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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

なんとかES2は直りました

 ES2,ようやく動作確認が取れました。

 修理そのものは少し前に終わっていたし,試し撮りも終わっていたのですが,現像するのが随分後になってしまい,確認できたのは昨日でした。

 寒さもあって,幕速が安定せず,1/1000秒で後幕が先幕に追いついてしまうという問題がそもそものスタートでした。その後,余計なオイルを拭き取るために分解したり,分解したせいで調整をやり直す部分が出てきたりと,大事になってしまいました。

 いくら頑張っても時間が経てば後幕が追いついてしまいますので,これはもう考え方をかえようと思いました。幕速測定器を使って調整をしていましたが,これを基準に合わせると,どうも数日で狂ってしまうのです。

 幕速測定器を信用できないのか,それともES2を信用できないのかと言われれば,実はどっちも信用できないのです。もっとも,幕速測定器は他のカメラの調整にも使っているので,ある程度信用していますが,かといってES2側を徹底的に調整しても,返って調子が悪くなるだけのような気もしてきたのです。

 そこで,もう実力勝負で合わせることにしました。

 ある程度の目処は幕速測定器で合わせておくのですが,そこからの微調整はオシロスコープを使ったシャッタースピードの確認と,後幕が先幕に追いつかないことを交互に確認しながら進めます。

 そうすると,結構後幕のテンションを低くしても使い物になることが分かり始めるんですね。それを数日繰り返し,今年一番の冷え込みになった二晩を放置して,問題のないことを確認できました。

 露出計が1段ほどおかしいようにも思うのですが,どうせポジは使いませんし,どうしてもというなら露出補正で逃げればいいです。それにこのカメラは平均測光ですから,今のカメラと比べてもあまり意味がないのかも知れません。

 現像した結果ですが,おおむね大丈夫でした。オートではレンズの絞りを変えても一定の露出になってくれています。マニュアルにするとちょっとずれますが,オートの場合は無段階のシャッター速度が使えるので,結果に差が出ることは悪いことではありません。

 絞り込み測光でのオートが1段ほど狂うのですが,絞り込み測光はほとんど使いませんので,大目に見ます。

 どのコマも失敗がなく,期待以上の結果に満足です。なんとかなるものですね。

ファイル 182-1.jpg


 それで,気になっていたボディの歪みです。

 修理中に落下させてしまい,裏蓋が曲がってしまったのですが,もしボディが歪んでしまっていたなら,このカメラはもう捨てるしかありません。望遠系のレンズでピントが狂えば,ボディの歪みが考えられます。

 結果は問題なし。狙った被写体はもちろん,その左右の同じ距離にピントがきています。

 ということで,ES2はどうにかこうにか復活しました。こういうカメラですので,またどうせ悪くなると思います。ただ,その場合でもあまり大げさな事はせず,こういう感じで調整出来るとわかったので,ES2についてはボディの状態も考えて,カメラの優しい調整をしてあげようと思います。

 それにしても,ES2は手間のかかるカメラです。予備機を3台確保し,そのうち1台は調整すればすぐに使えそうなほど程度がいい(しかもクローム)ので,復活させることも考えたのですが,結果としてこんなに不安定なら,やらなくて正解でした。

 ES2といえば,私にとってはSMC-takumar28mm/F3.5です。このレンズとES2があるだけで,私にとっては十分楽しいのです。

ファイル 182-2.jpg

ES2はだめかもしれない

 さて,先日「問題なし」としたES2ですが,やはり1/1000秒で後幕が先幕に追いつくという現象が再発しました。どうも,一晩おくと先幕の速度が落ちてしまうことも原因のようで,これはもう別の方法を検討せねばならんだろうと,とりあえずばらしてみることにしました。

 とにかく気になっていたことは,給油の問題です。

 このES2は私が最初に取り組んだジャンクカメラです。いわばこの道に入ったきっかけだったのですが,当時の私は無知もいいところで,ギアに油を差し,こすれる部分にはグリスをたっぷり塗るということを平気な顔をしてやっていました。恐ろしいことです。

 フィルム巻き上げを軽くスムーズにしたいとグリスを塗ったそのパーツこそ,シャッターを走らせる最重要部品であることを知るのは後のことですが,これが寒いときに粘度を上げてしまい,速度を落としてしまっているのではないかと考えたのです。

 ならば,そのグリスを落とすしかありません。言うは易し,しかし全部をばらしてベンジンで洗うという手の込んだ作業をする気力は今はありません。

 そこで,見るからにはみ出たグリスを拭き取った後,ベンジンを何度も染みこませて滲み出た油を拭き取るということを繰り返しました。結果はあまり変化がありません。

 そこで,シャッターを走らせるカムを直接拭き取ることにし,シャッタースピードダイアルを外すことにしました。

 思えば,不幸はここから始まりました。

 ES2はAUTOモードで回路の電源を入れるメインスイッチがシャッタースピードダイアルに連動していますが,この機構はボディの奥まった部分にあるため,外れてしまうとなかなか厄介です。そんなことに気が付かない私は案の定その連動機構を外してしまいました。

 手探りではめ込むのですがなかなかうまくいきません。そこで前板を外してなんとか入れようとしますが,前板を外しても奥まったところにあるためなかなか見えません。

 四苦八苦して入れたつもりが,シャフトの回転角がまずく,シャッタードラムにレバーがあたってしまい,綺麗だったシャッター幕に傷を付けてしまいました・・・

 致命傷にはなっていないのでこのまま使い続けることは可能ですが,精神的なショックがでかい・・・


 しかし,そんなショックなど序の口。

 カムにこびりついたグリスを拭き取り,綺麗に清掃をしますが,今度は組み立て方が今ひとつ分かりません。そこでもう1つの部品取りのES2を分解し,組み立て方を確認します。

 なんとか組み立てることが出来て,うまくシャッターも走るようになったのですが,膜の重なりがさっきよりもひどくなっています。

 幕速をあわせないといかんはずだと調整をしますが,幕速をあわせても1/1000で半分ほど重なるという危機的状況です。

 そこで,ラッカーで固定されていた2つのネジを調べることにします。1つはシャッターブレーキ,1つはストッププレートの調整ネジです。

 結局ストッププレートの調整ネジは,巻き上げ時にカムがそれ以上回らないように調整する物だったのでシャッターの動作にはあまり関係がなく,ブレーキも私も個体では調整によって変化はほとんどありません。

 さらに深みにはまります。後幕のラッチを外す機構を調整することにしました。ここでラッチを外すタイミングを調整すれば,後幕が走り始める時間が調整できるのです。

 ところが,ここをいじったのが運の尽き。1/125秒も出なくなってしまいます。非常に微妙な調整を繰り返し,なんとか出るようにしてみると,今度は1/1000秒で幕が重なります。

 これではもうどうにも追い込めません。

 そうこうしているうちに,あろうことか机の上から落下させてしまいました。

 ビスを入れたプラスチックのケースもとろも,1mの高さから落下するES2。

 裏蓋が変形し,締まらなくなった上に,メーターが断線して動かなくなってしまいました。この調子だとダイキャストが変形し,ピントが出なくなっているかも知れません。

 なんとか裏蓋の歪みをとり,目視でボディを確認しましたが,どこまでひどい状態にはなっていないようです。メーターは予備機から外して交換しました。

 こうなったら,もう幕速をいじるしかありません。先幕の速度を13ms,後幕の速度を14msくらいにして,意図的に後幕を遅らせます。これで1/1000秒も重ならなくなります。

 そうしてメカシャッターを全速あわせて一安心したのですが,今度はAUTOモードで1/500秒以上が出ていません。メモリコンデンサのタイミングスイッチの調整を行って高速を出さないといけないのですが,それも前回の調整の時に「調整範囲ギリギリ」ということでした。

 困った私は,調整機構を固定するネジをゆるめ,微調整を行うことにしました。これでなんとか1/1000秒まで出るようになりました。

 結局,やったことは後幕の速度を落としたことだけです。

 こんな事なら,余計なことをしなければよかったと思います。確かにやるだけやったという安心感はあるのかも知れませんが,落下にメーターの破損,それによって各部の調整が狂ったことも心配ですし,何より触らなくてよかった部分を触ってしまったことで,これまでかろうじて微妙なバランスを保てていたES2を,一気にだめにした可能性もあるのです。

 今週の寒さの中で様子を見た上で,1/1000秒がきちんと出ているなら,もうこれ以上は触らないようにしようと思います。その後試写をしてみて,正常に動作するかを見極めたいと思います。

 駄目だった場合・・・残念ながらES2は放棄せざるを得ません。

ES2の幕速が狂ってました

ファイル 171-1.jpg

 毎年この時期になると,私は決まって「1年で一番寒い時期」などと思うのですが,部屋の中でも10度を割ることがあるこの季節だからこそ,寒さに弱いカメラ,とりわけアサヒペンタックスES2の調子を確認しようと考えます。

 しかし,あまり気乗りがしません。おおむね悪い結果になるだろうと分かっているので,その後に発生する調整作業に憂鬱な気持ちになるからです。

 かといって絶好の確認の機会を逃すのも惜しいですし,問題が見つかったものをそのまま放置しておけるほど私はおおらかでもありません。

 ・・・ええい,そんなことをいっていても始まりません。意を決して防湿庫からES2を取り出します。

 そしておもむろに1/1000秒にシャッター速度を合わせ,バックプレートを開けてしシャッターをのぞき込みながら,レリーズボタンを押し込みます。

 ・・・音は期待通りで問題なしと言いたいところですが,やはり案の定,コマの左側,1/4程シャッターが開いていません。

 ああ,やはり,シャッターの幕速が狂っていました。

 私のES2は,弱点とされるソレノイドの調整がばっちり出来ているのですが,もっと基本的なシャッターの幕速が経年変化でじわじわ狂う,という致命的な問題を抱えています。シャッター機構をばらしていないので原因は分かりません。横走りシャッターの幕速が落ちるのはおおむねシャッター軸の油ぎれということだそうですが,一方でES2はSPと違って樹脂製の軸受のおかげでメンテフリー,注油は厳禁とも聞いています。

 一昨年の9月頃に同じような症状になり,再調整を行ってあったのですが,それ以降は調子を見ていませんでしたから,まあそんなもんかなという気もします。特に寒いときはこの現象がよく出るようです。うーん,やっぱ油が回っているんでしょうかね。

 厄介なのは,10回ほど空シャッターを切っていると,幕速が戻ってくることです。また数時間放置すると遅くなるので,調整そのものよりも安定した状態に追い込むことが面倒なので,非常に億劫です。部品取りのES2の方が,シャッターについては状態が良かったりするので,困ったものです。

 さて,こうなると幕速を測定しないといけません。幕速測定マシーンを久々に取り出し,測定してみます。先幕が17.4ms,後幕が14.6msとなりました。

 ES2は標準が13.6msということですので,どちらも遅くなっていますが,特に先幕が遅すぎです。左側が露光されていないという事から分かるように,先幕に後幕が追いついてしまってますね。

 ES2の幕速の調整はSPと同じで,底面のスクリューを回して調整します。マウント側が後幕,背面側が先幕の調整です。ここのテンションを調整することで,幕速をあわせていきます。

 どうせ時間が経つと遅くなるんですから,少し速めにしておこうと思ったのですが,そうはいっても1/1000秒もきちんと出さないといけないので,やっぱり13ms前後を狙っていくしかありません。

 先週の金曜日,何度か調整と測定を繰り返しました。

1st Curtain 17.4 14.25 12.90 13.35 12.57 12.51 13.19 13.75
2nd Curtain 14.6 13.87 13.17 12.90 13.34 13.52 13.77 14.19

 シャッター速度も1/1000が出ていますし,露光ムラもなさそうなので,まあ今日はこんな感じかなと,一晩放置しました。

 翌日の土曜日,また測定と調整を繰り返します。

1st Curtain 14.01 13.44 12.83 13.34 12.67 11.93
2nd Curtain 14.11 13.37 13.52 12.87 12.89 13.31

 やっぱ一晩放置すると,先幕の速度が落ちますね。どうしたものかなあと思いますが,少しずつ追い込むしかありません。最終的に1/1000が出ていることを確認して,また一晩放置します。

 そして昨日の日曜日。調整は行わず(実は土曜日にネジをペイントでロックした),測定だけ行います。

1st Curtain 12.95 12.49 12.64 12.59
2nd Curtain 13.56 12.91 12.65 12.86

 まあ,こんなもんでしょうね。念のため1/1000や他の速度が出ていることも確認しました。

 基板を元に戻し,組み立て直しますが,露出計が動きません。かなり焦ったのですが,シャッターダイアルのAUTOモードの接点がちょっと接触不良だったようで,いじっているうちに直りました。

 スローシャッターもこの寒さの中で全く問題なく動作していますし,実用機として使い物になるかどうかは少々不安が残るものの,現時点においては完調!です。

 フィルムを通してやろうと思いましたが,もうすっかり夜になってしまいました。試写は来週まで取っておきましょう。(来週また調整が狂ってしまっている可能性が高いのですが・・・)

 角の部分の塗装の剥げをタッチアップして改めて眺めてみると,ES2はSPと兄弟機でありながら,高さが増した分だけかっこいいなあと。程度のいいSPなどと比べて,巻き上げやレリーズの感触は良くない個体ではありますが,それでもちょっと引っかかる感触も指が覚えるほど触っただけに,とにかくこいつだけはずっと持っていようと,そんな風に思いました。

僕のコダクローム

ファイル 169-1.jpg

 昨年の12月20日,コダクロームが我々の手を離れていきました。

 コダクロームというカラースライドフィルムの国内現像の受け付けがこの日終了しました。一応アメリカ本国で現像は行われていますから,個人で依頼するのも手ですし,コダックが手続きを代行してくれることになってるそうなので,従来通り写真屋さんに現像を依頼すれば,代金は約3500円,期間は中2週間でまだコダクロームを使うことは可能です。

 ただ,世界に冠たる写真王国の1つである日本で,コダクロームはこれまでいつでもあえる身近な存在だったのに,それが急に遠くに行ってしまうわけで,感傷に浸る人々が後を絶たないのです。

 銀塩フィルムの消費量,生産量の激減と,これに伴う製造からの撤退,品種の整理,価格の上昇という,ファンには不安な風がながれた2007年でしたが,コダクロームの国内現像の終了はまさに2007年の最後にふさわしい事件であると言えるでしょう。

 今さらいう事ではありませんが,他のスライドフィルムの現像はこれまで通りです。これは,コダクロームの現像方法が他と異なる唯一の存在だからです。

 カラーフィルムには,色素(厳密には違うのですが)がフィルムの中にあらかじめ入っているものと,現像の時に外から与えてやるタイプの2つがあります。前者は内式,後者は外式と言います。

 外式の代表はコダクロームであり,同時に人類が初めて手にした写真用カラーフィルムでもあります。そしてそれ以降の我々の歴史は,コダクロームによって記録されてきたのです。

 初期のカラーフィルムはすべて外式だったのですが,現像が難しいという欠点があり,これを解決するべく内式が誕生します。現在,コダクロームを除くカラーフィルムは,すべて内式です。

 私は技術者ですので,工業的に,あるいは技術的に劣った物が,その欠点を克服した新しい物に淘汰されることは当然と思いますし,その結果がユーザーに還元されることを正しいと信じる事は,技術開発を停滞させないための,技術者に常に求められる心がけだろうと思っています。

 だから,コダクロームが1935年の登場から70年以上も生き続けていたことは,工業製品として量産された物が,伝統だの文化を身に纏い,やがて神格化されるという純技術的に望ましくない意識によって支えられていたのではないかと,警戒してしまうのです。

 むしろコダック自身が内式のエクタクロームを現在においてもきちんと供給していることや,富士フイルムが内式のみを扱い,その中で世界を変えるような優れたフィルムを開発して,それこそカラー写真の概念を変えるような製品を供給してきたことこそ,実は賞賛されるべき事ではないかと思うわけです。

 しかし,コダクロームは単なる現像方法の違いだけで選ばれるフィルムではありません。歴史,伝統,精神性を理由に選ばれるフィルムでもありません。写真フィルムはクリエイター達が使う素材であり,単純な工業製品でもなければ,神格化されたブランドくらいで長生きできるものでもないのです。

 だから,もしもコダクロームと同じ結果が得られる現代的なフィルムがあれば,コダクロームはもっと早くに淘汰されていたんじゃないかなと思うのですが,そういうフィルムを今から開発しても売れないくらい,今時の写真の傾向はコダクロームの個性と逆をいっているのだと思います。

 だから,文化的にさえ,コダクロームはすでに淘汰されてよいフィルムだと言えるのかも知れません。

 確かに,コダクロームには,独特のコクがあるように思います。あくまで自然な発色,個人的にはベルビアが箱庭的に見えるのに対し,コダクロームはまさに窓から覗く感覚です。

 ある人が言うのですが,コダクロームは,完全につぶれたと思われるシャドウにも,ちゃんと情報が残っているいるんだそうです。その人は,シャドウに浮かび上がった像を見て,コダクロームの情報量の多さと,粘りの強さに感動したと言います。

 現像も難しいが,撮影も難しいフィルムでした。ついでに言うと使用前の保存も難しければ選んで買うことも難しく,乳剤番号に一喜一憂せねばならないことも,あえてこのフィルムを選ぶ人にとっては,儀式のような物だったのかも知れません。

 そうした希有なフィルムによって,人類の50年ばかりの時間を記録されていたことは,非常に幸運であったと言わざるを得ません。その後やってくるビデオによる記録で失われた情報の多さは,後の世代が我々の世代を揶揄する材料となりうるでしょう。

 ここで,カラーポジフィルムの仕組みをおさらいします。

 ネガフィルムもポジフィルムもカラーフィルムの基本構造は同じです。フィルムベースの上に赤に感光する乳剤,緑に感光する乳剤,黄色を除去するフィルター,そして青に感光する乳剤が順に重ねて塗られています。

 これでおわかりのように,カラー写真は三原色を深度方向で記録します。CCDなどのデジタル写真は,一部の例外を除き面で三原色を記録しています。本来見えてはならない色が見える「偽色」が出るのは,この面による記録が理由です。

 それぞれの色に感光した乳剤は,現像によって我々の目に像を映し出します。

 ネガフィルムの場合,現像と発色を同時に行うのですが,ポジフィルムの場合は一手間かかります。まず第一現像という,白黒の現像が行われます。感光した部分が金属銀になることで,その場所が黒くなるのです。この段階ではネガですね。

 次に第二露光を行います。先ほどのネガ状態のフィルムに光を当て,金属銀が生じた部分以外を感光させ,結果としてネガポジを反転させるのです。

 こうして第二露光で生じた潜像を着色すれば,見事にカラーポジが完成します。発色という処理から定着,漂白については,ネガと同じ処理です。

 それで,この発色の方法の違いが,内式と外式の違いです。乳剤にカプラーと呼ばれる,色素を形成するものをあらかじめ入れてあるのが内式,発色現像中に外から与えるのが外式です。

 外式の場合,乳剤の層ごとに二次露光と現像を繰り返します。手間も時間もかかりますし,3つの条件が揃ってくれないと,本来の色が出てきません。カプラーを内蔵させることで1度で発色現像が出来る内式の開発は,生産性の向上と品質の安定という量産品が目指す技術開発の結果であると,ここで明確になります。

 ただ,私には正確に説明は出来ませんが,この外式のコダクロームは,保存性が抜群に良いのだそうです。カラーフィルムは紫外線や空気中の化学物質によって色素が分解し,退色してしまいます・コダクロームも退色しますが,それでも随分長持ちするのだそうです。

 あと,これは結果論でしょうが,やはりその自然で深みのある色合いがコダクロームの個性で,派手さはないが,見たままを写し取るという写真本来の目的のために選ばれるフィルムになっています。

 私はコダクロームは,身の丈を超えた雲の上のフィルムだと思っていますので,使った経験はほとんどありません。しかし,乳剤面のデコボコと,本当に見たままになる自然な色合いにちょっとした感激をしつつ,ますます高い敷居を感じて,むしろ避けるようになってしまいました。

 昨年3月で国内の販売が中止されると発表された時に,私も数本購入したのですが,あまり積極的に使おうという気分にはなりませんでした。記念品として残しておこうくらいに考えていたのですが,せっかくだからと1本,自宅の周囲をぶらぶらと撮影してみました。

 そして現像されたコダクロームを眺めて,やはりため息をつきました。

 36枚のうち,ほとんど失敗。ひょっとすると全部失敗かもしれません。しかし,時にはっとさせられるような深みをたたえた素晴らしい色は,まさにコダクロームが唯一無二の存在であることを伺わせます。

 惜しいことをしなものだなあと,私は非常に後悔しました。

 さすがに3500円も出してコダクロームをわざわざ使うことはないでしょうし,そもそも手持ちのコダクロームも2本ほどしか残していません。もう新品を手軽に買うことは出来ないのですから,これが私にとっての最後のコダクロームになることでしょう。

 多くのカメラマンがその時代を記録したコダクロームを,素人の私が使うこともおこがましいのですが,背伸びをしてこの歴史的な瞬間に当事者として加わることが許された事実を,素直に喜ぶべきだと考えることにします。

KAマウントに改造する

 レンズが揃っていない*istDLに,1つでも多くのレンズの取り付けて試してみようと思っていたわけですが,こういう場合におあつらえ向きなレンズとして,タムロンのMFレンズがあります。

 タムロンは随分昔から,マウントが交換できるようになっていました。レンズだけ買っても使えず,マウントも一緒に買わないといけないという面倒臭さはありますが,別のボディに取り付けたい場合でもレンズを買い直す必要はなく,必要なマウントに交換するだけで,手持ちのレンズがそのままの性能で利用できるというのは大きなメリットでした。

 レンズマウントが共通になればなあ,と思った人は多いと思いますが,タムロンの方式はその答えの1つだと言えます。

 残念なことにAFレンズではこの仕組みは採用されず,他社と同じようにマウントごとにレンズも作り分けられるようになってしまいました。加えてMFレンズとマウントも製造中止になってしまい,既に過去の物となっています。

 交換式マウントであることが理由で,他のメーカーに性能面で劣っていては商売になりませんから,80年代の複雑なメカ連動にもきちんと程度対応していて,取り外し可能な機構と精度をよくも両立できた物だと感心します。

 私が持っているタムロンのMFレンズは,有名なマクロレンズで,SP90mm/F2.8です。

 昔からマクロレンズを使ってみたくて,F3を買ったときに購入しました。ちょうどこのレンズが出たときではなかったかと思います。

 ニコン用のAFレンズとMFレンズの両方がラインナップされていて,どちらにするか迷いましたが,マウントを交換できるということよりは,F3に使うレンズですから,MFレンズとして作られた物が欲しかったという理由で,MFを選びました。

 そもそも,マクロレンズでAFを使うことはないだろうと思っていましたが,ニコンの場合(他社の場合もそうですが),単純にAFが可能ということ以外に,レンズの情報をボディに電気的に伝える仕組みが用意されていることが大きな差になっています。

 それもボディがF3ですから,余り関係ないということで,MFを選んだのです。

 F3で使う限り期待通りのいいレンズだったのですが,一昨年から始めたカメラの修理によっていろいろなメーカーのボディを持つようになってから,マウントの交換を実際にやってみたいと思うようになりました,

 それで昨年,ES2で開放測光を行えるように,M42の開放測光対応のマウントを新品で買うことにしました。すでに量販店では在庫がなく,通信販売で在庫を探し回り,ようやく手に入れることが出来ました。

 そうこうしているうちに生産が終了,オークションでも高騰するようになってきました。

 *istDLを買った私は,手持ちレンズの少ないKマウントのレンズとして,このマクロレンズを使いたいと考えていたのですが,残念ながらKマウントは新品ではもう手に入りません。

 そこで,オークションで手に入れてみました。新品並みの値段になってしまったのですが,仕方がありません。

 手に入れたのは,KMやMXなどに使う初期のKマウントで,KAマウントには対応しません。一応タムロンからはKAマウントに対応できる物も併売されていたようですが,それは今回手に入りませんでした。

 しかし,*istDLには,KマウントとKAマウントの間に,大きな差があります。Kマウントだと開放測光が使えず,絞り優先オートやプログラムモードも利用できません。

 これはさすがに不便と考えて,手に入れたマウントを,どうにかKAマウントに改造できない物かと考えていました。

 KAマウントの仕様は原則非公開だと思われますが,自分で解析した人たちもいるにはいて,私もそういう先人達の財産を使わせていただきました。

 KAマウントには,たくさんの接点が用意されています。ところがこの接点の使い道は案外原始的で,接点がマウントと同じ電位になっているかいないかという2つの状態しか示していません。

 この方法を使って,2つの接点で最小絞りを,3つの接点で,開放絞りが最小絞りから何段開けたところにあるかをボディに伝える仕組みです。

 また,A/Mという接点があり,ここがマウントと同じ電位になっていれば絞り環がAポジションに,なっていなければそれ以外の位置にあることを示します。

 気が付いた方も折られるでしょうが,KAマウントは,単に電気接点が追加されただけではなく,絞り込みレバーの押し込み量で実際の絞りを正確に制御できる必要もあります。だから単純に電気接点の改造を行っても機能しないのです。

 とはいえ,タムロンのレンズは,ちゃんと絞り込みレバーの角度で絞りを制御するボディにも取り付る事が出来て,ボディによる絞りの制御も問題ありません。ということは,一応レンズ自体は対応可能だということです。

 今回手に入れたマウントは,絞りをボディから制御することが出来ないものですから,マウントに備わっている絞り込みレバーが正しい動作をする保証はありませんが,仕組みをつぶさに見る限り,レバーの押し込み量がリニアにレンズ側に伝達されているようなので,そんなに大きな誤差を持つとは思えません。

 さて,改造ですが,まずマウントを分解します。

 ボディに接する側のマウントに穴を開けるのですが,真鍮製だったので簡単員あなた空きました。ここに電気接点を用意するのですが,冷静に考えると,私の持っているレンズは1つだけ。このレンズ専用にしてしまえば,最小絞りF32,開放F2.8という情報だけを持たせればよいことになります。

 KAマウントのボディ側の接点は少々飛び出しており,接点のないマウントを取り付けると無条件にマウントと同じ電位になります。ただし,A/Mという接点についてはくぼんでおり,接点のないマウントを取り付けた場合でもマウントと同じ電位にはなりません。

 ということは,ボディと同じ電位になって欲しくない接点の位置に穴を開けて,接点が接しないようにすることで,なんとか対応が出来そうです。

 早速穴を開けてみましたが,勘違いもあって,開けてはいけない場所に穴を開けて焦りました。真鍮ですからハンダで埋めることができ,穴をふさぐことでリカバーです。

 そしてA/M接点については,Aモード専用のレンズとして割り切ってしまえば,ずっとマウントに接してよいことになります。FAJレンズのような感じですね。

 前述のように,くぼんだボディ側の接点に確実に接するようにしなければなりませんから,ここには以前ジャンクのFAレンズをばらしたときに出てきたピンとバネを移植します。

 読みが甘くて,十分にピンが引っ込まず,ボディ側のマウントに傷を付けたりしましたが,一応Aモードであることは認識してくれたようです。

 めでたしめでたしと思っていたら,この状態ではMモードの絞り込み測光が出来ないんですね。絞り優先オートで絞り値をボディ側で制御して撮影したところ,結構露出にバラツキが出ました。絞り込み測光ならこうした問題は出てきません。出来れば両方に対応したいなあと考えた私は,A/M接点が,最小絞りの時だけマウントと同じ電位になるよう,さらに改造を行うことにしました。

 A/M接点をスリーブで周囲から絶縁し,ピンの後端にあるスプリングが接する部分に穴を開けます。

 この穴の下には,絞り環と連動するアルミの輪があって,これにスプリングが接するようにしておきます。

 アルミの輪の塗装を剥がし,最小絞りの位置以外はテープを貼って絶縁します。

 これで試して見たのですが,最小絞りでもAモードになってくれません。導通を確かめると,どうもスプリングが接するアルミの輪がマウントと同電位になっていないようです。そこで塗装を剥がしたりして導通を確保したのですが,それでも時々Aモードにならないことがあります。

 そこで根本的な対策として,アルミの輪に接する別の部品からスプリングを出して,ここにきちんと接するようにしました。

 これで試すと,完璧です。

 ようやく,SP90mm/F2.8がKAマウントに出来ました。

 この状態でいろいろ試してみましたが,以前に比べて露出の精度も上がっていて,絞り優先オートやプログラムモードでも実用的に使えそうです。

 90mmのレンズは*istDLでは135mm相当の中望遠レンズになります。それでマクロですから,結構面白い使い方も出来るでしょう。

 マクロレンズとしては切れ味がそれ程すごいわけではなく,柔らかい描写を楽しむ物なわけですが,デジタル対応ではないこともあって,D2Hで試したときはあまりいい結果は出ませんでした。

 *istDLでも同じような傾向なのですが,あまり肩肘を張らずに楽しむために買ったのが*istDLです。細かいことは気にしないで,優れたレンズがバリエーションに加わったということを,素直に楽しもうと思います。

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