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デジットの味をご家庭で2025

 先日,デジットのランダムボックスが久々に売り出されました。200回記念という事だそうですが,前回は確か年始だったと思うので半年ぶりです。

 その年始のランダムボックスは発売されたことに気が付くのが遅く,売り切れていました。今回こそは買い逃さないようにしようと,急いで買うことにします。

 過去には決済官僚に時点で残り数個になっているほどの人気商品なので,あわてて決済まで済ませたのですが,なにやら今回は在庫数がなかなか減りません。ちょっと拍子抜けしつつ,自宅でデジットを味わえるのを楽しみに,翌日の到着を待っておりました。

 果たして届いたランダムボックス,今回はこれまでになく,微妙な中身でした。

 まず,スカスカです。いや,別にぎっしり入っている方がお得とか,そういうことは電子部品には当てはまらないのですが,それでもランダムボックスというのは届いた部品をあれこれと品定めするのが楽しいわけで,数が少ないのはその楽しみも少ないという事になります。この時,私は少し嫌な予感がしました。

 詳しく見ていきます。2つのビニル袋が入っていたのですが,こんな感じの中身でした。

・DIN 13Pメスコネクタ
 DINコネクタの13Pです。確かに今は貴重かも知れませんが,もともとPC-8801のキーボードで使われているのをみたことがある程度で,正直使い道がありません。

・Y14H-1C-12DS
 12Vの小型リレーで1回路2接点のものです。秋月電子で120円です・・・

・PX-10
 今回の最大のゴミはこれでしょう。キーエンスの製品なのですが,なんだろうと思って調べてみると光電センサ向けのアンプユニットだそうです。センサがないと意味がないだけではなく,仮にセンサがあっても使い道はないなあ。
 分解して部品取りにでもと思いましたが,めぼしい物もなさそうです。
 後述するように2つ目を買った時に感じたのは,こいつが入っているから,中身が少なかったんじゃないだろうか,ということです。

・Z80A-CTC
 Z80ファミリのうち,CTCです。これもまあ,かつてX1用のMIDIボードを自作するときに買いましたし,X1turboやFM音源ボードに搭載されていた関係でおなじみのLSIですが,今使うかと言えば・・・

・LH5116-10 4個
 シャープ製のCMOS SRAMで,2k x8ビットの「普通」のSRAMです。4個入っていても2kバイトでは全然うれしくないですし,補修用としても手持ちが腐るほどあるので,もはやゴミです。

・GAL16V8B
 今回,一番興味を惹いたのが,このGALです。1990年代中頃,まだまだFPGAがアマチュアには遠かった時代,自分でプログラム出来るロジックICとして,唯一アマチュアが手作り出来るカスタムICだったのが,PALやGALと呼ばれる小型のPLDです。
 PALはワンタイムだったのに対し,GALは何度でも書き込み出来たので,アマチュア向けでした。TTL数個をまとめる事の出来る便利なデバイスで,特にアドレスデコーダなんかで重宝するのですが,書き込み器が高価で自作例も少なく,今で言うEDAツールであるPALASMも高価で入手困難と,やっぱりアマチュアには高い壁でした。
 今ならPALASMは無料で使えますし,ライタは汎用の物がサポートするのですぐに始められるのですが,そんな今はデバイスの入手が難しくなっています。
 私も使いたい時が何度もありました。今さらという気もしますが,当時の追体験という事で,なにかプログラムしても面白いかも知れません。

・4.7V 1W ツェナーダイオード
 品名など一切不明,ガラスモールドの4.7Vツェナーです。ポイントは1Wという大型であることでしょうか。普段自分が作る回路でこんな大きな物は必要ないのですが,修理で使うこともあるかも知れませんので,ストックとしては意味があるでしょう。
 ただ,私はなぜかツェナーの手持ち在庫は豊富でして・・・

・78L06
 TO-92の小型三端子レギュレータです。メーカーはMCCで,10個ほどありました。欲しい時には欲しいものですが,別にいつでも買えますし,安いですし・・・

・その他
 LEDも5mmの砲弾型で赤と緑の普通の物が大半,あとは訳のわからん基板(ボタン電池のホルダーのついてるやつで,これまでのランダムボックスにも大量に入っていた)や,機械時計のムーブメントみたいなものやら,スイッチ,抵抗,コンデンサ,という感じでした。


 うーん,これはつらい。別にICやLSIが欲しいとか,面白い部品が載った基板が欲しいとか,そういうことではないのですが,キーエンスのモジュールとか,これはかんぜんにハズレだったと思います。今後もこれが続くようなら,もうデジットのランダムボックスもおしまいかなと,そんな風に思いました。


 で,翌日の夕方・・・まだ在庫があるじゃありませんか。

 同時には1つしか買えないものだったのですが,翌日に在庫があるなら買えるかも知れません。前回はたまたま運が悪くてハズレを引きましたが,今度は当たりが出るかも知れません。

 ああ,完全にガチャで破滅する人の心理になってます。

 しかし,彼らと同じく,欲望にはあらがえず,気が付いたら注文を終えて多幸感に満ちておりました。

 翌々日に届いた2つ目のランダムボックスですが,基本的には微妙。しかし,幾分ましになっていました。やはり前回のものはどん底だったみたいです。


・M62X42B RTC
 なにやら見慣れないICだなと思って調べてみると,沖電気のRTCでした,そういえば沖電気もRTCの国産主力メーカーだったよなあ(他にはNECとリコーですかね)と懐かしそうに目を細めて眺めてしまいました。
 水晶発振子も内蔵していて,使い勝手は悪くありません。これを採用した機器を全く知らなかったので少し調べてみると,なんとシステムSSV(なんとCPUがV60で,サウンドチップがエンソニックのES5506)というアーケードゲームのシステム基板のRTCとして使われてました。補修部品として欲しい人には刺さるかも。
 さらに今回はAランク品ということで,誤差が10ppmのものでした。普通に時計として優秀です。

・LH5116-10 x3
 1回目と同じ2k x8ビットのSRAMです。いらんいらん。

・Z80A-CTC
 Z80ファミリのCTCです。1回目と同じシャープ製。

・TC4584BP
 東芝のCMOSでシュミットインバータです。これ,なにげによく使うICなのでちょっとうれしいです。

・TC4017BP
 同じく東芝のCMOSで10進カウンタとして有名です。これ1つで10個のLEDを順次点灯できるので,小型の電子ルーレットや電子サイコロでは定番でした。上記の4584は1ゲートで発振回路が作れるので,クロックと効果音の発振に使い,4017でLEDをグルグル回すという感じです。

・GAL16V8B
 1回目と同じGALです。

・EXO3 8K 12.000MHz x2
 キンセキの水晶発振器です。分周器を内蔵していて,1/2から1/256まで選択可能です。12MHzなのでなにかと使い道があるかも知れません。

・LT1384ACN x4
 お,リニアのICやんけ,と色めきだったのですが,調べてみるとMAX232と同じようなRS232Cドライバでした。少し前にAppleIIのSuperSerialCardを自作していた時に手に入っていれば,と悔やまれます。120kbpsに対応,0.1uFでチャージポンプが動作するという,この手の製品では高性能なものです。

・LTC485
 これもリニアです。期待したのですが,名前の通りRS485(RS422)のドライバでした。おもしろそうですが,1個では実験も出来ませんし・・・


・FCZコイル 7mm 7MHz x3
 今回一番うれしかったものの1つが,大久保OMが作り出した偉大なコイル,FCZコイルです。アマチュアが無線機器を自作すると,その再現性はコイルによって左右されがちです。コイルは伝統的に標準品がなく,AMラジオ用のIFTでさえ細かいスペックはもちろん,巻線の方法も異なった物が売られています。
 標準品がない故にコイルも自作されることが多いのですが,これもまた安定性や再現性を損ないますし,結局のところ無線機器の性能はコイルが握っていますので,とかく当時のアマチュアの作ったものはコイルに振り回されていたのです。
 これでは自作文化が育たないと大久保OMがFCZ研究所を立ち上げてご用意されたのが,高性能なアマチュア無線向けのコイル,FCZコイルです。
 周波数帯ごとに用意されたコイルは基本性能も高い上安定性や再現性もよく,誰が作っても一定の性能が出る魔法のコイルでした。といっても入手は通販か秋葉原に限られていて,私が子ども時代を過ごした大阪では入手出来ないものでした。
 しばらくすると大阪でも帰るようになりましたが,そうこうしているうちにFCZコイルも製造中止。互換品も出回りましたが一部は巻き方が異なるなど全く同じものとは言えなかったりと,またもアマチュアはコイル難民になるかと思われました。
 現在は一部のパーツ屋さんが互換品を作って販売しているようです。
 今回入手したFCZコイルは,FCZのスタンプがあるのでオリジナルだろうと思いますが,1つ200円以上したはずなので,3個入っていればすでに元は取っています。

・FCZコイル 7mm 144M x4
 これもFCZコイルで,144MHzのものです。144MHz用のFCZコイルも,初歩のラジオの自作記事でよく見ました。私は結局アマチュア無線は全くやらなかったのでFCZコイルを買うことはなかったのですが,こうして手にしてみると,もっといろいろやっておいても良かったかなと思います。

・2N2905A
 モトローラ製のCANタイプのトランジスタで,なにやら特殊っぽい感じがしたので期待しましたが,60V600mAでfTが200MHzという,普通のスイッチングトランジスタでした。

・78L06 x10
 これも1回目のものと同じです。そんなに78L06ばっかりあっても仕方がないんだけどなあ。

・2SA733
 NEC製の汎用PNPトランジスタの定番品で,2SC945のコンプリペア,2SA1015なんかと同等のものです。NECが半導体から撤退して久しく,当時の勢いを知る人も少なくなる昨今,オリジナルの2SA733で未使用品もなかなかお目にかかることがありません。

・クリスタルイヤホン
 厳密にはセラミックイヤホンではないかと思うのですが,ゲルマラジオでは必須となる,クリスタルイヤホンです。ダイナミックイヤホンやマグネチックイヤホンでは全く代替できないイヤホンですから,貴重と言えば貴重でしょう。
 とはいえ,今でも普通に(それこそamazonでも)買えますし,珍しい物でもないんですが,お値段は500円と結構高価だったりします。

・超小型サーボ EK2-0500
 とても小さいサーボです。これ,なんか見覚えがあるなあと思っていたら,2年前に購入出来たランダムボックスにも同じ物が入っていました。やったー,これで2つ揃った!
 

・その他
 DIPスイッチを含むいくつかのスイッチ,懐かしのロッドアンテナ,電池ボックス,お約束の訳のわからん基板,リードタイプのLEDに抵抗にコンデンサにノイズフィルタと思われるトロイダルコイルが入っていました。


 ということで,2つ目については十分元を取ったでしょう。FCZコイルは今手に入らない物ということで貴重品でしょうし,RTCも入手の難しそうなものです。

 もし2つ目も1つ目と同じくらいのハズレだったら,もうランダムボックスは買わないつもりでした。2つ目もかつての面白さに比べたら全然ですが,このレベルならまた買おうという気がしています。

 すぐに売り切れなかったことも不思議ですが,今回はなんと蔵出しセールの200回記念だったみたいです。前回買ったのが100回記念(2023年7月)だったので,あれからもう2年かあと,あらためて時間の流れの速さを感じたのでした。

 

WiFi7に入れ換えました

  • 2025/07/11 10:48
  • カテゴリー:散財

 大した話ではないのですが,課題だった自宅のWiFiの環境を更新しました。

 うちのWiFIはずっとApple純正で来ていて,初代AIrMacExpressで802.11g,次のAIrMacExpressで802.11nを導入してから,2012年に真打ちAirMacExtreme(ME918J/A)で802.11acに移行しました。

 AirMacExtremeはさすがに良く出来ていて,802.11acのポテンシャルを十分に発揮してくれました。電波も良く届きますし,おかげでリンク速度も高速でした。その割には19800円と安価で,良い買い物だったと思います。

 光回線に移行してからもWiFiは変更しないできたのですが,数年前から不安定な動作で再起動が必要になることも増えてきましたので,折を見て機材の更新をしないとと思っていたのです。

 すでにAppleはWiFi機器から撤退していますので,残念ながらApple純正は諦めなくてはいけなくなりましたが,相性の問題や性能差がメーカーによって出にくくなっている現状では価格で選ばれるわけで,そうなるとApple製品を選ぶ理由もないかなと思います。

 うちは光電話も使っているので,残念ながらルーターはレンタルされた専用品しか使えません。ですのでWiFiもルーターではなくアクセスポイントを設置することになります。

 加えてうちは,宅内のLANが1Gbpsです。10年前なら十分だったんですが,今となっては外部の回線とトントンですので,全然高速ではありません。

 ということで,かつてAirMaxEztremeを導入する時とは熱量が違っていて,今回は故障する前に予防的にリプレースするということ,新しいWiFi規格に対応することで上手くいけば離れた部屋でもリンク速度が上がったりしないかな,という程度の期待しかありません。

 当然価格も安い物を狙って行くことになるわけで,今回amazonのセールで見つけたのがバッファローのWSR3600BE4P/NWHでした。9330円。安い。

 最新のWiFi7(802.11be)に対応,でも6GHzには未対応です。

 5GHzも2.4GHzも2ストリームで,最大リンク速度は5GHzは2882Mbps,2.4GHzは688Mbpsです。この段階ですでにAirMacExtremeを越えているんですが,面白い事に5GHzについてはアンテナが2ストリームなのに3つ内蔵されているので,感度の高いものを選んで2つを切り替えて使えます。これは地味にありがたい。

 有線LANも1Gbpsと今どき控えめですが,うちは1Gbps以上のLANは使っていないのでこれも問題なしです。どちらかというとWPA3に対応していたり,消費電力が下がったり,当たり前ですが801.11axに対応していることが私にはメリットです。いざというときにはメッシュも使えます。

 それで1万円を切るんですから,この円安でよくやるなあと感心します。

 とはいえ,ただただ安いだけならTP-Linkなんかも選択肢に入るわけですが,以前TP-LinkのRE330を買った時,設定上の制約が強くてやりたいことが出来ず,ゴミになったことがありました。何時間もトライして結局仕様上出来ないとわかった時の脱力感・・・TP-linkは二度と買わないと神に誓いました。

 その後同じ目的でバッファロー製のものを買い直したところ,サクッと出来てしまい,本当に拍子抜けしました。その時の仕様上の制約の少なさと設定のまとまりの良さに感心し,バッファローを見直したのです。

 それで今回,仕様的にうちにぴったりで,デザインもスッキリ,色も白が選べて小さく軽く,それでいて安いこの機種にしたのです。

 昨日届いたのでさっと置き換えを作業を行いました。

 やるべきことは簡単ですが,何度も必要な再起動に時間がかかること,一度トラブルが出ると原因不明で何時間もかかることで,この手の作業は時間が読めません。

 で,結論から言うと30分ほどで置き換えが終わりました。トラブルもなく,実にスムーズです。

 最初に本体のアドレスをローカルのネットワークに合わせて再設定。実はTP-Linkなんかだとこの作業が面倒なのです。

 専用のツールで簡単に変更出来たら,あとはうちのネットワークにぶら下げて設定を進めます。SSIDを2.4GHzと5HGzで引き継ぎ,共用のSSID2には新しいSSIDを設定して,これをMLOとWPA3で使えるようにしておきます。うちはまだWiFi7に対応したクライアントがありませんので,MLOの恩恵は受けられませんが,5GHzと2.4GHzをSSIDで区別しないで済むと言うのも,電波がギリギリ届くような部屋ではいちいち切り替えなくてもいいので便利でしょう。

 設置まで終わって運用に入ったのですが,MacBookAir2020では802.11axらしく近距離でのリンク速度1200Mbpsで繋がっています。少し離れたくらいでも十分な速度を維持ししているので頼もしいです。

 これまで電波が弱くなってしまった部屋があるのですが,電波の質そのものはあまり改善されないようです。しかし,リンク速度はそれまで80Mbpsを切っていた以前に比べて200Mbps近くで動く事も多いようなので,体感速度は十分にアップしていると思います。

 そうそう,設置についてです。WSR3600BE4Pは壁に取り付けられます。最初は壁が黒ずむのが嫌で置くだけにしようと思っていたのですがLANのコネクタのある足下の壁にくっつけると通信の安定性も良いことがわかり,壁に取り付けて見ました。

 そうすると邪魔にならず,スッキリとして良い感じです。いがぐりのようにアンテナがピンピンと出ている訳でもなく,無骨な黒色だったりLEDがやたらとビカビカ点灯していたりするのではなく,プレーンなデザインなので気に入りました。

 ということで,12年使ったAirMacExtremeにお別れです。思えばうちのWiFiに最新の802.11acを提供し,その後急増したWiFi機器と通信量を良く捌いてくれました。

 設定がWEBベースではなく専用アプリであることも先々不安でしたし,それなりの高温になる本体から,内部の部品(電解コンデンサですね)の寿命も心配でした。かといって何万円もお金は出せないなあと思っていたので,今回の買い物は正解だったと思います。

 劇的な速度の改善を期待して買ったわけではないのでこれまでと何も変わらないように思うのですが,普段通りに使えていることこそ実は価値あることで,特に初心者でも十分に設定が出来る簡便さと,上級者の期待にも応える設定の細かさを両立するのは,どれも同じように見えるWiFi機器において,バッファローのノウハウなんだろうと思いました。

 まだまだ日本には良いメーカーがあるものです。

 

専属ボーカリストがやってきた

 中学生の娘がいわゆるボカロ曲にはまっており,その関係でこれまで遠巻きに見ているだけで積極的にかかわらなかった,ボーカロイドを真面目に勉強してみることにしました。

 今年の3月頃に始め,ひととおり理解出来たことから,娘が欲しがっていた初音ミク(V4X)のスターターキットを購入し,私自身はいろいろな評価版を使って,最終的に購入するものを選ぶ事にしました。

 ところがその後忙しく,まともな評価が出来ないまま評価期間が終了,結局初音ミクとは縁のない生活に戻ったのでした。

 しかし,その評価版を使って途中まで作っていた楽曲が気になり,とにもかくにも最後まで完成させてしまおうと思い立ち,同時に購入する歌声合成ソフトを選定することにしました。

 最終的に選んだのは,その歌声のあまりの自然さに度肝を抜かれたSynthesizerVでした。

 正直な話,製品名があまりに普通過ぎる上にボーカルを連想できないものである上に,あまり耳にしないソフトであること,そして価格が安いこと,代理店がよくわからんところであることで,俎上に登ってはいませんでした。

 しかし,実際にデモをきいてみると,これがまあすごいこと。

 いわゆるベタ打ちで,もう人と区別出来ないほどの歌声をあっという間に生成します。いわゆるコブシであるとか,ビブラートの深さや時間的変化も自然で,正直ここまで歌える人間もそう多くはないと思いました。(私は無理です)

 しかも,高温でケロケロとした不自然な声になることもなく,また低音で音質が激しく劣化することもなく,本当に上手いボーカリストを一人雇った感覚です。しかも,彼女への指示は感覚的なものでよく,専門的,具体的である必要はありません。当然自分で歌ってみる必要もありません。なんだかとっても偉いプロデューサー大先生様になった気分です。

 きけば,AIを使って調声を自動で行うらしく,なるほどその歌い方が今どきのものだとわかります。これは1980年代の曲を打ち込んでみるとよく分かり,そのせいで曲全体がぐっとモダンに聞こえるようになります。

 価格は3つのデータベース(声のデータ)から1つを選ぶ権利がついて15000円ほど。もう1本選ぶセットで2万円ちょっとで,この魔法のようなソフトが手に入ります。今どきサブスクリプションでないのがまたうれしいじゃないですか。

 評価版を使ってその表現力と手軽さに衝撃を受けた私は,モチベーションが下がらないうちに2本選べるパックを購入,早速インストールをして,1曲仕上げることにしました。選んだ歌声データベースは,日本語音声の標準であるMai2です。

 とはいえ,最初から欲張るとろくなことがありません。

 もともと,初音ミクの評価では,20年ほど前に打ち込んだある曲のMIDIデータをDigitalPerformerに吸い込み,これをほぼ修正せずソフトシンセででっち上げます。

 で,これにボーカルをのせるということを行ったのですが,メロディラインだけはボーカル用に打ち込み治す必要があって,リアルタイムで打ち込んだものに修正を重ねて,初音ミクに歌わせたのです。

 しかし,PiaproEditorのあまりの作業性の悪さに心が折れてしまい,未完成に終わりました。今回のSynthesizerVでは,この作業を仕切り直すことにしたというわけです。

 さて,そのSynthesizerVをさくっと紹介します。もともと中国のある青年が,たった一人で作り上げたと言われる歌声合成ソフトで,大企業の優秀な技術者がよってたかって作ったものとは違います。

 事業化にあたって選んだ場所は日本。どういう事情かわかりませんが,どんな理由にせよ歌声合成なら日本だ,と言う心意気がうれしいじゃないですか。

 中国生まれのソフトらしく,マイナーバージョンアップなのに「全面書き直し」とか,しれっとすごい機能が追加されたり,MacでいえばAppleSiliconに素早く対応したりと,その機動力の高さにワクワクが止まりません。未だにインテルコードのPiaproは恥を知るべきです。

 方向性としては,細かい調声をせずとも自然な歌声になるという全自動ソフトです。手間もかかるし知識も技術も根気も必要な調声を自動化することは,歌声合成の敷居を下げるでしょうし,1分1秒が惜しいプロにとっても,作業時間を短縮することに繋がりますから,とてもありがたいのではないかと思います。

 そしてAIによる「今どき」の歌い方を即座に反映してくれます。おそらくですが,このフレーズなら,この音符の動きなら,この歌詞なら,という組み合わせをもつデータベースをもち,これに従った調声を自動的に行ってくれます。だから1980年代の音楽が今どきの歌い方になるんですね。

 ほら,ChatGPTでもそうですけど,こういう答えが欲しい時にはこういう聴き方をしなきゃ,というのがあるじゃないですか。プロンプトというのですが,SynthesizerVにおいても同じで,こういう歌い方をして欲しいなと思う時には,その歌い方をしてくれるようにデータを用意するのです。思い通りにならないときは手動で調声するわけですが,そういうことをすると返って不自然になるので,SynthesizerVを使うからには,出来るだけ自動で処理するのが正しい様に思います。

 ソフトウェアとしての出来具合もよく,繰り返しますがAppleSiliconにネイティブ対応しているので,ホストとなるDAWもRosetta2の世話になる必要がありません。ちょっとでもCPUパワーが欲しいDAWにおいて,AppleSiliconで動くことは,非常に大きなメリットです。

 データベースの容量もそれほど大きい訳ではありませんし,動作もそれほど重くはありません。安定して動いていますし,エディタの動作も軽いです。つまり,ソフトとして良く出来ているという事です。Piaproは(以下略)

 さて,このSynthesizerVを動かすDAWは,DigitalPerformer11です。

 もともとPerformerはVer4のころから愛用していた古参ユーザーですが,以前ここにも書いたように,私の使用歴はVer6.03で止まっています。その後打ち込みをする時間もなくなり,MIDIシーケンスソフトを使うことは激減,そのうちMacもOSXの時代になるにいたりPerformerも起動しなくなり,長く放置していました。

 コロナ禍に入った2020年に,ふとDP10が半額で手に入ることを知って一念発起,晴れてPerformerに復帰したのはいいものの,まるで人工冬眠から目覚めた前世紀の旧人類のゴトク新しい環境に始めず,数回使っただけで挫折,AppleSilicon搭載マシンに乗り換えてからは,すっかり興味を失い,私の心の傷になったのでした。

 2022年,DP11にアップグレードすることでめでたくAppleSiliconにも対応したのですが,それでもなかなか時間が取れず,結果として全く使いこなせない状態が続いていました。

 なので,今回の目標はSynthesizerVを使ってみることと,DP11を使って1曲仕上げることにしました。MIDIシーケンサー以外の機能について全く無知な私は,つまりDigitalPerformerの超初心者です。自分なりのワークフローを作り,自分のやりたいことがひととおり出来るようになることを,まずは目標にしないといけません。

 ある土曜日,朝10時頃から夕方16時頃までかかって,問題だった曲を1つ仕上げることができました。実は細かい修正は翌日の午前中まで散発的に続いたのですが,通しで聴く事の出来る状態になったことはめでたいことです。

 やってみて分かった事ですが,SynthesizerVはすごいソフトでした。嫁さんにも聞いてもらったのですが,ぱっと聞いただけではもはや人がやってると言っても通ります。

 発音がおかしいところも修正出来ますし,不自然な歌い方をする部分もデータの修正で自然な物になってくれます。私がやって欲しい歌い方よりももっと良い歌い方を提案してくれることもあって,まるで本物のボーカリストと対話しながら音楽を作っているような楽しさです。時間を気にすることもなく,他の関係者を拘束するこに気を遣うこともなく,リテイクに疲れて声が変わってしまうこともなく,もう自分のやりたい放題です。

 DP11もかなり自分の道具になってきた気がします。何が出来るかわからない,そんな機能があるのかどうか不明だ,という絶望的な状況から,これをやるにはどうすればいいのか,と言う状況になってきただけでも随分進歩したなと思いますが,ここからが本当に面白い世界ですので,続けて行くことが大切かなと思います。

 それにしても,DP10から付属するソフトシンセの出来がよく,とても無料でついてくるものだとは思えません。コンサートグランドピアノなどは表現力も豊かで,ついつい時間を忘れて演奏しています。ストリングスもよくまとまっていて使いやすく,リアルタイムで演奏しても適度にリアルで適度にウソっぽい感じが,ポピュラーにはうってつけです。

 アコースティックギターもなかなかいいです。12弦ギターはとても綺麗で,楽器が少ないアンサンブルでは良く馴染みます。残念なのは変に左右に音が飛ぶので,出来ればモノラルでならして,浅いディレイとちょっと深めのリバーブをかけたいなあと思いました。

 次のテーマは,もう1本選ぶ事の出来るSynthesizerVの歌声データベースを何にするか決めること,そして英語の歌詞を歌わせること,オケを今持っている機材にあわせて新たにゼロから作る事,ソフトシンセとハードシンセを両方使って作る事,です。

 ここまで出来れば,あとはいつでも自分の頭の中に鳴っている音を具現化できます。オリジナルを作るのは,アイデアをスケッチできるようになってからのお楽しみです。

電ドラボールプラスで楽をしよう

 少し前から人気商品となっているのが,電動ドライバーです。昔からある電気ドリルのようなピストル型ではなく,またペン型と呼ばれている筒状の物でもなく,見た目は普通のボールグリップのドライバーのくせに,なんと電動という優れものです。

 これ,従来型の電動ドライバーが進化してそのままの性能で小さくなったもの,といううまい話ではなく,従来のボールグリップのドライバーと同じ大きさになる程度の低出力のモーターと小型バッテリーを使うことで,基本は手動の工具である「ハンドツール」としながら,トルクが必要とされない早回し作業の効率化を目指しています。

 言い換えると,人間の力よりも大きな力を持つ「パワーツール」を出発点に小型化したものではなく,ハンドツールに小型のモーターとバッテリーを持たせて,その範囲で可能になることで省力化するというものでしょう。

 考えてみると,途中のクルクル回す作業は私もドライバーの軸をつまんで高速で回転させ,グリップをはずみ車として慣性を使って,楽をしながら高速でネジを回していました。この作業を電動で行おうという話だということです。

 このあたりの商品コンセプトは,メーカーのカタログには書かれていたりするのですが,もはや当たり前過ぎるのか,私が見た限り明確に書かれた記事やレビューを見ることがなく,実のところ私は買って使ってみるまでどういう商品なのか,わからずにいたのです。

 せっかく電動なのに最初と最後は手で回すってなんじゃそりゃとか,こんな小さなトルクで意味あんのかとか,クラッチがないとネジをなめてしまうがなとか,どうもイメージが沸かずに毎回「まあいいか」と買わずにいました。

 ここが一番重要なのですが,電動であることは強い力で回すことではなく,速く回すことにあるというわけです。確かにネジを回すときには,最初と最後は注意をして回しますが,途中はクルクルと力のいらない単純な作業になることが多いですよね。

 ここを省力化するのが,どうも流行っている電動ドライバーの狙いみたいです。だから最初と最後は手で回しますし,トルクが小さくても良いし,クラッチも必要ないわけです。その代わり,手で回す作業に違和感がないようなグリップの形状と大きさを実現しています。

 加えて,私自身がプロの間では標準となっているボールグリップが苦手で,長年使い続けているベッセルのクリスタラインの方が締め具合も早回しも勝手がわかっているので安心だったというのもありました。

 ただ,先日洗濯機を分解して掃除することになり,あのたくさんのネジを手で緩めるのは大変だなあと思った時に,ふと思い出して買って見る事にしたわけです。

 いざ買うとなるとどれを買うか,と言う話になるのですが,プロも使うベッセルとパナソニック,そしてそれ以外に価格帯で分かれていそうです。でも,こういう道具はしっかりした物を買いたいところで,ベッセルかパナソニックで迷いました。

 この分野の先駆者はハンドツールの老舗ベッセルのようで,発売時には品切れで入手が難しかったらしいです。今は二世代目になっていて,3段変速が可能です。

 ブレーキ付きで一気に人気が出たのが後発のパナソニック。さすが電動工具のメーカーだけによく分かってるなぁと思いますが,価格もちょっと高いですし,変速機能もないので今回はパス。

 ということで,お気に入りのブランドであるベッセルの「電ドラボールプラス220USB-P1」を買うことにしました。

 うーん,私に使いこなせるか。

 届いた電ドラボールは,思った以上に小さく軽く,心配していたグリップの握り心地も良いです。さすがにプロが選ぶ形状だなあと思いました。

 変速は3段階ですが,ボタンの長押しで切り替えです。切り替わった時にはLEDの表示が変わり,また回転させると照明用のLEDと同時にモード表示のLEDも点灯するのですが,回転させる前はどのモードかわかりませんので,軽く回してモードの確認をしてみるのが良さそうです。

 スイッチはスライドスイッチになっていて,ビット側にスライドすれば正転,グリップ側にスライドすれば逆転です。これ,最初は戸惑うだろうなと思いましたが,ネジが進む向きをイメージすればなんと言うことはなく,10分もすれば慣れてしまいました。

 先程も書いたLEDの照明ですが,私自身普段困った事がないので期待していませんでした。しかし,実際に使ってみるとなかなか便利で,作業性がアップします。

 トルクが小さいというレビューも見ますが,もともとそういうコンセプトの商品なのでそこは文句の言いっこなしです。個人的にはちょうどいいところで止まる感じで,そこからの本締めは手で行うのにちょうどいい塩梅だと思います。

 3段階のうち私は一番低速度の物を使っています。長いビスなどは高速で使う方が楽なんだろうと思いますが,ブレーキがないので早めにスイッチを切らないと,手が持って行かれます。

 ブレーキがあるとこういう気の遣い方をしなくても作業に没頭できるわけで,やっぱりブレーキはあった方がいいみたいです。

 回転が完全に止まるとロックがかかるので,グリップとビットが直結した感じになり,手で締めることができます。とはいえ,内部でグリップに繋がっているわけではなく,遊星ギアを介して繋がっている状態ですから,あまり力をかけると壊れます。ラフな遣い方をするとまずいので,このあたりは慎重に厚かった方がいいと思います。

 特筆すべきはビットの精度の良さです。メッキや塗装がないせいもありますが,M3のビスががっちり食いついて,下を向けても落ちないくらいです。グラグラすることもなく,まるで吸い付いているような一体感があり,実に気持ちがいいです。

 同じベッセルでも私のクリスタラインはここまで食いつきませんので,これだけでも価値があると思いました。

 また,強めの磁石が埋め込まれているそうで,手が入らない場所のネジ締めでも,ネジを一度も落とす事なく作業できました。こういう,ドライバーとしての基本がしっかりしているのは,さすがにベッセルです。

 さて,実際の作業に入ると,これがもう快適で快適で,これ無しには戻れません。手で回すのも握りやすく力が適度にかかり,スイッチを直感的にスライドすれば意のままに高速でネジを回すことが出来ます。無理せずとも,自然に電動と手動を使い分けるようになっていました。

 とはいうものの,前述のようにブレーキがないことにはちょっと戸惑うところがあり,手首をぐいっと持って行かれますし,そのせいでネジを押し込む力が緩くなってしまいがちでした。しっかり持つと手首かドライバーの内部か,はたまたネジ自身を傷めてしまいますから,やっぱりブレーキは欲しいです。

 気になった点もあります。ます充電要のUSB-TypeCです。TypeCは便利なので好意的な感想が目に付きますが,私自身は微妙かなと思っています。確かに便利ですが,安全性という点で私は疑問を感じています。

 先日,パナソニックがシェーバーをリコールしましたが,これはコネクタ部に水が入り込み,端子をショートさせたことで発煙発火に至ったものでした。Type-Cは端子の間隔が狭く,電源とGNDがショートしやすい構造になっています。実はこの手の事故は最近増えていて,各メーカーは密かに対策を打っているんですよね。

 ただ,こういう話って公知の物はないようですし,またUSB規格に規定された物でもありませんから,事故が起きて初めて気が付くようなものだと思います。

 で,この電ドラボールプラスはゴムのキャップが着いているとは言え,グリップのてっぺんにコネクタがあります。ここから水が入り込むことはどうやっても防げそうになく,濡れている状態で準電を始めれば,かなりまずいことになるんじゃないかと思います。(怖くて試してはいませんが)

 あと,こういう工具は自動車に積んだままと言うケースもあると思いますが,高温になる車内で電池の安全性はどれくらい担保されているもんなんでしょうか。私は自動車に乗せることはありませんが,真夏の炎天下で使うことはあると思いますので,心配にはなります。

 それから,ビットを交換出来るドライバーには無理もないことなのですが,ビットのぐらつきが気になります。ベッセルは嵌合部にゴムリングを持つビットも用意していて,これだとグラグラしません。ナイスアイデアだと思うのですが,これに交換するのもいいかもしれません。

 さて,私はもう1つ便利な遣い方をしています。電動ピンバイスです。ピンバイスは1mm以下の穴をドリルを折らないように慎重に丁寧に開けるための手動工具ですが,1つや2つの穴開けなどのちょっとした作業で,いちいち電動ドリルやボール盤を用意するのが面倒くさすぎて,3mm程度の穴もピンバイスで開けることが多いです。

 でも,さすがに1mmくらいのアルミ板に3mmの穴を開けるのは大変で,ハンドドリルが欲しくなるところでした。でも,ハンドドリルって結構大きくて,収納も面倒なんです。それに収納するなら電動ドリルを出してくればいいわけですし。

 そこでこの電ドラボールです。固い金属は無理ですが,アクリル板や1mm程度のアルミなど,そこそこの作業がこれで解決するでしょう。私は3.2mmをよく使うので,このサイズのビットを用意しました。例えば基板に固定用の穴を追加で開けるときなど,穴を開けてその場でネジ締めまで出来てしまう便利さです。

 もともと手動で開けていた穴ですから,電ドラボールのトルクで十分ですし,それ以上の重たい作業は本気で電気ドリルを出してこないいけないシーンでしょう。

 ということで,大幅に作業効率をアップするこの新しい工具。小型モーターとリチウムイオン電池がこのサイズで実用的な工具を実現してくれました。パワーツールが小型化しハンドツールサイズになったものではなく,ハンドツールがサイズを変えない範囲で電動化したというのが「その手があったか」と思わせる便利商品に繋がったわけですが,すでにこのジャンルが確立し,開発競争が始まっていることを考えると,まだまだ数年は進化した新製品の登場に目が離せない状態が続きそうです。

 

 

REALFORCE RC1にスペーサーを試してみる

 キーボードを探す旅に終止符を打った,REALFORCE RC1。私が選んだのは荷重30gのUS配列で,確かに現時点で最高のキーボードであることは間違いないのですが,しばらく使っていると不満も出てくるようになってきます。

 暗い所ではキートップの印字が見にくいとか,黒っぽい配色がちょっと気に入らないとか,スペースキーがグラグラするとか,DELETEキーが遠いとか,まあいろいろあるのですが,中でもストロークと音の関係は実に難しいと感じていました。

 REALFORCE RC1のストロークは4mmと,標準的というか古典的なストロークです。スコスコと入力出来る気持ちよさが売りのREALFORCEにとって,ストロークが深いことは欠点と言い切れないものがありますが,それでも底打ちの時に独特の音がすることは避けられませんし,好みの問題としてストロークが浅い方が好きな人もいると思います。

 私はストロークの浅い方が好きな人なのですが,それはきっと,底打ちがあるまでキーを叩き込む人だからで,寸止めできる人ならきっと問題にはしないんじゃないかと思います。

 そんなおり,amazonで見つけたのがキースペーサーでした。純正品ですので当然以前から存在は知っていましたが,メーカーが「これだ」と思って作ったキーにスペーサーを入れるというのもなんか違う気がしたので,見送っていました。

 しかし,2mmと3mmが同梱されていて(おかげで2000円と高価なのですが),レビューを見ると概ね高評価のようです。好みの問題なので高評価そのものをあてには出来ないのですが,悪い評判がないということも私の背中を押すのに十分でした。

 ということで届いたスペーサーですが,いわゆるポロンと言う樹脂で出来たシートに穴を開け,裏側にPETで裏打ちしてあるものが2mm厚と3mm厚の2枚入っているものでした。1枚1000円です。やっぱり高いという印象は拭えません。

 早速取り付けてみるわけですが,最初に悩むのは2mmにするか3mmにするか,です。キートップを外し,まずは2mmから試しますが,あれ?こんなもん?と思うような,差の少なさに拍子抜けしました。

 底打ち感はあまり変わらず,音も以前とそんなに変わりません。これだったら効果のわかりやすさで3mmだなと,3mmに交換してキートップを取り付けます。専用のソフトでスペーサを設定して,準備OK。

 早速試し打ちですが,ミスタイプを連発。それもそのはず,APCの設定が2.2mmのままでした。

 3mmのスペーサをを取り付けると,ストロークは2mmになるそうです。押したと判定されるストロークであるAPCの設定がが2.2mmなら,そりゃミスタイプが連発するのも当然です。

 あわてて1.5mmに再設定して試すのですが,思ったように浅いストロークは高速タイピングに向いています。音も静かになりましたし,RETURNキーやSHIFT,CTRLキーの安定感も良くなっています。特にスペースキーは良くなっていて,グラグラすることも変な音がすることもなくなりました。

 しかし,使い始めると欠点が浮かび上がってきます。ストロークが浅いのは結構ですが,底打ちの時にふにゃっとしたキレの悪さがあります。また,APCが1.5mmであることも影響しているみたいで,私のようなしっかりタイピングする人にはどうにも違和感が残ってしまいます。

 ふにゃっとした感じがどうにも許せなくなってしまい,もう一度キートップを外して2mmのスペーサーに交換してみました。APCは2.2mmに戻します。

 確かにストロークは深くなり,スコスコとしたREALFORCEの感触が戻ってきました。底打ちの時のふにゃっとした感じはかなり改善されていますが僅かに残っていて,これはスペーサーを使う限りはやむを得ないと諦めることにしました。

 ただ,スペースキーやRETURNキーの安定感は2mmでも大幅に改善されています。このレベルなら不満はありません。スペースキーは本当に良くなったと思います。

 ここでAPCを1.5mmにしてみました。もともと,小指でRETURNキーを押した時にうっかり他にキーに触れてしまうことがあったため,そのキーが入力されてしまわないようにAPCを2.2mmにしていたのですが,ストロークが浅くなったのだからこれも1,5mmにしてみようと思ったわけです。

 結果ですが,これでさらに快適になりました。理屈で言えば,スペーサーによってストロークが4mmから3mmに変わっても,APCが1.5mmでミスタイプがあった状況が変わるはずがないのですが,これは私自身がREALFORCE RC1に慣れたという事かも知れません。

 ということで,REALFORCE RC1の我慢の1つであったストロークについては,1mm減らして3mmにすることで解決しました。特にスペースキーやRETURN,BSキーの安定感も向上しているので,ますますタイピングそのものに意識を持って行かれなくなりました。

 難点を言えば,ファンクションキーやDELETEキーなどの最上段にはスペーサーが入らないことでしょう。あまり使わないキーとは言え,2000円もしてすべてのキーをカバーしないスペーサーというのもどうか思います。

 1キーのシートを2つ,4キーのシートを3つ入れてくれれば済む話で,しかもこれは日本語版も英語版も共通ですから,そんなにお金はかからないはずです。

 最近,REALFORCE RC1用の白いキートップが新たに販売されるようになりましたが,これも結構高価ですし,装飾キーは別売りになっているなど,どうもREALFORCEはあれこれを買わせたいみたいな感じがします。同じ高級キーボードの部類に入るHHKBでは交換用のキートップはそんなに高価ではありませんでしたし,装飾キーを含めたすべてのキートップが入っていました。

 考え方も違いますのでHHKBと比較するのはナンセンスですし,そもそも高級なキーボードを使うのにせこい話も無粋だとは思いますが,お金の問題と言うよりもあれこれ試して使わなくなった物が手元に残るのに抵抗があります。

 キーボードのように,100人いたら100人とも違う物を好む製品で,最初から完璧な物を期待するのは無理だとわかっています。むしろカスタマイズ用のニッチな商品を用意してくれることがユーザーに手厚いといえるわけで,その点では東プレは立派だと思います。しかし,もうちょっと手軽に試せたらなあと思いました。

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