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カテゴリー「散財」の検索結果は以下のとおりです。

入射光式の露出計を買う

  • 2008/06/02 15:54
  • カテゴリー:散財

 少し前の話になるのですが,入射式の露出計を買いました。GOSSENのデジシックスというものです。少し前にとあるWEBサイトでも紹介されていたので,ご存じの方も多いでしょう。

 露出計は言うまでもなく,露出を測定する道具です。フィルムへの露光量は一定ですので,周りの明るさに合わせて,シャッター速度や絞りを適切に調整しないと写真は撮影できません。

 その露出計にも,2つの種類があります。入射光式と反射式です。

 反射式はカメラに内蔵されている露出計がその代表格ですね。被写体に当たって反射した光の強さを測定するもなのですが,写真というのは反射した光を写し取っているのですから,これが一番理屈に合っているように思えます。

 一方の入射光式というのは,被写体に届く光の強さを測定するものです。

 それぞれに一長一短があるのはお約束です。反射式は,被写体から距離が離れていても測定が出来ます。もし一眼レフに内蔵されたものなら,レンズや絞りを通過した光を測定しますから,それらを含んだ形での測定が可能です。

 入射光式は,被写体に入り込む光を測定するのですから,被写体のそばまで行かなければ測定できません。数メートルならいいですが,望遠レンズを使った撮影などはどう考えてもお手上げです。

 それでも入射光式が不可欠な露出計として存在するには理由があって,それは被写体の色に左右されない,のです。

 反射型の露出計は,被写体に当たった光の反射光を測定します。被写体が白い場合には反射光は強くなりますから,露出計は実際よりも明るいという指示を出します。

 露出が自動のカメラの場合,本当はもっと暗いはずなのに明るいと判断され,実際よりも暗めの露出となります。いわゆるアンダーになるわけですね。

 被写体が黒い場合にはこの逆で,実際よりも暗いと判断されてしまい,露出がオーバーになるのです。

 反射型露出計の場合,反射率18%のグレーの時に適性露出になるよう調整がなされています。グレーカードなるものが売られていますが,あれがその18%のグレーです。

 こういう事がありますから,被写体の反射率を考えつつ,露出の補正を行ってあげないといけないわけですね。これが初心者が失敗写真を量産する最大の理由になっていた時代もあり,今でも必ず「露出補正」は初心者脱出の必修科目になっているのです。

 ところが入射光式の場合には,こうしたことが起きません。当たり前ですね,反射する光を測定するのではなく,差し込む光の量を測定するのですから,被写体の反射率などには一切関係がありません。

 その上,被写体の真そばで測定しますから,背景の明るさ(逆光やら影やら)にも引っ張られません。これが今でも入射光式の単体露出計が活躍できる理由です。

 ということはですね,18%の反射率のグレーカードを被写体とした場合,両者の示す値は全く同じになるはずだという事です。


 前置きが長くなりましたが,入射光式の露出計はそれなりに高価です。理由はよく分かりませんが,やっぱり数が出ないことが理由なんだと思いますし,それに一応測定器ですからあまりいい加減なことも出来ないんでしょう。

 3万円4万円は当たり前,2万円までの安い物はアナログ式で昔ながらのものだったりするので,私はちょっと躊躇していたのですが,今回買ったデジシックスは実売2万円弱でデジタルと,他に競合する物がないものです。

 これが2万円か-,とがっかりするような質感のなさ,作りのちゃちさはこの際目をつぶりましょう。また,ディスプレイにはEV値を表示するだけで,実際の絞り値やシャッター速度への換算は,機械式のローターを星座板のようにくるくる回して行います。

 質感のなさだけではなく,全体の操作感に頼りなさがありつつも,機能的には問題なしでしょう。小さく電池の消費もわずかで,操作も案外簡単です。常に測定しているのではなく,ボタンを押した瞬間のEV値を表示し続ける仕組みになっているので,明るさに合わせてリアルタイムに表示が変化したりはしませんが,そのおかげで電池寿命はとても長く,CR2032という小型のコイン電池で十分実用になるのでしょう。

 実際の測定結果ですが,なんとも不思議な結果になりました。

 *istDLを使って,約18%の反射率と思われるグレーのカーペットを撮影したのですが,2/3EVほぼずれてしまいました。*istDLの露出計ではジャストになっていたのに対し,デジシックスではオーバー気味です。

 これで信用できるのかいな,と不安になりつつ,次にこれを使って撮影するのはどういうときだろうかと,その機会をうかがっているところです。

 2万円とやや高価ですが,反射率に左右されない絶対的指標を得ることの心強さ,そして私のようにカメラを修理する人の基準測定器として,このサイズと価格なら辛抱することはないでしょう。さっさと買って,悩みから解放されるべきですね。

日本のおいしい水製造マシン

  • 2008/04/11 19:40
  • カテゴリー:散財

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 浄水器を買いました。

 水道の蛇口に取り付ける浄水器を使い始めて5年ほど経過し,すでに当たり前の存在となった浄水器ですが,最近発売になった松下電器のTK-PA10というくみ置き式の浄水器が急に気になったからです。

 なんでも,臭みや有害物質の除去に加えて,カルシウムを適量溶解させ,水の硬度を日本の「おいしい水」と同程度にするんだそうです。

 確かに硬度が適当なミネラルウォーターはおいしいものです。これから冷やした水がおいしくなる季節,毎年冷蔵庫に冷水を確保するポットを買おうかどうしようかと,悩んでいたのが,TK-PA10を買えば一気に解決です。

 値段や高いとも安いとも言える微妙な値段です。2リットル用のTK-PA20とも迷いましたが,私の冷蔵庫は小さいので明らかに入りません。それに,浄水器を通った水は言うまでもなく傷みやすく,その点でも小さい容量をこまめに作って置いておく方が安全です。

 とことで,価格差が数百円にもかかわらず,わざわざ小さい方のTK-PA10を買いました。

 大手量販店で購入し,喜んで組み立ててみると,1リットルそこそこのはずなのに,えらいでかいです。それもそのはず,濾過するのに10分ちょっとかかるわけで,濾過前の水と濾過後の水にそれぞれ1リットルの容積がないとダメですわね。

 ということで,1リットルの水を確保するポットが,2倍の2リットルの大きさを持つ計算となり,その効率の悪さにしょんぼりしました。

 ただ,入れ物はさすがにきちんと作られています。この手の商品で中国製以外を購入するのはもはや至難の業である昨今,透明感があり,手に持った感じもしっかりとしたポットが手に入ったことは,意外にうれしいことです。

 それに,Nationalというロゴがまたいい。これ,そのうちPanasonicに変わることになるわけで,もしかしたらこれが,私の最後のNational製品になるかも知れない,と思いました。

 さて,味です。

 私は硬度の高い水が好きなので,口に含んだ瞬間「あれ,こんなもんなのか」と思いました。ただ,蛇口に付けた浄水器の水と比べてみればその差は明かで,圧倒的にTK-PA10の水がおいしいです。ごくごくのんでいると,あっという間に空っぽになります。

 ちょっと気を遣わないといけないのが,水の寿命です。常温で24時間,冷やしても48時間が限度ということです。それまでに飲みきらないと,水が傷んでしまいます。フィルタも交換しなくていけなくなるので,一気に面倒なことになります。この水はいつ入れたんだっけ,と忘れてしまうような人には,ちょっと向いていないかも知れません。

 もう1つ,水分を含み,閉じた空間が常に1リットル存在するこのポット,あまり放置するとカビが生えるかも知れません。

 せっかくのおいしい水ですから衛生面で疑問が出ると,気分的にも台無しです。松下としてはこの種のくみ置き式の浄水器はこれが初めての製品らしく,そうしたノウハウがどれくらいあるのかも未知数です。

 ということで,実売約4000円というこの商品,これがもう500円高いと考えてしまったかも知れませんが,ペットボトルのミネラルウォーターを買うよりは全然安いと思うので,冷やしたおいしい水に不自由したくないと思う方は,投資に見合うだけのものがあると思います。

PD-D9を買いました

  • 2008/03/28 13:49
  • カテゴリー:散財

 最近SACDのソフトが今ひとつ増えない中で,プレーヤは国内メーカーから買いやすいものがいくつか出てきて,注目度もやや上がっているようです。(一方でPS3がSACDを再生できなくなっているのが対照的ですが)

 2002年にSCD-XB9を格安で手に入れて,SACDの面白さを知った私は,同じタイトルならSACDを選ぶようになったわけですが,残念なことにSCD-XB9の調子が昨年から今ひとつで,サーボがかからなくなっています。

 光ディスクドライブの寿命は,このサーボがかからない,にあると思ってまして,根本原因が部品の劣化かから来る物が多いことを考えても,もう買い換えが必要かなと思っていました。

 とはいえ,SONYの安価な奴は買いたくないし,かといってmarantzの高級品を買うのも抵抗があるし出,評判のいい,お手頃な製品が出てくることを待ちわびていました。

 そこへ出てきたのがPioneerのPD-D6/PD-D9,YAMAHAのCD-S2000です。

 特にPD-D6は低価格な割に評判が良く,コストパフォーマンスが高いことで知られているわけですが,これと部品を共通にしたPD-D9に私の興味はあり,価格的にはちょっと開きがあるCD-S2000と迷っていました。

 CD-S2000は今時珍しいサイドウッドもついている,非常にクラシカルなデザインで私好み。一通りの操作が本体でできることも好都合ですし,光ディスクドライブで一時代を築いたYAMAHAの製品ですので,きっと所有欲も満たされることでしょう。

 一方のPD-D9は奇抜なデザイン。CD-S2000にあるバランス出力もなく,外側はあくまで「普通のCDプレイヤー」を装っています。リモコンがないと使えないことや,非常に見にくいLCDディスプレイにはかなり抵抗がありますが,138000円の商品とは思えないような作り手のこだわりや情熱を感じました。

 1つに,DAコンバータにWM8741を採用したこと。Wolfsonはイギリスのファブレスメーカーですが,その音質には定評があり,今はTIの一部門となったBurrBrownと双璧をなす,オーディオ用DAコンバータメーカーの雄です。

 そのWolfsonが,次の世代を担うフラッグシップとして作り上げたのがWM8741です。設計者自ら「DAコンバータのF1」と称するこのWM8741を,なぜあえてPioneerは使おうと考えたのか。下位機種のPD-D6にはBurrBrownのものが使われているのに,PD-D9に使った理由はなんなのか。

 次にサンプルレートコンバータを搭載したこと。DAコンバータに送り込まれるデータが時間軸上で揺らいでいると,それは波形の崩れを引き起こし,歪みとして我々に届きます。この揺らぎをジッタといいますが,対策する方法の1つに,サンプルレートコンバータを使うというのがあります。

 本来サンプルレートコンバータは,文字通りサンプリング周波数を変換するものなのですが,入力と出力の間のクロックが非同期であることを利用し,入力にジッタを含むデータを,出力側のクロックに精度を高めることで,出力データのジッタを減らすことが出来るという仕組みです。

 こうした意図でサンプルレートコンバータを導入する高級DAコンバータも世の中にあり,ジッタを減らすことの大きな成果を上げていますが,このクラスの国産機で,積極的にサンプルレートコンバータを利用しようというのは,なかなか興味深いです。

 実は,私も自作DAコンバータのジッタ対策に,非同期型のデータバッファを作ろうと基礎検討を始めたことがあるのですが,その時は結局断念でしてしまいました。

 WM8741とサンプルレートコンバータの搭載,そして定評ある光学ドライブメーカーとして知られるPioneerが内製するメカデッキと,この値段にしては随分と志が高いように思われました。

 20kHz以上を擬似的に作るレガートリンクPROは極めて懐疑的ですが,もし当たれば結構なことです。11kgという重量級の筐体,隅々まで意識されたパーツと回路構成,air studioのエンジニアも参加したチューニングと,目指す方向に向けて何をなすべきか,月並みなものではありますが,きちんとこなしていることにも,共感しました。

 そう考えて,多少の不便さには目をつぶり,PD-D9を購入しました。

 まず最初に結論ですが,これは買って良かったと思います。

 非常に上品で粒の細かい音がしますが,音像はぼやけず,しっかりと定位します。特に男性ボーカルが秀逸です。派手ではありませんが決して丸い音ではなく,小さな音を粗末にしていないところが私好みです。


 また,定位感も良いようで,多少左右に動いたくらいでは音像に影響が出てきません。それとSACDもCDも同じ傾向にあることも結構ありがたい話で,ハイブリッドのディスクをSACDとCDとで聞き比べて,その傾向や方向性が共通することは安心感もあります。

 ドライブメカの安定感は評判通りです。実際の所どうだかわかりませんが,剛性の高さ,動作音,トレイの飛び出し方や引っ込み方,動作時の振動など,確実にディスクをトレースしているという安心感が感じられます。

 レガートリンクPROは,これは全然ダメだと思いました。シャープさがなくなり,音像がぼやけます。それだけならいいのですが,せっかくの定位感まで犠牲にして,特に小さい音の消え方が曖昧になり,まるで曇ったガラス越しに見ているようなもどかしさがあります。これは常時OFFに決定です。

 自作のDAコンバータとの比較ですが,自作のDAコンバータは解像度重視です。高音域でやや歪みっぽい印象がありますが,小さな音を再現する力は負けずとも劣らずですし,誇張もせずすべての音を全部出そうとする傾向があります。モニター向けという感じですかね。

 一方のPD-D9ですが,これはまろやかです。自作のDAコンバータに比べておとなしく,きめの細やかな印象がありますが,小さな粒々が見えるほどの解像感はありません。ただ,一歩下がって全体のバランスを俯瞰し,心地よさはどちらが上かと聞かれれば,これはPD-D9に軍配が上がるように思います。

 最初,PD-D9はSACD専用かな,と思っていたのですが,購入して2週間近く経過し,現在はすっかりCDもPD-D9のオーディオ出力で楽しむようになりました。

 まだはっきりしないのですが,自作DAコンバータの鋭角な感じを,300Bシングルのアンプがいい具合に劣化させて,それで聞きやすくなっていたのかも知れません。PD-D9で5998プッシュプルや,MOS-FETのアンプをならしてみると,どれも結構しっかりなってくれるんですね。むしろ,5998プッシュプルのエネルギー感が圧倒的で,自作DAコンバータでは聴いてられなかったこれらのアンプが,ここまで変わってくるとはちょっと意外でしたし,正直に言うと素直に認めたくないことでした。

 最近,大量生産で同じ品質のものを安価に提供するシステムで,オーディオ製品を作ったり,またそれらを買って評価したりすることに,ちょっと疑問を感じるようになってきました。木製の手作り家具のように,1つ1つ違っていていいんじゃないか,年月と共に馴染んでいくのもいいんじゃないか,そんな風に思うようになってきました。

 CDのようなディジタルオーディオは,大量生産と均質化に適した方式なんですが,そのおかげで我々は非常に高水準の音を安価に,また手軽に手に入れることが出来るようになりました。

 それは大変結構なことで,そういう道は今後も突き詰めていく必要はあると思います。しかし,一方で単純な価格の高い低いとは別の価値を議論できる「手作りオーディオ」がもっと一般的になっていかなければならんのではないかと,そんな風に思いました。

 今回,PD-D9のような優れた機器を10万円を切る価格で買えたことは,もちろん大量生産と均質化のたまものであるわけで,その点では先の話とは矛盾するのですが,やはり同じ事を小さいメーカーがやったら価格は30万円とかになってしまったはずで,そこはやっぱりPioneerが作るから,この値段に出来るんでしょう。

 とはいえ,PD-D9だって100万台も200万台も売るような商品ではないでしょうから,その台数に見合うような手のかけ方をしてくれているはずです。台数と価格と手のかけ方のバランスを取ることは,実はPioneerやYAMAHAのような,量産も出来るオーディオメーカーだから持ちうるノウハウが生きているんだと思います。(ついでに言うと,エンジニアの良心が生きているメーカーであることも大事だと思います。)

 そう考えると,こんな商品が今後またいつ出てくるかわかりませんし,少なくともSACDでは今が最初で最後の旬ではないかと,改めてそう感じます。とにかく,買って良かったと思う製品でした。

KAOSSILATORは新しい発明なのか

  • 2008/03/17 19:33
  • カテゴリー:散財

 KAOSSILATOR,買いました。

 かおしれーた?顔がどうしたって?,と言われてしまったくらいマイナーなものではありますが,なにやら楽器に縁遠かった人たちをも巻き込んでちょっとしたブームになっているようです。

 コルグは世界でも知られたシンセサイザーの老舗ですが,御三家の他社と違い,なかなか遊び心が豊かな会社のようです。80年代中頃の名機M1を頂点とする「優等生」なコルグ以前には,MS-10やPS-3100,MONOPOLYやPOLY-SIXといったやんちゃなコルグがあったわけですが,今世紀に入ってからは再びやんちゃなコルグが戻ってきたかのような印象があり,そこがまたコルグという会社の好き嫌いを分けているように思います。

 私はダンスミュージックやDJを自らのフィールドとしている人ではないので,この種のイクイップメンツにはとんと疎いのですが,どうもKAOSS-PADが先にあるようなんですね。これはサンプラーとかエフェクターをタッチパッドで操作するというもので,複雑な装置を操作する,訓練の必要な楽器演奏をマスターする,という敷居の高さを解決し,同時に直感的な操作と偶然性に期待をするという,一石二鳥なものらしいです。

 これはこれで1つのジャンルとなっているようですが,このユーザーインターフェースをシンセサイザーに応用したのがKAOSSILATOR,なんでしょうね。(ひょっとしたらタッチパッドを搭載した普通のシンセサイザーがすでに存在していて,それを切り出したものなのかも知れませんが,正直なところ私にはわかりません)

 それはともかく,ニッチな商品であることには違いがないのですが,このKAOSSILATOR,昨年末に登場して以来品薄で,なかなか手に入らないようなのです。

 まず,非常に面白いこと。そしてその面白さがあちこちのblogに取り上げられ,さらにはITmediaやImpressのサイトに取り上げられて,どんどん人気が出て行った感じです。

 極めつけが日経エレクトロニクスのユーザーインターフェースの特集でどどーんと紹介されたこと。普段電子楽器やDJに興味のないエンジニアやその上司の皆さんにまで知れ渡るに至り,とりあえず「なんだかわからんがすごいらしい」と評判になっているようです。

 価格は2万円と,この種の楽器としては安いのか高いのかわからん微妙なところです。シンセサイザーといえばもっと高価な物と思われがちですが,実際の所5,6万円でも十分ステージプレイに耐えられるものがあるわけですし,その大きさや鍵盤のコストを考えると,KAOSSILATORの2万円は,私としては高いなあという印象です。

 とはいえ,この手の物は買って試すしかありません。面白そうに思えても,コルグの製品には近寄りがたい物が常にあり,こんなことでもないとなかなか購入にまで至らないものなので,探してみることにしました。

 しかし,やっぱりないんですね,どこも在庫が。1月に予約しても3月になるとか,そんな状態だったのでほとんど忘れていたんですが,先日の木曜日,偶然アキバのヨドバシのガラスケースに収まっているのを発見して,衝動買いしてしまいました。

 「帰りの電車で乗り過ごした」などと評判なKAOSSILATORですので,中毒性があるのだろうと覚悟を決めて,帰宅してから電源を入れてみます。

 そして30分後に出来たのが,これです。

ファイル 183-1.mp3

 まったく初めて触る人間が30分でここまで出来るわけですから,確かに面白いといえば面白いです。もっとうまく作ることが出来る人はいくらでもいるでしょう。

 それで,このお休みにいろいろ触ってみた感想ですが,結論だけ言えば,これはそれほどおもしろいもんでもない,という感じです。

・あまりにチャチ
 ダンスミュージックやDJの人々はこれがいいというのかも知れませんが,私は2万円もする製品でこんなにチャチで質感のないものが日本の店頭に並ぶとは思っても見ませんでした。
 電池ブタに隙間があるとか,RCAピンジャックが曲がって付いているとか,工業製品としてすでに破綻しているとしか思えません。9800円がいいところ,NintendoDSなんかと比較すると,5800円でもいいかなと思うほどです。

・割り切りすぎ
 コルグの人もいろいろいってますが,はっきりいって割り切りすぎです。2小節しか録音できないレコーダー,3桁の7セグメントLEDが表示のすべて,紙っぺら1枚の説明書,そして激しいノイズと薄い音。ユーザーインターフェースが売りの商品なのに,演奏以外のユーザーインターフェースが絶望的にわかりにくく,音にこだわったといいつつオーディオ機器の水準すら満たしていない作りの甘さには,非常にがっかりしました。

・電池がすぐになくなる
 単3電池4本で5時間という電池寿命を長いと見るか短いと見るかは人それぞれですが,底面がほんのり暖かいというのは,この手の機器には許されないんではないかと思います。しっかり低消費電力設計をやらんかい。

・曲を保存できない
 作った曲を保存できません。電源を切るとあっさり消えてしまいます。2小節のレコーダーですので,作ってるときはグルグル頭の中を回ってるわけですよ,曲が。でも,しばらくすると忘れてしまい,何だっけなあと気になって聞き返したくなるものです。しかし電源を切った後ではそうも行かず,「失ってわかる」ある種のフラストレーションに悶々とするのです。SDカードスロットを付ける,不揮発メモリに残しておく,くらいのことは出来たんではないかと思います。

・設定も消える
 不揮発メモリやSRAMが安い昨今,せめて設定くらいは残しておいて欲しかったです。

・MIDIが壊滅
 実際,MIDIで他と繋がる仕組みにかかるお金は大したことないのですが,ここも割り切ったんでしょうね。個人的には,音源としては使い物にならないのでMIDI-INはいりませんが,インターフェースとしてのタッチパッドが他の音源を操作できたら面白いと思うので,MIDI-OUTだけあればいいと思いました。

・アルペジエータが絶望的
 普通アルペジエータといえば,分散和音を作る装置を言いますわね。和音を押さえればそれが時間的にずれて発音されることを期待するわけですが,このアルペジエータはゲートアルペジエータと言うだけあって,和音ではなく単一の音が時間的に細切れにされて発音されるだけです。まあ,正直これでは使う気にはなりません。

・シーケンサと違うがな
 誰もシーケンサとはいってないのですが,テンポを変更しても,録音済みのトラックには反映されません。これにはつくづくがっかりしました。

・パッドの精度がさっぱり
 後述しますが,KAOSSILATORはタッチパッドという無限音階の入力インターフェースにスケールを実装し,指でなぞればそのスケールで音を出してくれるというありがたい機能が最大の売りです。しかしそのパッドの精度が今ひとつで,慣れもあるんでしょうがなかなか思い通りにはなってくれません。

・やりたいことができない
 例えば,こんな感じの曲を作ろう,という感じで頭の中でなってる曲があるとします。しかしKAOSSILATORに入っている素材は必ずしもそれを再現できる材料にはなりません。

・コードが蚊帳の外
 これがもう致命的。リズムとスケールが機械任せに出来るメリットがここまでシンセサイザーを面白くしたのに,コードに関しては全くケアされていないのです。まあ,ここにコードを扱えるようにしてしまうと途端に難易度が上がってしまうこともわかりますし,それがDJやダンスミュージックに必要とされていないこともなんとなくわかりますが,ここでコードチェンジをしたい,とか,こういうコードを使っていこうとか考え及ぶ人にとって,猛烈なフラストレーションがたまります。


 とまあ書き並べましたが,おそらくこれだけ人気の出た機種ですので,続編があるでしょう。KAOSSILATOR2では特にコードとアルペジエータに関して強化されることを期待したいです。この際素材が云々は,ダンスミュージックのツールと割り切っているので贅沢は言いません。

 なにせ,KAOSSILATORの優れたところは,タッチパッドを入力デバイスにするために,スケールを割り当てて無段階に音が変化しないようにしてあることです。これは確かに新しい楽器の出現といっていいかもしれません。

 本来無段階に変化する弦楽器にフレットを取り付けてスケールを割り当てることで,ギターは和音の演奏が楽になったり初心者でも取っつきやすくなったりしたわけです。鍵盤楽器などは最初から無段階に音を変化させることが出来ませんから,最初から何らかのスケールに沿って音が区切られています。

 ただ,この楽器のスケールは最大公約数的なものであり,1オクターブに存在する12の音からいくつかを選んで演奏する必要があるわけです。演奏に使うスケールを体と頭で覚えることでとりあえず外さないソロを取ることが可能になりますが,なかなかそれが難しいものです。

 KAOSSILATORのすごいところは,誰でもなぞれるタッチパッドに覚えることが難しい多彩なスケールを割り当て,とりあえずぐりぐりパッドをいじるだけで,外さないソロが演奏できてしまうことにあります。

 さらに横方向に音の高低と,縦方向にエフェクトや音色の変化を割り当ててあるので,指先1つで複雑な操作を(自由にというにはほど遠いが)したのと同じに出来るのです。同じ事をキーボードでやったりギターでやるのは,ちょっと大変だと思います。

 そして,これは音楽作成ツールではなく,ループを作る装置です。だから最大2小節しか録音できません。この2小節に半完成となっている素材を貼り付けて作り上げるのが,KAOSSILATORの醍醐味なんでしょうね。

 2小節しか録音できないことは,思わぬ利点を生みます。まず完成に持っていくのに時間がかからない。工夫をしようにも自ずと限界があるので,さっと遊べる気軽さがあります。

 しかも,どれも派手でキャッチーな音ばかり。パッドをいじって変化するバリエーションまで考えると,無数とも言える音が備わっていて,それらを一通り試す気も起きないほどです。

 こういうところから考えると,楽器の演奏が出来ない人でも,スケールの概念を理解できておらず,理解できていてもそれを楽器で演奏出来ない人でも,また複雑な機器の操作やPCの扱いを面倒と感じる人でも,さらにいうとダンスミュージックに関する抵抗を感じるような人でも,気軽に楽器演奏が楽しめるという絶対的な敷居の低さが,KAOSSILATORの最大の発明でしょう。

 そこにさらに偶然性を重ねて出来上がる物を第三者的に楽しむのもよし,万人にお勧めできるものではないと思いますが,まずは持っている人に使わせてもらって,自分のセンスにフィットするかどうかを試してみたらいかがかと思います。

 しかし,私もこれを使いこなせているとは到底思えません。きっと達人がいるんだろうなあ,この2小節をPCに取り込んで,DAWで加工しながら1曲のボリュームに仕上げるような人もいるんだろうなあと,そんな風に思ったりします。

 私は,もし機会があればですが,アンサンブルでソロをこいつで取れればなあと,そんな風に思います。

散々な出来の池上線1000系

ファイル 181-1.jpg

 久々にグリーンマックスの模型を買ってみました。

 一時,エコノミーキットを寝ても覚めても作っていたことをがあったりしましたが,近鉄の16400系の完成品を買ってから,あまり気になる物もなくて遠ざかっていました。

 完成品はそもそも高いし,実はKATOやTOMIXよりも出来は今ひとつですし,積極的に買おうという理由は見つからずにいたわけです。

 ところが,年明けにふと模型屋さんの案内などを見てみると,東急1000系の池上線仕様が出るといいます。完成品に準ずる組み立てフルキットということですし,それに池上線ですから3両編成でフルセットです。お金もかかりません。

 池上線というと,私がかつて世話になった社員寮の最寄り駅がある線区です。

 いよいよ生活の場を移すその日,つい3時間前には片道の新幹線の切符を自分の覚悟と共にポケットに詰め,やがて山手線で五反田までやってきた私は,そこから初めて乗り込む「東京の私鉄」に,目を丸くしました。

 およそ近代的とは言えないような古びた駅は,ホームが1つだけで両側に線路がある,折り返し運転前提の始発駅です。そこにいた3両編成の小さく短い電車は,私をどんな田舎に連れて行ってくれるのかと,相当の不安に陥れるに十分でした。

 ゴトゴトと小さな振動に揺られながら,昔ながらの町並みを抜けていきます。地下の駅は別ですが,地上の駅は柱も木のまま,まるでローカル線のようです。

 自分の降りるべき駅はそう遠くはなく,10分ほどで到着したのですが,そこで案の定道に迷った私は,散歩中の叔父さんに場所を尋ねることにしました。

 春から社会人だ,この木近くの寮に入る,という話をしながら道を尋ねた私は,「東京の人は冷たい」という固定観念を打ち崩すような,とても優しい口調で丁寧に場所を教えてくれた上,この街がどんなところなのかを教えてくれたりしました。

 そこが東京でも屈指の高級住宅街であることを,私はその時知ることになります。

 そして以後数年間,最も変化の激しかった新人時代に,私は毎日池上線を利用するようになります。時には反対側の蒲田に出かけ,あの独特な猥雑な雰囲気を楽しむこともありました。道中の小さな古びた駅を池上線の味として楽しむことも忘れませんでした。

 ある夜,酔っぱらいに絡まれ,成り行きから電車を一緒に降りることになったのですが,姿の見えないその酔っぱらいをきょろきょろ捜すと,駅の前の果物屋でミカンを買っていて,私が近づくと「食べるか?」と,おいしそうなミカンを手渡されたことを思い出します。

 今にして思えば,池上線ではいろいろな思いをしましたが,結局どれもほのぼのだったなあと,そんな風に思います。

 1000系は,ちょうどそんな私が乗っていた電車です。

 1000系に搭載されているVVVFインバータは1980年代後半のもので,その発振音が可聴帯域にあるため,加速時には独特の「音」がします。これが敬遠されて1990年代のVVVFインバータは可聴帯域よりも上の周波数を使うようになりました。

 1980年代後半という時期にVVVFをいち早く導入したのは,東急もそうですが関西の近鉄もそうでして,ちょうど私が高校生の頃,ピカピカの最新型の電車の証として,その「音」を鳴り響かせていましたから,普通は敬遠されるあの音は,私にとってはある種の郷愁と青春のほろ苦さを思い起こさせる物になっていたりします。

 前置きが長くなりましたが,発売日の前日にいつもの模型屋に予約を依頼,翌日無事に手に入れることが出来ました。

 エコノミーキットと違い,黙って説明書に従って組み立てれば完成品と同じ物が出来上がるというキットですので,あまり手を汚すことはないだろうなあと思っていたのですが,塗装を全くしなくて良いわけではなさそうですし,保護用のクリアは吹いておこうと考えたので,結構大事になってしまいました。

 冬場は塗料の乾きが遅い上,どうしても衣類からのホコリが多く出てしまいます。そのせいでホコリの付着が夏場よりも深刻なのですが,今回もかなりホコリに苦労しました。クーラーの塗装も何度もやり直す羽目に陥りましたし,それでも多少のホコリは割り切る必要がありました。

 そんなわけで,出来は今ひとつです。

 しかも,組み立てで普段ならやらないようなミスを連発。

 窓硝子のパーツをランナーから切り取るときに,うっかり割ってしまいました。ちょうどドアの窓です。割れた物をプラモデル用接着剤でくっつけようとしたのが初心者並のミスで,つなぎ目が目立って仕方がありません。

 クリア塗料を使ってごまかそうと思ったのですが,これがますます見た目を悪くする結果となりました。

 型を取ってプラリペアで複製も試みましたが,すでに溶剤が茶色く変色しており,まともな複製は作れませんでした。結局,0.4mmのプラ板を貼り付けるのが一番いいという結論に至ってショボーンです。

 また,ボディマウントTNカプラーを無理に付けようと改造したおり,動力台車のカプラー部分を削って加工した時の削りカスがギアに噛み込んでしまいました。

 スムーズに回らないことを発見して台車を分解したら,うっかりギアを紛失。動輪のうち片側は回転しません。

 こういう場合,すっかりモチベーションが下がって適当に作ってしまう物なのですが,意外にプロポーションもよく,DCCデコーダの組み込みもうまくいったので,ヤケにならず落ち着いて仕上げてました。

 たかが3両ですので,1軸くらい動軸が死んでいても,ちょっとした坂道くらいなら上ってくれます。

 そんなわけで,あの見た目につまらない東急の車両も,うちには8000系,8500系,8090系,そして1000系と揃いました。毎日見ていると,案外愛着がわくものです。

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