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記憶に残る美化されたヤマハR100の音

 空間系のエフェクトをPRO-800やMatrix-1000にかけようと,Pocket Masterを買ってみたものの,ギターでは思いのほか楽しかった反面,本来の目的が今ひとつ達成されなかったことをうけ,新しいエフェクタを用意しなくてはならなくなりました。

 Pocket Masterが悪いのか,それとも記憶に残るヤマハのリバーブが良いのか。

 回り道をするのも面倒ですので,私が昔々に使っていたR100を手に入れる事にします。某オークションで探してみると,終了まで2時間で安い物が出ています。

 傷だらけで程度は悪そうですが,雑に使われた感じでもないですし,壊れていてもR100なら修理出来ます。安いのが正義でしょう。

 他の方と少し競争がありましたが,送料込みで3500円ほどで決着。思ったより高いなと思いましたが,ACアダプタ付きですし,仕方がないでしょう。

 調べてみると,ヤマハの80年代のリバーブは,ギターの世界で特に人気があるらしく,とあるヒット曲で耳にする,とあるスタープレイヤーが奏でる独特の音が,この時代のヤマハのリバーブでしか再現出来ないのだそうです。でもそんな音いるか?

 本物はSPX90で作られるこの音,R100でも出来ると知れてから人気も価格も上昇とのことで,それでも数が出ているから貴重品にならずにすんでいるみたいです。

 そういう事情があるとは知らず,気に入った音が出るから欲しかったR100は,久々に私の目の前に姿を現したのでした。

 手にしたR100は汚れて傷だらけで触るのも気持ち悪いレベルですが,丁寧にレストアしていきましょう。

 まず分解。出来るだけ分解したらツマミや筐体を全部ハンドソープで洗います。落ちない汚れはアルコールでさっと拭き取ります。

 ケースの両サイドが,なにやら尖った物でひっかいたような悲惨な状態でしたので,黒のつや消しスプレーで補修します。

 そして基板です。基板は一見すると非常に程度が良く,分解前の通電テストでも正常だったので,それほど手間はかからないと思います。

 まず電解コンデンサの交換。しかし4級塩の電解コンデンサが使われる前なので,液漏れもなく,容量ヌケもなくて,非常に良い状態です。いちぶバイポーラの電解コンデンサが使われているので要注意です。

 加えて2箇所,電源部にタンタルコンデンサが使われています。当時は高級な部品だったタンタルコンデンサですが,今はもう時限爆弾みたいなもので,見つけたら即交換しないと恐ろしいことになります。これは同じ容量のセラミックに交換です。

 次にバッテリーです。メモリーバックアップ用のCR2032を交換するのですが,せっかくなのでソケットにします。外した電池の電圧はまだ3Vをキープしており,35年たってもメモリーを維持するこのマクセルの電池には感動しました。マクセルすげー。

 ソケットの足はそのままでは基板に取り付けできないので1mmの穴を新たに基板にあけて,ソケットをハンダ付けします。

 そして最後にOP-AMPです。OP-AMPは音質やノイズに直接関係のある部分に使われているのですが,三菱のM5238と新日本無線のNJM4558です。

 M5238はFET入力のTL082の改良品らしく,音にも定評があるようですが,いかんせん設計も古いですし,ここは同じFET入力のOPA2134にしましょう。

 NJM4558もオーディオ用にはノイズや帯域で今一歩なところがあるので,その改良品種であるNJM4580にします。NJM4580は本当にいい音がします。幸いにしてどちらも面実装品が手元にあるので,なにも考えずに交換します。

 ここまでで筐体に取り付け,通電テストをします。同時に電源電圧を測定して問題がないことを確認出来たら詳しいテストと調整です。

 まず,BYPASSとPARAMボタンを押しながら電源を入れます。これでテストモードに入りますので,MEMORYキーのあとUPやDOWNキーでファンクションを選び,RECALLで決定します。

 まずはファンクション1のLEDです。すべてのLEDの点灯を確認したら,ファンクション2のキーに進みます。

 左から順番にキーを押すとLEDの数が増えていきます。最後にフットスイッチまで確認出来たらd2と表示されるので,次に進みます。

 ファンクション3はADコンバータのオフセットです。0.1秒おきに位相を入れ換えるように動作しますが,もしオフセットがあるとクリック音が出るので,出力にアンプを繋いでVR104を調整し,クリック音が最小になるようにします。

ファンクション4はメモリーの初期化です。電池を入れておけば内蔵メモリが元通りに復活します。

 ここから先はオーディオのテストと調整ですが,入力に1kHz,-20dBmの信号を入れ,出力に-10dBmが出てくるようにVR102を調整します。

 最後にノイズをチェックして,-85dBm以下にいなければ,VR104を少しだけ動かして範囲に入れます。あまり大きく動かすとオフセットが出てしまいますので,出来るだけ触らない方が無難です。

 と,まあここまでスムーズに行くと思ったのですが,いろいろ大変でした。

 まずノイズ。実は音を聴かずに測定器だけで調整を進めたからでもあったのですが,最後のノイズのチェックで,まさかの-60dBmというとんでもなく悪い値が出てきました。これはおかしいと音を聴いてみたところ,ビーというかギャーというか,マイコンがいかにも出しそうなノイズがはっきり聞こえます。

 さらによく聴いてみると,LEDの表示によって音が変わります。点滅すればその周期に合わせてノイズが出たり引っ込んだりするので,これはLEDの表示まわりの回路から電源に回り込んだノイズが原因でしょう。

 交換した部品はコンデンサとOP-AMPですので,順番に元に戻すというのも考えたのですが,それもまた面倒なので回路図を見ながら可能性のある部分に対策を打っていきます。

 この件の原因は,タンタルコンデンサをセラミックに交換したことにありました。タンタルコンデンサを同じ容量のセラミックに交換することは割と普通に行われているのですが,そうはいっても主波数特性は異なりますし,セラミックは電圧がかかると容量が減るという特性もあります。今回の条件では電源を綺麗に出来なかったんでしょう。

 対策はセラミックコンデンサに並列に大きめの容量のアルミ電解コンデンサを取り付けました。これで嘘のようにノイズが聞こえなくなり,最終的なスペックも-90dBmとなりました。

 次に調整の問題。dBmという単位は電力の単位で,dBm=1mWを示し,電力ですから負荷抵抗には無関係に使える単位ではあります。実際R100の出力レベルは負荷抵抗10kΩで測定するように指示があります。

 ただ,同じ1mWでも負荷抵抗が変わると電圧レベルは変わってしまいます。私が使うオーディオアナライザではdBmで出力を設定したり測定値を表示したり出来るので心配ないわ,と思っていたのですが,そのままではどうも上手く調整出来ていないことに気が付きました。

 簡単に言えば-20dBm入れて-10dBm出るようにするというのが調整のゴールです。ただ,電圧ではなく電力であり,電圧で調整をするのではないということを頭に入れておく必要もあります。

 メーカーの言うように,本当に負荷10kΩで-10dBmにするなら,1Vrmsというかなり大きな電圧に合わせることになってしまいます。一報の入力である-20dBmも,標準的な負荷である600Ωで扱いますから,実際にR100に入る電圧は一体どのくらいなのかは,測定しないとわかりません。

 私の場合,無負荷での-20dBmの電圧は0.156Vrmsでした。この電圧をそのままdBmで書くと-14dBmになってしまうので,600Ωの負荷をちゃんとくっつけて,その時の電圧で見る必要があるということです。おそらくもう6dBm下がって-20dBmになるんでしょう。

 どっちにしても,今回調整したいのは電圧ゲインであって,無理に電力で扱う必要はありません。

 ただ,最初はオーディオアナライザを無条件に信じてdBm表示で調整を試みました。試行錯誤をしたのですがどうも元の半固定の位置から大きくズレてしまうので,自分自身の解釈を疑っては何度もやり直すことになりましたが,冷静に考えればとても簡単な話です。

 -20dBmから-10dBmということは,電力比で10dBですから,10倍のゲインです。電力が10倍になるのは,電圧と電流がSQR(10)ですから,電圧が3.16倍になればいいわけです。

 私のオーディオアナライザの-20dBm出力の電圧は前述の通り0.156Vrmsでしたから,その3.16倍の0.493Vrmsに合わせるとOKです。これだともとの半固定の位置から大きく外れず,実際に使ってみても違和感はありません。

 ただ,この場合でも入力ボリュームの位置によっては,ノイズがバリバリ出ることがあります。これはかなり面倒なのですが,どうもオフセット調整とも関連がありそうで,何度かやり直して,ようやく普段使うところでノイズが小さくなるように調整出来ました。

 ということで,電気的にはこれでいいんですが,もう1つ大きな失敗をしました。LEDの窓のスモークです。

 パネルを何度か付けたり外したりしているうちに,LEDのスモークの裏側を触ったらしく,指紋がついてしまいました。気持ち悪いので拭き取ろうとしたのですが,ここでアルコールを使ったのが失敗。なんとこのスモークは,アルコールで剥がれてしまう塗装でした。

 濃いめの紫のスモークでしたので,てっきり塩ビかアクリルだとおもっていたのですが,まさか塗装とは。仕方がないので全部アルコールで剥がして吹きとりましたが,そうすると完全な透明になってしまい,LEDの下地である白色が丸見えです。

 こういう失敗をやらかすのが私の鈍くさいところで,本当に情けないことです。気を付けて触らなければこんなことにはならなかったはず。せめて水拭きで済ませればまだよかったのに,そこでアルコールなどを使うからこんなことになるんです。

 外側からは見えなく,内側からのLEDは透過するような,そんな都合の良い材料があればいいんですが,なかなかいい物が浮かんできません。

 しばらく考えてなんとか思いついたのが,LCDの偏光フィルムです。試したところ1枚では薄くて下地が見えてしまいます。そこで2枚ずらして重ねて,透過量を調整ながらスモークフィルムを作る事にしました。

 なんどもやり直しましたが,きりがないので我慢出来るレベルで手を打ちました。

 こうしてようやく完成したR100,早速実際に使ってみることにします。

 改めて音を聴いてみると,懐かしいです。そうそう,こんな音でした。アーリーリフレクションの強い音を選ぶと左右に音が広がり,PADに適したエフェクトだと当時は多用した物です。

 でもさすがに今のリバーブとは演算精度もメモリ容量も段違いに少ないですから,不自然な音の消え方をしますし,当時は気にならなかったようなノイズも耳障りに聞こえます。これ,さすがに今使うのは厳しいかもなあと思いました。

 これもまあ,個性と考えればいいのかも知れません。ヤマハのリバーブはパリッとした透明感のあるリバーブという印象で,今どきのしっとりした音とは違った個性を持っていて,欲しい音が手に入って満足です。電池も交換しましたし,これで当分使える事でしょう。

 ・・・単体のリバーブが絶滅したのは事実なんですが,実は安いミキサーにも内蔵されていることを,つい先日知りました。15000円の6chミキサーに,わりとちゃんとしたリバーブが入っているの知り,こっちの方が良かったかもなあと,ちょっと後悔しました。やっぱりデジタルリバーブは安くなっているんですね。

 

ALESIS MicronのディスプレイをOLEDに交換することに成功

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 私がALESIS micronを手に入れたのは2009年にのことで,当時もすでに特価で売られていました。アナログモデリングのシンセですが,音も太くて低域も豊か,AKAIのMiniakも含めるとそれなりの数が出たのではないかと思います。

 シンセサイザーとしてのアーキテクチャも独特なら,37鍵のシンセサイザーとしてはやや大柄で無骨な外観はデザインも個性的,UIも国産機にないものがあります。

 安かったこと,アナログモデリングを使ってみたかったことで買ったわけですが,なるほど音は素晴らしく,あのアナログシンセの音,あの曲で使われていた音が出てくることに感激したり,そうかと思うとアナログシンセが苦手とする音がパーンと出てきたりして,良く出来ているなあと思う一方で,内蔵エフェクトの弱さや音作りの面倒臭さもあって,面白いなあと思うほど触ることはありませんでした。

 音も良いので音作りをしたいのですが,パラメータが多いこと,またモジュレーションマトリクスが音作りのをキモになるという点で,見やすいディスプレイがないと辛いのですが,micronのLCDはとにかく目が疲れるものでした。

 2009年の艦長日誌には,LCDのバックライトが明るすぎて,目に焼き付くほどだと書いてあります。黄緑色のバックライトに黒の文字ですが,長時間にらめっこする音作りにおいて,どうしてこんなに明るいのかと首をかしげるほどのLCDを見続けるのは,私には無理でした。

 コロナ禍で社会が沈み込んでいたある時,micronのLCDをもっと見やすいものにすれば,音作りも楽しくなるのではないかとひらめきました。シンセサイザーによくある,絆創膏のような小さい16x2行のLCDを見やすくするために,プラグコンパチな有機ELのディスプレイに交換してしまうのです。

 LCDの劣化で見えにくくなったものをOLEDに交換するというこの手の改造は割に多く見られるようで,国内外を問わず目にすることがあります。しかし,簡単にいかないケースも多いようです。

 micronのLCDをOLEDにする改造を日本語で見つけることはなかったのですが,海外にはチラチラと試みている方がいるようです。失敗した,上手くいく方法はないか,という掲示板の書き込みばかりで,上手くいったという話を見つけることは出来ません。

 まあ,やるだけやってみようと,パラレル接続のLCDとコンパチなOLEDを秋月電子で購入し,とりあえず付け替えてみました。

 結果は惨敗。全く何も表示されません。

 原因を考えてみますが,気が付いたのは信号の電圧レベルです。LCDは種類によりますが2.2V以上をHighと認識します。一方秋月で買ったOLEDはデータシートによると電源電圧の0.7倍とありますので,3.5VでHighです。

 で,micronの回路図を見ると,LCDはFPGAに繋がっていて,このFPGAのI/O電圧は3.3Vとなっています。ということはLCDの信号レベルは3.3V系という事になる(LCDは5Vで動いています)ので,実はOLEDではHighと認識しないのです。

 波形を見てみると本当に3.3Vのロジックレベルなので,これで動かないのも当然という感じです。そこでレベルシフタを入れて5Vに変換したのですが,画面に出てきたのは判別不能なゴミです。

 ここに至って,LCDとOLEDのコントローラの非互換部分に依存する物と結論しました。それはコマンドかも知れないし,タイミングかも知れません。初期化の違いかも知れませんし,待ち時間の多い少ないかも知れません。ただ,いずれの場合もmicronのファームウェアを改造しないと対策できない範囲の話なので,ここで私はあきらめて,白色LEDのバックライトで白い文字が出てくるLCDへの換装で妥協したのです。

 しかし,やはりLCDはまぶしい上にムラもあり,長時間の凝視には厳しいです。やはり音作りを行うことは出来ませんでした。そして3年・・・

 先日デジットのランダムボックスを買うときに,特価していたOLEDを数枚買いました。というのも,異なるメーカーのOLEDが見つかったらもう一度トライしようと思っていたからです。コントローラが同じならダメですが,試してみる価値はあるでしょう。

 ということで,お盆休みに暑ざにも負けず,共立電子のOLEDに交換して再度試してみたわけですが,やはり全く画面になにも出ませんでした。

 さて,ここからが本番です。この3年で暖めていたアイデアがあります。実現に向けて検討開始です。

(1)レベル変換

 3.3VのFPGAに5VのOLEDを繋ぐのですがら,レベル変換は必要です。簡単に済ませるため74HC244を使って変換します。結果は前回同様,おかしな表示が出て来ました。


(2)バスの双方向の可能性
 
 前回も気になってはいたのですが,バスが双方向の可能性がありました。コマンドによって異なる処理時間を,ビジーフラグをみてコマンドを投げるように真面目に組んであったら,レベルシフタも双方向でないと動きません。

 そこでR/W端子の波形を見たところ,ずっとLowのままです。つまり双方向ではなく,片方向で動かしているという事です。もし双方向だったら74HC245を使い,R/Wで向きを反転させるような回路にしないといけないところでした。


(3)初期化の問題

 今回の新しいアイデアというのがこれで,初期化の非互換が原因とした場合の対策です。

 LCDとOLEDでは,電源の電圧と電流に大きな差があり,特に安定時間に違いが大きいです。動き出してしまえばコマンドも同じように作ってあるので問題はないはずですが,ひょっとするとOLED特有の初期化コマンドがあったりするかも知れません。

 実績として,ヤマハのシーケンサーであるQX5FDは,元々のLCDをそのままOLEDに交換することが出来ました。このことから,初期化後のコマンドやデータに互換性がある(ただしタイミングは違うかもしれない)わけですから,非互換は初期化の段階で起きている可能性が大きいでしょう。

 そこで考えたのが,OLEDの初期化を別のマイコンで行い,初期化が済んだらmicronに切り替えるというアクロバティックな方法です。初期化後なら,表示が変わっていない時は新しいコマンドは発行されていないので,切り替えてもおかしなことは起こらないはずです。

 ブレッドボードを使ったバラックで試してみます。まずTiny2313とOLEDを4bitモードで普通に繋ぎ,まともな文字が出るようにプログラムを書きます。以前作ったLCDのテストプログラムをそのまま使ったのですが,2行目になにも出てこずしばらく悩んだところ,やはり初期化に一部違いがあることがわかりました。(とはいえこれは表示が出てこないという致命的な問題の原因ではありません)

 最終的にはOLEDだけではなく,LCDでも表示が出来るように,共通の初期化を行うようにします。

 安定して表示が出るようになったら,74HC157を2つ使って,micronとTiny2313をスイッチできるようにします。選択は手動です。

 試してみると,OLEDでもLCDでも,まともな表示が出るようになりました。いやー,我ながら無茶をしますね。でも,波形を見る限り,問題は初期化にある可能性が高かったんですよね。

 配線が長くなったので不安定ですし,文字化けもあるのですが,とにかく基本路線は間違ってなさそうです。それならとTiny2313のコードをいじって,切り替えを初期化の直後に行うようにGPIOに信号を出し,HC157に繋いだところ,期待通りの動きをしています。切り替えタイミングが遅すぎるようで,変更された文字だけが表示される状態でしたから,切り替えのタイミングをうまく調整すると,完全に表示が出てきそうです。


 ということで,早速ブレッドボードで組んだ回路を万能基板に作り直しました。今度は実機に組み込みますから,格納場所をよく考えて基板を作ります。今回はOLEDのコネクタに差し込む小基板の体裁をとりました。この小基板にmicronのケーブルを差し込むような感じです。

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 基板が出来たらTiny2313のコードを見直します。多めにとっていたウェイトを削り,素早く切り替えが出来るようにします。特に電源安定時間として500ms必要というデータシートの指示を守るのは難しいので,最終的に250msまで削減しました。200msまでならなんとか起動できるのですが,ギリギリは怖いのでゆとりを持たせました。

 こうして出来上がった基板を間に挟んで試したところ,一発で動作しました。OLEDにまともなmicronの表示が出ています。トランスポーズやパラメータの表示で出てくるグラフィックも問題なく出ており,なにも問題はありません。

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 気をよくした私は,Tiny2313に起動メッセージを出すことにしました。起動メッセージが出ている間にTiny2313が初期化を行っているので,もし起動メッセージを出すならTiny2313で出すしかありません。

 なかなかタイミングがシビアだったのですが,0.3秒ほどAlesis Micronという起動メッセージを出すことができました。これがスクロールしたり1文字ずつ出てきたりしたらアウトだったのですが,シンプルで良かったです。

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 電源を何度も再投入するとOLEDの電荷が抜けず,OLEDのリセットに失敗するようで文字化けがあるのですが,ゆっくり起動すれば問題ありません。

 それより,この見やすさ。
 
 いよいよ組み込みです。モジュールの形状も大きさも違うので工夫が必要ですが,もとのLCDがバックライトありの分厚いもので,楽に固定する作戦だと薄いOLEDの場合パネルから随分深い所に表示が出ることになり見にくくなります。

 せっかくの美しい表示なのですから,見やすさにもこだわりたいところで,モジュールを大きく削り,両面テープでパネルの裏側に貼り付けることにしました。おかげでとても見やすく,井戸をのぞき込むような面倒臭さがなくなります。

 組み立てて動作の確認をします。動作の不安定さもなく,文字化けもありません。表示の更新にもちゃんと追いついているようで,ガチャガチャと乱暴な操作を行っても表示は乱れることがありません。実用レベルでしょう。

 ということで,作業期間は3日ほど。散らかった部屋で検討したので塗装が剥げてしまったり傷がついたりしたのが,いかにも私らしいわけですが,ともかくこれで音色のエディットで目が痛くなることはなくなりました。じっくり腰を据えて音作りができます。

 おそらく,micronのLCDをOLEDに換装できた人は世界中で私くらいのものでしょう。こういう無茶をする人はいないでしょうし,かといって他の真っ当な方法は非現実なほど難しいです。(例えばmicronの初期化のコードを変更するにはColdFireの開発キットが必要になりますし,バイナリで直に修正するには規模が大きすぎます。)

 今思えば,初期化のあとに切り替える方法でなくとも,初期化の後もTiny2313でmicronからのコマンド度データを受け,これをOLEDに再送する仕組みでいけるかなと思いましたが,まずTiny2313にLCDと同じ挙動を実装しないといけませんし,再送だとどうしてもタイミングがシビアになると思うので,これはこれで難しかったんじゃないかと思います。

 何年も暖めたアイデアがこうして正しいと証明されるとうれしい物ですし,この仕組みは初期化におけるLCDとOLEDの非互換部分を埋めるものと言えるかも知れません。

 なによりこうして使いにくい物が使いやすくなっていくことがうれしいじゃないですか。


[おまけ]

 今回の検討は最終的には上手くいきましたが,実はそれなりに犠牲も大きかったです。LCDモジュール1つとOLEDのモジュール1つを壊してしまいました。

 どちらも電源の逆差しが原因です。ブレッドボードでの実験で,LCDとOLEDを交換する時に,電源が入れ替わっていることに気が付かず,どちらも逆に繋ぐという馬鹿なことをやってしまいました。

 LCDはまだ外し品だから良かったものの(それでも端子が1列に並んだブレッドボード向きの奴はこれだけしか持ってなかったので地味に痛い),OLEDは秋月で買った1580円もした高価なやつです。

 LCDはまった表示が出なくなったのであきらめもつきましたが,OLEDはしばらく表示も出ていて,徐々に表示されている時間が短くなっていき,やがて全く出なくなってしまったので,悔しいです。

 電源のGNDを外すと表示が出たりしたこともあったので,電源の逆差しでドライバのVDD-GNDがショートしたんでしょう。他のGNDに繋いだ端子経由で電流が回って動いていただけで,ここも壊れてしまっていよいよ表示が出なくなりました。

 表示が出なくなったときには,100mAも電流が流れて発熱していました。完全に内部でリークしています。最後には全く動作しなくなったので,捨ててしまいました。

 ああ,もったいない。

 

Matrix-1000のメンテ

 実家の荷物をすべて引き上げることになったのが2021年の9月末,そこからもう4年も経過するというのですから,時間の経過というのは残り時間が少なくなるほど早く感じる,残酷な物だなあと思います。

 多くの所有物を心を無にして捨ててきましたから,現在残っている物にはそれなりのワケがあるわけで,可能な限り残しておきたい(私の手元にという意味もありますが,他の人の手に委ねてでもという意味もあります)と考えて引き上げてきたものをほったらかしにするわけにいきません。

 そんな品々の中に,OberheimのMatrix-1000というアナログシンセがあります。1980年代に登場した「最も安いオーバーハイム」で,デジタルシンセ全盛の時代に登場したモダンなアナログシンセです。

 Matrix-6というアナログシンセと共通の音源(といっても細部は違うようです)を持つラックマウントの音源モジュールですが,音色のエディット機能は持っておらず,プリセットされた音色を選ぶだけという割り切った仕様で,低価格と1Uラックサイズを実現しています。

 そのプリセットはなんと1000音色。どれもオーバーハイムらしい音色であり,それはすなわちアナログシンセの神髄を存分に楽しめるという事です。

 スペックを並べてみると,2DCO+1VCF+1VCAの6音ポリという王道の構成で,名前の通り強力なMatrixModurationも装備しています。DCOはVCOに比べて1ランク下のイメージがありますが,ピッチの安定度は実際にVCOのシンセを使ってみると,とてもありがたいものです。

 8254というタイマーICからの矩形波をのこぎり波や三角波にするWave shaperとVCF,VCAをワンチップにしたCEM3396を使って部品点数を極限まで減らしたシンプルな構成は,アナログシンセの完成形と言えるでしょう。

 アナログ末期の製品ということで,ベロシティとアフタータッチにも対応していて,なんとベロシティはノートオンだけでなくノートオフベロシティにも対応するという充実ぶりです。これらをMatrixModurationで縦横無尽に割り当てることが出来ます。

 USA製と日本製の2つがあるとされていて,音の違いもあるとかないとか。数も出たし安価だったこともあり,目にする機会も多かったオーバーハイムでした。

 かくいう私がこれを手に入れたのは高校生の時です。当時の唯一の音源だったD-20の音の細さと同時発音数に限界を感じていて,パッドやストリングスにアナログシンセを導入したいと考えていました。

 そこに偶然,弟から「友人がMatrix-1000を売りたがっている」と話があり,私が買うことにしたわけです。金額はもう覚えていませんが,当時の中古の価格と同じ程度だったと思います。

 手に入れた私は初めてのアナログシンセをワクワクしながら触ってみたのですが,まず出力がモノラルであることに衝撃を受けました。リバーブもコーラスもなく,1000音色もあるというのに使えそうな音が数個しかないという現実に,アナログシンセが時代遅れの楽器であることを思い知ったのでした。

 今ならそれが間違いである事を理解していますし,実際改めて1000音色を聞いてみると,どれもとてもアナログらしいいい音で,即戦力になる音も100個は下りません。要するに当時の私のレベルが低かっただけのことなのですが,それでも当時,お気に入りのPADやストリングスを,深めのエフェクトをかけて使っていました。

 1Uのラックマウントとはいえ奥行きがあり,重量も重かったので持ち運ぶことはしなかったのですが,あの当時にブラスやリードの戦闘力に気付いていれば(そしてそれらを使いこなせていれば),VintageKeysの代わりに持ち歩いていたんじゃないかと思います。

 そうそう,1996年のことだったと思いますが,電源投入から10分ほどすると暴走するという故障がありました。原因はマスクROMの不良で,読み出せるうちにさっとEP-ROMにコピーを取り復活させました。

 2021年の秋に自宅に引き上げてきた時,バックアップ用のリチウム電池は交換したのですが,その後は一度も電源を入れず,音も出していません。もう壊れているかもしれないなと思いつつ,なんとなくそれを知るのが怖くて,今まで屋根裏部屋に放置していたというわけです。

 ここ数年,夏の暑さが厳しい事もあって,そろそろメンテをしないといけないと重い腰を上げ,まずは簡単な動作の確認をしました。うれしいことにちゃんと音が出ています。心配していたVOICE間のバラツキもなさそうで,あのオーバーハイムの音がちゃんと出てくれて,胸をなで下ろしました。ただし0-199までのプリセットは消えていました。

 ということで,電解コンデンサの交換が主なメンテナンスになりますが,ぱっと見るところ音に直接関係しそうな電解コンデンサはなさそうで,良い設計だなあと感心しました。

 心配なのは電源の平滑用の4700uFと6800uFが,高さ25mmの低背だったことです。秋月を含め,さすがに25mmのものは入手出来ず,やむなく30mmのもので手を打ちました。もし天井にぶつかってしまうようなら交換をあきらめることになりそうです。

 交換用の電解コンデンサを秋月電子に注文し(電解コンデンサは生ものなので,使う時に買うのが鉄則です),届いたら早速交換作業開始です。

 Matrix-1000の基板はガラエポの両面で,パターンが弱く剥がれやすいです。丁寧にハンダ吸い取り機を使って古いコンデンサを外して行きますが,やはりいくつかのパターンは剥がしてしまいました。これが後々仇になります。

 新しいコンデンサに付け替えて作業終了です。1時間半ほどの作業ですが,単純な交換作業ですので大丈夫だろうとテストもしないで組み立ててしまいました。

 電源を投入し起動を確認したら音出しです。しかし,出ない音があります。アナログのポリシンセで和音を演奏し,ちゃんと音が出ていないVOICEに気付いた時の,あの絶望感は体験した事のある人しか分からないでしょう。

 テストモードで調べてみるとVOICE2が全く機能していません。音がおかしいとか小さいとかではなく,全く音が出ていません。むしろこういう故障は判断が楽なので,気をよくして交換したコンデンサの周辺を確認します。
 
 すると,VOICE2のCEM3396の周辺にある4,7uFの電解コンデンサのパターンが切れているのがわかりました。他のVOICEと比較しても,このパターンが切れていることは明白で,ここをとりあえず繋ぐ必要があります。

 バラしてパターンを修復し,また組み立ててテストです。今回は問題なく,どのVOICEも綺麗に音が揃いました。この感激もアナログポリシンセの修理でしか味わう事の出来ないものでしょう。

 初期化,キャリブレーション,DAC電圧の調整(ExtFunc -> 7 -> 2 -> EnterでDAC電圧をVR701を調整して0mVにする)を済ませ,消えた0-199のパッチをロードし,バッテリーを交換して修理完了。心配していた平滑用の電解コンデンサはぎりぎり天井にぶつかりませんでした。

 キーやツマミも水洗いし,中も外もすっきりしたMatrix-1000ですが,改めて音の良さと使いやすさを見直しました。どの音もちゃんとオーバーハイムの音ですし,さっと呼び出すだけで戦闘態勢になるというのは,ライブでもきっと重宝したでしょう。

 アナログシンセと言っても80年代中頃のDCOポリシンセは,それ以前のヴィンテージシンセとは全く別物で,これはこれでとても魅力的な音がします。安定したピッチに故障知らず,場所も取らず持ち運びが楽で消費電力も小さくて,音もモダンで存在感があり,しかも使い道が豊富とくれば,一家に一台ぜひ,という感じです。

 また,どうしてもDX7を意識しなければならなかったJX-8Pなどの当時の国産アナログに比べ,この頃のアメリカ製のシンセサイザーには堂々とした風格があります。交換した電解コンデンサを調べてみましたが,どれも容量抜けもなく,きちんと性能を維持していました。部品の品質もよかったみたいで,当時のアメリカの丁寧なものづくりを垣間見た気がします。

 しかし,こうなってくると,故障したときが心配です。CPUやRAMなどの汎用品はどうとでもなるとして,キーパーツであるCEM3396だけはストックもありませんし,入手も難しいでしょう。あるところにはある部品なのでしょうが,CoolAudioが互換品を作っているという話も聞いたことがありません(似たような機能をもつV3397というチップは作ってるようですが,互換品ではありません)ので,それなりに苦労しそうな気がします。

 パターンの修理やROMの交換,電解コンデンサの容量の違い(リセット回路の15uFは入手の関係で22uFに置き換えました)もあってオリジナルと胸を張って言えなくなってしまいましたが,おそらく死ぬまで持ち続けることになるMatrix-1000を,実際に演奏して楽しみたいと思います。


デジットの味をご家庭で2025

 先日,デジットのランダムボックスが久々に売り出されました。200回記念という事だそうですが,前回は確か年始だったと思うので半年ぶりです。

 その年始のランダムボックスは発売されたことに気が付くのが遅く,売り切れていました。今回こそは買い逃さないようにしようと,急いで買うことにします。

 過去には決済官僚に時点で残り数個になっているほどの人気商品なので,あわてて決済まで済ませたのですが,なにやら今回は在庫数がなかなか減りません。ちょっと拍子抜けしつつ,自宅でデジットを味わえるのを楽しみに,翌日の到着を待っておりました。

 果たして届いたランダムボックス,今回はこれまでになく,微妙な中身でした。

 まず,スカスカです。いや,別にぎっしり入っている方がお得とか,そういうことは電子部品には当てはまらないのですが,それでもランダムボックスというのは届いた部品をあれこれと品定めするのが楽しいわけで,数が少ないのはその楽しみも少ないという事になります。この時,私は少し嫌な予感がしました。

 詳しく見ていきます。2つのビニル袋が入っていたのですが,こんな感じの中身でした。

・DIN 13Pメスコネクタ
 DINコネクタの13Pです。確かに今は貴重かも知れませんが,もともとPC-8801のキーボードで使われているのをみたことがある程度で,正直使い道がありません。

・Y14H-1C-12DS
 12Vの小型リレーで1回路2接点のものです。秋月電子で120円です・・・

・PX-10
 今回の最大のゴミはこれでしょう。キーエンスの製品なのですが,なんだろうと思って調べてみると光電センサ向けのアンプユニットだそうです。センサがないと意味がないだけではなく,仮にセンサがあっても使い道はないなあ。
 分解して部品取りにでもと思いましたが,めぼしい物もなさそうです。
 後述するように2つ目を買った時に感じたのは,こいつが入っているから,中身が少なかったんじゃないだろうか,ということです。

・Z80A-CTC
 Z80ファミリのうち,CTCです。これもまあ,かつてX1用のMIDIボードを自作するときに買いましたし,X1turboやFM音源ボードに搭載されていた関係でおなじみのLSIですが,今使うかと言えば・・・

・LH5116-10 4個
 シャープ製のCMOS SRAMで,2k x8ビットの「普通」のSRAMです。4個入っていても2kバイトでは全然うれしくないですし,補修用としても手持ちが腐るほどあるので,もはやゴミです。

・GAL16V8B
 今回,一番興味を惹いたのが,このGALです。1990年代中頃,まだまだFPGAがアマチュアには遠かった時代,自分でプログラム出来るロジックICとして,唯一アマチュアが手作り出来るカスタムICだったのが,PALやGALと呼ばれる小型のPLDです。
 PALはワンタイムだったのに対し,GALは何度でも書き込み出来たので,アマチュア向けでした。TTL数個をまとめる事の出来る便利なデバイスで,特にアドレスデコーダなんかで重宝するのですが,書き込み器が高価で自作例も少なく,今で言うEDAツールであるPALASMも高価で入手困難と,やっぱりアマチュアには高い壁でした。
 今ならPALASMは無料で使えますし,ライタは汎用の物がサポートするのですぐに始められるのですが,そんな今はデバイスの入手が難しくなっています。
 私も使いたい時が何度もありました。今さらという気もしますが,当時の追体験という事で,なにかプログラムしても面白いかも知れません。

・4.7V 1W ツェナーダイオード
 品名など一切不明,ガラスモールドの4.7Vツェナーです。ポイントは1Wという大型であることでしょうか。普段自分が作る回路でこんな大きな物は必要ないのですが,修理で使うこともあるかも知れませんので,ストックとしては意味があるでしょう。
 ただ,私はなぜかツェナーの手持ち在庫は豊富でして・・・

・78L06
 TO-92の小型三端子レギュレータです。メーカーはMCCで,10個ほどありました。欲しい時には欲しいものですが,別にいつでも買えますし,安いですし・・・

・その他
 LEDも5mmの砲弾型で赤と緑の普通の物が大半,あとは訳のわからん基板(ボタン電池のホルダーのついてるやつで,これまでのランダムボックスにも大量に入っていた)や,機械時計のムーブメントみたいなものやら,スイッチ,抵抗,コンデンサ,という感じでした。


 うーん,これはつらい。別にICやLSIが欲しいとか,面白い部品が載った基板が欲しいとか,そういうことではないのですが,キーエンスのモジュールとか,これはかんぜんにハズレだったと思います。今後もこれが続くようなら,もうデジットのランダムボックスもおしまいかなと,そんな風に思いました。


 で,翌日の夕方・・・まだ在庫があるじゃありませんか。

 同時には1つしか買えないものだったのですが,翌日に在庫があるなら買えるかも知れません。前回はたまたま運が悪くてハズレを引きましたが,今度は当たりが出るかも知れません。

 ああ,完全にガチャで破滅する人の心理になってます。

 しかし,彼らと同じく,欲望にはあらがえず,気が付いたら注文を終えて多幸感に満ちておりました。

 翌々日に届いた2つ目のランダムボックスですが,基本的には微妙。しかし,幾分ましになっていました。やはり前回のものはどん底だったみたいです。


・M62X42B RTC
 なにやら見慣れないICだなと思って調べてみると,沖電気のRTCでした,そういえば沖電気もRTCの国産主力メーカーだったよなあ(他にはNECとリコーですかね)と懐かしそうに目を細めて眺めてしまいました。
 水晶発振子も内蔵していて,使い勝手は悪くありません。これを採用した機器を全く知らなかったので少し調べてみると,なんとシステムSSV(なんとCPUがV60で,サウンドチップがエンソニックのES5506)というアーケードゲームのシステム基板のRTCとして使われてました。補修部品として欲しい人には刺さるかも。
 さらに今回はAランク品ということで,誤差が10ppmのものでした。普通に時計として優秀です。

・LH5116-10 x3
 1回目と同じ2k x8ビットのSRAMです。いらんいらん。

・Z80A-CTC
 Z80ファミリのCTCです。1回目と同じシャープ製。

・TC4584BP
 東芝のCMOSでシュミットインバータです。これ,なにげによく使うICなのでちょっとうれしいです。

・TC4017BP
 同じく東芝のCMOSで10進カウンタとして有名です。これ1つで10個のLEDを順次点灯できるので,小型の電子ルーレットや電子サイコロでは定番でした。上記の4584は1ゲートで発振回路が作れるので,クロックと効果音の発振に使い,4017でLEDをグルグル回すという感じです。

・GAL16V8B
 1回目と同じGALです。

・EXO3 8K 12.000MHz x2
 キンセキの水晶発振器です。分周器を内蔵していて,1/2から1/256まで選択可能です。12MHzなのでなにかと使い道があるかも知れません。

・LT1384ACN x4
 お,リニアのICやんけ,と色めきだったのですが,調べてみるとMAX232と同じようなRS232Cドライバでした。少し前にAppleIIのSuperSerialCardを自作していた時に手に入っていれば,と悔やまれます。120kbpsに対応,0.1uFでチャージポンプが動作するという,この手の製品では高性能なものです。

・LTC485
 これもリニアです。期待したのですが,名前の通りRS485(RS422)のドライバでした。おもしろそうですが,1個では実験も出来ませんし・・・


・FCZコイル 7mm 7MHz x3
 今回一番うれしかったものの1つが,大久保OMが作り出した偉大なコイル,FCZコイルです。アマチュアが無線機器を自作すると,その再現性はコイルによって左右されがちです。コイルは伝統的に標準品がなく,AMラジオ用のIFTでさえ細かいスペックはもちろん,巻線の方法も異なった物が売られています。
 標準品がない故にコイルも自作されることが多いのですが,これもまた安定性や再現性を損ないますし,結局のところ無線機器の性能はコイルが握っていますので,とかく当時のアマチュアの作ったものはコイルに振り回されていたのです。
 これでは自作文化が育たないと大久保OMがFCZ研究所を立ち上げてご用意されたのが,高性能なアマチュア無線向けのコイル,FCZコイルです。
 周波数帯ごとに用意されたコイルは基本性能も高い上安定性や再現性もよく,誰が作っても一定の性能が出る魔法のコイルでした。といっても入手は通販か秋葉原に限られていて,私が子ども時代を過ごした大阪では入手出来ないものでした。
 しばらくすると大阪でも帰るようになりましたが,そうこうしているうちにFCZコイルも製造中止。互換品も出回りましたが一部は巻き方が異なるなど全く同じものとは言えなかったりと,またもアマチュアはコイル難民になるかと思われました。
 現在は一部のパーツ屋さんが互換品を作って販売しているようです。
 今回入手したFCZコイルは,FCZのスタンプがあるのでオリジナルだろうと思いますが,1つ200円以上したはずなので,3個入っていればすでに元は取っています。

・FCZコイル 7mm 144M x4
 これもFCZコイルで,144MHzのものです。144MHz用のFCZコイルも,初歩のラジオの自作記事でよく見ました。私は結局アマチュア無線は全くやらなかったのでFCZコイルを買うことはなかったのですが,こうして手にしてみると,もっといろいろやっておいても良かったかなと思います。

・2N2905A
 モトローラ製のCANタイプのトランジスタで,なにやら特殊っぽい感じがしたので期待しましたが,60V600mAでfTが200MHzという,普通のスイッチングトランジスタでした。

・78L06 x10
 これも1回目のものと同じです。そんなに78L06ばっかりあっても仕方がないんだけどなあ。

・2SA733
 NEC製の汎用PNPトランジスタの定番品で,2SC945のコンプリペア,2SA1015なんかと同等のものです。NECが半導体から撤退して久しく,当時の勢いを知る人も少なくなる昨今,オリジナルの2SA733で未使用品もなかなかお目にかかることがありません。

・クリスタルイヤホン
 厳密にはセラミックイヤホンではないかと思うのですが,ゲルマラジオでは必須となる,クリスタルイヤホンです。ダイナミックイヤホンやマグネチックイヤホンでは全く代替できないイヤホンですから,貴重と言えば貴重でしょう。
 とはいえ,今でも普通に(それこそamazonでも)買えますし,珍しい物でもないんですが,お値段は500円と結構高価だったりします。

・超小型サーボ EK2-0500
 とても小さいサーボです。これ,なんか見覚えがあるなあと思っていたら,2年前に購入出来たランダムボックスにも同じ物が入っていました。やったー,これで2つ揃った!
 

・その他
 DIPスイッチを含むいくつかのスイッチ,懐かしのロッドアンテナ,電池ボックス,お約束の訳のわからん基板,リードタイプのLEDに抵抗にコンデンサにノイズフィルタと思われるトロイダルコイルが入っていました。


 ということで,2つ目については十分元を取ったでしょう。FCZコイルは今手に入らない物ということで貴重品でしょうし,RTCも入手の難しそうなものです。

 もし2つ目も1つ目と同じくらいのハズレだったら,もうランダムボックスは買わないつもりでした。2つ目もかつての面白さに比べたら全然ですが,このレベルならまた買おうという気がしています。

 すぐに売り切れなかったことも不思議ですが,今回はなんと蔵出しセールの200回記念だったみたいです。前回買ったのが100回記念(2023年7月)だったので,あれからもう2年かあと,あらためて時間の流れの速さを感じたのでした。

 

Optio RS1500のバックアップ電池

 娘が部活の合宿に出かけたおり,珍しくコンパクトデジカメを持っていくと言い出しました。スマホで撮った方がよほど綺麗だし写真の整理も楽だと思うのですが,撮影していて楽しいんだそうで,まあ私もわかる気がします。

 彼女のお気に入りは,PENTAXのOptio RS1500です。そう,12年ほど前のクリスマスの夜,会社の帰りに自宅の近所の量販店のワゴンセールで,わずか5000円でたたき売られていたものを救出して以来,うちのカメラになったものです。

 でもまあ,スペックのどこを見てもスマホに負けてますわな。これを使う理由は,スマホの電池を温存するか,親に時間制限をかけられたスマホを持たされている中学生が仕方がなく使うか,そんなところです。

 LCDが悪いので撮影時の画質が悪いように思いがちですがさにあらず,撮影された画像をPCで見てみるとなかなかよく頑張っていて,そこはさすがにデジタルカメラを名乗るだけあるとおもいます。

 大きさも手頃ですし,手に馴染むスクエアな形,操作もややこしくなく,電源とシャッターの2つのボタンで基本大丈夫というのも,なかなか魅力的です。

 マニアックなところでは,今やロストテクノロジーとなったCCDによる独特の色合い,smcPENTAX銘の4倍ズームレンズは非球面レンズを3枚も使った5群6枚(シリーズ最低のスペックなんですけどね),35mm換算で27.5mm~110mmまでと無理のない範囲で常用域をカバーしています。

 AFはいっちょ前に自動追尾に顔検出対応,シャッター速度も最高1/2000秒と十分で,メモリーカードを忘れたときでも21MBの内蔵メモリで急場をしのげますし,電池寿命はCIPA基準で210枚でと普通の使い方なら1回の旅行をこなせるでしょう。

 それから,PENTAXがHOYAの傘下にあったあの時代のカメラなので,機銘板はHOYAになっているところに,事情を知っている人は涙があふれるのを抑えきれないことでしょう。そんなカメラです。

 あ,着せ替えとか,そんなのはどうでもいいです。

 残念なのは,この時期のデジカメにありがちなある持病を,RS1500も抱えていることです。それは,時計や設定のバックアップ電池です。

 デジタルカメラは,一般に駆動用の電池を本体から外して充電しないといけないので,時計や設定をバックアップする小型の電池が内蔵されています。昔はコイン型のリチウム電池だったりしたのですが,電気二重層コンデンサで数分だけ持たせるようなものもありました。

 しかし,数分ではさすがに短いという事で,腕時計に内蔵するボタン電池と同じようなサイズの二次電池が2000年代後半頃から使われるようになりました。正極にリチウムとマンガンの複合酸化物,負極にはシリコン酸化物を使ったものだそうで,公称電圧は3V,サイクル寿命は100%充放電で100回程度,20%充放電だと1000回ほどOKという二次電池です。

 これだと丸一日のバックアップが出来るという事で,こぞってこの時期のデジカメに採用されたのですが,なんと言っても電池として機能する寿命が短く,僅か2,3年で死んでしまう電池が続出しています。

 従ってこの時期,そう,コンパクトデジカメ最後の時代ですが,現在まで生き残っているデジカメのほとんどは,バックアップが機能しないものとなっています。

 交換すりゃいいじゃないかと思うでしょうが,交換はメイン基板をごっそり交換することになるので高額です。というか,今はもうどこも修理などやってません。

 対象となるのはRS1500はもちろん,H90などもそうですし,なんとPENTAX QやK10Dだって含まれています。もう全滅と言っていいでしょう。
 
 とはいえ,バックアップが出来ないだけで,充電が終わった駆動用の電池を入れて設定し直せば撮影はなにも問題ないので,そのまま放置するのが一番という話もありますが,そうも言ってられないことが先日起きました。

 娘が合宿から戻ってきて,写真をみんなで見ていたときのことです。ある時刻から撮影日時がリセットされて2011年になっていました。これは悲しい。

 どうも,電池ブタに連動した電源カットのスイッチが誤作動して,電池が一時的に切り離されてしまったようなのです。そういうへんな仕組みを入れることも問題だと思いましたが,バックアップ電池が生きていたらこんな悲しい事は起きなかったでしょう。(本人はけろっとしていましたが)

 娘に聞くと,まだ使いたいとのこと。よろしい,ならば修理をするまでです。

 RS1500は,以前CCDにホコリがついたかなにかで一度分解して(しっかりストロボのコンデンサで感電しました)いますが,メイン基板を外すのは初めてでしょう。さっさと分解して基板を確認します。

 そこに,レンズ豆くらいの電池がマウントされていました。リフロー対応のタブがついたMS414GEというものです。直径4.8mmで高さが1.4mmと小さく,容量は僅か2mAhしかありません。サイクル寿命は100%でわずか50回です。

 外そうとしてハンダゴテをタブに当てたところ,電池にも熱が加わってしまったみたいで,なんと膨らんでしまいました。破裂すると厄介です。ここで作戦変更,まずタブと電池をニッパーで切り離し,電池が基板から外れてから,タブをハンダゴテで取り除くことにしました。

 手持ちの交換用の電池を探したところ,昔秋月電子で買ったMS621FEが見つかりました。直径6.8mmで高さ2.1mmとかなり大きくなりますが,容量は5.5mAhと2倍以上,サイクル寿命も2倍の100回です。(ちなみにこれを買った当時ならMS414GEも買えたようです。今は販売休止になっていますが・・・)

 ぱっとみたところ,なんとかこの大きさの電池ならおさまりそうです。ショートが怖いのでカプトンテープでしっかり絶縁して基板に取り付けます。正極についてはリード線でジャンパを飛ばします。

 基板をフレームに取り付ける時に,電池がフレームにぶつかってしまうので,フレームを削ってぶつからないようにしますが,強度が落ちてしまうことは覚悟しないといけないでしょう。まあ,仕方がありません。

 さっさと組み立てて,駆動用の電池を入れます。バックアップ電池も2次電池ですので,駆動用の電池を入れてから丸一日かけて充電がなされ,その後ようやく24時間のバックアップが可能になります。

 翌日試してみると,5時間ほどはバックアップ出来ているようです。これなら便利に使えるでしょう。

 容量としてもサイクル寿命としても倍になっている電池ですので,あと数年は動いてくれる物とおもいます。その後はまた修理するか,いよいよ捨てるかという話になると思いますが,娘が持ち歩いている間だけでも,無事に機能してもらいたいものです。

 ところでそのMS621FE,現在秋月電子では在庫切れ。入荷予定はあるようですが,価格が120円と安かっただけに,値上がりは覚悟しないといけないでしょう。リフロー対応のMS621Rは1個150円とややお高いですが,まだ在庫はあるようです。

 もう壊れるまで使い続けることにした,PENTAX Qの皮を被ったPENTAX Q7も,同じ症状が出ています。いつか修理をしないとなと思っていますが,MS621GEが使えるなら,秋月電子で販売が再開されたら検討してみましょう。

 

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