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D850は最後の最強モデルになるのか

 以前から噂が出ており,半ば確定路線とも言えたD800系列の最新モデル,D850が昨日正式に発表になりました。

 開発そのものは7月末に発表になっていましたが,詳細スペックや発売日,価格などが出てきたのが昨日です。

 スペックは事前の噂通りだったのでそんなに驚くことはなかったのですが,驚いたのは発売日と価格です。発売日は9月8日とわずか2週間後ですし,価格はカメラ店での一発目価格が税込み約36万円です。

 いやなに,36万円は高いです。D800の価格が27万円くらいで始まり,D810が現在20万円前半で買えることを考えると,同じシリーズの後継機種が36万円は,やはり実質値上げだと,私などは思っています。

 しかし,世の中,安すぎる,ニコンは商売が下手,バーゲンプライスだと絶賛の嵐です。

 正直に言って,ここまで褒める気は私にはないのですが,安いという意見には私も同意します。理由は2つ。1つはD850はD800系列の最新モデルというよりもむしろ,D5の高画素機とも言える内容になっていることです。

 登場時に皆腰を抜かしたD5のAFシステムと同じAFを搭載し,連写速度も最大で9コマ/秒,シャッター耐久20万回のプロ仕様です。

 中級機種には必須であるストロボをあえて内蔵せず,小型ストロボが便利にならないプロを意識し,その代わりに見やすい光学ファインダーにこだわるという姿勢は,間違いなくD800やD810とは別のユーザーを取りこもうとしています。

 思えば,D800も一眼レフのその後の方向性を決定付けた記念碑的モデルでした。いきなりジャンプアップした3600万画素にD4から移植されたAF,しかし20万円台の価格と,その後の高画素モデルのあり方を決めたと言ってもいいと思います。

 その後,ライバルのESO5Dシリーズの価格が,性能アップと共に一気に上がり,40万円を越えるようになってしまい,完全にプロに軸足を置くようになりました。ニコンもこれに追従するのではないかと思っていたのですが,D810についていえば,それはなかったと言えます。

 でも,D850の噂が聞こえてそのスペックがわかってくると,これはもプロを相手にしたカメラだな,きっとD800系が担っていたハイアマチュアは,もう1ランクしたのカメラをあてがうつもりだなと,そんな風に感じてしまい,自分の世界から外に追い出していたのでした。

 そこへ,昨日の発表です。

 36万円なら,なんとかなるんじゃないか・・・今なら発売日に手に入る・・・とりあえず予約だけはしておこう・・・

 気が付いたら,D800を買ったカメラ屋さんに,電話で予約を済ませていました。

 D800を購入したのが2012年の6月頃。あっという間に大きくなるこの時期の子供を,可能な限りの高画質で残しておきたいと,思い切って買ったものでしたが,5年を経過した現在においても,D800の画素数や画質には不満はありません。むしろ手に馴染み,クセも分かったD800は,買い換える理由を見つけられません。

 しかし,D800に対する不満や,我慢をしていることがないわけではなく,それはやはり連写速度とAFの性能,そして高感度性能でした。

 D2Hと併用すれば,大昔の失敗機のシャッターの機敏さと心地よさにD800が色褪せて見えます。単純な連写枚数ではなく,高速連写を実現するために鍛えた筋肉と骨格が持つ,ゆとりと軽快感が欲しいのです。

 AFも当時は最高性能であり,今も十分なものを持っていますが,さすがに撮影や構図に集中出来るかといえばそれは難しいです。

 そして高感度性能。ノイズがの多い少ないなんてのはもう昔の議論であり,ノイズが気にならない範囲での,発色の良さとダイナミックレンジの広さがどれくらい維持されるかが重要です。D800は,ISO800くらいが劣化のない範囲であり,ISO3200は限界ギリギリでした。

 それらが,一気に解決します。約4600万画素という強烈な画素数で最大9コマ/秒です。ブレを押さえるためのシャッターカウンターバランサーの搭載まで搭載し,強靱なバネとしなやかさを兼ね備えた,まるでバレエダンサーのようなメカに,おそらく私の脳みそはアドレナリンをドパドパ出す事でしょう。

 ソニーが撮像素子の歴史を塗り替え,人類が後世に残す画像に新しい基準を作った裏面照射CMOSセンサは高感度と高速性を両立し,これもおそらく高感度時の画質を高い次元で維持していることでしょう。

 また,これまで撮影サイズで変化していた連写速度が,フルサイズでもAPS-Cでも変化しないことにも注目です。もはや,連写速度は,画像データの転送速度によって制約されるのではないと言うことなのです。

 AFはD5からの移植ですが,測距点をただ増やしても面倒なだけ,しかし増やした測距点をデータ収集拠点と考えたニコンは本当に偉いです。複数の測距点をまとめて,AF性能を高めると言う発想は強烈です。

 AEも,一点の明るさ,多点の明るさ,やがて色まで判断するようになりましたが,すでに初期のテレビカメラと同じ画素数をもつ18万画素のAEセンサは,とうとう画像そのものを判断するようになりました。

 これに加えて,私は冷静に,もしかすると,ニコンの長い歴史の中で,ミラーボックスを持ついわゆる「一眼レフレックス」が,このモデルで終焉を迎えるのではないかと,そんな風に思っています。

 すでにデジタルカメラになることで,光学ファインダーが必須ではなくなっています。電気的に解決しないといけない問題が多く,俗に言うミラーレスカメラがまだまだ光学ファインダーを持つカメラに追いつかなかったのですが,それももう昔の話です。

 一般撮影に限って言えばすでに光学ファインダーでなくても構わないくらいに電子ファインダーの性能は改善されており,一方で電子ファインダーのもつ素晴らしいメリットが,カメラをより魅力的なものにしています。

 ニコンも本格的なミラーレスの開発を宣言しており,フィルムカメラをデジカルカメラが置き換わったように,実は一眼レフがミラーレスに置き換わることの真実味を,ニコンがイメージし始めたのではないかと思うのです。

 そんな矢先に出たD850を見ていると,出し惜しみ無しで,今一眼レフに搭載出来るものをすべて盛り込んだものと,私には見えます。それはまるで,F5に対するF100のようです。

 そう考えると,D850は,価格と性能という単純な軸のみで考えるべきではなく,私が長く親しんできた一眼レフの1つの頂点であると見えてきます。

 単なる記念碑的モデルではなく,実用モデル,あるいは戦闘用モデルとしての最強一眼レフは,もしかするとD850で終わりになるのかも,知れません。

 なら,やはり欲しい。

 9月8日が,とても楽しみです。



聖地巡礼

 先日,念願だったニコンミュージアムに行ってきました。

 お金のなかった学生時代には夢と憧れの存在だったニコンですが,その信者になってはや20年,マウント不変のメリットをしみじみ感じています。ニコンでよかった。

 そのニコンが,聖地大井町を離れて品川に移転し,その際に公開されたのがニコンミュージアムです。本社のロビーの一角に出来たもので,入場無料ですが,あくまで本社の一部ですから,平日の10時から18時までの開館となっています。

 昨年10月にオープンしたこのミュージアムですが,ニコンのファンはもちろん,カメラ好きも巻き込んで,話題になっていました。私もいきたいなあと思いつつ,土日にオープンしていないこと,平日はなかなか時間がないこともあり,ずっと我慢をしていました。

 ですが先日,ふいに時間が出来て,念願叶って見学することが出来ました。

 個人的な話で恐縮ですが,私はこの界隈に勤務していたことがあり,品川駅からそれなりに離れたこの建物を,とても懐かしく感じていました。港南口の周りの飲み屋街をくぐり抜け,食肉処理場に隣接するこの建物に入り,2つのコンビニと本屋さんを横目に,終端に位置するニコンミュージアムまで歩いてきました。

 これまで様々なレビューに目を通していましたが,その上で到着時に感じた第一印象は,思ったほど大きい物ではないなということでした。

 ただし,よくあるショールームとは違って,歴史的なもの(それはニコンにとってと言うより産業史としても重要な物)が存在しているという点ですでに興味深いものであると前置きした上で,昨今の博物館がレジャー的な性格を強くしている(かの国立科学博物館もそういう方針で来場者数をうなぎ登りに増加させています)中,規模という制約のために,気合いを入れて見学するぞ,と言う覚悟をかき立てることはなかった,という話です。

 面積はそんなに大きくないとはいえ,その展示物は圧巻です。限られた枠の中で意味のあるものを見せよう,という非常に前向きな気持ちがとにかく前面に出ていて,作り手も楽しんでいるという好ましい手作り感が,とても親近感を感じられるものでした。

 このミュージアム,見習うべきところが多いと思います。

 無論,そんなに頑張らなくても,ニコンは歴史と伝統と技術力,そして長年に渡って世界を相手に先頭を走ってきた自負をお持ちの超一流の企業ですので,見せたい物も山ほどあったでしょう。だから,展示物を限定しても,見た者を満足させることが出来るのは当然ということかも知れません。

 しかしながら,押しつけがましい圧力のような暑苦しさは全く感じませんし,見学者を驚かそう,びっくりさせようと,自らの力を誇示するような意図も見られず,これまでの自らの仕事を客観的に並べて,過去と今とこれからを丁寧に説明しているという印象を感じました。よく考えられているなあと思います。

 さて,これまでのレビューの多くは,個人法人を問わず,カメラメーカーとしてのニコンという視点で見ているものでした。

 ニコンがこれまでに発売したカメラがずらーっと壁一面に並んでいる状況は確かに楽しいのですが,中古カメラ店を毎週(毎日)見て回っていた私としては,実のところ見たことのあるカメラばかりが並んでいる感じがあって,そんなに興奮するようなものではなかったのです。

 冷静に考えてみると,そこにあるのはその当時,お金さえ出せば手に入った民生品です。量産品である以上はそれなりの数が製造されているはずですし,カメラはその中でも廃棄されずに残っている可能性も高い工業製品ですから,博物館らしいコンディションの良さに驚くことや,珍しいカメラに感激することはあっても,ここは本丸ではないなと感じました。

 ということで,普段あまり見る事のない廉価版の一眼レフやコンパクトデジカメを楽しみ,そうはいっても一度も現物を見たことがない初代のサンニッパなどをじっくり見せてもらいました。

 私が感激したのは,後にNikonI型と呼ばれる最初のカメラの試作機(通称No.6091)が出ていた事です。長く行方不明になっていたその試作機は,ある時他のものと一緒に資料室で発見されたそうです。

 そのニュースは私のような市井のファンにとっても胸躍るものだったのですが,そんな大事な貴重な物が行方不明になってしまうことには,その当時,今を歩くことに精一杯だったあの時代なら,当然のことかもしれないと思ったりしました。

 むしろその疾走感にゾクゾクしてきます。1947年,前しか向いていない人達が作ったカメラ,それがNikonだったわけです。

 確かにそれはボロボロですが,姿形は紛れもなく,ニコンです。食べるものにも困ったあの時代に,ちょっと前まで戦争をしていた国の技術者達は,何を思ってこれを削って,組み立てたんでしょう。ああ,写真を撮っておけばよかったなあ。

 フィルムを電送するスーツケースほどの装置も初めて見ました。こういうものって,使う人はプロだけですし,中古カメラとしてはあまり価値がないので,我々はほとんど見る機会がありません。

 今でこそメカとエレクトロニクスの融合体であるカメラですが,今から30年以上も前に,すでにこうしたものを作り上げるだけの技術力があったことを,思い知らされます。

 とまあ,面白かったのはここから先です。レビューでもほとんど振れられていないので存在を事前に意識しなかったのですが,なんと貴重な物が鎮座していることか。

 まず,国産ルーリングエンジン。ほとんどの人にとって無関係なこの装置ですが,回折格子という部品を作るため,精密な「ひっかき傷」を付けるための工作機械です。回折格子は分光分析装置という機械の心臓部で,1mmあたり1000本もの線を刻み込む必要があります。

 これを製造できるのはごく限られた国でしたが,ニコンはこれにトライします。その成功と失敗の物語はニコンの公式サイトにも出ていますのでぜひ読んで頂きたいのですが,これがやがて半導体製造装置や超精密な測定器に結実するのです。

 次は双眼鏡。戦前,海軍の士官達はドイツ製の,それもツァイスの双眼鏡をありがたがったそうですが,軍需に応えるための国策企業として生まれたニコンにとっても双眼鏡は重要な製品だったはずで,特に小型のミクロンシリーズは,今でも本気で「欲しい」と思わせるものでした。(調べて見ると,復刻しているんですね)

 そして半導体製造装置。まるでビール樽のような大きな筒に,分厚く大きなレンズがびっしり何枚も何枚も詰め込まれています。そしてその筒には,なんだかよく分からないワイヤーが走り回っています。1980年代のステッパーも秋葉原で売られているような部品がちょくちょく目に付き,本当に手作りだったんだろうなあという雰囲気が漂います。

 こういう産業機器で,しかも高額なものは,本当に目にする機会がありません。カメラよりもよほど見るのが困難なもので,私はこれを見る事が出来ただけでも,もう満足でした。

 そうそう,LCDの製造装置についても,かなり力が入っていました。現在のニコンの業績は,このLCD製造装置が支えているので,ぜひ自身でアピールして欲しいなあと思っていたのですが,すでにこのミュージアムで行われていたんですね。

 確かに現在は,ニコンのキヤノンも半導体製造装置のシェアは激減し,技術的にも最先端からは遠ざかっています。しかし,実はLCDの製造装置のシェアは大きく,直接目にするテレビ用のLCDを作る機械といえば,むしろこちらの方が身近な存在と言えるのかもしれません。

 顕微鏡なども,我々の命と健康を支える光学機器です。なんというか,プロ用のマシンの,あの無骨な魅力はなんなんでしょう。

 そして書いておきたいのは,日本最古とされるレンズ原器です。1921年に指導に来ていたドイツ人技術者が磨いたものということで,私も写真でしか見たことがありませんでした。こういうものがきちんと残っていることも素晴らしいですし,こうして大事にしていることに,光学メーカーとしての誇りを感じます。

 こうして見ていると,全く初めて知るものは少ないです。少ないから駄目という話では全くなくて,これまで門外不出で,その存在は知られていたけども,一部の限られた人しか見る事が許されなかったものを,こうして勢揃いさせているんですね。

 それらは,展示用に作られたものではなく,紛れもなく本物です。本物は,その背後にあるエピソードも,雄弁に語ります。

 いや,こうした歴史的な遺産を,見せたくても持っていない会社がどれほどあるか。そして持っているからと言って,見せようと思わない会社がどれほどあるか。自分達の業績を誇示しようというだけの,薄い動機で展示内容を決める会社がどれほど多いか。

 この小さなミュージアムが語る物は,ニコンの歴史にとどまりません。本物がそこにあることの強烈な体験を,こんなに手軽に出来る事を,我々は喜ばねばなりません。

 そしてお約束,ミュージアムショップです。

 ニコンようかんはもう定番として,他に何を買うかしばらく迷ったのですが,次に来る機会はないかも知れないと思って,買って後悔することにしました。ニコンFのナノブロック,ニコントランプも一緒に買ってきました。

 ナノブロックは噂には聞いていましたが,なかなか手応えのあるピース数で,これから少しずつ作って行こうと思いますが,底板部分を組み立てただけですでに間違いを発見するなど,前途多難な感じです。でも,こういう作業って楽しいです。ナノブロックって,レゴよりも勘合の感触が良くて,パチンパチンとはめ込むのが楽しくって仕方がありません。

 トランプは一応ちゃんとしたプラスチックトランプで,2枚のジョーカーを含む54枚に,一眼レフが印刷されています。素人目に見たら同じにしか見えない2枚のカードを,「ほらシャッター速度のダイヤルの上に突起があるのとないのがあるでしょ?」と4歳の娘に語る私も正直どうかしてると思いましたが,我が家にあるニコンのカメラをトランプに見つけた時の彼女のはしゃぎように,私は父親となった世転びを再び噛みしめることになるのでした。

 1700円という値段ならもうちょっと上質なトランプであって欲しかったと思いますが,まあこんなものでしょう。

 ニコン羊羹も娘と食べました。1つ120円は微妙な値段ではありますが,噂通り味はなかなか良くて,ゴマやゆずといった,ちょっと珍しいテイストが楽しめることが,ただただニコンの名を冠するだけのオモシログッズと一線を画しています。

 加えてこれらのオリジナルグッズって,羊羹を除いて,ニコン自らが作って販売しているんですよ。ナノブロックに付属する取説も,完全にニコン製品のそれなんです。手間がかかって儲けもないこうしたグッズって,安易に外に出してしまうものだと思うのですが,製造も販売もニコン(正確にはニコンマーケティング)が手がけているところに,ニコンの真面目さを私は見ました。

 ということで,短時間で見られる上に,とても満足度の高い企業ミュージアムです。品川駅からそれなりに歩きますが,ぜひ子供を連れて見に行って下さい。私も娘を連れて行きたいと思います。


 

チェキと銀塩

 私がカメラを構えているのを見て,娘も小さなデジカメを見よう見まねで構えるようになりました。

 しかし,撮影をしても,すぐに紙になって出てくるわけではなく,LCDに表示させるには別の操作が必要になったりするので,結果を見ることが出来ずに今ひとつ楽しい者とは思えないようです。

 そこでふと思い出したのが,チェキです。

 フジフイルムが独自仕様で作った名刺サイズのインスタントフィルムである,インスタックスminiを,安価でポップなデザインのカメラに仕上げて出したものがチェキで,今から15年ほど前の話だったと思います。

 私は,福袋か何かで手に入れたものを嫁さんにあげたのですが,物持ちの良い嫁さんはまだそれを持っており,押し入れを探して引っ張り出してきました。

 残念ながらフィルムはもう死んでいます。撮影してもなにも出てきません。

 そこでちょっと時間を見つけて,渋谷のカメラ屋さんに出向くと,とてもわかりやすいところに売られていました。10枚入りが2パックで1500円ほどだったと思います。

 それにしても,チェキのカメラ本体がまだまだ結構な種類があり,それなりの値段で売られているんですね。チェキが実は人気があり,今でも新製品が出ては売れて続けているという話は聞いたことがありますが,コンパクトデジカメがここ数年で「なかったことになる」ほど市場が縮小しているのに対し,立派なものだと思います。

 本体がこれだけ出ているのなら,フィルムの方はまだまだ安泰だと思いながら,買って帰りました。早速チェキに装填し,撮影してみます。

 沈胴式のレンズを引っ張ると電源が入ります。フォーカスはパンフォーカス,絞りもなくて,明るさに応じてフラッシュが自動で動作します。結局操作するのは,レリーズボタンだけです。

 これで本当に綺麗に写るのかと思いきや,考えてみるとこれほど大きな撮像エリアを持つデジカメはそうそうなく,レンズの解像度が低くても高画質,無理をしない設計が出来るから素直な描写と,大きなフォーマットである事のメリットはそれなりにあるだろうと,ウイーンと吐き出されてきたフィルムをしばらく眺めてみます。

 お,ゆっくりゆっくり画像が浮かび上がってきました。最初は青,そして緑,最後に赤が出てきて,綺麗な色調に整います。こんなもんかな,と思うところから,さらにくっきりと発色し,びっくりするほど綺麗な写真が出てきました。

 娘も,この変化に大はしゃぎ。チェキから吐き出された白い紙に,じわじわと画像が浮かび上がってくるのを,ワクワクしながら見ています。

 そうそう,インスタントカメラの面白さは,今も昔もこれなんですよ。

 銀塩時代は言うに及ばず,実はデジカメになっても,結局紙に出す事は,すぐに出来ません。自分で出来る人も限られています。だから,チェキの優位性,チェキの面白さといったオリジナリティは,今も昔も変わっていないんですね。ここに気が付くのが遅すぎました。

 そもそも紙に出すことはないんじゃないのか,と言う話もありますが,LCDに出してもみんなで見られるわけではないし,カメラ本体を持っていないとみることが出来ません。データを渡せばいいと言う話ですが,それでもそのデータを表示する機械がなければ,タダの数字の羅列です。

 人間の目にダイレクトに届く媒体は,やっぱり紙なんだなあと思います。

 ずっと遊んでいるわけではありませんが,娘はチェキで何枚か写真を撮りました。結果がジワジワと浮かび上がる楽しさは,直感的で説明不要な面白さがあります。これはいいですね。

 そんなことを考えていると,最近網にかからなくなった銀塩関係のニュースをふと見る事がありました。2014年の春にコダックがフィルムを値上げし,さらに2015年の初めに再度の値上げを行いました。

 今や,モノクロフィルムの100ft缶を買うと,15000円ほどするんですね。私が今冷凍庫で保管しているTRI-Xの100fは,確か3000円中頃の値札がついていたと思います。36枚撮りのT-MAXだって,1000円近くするんだそうです。

 ほんの数年前,カラーフィルムが1本100円で売られていたことが,ウソのようです。

 銀塩は,それを表現手段にする芸術家,それを楽しむ高尚なホビーになると以前からずっと思っていましたし,この結果は予想通り,販売が停止しないだけ予想以上の結果であると言って良いほどだと思いますが,それでもモノクロのフィルムが1本1000円というのは,さすがにおいそれと使えません。

 中判のフィルムは値上げがさらにすごいらしく,数倍の値段に改定されたケースもあるようです。35mmフィルムはデジタルに完全に置き換え出来るとしても,中判についてはまだまだデジタルは追いつかず,独自性が発揮されると思っていただけに,需要減少を理由に値上げされることについては,想像以上の厳しさでした。

 フィルムがこれだけ贅沢品になると,それまで頑張っていた銀塩カメラのユーザーが,もうくじけてしまうんじゃないかと思います。だから処分しようとする人が出てきます。

 でも,当時は非常に高価で,思い入れも一杯詰まった銀塩カメラはもはや二束三文の価値しかなく,本体よりもずっと安い値段で買った50mmの標準レンズの方の買い取り価格の方が高いという事が起きているようです。

 実のところ,私も時々フィルムを使いたい時があるのですが,冷凍庫からフィルムを出す前に,はて現像をどうするかなと思い至って,結局フィルムを出さずに終わってしまうのです。というのも,以前はお願いしていた近所のカメラ屋さんが少し前に閉店し,現像をお願い出来る場所が遠くになってしまったからです。

 フィルムの価格が上がる,打っている場所が限られる,現像してくれるところも探さないといけない,という環境の変化が,ジワジワと我々の周囲に迫ってきます。気が付いたら,もう銀塩カメラは,実用的な価値を失っているのです。

 かつて,ディスクカメラのボディを中古カメラ点で見ては,ゴミにしか見えなかったことをふと思い出し,これがまさかライカやニコンでも起きてしまうようになることを,私はため息をつきながら反芻するのです。 

D800以降に買ったレンズ

 D800という,現在でもこれ以上を望む必要がないと思う,完成度の高いデジタル一眼レフを手に入れてから,銀塩のカメラに安いレンズの組み合わせで頑張っていた事が,無理をしていたことだと理解出来るようになりました。

 これは悪い意味ではないんですけど,D800というカメラが現在の最先端を走っていて,使いこなすごとにそのポテンシャルの高さを感じるようになったことが大きいということだと思います。

 写真の基本はいつも変わりません。しかし,画質はもちろん,撮影時に楽をする仕組み,今まで撮影出来なかったものが撮影出来る進歩など,技術の進歩は確実にカメラを進化させています。

 D800を手に入れて,これほど進歩しているのかと思った事,そしてその進歩を「時運が少し手間をかければカバー出来る」と思っていたことが誤りだったと知る事で,やはりレンズも新しいもの,もっといえば世代が異なるものを使わねばならないと思ったのです。

 D800以降に買ったレンズは,総じて高画質,高レスポンス,高機能です。それは,私の目から見ると,明らかに過去のレンズとは「非連続」な進歩です。

 カメラは高額商品で,一生ものの代表格だったわけですが,デジタルの時代になってからは,陳腐化が進んで使い物にならなくなるから買い換えると言うより,技術の進歩がすごすぎて,つい先頭についていきたくなるという感じでしょう。

 そんなわけで,D800以降に買ったレンズをちょっとまとめてみようと思います。D800の性能にふさわしく,今どきの画像を作るこれらのレンズは,低画質を「味」を言い訳することなく,ただ素晴らしいと賞賛することが可能なものばかりです。


・AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED(2007年11月)

 FXフォーマット,F2.8通しの標準ズームで,いわゆる大三元の1つです。私は並行輸入品を買いました。15万円くらいだったと思います。

 24mmという一昔前なら超広角から70mmという中望遠域までをF2.8でズームできる高画質レンズですが,重量は約900g,長さ133mmということなのですが,ズームで全長が変化するので,数字以上に長いという印象があります。

 このレンズ,改めて調べてみるとD3とほぼ同時発売なんですね。D3のカタログ写真に出てこないので,D3より後だろうと思っていたのですが,違っていました。

D3は今でも通用するカメラだと思いますが,すでに歴史に埋もれた感もあり,わざわざD3を選ぶ人が少ないのに対し,このレンズは今でも積極的に選ばれると言うのですから,やっぱりレンズは長生きなんだなあと思います。

 それまで私は,単焦点レンズを中心に使っていました。構図は自分が動いて決めれば良く,ズームレンズは焦点距離が変わるというメリット以上に,大きい,重い,高い,暗い,画質が悪い,というデメリットが満載で,とても使う気にはならなかったのです。

 しかし,ある友人がD800Eの導入と同時にこのレンズを買ったことで,ちょっと興味が出てしまったのがきっかけで,よく調べてみたのです。すると,数あるデメリットのうち暗いことと画質が悪いことは,解消されていることがわかったのです。

 しかも自分で動けば済む程度のズーム域(例えば35mm-70mmとか)からぐっと広がり,広角側が24mmまで広がっていることは,驚きでした。単焦点レンズをゴロゴロと持ち歩く必要がなくなるのであれば,大きい,重い,とは言えなくなります。

 ですので,AiAF24mmF2.8の代わりに,という気持ちくらいで購入したこのレンズは,完全にD800の標準レンズの座に落ち着くことになりました。

 実際に購入し,使ってみると,確かに良く写ります。これは標準ズームにふさわしいバランスを持ち合わせています。解像感も高く,あっさり目とは言え色のりもよく,収差の出方もボケも,水準以上のものがあると思います。

 しかし,このレンズの評価は,思ったほど高くありません。むしろ,1/5程の値段で買えてしまうタムロンの28-75mmの方が「好きだ」という人がいるくらいです。買う前には不思議だなと思っていたのですが,買って使ってみると,なるほどと思うようになりました。

 確かに高画質で,高い次元でバランスした素晴らしいレンズなのですが,意地悪な言い方をするとそれだけなのです。個性がないというか,際立った特徴がないというか,個性がないというか。

 これでなければならない写真が撮れるというわけではないし,これが写し取る画が心の響くわけでもない。本当に綺麗にスッキリ写るんですが,それだけだということなんです。

 考えてみれば,他のレンズは高いものも安いものも,ちゃんと「こういうレンズです」と他の人に説明が出来ます。でも,このレンズは他の人に説明するのが難しいです。

 実売で20万円のレンズなんですから,よく写って当たり前です。光学性能が劣っているのは,論外です。しかしそこから先が,物足りないんだと思います。普通の写真を確実に撮影する,これがこのレンズの最大の特徴なんだと思います。

 私の稼働率ですが,正直言うと低いです。外に出ない引きこもりだからというのもありますが,後述するシグマの35mmF1.4が常用レンズになってしまいました。


・35mm F1.4 DG HSM(2013年1月)

 シグマのラインナップが一新され,特に高画質を高めたラインに与えられるArtラインの第一号です。

 35mmという画角で,F1.4という明るさを実現するのはそれなりに難しく,大きく重く,高価なものになりがちです。それで手に入るのは,明るいという特徴だけなわけですから,一昔前は特殊なレンズでした。

 しかし,このレンズは本当に素晴らしいものでした。カミソリのようにキレキレの解像度に,F1.4開放から躊躇なく使える画質,良く補正された収差に,シグマらしいあっさり目だがしっかりした色のりと,もう撮影領域が拡大したと言って良いくらい,素晴らしいレンズです。

 純正と違い,カメラでの補正は出来ませんが,RAW現像なら問題なし。そもそもそんな補正だってなくても構いません。

 この手の大口径レンズは,開放だと甘く,結局1段か2段くらい絞らないと実用になりません。絞ること前提で,そこでの画質が高まることを狙っているというのも,この手のレンズの存在理由だったりしました。

 しかし,このレンズは違います。本当にF1.4から撮影出来ます。F2.8まで絞れば,もう信じられないくらいの切れ味です。

 そして大事な事は,案外デザインだったりします。かつてのシグマのレンズは,本当に格好が悪く,持っているのも恥ずかしいくらいひどいものだったと思います。

 しかし,これが新しいラインナップになってから,本当に格好良くなりました。どんなメーカーのカメラにもマッチし,どんな人にも使いやすいユニバーサルなデザインであり,曲線1つ1つにも理由がちゃんとある,シンプルで美しい鏡筒のデザインは,大きな前玉によく馴染んで,形が高画質を主張しています。

 持った感じもしっとりと手に収まり,ゴムのローレットも適度な引っかかりがあって,これは純正を越えているでしょう。

 純正に比べるとやや遅いと言われるAF速度ですが,純正が高速すぎるのであって,35mmという画角を考えれば,これ以上は必要ないと思います。静かですし,とても上品なAFです。

 最後に,これが純正の半額で買えるという事がすごいです。画質は純正に並ぶか越えたものを持ち,それが半分の値段で買えることは,どれほどありがたいことかわかりません。

 ただし,このレンズに関して言えば,もう値段なんてどうでもいいところまで来ていると思います。このレンズでないと駄目なシーン,このレンズ前提でカメラを構えている状況がこれほど増えてくると,低価格である事など忘れてしまいます。

 もし,この水準を「Art」というラインナップで保証するなら,私はもうシグマのレンズを積極的に買うことになるでしょう。だから,Artで大三元とか,Artでマクロレンズとか,そういう展開を期待したいと思っています。

 話が逸れますが,ここ最近のシグマは本当にすごいです。レンズメーカーとしての実力の高さもそうですし,メーカーとしての姿勢も大変素晴らしいです。なにより,社長さんの顔がちゃんと見えていて,彼のメッセージがちゃんと末端のユーザーに届いています。私はこのメーカーの製品のユーザーで,良かったなあと思っています。

 私の稼働率ですが,常用です。ボディマウントキャップの代わりにD800に常についているレンズです。

 F1.4から撮影出来るとは言え,最低でもF2までは絞って使いますが,それでも室内で妥協なく撮影出来ます。だから,試しに他のレンズに交換してみると非常にストレスが溜まり,結局このレンズに戻してしまうのです。

 もともと,私は35mmは苦手な画角でした。ですが,AiAF35mmF2を使ってみて,室内撮影にぴったりと分かってから,これを常用するようになりました。そこから買い換えたのが,このレンズです。

 外に持ち出すことが少ないのは,豊かな太陽光でF1.4の単焦点の個性を発揮させるのは難しく,それよりは焦点距離を自由に調整出来るズームの方が役に立つからなんですが,機会があれば外に持ち出してみたい思う一方で,室内専用レンズとして個性を爆発させるのも,よいかも知れないと思ったりします。


・AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(2011年6月)

 D800のポテンシャルを味わえる,一番安いレンズがこれです。F1.8と明るさは少々控えめですが,F1.4よりも大幅に安く,画質は抜群とくれば,1段未満の暗さなど問題にするほどの事はありません。

 ずっと昔から,標準レンズは50mmで,高級機にはF1.4,普及機にはF1.8かF2と,相場が決まっていました。わずか1段の差ですが,小さく軽く,画質も高く,しかも安く作ることができたのが,このレンズの系譜です。

 この伝統が現代においてもちゃんと継承されているのがうれしいですね。D800の推奨レンズに入っていないとはいえ,使った人は皆一様に「素晴らしい」と褒める,そんなレンズです。

 画質は十分なものを持っているとして,それ以外はどうかというと,それはやっぱり値段相応だと言えるでしょう。手に持った感じも高級感はないし,AFモーターも高速ではなく,機敏なAFを期待するとがっかりします。それにGレンズですから,絞り環がありません。古いボディでは実質的に使えないと思った方がよいです。

 個人的にとても残念な事があります。フィルター径です。かつてのAiNikkorやAiAFNikkorは,出来るだけ52mmで統一しようという方針で作られていました。それは28mmでも50mmでも,55mmマイクロでも,105mmでも,とにかく可能な限り52mmでいこうとしていたのです。

 前玉が大きくなると,フィルター径も大きくなるので,これはもう仕方がないと思いますが,F1.8のこのレンズは前玉も小さく,52mmでも十分可能だったはずです。

 わずか6mmの差ではありますが,この差が作る印象は大きくて,52mmのAiAFNikkorがF4やF5といった大型一眼レフにくっついている姿は,とても格好がよいと思っています。

 あくまで個人的な印象ですが,前玉が小さいレンズでフィルター径が大きいのは,安っぽい感じがします。デザインの統一やフィルター径の統一の話もあるとは思いますが,このレンズだけは52mmでもよかったんじゃないかと思います。

 そうすれば,のちのDfでも,もっと綺麗なたたずまいを見せてくれたんじゃないかなあと思います。

 私の稼働率ですが,これもあまり使っていません。50mmが欲しい時,特に全長が短いレンズが欲しい時には取り出しますが,35mmよりも暗い50mmのレンズにそれほど出番もなく,高価なレンズでもなかったこともあり,あまりもったいないという感覚もないまま,防湿庫にスタンバイしています。

 でも,軽くて小さいレンズですので,なにかのついでにぱっと持ち出すのに,よいですね。

 

・AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED(2013年3月)
 
 FXフォーマットの広角ズームで,標準価格で10万円を割る低価格なレンズです。ですが,とても良心的なレンズで,小さく軽く,でも高画質ということで,こういうレンズが純正で買えてしまうと,レンズメーカーはとても困るだろうなあと,当時思ったものです。

 ニコンの現在の広角ズームとしては,D800のカタログでも使われている14-24mm/F2.8という次元の違うレンズと,その下の16-35mm/F4がありますが,大三元と小三元と言われる高級レンズです。

 このレンズは,広角側が18mmまでですし,ニコンの高級レンズの象徴であるナノクリスタルコートを使わず,明るさもF3.5からF4.5に変動するズームですが,だからといって画質に手を抜かず,解像度も色も,優れたものを持っています。

 広角レンズで,2mmの焦点距離の差はとても大きく,もはや別のレンズと言ってもいいくらいの違いがあるものですが,そうはいっても18mmです。超広角の面白さは楽しめるでしょう。

 その代わりにこのレンズが手に入れたのは,機動性です。重さはたった385g,全長は95mmと,10cm未満です。この手の広角ズームは屋外で使うことが多いでしょう。その際にこの軽さ,この取り回しの良さは大きな武器になるはずです。

 欲を言えば,標準ズームの広角側が24mmスタートが普通になっているのですから,16-24mmとか,ズーム倍率を下げてその分高画質化,小型化をしてくれてもよいと思うのですが,まあこれ1本で24mm,28mm,35mmと広角側をカバー出来ることは確かに便利かもしれないですね。
 
 これを買うことにしたのは,結構衝動買いに近いものがありました。私がサブに使っているPENTAX A7に,08という広角ズームがあります。35mm換算で17.5mmから27mmまでをカバーするレンズなのですが,こいつがとにかく良く写るのです。

 小さくて軽くてよく写って,一時期私はこればかり使っていました。苦手だった広角レンズの,パースの面白さや遠近感を強調した撮影,あるいは被写体を追いかけなくてもどっかに必ず入ってくるという安心感など,これはこれで面白いなあと思っていたのです。

 そうなると,主力機であるD800でも超広角を用意したくなるものですが,やはり高価ですし,大きく重いわけです。そんなときに目にしたのがこのレンズで,画角も08のワイド端とほぼ同じで安い,しかも画質はよいと評判です。

 AF-S MicroNikkor60mmF2.8を買うための貯金を急遽こちらに振り向けて,買うことにしました。

 買った結果ですが,しばらくずっとこれで遊んでいました。とにかく面白いし,無理をしないで振り回せるので,気分的にも楽です。

 画質も問題なし,常用レンズになるかと思ったのですが,最後に問題になったのが,やはり暗さでした。18mmのF3.5はまだ許せるとして,35mmのF4.5はもう絶望的です。同じ画角でシグマのF1.4を使っていた私としては,ここがもう許せなくなってしまい,結局シグマの35mmF1.4に戻ってしまいました。

 でも,このレンズでは,随分と面白い写真を撮りました。また使いたいなと思っています。お気に入りの1本です。

 そうそう,このレンズの使い道として,もう1つ面白いものがあります。APS-Cのボディで使うと,27-52mm相当になり,28mm,35mm,50mmという,とても美味しいところが範囲に入ってきます。

 そう,D2Hの常用レンズにぴったりなのです。暗いことが問題なんですが,これにSB700と組み合わせると,全然問題なく室内撮影向きのシステムが完成します。


・Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED(2000年10月)

 先日,大幅に小型化した新しいサンヨンが登場しましたが,それまでニコンのサンヨンと言えば,今から15年近く前に発売となったこのレンズが長く使われていました。

 サンヨンは画質と大きさと価格が最もバランスする望遠レンズといえて,これより長い,あるいはこれより明るいと,極端に大型化し,極端に高価になります。だから,特殊ではないレンズという範囲に,ギリギリ収まる望遠レンズだといえるでしょう。

 それにしても2000年秋の発売とは,また古いですね。まだF5が活躍していたころのレンズです。

 ですが,その画質には定評があり,当時はもちろん,デジタル全盛の現在においても積極的に選ばれるレンズです。飛行機や野鳥,鉄道の撮影には定番として長く愛されてきたレンズです。

 新しいサンヨンは,PEという原理の異なるレンズを用いたことで大幅な小型化を実現し,その上手ぶれ補正も装備されましたが,画質については旧機種との差はあまりないというのが定説で,PEに起因する点光源での不自然なフレアがむしろ懸念されることを考えると,次世代版と言うよりも別のレンズがでたというくらいに,私はとらえています。

 もともと,D800を買った時に,望遠側でまともに使えるレンズがないことを懸念した私が,当時1ドル80円という強烈な円高を理由に,アメリカの業者から個人輸入してみたというのが,購入のきっかけです。

 画質は評判通りで,それまで持っていた100-300mmのF4ズームとは比べものにならず,AFも高速で,今の私のレンズではD800をちっとも生かせないと,考えを改めるきっかけになりました。

 ただ,望遠はズームじゃないと,やっぱり実用的には厳しいものがありますね。自分が動けばズームはいらない,というのが持論ではありますが,動けないから望遠を使うわけで,そうなるとやっぱりズームがないと厳しいのです。

 300mmですから,1.4倍のテレコンで420mm,これをD2Hに付ければ実に630mm相当ですよ。こうなるともう別世界なわけで,果たしてこの組み合わせに出番があるのかと思いますが,まあこういうのは安心感に繋がるわけですし。

 このレンズ,新品なのですが,ちょっと気難しいところがあり,AFモーターがキーキー鳴きます。SWMにありがちなトラブルなのですが,何度か動かしていると鳴かなくなるので,もういいかということにしました。中古で売るときに大きく減額されるでしょうねえ。いずれ修理をしておく事も検討しましょう。

 私の稼働率ですが,これも非常に低いです。いいレンズだし,使いたいのですが,ズームではない300mmのレンズを,家の中で使うのはほぼ不可能です。外に持ち出すのも,この大きさゆえに躊躇するわで,じゃいつ使うんだよ,と自分でつっこんでいます。

 ま,子供が大きくなると,そうも言ってられなくなるんでしょうね。


・AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II(2009年11月)

 言わずと知れた大三元のうち,望遠域を受け持つプロスペックのレンズです。先日買ったばかりですが,さすがにこれを買うときは悩みました。

 でも,買ってしまえば全然後悔しないのも,このレンズなんですよね。

 嫁さんはこれを見て,その大きさに驚いていました。しかし,サンヨンもこのくらいありますし,標準的な大きさだと私は思います。

 ニコンには,大三元の広角側を担当するAF-S 14-24mmがありますが,これとならんで,その高画質っぷりにはプロアマを問わず,疑いの声が全く上がりません。同じ大三元の24-70mmが可愛そうになるくらい,賞賛の声ばかりなのです。

 70mmから200mmまで全域F2.8の明るさで,美しいボケ,豊かな色と階調,もちろん高解像度で,その上4段まで補正する最新の手ぶれ補正までついています。

 うれしいのは結構しっかりした三脚座がついていて,取り外しもワンタッチで出来るものがついています。基本的には三脚に固定して使うレンズなんでしょうが,VRがあることで手持ちでもどんどん使って下さいという,ニコンからのメッセージです。

 この高性能,高画質に私もさすがに腰が引けました。なんといってもプロが絶賛するレンズです。これで駄目なら,もうカメラのせいにもレンズのせいにも出来ません。

 ここで,私は新しい発見をします。いい機材を使う事で,下手な人でもいい写真が撮れる場合と,ますます下手になってしまう場合があるということです。私は前者を信じて疑わなかった人ですが,このレンズに限って言えば,下手な人が使うと,全然駄目な写真しか出てきません。

 ゆえに,練習が必要です。慣れることも大事ですし,癖を掴むことも大事です。画角になれること,構図を決める事が出来るようになること,被写体を追いかけるときにどのくらいレンズを振り回すのか,VRでどんなブレが止まるのか,どうすればフォーカスを外さずに撮影出来るか等々,とにかく練習が必要でした。

 ようやく慣れてきて,歩留まりも上がってきましたが,最初はもうひどいもので,まともな写真が全然取れませんでした。やっぱり,一眼レフは難しいですし,プロが使う機材は,素人が安易に手を出すものではありませんね。

 とにかく,うちで一番高価なレンズです。2年ほど前は実売で20万円を切っていたそうですが,今は1割ほど高値で推移している感じです。ちょうど1万円のキャッシュバックがあって20万円以下で買うことが出来たのですが,やっぱり20万円を越えるのは,精神的にきついものがありますね。

 稼働率ですが,ここ最近ずっとこれです。室内で望遠ズームってのもどうかと思いますが,近いうちに出番がありますし,それまでに練習して失敗ないようにしないといけませんから,少々無理があっても,糖分使う事になると思います。

 一応,24-70とこれを持っていけば,24mmから200mmまで,最高画質でフルカバーですからね,私も随分と偉くなったもんだなあと,うれしいやら飽きれるやら・・・


 とこんな感じです。面白いのは,今回とりあげた新しいレンズはすべて,新品を買っているということです。

 現行の高性能レンズは,中古とはいえ値段があまり下がりません。安いお店の新品との価格差は1割ほどだったりします。レンズは長く使うものですし,デジタル機器と違い,個体差もあり,扱い方で性能が変わってきますから,出来れば新品の方が望ましいのですが,この価格差だったら,わざわざ中古を買うこともないかなと,そんな風に思ったりします。

 考えてみると,10年ほど前までは「新品」「純正」に雲の上のものを感じていたのですが,気が付くと純正を新品でこれだけ買っていました。

 経済的な問題もあるのですが,つくづく思うのは,さすがに純正品はラインナップに隙がないなということです。例えば,いかにシグマのArtラインが素晴らしくとも,これで大三元を揃える事は今は無理です。

 純正ならF2.8通しも,F4通しもあります。

 そう考えると,やっぱりニコンやキヤノンというのは,歴史のある,大メーカーなんだなあと,思います。

D2Hで64GBは使用できませんでした

 先日,SanDiskのCFカードを導入し,その効果は上々であるとここに書きました。同時に,それまで使っていたWINTECHのCFカードをD2Hに使おうと思っていることも書きましたが,どうもダメみたいです。

 WINTECHのカードをD2Hに差込,フォーマットをしますが,撮影可能枚数はゼロ枚と出たままです。実際にレリーズを押してみても,CFが差し込まれていないという反応がでて,シャッターが切れません。

 理由は調べていませんが,D2Hが出た当時に64GBなんて大容量のCFカードはありませんでしたし,ファイルシステムが想定していない容量であると考えても納得できる話です。

 少し調べてみると,D2Hはファームのアップデート後に4GBを越えるCFが使えるようになったようです。8GBまでは動作しているという話を頻繁に目にします。このくらいが現実的なところでしょう。

 同時期のD2Xについては,32GBまで使えるというという話を目にしました。高画素機ですし,プロもたくさん使っていたモデルですので,32GBに対する需要があったのでしょうね。

 まあ,D2Hは400万画素機で,非圧縮のRAWでも6GBのマイクロドライブでざっと750枚撮影可能です。これが一気に10倍になるんですから,7500枚ですよ。

 そんなに撮影出来ても,うれしくないレベルです。

 ということで,当面6GBのマイクロドライブで運用という現状維持になりそうです。

 ああ,64GBのCF,なにに使うかなあ・・・


 ところでD2Hですが,最近私は全く問題なくD800と併用しています。

 さすがに記念写真や,広角レンズ,トリミング前提の撮影やフルサイズを生かした撮影では出番はありませんが,普通の撮影にはかえって便利な場合もあります。

 速度,持ちやすさ,いやいやデータの軽さがやっぱり一番です。

 私の場合,D2HはISO400で感度を固定しています。ISO200だとノイズに対しても有利ですが,ISO400はギリギリ許せるレベルです。それでいて一般撮影にはなんとか対応出来る感度ですし,なにより長く銀塩時代にISO400で育った私としては,肌感覚で使える感度です。

 それでも暗部では盛大なノイズが乗ってくるし,ホワイトバランスもカラーバランスも悲しいくらいにダメなのですが,それは2003年当時の処理をした場合の話です。

 以前ここにも書きましたが,D2HのRAWをLightroom5で現像すると,今に通用する(と私は思っている)レベルで,現像できるのです。

 ホワイトバランスはLightroom5上で自動を選択。最新のデジカメレベルのホワイトバランスに一発で会わせてくれます。その上でCameraStandardのプロファイルを選ぶと,これも一発でカラーバランスを整えてくれます。

 D2HのRAWは,あまりデータをいじる余裕がなく,ちょっといじればすぐに破綻し,限界を露呈します。だから撮影時点でかなり正確に調整をしておかねばならないわけですが,Lightroom5を使えば,かなり救えるようになってきます。少々ラフな撮影でもなんとかなるので,かなり気が楽です。

 そしてレンズのゆがみ補正をかけてやれば,画素数を除いて立派に印刷に使えるクオリティです。

 トリミングは出来ませんし,ラチチュードが狭いので露出で失敗すると救いようがなくなるというのは相変わらずですが,それでもSB-700などのストロボと併用すると失敗は激減しますし,レスポンスの良さは,数で失敗をカバーする作戦を立てることが出来るので,これはこれで面白いものです。

 D2Hに300mmF4を組み合わせれば,450mm相当です。これで高速連写なのですから,これでなければ駄目なシーンというのが,ありそうな気がします。

 もう10年以上も前のカメラですが,やっぱりRAWで残しておく必要がありますね。これはどんな時代のデジタルカメラであっても,同じでしょう。そう考えると,娘が生まれてから1年ほどのRAWデータが消えてしまったことが,悔やまれてなりません。

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