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今年も花火1

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 今年の夏はオリンピック一色という感じで,時差が1時間しかない場所から連日ハイレベルな競技の様子が送られて来ています。おかげさまで毎日見ていたニュースが不規則になり,オリンピックが始まってこっち,日本で世界でオリンピック以外に何が起こっているのか,全くわからない有様です。

 やっぱ昼12時と夜7時と9時の3回のニュースは,何があってもきちんと決まった時間にやってもらいたいもんだなと,そこはあえて苦言を呈しておきます。

 それはそれとして,高校野球もいつの間にか終わってしまい,阪神タイガースもいつの間にやら負けまくっていて,そしていつの間にやら,好例の多摩川の花火大会が今年も行われました。

 昨年同様,今年も世田谷区と川崎市の共催となった花火大会ですが,前日の天気予報は夕方から激しい雨とのことでした。今年は雨が降ると言えば集中的に無茶苦茶降るという状況ですので,ちょうど花火の間の1時間ほどの間に土砂降りになる可能性がありました。

 当日の天気予報も変わらずで,これはひょっとすると中止かもなあと思っていたら,開催決定の公式発表がありました。会場周辺の混雑ぶりを知っている人間としては,あれで予報のような1時間に50mmを越えるような土砂降りになると,もうパニックが起こるんではないかと本気で心配したのですが,「雨具を持ってきて下さい」と,実にあっさりとしたものです。

 結果,会場は花火が終わってしばらくの間,喧噪がおさまるまで雨は降りませんでした。結論から言うと,開催決定を決めた方々の読み通りということだったわけで,肝が据わっているなあと感心した次第です。

 さて,今年も友人宅で花火を見ることになっていました。外に出ると蚊に刺されるので,部屋の中に籠もって,網戸越しに撮影です。昨年は*istDLにFA43mmでしたが,今年は秋頃に使う予定がある機材のテストも兼ねて,D2HにDXニッコール18-200mmです。手持ちでスローシャッターですので,手ぶれ補正の威力も期待できます。

 網戸越しですので構図には不自由があって,タイミングも随分適当,ノーファインダでバシャバシャシャッターを切っていただけですが,その中から何枚か紹介します。どれも人様にお出しできるレベルではないのですが,毎年のことですので・・・

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 次に続きます。

まだまだ元気な猫娘

 先週ですが,自分の車の車検を済ませてきました。

 私のプジョー306も11年。一昔前なら毎年車検で急に維持費が増えて,手放すことになったと思われるのですが,今はとりあえず車検だけ通しておくかが許される時代です。

 普通10年も走ると,10万kmに達するのが普通なんでしょうが,私のクルマの走行距離が奇跡的に短いことは,私の知人達はよく知っています。

 昨年1年間の走行距離は,3km。積算距離は8311km。

 普段の通勤は電車ですし,休日も電車を使います。自動車だと着いた先での駐車場確保やら道中の渋滞やらでかえって面倒なくらいです。

 長期休暇の帰省だって,飛行機が新幹線より安い昨今,6時間かけて自分で運転して,しかも新幹線よりお金がかかるなんて,馬鹿馬鹿しいです。

 荷物を運ぶ?運送業者さんに頼めば,戸口まで来てもらえます。

 そもそも,すっかり外出をしなくなりました。通勤という強制的な外出がなければ,私は間違いなく引き籠もっていたでしょう。

 そこにこのガソリン代の高騰です。これでは自動車に乗ろうという気が最初から起きなくなります。

 なら,とっとと手放してしまえとなるのですが,せっかく新車で買った車ですし,デザインや乗り心地など,車そのものはとても気に入っているのです。今のプジョーはヨーロッパでの安全基準の関係もあり,日本の小型車枠に入らなくなっています。

 1800ccの排気量で5ナンバー,しかも3ドアの5速マニュアルという,一昔前なら珍しくもない普通の車が,実は今絶滅寸前なんですね。手放してもすでに価値はゼロですからお金にはなりませんし,手放ししてしまうともう二度とこんな車には出会えません。だから,問題の先送りをしています。

 乗ってみれば楽しいんですね。だけど,自動車に乗ることそのものを目的に出来るほど暇はありませんし,移動手段として考えるなら,電車の方がずっと楽です。

 いろいろ考えましたが,今回車検を通してみて,10年も経てばあちこちだめになって交換が必要です,てなことを言われたら,もう処分するかと考えてもいました。

 先々週の土曜日,目黒にあるサービスに向かいます。久々にエンジンをかけましたが,ぜんぜんへこたれることなく,気持ちよくまわっています。ブレーキもステアリングも問題なし。事前運転席側のバックミラーが壊れていたのですが,やっつけの暫定修理で実用上も見た目も気にはなりません。

 快適に走って到着。走行距離をみて驚かれるというおきまりの儀式を済ませ,これならおそらく来週車検を終わらせて引き渡しできるだろうと言われます。

 翌週土曜日。車検が上がったというので取りに行きますが,結果はどこも悪いところはなし。交換したのはワイパーのゴムとオイル/フルードのたぐい,そしていつも切れているといわれる燃料フィルターの固定バンドくらいです。

 バッテリーも再充電が不必要なほど元気で,タイヤも問題なし。ということで,ここ数回,同じような値段で車検を済ませています。

 車はある程度乗ってやらないとかえって良くないものだ,といいますが,私のプジョーについてはそれは当てはまらないようでして,屋根のない青空駐車場に置きっぱなしで10年以上放置してあったにも関わらず,どこも悪くないということですから,やっぱり車というのはなんだかんだで走行距離なんだと思いました。

 そうなるとですよ,出来るだけ乗らないことが長く調子のいい状態を維持する秘訣という事になりませんか?転勤や転職で車が日常の足になる可能性だってなくはないわけですし,今すぐ車を手放さないといけないほど困窮しているわけでもない現状で,車を手放してしまうということを,もう考える必要はないのではないかと思いました。

 先週土曜の午後3時頃,目黒から川崎方面を走っていた私は,例の大雨に遭遇しました。ものすごい風と雨で,めまぐるしく変化するお天気に翻弄され,気が付いたら自宅の駐車場にいたという感じです。早速ワイパーが役立ったことを付け加えておきますが,いいお天気に油断して干していった敷き布団が悲惨なことになっていたことは,大きな損害でした。

 てことで,大きなトラブルでもない限り,向こう2年はこのまま乗り続けていられそうです。

スカパーから離脱

 スカパーを解約しました。惰性とはいうのは怖いもので,ろくに見てもいないのに10年近くもお世話になっていました。

 最盛期は複数のチャネルを見ていましたが,最近は解約するのがもったいないという理由で一番安い300円のチャネルを1つだけ残し,基本料金とあわせて毎月800円程度で「維持」していました。

 毎月800円ですから,もったいないと思いつつもそのままになっていましたが,この300円のチャネルも近々値上げされ,毎月1000円を超えてしまうことが分かりました。

 大した増額ではないのですが,やはり1000円を超えると見過ごせません。かといってこのチャネルを解約すると,基本料金を支払う意味も全くなくなってしまいます。それならこの際解約です。すでにアンテナの向きも曲がっていて,どのみち満足に受信できない状態ですし・・

 1回目,1分10円かかる電話で長々と説明を受けたのですが,結局2週間の無料お試しで全チャネルを見られるようにする+情報誌を送るということで,解約を思いとどまりました。

 で,結局スカパーを見たのはゼロ回。情報誌もぱらぱらと目を通して捨ててしまいました。なんというか,本当にテレビって見るものがない時代になったんですね。有料放送でもこの有様なんですから,もうテレビはだめでしょう。

 それで,2週間後にもう一度1分10円の電話をかけ,解約の手続きをすることにしました。理由としてはもうテレビを見なくなりました,ということに尽きるわけですが,今さら通信衛星から飛んでくる微弱な電波をパラボラでつかまえてブロックノイズだらけの低ビットレートSD映像を見るのもどうかと,内心思っていました。(光接続でHD映像の配信も行われていますが,私のような旧世代のユーザーに対してのロードマップが今ひとつ周知されていない気がするわけですよ)

 解約の理由はすでに研究されているようで,機材の故障なのか,アンテナの整備不良なのか,見る物がなくなったのか,他のサービスへの鞍替えなのか,とにかくいろいろ聞かれました。私の場合は純粋なテレビ離れが理由の大半ですから,さすがに相手も打つ手がなかったようです。

 しかしスカパーあなどりがたし,解約後1年は契約手数料無しで再開できるとのことです。つまり,実質1年間は「休止」という状態になっているんですね。これで「やっぱりもういちどみたいなあ」と思った場合の敷居が下がります。

 こういう商売は実にうまく,一度つかまえた客を簡単に逃がさないという姿勢は実に正しい方法です。再開の敷居が低いということは,休止にされる敷居も低いという諸刃の剣ですので,あまり大々的に宣伝できませんが,解約したいという人にこそっと知らせると効果があるのは間違いないでしょう。

 大多数の顧客の中の一人ですが,こうした一人一人を粗末にせずきちんとフォローすることが,大きなビジネスに繋がります。去った顧客を「他にもお客はいるさ」と切り捨てることは,安易に誰でもやってしまう間違いですが,お客さんと向き合う姿勢は他のちょっとしたことにも出てきてしまうものなので,最終的に多くのお客さんから見放されてしまいます。

 ということで,6月いっぱいで解約です。

 そもそも,弟が当時のDirecTVを見ようと機材を揃えたところ,アンテナの設置の関係で受信できず,もったいないからと譲ってもらったことが始まりだったわけですが,DirecTVが会社を清算し,スカパーに吸収される際に無償で機材が提供され,契約料も無料だったことなど,いろいろあったことを思い出しました。

秋葉原の雄は大阪で根付くのか

 千石電商といえば,秋葉原に電子部品を買いに行ったことがある人なら知らない人はいない大手の電子部品屋さんです。秋葉原ではラジオデパートやラジオ会館など,小さなお店の集合体が「らしい」とされますが,実のところ千石電商やマルツ電波など一箇所で全部揃うパーツ屋さんの方が便利ですし,価格も安いのです。

 なかでも千石電商は結構マニアックな部品もきちんと持っていますし,価格もこなれていますから,私も「そこそこ」利用します。そこそこ,というのは,あまりに普通の部品が多いことと,店員さんのナニがアレで・・・ね,まあその,行かないで済むならそれに超したことはない・・・んですわ。

 大阪では日本橋が電気街ですが,ここも最近元気がない。家電の街としての機能はほぼ梅田と難波に取られましたし,PC関連機器は通販の方が楽ですし。そんななかでわざわざ秋葉原なり日本橋に出向く必要が,今も昔も不可欠なものが電子パーツです。

 現物を見ないと失敗するし,出物が出ている可能性もある。それに部品の単価が安く送料がペイ出来ませんし,そもそも1店で完結する可能性が低いので,実は電子パーツを商売にするのは(売り上げの低さと在庫の重さに耐え切れれば)結構いい商売なんじゃないのか,と思ったりします。

 それにしても,阪神タイガースを除き大阪そのものが元気のない昨今,日本橋に新しい部品屋さんが出来るなど,誰が想像したでしょうか。そう,5月2日に,秋葉原の千石電商が日本橋にオープンしたのです。

 いやー,嘘かと思いました。千石電商が大阪にゆかりのあるお店なら分かりますが,実のところ縁もゆかりもないようですし,大阪に関連があればあの店員どものナニのアレ具合など許されるはずがありませんし,なにゆえ千石なのだ,と不思議で不思議で仕方がありません。

 理由を尋ねられてもそこは大人の対応で「大阪の皆さんに部品を買って頂きたい」とのこと。シリコンハウス共立にケンカを売ってますが,私個人は不思議と思うと同時に,結構いいことだなあと思いました。

 千石電商とシリコンハウス共立は,扱っている品目は似ていますが,そこはさすがに大阪と東京で,微妙に種類が違っていたりします。半導体の品揃えもそうですが,特にコネクタなどの機構部品,ケースとか工具などにちょっとした違いがあります。

 昔むかし,初歩のラジオを片手に部品集めをした頃の話ですが,秋葉原で手に入る部品に合わせて製作記事がのっていました。特にケースやジャック類は,秋葉原で手に入る物でプリント基板が作られていましたので,出来れば同じ物を手に入れたいわけです。

 しかし大阪にいた私は,同じ物が手に入らず,似たような物を工夫して使うことしか出来ませんでした。しかしやっぱり子供のすることですから,どうも不格好だったり性能が出なかったり高くついたりするわけです。

 当時千石電商が大阪にあればこういうことはなかっただろうなあと思うわけです。

 ちょうど帰省中にオープンという事で,5月2日の昼過ぎに行ってきました。場所は確かめずに行ったのですが,デジットの近くで角地ですので,すぐに見つかりました。5月2日はいい天気だったのですが,そのせいもあって,少し日本橋に人と活気が戻ってきていたように感じました。

 今時この広さでパーツ屋を本当にするんかいな,と思うほど広いスペースに,背の高い什器が入っています。秋葉原の千石電商ほど狭苦しい雰囲気はありませんが,それでもオープン初日から殺風景にならないあたり,さすがといえばさすがでしょう。

 しかし,半導体の棚はまだ空きが目立ちますし,機構部品や工具類もまだまだ揃っていません。先日徹夜で頑張ったんだろうなあと思わせるような間違いがあったりして,ほほえましいです。

 問題の店員さんのナニのアレ具合ですが,秋葉原とは雲泥の差です。しかしここは大阪。近所のデジットの店員さんに,商売のなんたるかをたたき込んでもらったらどうかと思います。

 まあそれは言い過ぎとしても,もうちょっとお客さんの動きを読むというか,愛想良くするというか,そういうことがないと,大阪の人は厳しいと思いますよ。

 で,オープンセールです。ディジタルテスタが300円,単3アルカリ電池4本が50円。その他不良在庫の処分品と思われるヘッドフォンやケーブルなどが段ボールに突っ込まれていました。

 私はとりあえず,話の種にとテスタと電池,そして前から買おうと思っていたVGA用のDsubコネクタを買いました。レジで「500円以上お買い下の方にはマウスパッドか結束バンドをプレゼントしています」とうれしいお話を頂きました。

 迷わず結束バンドと答えると,たくさん結束バンドの入った透明な筒を頂きました。実はテスタより電池より,これが一番うれしかったりします。いやー,ありがとう。

 でそのテスタですが,なぜか懐中電灯がついており,しかも今時豆電球です。スイッチが堅くて片手で回せず,電池ブタもぴしっと締まりません。手で削った追加工の跡があったりして,やっぱ安いだけあるなあと。

 しかも,外側には「LR44x2」と書いてあるのに,中をあけると23Aとかいう変な電池が入っています。なんと12V・・・電池の方が高いんとちゃうんかい,そもそもどこで売ってるねん。(後日秋月に新商品として入荷していました。50円・・・)

 しかも,説明書きに書かれているレンジがなかったりして,本当にこれで商品として成立しているのかと,中国生まれのこのテスタが不憫でなりませんでした。

 ま,300円ですからね,よしとしましょう。

 つまり,こういう面白さがパーツ屋さんなのです。通販でできますか,梅田や難波で見つかりますか,と私は言いたいわけです。

 こちらに戻ってきてから,会社の用事で千石電商に行きました。相変わらずの店員のナニのアレっぷりに閉口しつつ,500kmという物理的距離が勝るか,それとも千石電商という企業文化が勝利するのか,願わくは日本橋に溶け込んで,地域に根を下ろしてくれればいいなあと,そんな風に思って帰りました。

薬師寺展をみる

 先日の土曜日,上野の国立博物館で行われている「薬師寺展」を見てきました。

 前代未聞の,日光菩薩立像と月光菩薩立像の背中を見ることが出来るというのが最大の触れ込みですが,普段見られないからただ珍しいという話なのではなく,そのお姿が写実的で素晴らしいという,このことに尽きます。

 薬師寺に限らず,仏像の背後に回って背中を見る,などというのは普通は考えにくいことですし,私などそんな罰当たりなことは恐れ多いのですが,背中までが「ありがたい」と考えれば,少しは許されるかも知れません。

 土曜日は昼過ぎは良いお天気で,我々が到着した時刻では入場制限を行っていました。10分ほど待ったでしょうか,その間日傘を貸し出すサービスなどがあったりして,興味深いなと思いながら列んでいると,割とあっさりと入場できました。

 しかし予想通り,館内は随分と混んでいます。音声ガイドがいかんですね,あれを使われると,じっとその場にとどまってしまう人が出てきてしまいます。あと,平成館というところは,ハイビジョンテレビがあちこちにあって,ここで必ずといっていいほど人の足が止まります。私は博物館にテレビという生活臭漂う庶民のアイテムが大きな顔をしているのが興ざめな人でして,文字や図表にくらべて動画のわかりやすさと,ハイビジョンによる情報量の多さがどれほど見学に有効であったとしても,ちょっと見学者に親切すぎるんじゃないのかなあと,そんな風に思ったりしました。外国の方の見学者もいるので,ハイテク日本をアピールする趣向が見え見えなのもちょっと鼻につきます。

 なんだかんだで,日光菩薩立像と月光菩薩立像にたどり着きます。仏像の周りに群がる人,人,人。

 押すな押すなの盛況にも関わらず,当たり前ではありますが皆マナーもよく,そして面白いことに一箇所にとどまらず360度動き回る人が多いので,真そばでじっくりと見ることは,案外簡単でした。

 銅で出来ている大きな仏像ですが,途中に継ぎ目などはなく,一気に鋳造されたものなのだそうですが,近寄って見ても,遠くから見ても,この角度で見るといいとか,ここから見るとちょっとダメだとか,そういうのがなく,つまりどこから見ても,どうやってみても,それぞれにため息の出る美しさなのです。

 2つの仏像の表情は,日光菩薩側から見たときと,月光菩薩側から見たときで,微妙に表情が違うのです。足下から(そう,随分近くに寄ることが出来るのです)見上げる時も,少し高いところから見下ろす時も,やはり見え方が違います。

 見所の1つ,背中の柔らかな質感ですが,当時の美的感覚に忠実と思われるふくよかで柔らかな曲線は無駄も破綻もなく,まるで女性の背中のような暖かさを見る者に与えます。これが銅で作られているのかと思うほどです。

 背中を見られることを前提に作ったとしか思えないのですが,しかしこれが人の目に触れることなど,長い歴史の中でおそらく初めてのこと。思うに,見えない部分でも手を抜かない,それが日本人の「仕事」なんでしょう。

 一通り歩いて約1時間30分。見終わって感じた事は,とにかく仏像の圧倒的な存在感です。他に出ていた展示物にも確かに珍しい物がありましたが,数としては全部で20数点と多くなく,私のような人間にはちょうど良い規模だったと思います。

 1つ感じた事があります。

 以前,ある美術館で仏像を「美術品」として鑑賞したことがありましたが,最初じーっと食い入るように眺めた人々は,思わず両手を合わせ,その場を後にしていました。

 この「思わず」が重要だと思うのですが,今回は大勢の人がいたにも関わらず,誰一人手を合わせる人はいませんでした。私は恥ずかしさから,ばれないように小さく手を合わせるにとどまりました。

 お寺で見る仏像には,問答無用の威圧感があり,これが宗教としての仏教に畏敬の念を抱かせる動機として機能することを狙っているのですが,お寺という独特の施設,入りだったり匂いだったり音だったり,つまり五感に飛び込む情報が仏像をより深く見せているのでしょう。

 とはいえ,思わず仏像に手を合わせる気持ちはいつしか一人歩きし,仏像がお寺になくても,そこから出る「何か」に思わず手を合わせることは,ごく自然な事だと思います。

 もちろん,美術品としての仏像をいちいち拝む必要はないのかも知れません。しかし,日本の仏像は,物理的な大きさや表情の猛々しさだけではなく,その美しさで人々を魅了してきたことは事実でしょう。作り手の意図を想像すると,美術品としての完成度の高さこそ,我々が手を合わせるためのエネルギーであるべきではないかと,素人の私は考え至るのでした。
 
 もう1つ,韓国語や中国語を話す方々が見学に多く訪れてらしたようです。韓国にも中国にもお寺があり,仏像があります。西から届いた仏教が東に伝来する過程で,中国と朝鮮,そして日本の3地域は,互いに影響しあい,そこから新しい物を醸造してきました。日本は最東端ゆえ,日本から出て行ったものは少ないかも知れませんが,元はインドで生まれた教えが,これほどたおやかな仏像に昇華した事実と,そこから日本という文化圏に興味を持ってくれればいいなあと,そんな風に思いました。

 いろいろな感じ方があるとは思いますが,私は今回の「薬師寺展」で,日本はアジア,特に東アジアの一員であることを,改めて誇りに感じました。

 

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