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R3pro Saberでやっと今どきのDAPの世界に追いついた

 HiByR3pro Saberを購入したことで,新しい環境が一気にやってきました。それは非常に劇的とも言えて,知らないだけでこれほどまでにポータブルオーディオの世界は進化していたのかと思い知らされました。10年前とは大違いです。

 そして,その進化に,かつてはお家芸といわれた日本のメーカーがほとんど関わっていないこともショックではありました。要素技術や素材では日本のメーカーの存在も光っていますが,製品としてまとめ上げて最新の技術をリーズナブルに市場に送り出すことを得意としていた日本のメーカーの存在感がこれほど薄くなっているとは,驚きです。

(1)microSD
 可逆で音楽のすべてを手のひらに収めることを今回の目標に掲げた以上,大容量のストレージは必須です。全部取りこむのには512GBでギリギリなのですが,これくらいになると32GB程度を内蔵されても仕方がなく,内蔵を持たないR3proの潔さがかえって楽だと思います。

 DAPでは書き込みは遅くとも,読み出しが中心ですしビットレートもそれ程高くはありませんので,低速でも十分役に立つのですが,そうはいっても信頼性が低いと困りますので,選択が難しい所です。

 今回はSanDiskのUltraの512GBを選びました。並行輸入品なら7500円程度で買えますので,お買い得感があります。ただ,偽物を掴まされると怖いですから,お店は選ばないといけません。間違ってもamazonなんかで買ってはだめです。

 さすが512GB,CDはもちろん,カセットをデジタル化したものや,SACDを24bit/96kHzで録音したものなども含め,ほぼ保存することができました。SACDなんかはハイブリッドならCDDAも一緒に入れておきたいところですが,結局聴くのはどちらかだけですので,低音質の方は消すという方針で全部入れきりました。

 私のため込んだ音楽のすべてが,可逆でどこでも聴けるというのはすごいことで,同じような感動はかつて初代のiPodを買った時にも感じましたが,今回はそれ以上です。

 当時は圧縮してもすべてのCDを入れるほどのストレージはなかったのですが,数十枚のCDを持ち歩けることで起きる体験の根本的な変化に気が付いたときの衝撃は忘れません。

 この時は,そうはいっても圧縮音楽で,オーディオ機器としての音質もまだまだということもあり,あくまで据え置きのオーディオが主役で,ポータブルオーディオはあくまでサブという役割分担だったのですが,R3proを導入して見れば,データとしてはオリジナルと同じもので,しかも据え置きを越えるほどの高音質です。違いはもはやスピーカーを使うかどうか,ということくらいです。

 こうなってくるともうR3proは私のオーディオの主役であり,据え置きは欠点しか存在しない無用の長物となってしまう恐れがあります。LPレコードやカセットというレガシーなアナログ機器を扱うためだけに持っておく必要はありますが,CDプレイヤーやネットワークプレイヤーなどは,もう処分しても困らないでしょう。


(2)バランス接続
 R3には2.5mm4極のバランス接続用ヘッドホン端子があります。JEITAでは4.4mm5極が規定されているので標準化されたものとは違いますが,中国製の製品の多くが採用しているものですし,ケーブルも手に入りやすいです。

 私自身はバランス接続をしても,そんなに差はないだろうと思っていました。もちろん電気屋さんですので,バランス接続することの理論的なメリットは思いつきますし,望ましいのは確かだと思うのですが,それが聴感上どう影響するかは,半信半疑だったのです。

 私はソニーのMDR-M1STを使っていますが,これはMDR-1Aコンパチな端子を持っているので,MDR-1A用のバランス接続ケーブルがそのまま利用出来ます。amazonで探してみると,2.5mm4極のMDR-1A用ケーブルが見つかったので,試しに購入しました。3000円ほどだったと思います。

 試してみたのですが,まさかこんなに違うとは思いませんでした。

 まず,定位感が大きく改善されます。バランス接続では左右の音の市がさらに端っこまで広がるようになります。そして,それぞれの音の輪郭がはっきりとし,コントラストも向上します。

 それでいてきっちと奥行き感も豊かになり,音がセンターにじわっと集まる感じがなくなります。

 これは,セパレーションが大きく改善された結果でしょう。

 それから,低音と高音が同時に出た時の,高音の安定感です。低音のバスドラムに引っ張られて高音がへなへなになるのですが,それが押さえられます。これはGNDを共通にすることの弊害で大電流が流れ込んだGNDに電圧変動がおこるからでしょう。

 それから安定感です。音量の大小,周波数の高低に関係なく,一定の質の音が出てきます。これは,アンバランスでは押し出すだけだったものが,バランスだと押し出した一方で吸い込むことをやるからでしょう。

 これも,いろいろ理屈は考えつきますが,いわば排水を下水に流しておしまいにしてしまうと,大雨が降ってあふれることもあるし,ちょっとした変化で流れ方が変わってしまうことに例えてもいいと思います。

 排水の量を気にしなくてもいいようにするには,下水道ではなく直接海に投棄するくらいでないといけないのですが,それはなかなか大変です。そこで排水を専用のパイプで送り出し側に戻してやると,他から影響を受けませんし,他に影響を与えません。

 正確で精密な音を,こんなに手軽に楽しめるなんて,もっと早くにバランス接続しておくべきでした。バランス接続にしてデメリットはなにもありません。常用します。

 MDR-1Aは,スリーブがL-,その隣のリングがR-ですので,3極だとここがショートしてアンバランスになります。だから,MDR-1Aコンパチにしておけば両対応にくれます。これも好都合です。
 

(3)LDAC
 Bluetoothはビットレートが低く,音楽の伝送は基本的には圧縮されて行われます。それに,A2DPでは48kHzを越えるサンプリング周波数も,24bitのビット数も通りませんので,ハイレゾにはならないです。

 そこで,aptXやLDACといった,CDフォーマットをこえるフォーマットを通すことの出来るコーデックが広まりました。LDACはソニーが開発したもので,少しずつですが対応機器が増えてきています。

 R3proも対応機種ですが,実は私はノイズキャンセル性能をあてにして,WH-1000XM4を持っているので,LDACをすぐに試すことができます。

 で,試したのですが,どうも効き目がわかりません。AACやSBCと比べれば即座にわかるほど,普通にいい音ではあります。しかし,ケーブル接続,それもバランス接続と比べてしまうと,特にメリット感じないのです。

 デメリットは結構あり,やはり切れやすいです。ひどいときは30cmも離してしまえばブツブツ切れ始めますし,電子レンジで沈黙とか,環境に左右されることも大きいです。それならケーブルでの接続に割り切った方がずっと幸せです。


(4)MQA
 謎のハイレゾフォーマット,MQAにも対応します。サンプラーCDを3枚ほど買いましたが,デコーダがない我が家では,その効能は限定的であり,正直違いがわからないものでした。

 しかし,R3proにはデコーダが搭載されているので,MQAを正しく体験できます。早速試してみましょう。

 結果ですが,今ひとつ。違いがそんなに大きく感じられませんし,その僅かな違いも,良い差なのかどうでもいい差なのか,判然としません。結論としては,MQAは別にいらん,です。


(5)まとめ
 とまあ,すっかり乗り遅れていたDAPの世界を一通り試すことが出来て,どうにか追いついたように思います。本格的ではないにせよ,知っているだけで体験していないものは説得力もありませんし,本当にそれが良いものなら楽しまないのは損です。

 感じたのは,やはり良いものは支持されて残るという事です。HDCDは残らなかったですが,ハイレゾもバランス接続も残ります。こういう新しい技術がわずか2万円ちょっとの機器に搭載され,楽しめるようになっていることは,なんと良い時代になったものかと思います。

 コンパクトさや質感でワクワクし,音でドキドキして,とても楽しく使っていますが,気が付くと昔の音源を聴くのが楽しく,一通り聴いては,何時間も経過していることに気が付いて驚くという事がしばしばです。

 よく,高価なオーディオ機器に乗り換えると,昔のCDを一気に聴いてしまうといいますが,おそらくそれと同じ事だと思います。

 メモリカードまで入れればそれなりの投資になりましたが,十分なリターンがあるばかりか,同じ効果を得るのにこんなに安い価格で済む事に驚くほどです。DAPの世界,侮りがたいです。

AppleM1 Proについて考える


 新しいMacBookProが,噂通り発売されました。AppleM1を搭載したMacBookAirを,私もほぼ発売と同時に買ってもうすぐ1年になるのですが,「生活マシン」には十分過ぎるM1も,コンテンツ作成に十分な性能かと言われれば心許ないこともあり,そこはきっとAppleM2なるものがでてくるんだろうと,みんな思っていた訳です。

 しかし,出てきものはM1 PROとM1 MAXで,あくまでM1の派生でした。

 MacBookAirは,その性能を一気にハイエンドノートの領域に引き上げつつ価格は10万円そこそこと,かなりのお買い得感があったのですが,今回のMacBookProは14インチが24万円から,16インチが30万円からと,随分高くなったなあと言う印象です。

 もっとも,M1を搭載した13インチのMacBookProは併売となっていますし,お値段も16万円ということですので,棲み分けという点では問題ないのですが,14インチモデルが13インチの後継ならば値上がり,15インチモデルの後継なら妥当な価格,と言うことになるので,ここはもう考え方次第なのかも知れません。

 さて,私の興味はやっぱりプロセッサです。

 M1が高速であったことに偽りなく,また消費電力が極端に低いことを昨年12月に私も喜んで書いているのですが,実は1つだけ納得いかないものがありました。

 x265のエンコードの速度です。ffmpegからx265を使っているのですが,MacBookProLate2016(Core i7-6700HQ)を1とすると,M1はRosetta2上で0.5,ネイティブだとなんと0.3くらいまで低下します。

 M1の高性能コアでありFireStormの1コアの性能は,TigerLakeのコア1つとほぼ同じ程度ですので,この結果はどう考えてもおかしく,x265がM1に最適化されていないせいだろうと思っていました。

 あれから1年,しかし未だに速度に変化はありません。そろそろ誰かが指摘してもいいだろうと思うのですが,少なくとも日本語でここを突っ込んだ記事を見かけることはなくて,もしかしたら私だけの話かも知れないと焦っていました。

 実はmacOSには,VideoToolBoxというサービスがあり,これを使うとハードウェアアクセラレーションを利用することができます。ffmpegでも利用可能なので,これを試したこともあるのですが,速度は大幅に向上しつつもエンコード品質があまりにひどく,使うことはありませんでした。

 そんなこともあってMacBookProを買い換える気も起きず,今回の祭りは静観していたわけですが,先日真面目に調べたところ,ようやく詳しいことがわかりました。

 x265は,NEONに対応していなかったのです。

 NEONはARMのSIMD命令セットです。それなりに昔からあるものなので,まさかこれにx265が対応していないとは思っていませんでした。AppleはHandBrakeというソフト向けに,M1のNEON対応パッチを出しているのですが,ffmpegで利用することは現時点では出来ていません。

 これを使えば速度は品質そのままで3倍になるという事ですので期待出来るのですが,まずは本当かどうかを確かめてみる必要があります。

 調べてみると,ffmpegでもNEONに対応したバイナリを配布してくれている奇特な方がいらっしゃって,ビルドが面倒な私はこれで試してみることにしました。

 すると確かにエンコード品質に影響なく,3倍の速度になりました。ファンレスのMacBookAirで,ファンが唸るMacBookPro2016と同じ結果が得られるというのは,確かにすごいです。しかし,fdkaacを使えないので,このバイナリを常用することはあきらめざるを得ません。

 ならばとHandBrakeを試してみたのですが,こちらも同じ結果です。M1のMacBookAirとMacBookPro2016は,ほぼ同じ速度でした。

 うーん,そうなると,新しいMacBookProのM1 PROとM1 MAXが俄然気になってきますよね。どれくらい高速化されるのだろう,この際買い換えちゃうかとか・・・

 ということで,M1シリーズについて,少し辻褄が合うように調べてみました。

 まずM1から。

 M1は高性能コアであるFirestormが4つ,高効率コアであるIcestormが4つの8コアのプロセッサで,TDPは15W,クロック周波数は最大3.2GHzです。

 この1年で様々なベンチマークが発表されていますが,シングルコアの性能は,インテルの現行のアーキテクチャであるTigerLakeとFirestormがほぼ互角となっています。(一世代前のIceLakeに比べたらFirestormは圧勝です)

 高効率コアのIcestormは,ベンチマークの結果からざっくりForestormの0.3倍と考えてよさそうです。そうすると,M1のパフォーマンスはシングルコアの5.2倍と計算出来そうです。(ちなみにIcestormの電力はFirestormの1/10ということですので,随分電力効率の良いコアなんだなあと思います)

 インテルのCPUではノート用では4コアですからこれが4倍となるわけで,M1との差は約1.3倍。これはMacBookAirが登場した時によく見たベンチマークの結果とほぼ一致しています。

 で,当時は,インテルだと20万円のマシンがファンをぶん回しているのに,M1だと10万円でファンレスというのがすごいという話だったのですが,今数字を並べてみるとなるほどと思います。

 メモリについてはLPDDR4-4266で128ビットで繋がっているということでしたから,4266*128/8=68.2GB/sという帯域幅です。これでCPUからGPUからなにからなにまで面倒を見ます。

 次に本題です。M1 Proです。

 M1 Proは,FirestormもIcestormもM1と同じと見て良さそうです。だからM1という名前を継承しているんだと思いますが,M1 ProではFirestormを8コア,Icestormを2コアと,高性能コアに割り振っています。

 よってTDPは60W台ということらしく,M1に比べて大幅に大きくなっています。

 さて,問題のパフォーマンスを考えてみます。M1 ProはFirestormが8コア,Icestormが2コアですので,シングルコアの性能の8.6倍ということになります。M1が5.2倍でしたから,M1に対して65%ほど高速という計算になりますが,これはAppleの公式発表の70%や,各種ベンチマークの結果である60%程度という数字と大体合っています。

 インテルですが,8コアのTigerLake-Hが今年の5月に発表になっています。TDPは65Wということですので,M1 Proと性能も電力もほぼ互角なんじゃないでしょうか。

 ところで,M1 Proには8コア版もあります。一番安いMacBookProに搭載されるM1 Proがそれなのですが,これは先程の計算だと6.6倍となりますので,10コアのM1 Proとの性能差は約25%となりますが,これも実際のベンチマークの結果によくあっています。

 メモリ幅についてはM1 Proは大幅に向上していて,LPDDR5-6400を256ビット接続しているとのことです。ざっと計算すると6400*256/8=204GB/sと,Appleの公式発表の数字に合います。

 私はGPUにはあまり関心がなく,それはつまりグラフィック関連で重たいソフトを使わないということなんですが,それにしても200GB/sという数字は強烈だと思いますし,M1 MAXになるとさらにその倍ですから,そりゃ高くもなるわな,と思います。

 ということで,名前はM1のままではあるのですが,搭載するコアの能力を選ぶ事でハイパフォーマンス向けのCPUも作る事が出来るということがわかったのですが,これがコアそのものに手が入るM2世代になると,一体どうなることやらと思います。

 よく考えてみると,CPUをインテルに委ねていたAppleは,MacBookAirに適したCPUとMacBookProに適したCPUを,今あるラインナップから選ぶしかなかったわけです。

 しかし,M1ではFirestormとIcestormの構成比率を変更するだけで,パフォーマンスも電力も調整可能になりました。しかもその調整幅が10万円の生活マシンから,40万円のプロ用ノートまでカバー出来るようになるわけです。

 Appleがやりたかったことは,まさにこれなんだろうと思うのです。

 これも,Firestormがインテルのシングルコア性能に匹敵するものであるからこそ成り立つ作戦であって,従来Armはインテルのコアにはパフォーマンスでかなわなかったことを知るものとしては,多くの人が言うように,大した設計能力だと感心せざるを得ません。

 さて,Appleは2年かけてApple Siliconへの移行を宣言しています。今回のMacBookProはちょうど1年経過して登場したメインストリームでしょう。あと1年でMacProまでサポート出来る強烈なCPUが出てくるのと同時に,もっと安価なモデル用のものも出てくるかも知れません。

 私はと言うと,結局MacBookProを買い換えるには高すぎるし,MacMiniにM1 Proが搭載されることを期待しつつ,もうしばらく様子を見ようと思っています。


 

レトロマシンのメンテ~その2

 実家から持ち帰ってきたものをチェックするシリーズ,今回はソードのM5jrです。

 このM5jr,大好きなマシンなのでもとより手放す気などないのですが,実は借り物ですので勝手に捨てる訳にもいきません。その割には粗末に扱っていたことがわかって,もっと大事にすべきだったと後悔しています。

 最初に残念なのは,改造されていることでした。それもくだらない改造です。もともとM5シリーズの映像出力はなんとRF出力のみという割り切った仕様になっていて,コンポジットビデオ出力さえもありません。

 20年前までなら,いかなるテレビでも接続可能だったM5ですが,今となっては接続可能なテレビが皆無です。一部で需要のあるRGB接続などとは違い,もうまったく需要のない接続方法ですので,お金を出せば解決するという甘いものでもありません。

 30年前,当時の私が考えたこともこれに近く,M5jrにコンポジットビデオ出力端子を増設したのでした。今見てみるとなかなか真面目に作ってあり,トランジスタ1つを使ってビデオアンプを用意してありました。

 ところがこれにも穴があり,音声をどうするかという問題が残ります。当時の私はオーディ出力端子を設けることをせず,PC-6001と同じく本体にスピーカーを搭載するという荒技に出ました。

 これが結構手抜きで,LM386のアンプをちゃっちゃと組み立てて内蔵し,カートリッジスロットの右側に6mm程の穴を9つ開けてスピーカーを裏側から貼り付けるという,まさに電子工作レベルの改造です。あげく,音量調整用のリュームは,トランジスタラジオによく見られたスイッチ付きのボリュームのジャンク品を流用,スイッチ部を壊して無効化し,筐体の手前に細い角穴を開けて,ここに瞬間接着剤で固定するというやっつけ仕事で逃げています。

 ボリュームは接着が外れてグラグラ,スピーカーの穴は右に左に曲がっているという体たらくで,これは見るのも辛いです,まずはこれから解決です。

 とはいうものの,開いた穴を塞ぐのは上手くいかないので,スピーカーについては45mmほどの大穴をあけ,表側からスピーカーを接着してしまいます。スピーカーには黒いネットを貼り付ければ,とりあえず素人臭さはなくなります。

 ボリュームは他にいい方法がなかったので接着方法を見直して再固定。これでなんとか形になりました。

 さて,次はソフトですね。手持ちのカートリッジはBASIC-Gのみしかありませんので出来る事は限られます。テープ版のソフトは5本ほどあるんですが・・・

 最初にBASIC-Gのマニュアルを見ようとしたのですが,どこにもありません。それもそのはず,実家で見た記憶もないのです。これはまさかの紛失です。

 すでにスキャンし廃棄している可能性も考えましたが,肝心のPDFが見当たりませんので,結局BASIC-Gのマニュアルを見つけることは出来ませんでした。トホホ・・・

 ここでもう心折れて片付けても良かったのですが,ふと思いついたのはBASIC-GのRAM不足の問題です。M5は本体にRAMをほとんど持たず,ユーザーエリアはカートリッジに持つ事になっています。BASIC-Gも他例に漏れず,わずか4kBのRAMがカートリッジに内蔵されています。

 いかに良く出来たBASIC,いかに整数型BASICとはいえ,4kBではあまりに少なく,80年代前半の低価格マシンがRAMを削ることで成り立っていたことをここでも痛感するわけですが,一応純正でRAMを32kBまで増設出来るので,改造によってメモリを不足すことは可能です。

 メモリマップを確認すると,さすがにシンプルで定評のあるM5で,RAMは8000HからFFFFHまでの32kBが割り当てられています。A15を反転するだけで256kBiteのSRAMのCSを作る事が出来そうです。

 カートリッジ内部を見てみると,16kbitのSRAMが2個入っています。ピン数が違うとは言え,このパターンを上手く活用すれば256kbitのSRAMに置き換えることが簡単にできそうです。

 そうなると今度はROMです。BASIC-Gは2764が2個搭載されていて,2000Hから3FFFHまでと,4000Hから5FFFHまでにそれぞれ割り当てられています。それぞれのCSは本体側のカスタムICが作っているのでカートリッジ側はただ繋がっているだけです。

 なら,このCSをORして27128や27256のCSに突っ込んでやればBASIC-Gを1つのEP-ROMに格納できそうですよね。しかも,空いたスペースにゲームなりBASIC-Iなりを詰め込んでおけば,便利カートリッジも実現しそうです。

 いやいや,BASIC-Fもこの際だから搭載しよう,M5が実数型BASICで動くなんて面白いじゃないかと欲張ってみたのですが,結論から言うと失敗しました。

 まず,BASIC-Fは20kBの容量があり,上記のROMエリアに続いて6000Hから6FFFHまでROMをマッピングしないといけないのです。このエリアのCSもカスタムICで作られていて,カートリッジスロットまでは来ているのですが,悪いことにカートリッジ基盤にはパターンがなく,信号を利用出来ません。

 ならば真面目のデコーダを組むかと考えてみたのですが,どうしても規模が大きくなりすぎ,これも面倒くさくなってやめました。だって,2000Hから6FFFHまでイメージなしのフルデコードですよ,面倒くさいですやん。

 そこでBASIC-Gをとりあえず1つのROMに格納する実験を繰り返したのですが,どうも配線ミスが解決しないみたいで,なかなかきちんと起動しません。実はROMをソケットにした時点でカートリッジのフタが閉まらなくなってしまうので,無理にこの改造を行うモチベーションもなくなってしまっていたのですが,このままでは基板も壊すかもと勇気ある撤退を決断,もとの2764を2つ,直にハンダ付けする元の状態に戻しました。

 ROMに手を入れる前にRAMを32kBに改造して動作確認まで終わっていたのですが,ROMの改造に手こずってしまったことで,RAMの動作も怪しくなってしまっては本末転倒です。とりあえず1つ戻って2764で動かして見ると問題ないので一安心です。

 これでフタがきちんと閉まる32kBのRAMを持つBASIC-Gになったのでこれでよしとしたのですが,ちょっとゲームで遊んで見たくなったので,SRAMの空きパターンにソケットをくっつけ,ここにもう1つ8kBのROMを搭載出来るようにしておきました。

 ゲームで遊ぶときにはいちいち殻割りし,ROMを焼いてここに差し込み,スイッチを切り替えて裸の基板で遊ぶことになりますが,ハンダ付けもいらないレベルですので,ここまでやっておけばいろいろ試せるでしょう。

 一応数本のゲームと,BASIC-Iまでは正常に起動し切り替える事がでできることを確認できて,ここでM5jrは終了です。

 今回いろいろ触って見て,M5っていいマシンだなあと思いました。シンプルで「あたりまえ」のハードウェア,モード2割り込みの実装とBASICからの利用で同時並行で処理を記述出来る利便性,整数型BASICによる軽快な動き,小さくかわいらしい筐体に意外に使いやすいキーボードと,復刻して欲しいくらいです。

 MSXがこのコンセプトでどこかのメーカーから作られていれば,それはそれでヒットしたんじゃないかと思うのですが,家電メーカーや重電メーカーのマシンはごっつく,力関係上それが販売の主流だった当時は,MSXに軽快さを求めるのは難しかったように思います。

 そういえば,カシオあたりがかわいらしいMSXを作っていましたが,やはり搭載RAMの小ささで躓いてしまいました。これはデザインや小ささで買ってもらえる製品を目指したというより,安いことを真っ先にした結果でしょう。

 さて,あとは出来上がったM5jrでカセット版のゲームを遊んでおしまいです。残念ながらマニュアルが見当たらないのでBASIC-Gを詳しく使ってみることはしません。


レトロマシンのメンテ~その1

 大阪から運び込んだ数々のレトロマシン。当然そのままでは動かす事も難しく,むしろ壊れていた方がうれしいという倒錯した感情が,積み上がったゴミを宝物に見せてくれます。

 今回は比較的簡単で,すぐに修理も済むだろう(あるいは壊れてないだろう)と思うものに取り組みました。

 が,思いのほか,苦労しました。


・CZ-8RL1
 X1シリーズ用のデータレコーダです。X1turboシリーズやX1Fなどに接続可能なデータレコーダなのですが,X1のデータレコーダは電磁メカカセットデッキというやつで,再生/停止,早送り/巻戻しやサーチをソフトから制御出来る立派なものを内蔵していました。

 これを外付けにする時には,制御機能を落としてしまう方法(X1Dなんかそうですね)と,そのまま内蔵のデータレコーダを外に引っ張り出す方法とがあります。

 CZ-8RL1は後者のもので,7ピンDINという変なコネクタで本体と接続します。しかし,マニュアルモードに切り替えるとそこら辺の普通のデータレコーダにもなるという汎用性も備えているので,2700bpsという高速の読み書き性能と相まって,信頼性の高い高級なデータレコーダとして利用可能です。

 これ,うちで一番程度のいいデータレコーダだったのですが,全く動きません。ゴムベルトを疑いましたが分解の結果違うと判明,結論としては巻取側のリールを駆動するギアのグリスが固着して回らなくなっていました。

 ギアを取り外して洗浄,新しいグリスを入れて組み立てると復活。これは不安なく使えそうです。


・PC-6082
 PC-6000シリーズの1つとして登場した高級な方のデータレコーダです。信頼性も高く,操作性も良かったので,NECの他のシリーズはもちろん,他社のマシンとも良く組み合わされていたように思います。

 入手時に既に使い古されたものだったので程度は悪かったのですが,今回持ち帰って通電してもうんともすんともいいません。

 調べてみると,キーを押し込むとまず最初にONになり,各機構を駆動するモーターを回転させるリーフスイッチが割れていました。ただのリーフスイッチなら交換なんですが,このスイッチはキーの押し心地に直結する部分と言うこともあり,構造がマイクロスイッチのようになっていて,クリック感があるのです。

 こんな特殊なものは見たことがなく,交換の部品も目処が立ちません。そこでクリック感は犠牲になりますが,改造してリーフスイッチを修理しました。

 これでメカが動くかと思いきや,延びきったベルトがあったので交換。それで動くかと思ったのですが,よく見るとピンチローラがキャプスタンに接触していません。ポーズ機構がおかしいのかもと分解するとグリスの固着で動かなくなっており,洗浄して動くようにしました。

 それでもやっぱりピンチローラが浮いています。よく観察すると,ヘッドのブロックを上に押し上げるバネの一端を固定するプラスチックが割れていて,バネが利かなくなっていました。

 かなり強い力がかかるので,接着なんて作戦は通用しません。そこでバネを変形させて,残ったプラスチックで力を受ける様にして,なんとかピンチローラを接触する位置にスライドさせることができました。

 この段階で一応一通りの機能が動くようになっているのですが,ヘッドブロックを外したことでアジマスは狂っていますし,モータとフライホイールを繋ぐメインベルトは伸びているので,交換が必要です。

 メインベルトはちょっと窮屈なものにしてしまうとテープ速度が数パーセント遅くなるので,なかなか選ぶのが難しいところです。オリジナルだとぴったりの速度なんですが,早送りや巻戻しがスリップして出来ません。

 いろいろ試して,なんとか2%程度遅くなるだけのものを探し出して交換することにしました。それでも2400Hzの音が2350Hzになるので,もしかしたらエラーが出るかも知れません。

 モーターの速度を調整出来ればよかったんですが,そういうボリュームは見当たりませんでした。もしかしたら,機械式ガバナー内蔵のモーターかも知れません。

 これでいけるかと思ったのですが,カセットのフタのヒンジを固定する部分がこれてしまったり,ネジ山がなめてしまったり,ボスが折れてしまったりと,とにかくプラスチックの劣化がひどく,割れたり折れたり崩れたりと,もうどうにもならない状態です。

 今はなんとか修理が出来ていますが,今後ボロボロと壊れていくので,いつまで動くかわかりません。もう修理をやめて廃棄しようと何度も考えました。ただ,このモデルは当時よく広告で見た代表的モデルですので,持っておきたかったという一念でなんとか修理を終えたという感じです。

 最後にアジマスを調整し,一通りの動作確認を終えて修理完了です。


・CE-1600P
 PC-1600用のプリンタで,当時流行した4色のカラープロッタプリンタですが,80桁という大型のものは珍しく,また漢字の印字も可能というのが面白いです。

 この頃のポケコンにはありがちなことなのですが,実家で発掘した時に,内蔵のNi-Cd電池が液漏れしていました。かなりひどい状態で,シルバーの塗装が剥げています。

 これくらいひどいと内部の基板もパターンがきれて大変だろうなあと思って恐る恐る分解すると,基板はほぼ無傷です。恐れていたフレキの断線もコネクタへの液の回り込みもなく,回路まわりが無事で何よりでした。

 塩を盛大に吹いた電池を取り外し,基板などを取り外してケースを水洗いしたあと,組み直して通電しますが,プリンタが動いてくれません。

 見ると,ペンをチェンジするモーターのピニオンギアが割れて空回りしています。アルプスのカラープロッタプリンタユニットはギア割れが持病なので予想してはいましたが,交換用のギアはちょっと珍しいものなので手持ちはなく,とりあえず接着で修復です。

 やり方は簡単。難接着性のプラスチックに塗布するプライマーを塗り,瞬間接着剤を割れ目に流し込み,しっかり接着します。このままではシャフトを圧入するとまた割れてしまうので,1.5mmのドリルで穴を広げてシャフトとは瞬間接着剤で固定します。

 はみ出した接着剤がギアの谷を潰してしまうと回らなくなるので普通はカッターで綺麗に成型する必要があるのですが,今回の用途ではペンのチェンジだけで,ピニオンが1回転しません。取付位置を上手く調整するとギアの割れていない部分だけで回転できる(しかし大きなトルクがかかるので固定はしっかりしないといけない)ます。

 なんどかやり直しましたが,上手く固定できて,ペンのチェンジも問題なく出来るようになりました。これでプリンタは問題なしです。

 ところで電池ですが,もう内蔵するのはやめました。持ち運ぶことはないですし,忘れた頃に液漏れ塩吹きってのも困ります。


・CE-1600F
 CE-1600Pに取り付ける事の出来るディスクドライブで,サイズはQDと同じ2.5インチながら,QDとは違ってセクタもトラックもあってランダムアクセスが可能なフロッピーディスクです。

 とはいえ,片面で64kBしかないですし,両面ドライブでもないので,同時期の8ビットマシンに匹敵する性能を持つPC-1600Kにはちょっと物足りないというのと,アクセスタイムが遅いことも問題で,なによりブランクディスクがほぼ入手不可能なことが深刻です。(そうでもないか)

 面白いデバイスですので,動くようにしておきたいのですが,予想通り動かなくなっていました。このドライブは三協精機のオリジナルなんですが,ベルトが伸びる,切れる,溶けるという問題が知られています。

 きっとこの持病だろうと分解すると,いやはや大変なことになっています。もう溶けてベトベト,飴のようになっていて,原形をとどめていません。

 アルコールで拭き取れると思ったのですが,真鍮製のプーリーが錆びて固着しており,溶けたゴムをピンセットで削りとり,錆びてデコボコになった部分を紙やすりで滑らかにしてようやく作業完了です。ここまで2時間。

 外したプーリーやフライホイールを組み直して,直径65mm程度のベルトを探し出して引っかけていきます。問題なくスムーズに回ることを確認出来たら元のように組み立ててCE-1600Pに取り付けます。

 しかし,やっぱり動作しません。困ったなあと調べてみると,フタがかなり浮き上がっています。ここを押さえてやるとアクセス出来るようになりました。なんで浮き上がっているのか,フタがきちんと閉まらないのかを調べなければなりません。

 ドライブの上面を外し,フタを確認すると,フタを閉じた状態で維持するラッチ機構がおかしいようです。さらに分解すると,プラスチック製のフタの裏側に金属製の爪が,浮き上がってグラグラしています。これ,よくあるプラ製のリベットを溶かして固定しているものなんですね。3つあるリベットのうち2つが完全に外れており,3つ目も外れかかっています。

 ちょうどこの部分が浮き上がってしまい,蓋が閉じたことを感知するスイッチを押し込めないようです。

 さあ困った。またしてもプラスチックの劣化です。折れてしまった部分は元と同じような精度や耐久性で修理出来ないです。しかもプラスチックは難接着性ですし,相手は鉄です。

 そこで,0.4mmのプラ板を小さく切り出し,僅かに残ったリベットよりも少し小さな穴を開けて押し込み,瞬間接着剤で固定しました。これでしっかり固定できました。

 組み立てて見ると無事に動作します。よかった,修理出来ました。こうなってくるとブランクディスクがもう2,3枚ほど欲しいですよねえ。


・V-Saturn
 セガサターンはセガだけではなく,国内ではビクターと日立製作所からも発売されていました。ビクターのものはV-Saturnを呼ばれていますが,価格も入手性もセガとそれ程変わりませんでした。

 当時サターンにどっぷりだった私は盆暮れの実家でサターンで遊ぶため,実家用にサターンを買っておくことにしたのですが,面白半分でV-Saturnにしたのでした。

 このV-Saturn,RG-JX2という形式名でわかるように,中身は白サターンそのものです。新しいですし,そんなに使っていないこともあるので,全く壊れておらず快調そのもの。久々に遊んだダイナマイト刑事が面白かったです。

 これは面白い事なんですが,CD-ROMドライブはセガサターンの方が良く出来ていて,なかなか壊れたという話を聞きません。一方のプレイステーションのCD-ROMドライブはひどく,もはや欠陥品と言っていいレベルです。

 次世代機が登場する前に壊れて動かないものが出てきたゲーム機は後にも先にもプレイステーションシリーズだけでしょう。任天堂やセガといった老舗とは,ゲーム機に求める性能が異なるんだろうなと思いました。

 ということで,とにかくプラスチックの劣化がひどく,これが原因で壊れていたケースが多くありました。この手の故障は修理も困難ですし,修理出来ても元の性能を維持できない場合がほとんどなので最終的にはあきらめて廃棄せざるをえないでしょう。

 それに対して電気回路や部品が壊れたケースが見当たりませんでした。金属部品も大丈夫だったことを考えると,このあたりの信頼性の高さはさすがだなと思いました。ということは,結局のところ個体の寿命を決定するのはプラスチックであるという悲しい事実です。

 さあ,実家から持ち帰ったものは,まだまだこんなものではありません。Apple][,System16B,PC-6031など,手こずりそうなものがまだまだ残っています。頑張らねば。

 

デジットの味をご家庭で

 大阪日本橋の電子パーツのお店,デジットが6月で閉店することになりました。

 閉店と言っても入居していたビルが老朽化のため取り壊しになり,移転することになったということなので心配することはないのですが,1980年代から変わらずあの場所で営業していた老舗ですし,私もよく通い,日本橋の巡回ルートに入っていたことはもちろん,あげくアルバイトまですることになったほどですから,感慨もひとしおです。

 昔話は程ほどにしておきますが,当時は新品の部品などほとんどなく,訳ありのジャンク品が所狭しと並んでいて,まあ次に買うわと店を出たら最後,同じ物には二度と出会えないという,非常にスリリングで面白いお店でした。

 折も折,ちょうど消費税が導入された時期ですが,同じ商品がシリコンハウスで買うと消費税がかかるのに,デジットで買えばかからないということで,消費税分だけ安く買うことの出来るというノウハウは,当時のマニアの間ではよく知られたことでした。

 リースの終わった汎用機やオフコンからCRTやFDDを外してきて,これを安価に販売する貴重なお店でもありましたが,とにかく当時の店長さんがその道に詳しく,1つ1つの商品に技術的な根拠を持って売っていたことが思い出されます。

 彼とは,それはもうたくさんのエピソードがあって,それぞれが10代だった当時の私の人間形成に大きな影響を与えていると思うのですが,秋葉原に行ったことがなく,もっぱら秋月電子で通販をすることを楽しみにしていた私に,昔の秋月はこんなもんじゃなかった,いつかうち(デジットですね)もあれくらいになれたらな,といっていたこともありました。

 果たしてデジットは全国区の電子部品店となりました。

 そんな私の知るデジットもこの6月でとうとうお別れです。そう,シリコンハウスも大きなお店になっていますが,私の知るシリコンハウスは東海電子の2階と3階であって,そこから移転してしまった現在のシリコンハウスは,私にとって新しく出来たお店に近いのです。

 おそらく,新しいデジットはもっと大きくもっと小綺麗になるでしょう。それはそれでとても良いことですし,私も愉しみなのですが,私の「デジット」が永遠に消えてなくなることには,やはりさみしい気持ちが大きいです。ああ,歳は取りたくないですね。

 とまあ,そんなデジットがファイナルセールを3月からやっています。いよいよ6月になり,セールも最終段階に入っているのですが,これまでもジャンク屋らしく,入っている数が多いかわりに,1つあたりは無茶苦茶安いものばかりが並んで,私もめぼしいものがあったときにはメモを取っていました。

 そして先日,いつか出るだろうと思ってずっと待っていた商品が登録されます。そう,「デジットセレクション ランダム部品箱」です。

 これぞジャンク屋の真骨頂。お値段は500円で,一人2個までの限定です。

 まず,ジャンク屋というのは,精機の部品屋さんと違って,仕入れのルートが多彩です。正規ルートなら注文できないような部品も入荷したりします。

 それから,訳あって廃棄されたものが流れてくることがあります。カスタム品などが大量に入ってきます。部品に限らず基板や完成品も流れてきます。

 再生品や廃棄物からも,使えそうなものが商品になりますが,いずれも共通するのは,正規品よりも極端に安いと言うことです。

 そんなお店の福袋ですからね,面白くないわけがありません。

 他に欲しいもの,例えば500個入りのLED(500円)を3袋とか一緒に買って,今日その「デジットセレクション ランダム部品箱」が2箱届きました。

 中身を細かく公開するのはルール違反なのでやめておきますが,少しだけ入っていたICやLSIについては,ちょっとここと紹介してもいいかなと思います。なかなか面白いものが入っていましたよ。

HD637B01X0P
 日立の8ビットワンチップマイコンです。SDIPの64ピンで,多ピンのマイコンとしてはよく使われた68系のCPUです。ただしマスクROM品なので,自分でプログラムを書いて使うのは絶望的,残念ですがゴミです。

Z8 BASIC Z0867108PEC
 これはあたりかも。Z8671,Z8 BASICです。Z8はザイログの8ビットCPUなのですが,ワンチップマイコンとしての印象が強いせいで私には馴染みがありません。そんな中でも異色なのはこのZ8 BASICで,内蔵ROMにBASICインタプリタを書き込んであり,RAMを繋げばBASICが動くそうです。

TC5054
 東芝のTC5000シリーズのCMOSで,4桁の10進カウンタ/7セグデコーダ/ドライバです。東芝はRCAのCD4000シリーズが出た当時,独自のCMOSプロセスにC2MOSという名称を与え,大々的に展開をしていました。モトローラがMC14500シリーズというオリジナルを開発したのと同じように,東芝はTC5000シリーズをオリジナルとして開発していました。TC5000シリーズはCMOSらしく大規模なLSIを揃えていたのですが,TC5054もその1つ。10進のカウンタを4桁,ダイナミックスキャンの7セグメントLEDのデコーダとドライバを内蔵し,ワンチップで4桁のカウンタを作る事が出来たLSIです。

TMP47P440AN
 東芝の4ビットワンチップマイコンです。正確なことは調べていませんが,型番からおそらくワンタイムPROMを内蔵したものだと思います。類似品種を調べると32kbitのROMらしく,2764と同じ方法で書き込みが出来るとあります。

HM62256LP-12
 言わずと知れた,日立のCMOS SRAMです。256kbitですので,1980年代中頃にはとにかく目にすることの多かったSRAMです。

TC8801N-0903
 東芝のASSPで,なんと音声合成LSIだそうです。内蔵のマスクROMに書き込まれた音声データを再生するものなのですが,名前の「-0903」が示すとおり,どこかの製品用に音声データを書き込んだ訳あり品です。音の出し方はわかったので再生してみても面白いかも知れません。

LH52256N-90LL
 これも256kbitのCMOS SRAMです。シャープ製のSRAMも当時はよく見ました。これはフラットパッケージのものなので,同社製のポケコンでもおなじみです。

TC9217
 東芝のラジオ用のICで,データシートにはPLLとあります。おそらく海外のデジタルラジオ用じゃないかと思うのですが,よく分かりません。

T3605
 東芝の時計用のLSIです。デジットではかつて,専用のVFDとセットにして販売していたことがあるようです。自動車用の時計に採用された定番品らしいです。たくさん入っていたのですがVFDがないので,使うには一工夫が必要でしょう。ただ,この手の時計用ICは絶滅していますし,7セグメントのスタティックドライブが出来るものは特に貴重です。

MB74LS30
SN74LS32
HD74LS145
SN74LS74
HD74121
DM7414
 TTLですね。特に注目するようなものはありませんが,ナショナルセミコンダクタのDM7414が懐かしいパッケージで出てきたのが,個人的には興味をそそりました。

TC35300
 DTMFレシーバです。プッシュホンのデコーダも1980年代に流行って,電子工作の定番だったものですが,今どき若者はDTMFの音など聞いたこともないでしょう。

MB88331
 富士通のNTSCシンクジェネレータです。かつて秋月電子の定番キットの1つ,ブルーバックジェネレータにも使われていたので知名度もあると思います。しかし,アナログテレビが絶滅し,NTSCの信号もほぼ消えた現在,このICにどれほどの意味があるのか疑問です。

TC74ACT02
 東芝の汎用ロジックで,ACシリーズです。まあ,ACとはいえ汎用のCMOSロジックですので,なにかに使えるでしょう。

TL497
 TIのスイッチングレギュレータICで,定番中の定番です。これは5つ手に入りました。

S2924
 メーカーは不明ですが,シリアルEEPROMです。おそらく128ビットでしょう。

PC725V
 シャープのフォトカプラです。通信用ではなく,スイッチングレギュレータに使うような絶縁用のようです。

PIC12C509
 PIC12シリーズです。名前の通りワンタイムROMです。20年ほど前はホビーストの間でもよく使われた8ピンのPICですが,今はもう全然見ませんね。私もPICは16F84ばかりでしたので,PIC12は使った事がないのですが,そもそもこのPIC12C509,書き込み済みだったらただのゴミです。


 というわけで,とても楽しく部品の仕分けをした結果,IC/LSIは以上のものが入っていました。もちろん,これ以外の部品もたくさん入っていましたし,値打ちのあるものはむしろそれ以外だったりしたのですが,見た目では判断出来ない半導体は意外なお宝だったりするかもしれないというワクワク感が楽しくて,これを肴に飲み会をやったら盛り上がるだろうなと思いながら,仕分けをしていました。

 使ってみようと思ったのはZ8 BASICとT3605,そしてTC5054くらいで,強いて言うならどんな音が入っているのかを確かめるためにTC8801を一度動かす位のものでしょうか。

 でも,この感じがデジットです。あのデジットの味をご家庭で,なのです。いやはや,満腹になりました。

 

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