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PC-386 Book Lの復活劇 その7 ~画面の乱れを修理

 PC-386 Book Lですが,ここへきて動作の不安定さが無視できなくなってきました。

 ちょうどクロックアップによって画面表示が乱れるようになったことを先日書いたところですが,起動時などコンパクトフラッシュへのアクセスで乱れることがひどくなりました。翌朝まで放置すると嘘のように症状が消えているのですが,午後になると復活し,夕方には画面が出てこなくなるほどです。

 フロッピーディスクドライブの2へのアクセスで画面が乱れたり,特定のアプリを起動すると乱れたりと,もう何が何やらという感じなのですが,高負荷がかかると発生するような気がしたので,電源まわりを確認してみることにしました。

 しかし結果は問題なし,綺麗な電源が供給されています。

 そうこうしているうちに画面に縞模様が出始めてしまい,本気で修理をしないといけなくなってしまいました。

 縞模様も画面の乱れも既知の問題で,前者はLCDコントローラとLCD用のVRAMの接続の問題で,かつては液漏れしたコンデンサの電解液で腐食して切れたパターンを修復して解決しました。

 後者はLCDコントローラの水晶発振子の足下に染み込んだ電解液のせいで発振が止まっていたことが原因だったのですが,発振波形を見てみると正常で今回はこれとは関係がなさそうです。

 まずわかりやすい縞模様から。VRAMの波形を見ていると,クロストークがひどい信号が見つかりました。仮に正常に動いていてもこの波形は放置できないので,パターンをカットして修復します。

 結果,クロストークはもちろん,縞模様も解決しました。これは1時間ほどで解決。

 難航したのは表示の乱れです。なにせ現象を安定して再現出来ないですし,外部ディスプレイではなにも問題がありません。なかなか尻尾がつかめず時間ばかりが過ぎていくわけですが,どうもLCDコネクタの信号の1つに,表示の乱れと同期して波形が変化するものがあることが判明しました。

 この信号,表示が消えているときは0V,表示がONの時には-15Vになるものです。どういう信号かよく分かりませんが,電源のように大電流の回路ではないので,なにかの信号だろうと思います。

 これを追いかけて行くと小さなトランジスタに行き着きます。おそらくLCDのON/OFFを制御しているのだろうと思い,暫定的にこのトランジスタを常時ONとしてみました。

 すると画面の乱れはなくなったのですが,画面の文字や表示内容が出たり消えたりとなってしまい,結局使い物になりません。LCDをOFFするのと同時に表示内容も消すという丁寧な回路なんだろうと思いますが,こうなってくるとそれらの回路に指令を出す部分がおかしいという事になりそうです。

 しかし,それを追いかけるのはちょっと難しく,現状が再現しなくなったことで一度組み立てたのです。

 しかし,ゲームで遊んでいると,ドライブ2へのアクセスで画面が出てこなくなり,もう一度分解して修理を行う事にしました。

 今度は,メイン基板を裏返して動作させ,徹底的に波形を見て回ることにしました。どうせ電解液による基板の腐食が原因でしょうから,中間電位が出ていたり,クロストークが出ていたら,そこがあやしいです。

 あちこち触っていると,ぱっと画面が正常になる事がありました。いよいよ尻尾をつかんだかと思ったのですが,再現性がありません。指で触っていくと反応が出てきますが,どうも指ではなく,手のひらの腹の部分で基板に触れていたところが問題の箇所だったようで,ここに指を近づけると画面が正常になります。

 再現性は100%。ここに何かがあるに違いありません。

 更に範囲を狭めていくと,1つのスルーホールに絞られました。ここに指を近づけるだけで正常になり,1cm以上離すと画面が乱れます。

 早速スルーホールの導通を確認しましたが,やはり高抵抗を示しています。配線はゲートアレイから74HC74に入っていて,この出力が画面表示のトランジスタを叩いているようです。

 スルーホールを補修して両面を接続し,この配線を修復したところ,問題が完全に消えました。ビンゴ,これが原因だったようです。

 それ以後は嘘のように画面も動作も安定し,しかもクロックを25MHzまで上げても問題がないことまでわかりました。

 ということで,現在のクロックは25MHzとなり,ノートンのSIでは4.77倍にまで処理速度が上がっています。もともとメモリがない機種ですので仮想86モードで動かす事もありませんので,クロックを上げても問題が出にくいのかも知れません。

 実に快適,DOSマシンとしてはなかなか実用的なマシンになったのですが,これまで無傷でやってきたLCDの表面に,今回の修理で傷を付けてしまいました。最後の最後にこういうことをやってしまう自分のいい加減さに落胆するもの,まあそれも私の持ち物の証か,という気分もあって,愛着が沸いてくるから面白いものです。

 さて,残りのテーマは数値演算コプロセッサとメモリです。先に書いておくとメモリはどうにも手がありませんが,数値演算コプロセッサは手があります。待て次号。


PC-386 Book Lの復活劇 その6 ~禁断のクロックアップ

 PC-386 Book Lですが,とうとうクロックアップを試してみました。NECのPC-9801とは違って,EPSON機はクロックアップしやすいことで当時から知られていて,クロック耐性もさることながら,シリアルポートやその他のクロックが別のクロックから生成されるようになっていることが多いことは大きなメリットだと思います。

 PC-386 Book Lも16MHzのCPUクロックを生成する32MHzのクロックは独立していて,これを交換すれば簡単にクロックを上げることが出来そうです。

 ただ,さすがに小型モデル(小型と言うほどでもないんですが)なので,スペースは厳しく,二階建ての基板なので高さ方向が厳しいです。

 とりあえず分解,32MHzのクロックオシレータを取り外し,ソケットにします。そしていきなり50MHzに交換。失敗、起動すらしません。

 壊したかと基のクロックに戻せば起動します。40MHzもOK。44MHzもOK。ならば48MHz(実際には47,92MHzくらい)でも大丈夫そうです。

 しばらく動かして見ましたが暴走することもなく,安定稼働しているように思えます。さっさと組み立てて普段使いで叩いてみましょう。

 NORTONのSI.EXEではキャッシュONで3.00倍から4.55倍とクロック分だけ速度が上昇しています。いいですねー。

 ただ,体感上の速度向上はあまり感じず,それはEPSON機がEGCを持たず,画面の描画という最もわかりやすい速度向上がもともと少ないことがおおきいと思います。とはいえ,DOSで運用すればもう大した差はなく,ちょっとした待ち時間が減ったことで早くなったと感じる事がほとんどです。

 とりあえずこれで2時間ほど使っていましたがトラブルなし。しかし翌日画面が乱れることがあり,時間が経つと直ったり,クロックを落としたらおさまったりするのですが,外部ディスプレイでは乱れていないので,LCDようのVRAMがクロックに追いついていないんだろうと思います。

 致命的な問題ではないですし,それほど発生頻度も高くないのでこのまま行きますが,結構ギリギリで動いていることがわかったので注意しておこうと思います。

 それにしても,30年前に流行したことを,たった数週間に圧縮して楽しむのも,レトロPCの醍醐味かも知れません。ただ当時は改造の対象となったマシンがメインマシンで,仕事もゲームもメールもすべてこれで行っていましたから,失敗の影響が今とは桁違いに大きく,まあ壊れてもいいか,くらいで取りかかれる今は,純粋に楽しみだけで行えることが良いなと思います。(でも,上手くいったときに得られるメリットもその分ほとんどないわけですが)

 

DiskIIの国産コンパチドライブを入手し苦労する

 PC-386 Book Lにかまけている間に,次の課題としてAppleII用のディスクドライブを入手していました。わざわざDiskIIと書かないのはそれが互換品だったからなのですが,結構よい値段で落札することになってしまいました。

 PAXエレクトロニカという会社の互換ドライブなのですが,この会社,1980年代の前半には雑誌に広告を良く出していた周辺機器のメーカーでした。調べていませんが,PAXソフトニカというソフトハウスもあり,私はここのベースボールというゲームを散々遊んだ覚えがあります。

 閑話休題。フルハイトのドライブはすでにDiskIIを復活させて(これも壊れているのにいいお値段でした)調子よく使っているのですが,もう一台のドライブがハーフハイトの互換品(チノンのドライブです)で,高さが揃っていないがちょっと気に入りません。

 ドライブの信頼性としてはハーフハイトの互換品の方が優れているので外したくはないのですが,このドライブは壊れてしまうと修理が難しそうで大事に使いたいという気持ちもあります。

 かといって高額になりがちなDiskIIをもう一台というのはさすがにしんどいので,安く手に入るだろうと今回の互換品を落札したというわけです。

 届いてみると,結構丁寧に扱われていて程度は良さそうです。分解するとドライブは松下のJK870というドライブです。これは初めて見たかも。しかしSA-400のデッドコピーじゃないかと思うほどそっくりで,当時のドライブはアルプスのものも含め,特にヘッドのシーク機構がどれも同じです。それだけSA-400の完成度が高かったという事なんだろうと思います。

 アナログボードはDiskIIのコピーのようですが,よく見ると一部異なる点もあります。真面目に調べるとリファレンス(部品の番号ですね)は同一,しかし基になったアナログボードのリビジョンが古いらしく,部品がいくつか減っていますし抵抗の値も古いものがついています。

 また,本家は精度の高い部品を使っている箇所も,安価な一般品をそのまま使うなど結構雑な印象をうけますが,それでも当時は純正よりも精度が高い等と言われたそうですので,わからんものです。

 ベルトはちょっと伸びていますが再利用可能,ケーブルも問題なしですが,ドライブ自身は油が抜けているので動きがちょっと渋いです。

 さっと清掃と注油を行って試しに通電です。とりあえず回転数はきちんと出ていますし,読み書きも一見すると問題なしでした。これはあたりかもと思ったのですが,locksmith6.0で確認すると,やはり読めないトラックがポロポロと出てきました。

 ヘッドの清掃等も行いましたが改善せず,試しにと半固定抵抗をいじるとエラーの頻度が下がってきました。これで騙し騙し使えるかもと思ったのですが,さすがに気持ちが悪いのでもう少し調べてみましょう。

 とにかく波形を見ないとと,TP5の波形を確認します。DiskIIなら1周期4us,ピークは2.5us程度になるはずなのに,ピークの位置が大きくずれています。しかしこれを調整する半固定抵抗がこのアナログボードでは省略されているので,手が打てません。

 ならばと半固定抵抗を取り付けて,ここを2.5us程度になるよう調整をしました。これでいけるだろうと思って試すと,全く読み込み出来なくなっていました。これは深刻です。

 波形を慌てて確認すると,1周期の長さが5us以上になってしまっていました。AppleIIのディスクは4usが1つの単位ですので,ここが狂うのはまずいです。そこでここを4usにすると嘘のようにエラーがなくなりました。

 しかし,ピークまでの時間は2usを割っています。これでいいのかなあと思っていたのですが,この波形はワンショットマルチのタイミング回路の波形で,コンデンサの充放電の状態が出ています。

 ここでリードデータの波形(TP7)と比べて出せばもっとよく分かるんじゃないかと思いますが,仮にわかったとして具体的な手を打つにはMC3470の中身をもっと詳しく調べないといけませんし,実質的なリードエラーがないならそれでいいかと,なんだか低い方に流れてしまっています。

 しかし,samsのサービスマニュアルではTP5の波形を確認することはやっていないんですよ。正確に言うとピークの値を2.5usにせよとか,そういったことは書いていないのですが,TP7との差を表示してクロスオーバー歪みが小さくなるところに調整するのだそうです。でもこれで時間の調整って出来るのかなあ。

 まあやってみるのがよいだろうと,samsのサービスマニュアルに従って試してみましたが,ピークの位置は相変わらず2usを割っていて,うまく調整も出来ません。もう一台ある本物のDiskIIを波形を比べて見ると,その違いは一目瞭然です。エラーは出なくなっていますし,実用上はなにも問題はないのですが,やはり気持ち悪いです。

 そこで勇気を出して,本物の基板を互換ドライブに取り付けて動かして波形を見ます。完全互換のコピー基板かどうかわかりませんので,最悪壊れることもあるかも知れないのですが,とりあえず動いています。もし波形がおかしければドライブのメカに違いがあるという事になります。

 結果,綺麗な正しい波形が出てきました。つまり,違いはメカでは鳴く,基板にあるという事です。そこでここからは作戦変更。DiskIiの基板と同じ動作,同じ波形になるように,徹底的に合わせて込んでいくことにします。

 まずはワンショットのタイミング。調べてみると回路や定数は同じですから,同じ波形が出ないといけないですが,そうはなっていません。そこで,タイミングを作るコンデンサ(330pF)も含めた端子の容量を確かめて見ると,本物は340pFくらい,これに対してコピー品は420pFと大きく異なっています。120pFも違ってくればそりゃタイミングも変わってくるだろうと,コンデンサの容量を減らしてみました。80pFほど多いので220pFに交換してみます。

 するとタイミングがかなり長くなり,規定の範囲を超えるくらいになりますが。ビンゴ,これが原因だったみたいです。

 そこで今後は270pFに交換します。60pFくらい小さくしていますので,調整範囲に入ってくるはずです。これも正解,うまく調整範囲に入ってきました。半固定抵抗に交換して調整を試みると,1周期で4us,ピークまでが2.9usと,オリジナルとほぼ同じ波形になりました。

 とはいえ,なんでこんな事になっているのかという気持ち悪さはのこります。MC3470の劣化が進んで端子の静電容量が増えてしまったのか,それとももともとこんなもんだったのか。こんなもんだったとして,今まで動いていたのは(前のオーナーも含めて)気のせいだったのかどうなのか。

 劣化によって起きているなら,今後も進行するでしょう。気を付けておかねばなりません。

 さて,2つの半固定抵抗を調整してエラーの出やすいディスクでも同じような傾向のエラーが出るように調整をすませて,オリジナルのDiskIIとほぼ同じ読み取り性能になるようにしました。これで基本的な問題は解決です。

 しかし組み立ててテストを繰り返していると,気になる問題が・・・

 インユースランプ(アクセスランプ)の点灯と消灯がゆっくりなのです。スパッとついたり消えたりではなく,ジワジワ明るくなったり暗くなったりします。うーん。

 別に実害はなさそうなので放置することも考えましたが,同じ動作をする基板に仕上げると決めた以上,同じにしないといけません。

 基板をよく見てみると,いくつかの部品がありません。回路図を見てみると,5回ほど修正が入っていることがわかりますが,修正箇所がことごとく入っていない事に気が付きました。つまり,この基板は初期型のDiskIIのコピー品だったという事です。

 ならばと修正を追加していきます。本体とのインターフェース部分のプルアップ抵抗がいくつか違っていたこと,それと静電対策と思われるダイオードの追加をします。

 しかしこれでもインユースランプはおかしいままです。これはいよいよ本腰を入れて調べようと波形を見始めますが,LEDの回路も電源のON/OFFを行うトランジスタも正常です。そこで基本に立ち返って本物の基板を確認すると,ドライブを繋がるコネクタのパターンがちょっと違います。

 本物は13ピンが分かれていますが,コピーはわかれておらず,10,11,12,13ピンの4ピンが繋がっていました。これはおかしい。

 回路図をみると,修正箇所に記述がありました。もともとこの4つはくっついていたが13ピンだけ分けた,と。

 10,11,12ピンは12Vなのですが,トランジスタによるスイッチでON/OFFされます。13ピンは12Vが出っぱなしで,これはモーター駆動回路に供給されます。

 で,この4本がくっついているということは,モーター駆動回路もON/OFFされた12Vで動作していたことになるわけで,さらに電源でLEDが点灯されていることから,電源の立ち上がりと立ち下がりがゆっくりになってしまい(モーター基板の電源ラインのコンデンサよるものでしょう),LEDもゆっくり明滅したということです。

 回路図の修正指示通り,13ピンを分離し,ここを常時12Vに繋ぎます。ビンゴ,これでLEDが本物と同じようにスパッと明滅するようになりました。

 しかし,今度は本体の電源を入れたときに一瞬インユースランプがちらっとついてしまうと言う新たな問題が発覚。これは12VをON/OFFするパワートランジスタのベース電位がエミッタの電位よりも低い状態が長く,12Vの立ち上がりまでON時間が続いてしまうことにありました。

 PNPトランジスタには良くある事で,これを防ぐにはエミッタとベースの間に1kΩ程度の抵抗をいれて,ベースとエミッタと電位をあわせて確実にOFFしておくようにします。しかし,本物にも最新の回路図にもそれがありません。

 それで本物は点灯せず,コピー品は点灯します。この違いは何だという事になるのですが,とりあえずこの1kΩは必要なものなので躊躇せずコピー品に取り付けますと,立ち上げ時に光ることが完全になくなりました。正解です。

 ではなぜ本物は抵抗がなくても大丈夫なのか,なのですが,これはもうトランジスタの特性の違いとしか言えません。ベースとエミッタの電位差としてちょうど0.4Vあたりから0.6Vくらいの過渡的な変化の領域ですから,実はhFEが小さくてLEDを点灯できないくらいしかベース電流が流せなかったとか,トランジスタがONするベース電圧が高かったとか,そういう事情だと思います。

 トランジスタは本物がモトローラのものだと思いますが,コピー品はソニーのものでした。このあたりの違いもあるんじゃないでしょうか。どっちにして,ベースとエミッタ間には抵抗は必要です。

 あとは細かい調整を行って出来るだけ近づけていきます。コピー品はヘッドロード用のソレノイドは残っていて,本物の基板を接続するとカチャカチャと動くのですが,コピー品は動かないのでその原因も調べたところ,ソレノイドの片側のGNDがコピー基板では浮いていて動作しないこともわかりました。引っかかったのは,両面基板で裏と表が同じ場所にあったので目視では繋がっていると思っていたのに,テスターで調べてみると繋がっていなかったということでした。ここはスルーホールではなかったみたいです。

 これでほぼ同じレベルになりました。

 ここまでに電解コンデンサの交換や新しいリビジョンにあわせた定数の変更,必要な箇所のマイラコンデンサをマイカコンデンサに交換する,抵抗をカーボンから金属皮膜にするなどの改修を行ってありますが,随分安定性も向上したようです。

 確かにDiskIIで揃えるのも気持ちのいいことなんですが,せっかくですのでいろいろな種類のドライブで試して違いを楽しむのも面白いでしょう。なにせ40年前のものですので,その頃の状況に思いを馳せて,DiskIIの半額で手に入った国産の互換品を味わってみたいと思います。

PC-386 Book Lの復活劇 その5 ~コンパクトフラッシュを内蔵

 PC-386 Book Lは過渡期のマシンだと言えます。この後可搬型のPCはノート型に急速に進化していき,PC-386 Book Lのようなラップトップ型は死滅します。

 ノート型は高速なCPUと大容量メモリ&ストレージを持つようになり,しかも軽く小さく薄く,長時間稼働に耐えるようになっていきますが,ラップトップ型はキーボードとディスプレイが一体化したオールインワンモデルという意味合い以上のものを持たず,唯一のアドバンテージだった拡張スロットによる拡張性も肝心の拡張カードがほとんど入手出来ないという事情から,存在価値を失っていくわけです。

 その後,PC-CardやCardBusの登場によって拡張スロットの問題も解決,しかし最終的にはUSBによってそれらも消えてしまいます。

 PC-386 Book Lが過渡期と思うのは,メモリもストレージも内蔵出来ること,拡張スロットを持つこと,CPUはギリギリ32ビットということで,なんとかラップトップ型の意地を見せて,まだまだ制約の大きかったノート型に一矢報いたと感じるからでしょうか。

 しかしそれも1年ほどで価値を失い,マイナーモデルとなるわけです。

 そんな状態ですから,内蔵可能と言ってもメモリもストレージも現在ではほとんど入手不可能。30年前でもメモリは純正しかなかったですし,とても高価でしたから今手に入る可能性はほぼゼロでしょう。

 いろいろ調べていると,PC-386 Book LのHDDはIDEであることがわかりました。この頃のPC-9800シリーズはIDEのHDDを正式にサポートしておらず,あくまで小型の必要性の高いノート型の内蔵HDDとして特殊な方法で使われていたに過ぎません。

 PC-386 Book Lもその流れでIDEのHDDを内蔵することになっていますが,幸いなことにピン配置もIDEそのままです。BIOSの制約があるので容量は最大40MBですが,それでもないよりずっとましです。

 でも,こんな小容量のHDDなんかもう絶望的です。そこで閃いたのがコンパクトフラッシュです。

 コンパクトフラッシュはIDEモードを持っており,このモードに入ってしまえばあとはIDEのHDDとして振る舞ってくれます。それこそ20年前の128MBや256MBのコンパクトフラッシュなど使い道もありませんので,これを使えば解決しそうです。

 amazonで変換基板を探すと800円ほどで購入可能です。ちゃんと動くかどうかはわかりませんが,これでIDEのHDDとして認識してくれるならありがたいところです。

 コンパクトフラッシュを手持ちから探してみると,32MB,128MB,256MBありました。マイクロドライブもありましたが,1GBと6GBという大きなものしかありませんでした。これらはさすがに認識してくれないでしょう。

 早速PC-386 Book Lに取り付け改造をします。HDDコネクタを基板からはずし,そこから40ピンの標準のIDEケーブルを直接ハンダ付けしていきます。信号名をあわせるだけなので簡単です。

 出来たら変換基板に接続,コンパクトフラッシュは32MBのものを差し込んでおきます。

 ドキドキしながら電源を入れて起動します。とりあえず暴走はしません。フロッピーからちゃんと立ち上がります。

 MS-DOSが起動したらformatコマンドでコンパクトフラッシュを認識しているかを確認すると,残念ながら認識していません。やっぱだめか・・・

 いえいえ,まだ試すことがあります。変換基板のジャンパがMasterではなくSlaveになっていたのでMasterにしました。さらにメモリスイッチからHDDのセクタ容量を512バイトに設定して再起動です。

 起動後formatコマンドで確認すると「固定ディスク」と出ています。おお,認識しました。

 しかし,32MBで認識してくれるわけではなく,20MBで認識しています。これは厳しいですね。そこで128MBに交換して再起動するのですが,あいにく起動しなくなりました。コンパクトフラッシュを見に行ったと時に止まってしまっているようです。

 それならと256MB試してみるとあっさり再起動成功。40MBのHDDとして認識しています。BIOSの制限ですから解除できるかも知れないのですが,面倒なのでもういいです。

 128MBのコンパクトフラッシュはフォーマットを別のマシンでやり直したりしましたがどうもだめで,これもあきらめました。

 ということで,DOSだと40MBでも十分広いですし,高速で快適ですね。そういえば生まれて初めて使ったHDDが40MBだったなあ。

 かつて私が使っていたPC-98RLのHDDの中身を保存してあったのですが,これを一部書き戻して,懐かしのMS-DOS環境が目の前に現れると,ちょっと感動するものがあります。

 40MBですが十分な広さですし,ちょっとしたことになら今でも使えそうな感じがするくらい手に馴染んでいます。唯一プロテクトメモリが未搭載なのでUMBを駆使してコンベンショナルメモリを確保することが出来ないのですが,メモリを食うデバイスドライバ(日本語FEPですね)を外しておけば問題なし。

 この段階でちょっとしたデスクトップ機なみのマシンが完成しました。

 しかし,案外EPSON機というのはなにかと制限があるんですね。EPSONのユーザーはこんな面倒に耐えていたのかと今さら驚くばかりです。DOS版のN88-BASICが動かないなんて,みんな当時はどうやって解決していたんですかねえ。

 

PC-386 Book Lの復活劇 その4 ~CPU換装で死線を彷徨う

 PC-386 Book Lは5インチドライブを動かすところまで来ました。これで組み立ててしまっても問題はないのですが,ここまで来るともう少し欲が出てきます。

 ふと,このマシンが現役だった時代の話をふり返ってみると,CPU換装ってのが流行っていたよなと,急に思い出しました。そう,CyrixのCx486SLC/DLCです。

 Cx486SLCは386SXの,Cx486DLCは386DXのピンコンパチで,486で追加された命令の一部(全部かもしれませんが忘れました)を加え,キャッシュメモリを1kB内蔵,乗算器のクロック数を減らしたもので,特に外部16ビットで286程度の速度しか出ない386SXでは,なかなか効果的なアップグレードパスとしてブームになりました。

 ベンチャーだったCyrixは一躍有名になり,メーカー製のマシンではほとんど採用例がなかったにもかかわらず,ついには雑誌の付録になるなど広くs知られたCPUとなりました。

 ソケットのCPUを差し替えるだけの38DXと違い,386SXはQFPですので自力で取り外しハンダ助をしないといけませんが,これがなかなか難しく,失敗したという声があちこちで聞かれたのもこのころです。換装を請け負う業者が現れたのも懐かしいです。

 で,私は386SXのマシンをこの頃持っていませんでしたので,その効果を実感することはなかった(386DXのPC-98RLではCx486DLCに換装したものの大した効果は得られず,その後IBMのBluelightningを使った4倍速アクセラレータでその劇的な速度向上に腰を抜かした覚えがあります)のですが,少ないとはいえバス幅の狭いCPUにキャッシュは効き目も大きいだろうと,思った以上に遅いPC-386 Book Lで使えないかと調べてみました。

 キャッシュをONするユーティリティはフリーで見つかりましたし,標準的な改造で交換も可能でしたが,問題はCx486SLCをどこで手に入れるかです。さすがに30年前のCPUですし,QFPですからはずし品が流通しているとも思えません。

 Cyrixはすでに買収されて存在していませんし,386SXのCPUとしての寿命が尽きれば自動的に市場から消える運命にあるCPUが新品で手に入る可能性も低いでしょう。

 と思っていたら,なんと若松通商で新品が特価で売られていました。しかもCx486SLC/eという低電力バージョンです。在庫はたくさんありそうですし,欲しい人もそんなにいるとは思えないので慌てず発注しました。

 数日後届いたCx486SLCは間違いなく新品で,なんだか懐かしい気分です。

 これを早速貼り替えるわけですが,先に書いておくと失敗しました。私としたことが・・・

 専用の工具を持っていない私は,とりあえず一気に取り外しのが良かろうと,2つをハンダゴテで一気にハンダを溶かして剥がす作戦に出ました。1つはいつものハンダゴテ,もう1つはハンダ吸い取り機で行くことにしました。

 しかし,特にハンダ吸い取り機の温度が高かったのでしょうね,パターンを剥がしてしまったのです。一部はNCだったので剥がれても買わないし,ただの両面基板なら剥がれても仕方がないところもあるのですが,一部パターンまで剥がれてしまったものが数本もあります。いや,これは情けない。腕が落ちたものです。

 これは本当に駄目かもしれない,そんな風に少しの焦りを感じつつ,修復できそうなパターンはそうっとダメなものはメモを残して切ってしまいました。

 それらがどこに繋がっているのかを慎重に確認し,Cx486SLCのデータシートと見比べて矛盾がないかを確認します。

 するとデータバスが破損していることが確定したので,思い切ってCx486SLCをハンダ付けします。失ったランドは後で細いエナメル線でメモの通りに繋いで修復します。

 まあ多分ダメだろうなと思いつつ電源を入れたところ,なにやらアラームが最初鳴りましたが,リセットをかけるとちゃんと起動しました。おお,少なくとも修復は正しく行われていそうですし,CPUの偽物ではなかったです。

 不安な箇所のハンダ付けを確実にやり直して完成。一時はダメかと思いましたが,案外簡単に復活しました。

 そう,昔ならハンダ吸い取り線で丁寧に1本1本ハンダを吸い取り,きちんと足を浮かせてからそーっと取り外したはずなんです。横着したらこれですからね,情けないです。(でもおかげで剥がした386SXは再利用可能です。)

 さて,で,ベンチマークですが,これも30年前の本にあるとおりの結果に終わりました。10MHzの20286比で386SXでは1.55倍,Cx486SLCに換装すると1.45倍に落ちましたが,キャッシュをONにすると2.46倍に跳ね上がります。今のところトラブルもなく正常に動作してくれています。

 1.5倍から2.5倍ですのでさぞや速くなったことを体感できることだろうとワクワクしましたがそんなことはなく,気のせいかとキャッシュのON/OFFで比べて見ましたが,ほとんど違いはありません。やはりクロックを上げるのが一番効き目があるようです。

 ということで,CPUがCx486SLCになりました。30年を経て体験することになるとは(しかもご丁寧に失敗までするとは)思いも寄りませんでしたが,上手くいかない可能性も高いと思っていたので,良かったです。


 あれ,PC-386 Book LでCPUなんか交換しても,そもそもフロッピーベースじゃどうにも使い物にならんのじゃないかと思ったあなた,その通りです。単純なメディア変換だけならCPU換装なんかするのは愚の骨頂でしょう。

 ですが,この換装の前に私のPC-386 Book Lはフロッピーベースの運用から脱却を果たしているのです。詳細は次で。

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