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カテゴリー「散財」の検索結果は以下のとおりです。

スロージューサーを買う

  • 2016/05/23 15:09
  • カテゴリー:散財

 4歳の娘に,ミックスジュースなる物を作ってあげようと思い立ち,バナナとオレンジとキウイフルーツに牛乳を入れ,ブラウンのブレンダーで細かく粉砕したものに,メイプルシロップを入れた物を出したところ,これがまた随分と喜んでくれたのです。

 これはこれでうまくいったのですが,ブレンダーは刃が高速回転するし,洗うときにも危険だという事と,音が大きくて使うのが億劫という問題点があり,それなら小型のジューサーを買ったらどうかという話になりました。

 で,一人分のジュースを作る小型のジューサーを探していたら,スロージューサーなるものが流行していることを,ふと思い出しました。

 存在自体は知っていたのですが,ゆっくり果物を搾ることで得られるメリットに対し,繊維を「絞りかす」として捨ててしまうことになるデメリットが気に入らず,これまでも興味の対象にはなっていませんでした。

 オレンジ1個から搾り取れる果汁はカップ1杯に満たないものですが,そのまま1個を丸ごと食べると,随分と満足感が得られるものです。しかもおいしいでしょう。

 わざわざジュースにする理由など,見当たりません。

 ジュースにすることのメリットと言えば,他の果物を混合して味をデザイン出来ること,皮を剥いて食べるなどの手間をかけずに済む事(これは食べるときに手間がかからないというだけの話で,作る時に手間がかかってますから,あまりうれしくありません)くらいのもので,効率は悪い,手間はかかる,片付けも面倒くさい,とデメリットばかりなわけです。

 ですが,娘がジュースという存在そのものを面白いと思うのであれば,話はちょっと違ってきます。

 ここで,もう一度スロージューサーのおさらいです。毎分40回転程度で果物をすりつぶし,果汁をとるのがスロージューサーです。これまでの高速回転する刃で切り刻むジューサーと違うのは,

 繊維質を分離するので舌触りがよい
 かき混ぜないので空気に触れず,酸化しにくい(栄養素が壊れにくい)
 静かで安全

 ということのようです。デメリットはこの裏返しになり,繊維質を取る事が出来ない,カスを捨てるからもったいない,ミックスジュースを作るなら混ぜないといけない,ということになります。

 なので,どうもメリット・デメリットというよりは,個性の問題という感じがします。しかしこのスロージューサー,4万円も5万円もするものらしく,そんなものがヒットしているというのがにわかに信じがたいところでした。

 ところが,登場してから数年経ち,価格もこなれてきていることがわかりました。この分野を切り開いたシャープのものも,新機種機との入れ替えの関係で2万円ほどで買えますし,パナソニックのものも2万円ちょっとです。

 そうなってくると,本当にこれを使ってメリットがあるかどうか,という話になるわけですが,こんな風に考えてみました。

・ミックスジュースを主に構成することになるバナナやキウイフルーツは,そもそも皮や種がないので,ペースト状になる。ゆえにカスが出ないだろう・

・オレンジやグレープフルーツは,雑味が出るので内側の袋は出来るだけ取り除いて,果肉だけでジュースを作る物なので,それが自動化されると考えればカスが出るのは当たり前。

・そもそも,高速で粉砕するタイプのジューサーだったら,今あるブレンダーで十分対応可能。わざわざジューサーを買うんだから,ブレンダーでは出来ないものでないと意味がない。

・凍らせたら果物を使えばフローズンが出来るらしい。これは喜ぶだろう。


 よくもまあ,こんな都合のいい話をポンポン思いつく物だと自分でも感心しますが,とにかくここまで来たら,もう購入にむけての反対勢力は散り散りになっています。向かうところ敵無し。意気揚々とポチるだけです。

 果たして,土曜日の午前中に届いたのは,シャープのスロージューサー「ヘルシオ ジュースプレッソEJ-CF10A-R」です。6月に発売になる最新機種との差は,音がやや小さくなることと,青汁がうまく作れるようになることだそうです。いらんわ。

 まず,嫁さんの第一印象は,でかいこと。これは私も同感で,想像を超えた大きさでした。貴重な常設場所を確保するには,かなりの稼働率をたたき出さないと認められない大きさです。

 一応,購入した張本人ですから,開梱して洗って,使えるようにします。前日に凍らせてあったキウイを,フローズンにしてみましょう。

 フローズン用の刃を取り付け,説明書通りに組み立てます。投入口から小さく切ったキウイをいれます。ぐいーんと大きな音を立てて,みるみる潰れていくキウイ。

 本来カスが出るところから,フローズンが出てきました。

 大喜びの娘に,食べてもらいます。

「どう?」
「おいしくない」

 私も食べてみましたが,酸っぱくて,はっきりいって美味しくありません。どうも,アイスクリームやシャーベットの味を期待して口に入れて,すりつぶしたキウイの酸っぱい味しかしないので,脳ががっかりするようです。

 0勝1敗。

 気を取り直して,バナナのフローズンです。凍らしたバナナがありますので,これでフローズンを作ります。リベンジです。

 しかし,投入したはいいのですが,なかなかつまって出てきません。時間が経つうちに溶けてしまい,グニャグニャの,ただのバナナペーストになってしまいました。

「どう?」
「まずい」

 嫁さんが笑いを堪えて,娘の残した「かつてフローズンと呼ばれたバナナ」を食べてみますが,「これはバナナをすりつぶしたものだ」と,まるで大辞泉のようなこと言っていました。想像するにまずそうなので,私は食べていません。

 0勝2敗。

 次に,オレンジを使ったミックスジュースを作ります。ジュース用の刃をセットして,皮を剥いたオレンジに続けて,説明書の通り,バナナを等量の牛乳と一緒に入れます。

 オレンジからは盛大にカスが出てきました。そしてバナナは牛乳でドロドロになって,山芋のすり下ろしのように,ぼたぼたと出てきます。しかし,バナナが詰まってしまい,スクリューがグルグルと回転する透明な容器の中で,バナナと牛乳がぐちょぐちょと撹拌されているだけの様子です。

 途中で止めて,娘の目の前に。

「どう?」
「もうのめない」

 ・・・嫁さんは無言で,オレンジのカスをスプーンで食べています。娘が残したジュースを嫁さんも口にしましたが,「ドロドロのバナナに牛乳を混ぜた物」と,まるで広辞苑のような感想を述べていました。

 0勝3敗。

 これだけ連敗が続けば,常設場所はおろか,ファーム落ちですよ。まずいです。

 とにかく,まともなジュースを作る前に勝手なことをやるからうまくいかないわけで,ここはグレープフルーツを1個丸ごと使って,100%のジュースを作って,スロージューサーのメリットを精一杯アピールしてもらうことにします。

 皮を剥いて,袋のまま投入します。ドボドボとジュースが出てきますが,カスも一杯出てきます。

 しかし,これは見た目にも美味しそうです。娘に出します。

「どう?」
「おいしい」

 やったー。やっとグラスを空っぽにしてくれましたよ。私も少しもらいます。うん,確かにおいしい・・・おいしいけども,グレープフルーツの味だよな,それならグレープフルーツをそのまま食べりゃいいんじゃないか?

 嫁さんも飲みましたが,「100%ジュースが高い理由がわかったよ」と,これまたスパイスの利いたコメントを頂戴致しました。

 0勝4敗。

 そして,毎回毎回嫁さんから出たコメントは,「シンクの排水口フィルターが詰まる」でした。かなりむかついていたようでした。

 そしてその日の夜,娘は既製品の桃のゼリー(自分でスーパーで選んだ)を,美味しそうにほおばっていました。0勝5敗。

 さらに翌日,デザートにグレープフルーツを食べたいという娘に,ジュースにするか,そのまま食べるかと聞いたところ,そのままという返事をもらうに至り,試合すらさせてもらえず,0勝6敗です。

 てなわけで,今のところ,手間がかからず,コストがかからず,ゴミが出ず,美味しく,繊維も摂れるようなジュースを,このマシンを使って作れない物かと,今後も検討し続けることになりそうです。

 結論としてですが,柑橘系など果汁の多い果物を100%ジュースにする場合は,とても美味しい。美味しいけども,そのまま食べるのと本当に同じ味がするので,メリットとしては袋や種を出さなくてもいいという,面倒臭さのちょっとだけ回避,という感じです。

 フローズンはかなりそのままで食べるのは厳しいです。脳が混乱します。

 バナナは牛乳と一緒にして,柑橘と合わせれば美味しいミックスジュースになりそうですが,ブレンダーの方がもっと美味しくできそうです。

 この悲惨な状況をよそに,嫁さんは「ああ,ジャガイモをつぶせるのね」と言ってました。ああ,スロージューサーが,芋を潰すマシンになるとは・・・

 どうすんのよ,これ。

シュレッダーを買い換えた

  • 2016/04/11 09:19
  • カテゴリー:散財

 先日のことですが,買って3年ほどになる我が家のシュレッダーが壊れてしまいました。「ガコガコ」を大きな音がするばっかりで,紙を吸い込みません。

 これだけ個人情報に警戒しないといけない世の中で,これだけ個人情報が書かれた書類が手元に届くと,処分するのも一苦労です。手で刻んだくらいでは全然意味がなく,専用のスタンプを押して見えなくしても,実は見る方法などいくらでもあるというのが実際です。

 大昔,有効な定期券と無効な定期券を間違えて,有効な方を当時使っていたシュレッダーで刻んでしまったことがあるのですが,この時も30分ほどで貼り合わせることが出来てしまい,定期売り場の駅員さんもなんの疑いも持たずに,再発行に応じてくれました。

 この時のシュレッダーは,クロスカットとはいえ裁断サイズが4mmとやや大きかったので,以後私は細かいものを選ぶようにしています。

 A4サイズがそのまま2枚まで裁断可能で,2mm幅のクロスカットのものを使っていましたが,ACアダプタ式の非力な物で,次第に裁断能力が落ちていきました。裁断幅が小さい物は,カッターの目が詰まりやすいので,なおさらです。

 そうして半年ほど前ですが,ちょっと分厚い物を裁断しようとするとカッターの間が広がってしまい,全く裁断されないというトラブルが問題になました。そこでプラスチックの枠が広がってしまわないように,2φの銅線で縛り,広がらないようにしたところ効果絶大で,確実に裁断されるようになりました。

 ですがそのせいで過負荷がかかってしまったのでしょうね,先日とうとう壊れたというわけです。

 修理出来るかどうかを確認したかったので分解しましたが,プラスチック製のギアの歯が飛んでおり,ツルツルになっていました。こうなるともう修理は出来ません。あきらめます。これまでご苦労様でした。

 そうなってしまうと後継機を用意しなくてはなりません。

 シュレッダーも本当にピンキリで,大きさも値段も性能も,音も重さも使い心地も,どれも同じ物はないと思うほどです。ゆえに店頭で買うしかないと思っていたのですが,逆に店頭に並んでいるのはごく僅かで,この中から選ぶしかないという不自由さに気が付いて,途方に暮れていたところ,あるサイトが目に付きました。

 この手の話には俄然強さを発揮する,あのラジオライフのサイトです。本誌に掲載された記事の中から抜粋して日替わりで掲載するサイトなのですが,少し前にシュレッダーの評価記事があったことを思い出しました。

 なになに,Amazon限定のコクヨ製AMS-MC20がおすすめ?

 A6までですが6枚までOK,ハイパワーなので高速,音は小さく,裁断幅も小さいと,絶賛です。実勢価格は6400円とあります。

 amazon専用品ではない,これと同じようなものがあるだろうと探してみましたがすでにディスコンになっています。後継機はスペックダウンしていて,特に裁断幅が大きくなってしまっています。ここはこだわるべき所です。

 ということで,結局AMS-MC20を買うことになったのですが,価格はこの時点で6600円と値上がりしています。なんか悔しいですね。

 あきらめようとしたとき,ふとカラーバリエーションで安い物が目に付きました。ピンク入りが5900円です。ちょうどタイムセール中で残り1時間,しかし誰も買っていません。

 これも何かの縁だと,何のためらいもなくピンクを注文しました。私の話など誰も興味はないと思いますが,私は色にはあまりこだわりがなく,色を理由に購入をためらうことはありません。もちろん好みの色や嫌いな色はありますが,理由はともかく縁あって手元に届いたのですから,それはそれで愛着がわきます。

 その結果気にいればなおよしで,自分では選ばない色がやってくる面白さは,次はどんな色の円があるのだろうと,楽しみにさえなっています。

 しかしながら,届いたピンクは,ちょっと下品でした。タイムセールになったのも,きっと不人気だったからでしょう。同じピンクでもサーモンピンクとか,桜色のような上品な物ならいいのに,合成着色料バリバリのショッキングピンクです。ブラックライトを当てればきっとぱーっと光り輝きますよ,これ。

 ですがピンクの好きな4歳の娘は大喜び。「ピンクのきかい」とすっかり気に入ったようです。私は彼女に,シールを貼っても買わない場所として,このシュレッダーを解禁することになりました。もう好きなようにデコレーションして下さい。

 さて,使ってみたところ,さすがはラジオライフが太鼓判を押しただけあり,想像以上の素晴らしさです。レターパックのボール紙も楽々裁断,切り口は鋭く,実に綺麗です。A6サイズは小さくて不便かもと思っていましたが,むしろ危険な挿入口が小さいことは安全に繋がることでもあるので,これだけパワーがあるなら折りたたんで使う方が合理的とさえ思います。

 これまでの物と違い,紙を差し込めば裁断が始まり,終われば自動で止まります。主電源もちゃんあるので,待機時の電力も気になりません。

 そしてコクヨ製だなあと思ったのは,安全面です。挿入口にはフタがあり,開け閉めも面倒でないように作ってあります。これはいいですよ。小さい子供が面白がっておかしな物を突っ込むと,大けがをしますから。

 音も静かで,夜でも使えます。裁断面が綺麗なので,くずかごがすぐに一杯になってしまうこともありません。大きさも手頃ですし,A6サイズということもあり,長さが短くて,置き場所にも困りません。

 パワーのあるシュレッダーは頭が重く,不安定になりがちですが,この製品は安定感もあり,安心です。いやほんとにいいですよ,これ。

 もっと他にもいいものがあるのかも知れませんが,特に不満点が見つからない高次元でのバランスは,家庭用の小型シュッダーに求められるスペックを吟味しているといえ,スピードと騒音,そして2mm幅の裁断で妥協しない,とてもよいものだと思います。

 ところでこの製品,amazon専用品ですので,茶色の素っ気ない箱に入っていたのですが,その箱をさらにamazonの段ボールにいれた状態で届きました。

 非常に大きな箱から取り出した「ピンクのきかい」を見た僅か4歳の娘をして「なんで大きな箱にもう一度入れるの?」と言わしめた,amazonの無駄には私も大いに同意するところです。amazon専用品なら,箱に直接送り状を張り付けて送ってもらっても,私は全然構わないんですが・・・


見せてもらおうか高級炊飯器の実力というものを

  • 2016/03/28 14:29
  • カテゴリー:散財

 これまで少しずつ家電品を入れ替えてきましたが,最後に残った家電品が,炊飯器でした。

 いやはや,電気炊飯器は今や白物家電を代表する調理家電となって久しく,日本人のこだわりが詰まった日本人のために作られたものとしてきちんと成立している,数少ない製品です。作る側も買う側も「日本人」のことしか考えていない時代が長く,もはやそれは,作る側と買う側の真剣勝負といっていいかも知れません。

 近年,そのこだわりから生み出されるご飯があまりにおいしいため,特にアジア圏の人達からも高い評価を受けているそうですが,これもただただ美味しいだけではなく,日本人が日本人のためだけに,たかがご飯を炊くという行為のために本気を出しているという職人芸が,心に響くからではないかと思います。

 私もご飯は美味しく食べたいし,せっかくのお米ですから大事に使いたい,日本のエンジニアが日々試食を重ねて練り上げた炊飯の自動化の恩恵をぜひ私も享受したいと,そんな風に思っていたわけですが,しかしここ数年炊飯器を使う事はありませんでした。そう,鍋で炊くのです。

 まことに日本人らしいと思うのですが,目的のために邁進し,他の面倒な事には目を瞑るというバランスを欠いたこだわりが,美味しい代わりにいろいろなものを犠牲にしているように思えるのです。

 それは大きさだったり価格だったり消費電力だったりするのですが,私が結局鍋で炊くことになってしまった決定的な理由は,後片付けの面倒さでした。

 嫁さんが15年ほど前に購入した高級炊飯器を結婚当初は使っていたのですが,方だけがとても大変で,使わなくなってしまったのです。

 作る時は楽です。米を洗って水を入れて,スイッチを押すだけです。これで1時間後にはご飯が出来上がっています。しかし,食べた後の片付けが大変で,釜は大きく重く洗いにくいし,内蓋は小さな部品も隙間も大きく,デコボコしていて綺麗に洗えません。

 しかも小さな部品を一々取り外して洗う必要があり,なくしたらもうおしまいです。

 そんなある時,ふと鍋でご飯を炊いたところ,実に美味しく,作る時の手間もそれほど変わらず,しかも後片付けが普通の鍋を洗うくらいの手間しかかからずとても簡単ということがわかり,以後ずっと鍋です。

 30分の吸水をし,5分ほど強火で加熱し,沸騰したら軽くかき混ぜ,15分弱火で加熱。あとは15分ほど蒸らして完成です。これでもう十分,粒の立った美味しいご飯が炊けます。保温機能などいりません。1時間くらいなら美味しく食べられますし,その後は急速冷凍で保存しますので。

 唯一の問題は,3合までだったことです。これも飽くなき挑戦により,4合,4.5合,そしてとうとう5合と,混ぜ方や時間と火力の調整によって,十分対応可能になりました。もう炊飯器は買わない,そう宣言したのは,この技術の完成をみてです。

 一方で,10万円を超える高級炊飯器が売れています。炭から削り出した内釜やら,内釜の周囲に飛び出た耳が美味しいご飯の秘密だったとか,もうよく分からない事になっています。

 ダブル踊り炊きなんて,作る方も買う方もダブルで踊らされてるだけやん,と私は冷ややかでした。

 そして我が家では,私が完成させたた鍋でご飯を炊く技術が嫁さんにも伝授され,安定した美味しいご飯が食べられるようになったのでした。

 しかし,嫁さんはあまり口に出しませんが,どうも炊飯器が欲しいようです。鍋で炊けるようになったとはいえ,付きっ切りで番をしないといけませんし,保温もなければ予約もない。それに銘柄や精米時期,季節や気温によって水の量を調整せねばならず,炊きあがったご飯の味にも属人的なムラがあって,今ひとつ納得出来ない様子でした。

 私も鬼ではありません。そんなに言うなら(言ってませんが),炊飯器を買わないわけでもないわけではありません。

 ということで,1年くらい前から炊飯器をチェックしていました。メーカーと新製品の情報はもとより,新製品投入時期と新旧入れ替え時期,価格の変動,人気と評判,新製品で搭載されたものと搭載されなかったものを,気にするようにしていました。

 分かった事は,買うなら最上位機種だということです。最上位機種が下位機種よりも味で劣っていることは,まずないでしょう。それこそ採算度外視でおいしくなっていないといけないはずです。これ以上美味しいものはない,という状態でなければ,あのクソ面倒な後片付けの壁を乗り越えられません。

 しかし,最上位機種は10万円を超えます。そんなに投資をして大丈夫か?心配性の私は常に自らに問いかけます。

 いつなら安いのか・・・そう,今です。

 先日パナから新製品が登場しました。これをうけ,昨年のモデルは急激に値下がりし,最も安い物だと6万円くらいになっています。例年の価格変動からみると,だいたいこの時期に底値になるらしく,ここを過ぎて4月になると新製品に入れ替わって価格が戻るようです。

 そんなおり,ある家電店から,極秘連絡を受けました。

 「いいのがでてますぜ,だんな」

 それは,最上位機種SR-SPX105の,街の電気屋さん向けバージョンであるSR-WSX105です。炊飯機能は同等で,一部の機能を省き,「ごはんからおかゆ」モードを追加したものだそうです。

 なるほど,そういえばうちのプラズマテレビWoooも,日立ショップ向けのバージョンでした。最後に特価で出てくるのは,案外こういう商品なのかも知れません。

 で,このSR-WSX105,お値段は6万円です。スマホ連階機能がなくなり,音声ガイドがつきました。また前述のように「ごはんからおかゆ」モードが搭載され,内釜の水位ゲージが見やすくなっているそうです。

 スマホ連携など私には無関係です。炊飯器くらい,スタンドアロンで使いたいものです。音声ガイドもいりませんが,ご飯からおかゆは,実は決め手になった機能でした。食べたい時があるんですよ,おいしいおかゆを。

 なんでも,パナソニックの炊飯器は,買収した三洋の技術を取り込んでいるとのこと。Wおどり炊きというのは,パナと三洋それぞれが編み出したおどり炊きを併用するからだそうです。私は三洋が大好きでした。

 なになに?加圧と減圧を繰り返すことと,IHの電流を細かく切り替えて米を踊らせるのがWおどり炊きですか。

 220度に加熱した水蒸気でふっくら,保温もしっとりですか。

 内蓋にもIHを装備し,6面全面加熱。

 感心して笑ってしまったのは圧力解放の方式で,従来はここにソレノイドとボールを使っていたのですが,パナはこの機種でモーター駆動の圧力弁を開発して搭載したそうです。なにが笑ったって,このモータ-,ステッピングモーターなんですって。

 これにより減圧時間が短縮され,しかも減圧時のソレノイド動作音がなくなって,とても静かになったそうです。

 ・・・炊飯器ですよ,これ。

 色は赤にしました。白がなかったからですが,私はある時期から,手に入る色が自分に縁のある色と考えるようになり,自分の好き嫌いで色を選ぶことがなくなりました。自分では選ばない色が縁あって手元にくれば,それは楽しい事だと思いませんか?

 極秘の家電店ですのでカードは使えず,銀行振り込みで支払い,翌営業日には出荷されて,スムーズにパナソニックの高級炊飯器が,我が家にやってきました。

 ・・・さて,届いた炊飯器は,案外大きく,スクエアな感じです。内釜は軽く持ちやすく,これで大丈夫なんかいな,と少々不安です。

 ん?見慣れない金属製のカップが内釜の横にはまっています。

 嫁さんに「これなによ」と聞かれ,まともに答える気がなかった私は実に適当に「湯気を水にしてためるものだ」と言い切ったわけですが,5分後に「ここに水をいれるんだってさ」としっかり訂正されました。そうなのか!

 第一印象はこんな感じですが,取説を見て,私は失敗フラグがスパッと立った音を聞きました。

 洗い物が相変わらず面倒くさいのです。炊飯器の中だけではなく,外側の部品も外して分解し毎回洗う必要がありますし,内蓋もデコボコして隙間だらけで洗いにくいです。

 その上で悲しかったのが,食洗機禁止です。しゃもじでさえも禁止ですって。

 あのな,君とこは食洗機も作ってるんとちゃうのか?自分とこの製品を「使うな」て,よーそんな話が通るもんやな。

 最上位機種で,しかも最新の炊飯器で,食洗機禁止なんて・・・私の期待は裏切られました。

 ただ,唯一いいなと思ったのは,内釜で米をといでもいいと書いてあったことです。昔は禁止でしたからね。

 しかも,内釜だけは3年保証。よほどコーディングに自信があるようです。ちなみに先日発表になった後継機種は5年保証になったそうです。

 炊飯時間は,銀シャリモードで約50分。吸水時間も含んでいますので,鍋で炊くのとあまり変わりません。

 しかしまあ,文句ばっかり言っていても仕方がありません。

 何はともあれ,ご飯を炊いてみることにします。お米は,唯一4歳の娘が自らの手で食べようとする福井県産のコシヒカリです。

 失敗するといやなので,とりあえず3合です。取説を見ながら銀シャリモードで,銘柄指定をコシヒカリにします。硬さを選べるそうですが,まずは「ふつう」で炊いてみます。

 最初ですので部品を外し洗って,また組み立てます。なんか拳銃を分解して組み立てる作業をしている気がしてきましたよ。

 釜にお米を入れてざぶざぶ研ぎます。さっと釜の外側の水を拭いて蓋を閉めて,炊飯スイッチをONします。

 吸水時間込みで48分と出ていますが,想像していたよりもずっと早くに沸騰し,蒸気が出てきました。Wおどり炊きは蒸気を抜いて加圧と減圧を繰り返して沸点を短時間で変えることで,お米をかき回すわけですが,減圧の際に大量の蒸気が出ます。

 出る出るとは聞いてましたが,なんと天井に届くほどの勢いです。思わず「おおっ」と声を出してしまいました。

 このあと数回,1m程の高さの蒸気が噴き出し,静かになりました。そして炊きあがりです。

 炊きあがったらかき混ぜておきます。これが美味しいご飯の秘訣です。

 さて,食べてみます。

 ・・・鍋の勝ち。

 米粒が立っていませんし,色がくすんでいる(これは圧力をかけるので避けられません),米の周りにネバネバした物が過剰にくっついていて気持ち悪いです。

 甘みもあるし,もちもちしていますが,ちょっと甘すぎるような気がしますし,もう少し水気が飛んでいる方が美味しいように思います。

 決してまずいわけではないし,十分美味しいですが,びっくりするほど美味しいとか,皆が言うように絶賛という程ではなく,公平に見て鍋の方が美味しいと思いました。

 食べ終わったあとの片付けのモチベーションが低かったことは言うまでもありません。

 おーっと,炊飯器側から勝負のやり直しが申し入れられました。

 なになに,3合では炊飯器は不利だ,5合で勝負したい?

 ということで,5合で勝負です。おーっと,もう炊けました。

 ・・・炊飯器の勝ち。

 見た目も艶やかで,硬さも適度で,水分もちょうどよくネバネバも気になりません。かみ応えもあるし,甘みも上品です。初回に感じたおかしな臭いもなくて,とてもおいしいです。

 鍋は3合がベストで,5合炊くと味が落ちることは分かっていました。ですからこの結果は想像していたことではありますが,炊飯器で5合炊くとこんなにおいしいとは思わなかったです。やはり炊飯器は少量炊くのは苦手なようです。

 3合と5合で,準備も片付けも変わりません。なら,これからは5合炊くことにしましょう。

 ところで後片付けですが,3度ほど洗ってみたところ,案外慣れてしまう物だと感じました。蒸気からうまみ成分を回収する箱のようなものが不衛生で,綺麗に洗えないしイライラさせられますが,内蓋もそんなにデコボコしておらず,水の拭き取りも楽ちんでした。


 てなわけで,私個人の感想としては,

・鍋は3合までならいい勝負が出来る
・5合になると炊飯器にはかなわない
・片付けの手間は慣れてくる
・量や季節に関係なく50分で食べられる
・誰がやっても失敗しない,味にさえムラがない
・でもこれに10万円を越えるお金は出せないなあ

 という感じです。耐久性とか,お米の銘柄による違いとか,炊き込みご飯や赤飯などの仕上がりや,密かに楽しみにしているおかゆなど,これから確かめていく必要があるとは思います。

 特に5合炊くときの炊きあがりには満足でしたが,一方で3合以下を炊くことはしないと思います。3合以下でも5合並みにおいしく炊けるようになるには,まだまだ技術開発が必要だということなのでしょうね。

 さて,これで何年,ご飯を炊くことになりますか。頑張ってもらいましょう。

Pebble Time Roundをがやってきた

  • 2016/03/22 15:30
  • カテゴリー:散財

 Apple Watchの登場によって,それまで鳴かず飛ばずだったスマートウォッチが一気に普及すると言われていたのですが,結果は残念ながらそうはならず,やっぱり一部の人が盛り上がっただけのブームで済んでしまいそうです。

 個人的には,それまでのスマートウォッチ,もっといえば1980年代から続く腕時計型コンピュータが「好きな人だけが知っていて好きな人だけが買っている」というであったのに対してApple Watchは,こうしたガジェットに興味がなかったような一般の人たちが注目して,実際に購入に至っている点で大きく異なり,また大きな変化だったと思うのです。

 ただ,非常に惜しいことに,登場前に大きな注目を集め,高価であったにもかかわらず多くの人が手にとったApple Watchは,短い期間で失速しました。当時「結局なにができるの」「iPhoneがなければなんにも出来ない」と,ガジェット好きなら噴飯物であるこれらの苦情が,「普通」の人から出ていた事でわかるように,こうした人々の期待を裏切らなければ,Apple Watchは「知ってるけど自分には関係のないもの」と思われる事はなかったのではないでしょうか。

 確かに,スマートフォンの画面の一部を切り取って腕の取り付けられる様になればとても便利かも知れませんし,そうした使い方でワクワクする人がいるのも事実ですが,ポケットからさっとスマートフォンを取り出せば済んでいるのに,わざわざもう1つ画面を持ち歩く理由は,なかなか見つかりません。

 おもちゃにしては高すぎますし,宝飾品としては値打ちが低すぎます。時計をしない人には全く新しい習慣を身につけてもらうことなり,時計をしている人には,お気に入りの時計の定位置を明け渡してもらう必要があったのですから,そりゃ大変なことです。

 私は,このままスマートウォッチは失速すると思います。しばらくすると「そういうこともあったなあ」と,飲み会の席で話題になることでしょう。

 そう考えた時に,このままスマートウォッチのブームを傍観者としてやり過ごしていいのかと,かつてFossil Wrist PDAを常用していた私は,焦りを感じました。この時代をリアルタイムで経験せねば。

 しかし,私が使っているスマートフォンは,Blackberry Q10です。Androidでも,iPhoneでもありません。

 そんなおり,一部のマニアの間で有名なPebbleの値下げがありました。見てみると,普通の腕時計並みに薄くて小さい,丸いモデルもあるじゃありませんか。

 おお,これは欲しい。普通の時計としても欲しい。

 腕からはみ出すような大きな時計,しかも四角く分厚く,高価なスマートウォッチは,私は欲しくありません。まず時計として機能すること,遊び心があって面白い事,そしてちょっとだけ便利になってくれるようなら,それで十分。

 Pebbleがe-paperを使っていることも興味を惹きました。タッチパネルも持たず,ボタンでの操作です。これもいい。

 そして,いろいろ調べるとBlackberry10なら非純正のアプリによってPebbleが使える事もわかりました。これはもういくしか!

 せっかく買うのですから,ここでけちって気に入らない物を買っても仕方がありません。身につけるものですから,妥協は禁物です。

 そこで,とにかく一目惚れしたPebble Time Roundを品定めです。電池は2日しか持たないと言うことですが,この大きさなら仕方がありません。199ドルに値下げされ,これなら買ってみようと背中をぐいっと押されます。。

 せっかくですので,公式サイトから購入しましょう。選んだのは20mmのヌバックのベルトのものです。20ドルのディスカウントも適用され,送料も無料で手続き完了です。

 送料無料は時間のかかる国際郵便(書留です)で届くのですが,私の場合3月5日に購入手続き,到着は3月20日になりました。10日くらいで届くという人が多い中,15日は長かったといえるでしょう。

 しかし,2週間も旅をして,よくもまあ私の手元にはるばるやってきたものです。

 気になったのは実は関税の事です。1000円くらいの関税を払う覚悟があったのですが,なぜか請求されませんでした。こういうケースもあるようですが,もし後日請求されたら,ちゃんと払おうと思います。

 ということで,衝動買いした割には15日もお預けを食ってしまったPebble Time Roundですが,軽くインプレッションです。

・大きさ,軽さ
 私が普段使っている腕時計よりも小さいくらいで,大きさもそうですが薄いし軽いです。腕時計って重かったんだなあとつくづく思いました。

・質感
 2万円程度の時計と考えれば,まあそんなもんかなと思います。特別いいわけでも,悪いわけでもありません。

 以前,腕時計メーカーの人と話をしたことがあるのですが,とにかく腕時計というのは普通の民生品とは違って,質感とか精度とか,そういうものの要求が特別に高いそうです。ちょっとした傷やへこみ,ムラに対するクレームが強くて,こんなもんですよがなかなか通用しない世界なんだそうです。

 そういう基準で見れば,まあ値段相応のものだろうと思いますが,いかにもスマートウォッチですよというデザインのPebble Timeに比べても主張が少なく,私のように時計を目立たせたくない人にとってもうれしいところです。

 そうそう,ベルトはなかなか良かったです。日本の時計にはちょっと見ないヌバックのベルトですが,さわり心地も分厚さも適度で,柔らかいので腕にもフィットし,快適でした。ただ,後述のように汗で痛むのは目に見えているので,交換することにします。



・画面

 MOTO360のように,画面一杯に丸いディスプレイがあるといいんですが,Pebble Time Roundは5mmほど白い枠が1周していて,その内側の僅かなエリアにだけディスプレイがあります。

  丸いディスプレイを作るのは手間もお金もかかりますが,もともと四角いディスプレイを丸い部分だけ表に出すという方法なんでしょう。低コストで丸いディスプレイを搭載できる作戦は評価しますが,ちょっともったいないですね。

 表示品質はさすがはe-paper,視野角は抜群に広くて,とりわけ明るいところでの見やすさが抜群です。特に青色の発色は気持ちよいです。バックライトはいまいちですが,まあこれは緊急用と割り切ればいいでしょう。


・日本語化

 Pebbleは日本語に対応していませんので,日本語化が必要です。いくつかの方法がありますが,私は面倒な事をしなくてもすんでしまう,Pebble CJK日本語化パックを使わせて頂きました。

 届いたPebble Time Roundを開封し充電してから,使っていないXperiaに公式アプリ(Pebble Time)を入れて,Bluetoothでペアリングしから接続をします。その後アプリを起動するのですが,アカウントの作成とかいろいろ初期設定をやって,いきなり本体のOSのアップデートが始まりました。

 終わったら日本語化パックを入れます。あらかじめ落としたファイルをESファイルエクスプローラで開くだけでおしまいです。

 と,ここまでは何の問題なく完了。まあスマートウォッチとはいえ,小さいコンピュータですからね,Androidを使ってやっていますし,ここで躓いたら金返せって話です。


・とりあえず

 なにせ初めてのスマートウォッチ,初めてのスマートフォンコンパニオンです。何が出来るか,どういう表示になるか,どういう操作をするのか,どういう挙動を示すのか,全くわかりません。今起きている事が正しいのか正しくないのかもわからないなかでの設定作業ですので,暗闇を歩くような状態です。

 実際,動いて使えるようになるまで,相当暗闇を歩かされる事になるわけですが,それは長くなるので次回に。

 今こうして動いているのを見ると,なかなか面白いです。絶賛という程のことはありませんし,結局出来る事って予定表の確認とtwitterの新着を知らせることくらい,後は画面を変えられる腕時計ですので,過度な期待は禁物です。

 実用性という点で見れば,スマートフォンを見ていれば問題ないし,わざわざ腕時計で知らせてもらわなくてはいけないほど緊急のものは私にはありません。

 それより,画面を変えられる腕時計というのが楽しくて,ただただこれだけの機能でもいいかと思っています。

 そうはいっても,時計だけで毎日充電というのは手間がかかり過ぎるのですが,スマートフォンと時刻が同期できているので狂いませんし(実際には狂います),腕時計のバリエーションの1つとして手元に持っていても,私は許せます。

 その点でいえば,丸いから許せるわけで,四角いPebble TImeなどは腕時計としてはかなり使う側に譲歩を求めるものになりますね。丸いのを買って良かったです。

 そうそう,もう1つ面白い事がありました。歩数計がついているのですが,これは案外面白いです。自分がどれだけ歩くのかなど興味もなかったのですが,Pebbleが勝手に計っていてくれるので,もうちょっと長期レンジで値を見ていくと面白い傾向が出てくるかも知れません。


 ヌバックのベルトは安いナイロンのベルトに交換です。ケースが梨地ですので,NATOタイプのベルトは,どれもよく似合うと思うのですが,迷ったあげくに黒とグレーとオリーブドラブの3色を買ってしまいました。

 一番似合うのはオリーブドラブだと思うのですが,安いだけあってペランペランです。これは失敗かも。

 スマートフォンの電池消費の問題など,実際に使ってみて分かることも多いでしょう。しばらくPebble Time Roundを日常的に使ってみようと思います。



ワクワクしてT50RPmk3nを買った

  • 2016/01/22 15:15
  • カテゴリー:散財

 長く愛用しているフォステクスのヘッドホン,T50RPを買ったのは,2004年9月です。もう11年にもなるんですね,我ながら物持ちがいいなと感心します。

 その間,イヤーパッドを交換しましたが,音が変わることも,壊れることも,ガタが来ることもなく,「昨日と同じように」毎日使っていました。

 当初,さすがに気になった高音の貧弱さについても,慣れてくればなんということもなく,これで普通に聞けたらバランスが取れている,と思うくらいになりました。10年も使っているとそんなもんです。

 その意味で,当初目的にしていたモニター用という狙いは,確実に達成したことになると思います。むしろ,広い帯域で揃った位相,小さい音も大きい音も歪まないリニアリティ,無理に協調しないフラットな周波数特性は,あるのままを聞くという用途には絶対信用のおける頼もしい存在となっています。

 とはいえ,高音が実際に出にくいのは事実,誰に対してもおすすめ出来る機種ではありませんし,「高音出ないけどべつにいいよ」と割り切る気持ちも,特に他の人に使っている理由を説明せねばならない場合には,ちょっと曇ったものになります。

 そう,買った直後は結構がっかりして,いい所もあるんだけども,高音が出ないのは致命的だなあとか思ってしまい,自然にこれに手が伸びなくなり,他のヘッドホンに手を出したりしたのです。

 しかし,気が付けば,T50RPに戻っていました。特にここ数年はぱっと手にとってさっと音を聞くとき,T50RPを無意識に選んでいたようです。いつも使うから,いつも手元にあるという自然な状況だったということです。

 まあ,散々浮気を重ねてもですね,最後には嫁さんの所に戻ってくると言うか・・・あるいはその,洋物とか流出物とかに散々手を出しても,最後にはサンデーのグラビアに戻ってくると言うか・・・

 ・・・それだけお気に入りだったT50RPに後継機種であるT50RPmk3nが出たのは,昨年秋のことです。上位機種が出ても全然気にならなかった私としても,T50RPという,いい意味でも悪い意味でも個性的なモデルの後継ですから,どうなるんだろうなあと思うのは当然です。

 スタジオでの実績も多くあるT50RPですから,音の傾向を簡単に変えないと思います。でも,それでは激戦のヘッドホン市場を戦い抜けないでしょうし,わざわざ新機種で置き換える必要もないでしょう。なら,なにかを変えてくるはず。

 見た目を変える,これまで問題とされていた掛け心地を改善する,そうした改良なら,私は別に必要ないのでパス。でも音が変わる,それもこれまでの傾向を尊重しながら,問題点を潰してくるなら,これは買って試すしかないとおもっていました。

 ぼつぼつレビューが出始めて,高音が出るようになった,素晴らしい音質,この値段でこの音はすごい,と概ね好意的なものが目に付くようになり,私も買う気が盛り上がってきました。

 年末,いよいよ買うかと思ったところで,一番安いamazonでまさかの在庫切れ。まあそのうち在庫も復活するさと待っていましたが,復活どころか3月になると判明し,一気に買う気が失せました。

 こういう場合,値段をつり上げる業者が出てくるのもいつものことで,24000円近い値段になっています。もともと17000円程度で買えた物ですから,これはちょっと抵抗があります。

 そう思って,念のためヨドバシ.comを見てみると,まさかの在庫あり。しかも安い。速攻で購入しました。

 いやはや,ヘッドホンの購入で,こんなにワクワクしたのも久々ですね。期待が膨らむが故ですし,これがいいものだったら,私の主力ヘッドホンが入れ替わるという大事件になるんですから,当然です。

 箱は,印刷こそ変わっていますが,昔のT50RPとあまり変わっておらず,質実剛健です。箱を開くと,プチプチでくるんだだけの本体が出てきます。他に梱包材もなく,輸送の振動や衝撃にもびくともしない堅牢性が滲み出ています。

 ケーブルはT50RPと同じ標準ジャックのものと,3.5mmのケーブルの2つが入っています。ただ,3.5mmのケーブルはオレンジ色で,随分派手です。なんちゅうか,黒の本体にこの色のケーブルってのは,いわゆるジャ○アン○カラーですからね,虎ファンの私としては心中穏やかではないわけですよ,ええ。

 本体に目をやります。まず目に付くのは,ヘッドバンドが合成皮革で覆われて優しくなったことでしょう。T50RPはここがゴムで,初めて手に取ったとき「これでええんか」と目が点になったことを思い出します。使ってみると別になんてことはないんですが,見た目であの豪傑な仕上げは,損をしてたんでしょうね。

 イヤーパッドの取付も変わりました。以前はハウジングの外周に被せるように取り付けてあったのですが,今回はハウジングに溝を1周つけてあり,ここに噛み込ませるような感じになっています。イヤーパッドが外れにくくなり,また回転しにくくなっているようです。そうそう,耳が直接内側に当たるのを防ぐ為に,スポンジが張られていました。

 取り付け方法が変わったために,T50RPmk3nのイヤーパッドをT50RPに取り付けることは出来ません。逆は可能ですが,そんなのあんまり意味がありませんし。

 ただ,イヤーパッドが変わったことで掛け心地が改善したかと言えば,特別そういう印象はなく,私はT50RPのイヤーパッドを交換した際に,掛け心地が随分改善したことを知っているので,その延長にあるものだと理解しました。長時間の使用でも,耳が痛くなることは今回のT50RPmk3nでもないと思います。

 ハウジングとヘッドバンドを固定するスライダーは,以前は銅色だったのですが,今回はガンメタになっています。私は銅色でもいいと思っていたので,ガンメタは普通になったと言う印象しかありません。

 さて,肝心の音ですが,これまで不満だった高音はきちんと出るようになりました。出過ぎることはなく,本当にフラットです。低音も伸びているようで,低域がきちんと入っているソースをきくと,頭のシンがぶるぶると揺さぶられるのがわかります。

 それでいて,全帯域で位相が揃っていて定位が暴れませんし,小音量から大音量まですーっと自然に伸びるリニアリティも健在です。つまり,周波数,レベルの2軸で破綻するエリアが小さいということです。お見事です。

 それと,T50RPからの利点として,密閉型とオープン型のちょうと中間というのが,今回も踏襲されています。開放感や音の広がりはオープン型のメリットですが,モニターには密閉のタイトな音も欲しいし,遮音もしっかりして欲しいので,その中間であるT50RPは,とてもありがたい存在でした。

 T50RPmk3nについても,セミオープンという特徴は踏襲されていて,メリットがそのまま生きています。これもうれしいです。音像の位置が,いい場所に出てきます。

 ということで,T50RPの問題点だけを丁寧に潰した後継機T50RPmk3nは,本当に良いモデルになっていると思います。最近,これほど真面目にモデルチェンジする物なんて,ヘッドホンに限らずなかなかないもんです。フォステクスの良心を見た気がします。

 従来機種に慣れた耳には,高音がきついかなと思いましたが,それも2時間ほどで慣れました。もうどっちでも大丈夫です。

 冷静に考えてみると,スタックスにより近くなったなと思います。スタックスもT50RPもT50RPmk3nも,平面振動板ですので,位相が揃うのは結構特徴的だと言えて,そこから音を作り込む傾向もフラットを目指している以上は,最終的に似たような音になってくるのも頷けます。

 ただ,両者の間には,セミオープンかオープンかという決定的な違いがあり,これがモニター用か観賞用かを決定的に分けているように思います。

 いずれにせよ,特殊なアンプも電源もいらないT50RPmk3nで,スタックスと音に互換性が出てきたという事は,両方を使い分けている私としてはとても歓迎すべき事で,買って良かったなと思うポイントの1つになりそうです。

 そんなこんなで,もうT50RPmk3nは手放せません。これは「モニター用だから」と言い訳をしたり,一言添えたりすることなく,多くの人に胸を張って「いいですよ」と言えるヘッドホンだと思います。

 これが17000円ほどで買えるのですから,安いと思います。堅牢で長く使えますし,音もいい,無骨であることを許せれば,これがあればもう他のヘッドホンを検討する必要はなく,5万円とか6万円とか,そんな値段でダイナミック型を買う人の気が知れないとまで,思ったりしました。

 T50RPが12000円ほどだったことに比べると,ケーブルがもう1本ついたとはいえ,かなりの値上げになりますが,それでも十分安いと言えるでしょう。

 いや,ちょっと言い過ぎました。嫁さんが買ったソニーのフラッグシップモデル,MDR-Z7は,高いだけあって,その空気感の再現性がものすごく,モニター用のような正確さと,聞いて楽しいこととを高い次元で両立したモデルであることは,私も認めます。それであの値段は,やっぱり安いです。

 ということで,絶対的な値段だけで判断出来ないのがこの手の商品の難しさと言えて,私にはスタックスが相変わらずリファレンス,これに肉薄するヘッドホンとしてT50RPmk3nが,うちの主力に躍り出たという感じでしょう。

 DR-100mk2との相性も良いようで,相変わらず鳴らしにくいT50RPmk3nも結構楽にドライブしてくれます。大げさなことをしなくても,DR-100mk2とT50RPmk3nで,もう私の録音環境は不満ありません。

 一時的に品薄になっているような感じがありますが,モニター用としてならもう文句なくイチオシ,普段使い用にも,ぜひこのヘッドホンの自然な音を楽しめるようになってくれたらいいなあと思います。

 きっと,ロングセラーになるでしょう。長く供給されることも,プロユースのモニター用には必要な「性能」ですから,その点でもT50RPmk3n,おすすめです。

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