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カテゴリー「散財」の検索結果は以下のとおりです。

HP-200SGを3.15mmに対応させる

  • 2011/01/25 12:37
  • カテゴリー:散財

 さて,この前の週末には,散財の成果が一気にやってきました。開梱していろいろ試して見たのですが,さっさと片付いたものもあれば,なかなか時間のかかるものもあったりしていろいろですが,ここでそれらを順番に書いていきます。

 まず最初,先週買ったHP-200SG用の,インナーコレットキットです。これはハンドリューターであるHP-200SGで,3.15mmの先端工具を利用するために交換するオプションです。

 HP-200SGは3爪式のチャックではなく,ワンタッチのチャックが装備されています。簡単な操作で確実な装着が得られる優れものですが,なにせもともと付いているチャックが3.0mm専用,2.35mmはスリーブコレットを併用してようやく取り付けられるというものです。ほんの少し大きな3.15mmはどうやっても装着出来ません。

 しかし,ドレメルの先端工具などは3.15mmと聞きますし,先日書いたように超硬ドリルも3.15mmですから,私の用途では3.15mmのコレットに交換した方が,ずっと便利なはずです。

 早速手配して,届いたのが先日の土曜日です。2400円ほどしました。

 交換の作業は,とても大変でした。ハンドリュータを分解しないと交換出来ないのですが,この分解に随分手間取ったのです。説明書は入っていましたが,写真が今ひとつわかりにくい上,とても固くて本当にこのまま回しても壊れないのか,砥不安になります。

 経験上,これ以上力をかけると壊れるか,曲がってしまうと言うくらいの力をかけないと外れないものなので,やっぱり電話して聞いてからにしようかと何度もあきらめました。

 まず最初は,先端のカバーを外します。左回りにすれば外れるという事ですが,まずこれがとても固いのです。説明書には書かれていなかったのですが,チャックの付け根当たりに小さな凹があり,付属したレンチを引っかけて反時計回りに回せば外れます。

 そうするとハンドリュータは半分に分かれます。説明書にあるように,間からバネとカラーが飛び出しますので,なくさないように気をつけないといけません。

 説明書に書かれていない事として,モータ側からワッシャが2枚転がって出てきました。おそらくバネを受けるワッシャでしょうが,向きや順番があったかも知れません。

 ワッシャの下には,チャックを締めるための機構があります。これも油断するとぽろっと外れて出てきますが,どうもこれは向きがあるようです。かすかな記憶を頼りに,たぶんこうだろうという向きにして組み付けます。

 さて,外した先端側ですが,説明書によるとドライブシャフトをプラスドライバーで回して外せ,とあります。どのネジを回すのだ・・・と思っていたら,どうやらドライブシャフトの先端部分に十字の切られた樹脂がはめられています。

 この十字にモータのシャフトの先端がはまりこむようなのですが,本当にこれを回していいのかどうか,説明書からは分かりません。

 説明書には,付属のレンチの中央付近に空いている三角形の部分に,コレットの先端を差し込んで,ドライブシャフトを回せとあります。やっていたのですが,びくともしません。

 コレットがひん曲がりそうになっているし,それ以上に十字を切った樹脂が変形して,一部欠けたようになっています。すでにこの部分でモータとの勘合に隙間ができ,型やぶれが出てしまうのではないかと,かなり焦りました。

 それでもなかなか緩みません。これは間違っているんじゃないかと思ったのですが,とにかく説明書に書かれたとおりにしようと,もう少し持ちやすいドライバに変えて,一気に力を入れました。

 ぱきっと軽い音がして,ようやくドライブシャフトが緩みました。ほっと一安心です。

 ここまで来ればもう簡単で,ドライブシャフトを外してしまうと,インナーコレットが抜けるようになります。どうやら,インナーコレットのお尻の部分にネジが切ってあり,ここにドライブシャフトのさきっちょがねじ込まれるようになっていたようです。

そして今回買った3.15mmのインナーコレットに入れ替え,ドライブシャフトをねじ込む,元のように組み立てます。一応完成してから試運転です。

 心配していたぶれや振動はなく,異音もしません。どうやら上手く交換出来たようです。ドリルを取り付け穴を開けてみると,綺麗にあきます。大したものです。

 そして,本当はいけないことなのですが,2.35mm用のスリーブコレットを使って,2.35mmの先端工具を取り付けて見ましたが,なかなかしっかり装着出来ます。ということは,3.0mmの先端工具も取り付けられるはずと,試して見たところなんとかギリギリ取り付けできているという感じです。

 もしかすると挟み込む力が弱くて,スリップしたりするかもしれません。そうすると摩耗や変形が起きるわけで,こういう使い方が禁じられていることは分かっていますが,いちいち3.0mmのインナーコレットに交換するのも大変ですから,私の場合は自己責任で,このまま使おうと思います。

 結局のところ,3.15mm,3.0mm,そして2.35mmの3つが取り付けられれば,リューターとしては十分実用になるわけで,他の直径の軸に対応するために精度の悪いユニバーサルなチャックを装備することは,精度を犠牲にしたものといえそうです。

 これでHP-200SGについては準備OK。いつでも最高の「削り」が出来る用意が調いました。しかし,基板を自分でエッチングして作る事も10年以上やってないし,そもそもこれだけ用意して,いつ役に立つのかどうか・・・

新戦力,HP-200SG

  • 2011/01/17 16:48
  • カテゴリー:散財

 いやー,また散財してしまいました。

 まず最初に軽いものから。昨年末にようやく修理が終わったEPSONのHC-20ですが,プリンタのインクリボンがへたっていて,綺麗に印字が出来ずにいたのですが,そのインクリボンは現在でも新品が入手可能という話を聞いていて,まあそのうち買おうと思っていました。

 HC-20のプリンタは別にHC-20の専用品ではありません。それどころか産業用の小型ドットプリンタの標準品として長く作られ,現在も相当数か稼働しているはずのベストセラーのようなのです。

 その消耗品であるインクリボンが新品で手に入るのはいわば当然のことと言えますが,まさかamazonで買えるとは思っていませんでした。

 それも,マーケットプレイスではなく,amazon自身が販売するのです。お値段も1つ630円となかなかお安いです。在庫は1つ限りという事で,あわてて買いました。こんなものを1つ買っても送料がかからないというのは,amazonならではです。

 日曜日に届いたので早速HC-20にセット。試し印字を行ってみたところ,大変綺麗に文字が出ます。と喜んでいたら,突如バッテリーアラームが・・・

 年末に,印字中の大電流で電圧が一時的に下がってしまい,電圧低下の割り込みがかかることがあって,その対策に大きめのコンデンサを取り付けました。その時は問題なかったのですが,あれから1ヶ月ほど経過して電池電圧が下がり,電解コンデンサでも吸収出来なくなってしまったのでしょう。

 プリンタの動作を考えると,やはりこの手の電圧変動をきっちり押さえる方がよいのでしょうが,それも限度があります。そこで,電圧検出器の入力をだますことにしたいなと考えています。Q1のコレクタかICの1ピンに3.3uFくらいつければ,数Hzの変動は吸収出来ます。

 しかしあれですね,もともとのNi-Cd電池だと特別な回路もいらないのに,単三のエネループにするとやっぱ電圧が下がるんですね。いかにエネループとはいえ,内部抵抗では電動工具に良く用いられたHC-20内蔵のNi-Cd電池にかなわないということでしょう。


 続いて今回のメインテーマです。

 土曜日,偶然ある工具やさんのメールマガジンが届きました。なにげなく見ていたのですが,かなりしっかりしたリュータが,19800円とのことでした。ホームページにいってみれば,ミスターマイスターのHP-200SGという機種で,50台限定の特価だそうです。もともと3万円を越える高級品が19800円ですから,これは安い。

 10年ほど前,アキバをウロウロしていて,偶然3000円ほどのリュータのセットを衝動買いしたのですが,大変便利だった反面,センターがずれていて刃先がぶれまくるんです。

 特にDCCデコーダを内蔵する加工を行うときなど,とにかく削る必要があるので便利だったのですが,ぶれた刃先ががががーとボディを走ってしまうこともあり,くず折れたことも一度や二度ではありません。

 てことで,リュータの便利さには開眼したのですが,ただ削るという作業に何万円もかけるほど日常的に削っているわけではなく,なかなか踏ん切りが付かなかったのです。

 この手の工具は安い店を探すのも結構面倒ですし,いつも安いとは限らないので,この機会に買っておこうかと思いました。

 HP-200SGは,回転数を0から制御できるので,超低速を出すことも可能な優れものです。プラスチックの加工では,回転数を上げると摩擦熱で溶けてしまうので,綺麗に仕上がりません。そこで回転数を落とす必要があります。

 また,気になる軸のセンターのぶれは,この価格のものならほとんど気にしなくてもよいでしょう。トルクもこのクラスにふさわしいものがあるという感じみたいですし,連続動作時間が無負荷で3時間もあるので,作業が連続して出来ます。これはとても重要なことです。

 気になったのは先端工具の交換を行う,チャックです。

 普通,この手のリュータは,3本爪のユニバーサルなチャックか,コレットを使ったチャックで任意の太さの工具を挟むことが出来るのですが,どうもこのHP-200SGの場合,ワンタッチで着脱が出来る反面,軸径は3.0mmのみ,2.35mmは付属のスリーブコレットを併用することで使用可能というものらしいのです。

 もう1つ,私があてにしている,基板の穴開けに使う超硬ドリルを使う事が出来ないならちょっと残念です。軸径が3.175mmというこのドリル,かつて秋月電子で売られていた中古品ですが,10本で300円と格安で,しかも素人の我々が切れ止んでしまうほど使い込むのは無理じゃないかと思うほど,良く切れて耐久性も高いものです。

 残念ながらこのドリルはもう秋月電子では買えなくなって久しく,私は1.0mmが8本,0.8mmが9本という在庫でやっていくことになります。

 調べて見ると,1/8インチ(3.175mm)の先端工具を使いたい場合は,チャック全体をオプションの1/8インチ用に交換すれば使用可能とのこと。2600円もしますが,まあこれは仕方がありません。

 手持ちの先端工具の多くは2.35mmですし,ドリルも使えるなら,これは買うしかないと,嫁さんに事前審査の申請を行いました。

 その有用性と価格についてプレゼンテーションを行った結果,条件付き承認がおりました。条件とは,怪我をしたら捨てる,と言うものでした。根が鈍くさい私としては,かなり難しい条件ですがここでごねると承認が取り消されるので,ここはぐっと我慢です。

 で,このチャックのことを調べているうち,amazonで買うともっと安いことが分かりました。しかも,この商品はマーケットプレイスの扱いで,2社のうち1社は,なんと私にメルマガをよこしたお店でした。

 品物はamazonから発送されるそうなので,送料は無料。お値段はなんと17500円でした。私はあえて,メルマガをくれたお店で買うことにしました。

 amazonは,安い商品は数日かかるのですが,高い商品は早く届きますね。HP-200SGは24時間以内で私の手元に届きました。

 余談ですが,今日amazonを見てみると,18500円に値上がりしていました。なんかの間違いだったんですかね,17500円は。それにしても,自社のサイト経由で買えば19800円,amazonで買えば同じ店なのに17500円とは,得をしたというより混乱します。

 さて,届いたリュータですが,これはもう抜群です。軸のぶれなど全然なく,回転しているのかどうかよく見ないと分からないほどの精度です。

 持ちやすく,静かで,ぶれがないだけに振動もなく,大変使いやすいです。チャックは案外しっかりとしており,確実に挟み込んでくれます。コレットだとどうしてもぶれが出るのですが,軸径が限定されるチャックも,悪くないと思いました。

 スケベ心がわいて,今まで使っていたリュータを分解し,コレットを使ったチャック(これが都合良く2.35mmのシャフト付き)を取り付けてみました。

 結果,軸がぶれてしまって,全然ダメです。しかも回転数を上げるとぶんぶん振り回されてしまって,壊れそうです。ベアリングに無理がかかることうけあいなので,もうこれは使用禁止です。

 同時に1/8インチのチャックも買おうと思ったのですが取り扱いがないようで,別のお店で手配中です。ついでに10本500円で超硬ドリルを販売している店も見つけたので,ここで一生分のドリルを手配しました。(といっても50本ほどですが)

 ただ,ドリルは手持ちだとすぐに折ってしまいます。金額云々ではなく,今や買えないしろものですから,大事に使いたいところです。

 HP-200SGにはフットペダルも付いており,作業効率は上がるでしょう。しっかりした工具は安全性も上がるし,工作精度も高く出来るので,実戦投入が今からとても楽しみです。

 つくづく思うのですが,やはり工具はいいものを買わないと,本当に損をします。危ないし,完成度も低くなります。最近は中国製でも日本のメーカーが安い値段でいいものを売ってくれるので,とてもいい時代になりました。

 そんなわけでHP-200SG,これは本当にいい買い物をしました。17500円は安いものではありませんが,一生ものだと思って買いましたし(それはおおげさですね),これだけパワーがあって静かなら,いろいろなことに,気軽に使うことが出来るでしょう。削るという作業は,なにかと必要になる作業であり,かつ面倒で時間がかかり,時に体力勝負になることもあります。

 あとは,怪我をしないように,気をつけることにしましょう。

ROMライタを買う

  • 2010/12/06 17:26
  • カテゴリー:散財

 先日よりHC-20の修理を少しずつ行っていますが,なかなか尻尾がつかめず,原因がはっきりしないままの試行錯誤が続くという,誠に辛い状況が続いています。

 万が一マスクROMが死んでいたとしたら,復活への希望も絶たれてしまいます。マスクROMが生きているのかどうかを確かめること,そして手持ちのEP-ROMを活用できるようにすること,あるいはNORフラッシュメモリを利用出来るといいかも知れないということで,ROMライタを買うことにしました。

 とはいえ,UV-EPROMが消えて久しく,車のエンジンのチューニングか,古い機器のメンテにしか使う事のないこれらのROMを書き込む装置も,また絶滅危惧種です。

 私は15年ほど前に,秋月でAKI-80をベースにしたROMライタキットを使って来ました。これはこれでそこそこ気に入って使っていますし,今でも動かそうと思えば問題なく動くのですが,2764,27128,27256と2864の4種類しか対応しませんし,スタンドアロンでの動作はディスプレイがないためわかりにくいですし,さりとてPCとの接続はRS-232Cを使わないと繋がらないなど,なかなか使いにくいものになってしまいました。

 特に27256までというのが致命的で,せめて1Mビットのものが読み書きできないとなにかと不便です。そこで,意を決して,秋月で売っているちゃんとした(本当にちゃんとしているかどうかはわかりません),完成品のROMライタを買うことにしました。

 現在もホームページに載っていますので調べれば分かることですが,LEAPER-3Cという機種名です。お値段は15000円ほど。この種の機器としては破格のお値段といえるでしょう。

 スタンドアロンでのコピーも可能ですし,PCとはUSBで接続出来るので,とても楽ちんです。ただ,それでもかなり昔に登場した製品のようですので,これから対応デバイスが増えるとか,ファームのアップデートがあるとか,その手のサポートは全く期待できないことでしょう。

 さて,手元に届いたLEAPER-3Cですが,台湾製にもかかわらず大変安っぽいです。はっきりいって中国製かと思ったくらいです。

 一応,ACアダプタは秋月オリジナルのスイッチングタイプに交換されていたのですが,付属のCD-ROMはCD-Rですし,こういう行き当たりばったり感が嫌いな人は,手を出すのはやめた方がいいでしょう。私?大好きですね,ええ。

 早速動かしてみます。

 まずはスタンドアロンモードです。HC-20から外したROMを読み出して,チェックサムを取ってみましょう。

 説明書があまりに不親切な上,どうでもいいことが丁寧に書かれていたりするので全く役に立たないことはお約束として,この28ピンのROMを,どのソケットに差し込むのか,そこから悩むことになります。

 LEAPER-3Cには,左右に32ピンのソケットがあります。左がSLAVE,右がMASTERと書かれています。

 ROMをMASTER側に差し込んでベリファイキーを押します。ピーと音がして,チェックサムが出ました。E000?これはなんか変ですね。

 SLAVE側に差し込みましたが,こちらもE000。ますますおかしい。ROMが死んでいて,読み出しが出来ないのかも知れません。別のROMを差し込んで見ますが,やっぱりE000です。HC-20の全てのROMのチェックサムがE000なんてことはあり得ません。

 PCにソフトをインストールし,PCモードで動かして読み出しを試みますが,やはりダメです。ダンプを取ってみると,全てFFです。全く読めていません。

 そこで,かつて修理したOberheimのMatrix-1000のROMを読み込んでみる事にしました。このROMは27256に焼かれているので,素直に読み出せるはずです。

 MASTER側では読み出せず,SLAVE側では読み出せました。うーん,そんなもんなんですかね。

 てことで,またHC-20のROMで試します。ROMタイプを27C64にせず,27C256にして読み出してみると,チェックサムがなにやら意味のある数字になっています。もしやと思ってダンプをすると,途中からそれらしいバイナリが見えるではありませんか。

 27256の32kByteのエリアの内,後半8kByteにそれっぽいものがあります。そこを取り出して8192バイトのバイナリファイルにして,HC-20のROMとして保存しました。

 HC-20には8kByteのROMが全部で4つありますが,それぞれで異なった値になっていますし,所々にASCIIで意味ありげな文字列が見えたりしますので,これでたぶん大丈夫でしょう。

 ということで,書き込みの試験はまだやっていませんが,とにかく読み出しがちゃんと出来たという事で,まずはこのLEAPER-3Cは所期の目的は果たせそうです。

 ・・・しかし,なんでHC-20のROMが2764では読み出せず,27256で,しかも後半で読み出せるのでしょう。

 よくよく考えてみました。

 HC-20のマスクROMは,64kビットのマスクROMで,SMM2365という品種だそうです。回路図はつぶれてよく見えないのですが,実物は28ピンですのでおそらく2764互換だろうと,そんな感じです。

 実は,32kビットまではマスクROMもEP-ROMも同じ24ピンでした。しかし64kビットになるとき,EP-ROMはVppやPGM端子が必要になり,28ピンになりました。一方のマスクROMはアドレス線を1本追加するだけですので,24ピンのままでも成立しました。

 この24ピンのマスクROMは,一般に2364と呼ばれます。

 しかし,この2364は2764と差し替え出来るわけではありませんので,不便です。そこで2764と差し替え可能なマスクROMとして,2365が誕生するわけです。

 2365に限らず,マスクROMというのは基本的にカスタム品種ですので,チップセレクトの本数や論理を,カスタマーごとに選べるようになっています。

 さて,2365のデータシートを入手し,2764と27256のピン配置と並べてみますと,

  2365  2764  27256
26 CE1   NC   A13
27 CE2   PGM   A14

 という感じです。これでもうおわかりですね。

 HC-20のSMM2365は,26ヒピンと27ピンがCE1とCE2になっており,正論理にカスタマイズされています。これを2764で読み出しても,オープンかGNDになるだけで,2365はイネーブルになりません。

 しかし,27256で読み出せば,A13とA14がHighになるところで,2365はイネーブルになるわけです。

 なんか面倒臭いなあと思いつつ,こうした工夫をすることで,インバータが削除できたり,アドレスデコーダが簡略化できたりするので,当時は普通に行われていたことのようです。

 ところでHC-20の本体側の回路ですが,26ピンも27ピンもHighに吊ってあります。よってこのソケットにそのまま2764が差し込まれても,問題なく動くはずです。また,基板にはジャンパがあり,27128までは対応出来るようです。

 さて,先程OberheimのMatrix-1000が壊れた時のROMの話を書きました,これもここで何度か書いているので初めての話ではないのですが,この時の故障は,起動時は問題なく動くのですが,15分ほどすると暴走するというものでした。

 中をあけてみますがさっぱりわからず。正常動作をしているときはそれらしい波形が出ていますが,暴走すると全くプログラムが動いていない様子です。もしやとおもってROMを読み出してみると,暴走していた直後は読み出せず,しばらくすると読み出せるようになりました。

 十分時間を空けてから読み出しを行って,これをEP-ROMに書き込んで試すと,何時間経っても暴走しません。かくして,大事にしていたMatrix-1000は,ゴミにならずにすんだのでした。

 この一件で学んだことは,半導体,特にメモリICというのは,急に読み出せなくなるわけではなく,ジワジワと動かなくなるということです。動くか動かないかという話ではなく,アナログ的に壊れていくのですね。

 もしかすると,このHC-20のROMも,電圧が上がりきらないとか,リークがものすごくあるとか,そういうデバイスとして壊れていて,中身はとりあえず壊れておらず,ROMライタのようなしっかりした機器では読み出せたりするということがあるのかも知れません。

 現在,SRAMを256kビット品に交換しています。16kビットのオリジナルでもいいのですが,容量を増やしたいのと,RAMも案外壊れるものなので,不安を取り除いておこうという気持ちからです。

 SRAMを交換し,それで動いてくれればうれしいのですが,今回ROMライタを購入したことで,修理不能という最悪の事態だけは回避できそうな感じです。

[追記]2010/12/7

 LEAPER-3Cを悪く言う書き込みは見当たりませんが,他のお店で売られている中国製のライタが,安くて便利という書き込みを見つけてしまいました。

 これ,EP-ROMを書き込むだけなら別になんでもないのですが,SRAMやTTLのテストが出来るそうです。これはジャンク品を分解して外した部品を使う私のような貧乏人には,大変便利な機能だったかも知れません。

 ただ,スタンドアロンで動かないので,そこは残念なところです。USBで動けば別に問題はないし,LEAPER-3Cだって結局USBで繋がないと使い物にならないですから,9800円という値段であることを考えると,こっちの方にしとけば良かったかなあと,思ったりしています。

 あ,そうそう,HC-20については,SRAMを256kbitのものに交換してみました。アドレスデコーダをNANDゲート4つでちょこちょこっと作って試しましたが,結局動作はしてくれませんでした。道は険しいです。

 

AppleTVがやってきた

  • 2010/12/03 18:14
  • カテゴリー:散財

 新しいものやデジタルガジェットに対して,スイス並みの中立っぷりを信条とする嫁さんが,あろうことかAppleTVを買いました。

 国内発売されたのが確か11月中旬でしたが,直後に品薄となり都内の量販店では売り切れが出ており,欲しいと言い出した時には絶望的な状況でした。

 しかしあるところにはあるものですね。自宅の近所の家電量販店に会社の帰りにふらっと寄ってみたところ,複数の在庫がありました。わずかとはいえポイントも付くので,Appleストアで買うより良かったのではないでしょうか。

 珍しく嫁さんが自分のお金で買うというので,そうしてもらいました。ゆえに,もし我々が離婚するようなことがあると,AppleTVは無条件に嫁さんに引き取られることになりますね。わはは。

 テレビは私のお金で買いましたから,天然ガスよろしく,ロシアのように意地悪をしてもよかったのですが,そんなことをしても誰も得をしないという大人の判断で,貴重なHDMI端子を1つ,気持ちよく提供することにしました。

 正直な話,私自身はAppleTVに興味がありつつも,具体的な使い道を考えつかなかったので購入を見送ったところでしたから,嫁さんの所有物であるとはいえAppleTVがどれほどのものなのか,気にはなります。

 簡単にレビューを書いてみましょう。


・簡単?難しい?

 接続は死ぬほど簡単です。HDMIでテレビとつなぎ,電源は直接AC100Vに繋ぎます。ほんとにこれだけです。

 ここで「簡単だ」などという話になると,これは実は正しくありません。ここからがとても大変で,私が思うに,およそ素人さんには無理なんじゃないかと思うほどでした。

 AppleTVは,ネットワーク接続された環境でなければ,全く動作をしません。なぜなら本体にストレージを持たず,コンテンツの再生はすべてネットワークを経由するものだからです。

 ところがこのネットワークの設定がなかなか難しいのです。無線LANを使えば配線は必要ありませんが,まず無線LANのアクセスポイントに対し,AppleTVのMACアドレスを登録し,接続許可をしなければなりません。

 はて,AppleTVのMACアドレスってどこに書いてあるの?

 これを探すのに15分。箱にも説明書にも本体にも書かれておらず,二人は途方に暮れました。

 答えは,電源をいれて,メニュー内の情報を表示することでわかりました。まずMACアドレスフィルタリングの設定をしてから電源を入れようとすると,永遠に電源が入りません。やられました。

 続けてネットワークの設定です。

 うちは固定IPで運用をしていますので,DHCPではありません。使いにくいリモコンでポチポチと設定を続けることは,もはや拷問です。

 DNSサーバの設定がおわると,設定完了,のはずです。ですが,画面が次に遷移しません。設定完了のボタンを押しても,次に進んでくれないのです。なにか設定が間違っているのかなあと,もう一度あの拷問を甘んじて受け,戻るボタンを連打して最初からやり直しますが結果は同じ。

 ぶち切れて戻るボタンを連打,メニューまで戻ってみると,あろうことか無線LANに繋がっていると表示されています。なーんだ,設定は済んでいたのか・・・それならそういってくれよー。

 拷問で傷ついた心と体を引きずりながら,いよいよ真面目に操作をしてみますが,なにやらテーブルの上の嫁さんのMacから「プツプツ」という音がすることに気が付きました。もしかして・・・そう,AppleTVのリモコンに,MacBookも反応しているのです。

 上下キーを押すとMacBookの音量も変化してしまいます。これは大変困りました。Appleは,AppleTVのユーザーに,Macユーザーがいないと思っているのでしょうか???

 きっと無効にする方法があるだろうと試行錯誤に血みどろになっていると,どうも本体とリモコンはペアリングが出来るらしいのです。日本の家電では,リモコンにスイッチがついていて,こうした問題は起こらないようにわかりやすく出来ていますが,さすがというかなんというか,Appleはペアリングをするんですね。

 いろいろ試していると,どういうわけだかAppleTVがリモコンに全く反応しなくなってしまいました。どうやら,ペアリングを行った上で,解除してしまうと動かなくなるようです。

 こうなると初期化が必要ですが,AppleTVにはなんのボタンもありません。リモコンでしか操作できない製品を,どうやって初期化するのでしょう。

 途方に暮れて私は絶命しましたが,嫁さんが初期化の方法を見つけて,根気よく設定をしました。よって私は,どうやって解決したのかを知りません。

 ここまで,約2時間経過。果たして皆さんは,これを「簡単」といってよいと思いますか?私は理不尽な難解さ,これすなわち「不条理」を感じました。


・使い心地

 せっかく動くようになったのですから,少し使ってみましょう。電源スイッチはなく,操作をすればスリープから起き上がって動き出します。一定時間操作しないとスリープに入るので,ユーザーが能動的に電源を切ったり入れたりすることは,基本的には必要ありませんが,そういう概念も真新しいですから,丁寧に説明が欲しいです。

 動き始めるとサクサクと小気味良い間隔で動き,このあたりはAppleの真骨頂です。もともとOSもCPUもiPhoneやiPadのそれと同一ですので,当たり前の心地よさです。

 日本語の入力が出来ない事は,想像以上に厳しい制約です。特にYoutubeは日本語が入らないと,ダウンタウンの名コント「やすしくん」になかなかたどり着けません。

 そんなこんなでYoutubeは問題なし,大画面でみると面白いものですが,これって冷静に考えるとPS3でできる事ですね。それを言い出すとなんでもそうで,映画のレンタルもネットワークで再生することも,PS3で既に実現していますが,私はやったことがないのです。Appleという会社は,こういう無関心な人にもアピール出来てしまうんですね。怖いです。


・映画を見る

 せっかく買ったのですから,夫婦で映画を見ようということになりました。何を見ようかと考えたところ,公開時に見よう見ようと思って結局見そびれていた,ドリームガールズを見る事にしました。もちろんHDでです。

 2時間以上の映画ですから,終わる時刻を考えて,満腹で苦しいおなかをかばいながら,大慌てで夕食の後片付けをします。やっと終わったとAppleTVを操作し,レンタルをしてみます。

 カードの番号の入力に少し手間取ったのですが,手続きは完了。さーみるぞ,と意気込んでみたものの,再生が始まりません。

 ・・・再生できるのは,1時間以上あとだと表示されています。詐欺だ。

 ストリーミング再生出来るんじゃなかったのか,我々は何のために苦しいなか急いで片付けをしたのだ!

 怒りにまかせ,私は風呂に行きました。風呂から出てくると再生可能になっていました。結局再生可能になるのに,1時間半ほどかかりました。

 「1時間もあったら,ツタヤにいって帰ってきて,また返しにいって戻ってくるだけの時間があるやんけ」と毒づいた私を,哀れなものを見るような目でみた嫁さんを忘れません。

 確かにAppleTVは,AppleTVで直接映画をレンタルすると,ストリーミング再生が出来ます。ですから,ダウンロードが全部終わってからでないと見る事ができないというわけではありません。

 しかし,ネットワークの帯域が狭い場合には,途中で途切れることのない程度にバッファリングをしないといけません。AppleTVはなかなか上手に,再生のビットレートとネットワーク帯域の幅から,どれくらいバッファリングすべきかを計算しているようです。

 うちは,ADSLで実力5Mbps程度です。HDのAVCのビットレートがもし5Mbps程度なら,10分程度バッファリングすれば済むでしょう。全部で2時間の映画を,プログレスバーを見る限り半分程度バッファリングしたということは,3時間30分かけて2時間分のデータを取り込んでいることになります。

 ということは,うちのネットワーク帯域である5Mbpsでは全く足りず,その1.75倍の帯域,つまり9Mbps程度ないといけないという事になりますね。

 これから,1280x720のAppleTVのHDのビットレートを9Mbpsとしますと,720x480のSDではこの1/3として3Mbps。これなら全然うちでも間に合いますね。MPEG2はAVCのざっくり倍ですから,DVD-Video出考えると6Mbps相当になりますので,SD解像度の映画でも,ごく普通のDVD-Videoと同程度の画質は期待できそうですね。

 ということで,AppleTVでHDの映画を堪能するなら,10Mbps以上の帯域は確保することをおすすめします。


・画質

 画質は悪くないです。上手く調整をしてあるせいか,9Mbps程度のHDでも目に付いた破綻はありませんし,ごく普通に楽しめました。バッファリングが長かったぶん,途中で止まったり途切れたりすることもありませんし,見ている間は全く違和感も不自由さも感じませんでした。


・結論

 すでにおわかりのように,AppleTVは映画をレンタルして見るという事に限れば,とてもシンプルな仕様になっています。しかし,ここでMacのiTunesと連携する,iPhoneやiPadと連携する,ということになると,途端に話が難しくなります。特に従来AirMacExpressでのみ許されていたAirTunesがAirPlayと名前を変え,AppleTVに対しても音楽をストリーミング出来るようになったので,そういう利用方法が出てくるととても便利になってきます。

 うちはすでにAirMacExpressでAirTunesを使っていますので,特にAirPlayの必要性を感じませんが,AppleTVの底なしのポテンシャルを使い切ろうと考えると,素人にはかなり難しい領域になるように思います。

 価格は8800円,小さくて格好良くて,接続は簡単,使いこなしは底なしに難しく,その代わり自由度も大きいくせに,DLNAには対応しないばかりか,実はPS3でできる事ばかりだったりするこのAppleTVに対する評価は,ちょっと分かれるかも知れません。

 でも,iTunesとの連携でいえば,実質これしか答えはありません。それ相応の覚悟を持って買われるなら,幸せになれる機材といえるかも知れないです。

パンダGOPANだゴパンだ

  • 2010/11/15 18:58
  • カテゴリー:散財

 三洋電機という会社,私は大好きです。ここは一言で言うなら鈍くさい会社で,決して要領のいい会社ではありませんけども,実力は非常に高く,みんな真面目で純粋で,安いものから高級品まで揃え,その上でどれも一定水準を満たしてハズレがないという,なんとも「損をしている」メーカーです。

 イメージ先行でいうなら,三洋電機は2番手グループでしょう。しかし,彼らが出している商品はどれも本当に消費者本位であり,押しつけがありません。会社としてみると,数年前の中越沖地震での半導体工場の大被害など,リスク管理が全然甘いと思うところもあるのですが,まあどんな世の中にも完璧なものはありません。

 自社の商品を声高に連呼し,買ってみるとうんざりするような製品が多い中,多くを語らずしっかり作ってある製品が多い三洋電機くらい朴訥とした製造業というのも,好感が持てるというものです。

 三洋電機を買収したパナソニックは,商売も技術もお金も世界随一,そんななか三洋はいつも「弟分」と言われ続けてきましたが,戦前から続く名門・松下電器産業の背中は,やはり大きなものだったということでしょうか。

 しかし,兄弟というのは,共通点がありながらも,不思議と個性がはっきり分かれて,それぞれに強みを持つように育ちます。松下と三洋,まさにこれだと私は思っています。

 個人的経験でいうと,三洋の製品を使っていて,故障や使い勝手の悪さ,価格も含め,とにかく嫌だ,と思った事がただの1つもありません。どれもこれも本当に真面目に作ってあり,こちらが求めるものにストレートに応えてくれますし,お金にならんのじゃないかなと思うことで,ちゃんとやってくれたりするので,かえって心配になるほどです。

 カーナビのゴリラ,布団乾燥機,電気敷き毛布,エネループ,電子工作で使った半導体やコンデンサ,仕事で関わったARM9コアのSoC,どれも真面目で,着眼点に個性があり,すべてがユーザーの満足度を上げていく,そりゃこんなことをやっていたら,どっかに買収されてしまうわなと,ファンとしては寂しい気持ちが先に来ます。

 半導体は元モトローラのオンセミコンダクターに,それ以外は基本的にパナソニックに買収されて,おそらくどちらも三洋のブランドを残すことはしないでしょう。これも寂しいですが,三洋の皆さんの,きまじめなスピリットだけは,消えないで欲しいと心から願っています。

 閑話休題。

 そうなのです,大人気のGOPAN,欲しくて欲しくてたまらんかったこのコメからパンを作る夢のマシン,発売と同時に手に入れました。なにやら年内絶望という声も聞こえてきますが,ここまでヒットする白物家電も最近珍しいんじゃないかと思います。

 コメの粉を砕いて粉にするには,大きな筒の中で空気をグルグル回し,壁にぶつけて砕くという仕組みを使うそうです。この設備に億単位のお金がかかることが,お米の粉が小麦粉よりも高価な理由の1つでだそうですが,パンを焼くだけなら別にペースト状でもいいじゃないかという素晴らしい発想で誕生したのが,GOPANです。

 私が子供だった1980年代,お米はパンにシェアを奪われ,その消費量が減り続けた結果,食糧政策はコメ余りと減反政策に揺れ続け,米でパンを作って消費拡大,などという戯言が,出ては消え出ては消えを繰り返して,いつしか人々の気を引くようなものではなくなりました。

 しかし,ここへ来てお米で出来たパンがとてもおいしく作る事が出来るようになり,高いけどおいしい,どこでも買える訳ではないけど食べたい,と言う評価が定まるようになりました。家で作って焼きたてを食べたいという声が大きくなってきたのは当然と言えるでしょう。

 でも,米の粉は相変わらず手軽なものにならず,三洋も前の機種で市販の米粉を使った製パン機を出しますが売れず,消えていきました。

 GOPANは,そうした前の機種の弱点を,いかに克服するかという正攻法で誕生した,これまた生真面目なマシンなのです。

 それに,さすが三洋ですね。米でパンを作ることだけにあぐらをかかず,餅もつけます。いや,ほんとよくわかってらっしゃる。私たちはご飯が好きで,当然餅も大好きです。私は関西人ですので丸餅ですが,嫁さんは関東人なので切り餅です。この差を埋めるには自分で作るしかありません。

 それに経験した人は分かると思いますが,餅つきというのは実に楽しいのです。わいわいやるにはぴったりです。

 もし,単に米が使える製パン機だというなら,私はきっと買いませんでした。私の基準では,製パン機は餅もつけねばなりません。ですからGOPANの予約が始まった時,5万円という高価格にもひるまず,私はGOPANの購入を即決できたのでした。

 買ったのは手堅くヨドバシ.com。実はクレジットカードの番号が某所から流出したため,予約中にカードの番号を変えるという事故が発生して一悶着あったのですが,ヨドバシ.comのおかげでちゃんと発売日に届きました。

 米のパンを作るのに必要となるグルテンも一緒に買いました。市販の米粉ミックスにはこれが含まれているそうですが,米粒から作るGOPANには,このグルテンの供給が最も心許ないポイントでしょう。スーパーで売られるようになるのはまだ先だとは思いますが,それも米粉を使った製パン機の普及次第です。


 そんなこんなで早速ですが,お米でパンを焼いてみました。インプレッションいってみましょう。


(1)大きさ,質感

 まず,大きいです。普通の製パン機が横に大きくなった感じですので,設置面積はガスストーブや小型の石油ファンヒータくらい見ておく必要があります。そして重いです。私は製パン機を買ったことがありませんので比較は出来ませんが,ずっしりと重い鉄の塊という印象です。そうですね,ブリキのバケツに水をしっかり張ったと気の重さという感じでしょうか。

 そんな重さ,大きさですので,いちいち押し入れや戸棚に片付けるというのはちょっと無理があり,おそらく片付けたら最後,使わなくなると思われます。そこで我々はテレビと食器棚のスペースに置くことにしました。

 そうなると見た目が問題です。今回買ったのはワインレッドですが,表面はとてもプラスチッキーで,高級感はありません。本体はツヤあり,フタの部分がシボのあるつや消しで,どうも不格好なのです。デザインはあまりよいとは言えませんし,これを置いておくと部屋が狭くなった気もするし,生活感も増すので,そういうのがお嫌いな方は面倒でもいちいち片付けることを前提にすべきです。


(2)音

 音はtwitterでもつぶやいている人が多いのでご存じかも知れませんが,とにかく音が大きいです。何事かと思うような爆音です。コメを水に浸し,ミルが動作を始めると,まるで削岩機かと思うような音が30秒続き,5分間止まり,また30秒動作して5分休んで・・・を1時間ほど繰り返します。ミルの動作中はテレビの音もきこえなければ,普通の会話も難しいくらいです。

 音の大きさもそうですが,耳障りな音でもありますので,壁の薄いアパートやマンションなどで,上下左右の方に怒られるかも知れません。夜は絶対出来ません。

 こういっては何ですが,開発された方はこういう音が気にならないような,大きな一戸建てのお家に住んでいるのでしょうね。都会の小さい部屋に住んでいると,この音が出たときに「これじゃダメだ」と思うんじゃないかと思います。


(3)問題点

 昨日2回,お米のパンを作りましたが,2回とも成功とは言いにくいものでした。特に1回目はひどく,私のこのマシンに対する信用度はほぼゼロになったほどです。

 というのは,こねる工程で,羽根が回転しなかったのです。

 WEBの説明によると,米パン用の羽根は,左回転の時は米を砕く歯が6300rpmで回転,こねるときは羽根が右回転で400rpmで回るのだそうです。

 パンケースに材料を入れる前に,ミルの付いた専用の羽根を軸に取り付けるのですが,説明書では軸に差し込んで,左右に何回か回せとありました。私は回す作業を忘れていて,軸に差し込んだだけで,材料を入れたのです。とはいえ,しっかり奥まで差し込んだことは確認しました。

 しばらくしてミルが動作し,米がドンドン砕けていきます。牛乳のように白い液体になってから,グルテンとドライイーストが自動投入され,LCDにはこねる行程に入ったことが表示されています。

 しかし,羽根が全然まわりません。こんなものかと眺めていましたが,一向にこねる気配もなく,音だけブーンといっているので,これはおかしいとフタを開け,止まっている羽根を少しだけ触ってみたところ,突然勢いよく右回転を始め,グルテンとドライイーストをパンケースの外に飛び散らせました。

 あわててフタをしますが,すでにこねる行程は終わりに近づいた頃で,満足にこねられることなく,発酵にすすんでしまいました。

 しばらくして焼きの工程に進んだのですが,パンケースから飛び散った粉が焦げて焦げ臭い匂いが立ちこめました。そして出来上がった米パン第一号はあまり膨らまず,底の部分はお餅のようにドロドロの状態でした。

 羽根を見ると,何かにぶつけてひっかいたような2つのやや深い傷がついています。このパンのどこかに,金属粉が混じっているのでしょうか。

 この段階で,私は怒り心頭でした。1.5合ものお米が,無駄になってしまったかもしれないのです。こんなもったいないことが許されるはずがありません。

 確かに羽根の取り付けで,左右に回さなかったことは私の誤りでしたが,納得いかないのは左右に回したところで,くるくる回るだけの話であり,別にかちっと手応えがあるとか,音がするとか,そんな訳ではありません。つまり,どうなったら確実にセットされたのか,全く分からないのです。

 ということは,上手く羽根が回るかどうかは,その時次第の運。こんな恐ろしい装置,はっきりいって使えません。

 失敗の後,掃除をしてから何度か羽根を観察したり,軸に取り付けたりして見ましたが,右回転の時にラッチがかからず,空回りすることがどうやって防止できるのか,やっぱり分かりません。

 なるほど,パンケースの内壁に出っ張りがあり,この出っ張りと羽根の先端に付いているシリコーンゴムのブレードが接触していれば,左回転のミルの時は羽根は回らず,右回転になった瞬間にラッチがかかり,羽根が回る仕組みになっているようです。

 しかし,今回の失敗時,羽根の先端のブレードは内壁の出っ張りには接触しておらず,ミルの時もこねるときも同じ位置にありました。お米というのは重いですから,少なくともミルで回転しているとき羽根は回転しないでしょうし,こねる場合に右回転を始めたとき,運悪くラッチが外れるような位置にいたら,羽根が回らないことになります。

 取り付け時に左右に何度か回すだけでそれが防げるとはちょっと思えず,どうやったらこの致命的な誤動作を完全に防げるのか,見当も付かないのです。これでは予約で外出中に米パンを作る事などできず,基本的につきっきりで見ていないといけなくなります。
 
 2回目は,一応正しい流れでパンが焼けました。1回目に比べてはるかにパンらしいものではありましたが,だからといって綺麗に膨らんだわけではなく,やや小さい膨らみ方でした。

 ただし,生の部分などはありません。1回目は羽根が突然回転したときに,ドライイーストも飛び出してしまい,少なめになっていました。また,新米は水を少なめにとありましたので,1回目は水を10g少なくしましたが,今回は10g増やして,標準的な量にしました。

 おかげでなんとかギリギリ,パンと呼べるものになったのだと思います。うーん,塩が多いと膨らみが小さくなるのですが,入れたバターが有塩だったことや,グルテンが実は専用計量スプーンだとやや多めに入るという罠があったことも,いまいちだった理由かも知れません。


(4)味

 これが一番言いたかったことなのですが,米パンは,パンではありません。あくまで米であり,その点でご飯そのものです。パンの気分で食べるとすぐに満腹になりますし,腹持ちが良いのでなかなか満腹感がなかなかおさまりません。

 お米独特の香りや食感はありますが,小麦独特の香ばしさや軽い食感がないので,これはもう別の食べ物と考えた方がよいのではないかと思います。パンをお米で作るのではなく,お米使った新しい食べものが出来たということです。

 私は,米で作るパンがおいしいといいなあと思っていたのですが,確かにおいしいとはいえ,やはり小麦で作るパンにはかないません。

 ただ,ちょっと思ったのは,このお米のパンの重さというのは,イングリッシュマフィンに近いかも知れません。イングリッシュマフィンは,ハムやレタス,チーズを挟むととてもおいしく食べる事が出来るのですが,もしかするとこの米パンも,そうした具材を載せたり挟むと,おいしいかもしれないですね。


(5)取説

 最近の家電品には珍しく,取説がわかりにくく,どこに何を書いているのか,さっぱりわかりません。系統立てて書かれていない,大事な事が小さく書かれている,どうなっていれば正常なのかがわかりにくく,今起きていることが正しいのかまずいのか分からないなど,とにかく取説があてになりません。

 先程の羽根を取り付ける話もそうですが,軸に差し込んだ後左右に回すことが必要だとして,もし回さないとどうなってしまうのか,回したあとどうなっていれば正常なのか,そういうことが書かれていないので,これで大丈夫なんだろうかという心配がつきまといます。結果は数時間後までわかりませんし,失敗していた場合も途中でやり直せません。

 また,パンケースを本体にセットした後,取っ手を前側に倒す必要があります。後ろ側にも倒せるのですが,そうするとグルテンとドライイーストの投入を行うとき,フタが取っ手にぶつかってしまい,投入に失敗するのだそうです。後ろに倒れないようにするのがまず先にすべきことでしょうし,それが出来ないなら取説には大きく目立つように書いておかなければならないでしょう。

 失敗すると取り返しがつかないことなのですから,ここはユーザーの心配を払拭できるような情報を,きちんと記載しておいて欲しいと思います。


(6)まとめ

 正直なところ,綺麗に作るのがとても難しい上,それほどおいしいとも思わなかった米パンを家のお米から作ることが出来るという機能に,通常の製パン機よりも数万円高いことを,どれだけ納得出来るかにかかってくると思います。

 通常のパンをおいしく作る事が出来るのはあたりまえとして,もちがつけることまで考えても,3万円くらいまでで買うことが出来ると思います。

 そこから1万円以上も高価であることが理解できる人というのは,米パンというものがどんな味の食べ物かをよく知っていて,その焼きたてを食べたいというとても贅沢な望みのある人なのではないでしょうか。私は,やっぱり小麦のパンがよいです。

 
(7)おすすめできるか

 かつてはかりも使わず,オーブントースターだけでそこそこおいしいパンを焼いた経験のある私から言わせると,迷っている方は様子を見た方がいいと思います。

 お米からのパン作りは画期的ですが,あの爆音は間違いなく近所迷惑ですし,ミルの歯が欠けて金属が混じる事故とか起きそうです。グルテンは専用品しか使う事が出来ず,入手にも不安があります。

 お米のパンがおいしいかどうかは個人差があるとして,素直に強力粉を使って作ればとてもおいしいパンが出来上がるのですから,別に普通の製パン機でも十分といえるでしょう。なぜ米パンなのか,なぜ家の米から作らねばならないのか,その辺をよく考えて,ブームが落ち着いてから買っても遅くはないと思います。

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