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NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S,買っちゃいました

 買っちゃいました。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(以下Z24-70mmF2.8S)。

 いや,GR4の抽選販売が全くあたらず,また今後もあたる気が全然しないということで,衝動的に買ってしまった感じがあります。

 家族からは「毎日外れた外れたと騒いでるけどそんなに毎日抽選ってやってるわけ,GR4って?」などと皮肉を言われてましたが,経済的に退路を断ち,すがすがしい気持ちでこのレンズをお迎えしました。

 実のところ,昨年末の旅行の前にこのレンズが気になったことがありました。II型の登場で新品の在庫処分があり,一時は実質22万円ちょっとという破格値で出ていた事を知ったのですが,この時にはそんな底値のものは払底しており,別のお店で24万円程度でアウトレット品が出ていることを知って,今買わないと後悔するかも,と思ったわけです。

 この時は,新品とはいえアウトレットであること,なのに底値に対して2万円近くも高い,中古との価格差も結構あるという事実に加えて,24-120mmF4Sで画質は十分,しかも便利という実利の面でも,割と簡単にあきらめが付きました。

 しかし,今回某店からのメールを見て,私の心はざわざわしました。新品218900円。

 これは底値です。この値段で新品が出てくることは,円安,インフレなど,値下がりの要素がなにも見当たらない今後,絶対にないでしょう。さらにいうなら,大三元の標準ズームの新品がこの値段で買えるという事は,あらゆるマウントにおいて奇跡です。

 これが,性能や品質に問題があったり,評判の悪くて処分されるようなレンズならともかく,天下のニコン純正,現行Zマウントで,2019年に登場した時にはその画質に絶賛の嵐,そして現在もトップクラスの性能を誇っています。

 ここで買わないと後悔する,この値段でこの性能は破格だと,私はまず自らの気持ちを整理しました。というのも,これは私にとっては大きな方針変更で,ZマウントがFマウントと同じメインのシステムになるということを意味するからです。

 私はフィルムのカメラとレンズを共用したいと思っていたこともあり,Fマウントからの完全移行は考えていませんでした。それに,Zマウントが本当に育つのかどうかも見極めたいと思っていたので,Zマウントへの投資は限定的でした。

 Zマウントのお試しにと,あくまでサブという位置付けでZfcを買ってみたところ,期待以上の感触を得た私は,次に登場したZfでフルサイズを導入します。

 サブに見合った投資で済んだAPS-CのZマウントに対し,一気に投資額が増えてしまったフルサイズZマウントではありましたが,ニコンの最新機種らしい高画質にミラーレスのメリットである静粛性,Zシリーズに共通するEVFの見やすさ,そしてZマウントレンズにハズレなしと言われるほど優れたレンズたちを前に,自然に持ち出す機会が増えていきました。

 とはいえD850は我が家では最も高画素で,その画質も未だ最高です。ZfはまだまだD850の代わりにはなりません。手に馴染んだ操作系であるD850を差し置いて,そんなZfの出番が増えている事は,やはり総合力でZfがよく出来ていることを認めざるを得ません。

 ですが,前述の通りFマウントからZマウントへの移行には躊躇していました。そのうち,Fマウントのレンズの買い取り価格が下がり,売り時を逸したというのが,これまでの経緯です。

 大きくなるとはいえ,AF-S70-200mmF2.8EあるいはAF-S14-24mmF2.8GとFTZの組み合わせでZfに取り付ければ,画質も操作感も問題なく運用できますし,ZマウントのレンズとしてZ24-120mmF4Sを持っていれば画質もほとんど妥協しません。支出もほとんどなく,FマウントとZマウントを使い分けることが出来るこの状況は,非常に望ましいともいえます。

 こうして私のZマウントはメイン並の役割を負いながらも,サブに甘んじていたわけです。

 ですから,大三元の標準ズームをZマウント用に用意するという決定は,Zマウントをメインに格上げすることを意味します。いくら気持ちでFマウントもメインだと思っていても,Zマウントに対する歯止は利かなくなるはずです。

 大げさな話ではありますが,Zマウントを格上げするという決断は,慣れ親しんだFマウントからの距離が自然と出来てしまっていることを追認することになり,大きな転換であることを意識せざるを得ないのです。

 なによりFマウントとZマウントの二重投資になることを許容しなければなりません。D850とZfの使い分けがなくなり,やがてZfに次第に一本化されることにつながるでしょう。ひいてはFマウントレンズの処分も検討する事になるかも知れません。次第にZマウントへの移行が進むことは止められないでしょう。

 一方で,FマウントのAF-S24-70mmF2.8Sはかなり大きく,それに高価だったこともあり,なにか特別な事でもなければ持ち出しませんでしたから,使用頻度は低く,標準とは裏腹に「特殊」だったことは事実で,宝の持ち腐れであったことに後悔があります。

 これがZ24-70mmF2.8Sの導入によって,一気に大三元が日常に降りてきます。これこそ進化ではないかと思ったわけです。
 
 それこそ特別な時に持ち出す14-24mmや70-200mmはFマウントと共用でもいいでしょう。しかし標準ズームはZfにつけっぱなしであることが理想です。それが今なら現実になると結論し,私は目の前に座っている嫁さんに,素直にレンズが欲しいことを打ち明けました。

私:レンズ買いたい!
嫁:いいよ。いくらなの?
私:高いよ。
嫁:15万円くらい?
私:(ぼそっと)もっと高い。
嫁:(しばらく絶句して)22万円くらい?
私:(目を逸らしつつ)うん,そんなもん

 大人の駆け引きが繰り広げられ,かくて私はZ24-70mmF2.8Sを買うことにしたのでした。(なお,この会話で最も重要なことは,嫁さんにとって高価なレンズとは15万円くらいを境目にするということが分かったことでした。)

 そして先日の土曜日,私の手元にF2.8通しの標準ズーム,Z24-70mmF2.8Sが届いたのでした。


 ということで,お約束のファーストインプレションです。なお,私はFマウントでもAF-S24-70mmF2.8GとEを使っていましたので,どうしてもそれらとの比較になります。

・大きさ,質感

 大きさはFマウントに比べて大幅に小さく,軽くて本当に大三元なのか,と思ったほど驚きました。いや,数字上のF2.8通しなら,かつてタムロンから出ていた28-75mmとか,APS-Cの標準ズームにも小さい物はあったと思います。

 しかしZ24-70mmF2.8Sはニコンの看板レンズであり,最高画質を期待するプロの使用を前提とした,その時々の最高水準の技術で作られる,とても高価なレンズです。それがこのサイズです。拍子抜けしました。

 フィルターサイズはも82mmとII型に比べて大きいのですが,AF-S24-70mmF2.8Eを同じだと思えば許せます。ズーム時に鏡筒が伸びることはII型に比べてウィークポイントかも知れませんが,収納時に小さくなることはむしろメリットとも言えます。

 質感は大変良く,さすが高価なレンズだけあります。フードも内側にフェルトが貼られており,そもそもフードなんていらないんじゃないかと思うほどの耐逆光性能を持つZマウントのレンズにそこまでの手間が必要だったかと不思議な気持ちになるほどです。

 デザインもなかなかよくて,調べてみるとこのレンズあたりから,現在のZマウントレンズのデザインになってきたらしいです。なるほど,Z50mmF1.8Sとは違ってゴムの巻かれたリングは手に馴染みますし,シルエットもZ24-120mmF4Sと似たような印象があります。個人的にはZ24-70mmF4Sがとにかく全面的にダメで良い思い出も何もないので,よかったです。

・操作系

 ズームリングやフォーカスリングは使いやすく,滑らかで素晴らしいです。コントロールリングがあるのはさすがにSシリーズで,クリックはありませんが私は絞りに割り当てて使っています。ただ,Zfは絞りのステップが1/3段から変更出来ないので,そこが残念ではありますね。

 Fnボタンも装備していて,被写体を追いつつ操作が必要なシーンで活躍しそうです。。私はAF-ONに割り当てています。それから高価なレンズに象徴的なOLEDのディスプレイには距離だけではなくズームや絞りも切り替えて表示出来るのですが,距離の場合にはAFが停止する直前にぐぐっと少しだけ行きすぎて戻るような表現がなされており,キビキビとした印象を与えてくれます。楽しいですよ。

 正直,目をファインダーからそらしてわざわざ見ることになるレンズの指標を昔から見た事はなく,II型で廃止されたことを考えても,あまり必要のない装備だなと思います。故障する箇所も増えるわけですし,鏡筒が太くなった理由の1つでもあるでしょう。

 ただ,高級なレンズには備わっている装備でもあるので,私はズームの指標にでも使おうかと思っています。

・画質

 肝心の画質ですが,当然ながら文句なしです。本当に良く写ります。良く写りすぎてつまらないくらいです。高解像度でカリカリで色も鮮やかですし,ボケも綺麗。広角から望遠まで破綻なく,同じ画質でズームします。

 もちろん開放から高画質ですが,F5.6くらいまで絞ればさらに画質は向上し,これ以上を望まなくなってしまいます。もはた単焦点レンズを使う理由は,固定された画角による縛りを積極的に楽しむ事くらいなんじゃないでしょうか。

 一方で,当たり前の画像すぎて,冷たい感じがします。何を撮っても真実が写るというのは正しいのですが,時に人間は真実以上に感情を強調したい時があるもので,AF-S24-70mmF2.8GやEにあった線の太さや色のり方が引っ込み,あまりに優等生になってしまっていて,どんどんシャッターを切ろうと言う気持ちに乗ってきませんでした。

 それと,ちょっと周辺光量の落ち方が大きいように思います。広角側もそうですし,望遠側でも絞り開放だとちょっと目立つようです。絞れば改善しますし,現像時に補正することも可能ですが,優等生のくせに周辺光量が落ちることを計算に入れないといけないレンズというのも,大三元としてはちょっと面倒くさいように感じました。

 あと,逆光への耐性ですが,これは確かに強烈です。少し厳しい条件で光が入ってくると,並のレンズならすぐにコントラストが下がったりいろが褪せたりするものですが,全然破綻しません。

・II型と比べて

 II型との比較は,気にはなりましたが行っていません。II型を触る機会が全くなかったからなのですが,画質や操作感を除くと,まずインナーズームであるかどうかがポイントかなと思いました。私は望遠ズームはインナーズームでないと困ると思っていますが,標準ズームなら別に構いません。それより持ち運びが楽なように,小さくなることが大切です。

 II型はインナーズームですがI型に比べて全長が長いので,持ち運びを考えると私はI型の方がありがたいと思います。また,II型はフィルターが77mmだそうで,これはちょっと羨ましいです。

 画質は実写していないのでなんともですが,MTFを見る限りI型の急な落ち込みも改善されているので,全体的に向上していると思います。ただ,I型のMTFも文句なく素晴らしいので,その違いがどれほどの画質の差になっているかは,もうわかりません。

 そうそう,I型はニコンのF2.8通しの標準ズームとしては珍しく,凸先行なんですね。II型もそうですしAF-S24-70F2.8GもEも,凹先行です。

 どちらが優れているとか,そういう問題ではないことを重々承知の上で言うのですが,凹先行型には独特の線の太さやボケの変化があるように思います。凸先行型は線も細く,解像感も高いですし,望遠から広角までとにかく自然にまとまった画です。それがかえって無個性な印象を与えてしまうのかも知れません。大げさに言えば,まるで他社のレンズのようです。

 個人的にはAF-S24-70mmF2.8Gが好きだったので,これと同じ傾向を期待したのですが,F2.8通しの標準ズームがレンズタイプでそんなに変わるものではないと思いつつも,ニコンらしい三次元Hi-Fiを目指して欲しかったとも思うのです。

 II型が凹先行に回帰したからと言って,以前のような味わいになっているとも思いませんが,少なくともI型は「平凡」で「まじめ」な「超」高画質レンズだと思いました。果たしてこれ楽しいかなあ。

・まとめ

 明らかにZ24-120mmF4に比べて高画質で,大きさはむしろ小さいくらい,それでいて1段明るいなんてのは,もう日常にガンガン使えという事でしょう。とはいえ,70mmから120mmまでは実はなかなか美味しいところで,これがないことでZ24-70mmF2.8Sはちょっとしんどいなと思う事もありました。

 しかしZ24-70mmF2.8Sが見せる繊細さや色には,便利ズームが持ち得ない物があります。私が使いこなせていないということの証ですが,Z24-70mmF2.8Sという,ごく普通の標準ズームを進化させたレンズでは,ただ撮影しただけでは作品にはなりません。そこにあるものをただ素直に高解像度で写し取る馬鹿正直なこのレンズを自分の想いのとおりに使うには,また別の訓練が必要になるような気がしてきました。

 AF-S24-70mmF2.8Eに比べて,さらに高画質になったことは実感しました。しかし,被写体を滑らかにふわっと浮かび上がらせる独特の表現が引っ込み,細い線で輪郭を正確に切り抜くような画像が出てくるZ24-70mmF2.8Sは,同じ大三元でも別物だなと感じました。

 20万円を越える高価なレンズですが,温存するのはもったいない。特別なレンズではなく,贅沢な普段使いレンズとして,手に馴染ませて,線の細さも武器にしていければと思います。

初代GRの出番が増えた

 GRIVがえらいことになっている昨今,我が家にある初代GR(2013)の出番がにわかに増えてきました。

 先日の富山への旅行ではサブカメラとして大活躍しましたし,普段でもちょっと出かけるときにさっと手に取るカメラとして持ち出すことが増えました。

 サイズも手頃でAPS-C,35mm換算で28mmという画角,1600万画素という十分な画素数に,すっかり手に馴染んだ操作感と,確かに普段使いにぴったりです。

 旅行で撮影した画像をみて,初代GRってこんなに良い画を吐き出すんだなあと感心しました。屋外での撮影だったからでしょうが,冬空の青さが見事でした。

 記録を見ると,2013年5月の発売日に9万円で手に入れています。12年前のカメラを一過性のブームに終わらず日常的に持ち出すカメラになっていることは,ちょっと驚きかも知れません。

 その頃の記録を見ると,高感度が絶望的とか,ポートレートが塗り絵みたいだとか,プログラムラインがF4にこだわりすぎてダメだとか,1600万画素くらいでローパスレスにこだわるべきではなく事実モアレが出てしまって困るとか,結構不満を書いていました。

 しかし干支一回りして,私の中でもそうした評価が変わっていることに気が付きます。GRIVが手に入らない今だからこそ,初代GR再考,といきましょう。

 ちなみに,GRシリーズ人気のおかけで,初代GRでさえ中古の売値が9万円程度になっています。買い取り価格は3万円ほどなのでアホらしいですが,数年前まで3万円くらいだった売値がここまで高騰することも異常かなと思います。


 まず最初に,当時の感想についてはその頃使っていたD800への絶大な信頼に随分引っ張られているように感じました。D800は今もいいカメラだったと思える名機だと思いますが,これを基準にGRを評価しているように思います。

 しかし,言うまでもなくGRにはGRの良さがあり,当然得手不得手がありますから,そこを生かして使うことを考えなければなりませんでした。

 今の私はZfで2400万画素に慣れたこともあって1600万画素はそんなに窮屈に感じません。色も感度も屋外なら問題はありませんし,手ぶれについては元々私は必要度が低いです。

 感度もISO1600以上は絶望的だと書いていますが,屋外のスナップならISO400で固定したって構わないくらいです。ISO1600でもノイズの除去はRAWならLightroomで処理できますし,問題ありません。ついでにホワイトバランスもLightroomで調整出来ますから,多少外しても全然構いません。

 そんなことよりレンズの性能の良さが重要だったりします。RAWの素性の良さが利いてくるんです。

 次にAFですが,聞けばGRIVでもそんなに優れたAFではないそうです。つまるところAFに期待しすぎるからなのかも知れず,実は私もこの初代GRを,中央1点にしてシャッター半押しでのAFロックを使うようにしてから,とても快適に使えるようになりました。

 当時はマルチAFだとか,測距点を移動させてとか,コサイン収差を考えて出来るだけ構図を先に決めることを考えて使おうとしていましたが,それらを本格的に使うにはまだまだ初代GRの能力は使用に耐えず,測距点を動かすUIもさらにストレスになっていたのでした。

 また,D800やD850にあわせて親指AFで使うようにしていたのですが,これもそもそも意味はなく,コンテュニアスAFに連写などGRに求めるのが間違いでした。

 潔く中央1点でAFロック。これが一番使いやすいです。しかもこうすることで,ごく普通の使い方に慣れたごく普通の人々(例えば嫁さん)とも貸し借りが出来るわけで,撮影者が増えて撮影チャンスが広がる事の方が遙かに価値があると思いました。

 Pモードにおけるプログラムラインも,実はその後のFWアップデートで出来るだけ開放で使おうとするように変更されています。なので無理にAモードを使うのではなく,Pモードでこちらの意図通りになってくれることが増えました。

 相変わらずポートレートは苦手なカメラですが,スナップやメモ,風景や旅の記録などでは今でも全然通用する画質で,先に書いたようにシーンによっては先日の旅行での写真をプリントしてZfと比較しても,十分張り合えます。驚いたと共にGRの力を見直しました。

 電池もまだまだ劣化していません(予備の電池も買ってあります)から十分実用になります。

 さて,当時気にしていなかったことで,最大の問題点はホコリです。沈胴式のレンズの隙間から入り込んだホコリがセンサに付着して映り込んでしまうという最悪の問題点は,GRがレンズ固定式のカメラでCSMOSセンサの掃除が出来ず,かつセンサクリーニング機能を持たないが故に,修理に出すしか解決方法がありません。

 しかし,修理対応で清掃しても根本的な問題はそのままですから,清掃直後にホコリが付着することもあるわけで,そうなるともうホコリの映り込みを気にしないか,使うのをやめるかの二択になってしまいます。

 私の初代GRも派手にホコリが入り込んでいたのですが,自分で分解してホコリの除去を行いました。あれから何度かやってますので,もう慣れた物です。手間はかかりますが自分で出来るようになると,ホコリももう怖くなくなります。

 初めてホコリの除去を行った後には,ホコリの侵入を防ごうとフィルタを取り付けるアダプタを買い,保護フィルタでホコリの侵入を防ごうとしたのですが,そのせいでGRのコンパクトさが損なわれてしまい,持ち出す気がなくなってしまいました。

 これではいかんと,レンズバリアの前に両面テープで貼り付ける保護フィルタに,薄型のアルミのレンズキャップを用意し,コンパクトさをスポイルしない程度にホコリ対策を行うよう方針を変更しました。これで一気に持ち出す機会が増えたのです。

 おかげでホコリを避けきれなくなりましたが,先程書いたように自分で掃除が出来ますので,ホコリよりもハンドリングの良さを優先できるようになりました。

 同じような感覚で,これまた価格が10万円程度に上がっているシグマのDP2Merrillも使ってみるわけですが,こちらはやっぱりじゃじゃ馬で,とてもGRのような再評価が出来そうにありません。そう考えると,なんだかんだで初代GRは良く出来たカメラだったということが言えそうで,当時のしっくりとこない感覚は私にも問題があったと認めざるを得ません。

 むしろ,サクサクと小気味良く撮影出来るテンポの良さや,大きすぎないデータサイズでRAWから気分良く狙った画に追い込んでいけること,なによりポケットにさっと突っ込んで持ち歩けるコンパクトさという,最新のGRIVでも評価されている点がすでに初代GRに備わっていることを,もっと生かすべきだったと考えるようになりました。

 実のところ,この初代GRはD850を買うときに資金源とするために売却することを検討し,一度は元箱に詰めることまでやっていたのです。当時は出番も少なく,どうもしっくりこないなと避けていたところもありましたので,さっさと売ってしまおうと思ったわけですが,どうせ1万円か2万円程度にしかならないでしょうし,ここで売ってしまうともう二度と買い直せないだろうと思った事に加えて,嫁さんも「置いておいたら」と言ってくれたことで,ギリギリになって売ることをやめたのでした。

 いずれ買い換えるに値するような後継機が出るだろう,その時が来たら売ればいいかと思って残していたところ,意外に手に馴染み始めた事に加えて,ようやく買い換えようと思った後継機は2倍の価格になっただけではなく入手が極めて困難となり,結局売る機会も逸してここまで来ました。これも縁だったのだと思います。

 そんなわけで,初代GRは1周回って,お気に入りのカメラになりました。私だけではなく,嫁さんにとっても使いたいカメラになってくれたことで,初代GRは私以外の視点も手に入れました。

 いつまで壊れずに動いてくれるかわかりませんし,ホコリの除去もいつも成功するとは限りませんから,いずれダメになる時が来るでしょう。でも,12年も使えばそれはそれで十分です。仮にGRIVが買えても,初代GRは手元に置いておくつもりですから,出来るだけ大切に,しかし出来るだけ持ち出して,使っていこうと思います。

キヤノンPIXUS PRO-100はいつまで動いてくれるのか

 うちには写真印刷用のプリンタとして,キヤノンのPRO-100があります。

 調べてみると2014年の5月末に4万円半ばで購入しているということですので,もう10年以上使っています。我ながらすごい。

 これに,2022年の生産終了を受け,今や伝説となっている富士フイルムの画彩写真用紙proという印刷用紙を組み合わせるのが私にとってのベストで,よく使うKGサイズを買いだめて今も使っています。

 とはいえ,以前とは違ってそんなに頻繁に印刷をすることもなくなり,今は年賀状の印刷(今どき年賀状というのもすごいですが)で年に一度12月にまとめて印刷というのが定着しました。

 しかしここ数年,さすがにPRO-100のノズルが詰まってしまい,印刷が出来ない状態が起きています。

 いや,最終的には詰まりも解消して印刷を終えて年を越すのですが,この時の対応策が年々大変になっていくのです。最初は詰まったノズルが数個に過ぎず,クリーニングを数回やればテストプリントで問題がなかったものが,今ではすべてのノズルが詰まってテストプリントは白紙で出てきますし,クリーニングだって何度繰り返しても半分くらいのノズルが開通する程度です。

 もちろんこれでは印刷に使えませんから,すべてのノズルを開通させる必要があるわけですが,3年ほど前からはヘッドを取り出しアルコールでゴシゴシ擦らないとだめになりましたし,今年はとうとうインク吸込み口に直接アルコールを流し込まないとだめになりました。

 そういえば数年前はヘッドと本体の接触不良で全滅というのがありました。この時は接点をアルコールで磨いて難を逃れたのでした。

 そうやってその場しのぎでなんとかしてきたのですが,今年は特に絶望的で,いよいよだめかと思うほど時間がかかりました。クリーニングの回数も数え切れないほどで,最後まで開通しなかったブラックについては,全くインクが減らない状態でインクカートリッジの交換が必要になってしまうほどでした。

 これにはちょっと説明が必要です。PRO-100のインクカートリッジは,実際のインクの残存量を調べるのではなく,インクの排出回数をカウントすることで交換のアラームを出します。ですので,今回のようにインクが詰まっていてインクがカートリッジに残っていても,クリーニングを繰り返すとインクを交換しないといけないわけです。

 これを使えるようにするのはリセッターが必要になりますが,そんなことまでやってられませんし,実は期限切れのインクだったりするので,もったいないですが捨てざるを得ませんでした。

 ある色が完全に出ていない状態だと,インクが詰まったと言う原因ではなく,ヘッドが壊れたとか制御回路が壊れたとか,他の要因も考えられるのですが,少しでも出てくれれば望みが出てきます。特にPRO-100についてはブラックやグレーと言った黒系のインクで詰まりやすいようですから,もったいないとか言ってないで,とにかくつまりを解消するしかありません。

 時間はかかるしゴミ箱に次々に捨てられるインクカートリッジにめまいがしますが,これを防ぐには月に一度くらいのテスト印刷を行う,特にインクが固まりにくい温かいときにやっておくのが良さそうです。昨年は一度も動かす事なく,丸1年放置していましたから,こんなにひどい事になったのだと思います。

 しかし,BCI-43というPRO-100用のインクカートリッジも,そろそろ生産終了の足音が聞こえてきますし,廃インクタンクの問題もあるので,買い換えを検討しないといけません。

 順当に行けばPRO-100の後継であるプロもしくはハイアマチュア用の写真プリンタから選ぶ事になるのですが,PRO-100を実際に使ってみて,さすがにここまでやらんでもよかったなと思う事もありました。

 まず,A3ノビまでは必要ありませんでした。4つ切りを印刷するにはA3ノビが必要ですが,実際には六つ切りやA4がいいところです。一番印刷したのはハガキサイズでしたから,どう考えてもオーバースペックでした。

 なら,同じインクを使ったA4モデルがあるといいのですが,少なくとも現時点で写真印刷に特化したA4モデルはキヤノンにはないようです。

 そうなってくると,複合機で左心印刷に強いモデルから選ぶ事になるのですが,それがどのくらいの画質を備えているのか不明ですし,それに印刷ソフトの問題もあります。PRO-100はPrint Studio Proという良く出来た印刷ソフトがあり,Lightroomからこれを呼び出して印刷することで,高画質な印刷が可能になっています。

 複合機はPrint Studio Proから印刷出来ませんし,そうなるとLightroomから直接印刷することになりますが,その場合のカラーマッチングはどうするか,そもそも私の古いLightroom6で印刷出来るのかなど,難しい問題を解決しないといけません。

 これをきっかけにLightroomもサブスクリプションに移行し,写真編集もMacBookAirで行うようにすればすべて綺麗に解決しそうですが,作業効率を除けば古いMacに古いOS,古いLightroomで十分に自分の意思を込めた写真印刷が出来ているので,大金をかけてシステムを総入れ替えするだけのモチベーションが沸いてきません。

 そのうち娘も撮られるのを嫌がるようになるでしょうし,そうなるともう写真を撮ることすら減っていくことになるでしょう。このまま延命をするのが一番だという結論にいつも達して,そうやって年を越すことになるわけです。
 
 今年もそんな感じで年末になりました。一番先に壊れるのは,やはりメカもののプリンタでしょう。ハガキサイズばかりでとはいえ4300枚の印刷を行った老兵は,もういつ止まってもおかしくありません。

 自宅で写真の印刷を行うと言うこと自体,大昔は考えられない事でしたし,それが30年ほど前に現実的に可能になり,私も良い時代になったものだと思ったものですが,年賀状の衰退と高コスト,そして写真印刷がコンビニで出来るようになって,自宅での印刷は風前の灯火となりました。

 当然プリンタの新機種も以前より出なくなりますし,たくさんあった高性能な写真用紙も入手が難しくなっていきます。どこでも買えたインクカートリッジは通販でしか買えなくなり,それもいずれ生産中止になります。

 こうして年々状況が悪くなる未来を当時の私が知るはずもなく,この分野に限らずあらゆる事で「今日より明日が悪くなる」ということが起きている事は,とても寂しいと同時に受け入れなければならない現実として,私に重くのしかかっています。

 ここに至って,とにかく延命です。そしていよいよダメになってしまったときには,もう悪あがきせずスッパリあきらめることも,必要になると思います。

 ここで改めて,便利な生活というのは,誰かがそれを実現してくれているからだと痛感するわけです。

 この先,どうなるのかなあ・・・

KODAK Charmeraが面白い

 トイカメラが流行ってます。エモいとかいろいろ言われていますが,スマホ以外の撮影機材を若い人が興味を持って選択するときに常に壁になるのがズバリ価格で,デジタルカメラが高価だからフィルムカメラ,フィルムが高価になってしまったからコンパクトデジカメ,そしてとうとうコンパクトデジカメも高価になったのでいよいよトイカメラに,と対象が変わって来ただけではないかと思う所もあります。

 もちろんそこには画質や機能,質感に大きな差があるわけですが,スマホの高画質カメラがベースを押さえているので,サブとして使うカメラはもはやどんなものでもよく,面白ければもうなんでもよいんです。

 インフルエンサーが採り上げたことで認知され流行するという話ももちろんそうですが,そもそもインフルエンサーがなぜ採り上げるのかというところまで考えると,やはり彼らの評価軸に,スマホのカメラにない別の個性が魅力的に見えているかどうかが決め手になっているように感じるわけです。

 実際,トイカメラは随分昔から売られていましたし,トイカメラと言うだけあって現在においても性能の向上や機能アップがあったようには見えません。相変わらずトイカメラはトイカメラとして,昔ながらの画像を吐き出し続けています。

 では,それら傍流であるトイカメラがなぜ,KODAK Charmeraになるとこれほどヒットするのか・・・

 そんなもん決まってます。かわいいからです。

 58×24.5×20mmで30g,プラスチッキーなまるでカプセルトイで,まんまキーホルダーなのに,レンズもLCDも物理ボタンも備えた,ちゃんとしたデジカメです。

 小さくて丸い物が本能的に大好きな哺乳類にとって,これほど愛でるべきカメラがあるのかどうか。

 スペックを書くのも野暮ですが,1/4インチのCMOSセンサー,1440x1080というフルHDですらない画素数,20年前のデジカメにすら負けている160万画素,その割にレスポンスは凡庸でキビキビ動くわけでもない。レンズは35mmF2.4と無難な画角でパンフォーカス。しかもプラスチック製。動画撮影対応でも今どきAVIファイルです。インターフォンのカメラの方が高性能かも知れません。

 しかし,USBはtype-Cで充電もデータ転送も対応,電池は200mAhの電池を内蔵していて,LEDによるフラッシュも内蔵しています。記録メディアはmicroSDで128GBまでOK。つまり,昔ながらのトイカメラを現代風にアップデートしてあるわけです。

 そうすると見えてくるのが,レトロな画質の現代のカメラという個性です。地デジ同等の少ない画素数,すぐに白飛びするダイナミックレンジの狭さ,淡泊な色とコントラストに盛大な収差,JPEGノイズと輪郭強調で破綻した画像・・・20年前の画質です。

 しかし,これにオレンジ色の日付を入れればどうか,面白いフレームやフィルターでさっと画像を加工出来たらどうだ,それらをさっとスマホに転送できたらどうだ。難しい操作も知識も必要なく,電源を入れてシャッターボタンを押すだけの簡単操作はどうだ。
 
 そして価格は$30(今B&Hをみたら$39でした)。円安の日本ではこれを6000円で売っています。

 大切な事を忘れていますが,この価格で買えるデジカメは,いわゆる幼児向きのオモチャを除くと,もうあんまり選択肢がなかったりするのです。

 "写ルンです"でカメラの面白さに目覚めた人がランニングコストに耐えかねて中古のコンデジを買ってみたものの,電池は死んでいるし記録メディアも見た事のないへんなものでどこにも売っていない,幸運なことに付属していても撮影枚数が少なすぎるだけでなく,PCやスマホで読み込む方法が見つかりません。もう途方に暮れるしかない・・・

 そういう声をちゃんと聞いて作ったんじゃないかと,私は感心したわけです。

 そんなカメラを,KODAKブランドで出す。しかも6種類がランダムに売られていて,1/48の確率でシークレットが入っているんですよ。集めたくなるじゃないですか。

 それぞれ1980年代を彷彿とさせるデザインで,もちろんKODAKイエローも健在。これをデジカメとしてではなく,チャームとして売るんです。そりゃ流行しますわ。

 ということで,私も買いました,KODAK Charmera。

 とはいえ,存在を知ったのが11月末と遅く,娘に「こんなんあるで」と紹介したのが10日ほど前の事です。すでに流行が過熱し,年内の入手は絶望と言われていました。

 中学生の娘なら知っていて,みんな持ってる私も欲しい,というかなと思ったのですが,案外そういうわけでもなく,初めて見たと言ってました。見た瞬間,欲しいと言い出したのですが,これは入手が難しいからしばらく無理だなあと言ってなだめたのでした。

 ところが先日,大手量販店がお一人様3個限定で緊急販売をスタート。私も乗り遅れることなく家族全員分のCharmeraを買うことが出来たのでした。

 翌日届いた3台のCharmeraを,家族で一人1つ手に取って開封しました。黄色が欲しいなあと思っていたのですが,結果は黒と赤が2台。赤は今ひとつ琴線に触れなかったのですが,まさかそれが早速ダブるとは,なかなか幸先の悪いスタートです。

 手持ちの16GBのmicroSDカードをフォーマットすると約58000枚。娘には32GBのものを渡したので,99999枚でカウントストップです。もう無限に撮影出来ると言っても過言ではありません。

 電源を入れて初期設定をしますが,独特のUIで混乱します。でも簡単なのですぐになれます。このあたりは悪くないですねえ。

 そして撮影。電源を入れるのに長押しはカバンの中で勝手に電源が入るのを防ぐためなのでよいとして,起動後すぐに撮影可能な状態にならず,静止画か動画を選ぶところから毎回スタートするのは確かにまどろっこしいです。

 ですが,シャッターボタンがすぐに静止画モードに移行するショートカットボタンですので,大した手間ではないと思います。

 書き忘れていましたが,ここまで何かと音が出ています。起動音やボタンのクリック音など,結構うるさいです。シャッター音も出ます。消せません。

 撮影しますが,ズバリ楽しいです。我々が忘れていた何かが,ここにはあります。小さなLCDはファインダーとしても撮影後のプレビューとしても案外使える印象で,むしろ小さく画素数が少ないため,画像の粗が目立ちにくくて「お,案外綺麗に撮影出来るんだな」と騙されてしまいます。

 でもそれがいい。騙されましょうよ,この際ですし。

 フィルタも楽しいですよ。個人的には2値化もKODAKのレトロフレームもいいんですが,モノクロも楽しかったです。

 それから動画です。動画こそオマケだと思っていたのですが,30FPSですし,生意気に音声も録音されました。ちゃんとマイクも内蔵しているわけで,オマケとして真面目です。マイクがなくて音がない動画でも,このカメラなら誰も怒らないと思いますよ。

 欠点はですね,消費電力が大きいので,電池が結構早くなくなるということです。ここはこのカメラの本質でもあるので,頑張って欲しかったです。

 それから,付属のUSBケーブル。本体側のtypeCはともかくとして,反対側がtypeAってどうなのよ。もしここにtypeC-typeCのケーブルだったら,スマホと直結できて便利だったはずです。充電だって今どきtypeCで困る人などいないでしょうし,typeAの方がむしろ困るくらいでしょう。

 設定項目が少なすぎるのも問題です。いや,誤解のないように言っておくと設定項目などゼロが理想です。ただそれは理想的な設計が成されている商品という意味の裏返しであって,通常は設定を変更出来ないと困ることも多いです。KODAK Charmeraの場合,音が出ないようにする設定がないこと,フラッシュの発光禁止が設定出来ないことが問題です。

 特にフラッシュは致命的で,フラッシュ撮影禁止の場所では実質使えません。まだ目が弱い赤ちゃんの撮影で使うことは避けたいところですし,そもそも光が弱すぎてほぼ役に立たないフラッシュを発光させることにはデメリットしかありません。

 最後にちょっと強度が心配です。特にキーチェーンを取り付ける部分が,すぐに壊れてしまいそうで,そうなるといつの間にか落として紛失,仮に見つかってもチャームとしての価値はありません。ここはしっかり作って欲しかったなあと思います。

 ということでKODAK Charmera,娘は早速カバンにつけて学校に行きました。全く同じ形でKODAKでないものも売られていて,それらはもうちょっと安かったりするのですが,中国で標準品として作られて供給されているトイカメラが,KODAKブランドでうまくマーケティングすると世界的なヒットになるという,誠に面白い例でした。

 いやでもまてよ,そんな風に斜に構えなくても,十分に面白いんじゃないかい,これは。

 

Optio RS1500のバックアップ電池

 娘が部活の合宿に出かけたおり,珍しくコンパクトデジカメを持っていくと言い出しました。スマホで撮った方がよほど綺麗だし写真の整理も楽だと思うのですが,撮影していて楽しいんだそうで,まあ私もわかる気がします。

 彼女のお気に入りは,PENTAXのOptio RS1500です。そう,12年ほど前のクリスマスの夜,会社の帰りに自宅の近所の量販店のワゴンセールで,わずか5000円でたたき売られていたものを救出して以来,うちのカメラになったものです。

 でもまあ,スペックのどこを見てもスマホに負けてますわな。これを使う理由は,スマホの電池を温存するか,親に時間制限をかけられたスマホを持たされている中学生が仕方がなく使うか,そんなところです。

 LCDが悪いので撮影時の画質が悪いように思いがちですがさにあらず,撮影された画像をPCで見てみるとなかなかよく頑張っていて,そこはさすがにデジタルカメラを名乗るだけあるとおもいます。

 大きさも手頃ですし,手に馴染むスクエアな形,操作もややこしくなく,電源とシャッターの2つのボタンで基本大丈夫というのも,なかなか魅力的です。

 マニアックなところでは,今やロストテクノロジーとなったCCDによる独特の色合い,smcPENTAX銘の4倍ズームレンズは非球面レンズを3枚も使った5群6枚(シリーズ最低のスペックなんですけどね),35mm換算で27.5mm~110mmまでと無理のない範囲で常用域をカバーしています。

 AFはいっちょ前に自動追尾に顔検出対応,シャッター速度も最高1/2000秒と十分で,メモリーカードを忘れたときでも21MBの内蔵メモリで急場をしのげますし,電池寿命はCIPA基準で210枚でと普通の使い方なら1回の旅行をこなせるでしょう。

 それから,PENTAXがHOYAの傘下にあったあの時代のカメラなので,機銘板はHOYAになっているところに,事情を知っている人は涙があふれるのを抑えきれないことでしょう。そんなカメラです。

 あ,着せ替えとか,そんなのはどうでもいいです。

 残念なのは,この時期のデジカメにありがちなある持病を,RS1500も抱えていることです。それは,時計や設定のバックアップ電池です。

 デジタルカメラは,一般に駆動用の電池を本体から外して充電しないといけないので,時計や設定をバックアップする小型の電池が内蔵されています。昔はコイン型のリチウム電池だったりしたのですが,電気二重層コンデンサで数分だけ持たせるようなものもありました。

 しかし,数分ではさすがに短いという事で,腕時計に内蔵するボタン電池と同じようなサイズの二次電池が2000年代後半頃から使われるようになりました。正極にリチウムとマンガンの複合酸化物,負極にはシリコン酸化物を使ったものだそうで,公称電圧は3V,サイクル寿命は100%充放電で100回程度,20%充放電だと1000回ほどOKという二次電池です。

 これだと丸一日のバックアップが出来るという事で,こぞってこの時期のデジカメに採用されたのですが,なんと言っても電池として機能する寿命が短く,僅か2,3年で死んでしまう電池が続出しています。

 従ってこの時期,そう,コンパクトデジカメ最後の時代ですが,現在まで生き残っているデジカメのほとんどは,バックアップが機能しないものとなっています。

 交換すりゃいいじゃないかと思うでしょうが,交換はメイン基板をごっそり交換することになるので高額です。というか,今はもうどこも修理などやってません。

 対象となるのはRS1500はもちろん,H90などもそうですし,なんとPENTAX QやK10Dだって含まれています。もう全滅と言っていいでしょう。
 
 とはいえ,バックアップが出来ないだけで,充電が終わった駆動用の電池を入れて設定し直せば撮影はなにも問題ないので,そのまま放置するのが一番という話もありますが,そうも言ってられないことが先日起きました。

 娘が合宿から戻ってきて,写真をみんなで見ていたときのことです。ある時刻から撮影日時がリセットされて2011年になっていました。これは悲しい。

 どうも,電池ブタに連動した電源カットのスイッチが誤作動して,電池が一時的に切り離されてしまったようなのです。そういうへんな仕組みを入れることも問題だと思いましたが,バックアップ電池が生きていたらこんな悲しい事は起きなかったでしょう。(本人はけろっとしていましたが)

 娘に聞くと,まだ使いたいとのこと。よろしい,ならば修理をするまでです。

 RS1500は,以前CCDにホコリがついたかなにかで一度分解して(しっかりストロボのコンデンサで感電しました)いますが,メイン基板を外すのは初めてでしょう。さっさと分解して基板を確認します。

 そこに,レンズ豆くらいの電池がマウントされていました。リフロー対応のタブがついたMS414GEというものです。直径4.8mmで高さが1.4mmと小さく,容量は僅か2mAhしかありません。サイクル寿命は100%でわずか50回です。

 外そうとしてハンダゴテをタブに当てたところ,電池にも熱が加わってしまったみたいで,なんと膨らんでしまいました。破裂すると厄介です。ここで作戦変更,まずタブと電池をニッパーで切り離し,電池が基板から外れてから,タブをハンダゴテで取り除くことにしました。

 手持ちの交換用の電池を探したところ,昔秋月電子で買ったMS621FEが見つかりました。直径6.8mmで高さ2.1mmとかなり大きくなりますが,容量は5.5mAhと2倍以上,サイクル寿命も2倍の100回です。(ちなみにこれを買った当時ならMS414GEも買えたようです。今は販売休止になっていますが・・・)

 ぱっとみたところ,なんとかこの大きさの電池ならおさまりそうです。ショートが怖いのでカプトンテープでしっかり絶縁して基板に取り付けます。正極についてはリード線でジャンパを飛ばします。

 基板をフレームに取り付ける時に,電池がフレームにぶつかってしまうので,フレームを削ってぶつからないようにしますが,強度が落ちてしまうことは覚悟しないといけないでしょう。まあ,仕方がありません。

 さっさと組み立てて,駆動用の電池を入れます。バックアップ電池も2次電池ですので,駆動用の電池を入れてから丸一日かけて充電がなされ,その後ようやく24時間のバックアップが可能になります。

 翌日試してみると,5時間ほどはバックアップ出来ているようです。これなら便利に使えるでしょう。

 容量としてもサイクル寿命としても倍になっている電池ですので,あと数年は動いてくれる物とおもいます。その後はまた修理するか,いよいよ捨てるかという話になると思いますが,娘が持ち歩いている間だけでも,無事に機能してもらいたいものです。

 ところでそのMS621FE,現在秋月電子では在庫切れ。入荷予定はあるようですが,価格が120円と安かっただけに,値上がりは覚悟しないといけないでしょう。リフロー対応のMS621Rは1個150円とややお高いですが,まだ在庫はあるようです。

 もう壊れるまで使い続けることにした,PENTAX Qの皮を被ったPENTAX Q7も,同じ症状が出ています。いつか修理をしないとなと思っていますが,MS621GEが使えるなら,秋月電子で販売が再開されたら検討してみましょう。

 

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