しても同じ沈み方をします。押す場所によって力のいれ具合が変わってしまったり,キーが反応する力に差が出たりすることがありません。これは精度の差が原因でしょう。

 それと音です。CK-63CMB-RDJP1は鉄のプレートを使っているので音が元々響きにくいのですが,DN-915975はトップパネルがアルミなので,甲高い音がそのまま響きます。

 Cherryにするとピーンと言うバネの音がしなくなるので,耳障りな音がなくなります。快適です。

 ということで,これはもうCherryに全交換です。

 しかし,全交換するためにお金をかけるなら,最初からRealForceでも買っておけば良かったという話になるでしょう。

 なら,DN-915975とCK-63CMB-RDJP1のキースイッチを交換です。

 とはいえ交換には,あの大量のハンダ付け箇所をすべて外さなければなりません。キースイッチに2ヶ所,LEDに2ヶ所で合計4ヶ所,それが73ヶ所と63ヶ所で合計133ヶ所。これまでだとハンダ吸い取り線を使っていたのですが,さすがにこの数をハンダ吸い取り線で行うのは,コストを考えても作業効率を考えても無理があります。

 そこで今回は,新兵器を投入します。そう,ハンダ吸い取り機です。

 最初はその場しのぎで,手動の物を買うことにしていたのですが,今回は数が数だけに電動の物を買うことにしたのです。ハッコーのFR301というものです。

 私は以前,これと同じバキューム式のハンダ吸い取り機を持っていたことがあります。ポンプが外付けになっている大きな物だったのですが,両面スルーホールのハンダを取り除くことも出来ないくらい非力なものでした。

 私は中古品を譲ってもらったのですが,もともと10万円近くしたんじゃないかと思います。ピストル型の先端部は作業中にかなりの熱を持ちますし,電線とホースで繋がっているので取り回しが悪く,音も振動も大きくて,捨ててしまいました。

 そのイメージが残っていたので半信半疑だったのですが,現行製品が無鉛ハンダや両面基板も扱えないはずもないだろうと,思い切って買ってみたのです。

 2万円という価格は,それまでの値段を知っている私にとっては十分安すぎ,性能を疑う理由になり得るのですが,果たしてこのハンダ吸い取り機,買って良かったと思います。

 両面スルーホールは余裕で,4層くらいまでなら対応可能でしょう。多層基板への対応は熱容量が重要なのですが,最新式のヒーターとコントローラで,温度も高く,素早い熱回復性でその温度をしっかり維持することが出来るので,ハンダがしっかり溶けてくれます。

 吸引力も十分です。これが一体型で2万円の商品かと,驚くと共に,作業が楽しくて仕方がありません。あっという間に作業が終わってしまいました。

 ハンダくずをキャッチする仕組みも改良されています。それまではスチールウールにくっつけていたのですが,今回は冷えた金属にぶち当てて冷やして,固めてため込むようです。これならたくさんのくずをため込めますし,吸引力も落ちません。

 ハンダくずを捨てるときに熱い思いをしないといけないところは相変わらずですが,それでもこのスムーズな作業を仕上がりの綺麗さには,もう病みつきです。買って良かったとつくづく思いました。

 ということで作業手順は,まずキートップを外し,キースイッチとLEDの両方のハンダを一気に取り除きます。

 それから基板を慎重に外し,外れたらLEDを抜取ります。そうしてようやくキースイッチを枠から外すことが出来ます。そして外したスイッチを入れ換えて,逆の手順で組み立てると完成です。

 せっかくの大改造ですので,DN-915975の気に入らなかったもう1つの問題点,LEDも交換します。元々青色だったのですが,青色は気が散りますし,周囲の人にも迷惑です。

 何色にしようかなと思ったのですが,100本近い数を持っている3mm砲弾型のLEDなんて白色しかありません。昔秋月で100本900円で買った物です。

 1つだけ試してみたところ案外綺麗に光るので,これを採用。

 組み立てが完了して早速PCに接続します。

 お,LEDはかなり綺麗です。白色だとまぶしいかと思ったのですがそんなことはなく,上品ですし文字が見やすく,変な装飾という印象はなくとても実用的です。

 タッチは激変しました。これだけ違う物かと驚きです。やはキートップのどこを押しても同じ力,同じストロークで確実に入力が入ります。音も快適で,バネのピーンと言う音が全くなくなりました。カチャカチャという軽い音ではなく,カコカコという歯切れのいい音が,タイピングを邪魔しません。

 GateronをあてがわれてしまったCK-63CMB-RDJP1ですが,これはこれで案外悪くありません。キースイッチの枠が鉄製で重量がある事,基板も1.6mmの剛性の高いものでしっかりしているので,あのバネの音が残らないのです。

 確かに押し心地は違うのですが,我慢できないレベルではもともとなかったですし,キースイッチと実装方法との相性というのはあるんだなあとつくづく思いました。

 そんなわけで,どちらのキーボードも好ましい物になったと思います。Cherryのスイッチの良さを見直したと共に,Gateronなど中国勢はまだまだ頑張らないととも思いました。価格の安さは大切な要素ですが,それでもCherryを選ぶのが確実だと思います。

 これでキーボードの問題は解決です。

GPiCASEは良く出来た本気のジョーク

 さて,先日Lakkaを使ってRaspberryPi4をゲームマシンにする話を書きましたが,今回はGPiCASEのお話です。

 GPiCASEはぱっと見るともうゲームボーイそっくりです。私がゲームボーイは持っていなかったのでなんともなのですが,比較した人によれば,同一サイズらしいです。

 そんなGPiCASEは名前の通りRaspberriPI Zeroのケースに過ぎません。ただ,単三電池3本による電源と3.2インチのカラーLCD,そしてスピーカを内蔵しており,加えてジョイパッドも装備しています。

主役のRaspberryPi Zeroかカートリッジの部分におさめ,これを本体に差し込んで使うことになります。組み立てはハンダ付けも必要なく,ドライバだけで解決します。

 これを勝手なにをするかと言えば,そりゃもう,手作り携帯ゲームマシンです。

 HDMIではなく特殊なLCDで動かしますし,電源を切る前に終了処理をしないといけないということもあるので仕込みが必要になるわけですが,そのあたりは話題になったGPiCASEになっただけに,いくらでも情報があります。

 幸いにして私が使っているLakkaには,GPiCASE向けのディストリビューションが用意されており,これのダウンロードしてmicroSDに書き込むだけで,即GPiCASEが稼働状態になります。いやー楽ちん楽ちん。

 RaspberryPi ZeroWは有線LANがありませんので,WiFiの設定をWiFiでやらないといけないという,なにやらこんがらがりそうな話が一番難しいわけですが,それもまあ大した事はありません。あっという間にセットアップが終了です。

 気が付いたのは,このディストリビューションでは,CoreがRaspberryPi4のものとは違っているんですね。MAMEもRaspberryPi4向けならMAME2010かMAME2003+,しかしGPiCASE向けはMAME2000一択です。

 RaspberryPI Zeroはシングルコアですしメモリも512MBしかありませんから,重たいMAMEは外して実用的なものに入れ換えてるのだと思います。

 そうなるとFBAが同じというのはありがたく,LCDがQVGAであることも考えると,これはこれで結構遊べるマシンに仕上がるような気がします。

 結果,やっぱり動いたり動かなかったりという感じなのですが,私が遊びたいと思っていた1990年頃までのゲームはアーケード/家庭用を問わず,実用的に遊べる物がほとんどです。

 手のひらサイズでMAMEなんて,10年前にはちょっと想像していませんでした。

 一連のことで,随分エミュレータの世界も進歩しているんだなあと知りました。以前は基板ごとに回路とROMを組み合わせてエミュレーションする環境としてMAMEが生まれ,PCなどのエミュレーションを取りこんでMESSになりました。これが発展し,共通部分と機種依存部分をきちんと切り分けてインターフェースを標準化,後者をCoreとして整備しています。

 Coreが動作するプラットフォームも複数あるし,もちろんCoreを入れ換えれば様々なエミュレータを統合的に管理出来るようになります。プラットフォームもWindowsなりLinuxなりmacなりで動けばもうホストマシンにも依存しなくなりますし,Coreだって過去のスタンドアロンのエミュレータをリファインしてライブラリ化にしてしまえば,一気に動作する環境が増えるので万々歳です。

 それだけハードウェアの性能が上がり,オーバーヘッドを問題にすることもなくなったと言うことでしょうし,例えば表示周りやコントローラ周りなどと言う共通に使われる割には実装も設定もクソ面倒なものを共通に出来れば,映像周りの違いなども勝手に吸収してくれるのでありがたいわけです。

 そうしてどんどん綺麗に整理され,広がって行きます。いや,素晴らしい。

 こういうシステム全体のデザインって,一体誰がやるんだろう,オープンソースはよってたかってみんなで磨き上げることには向くけども,トップダウンで決めるべきアーキテクチャ設計は,みんなでやると大変だよなあと,思ったりしました。

 それにつけても,この情熱たるや。世界中の人が熱い想いでレトロゲームに向き合っています。節度守り,プライドを持ち,持てる技術で貢献し,皆が楽しむという世界観を,少しだけ見させて頂きました。素晴らしいなあと思います。

 

RaspberryPi4を買う口実

 RaspberryPi3で初めてラズパイの世界を体験し,Zeroで余りの安さと手軽さに驚嘆した私は,Zeroでネットワークオーディオプレイヤー(Volumio)と家庭内LANのネームサーバーを立ち上げて運用しています。

 結局raspberryPi3は性能と消費電力で使い道がなくなり,現在は休止中なのですが,先日ふと思い立ってゲームマシンにするという事を思いつきました。

 そう,MAMEなどのエミュレータの統合マシンとして使うのです。

 とはいえ,あんまり本気でやるようなものでもないですし,あまったラズパイで暇つぶしくらいで始めたところ,これがまあ結構面白いのです。

 あまり真面目にやるのも面倒くさかったので,当初は定番のRetroPieを使ってみたのですが,全般的に設定が面倒で,とりわけコントローラ周りの設定が上手くいかず,試行錯誤の時間ももったいないので,さっさとあきらめLakkaを使うことにしました。

 Lakkaだとイメージを焼くだけでほぼそのまま動いてしまう簡単さが売りなのですが,それでも懐かしいゲームがそれなりに動いてくれます。

 Easy設定でコンティニューしまくってクリアとか,そういう無駄な時間を過ごしていると,中にはコマ落ちしたり,音がおかしかったりするものが目に付き始めます。

 もうちょっと処理能力があればなあ,と思うシーンがいくつか出てくると,これをなんとかしたいと思うのも仕方のないところです。

 あるじゃないか,3の上に4が。

 そう,性能向上版のraspberryPi4が出ているのですから,これを買えば何の苦労もしないで改善されるはずです。お金があるっていいなあ。

 RaspberryPi4は,数字上のスペックは地味な進化ながらも,足腰を鍛えて実力をアップし骨太な進化をとげた数値以上に優秀なモデルです。せいぜい1割か2割程度の性能向上でしょ,と言うなかれ,体感では倍速になったような軽さも感じることがあります。

 USBからの給電の宿命として,常に電力不足にあえいでいたRaspberryPiも,type-Cになったことでその制約から解放されました。安定性と高速性を高めることも出来ましたが,これは同時に消費電力の増加を抑えるブレーキがなくなったことも意味するので,特に発熱について何らかの対策をしなければいけなくなりました。

 ということで7月に注文したRaspberryPi4の4GB版ですが,すでに品薄は解消しており入手に何の問題もありません。64GBのmicroSDカードを用意し,Lakkaのインストールから始めます。

 初期設定もさっさと終わらせ,実際に動かし始めるともう完全に別物です。パーソナルコンピュータの黎明期に,まるで羽が生えたように動作が軽くなったことに感動することが,買い換え時のお祭りの1つだったことを思い起こさせます。進化に当事者として立ち会えるという事のうれしさを思い出します。

 コマ落ちも激減,音楽も安定してきます。出来ないゲームが出来るようになるというのは,2割増しとか30%アップとか,そういう細かい数字で語る物とは次元が違います。出来れば100%,出来なければ0%です。

 ファン付きのケースを買いましたし,電源も3Aの物を用意してあります。先程type-Cになって電源の制約がなくなったと書きましたが,そのことで発熱への対応は必須になったことは,こうして冷却を前提にしたケースに集約されることで解決していくでしょうから,むしろはっきりして良かったということかも知れません。

 そんなわけで,RaspberryPi4は非常に良く出来たハードウェアだと思います。またしてもRaspberryPi3が余ってしまったのですが・・・まあそのうち何かに使えるでしょうから,とっておきます。

 そうそう,この時偶然amazonで目にしたのが,往年のゲームボーイそっくりなRaspberryPi用ケースでした。GPiCASEといい,1年ほど前にそっち系の人達の間で軽い祭りになっていたようです。

 価格は9000円ほどで安くはないのですが,箱つぶれで500円ほど安い新品同様の物があったので,ちょっと迷いましたが買いました。余っているRaspberryPi ZeroWもあるので,ちょうど面白い事が出来そうだという目論見です。

 この話は後日に。

 

レトロPC救済作戦

 1980年代,90年代のリバイバルが,あちこちで活況です。ここ数年くすぶっていたレトロPCやレトロゲーム機ブームも定着した感があり,本家のゲームメーカーがミニ版を発売するに至って一般化した感じも拭えません。

 ただ,ミニ版で遊んでいるうちはいいんですが,やはり本物がいい,などと言い出すとその敷居は高く,多くの人は途方に暮れるでしょう。

 一番の問題は,ディスプレイです。

 コンスーマーゲーム機(ゲームコンソールといいます)は,余程の事がない限りコンポジットビデオ出力がありますので,最新のテレビでも接続出来るものが多いはずです。

 しかしこのコンポジットビデオ出力というのは,さすがにNTSCという過去の遺跡であり,これで表示される画面のひどさというのは,その当時の人々でさえも辟易していました。

 レトロPCになるとさらに事情は深刻で,MSXやPC-6001などのマシンはコンポジットビデオ出力でなんとか出来ても,RGBディスプレイを用いるPC-8801シリーズやX1シリーズ,そもそも水平同期周波数が15kHzですらないPC-9801やX68000などは,どうやっても今のテレビには繋がりません。

 そりゃそうです,当時だってこれらのマシンは特殊なテレビしか接続出来ず,基本的には専用のディスプレイとセットで使っていたのですから。

 問題はこの専用ディスプレイです。RGBであること,最低15KHz,24kHz,31kHzの3つの水平同期周波数で同期がかかることが必要ですが,人類はディスプレイをLCDに移行させた段階で,すでにこの機能を手放してしまっています。

 LCDはCRTと原理的に異なります。RGB方式というのは,いわばCRTを直接駆動する方式ですから,その画質は高くとも,LCDとは相容れない方式なわけです。

 ですのでここに辻褄合わせの回路が入り込むわけですが,これがまた高価でややこしい代物です。しかも画質がかなり劣化します。それで救えるのがレトロPCなんですから,誰が対応するのかという話です。

 この手の需要に応え続けたのが,電波新聞社のスキャンコンバータシリーズです。VGAのPCがまだ存在し,VGAのアナログRGBならまだ使える時代に,レトロPCやゲーム機のRGB信号を変換する装置ですが,目的が目的ですので,その画質やレイテンシにはこだわりがあり,現在も高い評価を得ています。

 発売時期が古いことで部品の入手が厳しくなったらしく,すでに販売が終了しているものも多いのですが,一方でディスプレイ本体よりも高かったりするお値段も,本当のマニアでないと買わないという特殊な機材になっていました。

 画質はともかく,とにかく表示出来るディスプレイはないものか,当時のCRTを使い続ける人々は,いつ火を噴くともわからない時限爆弾を抱えて,焦っていました。

 そんな中で,数年おきに出てくるのが,15kHzが映ったよ,という声です。

 それは,三菱のLCDが密かに対応していたとか,ある中国製の安価なディスプレイに繋いだらOKだったとか,そういう話です。しかし,X68000のあるモードには対応しないとか,複合同期信号に対応しないとか,なにかと問題があり,完璧な対応は非常に難しいものでした。

 しかしここ最近,またこの界隈が賑やかになってきているようです。理由は,11から13インチクラスの1920x1080のLCDパネルが安くなったこと,接続がeDPで統一されてきていること,そして安価なLCDドライバを用いた,汎用性の高いLCDドライバ基板がたくさん出回るようになり,ガレージメーカーを含めた有象無象なディスプレイが,1万円程度で出てくるようになったことがあります。

 もちろん,これらは中国製ですし,玉石混淆です。でも,当たりが出たときは大きくて,X68000に妥協なく完全対応するディスプレイが現れた時にはお祭り騒ぎになりました。

 私は,今さらX68000の実機で遊ぶこともないわな,とこの祭りに乗り遅れてしまったのですが,冷静に考えてみると実家にはPC-6001mk2,X1turbo,X68000,SegaSaturn,Dreamcast,何枚かのゲーム基板と,RGB目白押しです。

 これらをどうするか,以前から頭の痛い問題ではあったのですが,今回,ふとしたことをきっかけに,これらのヘリテージをいかに残すかを真面目に考える事にしました。

 これらのRGBを問題なく受けられるLCDは,今もあるにはあります。しかし,大きかったり高価だったりとなにかと制約があります。11インチから13インチまでのLCDで,使わない時は片付けられるものが理想ですが,この理想を安価に具現化し,かつてCocopar旋風を巻き起こしたCoCoperのTX133019はすでに廃番。

 これにかわる,現在入手可能なLCDは,なかなか見当たりません。

 ですが,探して見るものです,WIMAXITというブランドのM1160という11インチのLCDが,15kHzのRGBに対応するという情報を得ました。

 少し前によく見たサブディスプレイですが,ブランドも値段もピンキリです。形が同じだからとか,値段が似ているからとか,そういう話で選んでも15kHzに対応しないことも,情報として出てきました。

 私が購入したときは13800円ほどだったのですが,今はもう少し安くなっているようです。

 届いたので早速動作確認です。HDMIで繋げば,メガドラミニもファミコンミニもPS3も問題なし。すでにこれだけで満足している私がいます。あーゲームって楽しい。

 いかんいかん,15kHzに対応しているかを調べないといけません。しかしあいにく,15kHzのRGBを吐き出す機器が手元にはありません。

 ふと目をやるとPS2があります。これを使いましょう。

 amazonで安いコンポーネントケーブルを購入,届いたら分解してコネクタだけを残しあとは捨てます。

 ここにVGAコネクタを繋いで,M1160に接続します。

 だめです,映りません。まったく映像が出ません。入力がないと判断されています。同期信号まわりですね,これは。

 念のため,RGB-VGA変換基板として一部の間で定番化しているGBS-8800でも試しますが結果は同じ。まだあきらめるには早そうです。

 いろいろ調べていくと,PS2の複合同期信号のレベルが低いのが原因だったようです。PS2では21ピンRGBを前提しにしているので,同期信号は複合同期信号で1Vp-pもあれば十分同期がかかります。

 しかし,VGAの同期信号は,複合同期でもTTLレベルです。こりゃダメなはずです。

 周波数もたかだか15kHz程度ですから,ゲートを一発通せば済む話なのですが,垂直同期も必要になることを想定し,ここは贅沢にも定番シンクセパレータLM1881を使います。

 LM1881を使えば,1V程度のビデオ信号から,TTLレベルの複合同期信号と垂直同期信号を簡単に得られます。今回はこれを使いましょう。

 さっさと回路を組み立てて接続するとあっさりPS2がRGBで表示されました。

 うれしくて縦画面にしてレイフォースをクリアしてしまいました。死ぬほどコンティニューしましたが。

 あいにくX68000がないので24kHzと31kHzを確かめられませんが,まずは15kHzが通ってめでたしめでたしです。

 さて,こうなると音が欲しいですね。

 M1160は,過去にはオーディオ入力を持っていたようですが,私のモデルはここがヘッドフォン出力になってしまっています。ヘッドフォン出力を維持したままライン入力を増設することも考えましたが,中に入っていた基板をじっと眺めていると,どうやらこのヘッドフォン出力の端子をライン入力にするためのジャンパ設定がありそうだと気が付きました。

 抵抗を外しヘッドフォン出力用の電源を切断し,ヘッドフォン出力への配線を切り替えてライン入力にジャンパを設定しました。ここで失敗したのですが,ヘッドフォン端子の配線を少し工夫しないと,入力が有効にならないことがわかり,しばらく悩みました。答えはジャックに来ている信号の1つをGNDに落とす事でした。

 これで,PS2が楽しめるようになりました。うれしくておもわずギャラクシーフォースIIをすべての機種分やりこんでしまいました。

 DreamcastはVGAアダプタがあるので問題なし,SegaSaturnやPC-6001mk2も15kHzなので大丈夫でしょう。X1turboは24kHzが微妙ですが,15kHzだけでも御の字です。

 X68000こそ問題なのですが,これも試してみるしかありません。

 残念なのはコンポジットビデオが入らないことです。これが入ればPC-6001やApple][やM5もいけるんですけど,これはもうコンバータ使って繋ぐほかないと思います。

 てなわけで,レトロPCやレトロゲームをかなり救える環境になりました。実はSCSIをCFにする基板も買ってあるので,X68000を復活させる日も,そう遠くはなさそうです。

 

さようならRD-700,こんにちはRD-2000

 ローランドのステージピアノ,RD-2000を買いました。RD-700からのリプレースです。

 会社の独身寮を出て,自分の城を手に入れた時に真っ先に考えたのが,ステージピアノの購入でした。RD-600というステージピアノをある楽器店で試奏したときに,その気分の良さに絶対買おうと思ったわけですが,寮を出ていよいよ購入出来るようになるとRD-600はディスコン,RD-700に切り替わっていました。

 RD-600は専用音源だったのですが,RD-700はXVの音源になっており,ちょっと嫌な予感がしていたもののローランドを信じて購入したところ,全然違った弾き心地に絶望したことを思い出します。

 致命的だったのは発音が大幅に遅れることで,これはのちのファームウェアアップデートで改善されたのですが,音そのものが変わることはなく,ダイレクト感のなさだけはかなり辛いものでした。

 これも,のちのちSRX-11というピアノのエクスパンジョンボードでようやく改善され,ずっと演奏していたピアノに生まれ変わってくれたのでした。

 SRX-12というエレピのエクスパンジョンボードにはいたく感動し,タインやリードの劣化具合まで再現した音源に,もう病みつきになったことも思い出します。

 そのごしばらくは楽器を触ることすら少なくなっていったのですが,娘がピアノを始めるにあたってとりあえずこれを使うことになり,RD-700はリビングに置かれることになりました。

 そんなRD-700は,私は2001年の6月に購入していました。ということはちょうど19年。まあ,なんと長持ちなことでしょう。

 実のところ,RD-800が出た時,そしてRD-200が出た時にそれぞれ,買い換えを考えていました。しかし,金額というよりはRD-700の処分について悩んでいるうちに,買い換える気力をなくしてしまっていたのです。

 しかし,6月末で5%還元がなくなること,今ならギリギリ買い取り金額がつくこと,RD-700の鍵盤には持病もあり,いつ壊れるかわからないこともあって,善は急げと急遽買い換えをすることにしたのです。

 RD-700は傷も少なく付属品も揃っていて,最終的に22000円で買い取って頂きました。エクスパンジョンボードも,最初はゼロ円という査定だったのですが,他にお願いして2枚で16000円ほどになりました。

 もともと,粗大ゴミで出すかと思っていたようなものでしたし,この値段で持って行ってくれたことには,何の問題も感じていません。

 そしてやってきたRD-2000。3本のペダルのセット品で,ちょっとお安く買うこともできました。

 ということで,軽くインプレションです。

(1)鍵盤

 真っ先に試したのが,エスケープメントです。グランドピアノには,ゆっくり鍵盤を押し下げていくと,カクンというクリック感があります。これがエスケープメントです。

 押し下げる速度を上げていくとクリック感が小さくなるのが特徴で,直接音に影響しないのですが,弾き心地という面では大きな違いがあります。

 RD-2000に搭載されたPHA-50という鍵盤,RD-700搭載の初代PHAに比べてやや軽くなっている感じがしますが,スムーズに沈むような印象を持ちました。剛性感も高くなっており,特に左右にぶれる感じもなくなっていて,鍵盤に身を任せる安心感,あるいはラフなプレイを受け止めるだけの信頼感が高くなっています。これが心地よさの源泉でもありますからね,しっかり作ってあるのはうれしいです。

 連打もやりやすくなっていますし,指が滑らなくなりました。本当に引きやすい鍵盤になったと思います。

 RD-2000で感じたのは,完全に指を離してしまわないとノートオフしないことです。

 RD-700ではキーから完全に指を離さなくてもノートオフしてくれました。もちろん,RD-2000でも音は消えていますし,演奏上問題になることはないのですが,音色を切り替えた時に前の音色が残るようになりました。

 つまり,鍵盤に指が乗って,少しでも重みがかかると,それは鍵盤を弱く押さえているという判断をされるということですが,これは実に正しく,精密なセンシングをしているという証拠で,慣れないといけないです。


(2)ペダル

 ペダルは3連のRPU-3とセットで買いました。このRPU-3は連続検出というややこしい仕組みを持っているのですが,従来のペダルがスイッチだったのに対し,これは可変抵抗によって踏み加減が検出出来るというものです。

 確かにダンパーなども,踏み加減で音の消え具合,伸び具合をコントロール出来ます。しかし,本物のピアノを触る時間が短い私はそんな練習をしていませんし,スイッチ式のダンパーを長く使っているので変なクセが付いてしまっています。

 ということで,綺麗に音が切れないで困ってしまったのですが,上手く演奏しようとすると確かに本物のピアノを演奏している人のペダリングに近くなるなと思います。

 ペダルはピアノの優雅さを強調しますし,音の隙間を埋める役割とみればピアノ1台で複数の楽器を代替させる力を持たせるものですが,上手く音を繋げる,上手く音を切るということをするためにはなかなか高度な技術がいりますし,それを踏み加減で伸ばす音の音量までコントロールするとなると,もう大変です。

 途方もない高さの山を目にしてすくんでばかりというのもいただけません。練習すること,慣れることが大事だと思います。


(3)V-Piano

 一番楽しみだったのは,ピアノをモデリングした音源である,V-Pianoです。

 V-Pianoが登場した時にも艦長日誌に書きましたが,その後他社も追随し,ピアノ音源の世代がごろっと変わることを期待したにもかかわらず,結局ローランドとヤマハ以外はこれを取り入れず,そのローランドも一部の機種に搭載されるにとどまっていて,庶民がこの音源を手にする機会は少ないままでした。

 本当にV-Pianoが素晴らしいものであるなら,いずれ20万円台の機材に搭載されるようになり,我々庶民にも手が届くようになるだろうと思っていましたし,その時にはV-Pianoで可能になる現実に存在しないピアノを仮想的に創って演奏するという機能ではなく,リアリティの追求という目的に絞り込まれた物になるだろうと思っていました。

 RD-2000(とFP-90)はその通りのV-Pianoで,リアリティの追求以外にできることは削り取ってあります。しかし,それは紛れもなくV-Pianoです。

 大きく重く複雑で高価,そしてメンテが必要なあのピアノを,ソフトウェアで所有するというこの箱庭感が,もうたまりません。ヤマハがVL音源を登場させた時のワクワクが,また甦ってきます。

 実際に音を出してみましたが,もう本物そのものです。ピアニシモからフォルテシモまで,低音から高音までのスムーズな変化はもちろん,どれだけ音を伸ばしてもループせず,時間と共に音が変化していきます。

 このループがないことは本当に素晴らしく,私はいつもループがに気付いたときに「ここからならループでごまかせるやろ,うひひ」といういやらしい想像をしてしまい,がっかりすることが多いです。

 当時評判の良かったコルグのSR-Rackを手放したのは,一発目の音の良さはいいとしても,和音を出したときの共鳴音がいつも同じ大きさで聞こえてくることにありました。これはサンプリングでは仕方がないことであり,これに限らず大なり小なりある問題だと思うのですが,全鍵サンプリングをしてもすべてのベロシティでサンプリングすることは非現実ですし,仮にそれが精密に出来たとしても,他の弦の共鳴音やフレーム,共鳴板の音までを再現することは不可能です。

 逆に言えば,ピアノの音には規則性はなく,同じ音が出ることは極めて希であるということで,それがピアノの音の豊かさであるとか,楽しさだと思うのです。

 サンプリングというのは,これをある規則性に押し込めて情報を丸めて捨てる作業です。サンプリングデータの大小というのは,削ったデータの大きさの違いに過ぎず,根本的な問題の解決にはなっていないということです。

 しかしモデリングは違います。正確なモデリングが出来ていることが前提ではありますが,ピアノそのものを部品レベルで仮想的に動かしているわけですから,それはもうピアノそのものであり,変化も動的です。同じ音が出ることは本物と同じく希だと言えますし,ということは豊かで楽しい音が得られるという事です。

 しかし,モデリングには,鍵盤からの入力情報が,少なくともMIDIと同じ程度では少なすぎます。だからこそソフトウェア音源ではダメで,鍵盤,それも膨大な情報を指先から吸い上げ,吐き出す事の出来るインターフェースとしての十分な性能をもつ鍵盤とセットでなければならないのです。

 私が思うところ,まだ鍵盤は人間の作り出す情報を完全に受け切れておらず,まだまだV-Pianoはこんなものではないと思います。それは今後の楽しみにしておきたいと思うのですが,本物のグランドピアノの,あの指先と音のダイレクト感に近い物を,RD-2000はようやく手にしたと思います。

 ただ,問題点がないわけではなく,一番の問題は発音がやや遅れることでしょう。私は初代V-Pianoを演奏していないのですが,話によると発音が遅れることを指摘されていたようです。

 RD-2000のV-Pianoでは随分改良され,気にならないレベルになったという話も耳にするのですが,それでもやっぱり遅れ気味だと思います。

 嫁さんは最初の演奏でそれを指摘しましたが,私はSN音源のピアノと比べて全然違うことに気が付きました。SNのピアノはとても演奏しやすいですし,スピード感があり,元気に演奏出来ます。

 V-Pianoではやや遅れがちなので,一音一音を大事に演奏することに気を遣い,それがまた演奏の楽しさにも繋がるのですが,発音が遅れることには違いありません。

 膨大な演算量なので遅れることも仕方がないですし,これを短くするにはDSPの性能を上げるしかありません。計算を省略したり丸めたりすると,V-Pianoらしさが消え失せます。

 だからこそ,半導体技術の進歩にきっちり追随し,V-Pianoを完全な物に育てて欲しいと思います。

 なお,少し触れましたが,モデリングではなくサンプリングベースのSN音源のピアノも,悪くはありません。音域,ベロシティに対する音色変化もナチュラルで,演奏者の意図を反映しようという強い意志を感じます。

 でも,時間変化はある時刻をもって消え失せます。そこはやはりサンプリングの限界であり,パターンを選んで出力するという仕組みを持つ以上は,どうにもならないのだと思います。

 ですが,消えゆく余韻に動的な揺らぎが欲しいか,前の音と違う変化がいつも必要かと言われれば,そんなことより元気で明るく,ステージで映える音の方が重要なシーンもあるでしょう。そういう音の延長線上に,SN音源があります。良し悪しではなく,その時々に応じた音を選べるようになっていることが,RD-2000には求められているのだと思います。


(4)デザイン

 デザインはこれまでのRD系とは違い,パネルが寝そべっています。大きなダイアルやボタンの配置はRD-1000へのオマージュで,あの頃のローランドを知るものとしては懐かしいのですが,ずらっと並んだスライダーが示す近代的なデザインと,案外マッチしているなと思います。

 表示も見やすく,ボタンの大きさや配置も良いと思います。ローランドは捨て0時で使いやすいことを目指したそうですが,ステージのような制約の強い環境で使いやすいことは,家でもスタジオでもどこでも使いやすく確実なものであるはずで,ユニバーサルなデザインとしてRD-2000を完成させても良かったのではないかと思います。

 鍵盤の付け根にあるフェルトがえんじ色になったことも私は気に入っていて,これこそピアノです。

 ただ,LEDは明るすぎです。まぶしいですし,気が散ります。ステージは暗いことが多いですが,暗いとますます目に付くでしょう。

 LCDバックライトの明るさを変えることは出来るのですが,LEDの明るさは変えられません。Jupiter-Xmは変えられるのに,惜しいなと思います。


(5)他の音
 SN音源,PCM音源と,合計で1000を越える音色を内蔵しており,音の百科事典としてとても面白いです。個人的にはピアノ売り場にある電子ピアノは音色が僅かで,楽しくありません。

 モデリングで作られたアコースティックピアノはもちろんですが,代表的なエレクトリックピアノを網羅し,ステージでの戦闘力を万全な物にしていると思いますし,ブラスやストリングスと言ったシンセサイザの音も即戦力です。

 電子ピアノがヴィンテージとして収録される時代になったことが個人的には感慨深いですが,RD-1000のSA音源がきちんと収録されており,あの音を自由に演奏出来ます。素晴らしいです。

 FM音源によるあのエレピも,CP-70のあのエレピも,もちろんTINEもREEDも,もうおよそピアノいう名のつくものなら全方位OKという頼もしさです。

 機種名もそうですし,見た目の印象もそうなのですが,とにかくRD-1000というモデルへの敬意が強く感じられる一代です。今さらRD-1000との互換性を取ってどうするんだと思いますが,それくらいRD-1000との近似性が高まっているので,RD-1000の代わりにこれを使うことに全く抵抗がなくなるんじゃないかと思います。

 個人的に気にしていたローズの再現性ですが,以前よりももちろん高まっており,楽しくなるものであることは間違いないのですが,以前のように経年変化を再現して,ヤレた音に調整出来るような仕組みが見当たらなかったのが残念でした。

 発音部が錆びたりすると,歪みも増えますし強弱が付きにくくなります。コンプで潰したような音になるのですが,その具合を調整出来る事にかつてのローランドの電子ピアノは可能でした。

 それとオルガンです。

 バーチャルトーンホイール音源と書かれていないので,VKの後継ではないのが残念ではありますが,音は問題ありません。レスリーも良くかかるので一般的な演奏には問題はないのですが,レスリーの速度を変化させたときに一緒に音まで変わってしまうものがほとんどで,私の趣味にはあいません。

 これがこれがとても残念ですが,今どきはこれが普通なのかも知れません。


(6)エクスパンジョン

 特に面白かったのは,エクスパンジョンです。RD-700のスロットが2つあり,SRXを2枚まで内蔵できました。XVもFANTOMもかつてはそうでした。

 ですが,音源波形の供給をROMで行うなんてのは前時代的で,フラッシュメモリに空きスペースを確保しておき,ここにダウンロードすることで音源の拡張を行う方がスマートです。

 RD-2000も仮想スロットが2つ用意されており,ここに専用のデータを流し込むことでエクスパンジョンが可能です。

 RD-2000の場合無料で6種類提供されています。主に過去のRDの再現データなのですが,最新の2つはオルガンとヴィンテージシンセですので,非常に実戦的です。

 オルガンはVer1.5で追加されたレスリーの新タイプを駆使したもので,どの音も使い物になり,レスリーの速度切り替えで音が変化しないことも手伝って,私が求めていたオルガンそのものと言える出来になっています。これは楽しいです。

 ヴィンテージシンセは,SHやOB,Pro5やJPといった名器からD-50といった新しめの機種まで網羅されており,ステージで使える音が入っています。これも使い物になります。本体内蔵の音とはまたちょっと違った傾向をもっていて,私はこちらの方が好みです。

 ということで,この2つで私のRD-2000のスロットは埋まるのですが,一応RD-600とRD-700の音も試してみました。

 私が買おうと決意したRD-600の音を聞いたとき,そうそうこれこれ,と当時を思い出しました。リアリティは乏しいのですが,ダイナミック感があるというか,ダイレクト感やスピード感があり,とても楽しいのです。

 RD-700では,これがあまりの再現性に,買った当初のがっかり感まで思い出す始末です。ダイレクト感が乏しく,発音も遅れがち,ベロシティに伴う音色変化も感じずに,つまらない音がします。

 RD-600を聞いてRD-700を買ってしまい,とてもがっかりした当時のことを,今まさに追体験することになりましたが,当時の感覚は今でも同じなんだなと,安心した次第です。


(7)外部機器との連携

 マスターキーボードとして使うことも想定されていますが,特にすごいと思ったのはPCのソフトシンセをあたかも内蔵の音源のように使えることです。

 スライダにレベルはもちろん他のパラメータもアサインし,USBで演奏情報を送り込み,音をUSBオーディオで吸い上げてRD-2000の音と混ぜて出力します。こうなるともう中と外を区別する必要などありません。

 ステージで使うにも便利かも知れませんが,これはもう制作現場で便利な機能と言えて,他のDAW連携機能とあわせれば,もう無敵のキーボードといって良いかもしれません。


(7)まとめ

 25万円ですからね,安い買い物ではありません。RD-700を17万円ほどで買っていますから,随分高くなったなと思いますが,考えて見れば20年も前の話です。

 技術の進歩を感じるという月並みな表現にはちょっと抵抗があり,特に鍵盤と音源を一体で語らねばならないピアノの場合,機構部である鍵盤の進化が電子部品よりも遅く,しかしその変化は非常に大きな影響を与えてしまいます。

 特にV-Pianoの音源をドライブするために膨大な量の情報を送り込むPHA-50の進歩は,人間という不確かな生き物から送り出される情報を本物のピアノと同じように吸い上げる必要があるわけで,ただただ弾きやすいとか,それだけで片付けられないものがあります。

 音源の価値,半導体の価値は下がっていくかも知れません。しかし鍵盤の価値はそうそう下がる物ではありません。その点でRD-2000を買ったことは,とても意味のあることだと思っています。

 娘には,RD-700は20年のお付き合いだった,うれしい時も悲しい時もいつも一緒で,うれしいときは一緒に喜び,悲しいときはこれが慰めてくれた。RD-2000は,きっとあなたにとって,これから長く付き合うことになる友人となるだろう,仲良くなかよくして下さい,と,ちょっと偉そうに話をしました。

 ピアノはもちろん,エレピやオルガン,ヴィンテージシンセ,果ては民族楽器などの存在に気が付いて,そうした音色を積極的に弾きこなす将来があるかも知れません。マスターキーボードとして活用される日が来るかも知れません。

 RD-2000が彼女の成長を見守る存在になることを,私はうれしいと思っています。

 

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