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ワンダースワン復活の道~その1

 ワンダースワンのお話,まず第1話です。失敗というか,恥ずかしい話です。

 作戦その1として,とにかく動くワンダースワンの確保をということで,仮にオリジナルに戻せても実用性に乏しいワンダースワンカラーをバックライト付きの見やすく綺麗なIPS液晶に換装することにしました。

 これ,数年前から死んだワンダースワンカラーを復活させる方法としても,あるいは貴重なスワンクリスタルを越える実用機を手に入れる方法としても注目されている方法で,多くのワンダースワンカラーが実用機へと生まれ変わっています。

 中国生まれのこの画期的な改造について,私は残念ながら詳しいことをよく知りませんが,液晶そのものはゲームボーイアドバンスのIPS換装キットと共通で,ワンダースワンカラーもしくはゲームボーイアドバンスのLCD出力信号を変換し駆動するコントローラ基板を,本体基板とLCDの間に挟むことでIPS化を実現しています。

 もちろん,コントローラ基板は機種ごとに違っているのですが,ワンダースワンの特徴であるセグメントによるステータスアイコンを,画面の端っこにドットマトリクスで表示することも,このコントローラの役割です。

 コントローラ基板そのものはワンダースワンカラーもゲームボーイアドバンスの共通のようで,コントローラLSIが違うのか,あるいはLSI自身はFPGAで,その中身を機種ごとに変えてあるのかは不明ですが,どっちにしてもLCDは共通,コントローラ基板は機種別になっているようです。

 キットとして売られていてamazonだと12000円くらいなのですが,aliexpressだと8000円弱,特価で6000円程度で売られています。すでにaliexpressに抵抗のない私は,もちろんaliexpressに注文です。

 1週間ほどで届いたものをテストしましょう。本体とコントローラ基板,そしてLCDをフレキで繋いだだけではだめで,フレキの途中に出ている2箇所のランドに5Vと3.3Vを供給するため,DC-DCコンバータモジュールから2本ジャンパを飛ばします。

 電池を繋げてスイッチを入れると,鮮やかな表示が正常に行われました。いやー,この綺麗さはモチベーションが上がります。素晴らしい。フレキの途中にあるタッチセンサに触れると輝度が変わり,長押しでカラーと白黒が切り替わります。

 説明によると,バックライトへの電流が多すぎて問題がでているらしく。電流を減らすための抵抗が同梱されているのでコントローラ基板にある10Ωを51Ωに交換しておきます。

 さて,これを本体に組み込むのですが,ここからが地獄の始まりでした。

 まず風防(透明パネル)です。これ,先日某ゲームショップで買った物がもったいないのと,ガラス製で高級感があるので再利用を考えていたのですが,あいにく剥がしたときにアルコールで融けた両面テープの糊がベタベタとついていて,これを取り除く必要がありました。

 見た目に綺麗に取れたようでも,LCDを取り付けて見ると拭きムラが残っていたりと,とにかく綺麗にし切れません。静電気でホコリもつき始めて,すでに混乱気味です。

 そのうちLCDにもホコリがついたり,うっかり触って指紋がついて,これを拭き取ると簡単に擦り傷がついてしまい,またパニックに。

 かなり目立つ傷がついてしまったのでデジカメ用のLCD保護フィルムを貼り付けて傷を消しますが,キズは綺麗に消えるものの,微妙にサイズが小さくて一部そのままになってしまう部分もあります。不細工ですがやむを得ません。

 風防もガラス製の物は諦めて,今回のキットに付属していたプラスチック製の新品に変えることにしました。ホコリも傷もなく,綺麗に組み込めたので,最初からこうすれば良かった。

 ボタンと基板を組み込み,ケースをビス留めして完成です。

 しかし,いざ電源を入れてみると画面にゴミが出ています。画面の右に2本ほど,まるで天の川のような帯が縦に2つ出ています。綺麗な線ではないので最初はLCDの破損だとは思わなかったのですが,ルーペで見るとその帯は点灯しているピクセルの集まりでした。

 こまめに表示テストを行って作業を進めたので,最後の最後に表示不良が出ることにがっかりしたのですが,取り付けに失敗しているのかも知れないとLCDを剥がしてみますが,やはりゴミは同じ場所に出ています。

 まだLCDの問題だと断言出来ないので,フレキやドライバICをぐいっと指で押して表示の変化を見ますが変化なし。とはいえなかばLCDの破損だろうと思っていた私は,思わず不用意に指に力を入れてしまい,ペキッとLCDを割ってしまいました。

 万事休す。

 そもそもこの某ゲームショップのガラス製の風防には振り回されっぱなしです。サイズがやや大きいので取り付けに苦労し,そのせいでオリジナルのSTN液晶が死にました。今回もコイツのせいで何度も何度もLCDを付けては外し付けては外しを繰り返し,擦り傷を付けたあげくに割れてゴミです。時間も手間も費用も浪費してこの有様です。金返せー。

 とまあ,物に八つ当たりするのは筋違い。すべては私の鈍くささが真因です。ここに至って結局ワンダースワンカラーのIPS化は失敗に終わりました。私は悲しみあまり,倒れるように布団に入り,己の力のなさに打ち震えながら,意識が薄れていくのを待つほかありませんでした。

 しかし,このまま終わってしまうのは実に悔しい。そこでaliexpressでLCDだけを注文しました。3000円ちょっとだったので,合計でここまで合計9000円ほど。それでもamazonよりも安いのでなんとか納得していますが,一応小型機器の商品設計をやってきた私のプライドはすでにズタズタです。もとい,これは今の自分を冷静に見つめ直すチャンスとすべきでしょう。

 新しいLCDが届くのは10日ほど後です。ただ,この見た事もないようなまだらにピクセルが点灯して出来た帯は,明らかなLCDの破損で出てくる症状と違っているので,どうも解せません。LCDの問題なら新しいものが届けば問題は解決ですが,もしこれがコントローラ基板の問題なら問題は解決しないでしょう。

 昨日のうちにとりあえず1台が復活するかと期待しました。実際,あとは組み込みという所まで来ましたが,そこから急にゴールは離れていきました。いい夢を見られると思って頑張りましたが,慌ててやるとろくな事はありません。やっぱり作業そのものを楽しむくらいの余裕を持たないと失敗するなと,つくづく思った次第です。

 ワンダースワンの次の復活のチャンスは,数日以内に中国から届く,別の作戦用の部品です。実はこれが本命。しかしこれも一か八かの大ばくちですので,上手くいくとは限りません。作業前に詰む可能性も高いので,作戦から考え直す必要があるかも知れません。

 ともかくも,焦らず気長にやってきましょう。いやなに,どんくさいのはいつものことですし。

 

ワンダースワンも死んだ,なぜだ!

 私がこれまでに見て来て,その生い立ちに共感したものの1つであるワンダースワン。先日のスワンクリスタルの電池液漏れ(とLCDのビネガーシンドローム),ワンダースワンカラーのLCD破損によりカラーモデルを失った私に,更に追い打ちをかける事実が発覚しました。

 ひょっとしてと胸騒ぎがして倉庫から出してきた初代ワンダースワン(クリスタルブラック)のLCDが,見るも無惨に死んでいたのです。グレーだったLCDはなぜか黄緑色に変色し,ひび割れています。こんなものでもビネガーシンドロームは容赦なく襲いかかり,その命を奪ってしまうのか・・・

 しかし,私はこれを割に軽く考えていました。モノクロ液晶でしょ,なら手持ちのモノクロ用の偏光フィルムに交換すれば済むよ,と。

 ですが,その考えは甘かったと言わざるを得ません。劣化したLCDを見て,あれ,ワンダースワンのLCDって緑色だっけな?と思ったのですが,これはきっと偏光フィルムが劣化しているからだと都合良く解釈して,自分の浅はかさを押し隠しています。

 分解してLCDを取り外し,酸っぱい臭いも強烈な劣化した偏光フィルムを剥がしてみると,見慣れたグレーの画面が出てきます。確かこのグレーに黒の表示だったと思うんだけど考えながら,手持ちの偏光フィルムを重ねてみます。

 すると,緑色に・・・これで動かしてみると,緑バックに青色で表示されました。ああ,なんと,昔々のゲームボーイか,昔々のワープロ,あるいは昔々のPC-98LTじゃないですか。

 だんだん思い出してきました。TFTのLCDが高価すぎて高嶺の花だった20世紀末,庶民にとっての現実解はSTN液晶でした。

 STN液晶はTN液晶の改良版で,どちらもパッシブマトリクス液晶の代名詞となっていますが,これは液晶の動作モード(ねじれ具合とでもいいますかね)の分類です。

 一方のTFTというのは駆動方式による分類であって,実は動作モードとしてはTNであることを,ちょっと液晶テレビに詳しい方ならご存じでしょう。

 TN液晶は,あらかじめ90度ねじってある液晶に電圧をかけると液晶の並び方が変化してねじれがなくなることで,表面の偏光フィルムを光が透過したりしなかったりすることで表示をします。しかし,90度しかねじる事が出来ないために問題がありました。

 それは,解像度を上げるとコントラストが下がる事。解像度と言うよりも走査線の数なんですが,パッシブマトリクスでは全ラインにまとめて電圧をかけることになるので,1ラインあたりの電圧はラインの数が増えるほど小さくなります。

 この小さい電圧で液晶をねじる必要があるので,少しの電圧でも急峻にON/OFFする特性がなければ,コントラストが下がってしまって,やがて何も見えなくなってしまいます。

 これを打破するために登場したのが,STN液晶です。

 SはSuperのSで,ねじる角度をアップして,なんと260度とか270度くらい(ただしねじりの向きはTNの逆です)です。

 TN液晶は単純なシャッターで表示を行っていましたが,STNではこのねじれのせいで生ずる複屈折による色の変化で表示が行われます。

 この結果,電圧の変化に対するON/OFFを急峻にすることができ,コントラストが向上しますし,解像度も上げられるというわけです。

 しかし,STNには致命的な欠点がありました。白黒表示ができないのです。TN液晶は文字と背景を白と黒に出来るのではっきり見やすいのですが,STNでは背景と文字が黄緑と青になってしまうのです。これは先程書いたように,STN液晶は複屈折を利用しているため,避けようがありません。

 この複屈折というのは,屈折する光が1つではなく,2つになることを言うのですが,2つがどれくらいずれるかは,その光の振動面にも物質にもよります。

 そして,ずれた2つの光には速度差があるので位相差が生まれます。これを最終的に1つの偏光板で合わせると,位相差によって色がついてしまうというわけです。

 色がついてしまうという事はカラー化は無理ですし,モノクロであっても見にくいですよね。初期のSTN液晶を搭載したワープロやラップトップPCに,黄緑色と濃い青の表示のものがあったのは,そういう理由です。

 そこで,もう1枚液晶を重ねる方法で白黒にする方法なんかも開発されたのですが,決定打になったのはFSTNというものです。位相差が原因で色がつくなら,その位相差を打ち消すような逆の位相差を生む複屈折を起こすようなフィルムを挟めばいいんじゃないか,という発想で生まれた技術です。

 プラスチックには大なり小なり複屈折性を示すものが多いので,都合のいい物を上手く選べばそんなに高価でもありません。これを偏光フィルムの前に置きさえすれば,あのSTN液晶が白黒で表示出来るんですから,こんな美味しい話はありません。

 このフィルムを位相差フィルムとか,補正フィルムと呼びます。偏光フィルムとLCDのガラスの間に挟んで使うとあら不思議,綺麗な白黒になってくれるというわけです。

 こうすることで見やすいモノクロLCDとして,あるいは安価なカラーLCDとして,一気に普及し始めます。カラー化したガラケー,小型のノートPC,ゲームマシンと,市場が望んだカラー表示の時代がやってきました。

 しかし,それもTFTが安くなるまでの話。応答速度が極端に遅く,角度によって色が大きく変わってしまう,発色もコントラストも悪いし,暗い所で良く見えないというSTN液晶を,今見る事はほとんどありません。ああ,ロストテクノロジー。

 さてさて,ワンダースワンのモノクロLCDも,実はFSTNです。だからきちんと白黒ひょうじだったのです。しかし,そのキーテクノロジーだった位相差フィルムこそが,実はビネガーシンドロームの張本人で,偏光フィルムを剥がした後にもガラス面に残って,酸っぱい臭いを放っているのです。

 もちろん,位相差フィルムがなくても偏光板だけで表示は出ます。出ますが,コントラストは低いですし,色も緑と青になり,およそ見やすいとは言えません。某レトロゲームショップが公開しているワンダースワンの修理はこの方法なので,オリジナルから遠い,品質の低い修理方法と言えるでしょう。

 同じ理由でワンダースワンカラーも単なる偏光板では修理出来ません。スワンクリスタルが採用しているTFT液晶でも,見る角度によって色が変わることを防ぐ目的で位相差フィルムが使われていて,これがビネガーシンドロームの原因になっています。。

 つまるところ,セグメントやパターン,ポケコン程度の解像度のLCDの修理に使う偏光フィルムでは,STNやTFTのLCDの修理は出来ないという事になってしまうわけです。

 さて困りました。これで,我が家のワンダースワンは,カラー/モノクロを問わず,すべて死んでしまいました。グンペイもワンダースタジアムもギレンの野望もMSVSも,もう遊べません。

 なんと言うことか!

 某レトロゲームショップによると,ワンダーウィッチプレイヤーのカートリッジの買い取り価格が3万円だそうです。私,持ってるんですが・・・


 そんなわけで,全滅したワンダースワンたちが三枚おろしになって眼前に広がっています。どうすることも出来ない状態ですが,オリジナルの状態への復活は難しくとも,なんとか自分なりの方法で決着を着けねばなりません。

 ついでにいうと,昭代のゲームボーイアドバンスのLCDも,ビネガーシンドロームで死んでいました。一応表示は出るのですが,フィルムが浮いたり,ひびが入ったりしています。

 GBAについてはゲームボーイアドバンスSPがありますし,NintendoDSで代用が利くのでとりあえずいいとしても,ワンダースワンが全滅していることはかなり深刻な問題です。

 これは長期戦になるかもしれません。

スワンクリスタルとワンダースワンカラーを失った週末

 ワンダースワン,今なかなか人気のある携帯型のゲーム機です。

 「枯れた技術の水平思考」を是としたゲームボーイの生みの親,故横井軍平さんが任天堂退社後に立ち上げたコトが開発,当時のバンダイから発売になったワンダースワンですが,安く,低消費電力で,手軽に買えて,だけど楽しく面白くを具現化したワンダースワンは,当時の私の商品設計に対する考え方に近かったこともあり,大好きなハードウェアとして,特別な思いがありました。

 今にして思えば初代が一番洗練されていて,バランスも素晴らしかったと思うのですが,市場はそんな設計者の思いなど知らずに,当然の如くカラー化を望みます。当時の技術ではカラー化によるコストと消費電力の増大が非常に大きく,登場したワンダースワンカラーは市場の要求に,なんとか折り合いを付けた妥協の産物であると,私には見えていました。

 それは乾電池1本で動作するという目標のために,徹底したパッシブ動作へのこだわりにも現れていました。バックライトはコストも大きさも消費電力も大きいので使わない,LCDも美しいが高価なアクティブマトリクスのTFTを使わずパッシブマトリクスのSTNカラーです。

 確かにこれでワンダースワンの目指した安く消費電力が小さいという優先度には矛盾しないものが出来ましたが,結果暗く発色も悪い,とても見にくい画面のゲーム機が出来てしまいました。見やすさだけで言えば,初代のモノクロ機にもかなわないでしょう。

 それでも私は発売前からコトが出した答えが楽しみで,予約して買いました。以後はガンダムのゲームを中心に持ち歩き,暇さえあればゲームを楽しんでいました。実家に帰る新幹線で3時間近くひたすらゲームをやったことも良い思い出です。

 これだけ持ち運んでいれば傷むのも道理で,風防(フロントパネルのことです)の真ん中に大きな傷を付けてしまい,ゲームに没頭できなくなってしまいました。ワンダースワンカラーはパッシブのLCDで,明るさだけではなく色味も改善しなければならなかったので,LCD表面のフィルムはもちろん,風防の表面の反射防止コーティングにもかなりのお金をかけていたように思います。

 それでもバックライトを付けるよりはいいと,パッシブにこだわったのでしょう。でも,もともと暗い所ではいかに反射防止をしても見えるようにはなりません。単三電池1本で動く事にこだわった結果,ワンダースワンカラーは,普通なら市場に出ないだろう形で販売された,珍しい携帯機器だったと思います。

 そして時は流れ,ワンダースワンというプラットフォームに終焉が近づいた時,ようやくワンダースワンの理念を満足な表示品質で実現出来るときが来ました。今ではすっかり珍しくなった全反射型のTFTを搭載した,スワンクリスタルの登場です。

 ようやく価格もこなれてきた鮮やかで見やすいTFT液晶を採用しながら,消費電力の大きなバックライトを使わない反射型にこだわり,画質と消費電力をバランスしたスワンクリスタルは,確かに劇的に見やすさを改善していました。

 名前に与えられた「クリスタル」が,とても誇らしく感じました。

 全反射型のTFTはゲームボーイアドバンスでも使われていたものですので,当時としては珍しい物ではありません。でも,やっぱり周囲の環境に左右されてしまう反射型が淘汰されるのは目に見えていました。

 バンダイらしく,版権物のキャラゲーが主力となった末期のソフトラインナップには興味はなくとも,ワンダースワンに共感し,ワンダーウィッチにも手を出していた私は,スワンクリスタルも迷いなく入手します。

 しかし,以後ソフトも出てこず,私も別の事に興味を持つようになり,私のスワンクリスタルはほとんど稼働することはありませんでした。しかし,自分の身内のように感じられたワンダースワンだけはすべて大切にしておこうと誓い,スワンクリスタルを含むすべてのワンダースワンは,大切に元箱に収納されて保管されていました。

 事が動いたのは実家の荷物をすべて引き上げるときです。当然処分されることなく自宅に運び込まれたワンダースワンですが,動作の確認のためと娘の興味を惹くかもと,電池を入れて動かしてみました。

 グンペイを遊んだのですが,娘は関心を示さず,私も30分ほど遊んでまた箱にしまい込んだのですが,この時私は重大なミスをしていました。

 また近いうちに遊ぶからと,電池をそのままにしてしまったのです。

 それから3年,先日の話です。

 あるお店で,最近人気が高まっているワンダースワンカラーの,交換用の風防が売られていました。ガラス製なのでキズもつきにくく,見た目にも綺麗なのでちょうどいいと手に入れ,これで20年越しの「キズ」に決着を着けることが出来ると喜んで交換作業を始めました。

 傷ついた風防を取り外すのですが,風防の裏面の印刷と両面テープが本体に残ったままになってしまい,これを取り去るのに随分手間がかかったのですが,どうもこれが良くなかったらしいです。

 交換作業は終わったのですが,おそらくその時に指で触ったりねじったりしたせいで,どうもLCDにまだら模様が残っているのです。電荷が残っているせいかもと思いましたが一晩経っても消えず,よく見るとピクセルにまたがっていますので電荷によるものではありません。

 ならば偏光板の劣化だろうと思ったのですが,ここはあまり深追いせず,ワンダースワンカラーはこのままとして,スワンクリスタルで遊ぼうと箱から取りだしました。

 するとなにやら,白い結晶のような物がパラパラと出てきます・・・

 何だろうと思って本体をよく見ると,本体の通信コネクタに結晶がびっしり,隙間からも透明とライトブルーの粉が出てきています。何だろうとしばらく考えて,まさかと思って電池ケースを外してみました。

 そのまさかでした。盛大に液漏れしていました。

 元の電池の形をとどめないくらいにぐじゅぐじゅに融けてしまっています。これほど強烈な液漏れは私も見たことがありません。さすが,電池1本にこだわって昇圧のDC-DCコンバータを常時動作させる電源システムを持つワンダースワンです。電源OFFでも微弱電流が流れ続けます。

 これまで多くの液漏れを見て来た私ですから,分解掃除をすれば大丈夫,仮に基板のパターンが切れるほどの液漏れがあっても,少し確認して修復すればまた元通りになると軽い感じで開けてみました。

 これまで,たくさんの液漏れを経験してきましたが,これほどひどい液漏れは初めて見ました。もう,手の付けようがありません。基板が腐食しているというよりも基板に結晶が盛り上げられているのです。チップのトランジスタは,まるで砂糖菓子に埋め込まれたゴマのようです。

 こびりついた結晶を剥がそうとしましたが,それも難しい位基板に一体化して成長していました。様子を見たいということで紙やすりで結晶をはがしていきましたが,パターンもスルーホールも,もう手の施しようがないほど切れていました。

 当然電池を入れてもうんともすんとも言いません。修理不可能です。

 LCDもよく見ると,中央部が膨らんでいます。空気が入ったドームのようになっているそれは,LCDの不良を示していました。

 取り外してLCDを見てみますが,電解液が付着した形跡はありません。ただ,表面の偏光フィルムを剥がしてみると強烈に酸っぱい臭いがします。そう,ビネガーシンドロームを発症していました。

 21世紀のLCDにビネガーシンドロームが発生するとは思わなかったのですが,もしかすると電池の液漏れによって発生したガスがその引き金になったのかも知れません。

 ということで,LCDも基板も,たった1本の単三アルカリ電池を取り外さなかったことで,死んでしまいました。

 突っ伏した私を,妻と娘は,かける声も見つからないと,心配そうに遠くから眺めていました。

 ならば,せめてワンダースワンカラーを復活させよう,これでギレンの野望特別編を完遂しようと意気込んで,まだらの原因である偏光フィルムを剥がして交換することにしました。今思えば,その発想は自殺行為でした。

 しかして,これも大失敗。偏光フィルムを剥がしてみても,まだらは消えませんでした。あわてた私は反射シートを剥がしにかかりますが,なかなか剥がせません。仕方がないので糊を綺麗にすることにしたところ,まだらが消えました。

 そう,原因は糊にありました。糊をアルコールで完全に剥がすと,ようやくまだらはなくなりました。

 私はホッとし,新しい偏光フィルムを用意して,貼り付ける向きを確認することにしましたが,どの角度でも全然画像が見えてきません。裏返してもだめです。ようやく見えると思った角度でも,よく見ると色が反転しています。

 そうでした,STNのカラーLCDは,発色に複屈折を利用するので,白黒のSTNやTNで使われるような偏光フィルムを使うことは出来ないのです。

 糊に原因があるなら偏光フィルムそのものは再利用できるかも知れないと脇に無造作に捨て置かれたフィルムに目をやりますが,もはや傷だらけで再利用できる状態ではありませんでした。

 ここに至って,我が家のワンダースワンのカラー対応機は全滅し,カラー専用のソフトはゴミになってしまったのでした。

 ああ,なんと悲しい事か。

 当時の雰囲気を良く伝える部品や基板,LCDを見ながら,今も愛されるワンダースワンを愛でることは,とうとうかなわなくなってしまったのか。他のゲーム機はともかく,ワンダースワンだけは持ち続けようと最初から誓っていたのに,こんな不注意でだめにしてしまったのか。

 そもそも,貴重なスワンクリスタルをくだらない理由で失ってしまって,私はレトロゲームを持つ資格がないのではないか,そんな風に自分を責め,再び突っ伏した私を妻と娘は遠巻きに眺めていたのでした。

 ワンダースワンの設計のうち,まずかったなと思うのが,この電池1本で動作にこだわった点でした。いや,別に電池1本で動作させることそのものは問題ないですし,それで20時間も持たせる技術はさすがだと思います。電池1本にこだわる技術者の心意気に私も当時共感した覚えがありますし。

 しかし,1.5Vから3.3Vや5Vに昇圧する回路は,効率も良くないですし,電源OFFでも僅かとは言え結構な電流が流れ続けます。この僅かな電流というのが液漏れを一番誘発するのです。

 当時の私も液漏れを強く意識した設計を心がけていましたが,ワンダースワンでも液漏れを防ぐ為に,DC-DCコンバータの入力側,つまり電池とDC-DCコンバータの間を物理的なスイッチで切断することにして欲しかったと思います。この方法だと電池が完全に切断されますから,常時電流が流れることなく,仮に液漏れがあったとしても小さな被害で済むのです。

 しかし,ワンダースワンは電源ボタンを押しボタンにして,ソフトで管理することにしました。そのせいでCPUに電源を供給する必要が生じ,DC-DCを電源OFFでも常時動作させることになってしまったのです。

 電源スイッチをソフトではなく物理的なスイッチにするには,コストもかかるしデザイン面での制約もあります。でもですね,ワンダースワンには電池ケースが外れるのを防ぐスライド式のロックがあります。ここに電源スイッチを仕込んで主電源スイッチとしてくれれば,救えたワンダースワンもかなりあったんじゃないかと思うのです。

 あれこれ考えていてもどうにもなりません。

 スワンクリスタルは,基板とLCDの損傷。筐体は新品同様です。

 ワンダースワンカラーは,LCDが使えなくなりました。

 多数のカラー専用ソフトを楽しむために,今の私に出来る事は・・・

 続く。

ボスフリーの11-28Tを試す

 先日,子供用のママチャリを大人用にするプロジェクトであちこち検索していたところ,ボスフリーのスプロケットを交換するページがひっかかりました。

 ただ交換だけの話なら目にとまることもなかったのですが,ハイギアード化するものだったから話は変わってきます。

 ボスフリーのスプロケットでギア比を変えるのはどの人も頭を抱えているようで,現在は6速も7速もシマノのものは14-28。かつては13Tというのもあったそうですがすでに絶版で,プレミア価格で取引されていると言うから根強い需要があるんだろうと思います。

 この問題は私もぶち当たっていて,COM70Mでは結局14-28の7速のままとし,フロントをハイギアード化して解決したのでした。

 乗ってみると一番重い状態でもまだ余裕がありますし,もっと速度が欲しいです。そうなるとスプロケットをハイギアードするしかないのですが,それはそれで部品がありません。なので諦めておりました。

 ところが,そのページには11-28というスプロケットに交換する話がでていました。amazonで買えるシマノのものではない,ボスフリーのスプロケットです。

 まず,シマノではないことが問題で,小気味いい変速はやっぱりシマノでなくてはと思っていたので,最初からシマノ意外の選択肢は捨てていました。この11-28もメーカー名は書かれていません。あやしい。

 しかし,そのページによると,台湾大手のDNP製ということで品質に問題なしとあります。値段も3000円ほどですので,ダメモトで試してみるのもいいかと注文しました。

 届いてみると,DNPの刻印はあるものの中国製。偽物なのか本当にDNPの中国製なのかわかりませんが,とりあえず悪い作りではなさそうです。早速交換です。COM70Mの後輪を外し(ああなんと楽なことか),専用工具で元のMF-TZ510-7を外します。

 念のため新しいギアと高さを比べてみると,同じみたいです。特に再調整もなく使えるんじゃないでしょうか。

 その新しいスプロケットを取り付けますが,心配していた工具が短すぎて使えないと言う話も杞憂で,問題なく締め付け出来ました。

 後輪を取り付けて変速を試してみますが全然ダメです。トップまで入りませんし,途中で2段まとめて変速する始末です。リアディレイラーのリミットを再調整,ディレイラーワイヤのテンションを再調整してなんとか変速できるようにしたものの,フロントディレイラーへのチェーンの接触がなかなか改善しません。

 あまりこだわっても仕方がないので適当なところで手を打って,試走に出かけます。

 11-28という範囲を7速で刻みますので,これまでのトップギアである14Tは6速になります。7速は未体験ゾーンです。

 7速にするとさすが11T。重いです。重いですが,一漕ぎで進む距離が段違いで,平坦な道ではらくらく30km/hを越えます。これまで25km程度だったことを考えると,これは本当にいいです。

 ちなみに,これまでの7速は,

14 - 16 - 18 - 20 - 22 - 24 - 28T

 これが新しいスプロケットでは,

11 - 13 - 15 - 18 - 21 - 24 - 28T

 てな感じになります。従来の7速は中間で差が少なかったのですが,新しい物は7速にする価値もあるくらい,それぞれのギア比が違っているので,いい感じです。

 結局最大のギア比は,これまでの48:14=3.429から,48:11=4.364までアップしました。

 すべての組み合わせのギア比を計算すると,

   28  24  21  18  15  13  11
48 1.714 2.000 2.286 2.667 3.200 3.692 4.364
38 1.357 1.583 1.810 2.111 2.533 2.923 3.455
28 1.000 1.167 1.333 1.556 1.867 2.154 2.545

 ということで,フロントをミッド中心に使うとすると,フロントローでリア1,2からフロントをミッドにし,リアを1,2,3,4,5,6まで使って,そこから先はフロントをハイにリアを5,6,7にするとギア比が重複せずに変速できそうです。

 更に快適になったCOM70Mですが,あとは耐久性です。すぐに壊れたという話も耳に
しますし,貴重なボスフリーのスプロケットですから,出来るだけ無理をしないように,大事に乗りたいところです。

 

子供用ママチャリを大人用に改造する(4) 小物を取り付けて完成

 子供用のママチャリを大人用にするプロジェクト,今回が最終回です。細々とした取付などです。

 最初にテールランプから。元はステーに取り付けた反射板ですが,これをLED付きで太陽電池のものにします。ママチャリですので泥よけに泥よけに取り付けてもいいのですが,泥よけに穴を開けるのも面倒だったのでこのままステー取り付けのものを探して交換しました。

 次に鍵。鍵はゴリンのリアステー取り付けタイプでしたが,これをパナソニックのものにします。わざわざ変えるのはゴリンのものが動きが渋い上に,鍵をかけるときのツマミが小さくてつまみにくく,さらに鍵が刺さりにくいということで,とにかく使いにくいことに尽きたからです。

 パナソニックに変えたところで根本的には変わりませんが,ディンプルキーでどの向きにも刺さるのは大きなメリットですし,ツマミも大きいので幾分ましです。

 最後に,速度計です。私が最初に買ったCATS EYEのVELO5という安物でキズだらけなのですが,ないより増しという事で取り付けて見ました。

 実はちゃんと動かなかったのですが,本体を取り付ける台座の電極の接触不良だったのえ修理しました。このVELO5,700cの設定がないので使い道が限られるのですが,24インチの設定はあるので今回の用途にはぴったりです。

 それから,英式バルブを米式の変換するバルブが余っているのに取り付けました。ママチャリですので英式ですが,英式は空気圧が確認出来ないという致命的な問題があります。それに米式が基本の空気入れを使うのに,いちいちアダプタを使うのは面倒で仕方がありません。

 もともとBikke2eに取り付けていたバルブですが,パンクを機にチューブごと米式に交換したので,この部品が余っていました。これを使って今後は3.5barで管理しましょう。

 ところが,一晩経ってみると後輪の空気がすっかり抜けていました。さすがに10年も前のものだとダメかもしれないなあと思いましたが,分解して見るとバルブのシールが少し傷んでいたようなので,虫ゴムを切ったもので代用品を作り,交換してみました。これで数日間空気が抜けていないか様子を見ます。

 そして最後に,ベルです。購入時についていたベルで,大昔のママチャリのベルをプラスチックで作り直したようなもので,とてもチャチです。

 しかし,デザインがかわいらしく,実のところこの自転車にぴったりだと個人的に思っています。ただ,あまりに作りが悪く,ちょうど指のあたる部分にバリがあって,娘はここに指を擦り付けて怪我をしました。

 以来このベルを外していたのですが,今回の作業の締めくくりにバリを綺麗に取った上で取り付けてみることにしました。

 今どき自転車のベルなど使う事がないと思うのですが,一応付けておくのが決まりだと思いますし,これがあるとなんとなく「揃った」感じがします。

 これで完成です。試しに嫁さんに乗ってもらって,改めてサドルの高さとレバーの角度を調整,ハンドルの高さ,ブレーキの利き具合,変速の具合などを確かめてもらいました。

 ブレーキが甘い(特に前輪)という指摘があり,後輪はブレーキワイヤのテンションを上げてみましたが,前輪はちょうどいいくらいに調整されています。これで効かないというのはおかしいなあと,自分で乗ってみたのですが,これがびっくりするほどブレーキが効きません。

 握力が私より弱い嫁さんや娘にとって,これはもはや危険なレベルです。とりあえずブレーキシューを交換するしないないとBikke2eで使っているものと同じものを手配しました。

 入手後交換したのですが,元のブレキーシューはカチカチです。こんなに早くに劣化するというのはちょっと意外で,すり減った様子もありませんし,これはもしかするとステンレスリムのブレーキシューかも知れません。

 だとすると,娘はこんな危険なもので練習をしていたわけで,よくぞ無事でいてくれたものだとゾッとしました。

 随分乗りやすくなったということと,軽くて取り回しが楽だという事で,なかなか好感触な様子です。とはいえ,走っている様子を見ていると乗車姿勢が不自然で,いかにも子どもの自転車に無理に乗っている感じが拭えません。これでは疲れるんじゃないかと思います。

 お尻の位置が低く,膝が上がりすぎているように思うのですが,かといってサドルを上げるとつま先がつかなくなります。結局のところ,座面とペダルの位置が短いのでしょう。これはフレームの問題なのでどうにもなりません。

 うーん,子供用の自転車を大人用にするには,こういうところにも注意しないといけないんですね。難しいものです。

 
 こういう姿勢の問題で疲れる上に,電動アシスト自転車に楽ちんさでかなうはずもなく,どういう使い分けをするのかは嫁さん次第です。電動アシスト自転車は重いので取り回しが大変で,押して歩くときは想像以上の重労働です。そういう場合にはこの小さく軽い自転車が向いてるかもしれません。

 合計金額は計算していませんが,それなりにかかってしまった今回の改造。見た目も大人用になり,小柄の女性用になら十分使える物に仕上がりました。7速というのはなにげにオリジナリティがあり,見た目のかわいらしさと実用性をきちんと両立出来たんではないかと思います。

 とはいえ,そもそも娘は公道で自転車を乗ったことがありませんし,嫁さんにはBikke2eがあります。私はそもそもサイズ的に乗れませんから,この自転車,誰も乗らないまま朽ちるんじゃないかなあと,そんな風に思います。

 今回を総括してみると,ママチャリのメンテ性の悪さに閉口し,部品の交換や調整で根本的な問題は解決せず,作業のまずさであちこち傷だらけにしてしまいましたし,出来上がった物も今ひとつだったということで,40点くらいでしょうか。

 達成感が今ひとつなのは成果が出ていないからなんですが,いわゆるママチャリの仕組みも理解出来ましたし,勉強にはなったと思います。

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