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いつかはジューキ

  • 2021/06/28 15:11
  • カテゴリー:散財

 うちのミシンを買い換えました。

 これまでのミシンは,嫁さんが独身時代に買ったシンガーの機械式の卓上ミシンです。ぱっと見たところ,そんなに安物ではなく,それなりに良いものであったみたいです。

 本人は刺繍は好きだがミシンはダメ,といって憚りませんが,ならなんでわざわざ買ったのか不思議ではありますが,とにかく買ったミシンはそんなに悪いものではなさそうです。

 ただ,さすがに20年も経過していますし,その間の稼働率も低く,同左音もあまり良い音がしません。頻度が低いことは嫁さんの言い分によると,あまり使い勝手が良くないらしく,まず糸通しが面倒,糸のテンションの調整が難しい,というあたりでくじけてしまうそうです。

 私の母親はテーブル付きの本気のミシンを使いこなして自分の洋服を作るのが趣味だった昭和の女性だったので,ミシンはそれなりに良いものを使っていました。(調べてみるとブラザーのペースセッターでした)

 私は裁縫は好きではありませんでしたが,それでも市販品に気に入ったものがないという理由で筆箱や巾着袋くらいはさっさと作っていましたので,ミシンの使い心地については全くわからないわけではません。

 昨今,巣ごもりということもあってミシンもよく売れているそうです。そんな中,子どものの持ち物を縫ってあげられる程度の安価なミシンが話題となっていて,なかなか評判もいいようでした。

 そこで嫁さんに買ってあげようか,と水を向けると,ぜひぜひ,という前向きな返事。嫁さんとしては,ミシンは欲しいけど機種選択が面倒くさい(これは実際やってみて辟易しました)ので,それをやってくれるのが助かるということのようです。

 なら結構,「私」がよいと思うミシンを使ってもらおうじゃないかと,ミシン購入プロジェクトがスタートしたわけです。

 ミシンというのは,かのシンガーが始め大成功をおさめた月賦販売がビジネスモデルとして定着していて,工業製品としての面白さと同時に,販売面でも特別なものです。家電品のように多くの製品から比較して選んで買うと言うより,メーカー直販のお店で,分割払いから修理まで全部ひっくるめて,セールスマンから買うというのが普通です。

 こういう買い方だと,売れるミシンは客が欲しいミシンではなく,セールスマンが売りたいミシンになりがちで,このあたりがなかなか胡散臭いのです。

 もちろん,自分で選んで買っても良いのですが,そういうイレギュラーな買い方にメーカーは冷たく,価格に釣られて買った天罰とばかりに,相手にしてもらえないことも耳にしました。

 最近は直販店やフランチャイズのお店が減っていますし。そもそも市場が小さくなっていることに加え,量販店や通販が力をつけているのでそんなこともないのですが,高額商品でしたし,修理して末永く使うものだっただけに,一生に一度の買い物で客の経験値も上がらず,胡散臭いまま100年が過ぎたという事ではないでしょうか。

 今回も,いつものように通販で買うことにしました。

 なんでも,子どもの入園や入学をきっかけに,親が手作りに挑むことがきっかけでミシンを買う家庭が多いようで,その時の価格帯は直線縫いの安いもので2万円くらい,ジグザグで4万円くらいのものが中心なんだそうです。
 
 で,6万円とか7万円になると経験者がステップアップのために買ったり,本気でミシンをやろうと思った人が考えるようになるらしく,家庭用ミシンとしては10万円くらいまでが一区切りになるようです。

 てことで,まずは欲しい機能です。うちは洋服を作るような高度なことはしませんし,複雑な刺繍もやりません。まして任意の画像を刺繍するような面白そうな機能も欲しいとは思いません。

 よって基本的な直線縫いとまつり縫いなどのジグザグ,ボタン穴くらいでOKです。ですが,薄い生地から厚手のものまで難なくこなす力は欲しいので,送り機構と押さえにはこだわりたいところです。

 送り機構は楕円で動く送り歯では安定した送りが出来ません。ここは工業用ミシンと同等の直線的に送る機構が欲しいです。当然ですが7枚刃でしょう。

 押さえのバネ圧を可変する機構は様々な生地の厚さに対応するために必須ですが,この機能を持つ機種は少ないです。そういえばペースセッターには付いていました。

 そして,しっかりした押さえを支える,筐体の剛性も重要です。歪む,たわむが起きてしまうと,目が揃いません。ということは,ある程度の大きさや重さは許容されるということです。

 最後に,これらをなんなく駆動するパワーも必要でしょう。パワーが大きいとそれだけ筐体もしっかり作らないといけないですが,これらは自動車やカメラなんかにも共通する,およそメカものにはついて回る話じゃないかと思います。

 意図のテンションを自動で制御する機能は初心者向きかと思っていたのですが,初心者が選びそうな安価なミシンには搭載されておらず,このあたりに矛盾を感じつつも,高価格のミシンに経験者を誘導する手段になっていると推測。いってみればプロ用のカメラに最高性能のAFとAEが惜しげもなく搭載されるようなものかも知れません。

 それからフットコントローラは必須です。両手があくことは仕上がりや安全にも直結します。手で速度を可変する仕組みは,速度の調整をどうしてもしなくなりがちです。速度を細かく調整してこそ,短時間で高品質な縫い物が可能になります。(とはいえ,速度や負荷の変動に対しても常に一定の縫い目を実現するのは,なかなか難しい事なはずです)

 ということで,大体の姿形が見えてきたところで,メーカーです。日本はミシン大国で,家庭用ミシンでは多くのメーカーが存在していますし,工業用ミシンではほとんど日本製です。

 家庭用ではブラザー,ジャノメ,シンガー,ジューキあたりが大手なのですが,ここは私の好みでジューキからまず探してみましょう。ブラザーもジャノメも良いものですし,シンガーもOEM元はしっかりしていますので,なにも問題はありません。

 家庭用を中心としたメーカーばかりですので,むしろ家庭用のことをよく知っているだけに,安心という話もあるでしょう。しかし,ここは,工業用ミシンで高いシェアを持つ,プロの道具であるジューキを選んでみましょう。

 ジューキは工業用ミシンで圧倒的な力をもつメーカーですが,家庭用としては今ひとつ目立ちません。高いとか直販店が少ないとか,そもそもメーカーが力を入れていないとかいろいろあったと思いますが,ここのところは家庭用にも力を入れており,特に専門学校などで服飾を学んだ人たちからご指名を受けるブランドだそうです。

 個人的にもジューキにはちょっとした憧れがあり,死ぬまでに一度は使ってみたいなと思いつつ,きっと一生縁がないんだろうなと思っていましたが,こうしたきっかけがあった以上は,やはり少々問題があっても選びたいものです。

 大した問題ではありませんが,ブラザーにしてもジャノメにしても,丸っこいデザインでかわいらしいこと,家庭らしいことを狙っているような感じがします。でもなんかちがう,もっとストイックに,工作用の機械工具であることを狙って行きたいのです。

 可愛いから,丸いから女の人向けというのは私は違うと思っていて,そんなものに男も女もありませんから,機能を追求した結果この形になった,と言う機能美こそ,ミシンのような複雑な機械にはあってしかるべきと思っています。

 予算に近いものは,ジューキからだとHZL-G100シリーズということになるのですが,5万円を越える割には,本当に基本機能だけのシンプルさです。致命的だったのは糸のテンションが自動ではないことです。この段階でこの機種は候補から外れます。

 とはいえ,他社のミシンでもテンションが自動のもので,かつ押さえのバネ圧が可変のものは7万円近いものになってきますから,その価格帯でジューキをもう一度探します。

 見つかったのは,HZL-VS200です。

 名機と誉れ高いHZL-F400JPからあまり重要ではない機能を削減し,価格を下げた下位機種として誕生したもので,実勢価格は7万円ちょっと。F400JPは古い機種なのでもう売っているお店も少ないのですが,価格は20%程高くなりそうです。

 うーん,確かにF400JPは機能も十分だし,液晶もドットタイプでバックライト付き,テンキー操作で使いやすそうです。

 VS200はF400JPから刺繍のパターンを減らしたこと,LCDをセグメントにしてバックライトなくしたことが一番目立つ変更で,あとは2本針の対応がないこと,ボタンホールのメス幅が可変出来ないことが違いですが,あとはすべて同一です。

 LCDは残念で,バックライトは実際に使い出すと不便だなあと思うようになったのですが,まともそうなお店で安く買えるという魅力に惹かれ,68000円にポイント3000円分で購入しました。

 ちょっと使ってみたのですが,思わずうーんと唸るほどの機械です。久々に夫婦で大喜びの買い物となりました。

 下糸をボビンに巻き取るのも専用モーターでスムーズ,次に上糸をかけますが,自動糸通しが便利でもう手放せません。

 縫い初めに下糸を引っ張り出す作業も必要なく,テンションの調整もいりません。もう何もせずに,いきなり縫い始める事ができます。

 押さえを卸してペダルを踏み込み,縫い始めます。

 抜群の精度と安定性,そしてゆとりあるパワーとこれを受け止める剛性感の高さがまず伝わって来ます。

 速度を可変しても送りは安定し,目は綺麗に揃っています。直線縫いはその名の通り直線が縫えなければなりませんが,歪みが少なく精度が高い事もあり,手を離しても曲がって進もうとはしません。直進安定性は抜群です。

 そして自動糸切り。こんなものはおもちゃtのようなものだと思っていましたが差にあらず。とても便利で,作業が捗ります。工業用ミシンに自動糸切りが搭載されたことで生産性が大幅に改善され,衣料品の価格低減に貢献したという話があるんですが,まさにそれを実感しました。

 縫い終わりは必ず針が下がった位置で止まります。これも非常に便利です。

 次は,自動止め縫い糸切り機能を試します。縫い初めにこのボタンを押しておくと,最初に返し縫いと行ってくれます。そして縫い終わりには返し縫いボタンを押すと,自動的に返し縫いを行い,止まった後に糸切りまでやってくれます。いやこれ,もう超便利ですよ。テンポ良く縫い物が進みます。

 糸のテンションも自動で全く問題なし。操作も含め,全く問題なく試し縫いが終わりました。

 F400JPとの比較で,やっぱり残念だと思った事もあります。一番大きいのは液晶で,バックライトがないために作業性が落ちます。やはりバックライトは必要だと思います。

 セグメントLCDでも実用上は問題ないのですが,ドットタイプのF400JPでは糸を通す順番をLCDに出してくれます。いちいち取説を引っ張り出すこともないので,欲しいなと思った機能です。

 あとはジグザグの基線を変更出来る機能もいいなと思います。もちろん計算すれば問題はないのですが,ちょっとした勘違いがあったりすると失敗しますし,縫い物によっては基準線が中心よりも左端にあった方がいい場合もあると思います。

 あとはボタンホールのメス幅です。実際に困ったことはまだないのですが,ボタンの厚みに応じてメス幅も変えられた方がいいわけで,ここはもしかしたら公開する部分かも知れません。

 F400JPとの比較ではありませんが,重いし大きいことは,ちょっと女の人には厳しいかも知れません。それからケースですが,全体をすっぽり覆うのではなく,上面は本体から出ている取っ手が飛び出すために,大きく切り欠いてあります。ここから誇りが入り込むわけですから,現実にはホコリを防ぐ機能はありません。

 そういう細かい事に不満があるのは,本体の基本機能にこれほどの完成度があることを考えると,家庭用に特化したメーカーではないからかも知れません。

 ということで,今回の買い物の結論,ミシンは60000円以上のものを買うと幸せになれるということ,そして基本機能がしっかり作ってあるものを選ぼうという事です。見た目のかわいらしさや刺繍のパターンの面白さや数に惑わされてしまうと,本当に使い心地の良いものに巡り会えず,そのうちミシンを使わなくなってしまうかも知れません。

 道具は手に馴染んでこそ,いい仕事が出来ます。だからこそ自分の手に馴染んだ道具はお金を出しても買えない財産であり,壊れてしまってはまた何馴染むところからやり直しです。

 そう考えると,手に馴染むもの,そして壊れず長く使えるものが,道具には求められると言えて,それは高価なものとは限りませんが,安いものは例外なく,何かに我慢を強いられるものです。

 ミシンこそ,安物はダメだと思いました。そうそう何度も買い換えるものではありません。出せる予算よりもワンランク上を,ちょっと無理して買うべきだと感じた買い物でした。

 

デジットの味をご家庭で

 大阪日本橋の電子パーツのお店,デジットが6月で閉店することになりました。

 閉店と言っても入居していたビルが老朽化のため取り壊しになり,移転することになったということなので心配することはないのですが,1980年代から変わらずあの場所で営業していた老舗ですし,私もよく通い,日本橋の巡回ルートに入っていたことはもちろん,あげくアルバイトまですることになったほどですから,感慨もひとしおです。

 昔話は程ほどにしておきますが,当時は新品の部品などほとんどなく,訳ありのジャンク品が所狭しと並んでいて,まあ次に買うわと店を出たら最後,同じ物には二度と出会えないという,非常にスリリングで面白いお店でした。

 折も折,ちょうど消費税が導入された時期ですが,同じ商品がシリコンハウスで買うと消費税がかかるのに,デジットで買えばかからないということで,消費税分だけ安く買うことの出来るというノウハウは,当時のマニアの間ではよく知られたことでした。

 リースの終わった汎用機やオフコンからCRTやFDDを外してきて,これを安価に販売する貴重なお店でもありましたが,とにかく当時の店長さんがその道に詳しく,1つ1つの商品に技術的な根拠を持って売っていたことが思い出されます。

 彼とは,それはもうたくさんのエピソードがあって,それぞれが10代だった当時の私の人間形成に大きな影響を与えていると思うのですが,秋葉原に行ったことがなく,もっぱら秋月電子で通販をすることを楽しみにしていた私に,昔の秋月はこんなもんじゃなかった,いつかうち(デジットですね)もあれくらいになれたらな,といっていたこともありました。

 果たしてデジットは全国区の電子部品店となりました。

 そんな私の知るデジットもこの6月でとうとうお別れです。そう,シリコンハウスも大きなお店になっていますが,私の知るシリコンハウスは東海電子の2階と3階であって,そこから移転してしまった現在のシリコンハウスは,私にとって新しく出来たお店に近いのです。

 おそらく,新しいデジットはもっと大きくもっと小綺麗になるでしょう。それはそれでとても良いことですし,私も愉しみなのですが,私の「デジット」が永遠に消えてなくなることには,やはりさみしい気持ちが大きいです。ああ,歳は取りたくないですね。

 とまあ,そんなデジットがファイナルセールを3月からやっています。いよいよ6月になり,セールも最終段階に入っているのですが,これまでもジャンク屋らしく,入っている数が多いかわりに,1つあたりは無茶苦茶安いものばかりが並んで,私もめぼしいものがあったときにはメモを取っていました。

 そして先日,いつか出るだろうと思ってずっと待っていた商品が登録されます。そう,「デジットセレクション ランダム部品箱」です。

 これぞジャンク屋の真骨頂。お値段は500円で,一人2個までの限定です。

 まず,ジャンク屋というのは,精機の部品屋さんと違って,仕入れのルートが多彩です。正規ルートなら注文できないような部品も入荷したりします。

 それから,訳あって廃棄されたものが流れてくることがあります。カスタム品などが大量に入ってきます。部品に限らず基板や完成品も流れてきます。

 再生品や廃棄物からも,使えそうなものが商品になりますが,いずれも共通するのは,正規品よりも極端に安いと言うことです。

 そんなお店の福袋ですからね,面白くないわけがありません。

 他に欲しいもの,例えば500個入りのLED(500円)を3袋とか一緒に買って,今日その「デジットセレクション ランダム部品箱」が2箱届きました。

 中身を細かく公開するのはルール違反なのでやめておきますが,少しだけ入っていたICやLSIについては,ちょっとここと紹介してもいいかなと思います。なかなか面白いものが入っていましたよ。

HD637B01X0P
 日立の8ビットワンチップマイコンです。SDIPの64ピンで,多ピンのマイコンとしてはよく使われた68系のCPUです。ただしマスクROM品なので,自分でプログラムを書いて使うのは絶望的,残念ですがゴミです。

Z8 BASIC Z0867108PEC
 これはあたりかも。Z8671,Z8 BASICです。Z8はザイログの8ビットCPUなのですが,ワンチップマイコンとしての印象が強いせいで私には馴染みがありません。そんな中でも異色なのはこのZ8 BASICで,内蔵ROMにBASICインタプリタを書き込んであり,RAMを繋げばBASICが動くそうです。

TC5054
 東芝のTC5000シリーズのCMOSで,4桁の10進カウンタ/7セグデコーダ/ドライバです。東芝はRCAのCD4000シリーズが出た当時,独自のCMOSプロセスにC2MOSという名称を与え,大々的に展開をしていました。モトローラがMC14500シリーズというオリジナルを開発したのと同じように,東芝はTC5000シリーズをオリジナルとして開発していました。TC5000シリーズはCMOSらしく大規模なLSIを揃えていたのですが,TC5054もその1つ。10進のカウンタを4桁,ダイナミックスキャンの7セグメントLEDのデコーダとドライバを内蔵し,ワンチップで4桁のカウンタを作る事が出来たLSIです。

TMP47P440AN
 東芝の4ビットワンチップマイコンです。正確なことは調べていませんが,型番からおそらくワンタイムPROMを内蔵したものだと思います。類似品種を調べると32kbitのROMらしく,2764と同じ方法で書き込みが出来るとあります。

HM62256LP-12
 言わずと知れた,日立のCMOS SRAMです。256kbitですので,1980年代中頃にはとにかく目にすることの多かったSRAMです。

TC8801N-0903
 東芝のASSPで,なんと音声合成LSIだそうです。内蔵のマスクROMに書き込まれた音声データを再生するものなのですが,名前の「-0903」が示すとおり,どこかの製品用に音声データを書き込んだ訳あり品です。音の出し方はわかったので再生してみても面白いかも知れません。

LH52256N-90LL
 これも256kbitのCMOS SRAMです。シャープ製のSRAMも当時はよく見ました。これはフラットパッケージのものなので,同社製のポケコンでもおなじみです。

TC9217
 東芝のラジオ用のICで,データシートにはPLLとあります。おそらく海外のデジタルラジオ用じゃないかと思うのですが,よく分かりません。

T3605
 東芝の時計用のLSIです。デジットではかつて,専用のVFDとセットにして販売していたことがあるようです。自動車用の時計に採用された定番品らしいです。たくさん入っていたのですがVFDがないので,使うには一工夫が必要でしょう。ただ,この手の時計用ICは絶滅していますし,7セグメントのスタティックドライブが出来るものは特に貴重です。

MB74LS30
SN74LS32
HD74LS145
SN74LS74
HD74121
DM7414
 TTLですね。特に注目するようなものはありませんが,ナショナルセミコンダクタのDM7414が懐かしいパッケージで出てきたのが,個人的には興味をそそりました。

TC35300
 DTMFレシーバです。プッシュホンのデコーダも1980年代に流行って,電子工作の定番だったものですが,今どき若者はDTMFの音など聞いたこともないでしょう。

MB88331
 富士通のNTSCシンクジェネレータです。かつて秋月電子の定番キットの1つ,ブルーバックジェネレータにも使われていたので知名度もあると思います。しかし,アナログテレビが絶滅し,NTSCの信号もほぼ消えた現在,このICにどれほどの意味があるのか疑問です。

TC74ACT02
 東芝の汎用ロジックで,ACシリーズです。まあ,ACとはいえ汎用のCMOSロジックですので,なにかに使えるでしょう。

TL497
 TIのスイッチングレギュレータICで,定番中の定番です。これは5つ手に入りました。

S2924
 メーカーは不明ですが,シリアルEEPROMです。おそらく128ビットでしょう。

PC725V
 シャープのフォトカプラです。通信用ではなく,スイッチングレギュレータに使うような絶縁用のようです。

PIC12C509
 PIC12シリーズです。名前の通りワンタイムROMです。20年ほど前はホビーストの間でもよく使われた8ピンのPICですが,今はもう全然見ませんね。私もPICは16F84ばかりでしたので,PIC12は使った事がないのですが,そもそもこのPIC12C509,書き込み済みだったらただのゴミです。


 というわけで,とても楽しく部品の仕分けをした結果,IC/LSIは以上のものが入っていました。もちろん,これ以外の部品もたくさん入っていましたし,値打ちのあるものはむしろそれ以外だったりしたのですが,見た目では判断出来ない半導体は意外なお宝だったりするかもしれないというワクワク感が楽しくて,これを肴に飲み会をやったら盛り上がるだろうなと思いながら,仕分けをしていました。

 使ってみようと思ったのはZ8 BASICとT3605,そしてTC5054くらいで,強いて言うならどんな音が入っているのかを確かめるためにTC8801を一度動かす位のものでしょうか。

 でも,この感じがデジットです。あのデジットの味をご家庭で,なのです。いやはや,満腹になりました。

 

新しいレンズをお迎えする

 ちょっと忙しいこともあって更新をサボっていたのですが,レンズを2本お迎えしておりました。どちらも試写は済んでいるのですが,現像がまだなので結果をレビューできません。

 ん?現像?

 そう,今回の2本のレンズは完全に銀塩向けで,(少なくとも私は)デジタルで使えないのです。こういう贅沢な(無駄な)投資は久方ぶりです。

・Super-Multi-Coated Takumar 105mm F2.8

 M42の中望遠です。85mmでもなく,135mmでもない,中途半端な105mmですが,私はなんとなくこの焦点距離に縁があり,苦手意識もなかったりします。むしろ85mmのあの距離感が苦手なくらいです。

 Takumarはどの焦点距離もハズレなし,どれもそつなくまとまっているということと,工業製品として良く出来ているので耐久性もあり経年劣化も少ないという印象があります。

 というより,1980年代の日本の工業水準で作られたM42のレンズですから,そりゃ良いはずですよね。ニコンでいえばF2やF3,キヤノンでいえばF-1の時代ですもん。

 ということなのですが,中古については難しいものがあります。例えばですね,Ai-Sニッコールをフジヤカメラで買うとします。最近まで新品が買えた現行品だったりすると,新品との比較で程度が示されています。しかし,M42のTakumarの場合,1960年代のクラシックレンズとみるか,まともなボディが存在しないジャンクレンズとみるか,あるいはまともな中古とみるかで,その程度の表示の意味が変わってくると思っています。考えすぎですかね。

 クラシックレンズとみれば,程度の悪いのは当たり前,写りも最新のレンズに比べて?なものもあるわけですが,それをわかった上で手を出す高級品の扱いです。値段が写りと直結しません。一般的な写真レンズの実用度と無関係に価格なわけです。

 ジャンクの場合やもうちょっとややこしく,名前の通りジャンクである場合もそうですが,結局の所まともな値段で売ることが出来ないならどんな理由でもジャンクです。

 壊れている,良くわからんので動作を確かめられない,というのは当然として,不人気,数が多すぎる,というのもジャンクになります。

 Takumarも,ちょっと前までこの扱いでした。

 でも,ここ数年でえらい人気が出ているようです。ミラーレスが一般化し,様々なレンズが楽しめるようになったこと,あるいは銀塩ブームでM42のシステムの人気が再燃したことがあると思いますが,その中でもTakumarは現代的なレンズで,クラシックレンズの味わいは薄く,また数もあるせいで安く,オールドレンズ入門用として人気があるのでしょう。

 ですから,私がtakumarのレンズに1万円もの大金を躊躇なく払ったことに,自分が驚いていたりします。

 いや,F2.8という明るさは,ファインダーが暗いSPやES2では限界ギリギリの明るさでしょう。135mmはフィルター径が変わりますし,105mmは大きさも手頃で,うちには被るレンズもありません。(強いて言えばタムロンのSP90mmF2.8マクロがそれですが,なんとM42のアダプトールを持っているのでES2に開放測光にも対応しちゃうのですよ)

 とはいえ,最初は135mmF2.8と勘違いしていたのは内緒です。

 届いた105mmF2.8は,昔なら5000円だよなと思うようなレンズです。程度は良く,F2.8の中望遠らしい大きな前玉がチャーミングで,SPやES2によく似合います。

 私にはとても適当な焦点距離なので,撮影が楽しいのは本当で,背景の省略が自動的に行われる幅で,楽ちんだなあと思います。

 現像したネガを見てみると,やや線が太い感じです。背景のボケは柔らかく,綺麗だなと思いますが,絞ると急に説得力が出てくる印象です。F5.6くらいが美味しいんじゃないでしょうか。

 Takumarの不人気レンズと言えば,135mmF3.5,200mmF4ですが,これらも写りは悪くありませんし,とても素直で良いレンズだと思います。105mmF2.8もこの不人気レンズの系列なんでしょうかね。そのわりにはちょっと高かったかなあ。


・7Artisans 28mm F1.4 ASPH ライカMマウント

 なにを血迷ったか,28mmF1.4ですよ,しかもMマウント!

 実のところ,中華レンズメーカーの格安レンズが面白そうで,Fマウントの私は指をくわえてみている他ありませんでした。Eマウントはいいですよね,無駄遣い出来て。

 で,私は電気回路を入れ換えて復活させたミノルタCLEに特別な想いを持っているわけですが,D850を買うときの資金作りに15mmF4.5を処分したことを,ちょっと悔やんでいたりします。

 まあ,使用頻度も低く,持ち続けていても同じだったろうと思いますから買い直そうとは思わないのですが,それでも40mmと28mmの2本だけではちょっと面白くありません。新しいレンズがとにかく欲しい,そんな欲求が頭をもたげました。

 CLEは28mmと40mm,そして90mmのレンズでファインダーに枠が出ます。出来ればこの焦点距離で使いたいのですが,そこは我慢して35mmか50mmを買ってみるかなと思って探していたのです。

 ちょうどいいと思ったのがコシナのフォクトレンダーですが,ちょっとお値段は高め。デジタルで使えないレンズに出す金額ではないと思った事と,35mmも50mmもCLEらしくないと思ったので,やめました。

 そうすると28mmあたりですが,ここにはお気に入りのColorSkopar28mmF3.5が定位置にいます。F3.5でも28mmは絞って使いますし,レンジファインダーなので暗くても関係ありません。

 そう考えたのですが,これがF1.4だったらどうなんだろう,と思ってしまったから大変です。F1.4なら全く別の写真が撮れそうです。

 本家のライカなら100万コースのレンズですが,中国製なら6,7万円という破格値です。でも,中華レンズの7万円出すというのはなかなか冒険で,そういう事が出来る人こそ本当の金持ちなんじゃないかと思ったほどです。

 この7Artisans 28mm F1.4 ASPHというレンズ,Mマウントのくせに大きく重く,相手を威圧するようなレンズです。

 でも,面白そうです。探してみると,なぜだかamazonで52000円というのが偶然見つかりました。日本の代理店を経由しない並行輸入物です。あまり迷わず買ってしまいました。翌日には売り切れていました。みんな目ざといですよね。

 届いたレンズは心配をよそに新品で,不良もなく問題のない製品でした。同時に買ったフードも出来は悪くないのですが,いまいち格好よくありません。

 作りは良く,フォーカスも滑らかで大したものだなと思うのですが,それでもローレットの指の引っかかりに雑さがあったり,塗装のハゲがちらっと見つかったりと,ツメの甘さは感じます。

 CLEとは問題なく装着でき,撮影も気分良く出来ました。でも,CLEのコンパクトさに大きなレンズというのは,どうもミスマッチだなと思っています。

 こちらはまだ現像も終わっていないのでここから先は後日となりますが,実はこのレンズをCLEに取り付けていたとき,派手に転んで(転がって)しまいました。大したけがもなく,カメラもレンズもどこにもぶつけず,守り抜いたことへの達成感は大きいのですが,現像してみたらどんな風になっているんでしょうね。

ScanSnapを買い換えた

  • 2021/01/25 10:57
  • カテゴリー:散財

 

 本と雑誌が大好きな人に共通の悩みというのが置き場所です。対象がコミックを含む人は特にそうですが,そうでない私のような人でも置き場所は深刻な問題です。

 そんな人たちを救い出したのが,電子化です。文書のスキャンに特化したドキュメントスキャナと,PDFというプラットフォームに依存しないファイルフォーマットがデファクトになったこと,そして十分な解像度を扱うに足るCPUパワーとメモリ,そしてストレージが現実的なものとなったことが,本の電子化を一気に庶民に引き寄せてくれました。

 それまでは,実体を失う事はすなわち内容を失う事だったわけですが,電子化によって実体と内容が分離され,実体を残さねばならないもののみの場所を確保すれば良くなったことで,新しい本や雑誌をさらに蓄えることが出来るようになったのです。

 ドキュメントスキャナの定番,ScanSnapを最初に導入したのが2007年でした。この時の機種はS500でしたが,良くなったとは言えまだまだ使いこなしの難しい機種でした。

 30万枚を越えたあたりでix500に買い換えたのが2013年。6年も使ったS500はもうヨレヨレでした。

そして2021年,新しいScnanSnapが発表になったことをきっかけに,ix1400という新機種に買い換えました。

 ix500は7年半ほど使いましたから,S500よりも長く使っています。スキャンした枚数は322321枚と少しだけ多いのですが,もはや大した差ではないですね。

 しかし,S500がボロボロだったのに対し,ix500はまだまだ全然大丈夫です。消耗品も長持ちするので,交換は1回だけ,それでも特に不調はなく,画質,紙送り共に問題は感じません。

 これまでに壊れたのはUSB3.0のコネクタが割れてしまったことで,これはコネクタだけ買ってきて交換しました。筐体は割れたり傷が付いたりしていますが,性能面で問題となるものはなにもありません。

 もうしばらく使おうと思っていたのに,なぜ買い換えることにしたのか・・・

 今回の新製品は,それまで全部入りの1機種だけだったものが,WiFiの有無とソフトウェアのライセンスの数の差で,上位機種であるix1600と下位機種のix1400に分かれたのです。

 従来機種と同じスペックが欲しい人にとっては1万円の値上げ,それらが必要なかった人にとっては1万円の値下げになります。

 私は後者なので安くなったことに喜んでいたのですが,ありがたいのはスキャン性能に差がないことです。WiFiを使うこともなく,私だけが使う我が家では,ix1400こそ最適なモデルなわけです。

 メカものは初物に手を出すと痛い目に遭いますから,少し値下がりするころに様子を見て買おうと思っていたのですが,そんな私の心を見透かしたように,PFUから登録ユーザー向けの優待販売の案内が届きました。

 価格を書くとちょっとまずそうなので今は書きませんが,S500もix500も37000円くらいで買っていた私にとっても,最安値となる値段でした。

 ix500の後継品が安くなったわけではなく,機能を削減した下位機種が安いだけなので別に得な話ではないのですが,使わない機能を削除してこの価格になっているならとてもうれしいお話です。

 ix500はまだまだ使えますが,購入後7年以上も経過していること,性能が劇的に上がっていること(毎分25枚から毎分40枚),使い慣れたScanSnapMAnagerが今後も使用出来るようになった事,そして今後もスキャンすることが続くことを考えて,買い換えることにしました。

 購入手続きは1月19日,発売日である1月21日に届きました。シリアル番号は1000に満たず,製造も昨年11月となかなか初々しいですねえ。

 さて開梱して動かしてみましょう。ix500からix1400につなぎ替えただけでは認識せず,ScanSnapmanagerをアップデートする必要がありました。

 しかし,ix1400専用と言うことではなく,これまでにインストールされていたScanSnapからのアップデートで問題なくix1400を認識してくれるので,環境も含めて完全に移行できました。

 早速雑誌を1冊スキャンしてみます。

 うーん,確かに速い。紙がにゅーっと出てくる感じから,がっと飛び出してくるような印象です。これで給装も問題なく,もちろん画質も従来通りというのなら,素晴らしいです。

 ただ,速さというのは慣れしまうとそれが普通になるものなので,4冊程度の雑誌をどのくらいの時間でスキャンできるかというトータルの時間で考えたいところです。

 ところが,スキャン2枚目にして縦筋が発生。ix500でも発生しますし,それはScanSnapの宿命なので文句はないのですが,縦筋軽減機能を謳っているのに,ix500と同じ程度の能力なんじゃ,ないも同然です。これはいきなりがっかりでした。

 もう1つ,画質の差です。これは良し悪しではないのですが,ix500と比べると結構なさがあります。まず色合いです。ix1400の方が青っぽくスキャンされるようです。これはix500の結果と比べるとはっきりとした差で,個人的にはix500が好みでした。

 もう1つはモアレです。カラー印刷の網点で,ix1400はモアレが出てしまいました。ix500では発生しないのでix1400での画質の差となるわけですが,これはなかなか判断が難しいです。

 一般にモアレが出るというのは,解像度が高くなったことが要因となるからで,ix500よりもix1400の方が光学的な解像度が上がっているということでしょう。

 あるいは,ix500が経年変化でボケているのかも知れませんが,どちらにしてもモアレという結果で目に付いてしまうことを,どう割り切るか結論を出さねばなりません。

 ix500の画質は,画像のキレも色合いもよく,気に入っていました。モアレも出ることが少なかったので,スキャン結果についての疑問はなにもなかったのです。

 対してix1400はキレは問題ないですが色は青っぽく,モアレの発生もあります。果たしてix500を置き換えて良い物かどうか,ちょっと迷います。結果の質が良いのですが,i500との差が結構あるのです。

 とはいえ,速度がこれだけ上がり,画像そのものも悪いものではないなら,置き換えないという選択肢はありません。ix500はまだ使えますから,もう少し手元に置いておき,ix1400への全面移行を徐々に進めるようにしたいと思います。

 印刷物が減っていること,いわゆる自炊ブームが去ってしまったことで,ドキュメントスキャナの今後は明るくありません。一方でテレワークの浸透でドキュメントスキャナへの需要は高まったという話もあり,いずれにせよドキュメントスキャナがハードもソフトも最新のもので居続けられるのは,そんなに長くはないように思います。

 少なくとも私は,10年前と同じだけの雑誌を定期的に購入してほぼすべてをスキャンしていますし,本も相変わらず買っていますから,なにも変わっていませんし,今後も急に変わることはないでしょう。

 S500とix500あわせて60万枚以上の紙が電子化され,処分されました。

 長く生きるということは,こうやって澱が溜まることなのかも,知れません。

PC-1245の奇跡の復活

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 ある日,PC-1245などLCDに持病を抱えるポケコンの現状が気になり,google先生に尋ねてみました。

 すると,なんとPC-1250系に互換LCDを作った人がアメリカにいて,その人から購入したLCDでPC-1251を復活させた人の話が飛び込んで来ました。

 いやー,とうとうこういう人が現れましたか。交換するしか修理の手立てがないLCDの問題を,こうして根本的に解決するというのはなかなか出来ない事ですが,昨今のレトロPCブームのおかげで個人ではなく会社やお店がやってくれるんじゃないかと,ちょっとだけ期待してはいました。

でも,まさか個人でやってるとは。

 考えてみれば,LCDのカスタムメイドは初期費用も大きいですが,1回で製造される数が膨大です。1つ1000円で作れたとしても,最低3000個とかいわれたら,それだけで300万円ですからね,ポケコンの修理代として300万円はあまりに非現実です。

 ですが,昨今中国でLCDを作ることが当たり前になりました。初期費用も数万円程度,単価も100円とか200円とか,そんなもんで,数も少なくて済むケースがあると思います。仮に1000個で作ってもらえたら,30万円ほどで作れちゃうんじゃないでしょうか。

 そしてそのLCDを欲しい人に3000円くらいで買ってもらえて,そんな人が100人もいれば元は取れてしまいます。中国でLCDが作れることが,これだけ物事を変えていくと言うことでしょう。

 このアメリカの方はPC-1250系だけではなく,PC-1210系のLCDも復刻させています。価格は良心的な$17程度で,送料を入れても悔しくない価格です。

 私はPC-1251とPC-1211を持っていて,どちらもLCDが死んでいるので迷わず注文しました。

 そして,ついでにPC-1245のLCDも同じように作っている人がいるかもと思って調べてみたのですが,そうするとなんと,日本の方が作ってくれていました。昨年あたりから一部の人の間で話題になっていたようで,私は乗り遅れていたような感じです。

 あわてて注文をします。価格は5500円と結構高価ですが,修理代として出せない金額ではありませんし,なにより自分では出来ない事をやってくれているのでから,そこは感謝です。

 4つまでの購入制限があるので,我が家の3台のPC-1245に予備を1枚でなんとかギリギリ。金額的にも厳しいので4つだけ買うことで辛抱しましょう。

 さすがに日本だけって数日で到着。うれしくてその日のうちに交換作業を敢行しました。

(1)MC-2200

 いきなりこれか,という声が聞こえてきそうですが,そう,セイコーにOEM供給されたPC-1245である,MC-2200です。

 同じ大きさ,同じキーボード配列ですが,真っ黒なボディカラーにクリーム色と真っ赤なキーがアクセントになった,なかなか格好いいマシンです。PC-1245のLCDが左にオフセットしているのに対し,MC-2200は中央に配置されています。

 実物を目にした人が少ないということでなかなか貴重なマシンとして扱われているようなのですが,これもPC-1245と同様にLCDが劣化しますので,完動品はほぼ絶滅でしょう。

 私はLCDが死んだものを安く入手してありました。もしかするとLCDを復活させる方法が見つかるかも知れない,もしかするとLCDだけ生きている壊れたPC-1245が手に入るかもしれないと,入手しておいたのです。

 それがこうして役に立ちました。

 湿気を吸っているため,基板にゆがみが出ていますが,慎重に作業を進め,復活しました。最初の交換作業ということもあり,上手く表示が出ずに何度かやり直す羽目になりましたが,最終的には上手くいきました。

 MC-2200がちゃんと動いているなんて,夢を見ているようです。


(2)PC-1245

 2台目は,私が中学生の時に買ってもらったPC-1245,そのものです。10代の私は常にこれを鞄に入れていました。中学でも高校でも大学でも,いつもこれが私の計算機能を担っていました。

 処分価格で出ていたものをねだって買ってもらったのですが,これがこんなに長年の友となるとはその頃思っていませんでした。

 面白がって改造し,RAMは10.2kBまで増設してあります。これも若気の至りと言いますか,結構乱暴な改造をしてあったりしますし,使っているSRAMもよく分からずに選んでいた感じもあって,恥ずかしいものです。

 社会人になって日頃の仕事にも活躍してくれていましたが,10年ほど前からLCDが黒ずみ始め,現在は真っ黒になってしまいました。少しずつLCDが見えなくなるのを見るのは辛く,不治の病に冒されて朽ちてゆく長年の友をなんとかしようとするも,交換以外に方法がないという現実を受け入れ,同じ大きさで同じように使えるPC-1246を主力機にするという決断をしたのでした。

 それがまたこうして,甦ります。感激です。

 で,会社に置いてあるPC-1246は,気分だけでもPC-1245を継承したいと,PC-1245オリジナルのゴムキーを,PC-1245が持つプラスチック製のキートップのキーボードに交換してしまいました。

 手元のPC-1245は確かに中学生の頃から使うPC-1245に間違いはないのですが,キーボードだけはPC-1246のものに交換されてしまっています。

 いずれPC-1246は会社から取り返してくるとして,先にこのPC-1245のLCDを交換しましょう。

 MC-2200で困った点を注意して,作業を進めます。

 古いLCDをフレームから取り外すのが難しいのですが,私はアセトンなどの溶剤を使わず,ドライヤーで熱を加えて外しました。この時,腕時計の裏蓋を外す工具をLCDの表面からフレームに差し込み,少しずつ隙間を広げていくと上手く外れます。

 裏側からこじるとガラスが割れてしまいますので,無理はしない方が安全です。

 ゼブラゴムは同じ場所,同じ面を使わずにローテーションすると上手くいきます。それから汚れを綺麗にアルコールで拭き取らないと,表示が書けたりリークで余計なドットが表示されたりします。特にLCD側に接触する面にゴミがあると,簡単に表示不良になりますので注意が必要です。

 それから偏光板です。オリジナルはLCDの表面に偏光フィルムが貼り付けられておらず,偏光板が鉄のフレームの上から重ねられています。しかし今回のLCDは偏光フィルムが最初から貼り付けられているので,オリジナルの偏光板は必要がなくなります。

 もちろんあっても表示は出るのですが,暗くなるので外さないといけません。そうすると偏光板の厚みだけ薄くなりますので,LCDの表面を覆うプラスチックの透明カバー(風防と言います)がガタガタします。でも,それはそれで大した問題はないのでOKとします。

 そして,組み込みの際には,電源を入れて動かしながら行います。鉄製のフレームから出ている爪は基板の穴に差し込んで裏側で折り返すわけですが,先にすべての爪を曲げてしまわず,左側から表示を確認しながら1つずつ曲げていくのです。

 爪をさらにきちんと曲げて強く固定し,交換完了。最終組み立てを行って電源を入れますが,起動しません。あちゃー,壊してしまいました。

 ああ友よ,さっきまで君は元気に動いていたじゃないか。

 なのにリセットをかけてもBUSYと出るばかり。

 なにせ私にとっては特別な1台ですから,急遽修理を始める事にします。まずは電源とリセットですが,これは大丈夫。ならばクロックを確認しないととオシロスコープの電源を入れて確認をすると,これも大丈夫です。

 バスのアクセスはどうなっているかと確認すると,これはリセット解除後からずっとパタパタ動いており,少なくともCPUやROMが死んだというわけではなさそうです。

 概ね,基板,それもスルーホールやパターンが切れたんだろうと今度はテスターでパターンを追います。回路図を見ながらCPUとROMとRAM, そしてLCDCのデータバスとアドレスバスを見ていきます。

 すると,一部データバスがショートしているのがわかりました。これは面倒くさいです。バスのショートはハンダのブリッジが主な原因ですが,どこでブリッジしているかは目で追いかけるしかないからです。

 それでも見つからないと,今度はICの不良の可能性を疑うことになりますが,その段階で修理を終わらせるのはかなり困難になってしまうことが確定です。

 バスのショートは,どういう訳だか2本ではなく3本のショートであることがわかりました。そして偶然,LCDのフレームともショートしていることがわかったのです。

 取り付け中までは正常動作していたのですから,問題が起きたのはその後,つまり爪を曲げ直ししたところで起きたのでしょう。強く曲げすぎたせいで鉄製のフレームが基板のどこかに接触してしまったのかも知れません。

 そこで爪を少し起こして緩めてやると,今度は無事に起動しました。あー,よかった。

 同じような失敗をしないように慎重に最終組み立てを行って完成。今度はちゃんと動きます。
13歳の私が初めてにしたモバイルマシン。私の計算能力のほぼすべてと記憶の一部を担った真のポケットに入る小型コンピュータがここに復活です。


(3)PC-1245

 PC-1245は特別なマシンですので予備機を1つ,機会があるときに購入してありました。程度は良く,綺麗な状態で手に入ったので無改造のままです。部品取りになるか,置き換えになるかはわかりませんでしたが,もう1つあるという安心感こそが重要でした。

 これがやはり,LCDの劣化という不可避の病を発病してしていました。

 分解と交換作業は手慣れたもので,手際よく進みます。爪を曲げすぎると暴走するという問題もそのまま再現し,爪を起こして正常動作をするようにしてから最終組み立てを完了です。

 この個体は常用しませんので電池は入れないのですが,少し使ってみると程度の良かった昔のPC-1245を思いだし,そういえば中学生の時の病院の待ち時間で,随分活躍してくれたなあと,懐かしい思い出が蘇ってきました。


 ということで,うちにあるすべてのPC-1245が復活しました。もう完全にあきらめていただけに,この喜びは大きく,こういうチャンスをくれたことに本当に感謝しています。

 期間限定であり,これを超える形での修理はもう二度と出来ないだろうと思うのですが,今回はうまくチャンスをつかまえることが出来ました。

 高価だとは思いましたが,5000円で修理出来ればありがたいくらいです。そして今後は,別の機種にも手を広げて下さるとうれしいのですが,PC-1245やPC-1250のような数の出たモデルではあなく,品種も増え,しかもそれぞれに異なるLCDを持つものばかりですので,難しいだろうと思います。

 私が持つLCDに持病を持つポケコンは,PC-1401,PC-1246です。どっちも不人気機種でしたし,LCDの交換をしてまで修理しようという熱意のある人はいないと思います。PC-1246はマシン語が走りませんから不人気と言うよりも悪者扱いでしたので,私は好きなマシンですがこれはもうこのままになってしまうでしょう。

 さて,次はアメリから届く予定のPC-1211とPC-1251です。まだ発送もされていませんし,海外から届くので時間もかかるでしょう。本命はPC-1251ですが,性能面で実用性の乏しいPC-1211も,実はあの独特の表示を見るのが楽しみです。



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