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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

ピクセルマッピングの世話になる

 先日,いつものようにZfcをいじっていたのですが,レンズキャップをしたままファインダーを覗き込むと,やや左下の真ん中辺に,赤い点が出ているのを見つけました。

 これだけ目立っているのですから,購入時にあれば気付くはず。これはきっと最近出てきたものでしょう

 通常撮影時にも目立たないとはいえ出ていますし,レンズを外しても出てくるものですので,これはボディ側の問題でしょう。

 点の出方からして違うだろうなと思いつつ,期待を込めてセンサ表面のホコリを疑い,ジャンボハリケーンで吹き飛ばそうとするも,点はピクリとも動きません。

 そうなると可能性は2つです。ファインダーのOLEDディスプレイのドット抜けか,撮像素子のドット抜けです。どっちも厄介な問題です。

 ちょっと話が逸れるのですが,LSIの製造の基本的な話として,膨大な数を作り込むLSIのトランジスタが,わずかに不良になることは避けられません。しかしウェハーから取れるLSIの数が大きければ,不良だったトランジスタが含まれるものを不良品として捨ててしまっても,他にたくさん良品が取れるので,不良率は下がります。

 LSIの面積が価格に影響する話であるとか,プロセスを進める事のメリットは歩留まりを上げることだと聞いたことがあると思いますが,これが理由です。

 で,撮像素子のCMOSセンサは言うまでもなく,OLEDのディスプレイもLSIの製造と仕組みとしては変わりません,これらは面で表示や撮像を行いますから,面積を小さくすることは出来ませんので,歩留まりの悪化は避けられません。

 もし不良のピクセルが全くないものだけを出荷していたら,良品が取れなくなってしまうので数も揃いませんし,価格も無茶苦茶あがります。これは誰も幸せになりませんから,1つ2つのピクセルが不良になっていても,それは良品として出荷してしまうようにしました。

 こうすると価格も下がり,数も揃います。なので,テレビでもデジカメで1つ2つのドット抜けがあっても,メーカーは不良品として交換に応じないわけです。

 厄介なのは,初期の段階で台上だったものが,経年変化で少しずつ不良のドットが増えてしまうことです。こうした長期信頼性の問題は,もちろんメーカーとしても加速試験などである程度信頼出来る方法で試験を行って見極めるのですが,未来の話ですからね,実際に時間が経過しないとわからないものです。

 これを,いちいち交換だ修理だとやっているとお金がかかって仕方がないので,ある程度の不良は「不良ではない」という対応を取って,なんとか価格とバランスさせてると考えるべきでしょう。

 とはいえ,実際ドット抜けは本当に少なくなりました。1990年代初期のTFTのLCDなど,10インチでも2,3個の抜けがあるのは当たり前でしたし,10個並べてみれば10個とも抜けた数も場所も違うのが当たり前でした。

 さて,静止画を撮像するCMOSセンサでも同じようにドット抜けがあるわけですが,これもいちいち不良だ修理だ交換だとやっていたら,ただでさえ高価なセンサがますます高価になってしまい,商売になりません。

 そもそも,センサの1ピクセルはRGBのどれか1色の情報しか得ることが出来ず,そのピクセルの色は,自分の色1つと周囲のピクセルの色を使って計算で求めたものです。だから,他のピクセルの情報を使って元の情報と違わないものが得られるなら,すべてのピクセルが正常な値を吐き出す必要もありません。

 もちろん,それも限度があって,計算で情報を再現出来ないほどに不良ピクセルが増えてしまうとマズいのですが,それはメーカーごとに基準を設けていますので,我々エンドユーザーはそれを信じるしかありません。

 さて,私のこの「赤い点」は,CMOSセンサでしょうか,ファインダのOLEDでしょうか?

 あれこれいじっていると,「ピクセルマッピング」なるものをメニューに見つけました。うーん,ニコンのカメラを長く使っている私には,あまり馴染みのないメニュー項目です。

 これは,壊れてしまって抜けたピクセルを,周辺のピクセルの情報を使って補完する機能です。抜けたピクセルは記憶しておき,以後はそこからの情報を捨ててしまい,計算で求めたものを使うと言うことです。

 CMOSセンサのドット不良は,ずっと黒を吐き出すコールドピクセルと,ずっと白(あるいは特定の色)を吐き出すホットピクセルの2つがあります。

 どちらもその画素が正しい情報を吐き出さないわけですから,隣接するピクセルの色や明るさによっては目立ってしまうと思います。しかし,これをゼロにする,そしてその先ずっとゼロを維持し続ける事は先に説明した通りお金がかかりますし,数を揃えることも出来ません。

 そこで,機能しなくなったピクセルを登録しておき,そのピクセルの情報は周辺のピクセルの情報から演算で求めることにします。これがピクセルマッピングです。

 ピクセルマッピングはいわばごまかしですし,悪くいえば捏造だと思うかも知れません。厳密にはそうかも知れませんが,あるピクセルと,その周辺のピクセルとの間には強い相関関係があることが数学的に分かっていて,完全ではないとしても,ほぼ完全にその情報を再現出来ることを,我々は知っておく必要があります。
 
 こうしたエラーの訂正や補完の技術というのは,フラッシュメモリのセルのエラーによる訂正や置き換え,通信経路で発生したエラーの訂正,CDやDVDのキズによる読み出しエラーの訂正や補完でも使われています。

 私は正確な数式はCDのケースしか知らないのですが,CDの場合はエラー訂正が可能な範囲,補完が可能な範囲,それも無理でノイズになってしまう範囲が数学的にきちんと分かっていて,完全にあてにならないものとそうでないものを分けて扱う事が出来ています。だから我々エンドユーザーは,今出ている音が偽物かもしれない,などと疑心暗鬼になることなく,音楽を愉しむことが出来ているわけですね。

 CMOSセンサも同じ事だと思います。そもそも,現在のベイヤー配列の撮像素子は前述のようにピクセル単位ではRGBのどれか1つの色情報しか持ちません。周辺のピクセルから足りない2つの色を計算で求めていて,それを我々は「高画質だ」とありがたがっているわけですから,ピクセルマッピングを許せないという話は,私にはナンセンスに思えます。

 ということで,もしかするとと,メニューにあったピクセルマッピングを選んでみました。数分待たされ,終わってからファインダーを覗き込むとあら不思議,見事に「赤い点」が消えています。

 この赤い点はCMOSセンサの問題で,ディスプレイではなかったのです。そしてピクセルマッピングによって解消したのでした。めでたしめでたし。

 いやー,助かった。これで解決してよかったよかったと喜んでいたのですが,他のカメラもやっておこうと思うのはこれ人情というもの。愛機D850を始め,いくつかあるデジカメは,皆Zfcよりも古いです。

 早速ピクセルマッピングを行おうとしたのですが,メニューにピクセルマッピングが見当たりません。D850もD300もGRもありません。うーん,ないものは仕方がない。

 調べてみると,もともとニコンはピクセルマッピングをユーザーに公開していなかったようです。Z6もZ7にも搭載されておらず,Z6II,Z7IIになってから可能になったとあります。(持っていないので本当の所はわかりません)

 ならD850にないことも理解出来ます。なら,ホットピクセルはどうやって直せばいいのか?

 サービスセンターに持っていくと,昔は1000円でやってくれたという記述を見つけました。今はもっと高いそうですが,手段がないわけではなく,ユーザーにやらせなかったという話のようです。

 それだけ危険で,リスクを伴い,頻繁に行うようなものでも,すべての人が必要とするものでもない,という判断からサービス対応となったのだろうと思いますが,このピクセルマッピングという機能はオリンパスが先鞭をつけたものであるらしいこともわかりました。うっすらと,かつて使っていたE-20にはそんなメニュー項目があったような気が・・・

 他の会社については,機種にもよるのですが,センサクリーニングを行うとピクセルマッピングが自動的に行われるという記述も見ました。

 ということで,メーカーとしてはあまり積極的に使って欲しいものではないようです。でも,ホットピクセルが手元で直せたらうれしいですよね。

 そんなピクセルマッピングですが,この機能を一度実行すると,実行前の状態には戻せません。戻す人もいないと思いますが,最初の状態を残さなかった私のような人が,実行前に戻って比較をやろうと思っても手段はありません。

 ホットピクセルやコールドピクセルは,長年使っていれば,発生してしまっても不思議ではありません。センサの交換には大きな費用もかかりますし,交換後にまたホットピクセルが出ることも大いにあります。

 そう考えると,画質に極端な低下を引き起こさないのであれば,ピクセルマッピングを使ってさっと解決するのが望ましいです。

 私が次に新しいカメラを買うことがあったら,ピクセルマッピングの有無を調べて買おうと思います。

まさかのFTZII

 先日,負けっぱなしで未来を心配されていたニコンが,Z9という強烈な一発を放ちました。

 まあ,キヤノンのR3に追いつくくらい,上手くすればα1に追いつくくらいかと思われたZ9は,全世界のカメラ関係者の祈りが通じたのか,両機を一機に引き離し,現時点で考え得る最高の性能と信頼性を両立し,しかも予想よりも低価格で登場することとなりました。すごいぞニコン!

 Z9は,ニコンはお家芸の一眼レフから光学ファインダーとシャッターをあっけなく捨て去りました。そう,詰まるところニコンは自分たちが持つ差別化技術のうち,2つを放棄したということです。

 ニコンは保守的な会社に見えるときもあるのですが,その実野心的な会社です。もちろん身の丈を越えるような無謀な挑戦はしませんが,最先端の技術であるかどうかというよりも,それが十分にプロの期待に応える物かどうかが判断基準になっていて,ブレないところがすごいなといつも思います。

 考えてみれば,そういう熟成が出来るまで世に出さないのがニコンですので,他社に比べて遅れたように見えるわけですが,商品が出てみればさっと先頭に飛び出してくるのもまたニコンで,他社の背中を見ているときに変に焦って失敗しないのは大したものです。

 思い起こせばD2Hで「アテネの悲劇」と言われた時代を経て,D3は人間の視力を越えるカメラとして登場し,見えないものを記録するという新時代を切り開きました。

 AEは使い物にならないといわれた時代にF3は登場し,AFは使い物にならないと言われた時代にF4は登場しました。同じ事がZ9でも起こるのだろうとワクワクします。

 さてさて,本題はZ9ではなく,FTZIIです。

 先日,FTZを買ったことをここに書きました。Zfcを買って,その使い心地や画質が思った以上に良くて,それならもっと高画質なレンズが欲しいなということで,取り急ぎ手元にあるFマウントのレンズを使ってみようと,FTZを中古で買ったのです。

 この時,すでにFTZIIの噂は聞こえていましたので,買うべきか待つべきか迷いました。が,当時の私は,FTZIIが三脚座の出っ張りがなくなるという確度の高い情報から,絞りレバーの駆動モータが廃止され,電磁絞り専用になると予想し,FTZを買ったのでした。

 しかして,FTZIIがZ9と同時に発表になりました。結果は皆さんもご存じの通り,FTZIIはFTZと全く同じ機能を有すると発表されました。

 えー,まじか!

 FTZIIは,三脚座の出っ張りがなくなっても,絞りレバーを動かすモーターが内蔵されていて,Fマウントレンズのサポート範囲はFTZと同じです。

 それだけならまだしも,価格が安くなっています。どういうことよ?

 こりゃ,完全にFTZを置き換えてしまいますよね。強いて言えばFTZIIは12月発売でまだ先の話,昨今の部品供給の問題から品薄になる可能性もありますが,FTZはそれがないということが欠点でしょうか。

 この発表を受けて,FTZの中古価格は早速下がっています。12月までに売り切らないといけないわけで,これからどんどん下がるでしょう。FTZが一番不足していたのはZfcが登場した時ですので,私は一番高価だったときにFTZを買ってしまったということです。

 ああ,人生とはかくも厳しいものか!

 まあ,これだけ大ハズシすればむしろすがすがしいくらいで,私自身はFTZに特に不満もありませんから,案外すっきり納得しています。仮にですよ,当時FTZIIがFTZと同じ能力だと予想できていたとして,FTZIIを待つことにしたとしたら,12月までFマウントレンズを使えなかったことになるわけで,それはそれはさみしいですよ。

 実際,大三元はZfcでも素晴らしい画質ですし,シグマの17-50F2.8は画質と使いやすさを両立するつけっぱなしレンズになりました。AF-S200-500mmは先日の満月を驚くほどスッキリととらえてくれましたし,そう考えるとFTZはさっさと買って良かったと思っています。

 なんて強がってみても,あと1ヶ月ほどの間に自分が買った値段よりも大幅に値下がりすることがわかっていて,穏やかな気持ちには慣れません。お店の人が「シメシメ」とほくそ笑んでいるのを想像するのも,精神衛生上よろしくありません。

 まあ,FTZIIが登場してみて,FTZよりもなにか劣っている点が見つかったりすれば話も変わってくるのですが,そんな可能性もないでしょう。

 ですので,FTZIIが登場して,買い換えで大量に流れて中古価格が大幅に下がったFTZを,お安く買って,ぜひZマウントの世界を楽しんで下さったらいいんじゃないかと思います。

 ちきしょー,うらやましい。

Lightroom6の限界

 OSのアップデートがあったり,Zfcを使うようになったりして,少しずつ変化していく環境ですが,変えたくないのが現像から印刷までのワークフローです。

 私はLightroomを長く使っていますが,使っているのは買い切りライセンス版の最終であるLightroom6です。すでにサポートが切られて久しく,対応するカメラはD850が滑り込みで対応したことで,そのまま使っています。

 ここから専用のプラグインを経由してCanonのPRO100に印刷をするというのが一連の流れとなるわけですが,要となるのはやはりlightroom。AppleM1は当然として,64bit化も行われておらず,ゆえにcatalina移行は動作しません。

 それ以前からサブスクリプション版であるLightroomClassicに移行すべきだったわけですが,それまでの「アドビ税」と揶揄された毎年のアップグレード代金が重く,それでもライセンスは残るからと重税に耐えてきましたが,サブスクリプションはこのアドビ税が毎年から毎月に変わるようなもので,文字通り税のような重さです。

 年間を通して支払うお金はあまり変わりませんし,こういうのはサービスと対価がその人にとってバランスしているかどうかが問題ですので,文句をいう筋合いではないのですが,ライセンスを購入した人が実質的にそのライセンスを行使できない(バグで動かない)ことへの憤りは世界レベルで目にします。

 私の場合,新機能にあまり魅力を感じませんでしたし,対応カメラはD850が最新,レンズも新しいものをサポートしてくれなくてよいということもあり,しばらくはLightroom6で行くことにしていました。いよいよダメになってからlightroomClassicへ移行することにしました。

 これね,買い切りなら早く買った方が得になるのに,サブスクリプションならいつでもいっしょだと思うと,移行が後回しになります。こういう損失ってあると思うんですけどね。もしLightroom6からの移行に割引クーポンでも出てくれば,さっと移行すると思うんですが・・・

 そんなわけで,CameraRawの最新版をインストールして,レンズプロファイルとカメラプロファイルをLightroomに移植,ZfcのRAWはDNG ConverterでDNGに変化して羽読み込ませるという手間をかけて,Lightroomでのワークフローに無理矢理のせています。

 一応これで印刷まで出来るんですが,気にしないといけないのは,現像バージョンが古いという事です。LightroomClasssicの現像になると,高感度時のノイズを効果的に潰すなど,画質に直接影響を与えるような進化があります,レタッチや編集にそれほど興味のわかない私でも,かつて撮影したデータが最新の現像で最新画像になるというのは興味深いものがあります。

 もちろん,MacのOSが先日Montereyになり,着実に前に進んでいるのに,Lightroomを使う時は未だにMojaveで再起動というのも面倒ですし,プリンタドライバのサポートもいつまで続くか心配です。なにより,最新のMacBookProへの買い換えが出来ないという縛りは,しんどいものがあります。

 Lightroom6は,実はインストール済みのマシンのOSをアップデートした場合には,最新のMontereyでも,とりあえず動作します。ルーペ表示で情報をオーバーレイ表示すると白い帯が横たわってしまうので,表示をOFFにしないといけませんが,まあそれくらいの不具合です。

 ただ,もう無茶苦茶遅くて,いくらなんでも昔はここまで遅くはなかったと思います。

 Zfcを買った機会に,lightroomをサブスクリプションに移行させることを本気で考えないといけなくなりそうです。

D850修理完了

 D850の修理が終わり,返ってきました。かかった修理代は250303円で,最初の見積より5000円ほど安くなっています。

 ニコンの見積は結構ドンブリで,あくまで概算というスタンスからぶれないことで知られていますが,多くのケースで見積よりも安い金額で済むので,見積にびびって修理に取りかからない場合があるとすれば,結構もったいない話だなと思います。

 無論,逆の話もあり得て,修理費が見積を大きく上回ることもありますが,その場合でも分解してしまえば技術料が発生するというのは,引くに引けないユーザーという立場の弱さから言わせてもらうと,昔の日本のメーカーならそれは大目に見てくれたんだけどなと,つい思ってしまいます。

 2000年頃までのニコンのサービス対応の素晴らしさは有名で,それが理由でニコンのユーザーになる人も,親子二代でニコンユーザーということも,普通でした。しかし,サービスというのはお金も手間もかかり,その割には利益を生みませんから,会社としてはなかなか高水準を維持するのが難しいもので,業績の悪化で真っ先に手が入るものだけに,このままニコンのユーザーでいいんだろうかと,考えさせれてしまいます。

 さて,今回の修理は完璧のようで,今のところ不具合や気になるところは全くありません。故障箇所がはっきりしていて,かつ互いに確認出来ているのですから,問題になるようなことはないと思います。

 部品代もLCDが2000円ほど,あとは分解のために交換する必要のある張り皮が1000円ほどで,合計3000円ほどでしたし,技術料が18000円で,あとは送料の実費ですので,妥当な金額だったと思います。

 とはいえ,ニコンのサービスのシステムは結構変わるので,今回も戸惑いました。中には改悪と思うものもあったので,書いておきます。

 まず,以前は修理伝票への記入は,電話でピックアップサービスを頼んだ人だけで,WEBから依頼した場合は記入の必要はないと明記されていたのですが,今回は削除されていました。WEBから依頼した場合でも記入することになり,WEBで依頼した時に出来るだけ詳しく書こうと気合いを入れたのが,空振りになりました。

 修理伝票への記入は昔ながらの手書きですので,久々にボールペンで長い文章を書きました。

 それから,見積が郵送される件です。しかも修理の続行はその見積をみて判断し,こちらから電話で続行の可否を連絡しないといけないシステムでした。これまで私が他社も含めてお世話になったケースでは,見積時に修理費用の上限を指定し,それを越える場合には電話で修理の意思確認があって,その場で判断というものでした。

 今回は,WEBからの概算が30085円だったので,30000円以上なら確認と記入したところ,わずか85円の超過で修理が止まり,電話で進行の連絡をしないといけませんでした。

 わずか85円ですからね,電話代でペイしてしまうくらいですし,金曜日の夜に普通郵便で受け取った見積への返答を月曜日の午前中にしたことを考えると,時間的ロスが大きいなあと感じました。

 ネットとスマホでなんでも出来るこの時代にですよ,郵便と電話でって,なんちゅう逆行だと私は呆れてしまいました。

 細かい事ですが,電話の相手をして下さった方が,修理進行の意思を伝えたところまでは明るい声だったのに,「ところで」とこちらが話すと微妙な間があって,明らかに不機嫌な声色に変わったのが,ちょっと怖かったです。そんなに警戒せんでもねぇ・・・

 それで,郵送されてきた見積というのが,WEBの概算と全く同じなわけです。実機が届いて現象の確認が済んでから発行された見積なのに,WEB見積と同じ精度というのは意味がありませんよね。

 私としては,実機を見た結果,その見積がWEBの概算を越えないなら修理を進めて下さい,という意味だったのですが,実機を見ても精度の低い見積で判断しないといけないなら,もう郵送の必要なんかないと思います。時間の無駄ですわね。

 そもそも修理って,分解する前にそれなりの精度で修理代がわかるものです。もちろん,技術者の勘と経験に依存する世界なので,技術者のレベルが下がってしまえばだめでしょうし,そうした属人的なものを減らして行こうという近年の会社のあり方から考えると,誰がやっても同じ結果が出るようにするには,分解するまで見積の精度が上がらないというのは正しいのかもしれないですが,私はサービスくらいは属人的な方がいいんじゃないかと思いますし,かかった必要の多少の誤差は他の修理費用とまとめてしまえばいいでしょう。大きく異なる場合は事情を説明して了解を得るようにすれば揉めませんし,それは多くの会社が昔から使っている手段でもあります。

 今回のケースでも,ざっと3万円ですという一発目の見積で実機を送り,エンジニアが25000円という見積を出して確認無しで修理を継続してくれれば,お互いに時間の無駄がなかったんですよね。

 確かに85円オーバーし,それで修理が保留されたのは誠実ではあったのですが,結果は25000円で済む修理だった(そしてそれは予測可能だった)わけで,修理を止める必要は,本当はなかったはずでした。

 以前のニコンは,こういう時間の無駄もなく,実にスムーズで,かつこちらの期待をいつも上回り,なにがユーザーにとって良いことかをいつも考えて対応してくれていました。

 今回の対応も悪いものではなく,むしろいいものだったと思います。しかし,どうしても以前と比較をしてしまいますし,その結果として印象が良くなかったことも確かでした。

 贅沢なことですが,年々,人を相手しているという感じが薄くなっていきます。

 そういえば,Z7が発売になってまだ数ヶ月という時に,D850を新宿のサービスセンターに持ち込んだことがありました。

 この時,私の隣にいたお年寄りが,泣きそうな声で訴えているんですよ。保証書を忘れたんだけど,どうにかならないか,と。

 受付の女の人は,保証書がないと有償ですと,その一点張りです。

 それは規則ですし,忘れた人が悪いんですけどね,でもね,Z7って1年保証の商品で,発売から1年経過していないものが壊れたと言って,修理を受けているんですよね。

 このおじいさんがズルをしているわけでも,ウソをついているわけでもありません。発売からどうやっても1年経過しないのですからね。そのZ7が試作機とかサンプルとか,そういう保証対象外の機種かどうかは,シリアルを見ればわかることですし,そんなケースはほぼないでしょう。そもそも,そういうケースはあってはならないことです。

 保証書という書類を重視するか,それとも1年間は壊れませんという品質の保証を重視するか,どちらがこの場合に本質的な問題なのかと考えた時,私はどうしても保証を重視するという結論にはならないのです。

 とはいえ,ルールはルール。この時の最善の対応はおそらく,保証期間内の故障である事をまず詫びて(これは重要ですよね),無償修理を前提に保証書を送ってもらって,その内容を確認出来るまでは修理の進行を止めておく,結局保証書がなければ有償修理という話じゃないかと思います。

 とにかくダメなんです,と言われ続けたおじいさんは,結局壊れたZ7をそのまま残念そうに持ち帰っていました。せっかく新宿まで来たのに・・・この受付の女の人は,自分の親にも同じ事をするのかなあと,こちらまで悲しくなりました。

 幸い私の担当してくれた人は良い人で,満足な対応を頂きました。最終的には人によるんですけど,それを是正するのに属人的な要素を排するというのは後ろ向きで,担当者のレベルを高いところで揃えるのが本当の姿ではないかと思います。

 あれこれ書きましたが,D850はまだまだ使えます。レンズも縦位置グリップも外したD850は筋肉質で,手に収まった時の感触の頼もしさから,買った時の感激を思い出しました。

 Zfcもいいですが,やっぱりまだまだ。D850はうちのメインです。

 

ミラーレスを使うようになって新しく覚えたこと

 ミラーレスのカメラを使うようになって,覚えたことがいくつかありました。長く使った一眼レフからすんなり移行出来るようにしてあるのがカメラメーカーのミラーレスだろうと思っていたのですが,そういう配慮はZ6やZ7などの第一世代に向けてのようで,すでに離陸したあとのZfcなどでは,ミラーレスになって考慮しないといけない点が「新しい常識」として浸透していました。

 興味深かったのが,シャッターの仕組みについてです。

 一眼レフ時代の常識は,メカシャッター万能論です。とにかくメカシャッターが最強であって,これを中心に機能が組み立てられていますから,電子シャッターなどは静音動作などの特殊な場合に使い分けるものだと考えていました。

 ところが,Zfcでは可能な限り電子シャッターを使うのが初期設定なんですね。それも「オート」なる設定です。オート?なにが??

 ということで,調べてみました。

 CMOSセンサは(一般的にデジタルカメラに使われる)CCDと違って,外部へのデータの出力は横一列分(ラインといいます)ごとに行われます。厄介なのは,読み出されたデータはそのときの露出によるものである,ということです。

 1つ前のラインの出力が終わったらようやく出力を行うことが出来るのですが,ラインごとに露出時間が異なっていると明るさが変わって来ますので,露光開始も遅らせねばなりません。

 つまり,ラインのデータ出力時間だけ露出開始が遅れるわけです。

 それが最終ラインまで続けば,当然一番上と一番下の間には時間差が生まれるわけで,その結果高速で走る被写体を撮影すると,長方形のものが平行四辺形に撮影されてしまいます。

 我々が普段耳にする「ローリング歪み」というのはこれです。ローリング歪みを根本的に防ぐには,ラインごとの露出時刻を揃えることに尽きますから,データの転送を全ライン一気に行うか,データを画素ごとにメモリに一時的に蓄えて,それを後でゆっくり読み出すか,くらいしかありません。

 どっちもなかなか非現実な方法なのですが,これがかつてのCCDだと全画素をメモリに蓄えてゆっくり転送できたので,ローリング歪みは発生しませんでした。

 もちろんCMOSセンサでも転送を高速で行うことで目立たなくすることは出来るのですが,根本的な解決ではありません。

 そこで,現実解としてメカニカルなシャッターを用います。フィルムも露光時間によって明暗が記録されますので,シャッターの開閉によって積分時間を調整しているわけですが,同じ仕組みをCMOSセンサでも使うというわけです。カメラの象徴である「カシャッ」という音は,メカシャッターの音でもあるのです。

 さて,一眼レフではフィルムをCMOSセンサに置き換えた構造ですのでこれで問題解決です。しかしミラーレスはそうはいきません。

 ミラーレスでは,ファインダーに投影する画像を光学的に導くのではなく,CMOSセンサが取りこんだ画像をディスプレイで表示することで作り出しますから,撮影していない時でもシャッターは開けておかねばなりません。

 いざ撮影となったらシャッターを閉じて,改めてシャッターを開いて露光,終わったらまたシャッターを開けるという面倒な動作が必要です。一眼レフに搭載されたライブビューというのは,こういう仕組みだったことを思い出した方も多いでしょう。

 そのライブビューが,今のミラーレスの仕組みそのものであるわけですが,常時開けてあるシャッターを閉じて開いてまた閉じて開いて,という非合理的な動作によって,タイムラグやレスポンスと言った時間的な問題,シャッター稼働による振動によるブレの発生,そしてシャッターの耐久性が半分になるという信頼性の問題がついて回り,これがミラーレスカメラの魅力を半減していました。

 ここからミラーレスは,一眼レフの作り上げた道から分岐します。

 実は,CMOSセンサは,露光の開始は全画素一斉に行うことが可能なのです。露光開始をずらしているのは,露光完了が1つ前のラインのデータ出力が終わってからでないとダメだったからで,そのせいで露出時間を揃えるために露光開始もずらしたからでした。

 ならば,シャッターの先幕の代わりに露光開始を一斉に始めることで行い,露光の終了をメカニカルなシャッター後幕で行えば,撮影前にメカシャッターを閉じる動作はいらなくなります。そして撮影時は後幕だけをメカで動かしてやればよいのです。

 これが電子先幕シャッターです。

 電子先幕シャッターは,露光開始を行うシャッターという点で,メカシャッターの先幕となにも変わりません。しかも撮影前にシャッターを閉じなくてもいいので,タイムラグもなく,ブレも軽減(撮影時のブレというのは露光時のブレですので先幕による振動が原因であって,後幕による振動は原因ではありません),しかもシャッター寿命が延びる(とはいえ後幕の寿命は同じなんですが)と,すべての問題を一気に解決します。しかもそのために,新しい回路を仕込んだ専用のCMOSセンサを開発する必要もないのです。

 これほど美しい解決策にも,やはり弱点がありました。露光ムラです。

 電子先幕シャッターはCMOSセンサの画素の中身をリセットすることで行われます。なのでシャッターとセンサとの間の距離はゼロです。これに対してメカシャッターを使う後幕との距離は数ミリ程度あります。わずか数ミリですが,なにせ相手は電子先幕シャッターのゼロミリですので,無視できません。

 CMOSセンサへの露光は,フォーカルプレーンシャッターである以上は,それが電子であろうとメカであろうと,先幕が開いて後幕が閉じるまでの時間で作られるスリットの幅でその時間が決まります。

 光がスリットに対して真正面から来ているときは別に問題はありません。しかし,スリットが上または下に(そう,今のカメラのほとんどはシャッターが下から上に走るのです)ある時,センサから離れたところにある後幕がセンサに密着していると見なして良い先幕よりも先に光を遮ってしまうので,スリットの幅に差が出来てしまうのです。

 少し考えて見ればわかることですが,スリットが下にある時はスリットが広く,上に向かって走るに従ってスリットが細くなっていきます。これが露光ムラの正体です。

 この露光ムラは,スリットの幅が細いほど影響を受け,スリットの幅が広いほど影響が少なくなっていきます。また,スリットを通るときの光の平行度によっても違ってきます。

 後者については,純正のレンズのように既知のものであれば,レンズごとの平行度から露出の補正を行うためにシャッターの動作速度を調整することも可能ですし,ひょっとしたら現像時に露光ムラを補正するようなことも行われているかも知れません。

 しかし前者は,スリットが細いほど露出ムラが大きくなってしまいますから,自ずと使用可能な範囲が制限されてしまいます。スリットが細いというのはつまり高速シャッターということですので,ニコンなどは1/2000秒以上は電子先幕シャッターを動作させないようになっています。

 後者については,純正レンズであれば補正も可能なのですが,非純正のレンズだったりすると補正が出来なくなります。しかしもっと深刻なのは,ボケの形が変わることです。

 ボケというのは,ピントが合っていないことで点がぼやーっと広がって面になってしまうということです。点ならば前後に差があるシャッターのスリットを通ることに問題は発生しないのですが,面になるとそうはいかず,スリットが上にあるときと下にあるときで,ボケの一部が露光されないことが起きてしまうわけです。

 これも結局,突き詰めれば露光ムラと同じ事なのですが,ボケの形は画像処理による補正が難しいので,現実的には出来ません。ボケが欠けないように撮影するしか方法はないわけです。

 これも,光の平行度(射出ひとみまでの距離)が分かっていればシャッター速度の調整で回避出来そうなもんですが,非純正のレンズではどうにも出来ず,つまり影響が小さくなるまでシャッター速度を落とす事や,ボケ欠けが目立たないような被写体を選ぶ事が求められるということです。

 だったらもうこの際,電子先幕シャッターはやめて,メカシャッターを使えばいいじゃないかとなるのですが,それだと話が振り出しに戻ってしまいます。ここに至って,我々はなにを優先するかで使い分けを求められてしまったのです。

 ブレは低速でおきます。だからここは電子先幕シャッターを使いたい所ですよね。電子先幕シャッターは,スリットが発生すると露光ムラを引き起こすのですから,スリットが発生しないシャッター速度,つまりストロボ同調速度までは電子先幕シャッターを使わない理由はないでしょう。

 同調速度は多くのカメラで現在1/200秒くらいです。ここから影響のない程度のスリットまで許容して1/320秒くらいまでは,電子先幕シャッターにしておけば大丈夫でしょう。

 そこから上の速度は,完全にメカシャッターに頼らなくてはいけません。幸い,同調速度よりも高速なら,シャッター動作の完了時間は一定ですから,タイムラグが乗っかっても実際に露光を行っている時間が長い低速側に比べて,極端にタイムラグが遅いという印象を受けにくいです。

 こうしてシャッター速度で切り替える事でそれぞれのメリットを活かす必要があるのですが,これをユーザーが自分で判断して切り替えるのはかなり大変でしょう。

 さすがミラーレスの始祖であるオリンパスは,すでにこうした自動切り替えを実装しているので,ユーザーは気にしなくても良くなっています。ニコンは第一世代のZ6とZ7ではマニュアルで切り替えることを求めていましたが,電子先幕シャッターの上限が1/2000秒になることやブレを押さえる必要があることなどで,ファームウェアのアップデートで自動切り替えが実装されました。

 ここで素朴な疑問が。シャッターブレも手ぶれ補正で打ち消せないのか,という疑問を私は感じたのですが,これはある方が実験を行っていて,1/80秒をピークとして,1/60秒から1/100秒くらいの間では,手ぶれ補正によって補正しきれないということが起きているそうです。

 これ以下になると手ぶれ補正で補正出来ているようですが,結局Z6やZ7というニコンのミラーレスでは,メカシャッターと手ぶれ補正の組み合わせでも1/80秒付近のブレが大きいという結果になり,その根本対策として電子先幕シャッターが最も効き目があるという結論になっているのだと思います。

 そうそう,キャノンの場合,電子先幕シャッターの動作上限が制限されないそうで,そうなると1/8000秒などではボケ欠けなどが目立つらしく,かつシャッターの振動が小さいこともあるので,積極的に電子先幕シャッターを使わなくてもよいそうです。

 そう考えると,カメラとしての完成度の高さはキヤノンが最高,親切さでオリンパス,誠実さでニコン,という感じでしょうか。まあニコンはそのうち完成度を上げてくるだろうし,Z9などの上位機種では変わってくるんじゃないかと思いますが,こういうことが起きてしまった時のユーザーへの「見せ方」には,ちょっと興味深いものがあると思います。

 さてさてZfcですが,一眼レフと同じと思ってメカシャッターで使ってきたのですが,やはり低速側でのブレが抑えきれず,下手になったなあと落ち込んでいたのですが,実はシャッターが原因のブレとわかって,オートに設定し直しました。

 するとブレもかなり軽減されるようになりました。特に1/50秒から1/100秒付近というのは室内撮影で多用するシャッター速度ですので,ここでの撮影結果が大きく改善するのは,とてもありがたいことです。

 オートの設定は工場出荷時の設定ですので,わざわざいじらなければ良いという話ですが,設定を変更出来るようにしてあるからには,変更するとどうなるか,あるいは初期設定になっているのは何故なのかをきちんと説明してくれないいかんのじゃないかと,そんな風に思います。

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