なにかと入り用な昨今ですが,またも掟破りの散財をしてしまいました。
LaCie d2 quadraです。1TBです。
理由は,安かったからです。7980円でした。もちろん新品です。
1TB?8000円もする外付けHDDが「安い」だなんてぷぷ。
そんな嘲笑が聞こえてきますが,私は20年来の筋金入りのMacの人ですから,そんな嘲笑にはすっかり慣れています。むしろ,最近のAppleのメジャーっぷりには,尻のムズムズした落ち着かない感じが実に心地悪いです。
Macの界隈では,LaCieというメーカーは有名です。高価ですがしっかり作ってある,老舗でMacが独自路線の頃からサポートしてくれていた珍しいメーカー,ということで,それこそ20年前の日本においてはヤノかLaCieかって感じでした。
そんなミーのおフランス調のシェーな(実年齢以上におっさんくさいなおい)LaCieも今はエレコムが代理店をやるようになり,大手の流通に乗るようになったのですが,そのエレコムはロジテックを買収したことで,ロジテックのアウトレットに並ぶようになったのですね。
箱が壊れている代わりに安いというアウトレットを見つけて,10分悩んで買うことにしました。(しかして翌朝には売り切れていました)
決め手はいろいろありました。
増え続けるデジタルカメラのRAWデータを外付けHDDに移民させてすでに5年。RAWデータが独立戦争を挑んでくる事はありませんが,データ量が膨大になりUSB2.0では作業が止まる時間が長くなって,効率が悪いのでeSATAにしていることは何度もここに書いています。
MacBookProでeSATAを使うにはExpressCardを使うしかありませんが,こいつが実にじゃじゃ馬でして,認識しない,レインボーサークルが回りっぱなしになる,突然カーネルパニックが発生するなど,不安定なことこの上ないのです。
一時期安定し始めたので気をよくしていたのですが,今はとにかく不安定で,なにがきっかけなのか分からずじまいなのですが,結局何度かExpressCardを抜き差ししして,騙し騙し使っている状態です。
2.5TBのHDDで,中身はすでに2TBほどありますから,データのロストが一番怖いわけで,マウント中に突然動かなくなったりするともう心臓に悪くて仕方がありません。
かといって,USB2.0は今さらないと思いますし,USB3.0の導入はMacではなかなか高い壁です。USB3.0搭載機種への買い換え以外では,GbEthernetでNASに書き込むのが一番高速なんじゃないかと真面目に思います。
そんな中で,Macにおいて最も信頼できるインターフェースがあります。FireWireです。今となってはすっかりレガシーなインターフェースですが,開発がAppleなだけに純正です。申し訳ないですがUSBよりも崇高な理想を掲げたインターフェースで,もともとSCSIの高速化を図る中で生まれたものです。
USBが12Mbpsでよちよち歩いていた頃,FireWireはいきなり400Mbpsでした。しかもプロトコル的にもハードウェア的にもホストのCPUの負担が小さく,理論上の速度と実際の速度の差が小さいこともメリットでした。
専門的な話になりますが,FireWireもUSBもシリアル伝送ですから,クロックとデータの分離が必須です。データにクロック成分を練り込んで,これを受信したときに分離するための仕組みはなかなか大変で,USBではごく当たり前にPLLを使っています。
PLLは純粋なアナログ回路ですから,USBインターフェースをLSIにする時には,デジタルとアナログの混載となり,この手のLSIには荷が重いのです。
これを見越したFireWireは,DSリンクという巧みな方法を採用しています。データとストローブという2つの信号を使うのですが,この2つをXORするとあら不思議,クロックがちゃんと分離できるのです。信号は2つになりますがクロックをそのまま送るわけではないので周波数は低く抑えられますし,XORですからアナログでもなんでもなく,LSI化するのに何の問題もありません。当然低コストになるはず,でした。
しかし,かのドズル中将が述べたとおり,戦いは数だよ兄貴,です。
圧倒的な数が出荷されたUSBは,PLLなどなんのその,USB2.0はさらに高精度な物が要求されたにもかかわらず,FireWireよりも安い値段で市場を席巻してしまいました。
つまりですね,連邦軍の勝利は,ガンダム一機でもたらされたわけではなく,その低コスト版であるGMの量産に成功し,実戦配備出来た事によるものなわけです。
閑話休題。
FireWireはMacにはずっと標準で装備されたもので,OSでのサポートもしっかり行われており,高い信頼性を持っています。しかもFireWireも一度だけアップデートがあり,2つ束ねて800Mbpsに速度アップしたIEEE1394bがこなれてきており,USB3.0やeSATAが登場するまでは,最速のインターフェースでした。
しかし,マイノリティというのはいつも不遇です。FireWire搭載のHDDは,数が少なく,しかも非常に高価なのです。USBだけなら1000円のHDDケースは,eSATAが付くと3000円,FireWireが付くと一気に1万円になります。
高嶺の花であったFireWireが,しかも800Mbps対応のLaCieが,8000円。なにかと調子の悪いeSATAでデータを吹っ飛ばしてしまってからでは,遅いと考えて,買うことにしたのです。
無論,1TBでは少なすぎますから,保証が効かなくなることは承知の上で,2.5TBのHDDに入れ替えます。1TBのHDDはそれでもそこそこ使い道がありますので,動画ファイルの保存にでも使うことにしましょう。
で,先日届きましたので,早速HDDを入れ替えて見ましたが,ここで撃沈。2.5TBのHDDが認識しません。いわゆる,2TBの壁を越えられないブリッジチップだったようです。
やられました。このd2 Quadraには3TBの品種もあり,きっと大丈夫だろうと思っていましたが,冷静に考えると今回買った商品は箱潰れのアウトレットです。古い物であることは当然考慮すべき事でした。
事実,内蔵されていた1TBのHDDはHGSTのもので,2010年の製造のものでした。内蔵のHDDが2年前なら,ブリッジチップのファームウェアも当然この時代のものでしょう。
LaCieですから,ファームウェアのアップデートがあるかと思い,探してみたらいろいろ出てきます。対応してそうなものをダウンロードして片っ端から試してみましたが,どれもだめでした。1つ,途中まで進んで途中で失敗するというアップデータがあったのですが,これもOSのバージョンを変えたりしても改善されず,結局ファームは古いままです。
ただ,これだと完全に使えないかと言えばそういうわけではなく,eSATAならちゃんと2.5TBで認識します。ブリッジをバイパスするからだと思いますが,あてにしていたFireWireを使えないのは残念だとして,最悪捨てるという事は回避出来そうです。
これを踏まえて,とりあえずHDDを入れ替える前にベンチマークです。いつものようにXbenchを使います。
まずは,eSATAから。
Sequential101.44
Uncached Write192.29 118.06 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write132.96 75.23 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read44.70 13.08 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read230.45 115.82 MB/sec [256K blocks]
Random42.26
Uncached Write13.90 1.47 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write138.91 44.47 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read101.56 0.72 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read176.08 32.67 MB/sec [256K blocks]
100MB/sec越えということで,やっぱり高速です。このHDDのパッケージにも,eSATAなら120MB/sec出るよと書いてありましたので,まさに偽りなしです。といいますか,HDDの速度がそのまま外に出ている幹事ですね。
次に,本当は使いたかったFireWireの800Mbpsです。よく考えたらこのMacBookで,初めて使うんですね,このポート。
Sequential84.23
Uncached Write110.35 67.75 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write91.84 51.96 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read47.31 13.85 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read156.23 78.52 MB/sec [256K blocks]
Random40.30
Uncached Write13.73 1.45 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write97.07 31.07 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read104.31 0.74 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read152.92 28.37 MB/sec [256K blocks]
うーん,eSATAよりは遅いのですが,それでもリードで78MB/secですから,理論値である800Mbpsに対して8割ほど出ています。USBなら半分くらいしか出ませんので,これはさすがにFireWireです。
動作も安定していたし,これが使えないというのは残念です。
最後に,参考までにFireWireの400Mbpsでも試して見ます。
Sequential57.70
Uncached Write63.78 39.16 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write53.77 30.42 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read45.20 13.23 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read77.41 38.90 MB/sec [256K blocks]
Random38.75
Uncached Write14.00 1.48 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write73.76 23.61 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read103.04 0.73 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read116.87 21.69 MB/sec [256K blocks]
ここまで来ると,さすがにインターフェースによる速度限界が見えてきます。40MB/secですから,一昔前なら十分高速だったのですが,今となってはさすがに見劣りします。
USB2.0は・・・面倒なのでやめておきます。
ということで,高級品のLaCie d2 quadraを安く買うことができました。しかし,安いなりの結論になり,その不安定さ故に出来れば使いたくなかったeSATAを使う事になってしまったのは,大きな誤算でした。
確かに,2TBまでのHDDにすれば使えるはずで,一時は2TBにしようかなと思ったのですが,D800の吐き出すデータが膨大なため,すぐに窮屈になるのは目に見えています。それを2TBに制限して,FireWireにこだわって運用するというのも,あまり賢い方法とは思えません。
ということで,FireWire800はあきらめ,eSATAにします。より高速なわけだし,まあいいか。今使っているMarvellのチップを使ったExpress/34カードはどうも不安定ですから,昔使っていたカードに戻してみたところ,動作も安定して快適に使えるようになったようですから,これでもういいことにします。
悔しいので,LEDも変えてみました。LaCie d2 quadraにはまるでHAL9000のような大きな目玉が付いており,これが青く光ります。あまりに青いので気持ち悪く,青緑のLEDに交換したのですが,より一層気持ち悪くなりました。
そこで,白色に交換です。目玉が水色ですので,白色のLEDだと綺麗に光ります。よし,これでいい。
結局根本解決には至りませんでしたが,eSATAのバイパスの仕組みも,このd2 Quadraが採用しているOxfordのチップだと,チップ内部で切り替えるもので,少しは安心でしょう。安いチップだとバイパスと言うよりパラレルで繋いであるだけだったりして,不安が拭えませんから,とりあえず問題なく動作してくれれば,もう文句は言いません。
ついでにいうと,NASへのアクセスも,OSが10.8.2になってからよくなりました。10.8になってからプログレスバーが長い間止まったままになり,バックではちゃんとコピーは続行しているというややこしい問題がありました。
これが,NASのドライブをマウントしていると,eSATAでも起こってしまうので困っていたのですが,10.8.2ではNASでもそういう問題は起きなくなりましたし,もちろんeSATAでも問題なく動くようになっています。
こういうマイナーなトラブルは油断していると足下をすくわれますので,心してかからないといけません。特に私は,子供の写真のRAWデータを大量に失っていますので,この手の失敗でデータを失う事があると,ダメージは計り知れません。
問題は,いずれやってくるMacBookProの買い換え時にどうするかです。
MacBookProの現行モデルには,ExpressCardが使える機種はありません。ThunderboltではFireWireに変換することは出来ても,まさかeSATAにすることは出来ません。ThunderboltをExpressCardにするものは売られていますが,こういうイロモノに手を出すのも怖いです。
ThunderboltネイティブのHDDケースを使えばいいのでしょうが,これはこれで高価ですし,USB3.0を搭載するMacもまだまだマイノリティです。Macをとりまくストレージ環境は,まだまだ過渡期という感じです。