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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

オリンパスPEN EEDの修理

 先日,3Dプリンタで電池アダプタをいくつか作った時の話です。

 SR43をMR-9にするアダプタをオリンパスPEN EEDで試してみたところ,シャッターが開かないことに気が付きました。

 露出計(というか自動露出)は動作しているようなので,電池アダプタの動作としては問題なしということになるのですが,カメラとして機能していないならアダプタの存在そのものに疑問が生じるわけで,これを放置するわけにもいきません。

 シャッターを動作させるにはフィルムを入れるなり,なにか他の条件が必要だったかもしれないといろいろいじってみましたがやっぱりダメ。

 絞りをマニュアルでセットした場合も開かないので,これはもう故障だと判断しました。よく思い出してみると,このPEN EEDは私の手元に来たときに機械的な故障はなく,分解を一度もやっていないのです。

 すると,どうもシャッターのグリスによる固着らしいとわかりました。よく見ると滲み出た油が羽根に付着しています。これはいかん。

 すでにカメラの分解修理に多くの時間を割けることが出来なくなっている私には英断でしたが,ここは久々に分解修理をしてみることにしました。ま,このころの廉価版のカメラはそんなに難しいものではないでしょう。

 レンズシャッターのカメラですので,分解するのはレンズの部分だけですむはずです。慎重にレンズを分解し,シャッターユニットを取り外します。調べていると,シャッターユニットが取り外された時に,シャッターは開いているものなんだそうですが,私の目の前にあるシャッターは閉じたままです。

 レバーを指で動かしてシャッター羽根が動くかどうかを試すと,かなり重たいですがなんとか動きます。しかしバネの力だけでは自動的に戻ってはくれません。

 ということでやるべき事はシャッターの分解と,ベンジンを使った油の除去です。

 羽根はたった3枚。2枚は同じ形状です。これをさっさと取り外しベンジンにつけ込んで油を落とします。元の通り組み立てて試してみると滑らかにシャッターは動くようになりました。

 ここから全体を組み立てるのですが,なんと鏡筒の後玉の部分に,劣化したモルトがボロボロになっていました。ここがボディにはまり込むんですが,なんとフォーカスによる可動部分の遮光は,このモルトが担っているとわかりました。なんと簡単な仕組みなことか・・・

 最初2mmのモルトを張り直したのですが,窮屈すぎてフォーカスリングが回らなくなりました。これではさすがに問題だと再度分解し,今度は1mmのモルトを鏡筒に巻き付けます。

 随分ましになったとは言え,それでもスムーズに回るとは言えません。でも,この部分の遮光が出来ていないとかぶってしまうでしょうから,動くなら窮屈な方がむしろいいと考えて,このまま完成させることにしました。

 改めて電池を入れて何度かシャッターを切ってみると,全く問題なくシャッターが開いてくれます。レンズシャッターというのはなかなか趣があるもので,シャッターの開閉速度があまりにゆっくりなので,露光ムラを心配したくらいです。

 でも,レンズシャッターというのは全体の光の量を調整する絞り羽根がシャッターになったものですから,画面全体の明暗がゆっくり変化するだけの話であり,露光ムラはおきません。

 一眼レフの,特に最新のデジタル一眼レフになれた体には違和感が大きいのですが,シャッタの開閉速度が遅くて,明暗の変化がゆっくりであっても,露光は積分ですから,最終的な積分値が絞り値に合致するようにしておけばよいだけの話なのですね。

 とまあ,初代のオリンパスPENやPEN Fがあまりに有名で,中途半端に自動化され大型化したEEDなどはマイナーな存在なのですが,それでもこのたたずまい,ヒンヤリとした金属の質感,そして大きな前玉と,なんと魅力的でしょう。

 思わずフィルムを1本いれてしまいそうになったところで,私はふと手を止めました。まてよ,24枚撮りを入れたら48枚も撮らないといけない・・・今そんなにこのカメラで撮影出来るか?

 秒間9個前のD850ならわずか5秒で取ってしまう枚数ですが,親指でコリコリと巻き上げ,目測でフォーカスを適当に合わせ,四角いレリーズボタンを静かに押し込めば,ゆっくりとしたシャッターがジーと開いて閉じる・・・こんな緩慢なカメラで48枚を撮りきるのはもはや修行です。

 そういえば,このEEDを手に入れた時に,試し撮りをしたフィルムって,結局全部撮りきることも出来ずに,現像しないまま放置してあったんじゃなかったかなあ。

 ついでにいうと,CoolScanではハーフサイズのスキャンが出来ないので,2枚同時のスキャンをしないといけないけど,自動コマ送りがきちんと動作しないかもしれないなあと心配していたことを思い出しました。

 でも,昨今の銀塩ブームもありますし,フィルムを詰めて散歩に出かけるのもいいかもしれません。スキャンはD850のオプションであるES-2が発売されれば問題解決でしょうし。

 どうするかな,保存してある冷凍フィルムを使うかな、でももう色が無茶苦茶だろうし,新しいのを買ってみるか・・・

 ああ,なんと楽しい時間!

 

AT-X 16-28 F2.8 調整から戻ってきた


 先日メーカーで調整をお願いしたトキナーのAT-X16-28mmF2.8 PRO FX。12月3日に発送し,12月10日に戻ってきました。

 金曜日に少し電話で話をしたのですが,後ピンの症状は確認出来たが,添付されていたCD-Rの画像が「加工されていた」ので症状を確認出来ず,基準ボディーで調整を行ったという話でした。

 加工するなという指示はなかったと思いますし,加工したといっても切り出しだけで,画像そのものをいじった記憶はありませんから,作業時間がちょっともったいなかったなと思いましたが,私としては最初かトキナーの品質基準に合致したものにしてくれればそれでいいと思っていましたので,全然構いません。

 とにかく,後ピンである事を確認してもらい,調整(と点検)をしてくれたことがありがたく,届くのを楽しみに待っていました。

 12月10日の朝に届いたので,昼からいろいろ確かめてみましたが,後ピンの傾向は大きく改善し,AF微調整でも補正値0という結果になりました。

 28mmでも16mmでもほとんど大丈夫ですし,被写体との距離にもほぼ関係なく,ぴたっとフォーカスが合います。

 AF微調整をD850で行うと,以前は調整範囲を超えてしまってエラーになることも多かったのですが,調整後はエラーは出ません。補正値も何度か試してみましたが±3までに入ってきます。これなら問題なしです。

 ということで,メーカーで調整してもらうとバッチリになりました。

 購入後1週間ほどだったとはいえ,調整費用はもちろん,往復の送料まで負担してもらいましたし,調整は完璧,汚れも傷も全く付かない綺麗な状態で返してもらい,しかも電話での応対も気持ちよくということで,今回は本当にトキナーにお世話になりっぱなしでした。ありがとうございました。

 私はカメラメーカーに勤めたことはないのでなんとも言えませんが,一般論として,安いものを売るには,数を売るしかありません。大量に作る方法が求められますが,そのための1つとして品質基準を下げるというものがあります。

 決められた手順で作れば調整の必要のない設計をすれば大量生産が出来る事は想像出来ますが,この方法では多少のバラツキを許容しなければなりません。

 一方で,1つ1つ完全に調整を行うなら,バラツキは小さくなりますが,製造にかかる時間も増えるので大量生産が難しくなります。当然価格も上がります。

 工業製品においては,基本設計が優れていることはもちろんですが,それだけでは「目の前にある1つ」が優れているとは言えず,その設計通りに製造されて調整されていることが必要で,そこにこそお金がかかるものです。

 こういう書き方をすると,純正のように高い値段で売れないレンズメーカーのレンズは,製造や調整で妥協しているといったような誤解を招くのですが,そういう事実があったとしても,価格に応じた性能や品質であるなら,それは極めて妥当です。

 今回のレンズは光学特性は優れており,問題になるのは逆光に弱いことくらいでしょう。しかし,やはり純正の1/3の価格である事の影響は製造や調整に出るものであり,私が買った個体の最初の状態は,この価格に見合った品質であったのでしょう。

 メーカーの言い分としては,ここで責任は果たしているわけですが,多くはきちんと後々の個別対応を受け付けてくれています。手間とお金をかけて1つ1つ調整をし,設計通りの性能が出るようにしてくれるのですが,その結果私が買った値段では,赤字になってしまうのではないでしょうか。

 純正では,高い値段でも買ってもらえますし,逆にその値段に見合う性能を求められるので,1つ1つ調整をしたり,品質基準を高めたりといった高価になる要因を組み込むことができます。だから,個別対応を求めると結構嫌な顔をされるのではないかと私は思っています。

 そこへいくと,トキナーにしてもシグマにしてもタムロンにしても,どこもこういう個別対応にはとても親切に対応してもらえます。安いのに申し訳ないという気持ちもありますが,その結果を体験すると,お願いして良かったなあと思うのです。

 口の悪い人などは,レンズメーカーのレンズは購入後に調整から帰ってくるまでが納期だといったりしますし,そのことで「もっと品質管理をしっかりせよ」と言うわけですが,私はそこまでは感じません。純正以上に売る努力をしないといけない人達が,絶妙なバランスで作り上げた製品と販売システムであり,おかげで我々は安価に高性能なレンズを使うことが出来るのです。

 カメラは100年を超えた歴史を持つ,お金のかかる趣味の1つです。当然口うるさいユーザーがいて,諸先輩の苦言が今のカメラの世界を作ってきたともいえます。

 だからこそ,主観に頼りがちなユーザーの主張を真面目に聞くだけの土壌がメーカー側にもあるのでしょうし,メーカーもそうしたユーザーのいう事を信じてくれるのだと思います。

 ともあれ,今回のAT-X16-28mm F2.8 PRO FXは,とてもいいレンズです。トキナーブルーは美しく,解像度も高いです。AFも満足ですし,16mmはやっぱり楽しいですし,28mmも開放から十分実用になる画質です。

 ともすれば,純正が買えなかった人の言い訳になるレンズメーカーの大三元ですが,私はこれは積極的にこれを選んだと,胸を張って言うことにします。

 さて,そうして喜んでいたところ,ほぼ同時に先日申し込んだキャッシュバックの郵便為替も届きました。本当に1万円戻ってきましたよ。

 いやー,当然なんですが,調整までしてもらってお金をもらえるというのは,なんだか不思議な気分です。トキナーさん,ありがとうございました。

 

D850の初仕事

 9月の発売日に無事に手に入り,その後何の問題もなく私と馴染んでいるD850。D800との違いは元々少なく,Lightroomが対応してからはD800と全く同じワークフローで印刷まで完了しますし,そこから出てくる画質にも恐ろしいほど違和感がないため,特にストレスなくスッと手に馴染んで生活の一部になった感があります。

 そんなことならD800でも別に良かったんじゃないのか,と非難されそうな気もしますが,まあそれはそれ,と軽く考えています。

 そのD850とオーナーの私にとって,ちょっと大きなイベントがありました。いや,何のことはない,子供のお遊戯会の撮影です。

 子供は保育園の年長さんなので今年で最後になりますし,成長の速い保育園の子供にとっての年長さんというのは,年下の子供たちと違って体も大きく,やっていることも高度になるので,実に興味深い被写体です。

 当たり前の事ですが,子供は撮影者の意思に無関係に動き回り,出てきてはひっこむを繰り返しますし,これも当然ですがやり直しが利かないシビアな現場ですので,私のようなのんびりしたアマチュアには緊張の仕方さえ分からないくらいです。

 D850は高画素と連写,そして高感度と高性能を高次元でバランスした一眼レフであり,まさに死角はありません。何かのために何かをあきらめることが必要ない,現時点で最も汎用性の高いカメラといってよいと思います。

 かつて,現場になれていないアマチュアが分不相応な高価なカメラをこれ見よがしに持ち込む姿に嫌悪していた私は,いつしか自らが嫌悪の対象そのものに成り下がっていたことに軽いめまいを覚えましたが,この鬱屈した気持ちを跳ね返すには,その高価なカメラを使いこなし,それでなければならない理由を胸を張って語るしかありません。

 ということで,ようやく現場に持ち出せたD850の印象を書いてみたいと思います。

 あまり大げさな装備もどうかと思っていましたが,娘の晴れ舞台を綺麗に残したいという自然な気持ちもありますし,これがD850の評価の機会という気持ちもあって,レンズは70-200F2.8VRII,バッテリグリップにEN-EL18を入れて9コマ/秒を仕込みました。

 え,気合い十分な完全武装ですって?いえいえ,ストロボがありません。
 
 そんなわけで,若干周囲に引かれながらも,9コマ/秒を炸裂させてきました。

(1)高感度と画質

 会場は明るいので,D800でもそんなに問題になることはなかったのですが,それでも200mmで手ぶれを防ぎ,かつ被写体ブレも押さえ込もうとすると,やっぱり1/250秒以上のシャッター速度は欲しいです。そうするとISO2000から3000くらいになってしまう場合も覚悟せねばなりません。

 D800でもISO2000や2500くらいで破綻することはなく,ノイズ軽減を強めれば問題なかったのですが,D850はさらにそこからもう2段くらいのゆとりがあるように思います。

 そのゆとりはノイズの少ない画像を得ることにも使えますし,1/500秒を切るために使うことも出来るので,とても融通が利きました。

 Lightroomで処理をしていて感じたことですが,高画素機というのはノイズリダクションをかけやすいです。画素数が少ないと,ノイズ軽減で塗りつぶされた感じが強く出てしまい,不自然な仕上がりになりやすいので慎重に調整をするのですが,画素が増えると少々ルーズな調整をやっても,ノイスだけスッと消える感じがあります。

 当たり前の事ですが,ノイズというのは空間周波数に対して広く分布する成分であり,これを減らして本来の情報を強調するには,本来の情報が豊富なほど有利です。高画素は情報が多いといい切れませんが,D850は画素ごとの情報量も豊富なので,ノイズ軽減を調整中に急激に破綻することがありません。

 露出不足で潰れたところから,現像で綺麗な画像が浮かび上がらせる経験をD800でそれなりに味わっていた私ですが,プラスの露出補正をした際の明部が良く粘り,ちゃんと階調が残っているのは驚きました。これはD800以上です。

 露出に失敗して現像時に補正をかけると,やはりなにか失うものだったのですが,D850には±2段くらいならなにも失うものはありません。沈んでいた画像が浮かんで最初から失敗などなかったようになります。このスムーズさは情報量の多さからくるものでしょう。

 そして,色による偏りが少ないのもすごいです。どの色も豊富な階調を保持していて,さらに磨きのかかったホワイトバランスと相まって,複雑な色の光源とカラフルな衣装によって生まれる異なる色のグラデーションも,見事に記録しています。

 どちらにしても,D850は画素方向と明るさ方向の3次元で,情報量が飛躍的に増加しています。少々の失敗はこの情報量でカバー出来ると感じる人も多いでしょう。


(2)連写とレスポンス

 EN-EL18を使えば9コマ/秒というD2Hを越える連写速度が手に入るD850ですが,ミラーの動作速度も確実に上がるので,ブラックアウトの時間も短縮されます。これはもう気のせいではなく,確実です。

 EN-EL15ではCHモードでワンショットなのに,EN-EL18では思わず2枚撮影してしまうということが起こるくらい,レスポンスが良くなります。

 とても軽快で,気持ちよく,意のままに撮影出来るのですが,ミラーが高速で動作することもあり振動の発生も大きく,油断するとブレが出ますし,しっかりホールドせねばというプレッシャーが負担になることもありますから,私は普段はEN-EL15で運用しています。

 今回,非常に限られたシャッターチャンスを生かすために,9コマ/秒で臨みました。D800では連写をすると,ちょうどよいところでシャッターが切れていないことがありましたが,そこはさすがに9コマ/秒です。必ずどこかに気に入った画像が収まっています。

 加えて軽快なシャッター音は,またこの音を聞きたいという中毒性を持っており,一度押したレリーズボタンからなかなか指が離れません。

 こうして,あっという間に何百枚というカットが記録されます。

 そして,この連写とレンスポンスを支えるのが,非常に高いAFの性能です。

 D800も良かったと思うのですが,そこはやはり連写速度に見合った性能になっていました。クセもあるので撮影者はそれを見越して使うことも求められたと思うのですが,D850はそんなことは考えずとも,フォーカスを外しません。

 事実,撮影した写真のほとんどでフォーカスを外していませんでした。

 見やすいファインダーで被写体をとらえ,使いやすいUIでフォーカスポイントをさっと動かし,AF-ONを押せば一瞬で狙った所にフォーカスが合います。

 少々動いてもちゃんと食いついていき,まつげをきちんと解像するそのAF性能には,もう脱帽です。


(3)トリミング耐性

 最後にすごいと思ったのは,このトリミング耐性です。

 保育園のイベントですので,撮影に使える場所には厳しい制限がかかっています。制限がなくてもマナーの問題ですので無茶はそもそも出来ませんが,撮影条件の良し悪しは,自分の意思だけでは決まりません。

 距離については保護者ですので裸眼で見えなくなるような距離ではないのですが,最前列でない限りは視野が開けているという可能性は低いです。

 自ずと人垣の隙間から被写体を狙うことになりますが,そうすると上半身だけとか,顔だけとか,右側にハゲ頭とか,左側にでかい横顔とか,そういう面倒が起こります。

 別にハゲ頭を見たいわけではない我々は,当然そこをトリミングで削り取ることにするわけですが,左上にちょこっと子供の顔がある,という状況で,しかもその顔がとてもいい表情だったりすると,そこだけ切り抜くようなトリミングをしてでも,この写真を救いたいと思うものです。

 ですが低画素機ではそういう自由度もなく,やはり撮影時の努力で防ぐしかないのですが,D850の4600万画素はD800の3600万画素を越えた,トリミング耐性を備えていました。

 本当に,ちょこっと入っていた顔を切り抜いてもへこたれません。この余裕と安心感はすごいです。

 高価な一眼レフの高画素化は,実はそれまで害悪とされていたトリミングを積極的に使う事の出来る新しい価値を産み出しているのではないかと思うほどです。

 
 とまあ,D850で強化されたところに注目して現場に出てみましたが,想像以上にD850の使いやすさと失敗の少なさ,そして余裕と安心感を堪能しました。このカメラはもう手放せません。

 私の周りにはスマートフォンはもちろん,ビデオカメラやコンパクトデジカメ,EOS Kissクラスの一眼レフやm4/3のカメラを使っていた人がたくさんいました。皆一様にシャッターチャンスを逃すまいと頑張っていていましたが,背面のLCDに写った写真をのぞき見すると,そんなに良い写真になっているとは思えませんでした。

 しかし私は,自分の観覧席に悠々と座り,座ったまま手持ちでぱぱっと撮影していました。そして家でじっくり現像してトリミングをして,満足な写真を仕上げました。

 隣にいた嫁さんに私は自分の思ったことをつぶやきました。

 それは,機材の悪さは自分の足でカバーせねばならず,条件の悪さは機材にかけたお金である程度カバー出来る,ということでした。

 つまるところ,カメラの性能というのはここに集約出来るのかも知れず,少々条件が悪くてもへこたれない適応性ともいうべきものが,価格に対して手に入るメリットなのでしょう。

 裏を返せば,安い機材であっても,自分の足と努力でカバー出来る場合が多いという事も言えて,アマチュアらしいバイタリティを忘れないようにしたいものだと,改めて思いました。

AT-X 16-28 F2.8 後ピン発覚

 先週手に入れて,すっかり気に入って常用レンズになっている,トキナーのAT-X16-28 F2.8 PRO FX。飛び出した前玉の扱いにも慣れ,狭い部屋を広い画角でまるごと写し取る面白さや,目一杯に寄って背景をぼかしつつ取り込む楽しさを味わいながら,広角レンズを練習しているところです。

 で,購入時からなんとなく思っていたのですが,娘の写真を撮っていると,まつげがちっとも解像しません。これはブレかもしれないし,測距点がずれているのかもしれないとあまり気に留めなかったのですが,座っていたソファーの背もたれの部分にバチッとピントが来ていることに気付いて,これはおかしいと気が付きました。

 どうも後ピンのようです。それもかなりズレています。16mmのワイド端でも28mmのテレ端でも同じ傾向です。

 気になり始めるともう落ち着きません。なんでこんなにひどいズレに今まで気が付かなかっただろうと思いましたが,気のせいかもしれない(そんなわけはない)ので,幸い12月9日にトキナーで開催される「レンズクリニック」にいって見てもらおうと思っていました。

 まあ,その前に状況を確認しておこう,うまくすればD850本体の「AF微調整」を使って穏便に済ませることが出来るかもしれないと,昨夜試してみたのです。

 娘のまつげが解像しないことで気が付いた後ピンは,被写体との距離が1.5m程度です。三脚に固定したD850で1.5mほど先に置いたチャートをライブビューでAFで合わせて,AFモード切替ボタンとRECボタンの同時長押しをして,自動調整を行います。

 調整結果を見てみると,-19。調整範囲が±20ですので,調整範囲ギリギリです。やはりこれくらいズレると目で見て分かるものです。

 これでうまくいくかもと撮影すると,確かにジャスピンです。16mmでも同じようにうまくいっています。

 これでもう調整を依頼しなくていいかなあと思って,今度は10cmの距離でクリスマスツリーの枝を撮影しますが,ちゃんと人工の葉っぱの筋まで写っています。

 ならばと今度は5mほど先の壁掛け時計を撮影します。

 ・・・なんだかぼやーっと眠いのです。あれ,これはおかしいと,調整値を-19から0にして同じように撮影です。

 するとまあなんと,シャープな壁掛け時計が写っているではありませんか。三脚を使わなかったのであくまで参考値ですが,ライブビューからの自答調整で得られた調整値は-4でした。

 何度か-19と0を繰り返して撮影しますが,どうもピントのずれ量が被写体との距離で一定ではないようです。もう一度近距離の撮影をやってみると,葉っぱの筋が見えているのは事実ですが,これも後ピンでした。

 というわけで,どうも後ピンの傾向があるのは確かなのですが,一番ひどいのは被写体との距離が1.5mくらいの時で,10cmでも後ピンが出ていて,5mも離れるとほぼ解消するという事がわかりました。16mmのワイド端でも同じような傾向です。

 こうなるともう素人の私には手が出せません。D850のAF調整はレンズごとに行うことが出来ますが,ズーム域で切り替えできるほど親切ではありませんから,やはりもう白旗です。

 遠景を撮影した時も気が付かず,近距離を撮影した時にも気が付かないのは,ここでのズレ量が小さかったからでしょう。しかし,1.5mというおいしい距離でこれだけズレてしまうことを放置できませんし,ここでズレ量を調整すると,他でピントが合わなくなります。

 そこで私は考えました。、レンズクリニックで見てもらっても,調整は結局預かり修理になります。それならば,もうズレていることが分かっているのですから,さっさと修理に出してしまった方が解決までの時間が短くて済むでしょう。

 平日の午前中にサービスセンターに電話をしたところ,保証期間内なら無償で調整する,往復の送料も無料だというありがたいお返事を頂きました。

 そもそも「こんなもん」だと時間の無駄だと思うのでそのあたりも電話で話をしたいんだけどというと,とりあえず見てみないとなんとも,という誠実なお返事を頂き,週末に送る事にしました。

 数日で診断結果が出て,そこで電話をもらうことになっています。調整だけで済むのであればそこからまた数日という事で,うまくすると10日ほどで戻ってきそうです。

 レンズクリニックに行くのも悪くないと思っていましたし,仮に発送するにしても電車賃代わりに元払いでいいやと思っていた私としては,保証期間内だから送料も無料ですという話にちょっとびっくりしました。

 本当かどうかは分かりませんが,純正のレンズと非純正のレンズとでは,バラツキの違いをどのくらい許容するかが最終価格の差になると聞いたことがあります。手間暇かけて調整をし,どうしても調整出来ないものを廃棄するとなると,そりゃお金はかかるでしょう。

 安いレンズはそこまでやらないというのは確かに真実ですが,だからといってバラツキを容認するということではないと私は思っています。調整をしなくても性能が維持できるような設計を最初にしておけば,調整は入らないし,廃棄するものも出てきません。

 安いことを目指す場合にまず設計者が行うことは,こういう製造時のコストを下げることです。もちろん部品を減らす事,部品の値段を下げることもやりますが,それらはコツコツとした小さい積み上げによるものなので,品質に関わるコストが発生すると,一発で吹き飛んでしまうものです。

 だから,安いレンズを作る事は生産技術に長けていることが必要なわけで,日本のレンズメーカーはいずれもその実力を知られています。

 ただ,誤解を招くといけないので書くのですが,プロのように失敗が許されないケースや,会社の備品のように簡単に修理や調整に出せないケースでは,お金はかかってもいいので最初から高品質であることに強いニーズがあります。

 純正のレンズはまさにこうした期待に応えるものとして,おそらく過剰とも言える品質管理を行っていて,その結果高価なものになっているのだと思います。

 一方で,数を売るレンズメーカーのレンズは,純正よりも安くなければ買ってもらえませんし,また数が揃わなければ数が出ません。だから品質基準もリーズナブルになっているのだと思いますが,それは決して悪いことではありません。

 そこまでの品質を必要としない人に取っては安く買えてラッキーですし,こだわる人には個別の対応をした方がトータルで安くなるという計算もあるでしょう。買った人は手間がかかりますが,そのおかげで安く買えたのだとしたら,それは公平な話です。

 トキナーについては,こうした項別対応の結果で良くなった,と言う話がネットにゴロゴロしています。

 実は,私は20年前にトキナーの100-300mmF4のマニュアルの望遠ズームを買った時,絞り羽根が閉じないという初期不良にあたりました。アウトレット品だったので交換にはならず修理扱いになったのですが,修理後の動作は完璧だったとしても,やはりつまらない思いをしたことが記憶に残り,トキナーに対してあまりいい印象を持っていませんでした。

 先入観は良くないと,今回はトキナーのレンズを買いましたが,最初はキズの初期不良で交換になり,交換品も後ピンで修理となり,純正の信頼感とは違うなあと思いつつも,値段の安さと良い意味で個性の強いレンズで,そんなにマイナスに感じません。

 うまく調整が出来て,常用レンズになることを期待したいと思います。

 

D850の画像をLightroomで眺めてみる

 昨日もD850の画像をLightroomから眺めていました。

 今回は高感度の特性とノイズについて注目してみました。D850は裏面照射型のCMOSセンサを採用し,高画素数と高感度を高い次元でバランスしたものではありますが,この高感度というのが案外くせ者で,画像処理エンジンで積極的にノイズを潰して高感度を謳うものも多く,そうしたものはJPEGでは有効でもRAWでは意味がありません。

 もっとも画像処理エンジンにとってはJPEGにすることなど仕事の一部に過ぎません。一番大事な仕事はCMOSセンサからのアナログ信号を取り込んで様々な加工を施し,それらしいものに整えて,ようやくRAWにするという仕事です。

 CMOSセンサから出てきた本当のデータなど,もう見るに堪えないものであるわけで,これをNEFファイルにするところまで考えても,膨大な画像処理が入っていることは,我々も普段あまり意識しません。

 ということで,感度を上げた写真を見てみました。D800ではISO3200が個人的な限界で,これはノイズが問題というよりも,コントラストや発色が問題となっていじりようがなくなるから,という理由からでした。

 同じような気持ちでD850をみてみると,コントラストや発色はISO12800までは大きく悪化しません。むしろノイズがISO3200くらいから増えてしまい,ISO12800ではかなり厳しいため,ISO6400を一応の限界にしないといけないなと思ったくらいです。

 ですから,ISO8000くらいの画像に対しても,輝度ノイズを強めに除去するだけで十分に使える画像が出てきます。すごいですね,これ4500万画素なんですよ。

 それ以上に私が驚いたのが,JPEGの綺麗さでした。JPEGにする時にノイズの除去などが行われますが,これがまた巧みで破綻がなく,私が見たところISO256000までは十分に扱えそうなくらいの画像でした。多少輪郭がデコボコしますし,ノイズの塗りつぶしに不自然なムラが出てきますが,そこは高画素機ですので縮小すれば気になりません。高画素機のメリットはこういう所にも出てくるんですね。

 正直に言うと,Lightroomで手間をかけて現像するよりも,JPEG撮って出しの方が綺麗に仕上がるんじゃないかと思いました。古いD2HはRAWをLightroomで処理すれば今でも使えるカメラになりますが,D850くらいになるともうそういう話は通用しないのかも知れません。

 いずれにせよ,ISO128000くらいまでは発色もコントラストも実用範囲,ノイズの除去で十分使える画像になります。さすが裏面照射です。

 それから,やはりハイライトで飛んでしまったと思われる情報がちゃんと残っているのもすごいです。

 先日のオーディオの修理の話で,XC-HM86がキズだらけになって帰ってきた話を書きました。実は,D850を購入したその日に,あれこれと部屋の中を試し撮りした際,偶然XC-HM86が写っていたのです。

 ただし,黒い被写体に合わせた露出のためシルバーのXC-HM86は完全なオーバーで,その上光が反射して真っ白に飛んだ状態で写っていました。

 これじゃどうにもならんなと思ってはみたものの,遊び半分で画面の隅にちょこっと写ったXC-HM86を等倍で拡大,そこから露出補正を-2.5ほどかけると,なんとまあ正面パネルのヘアラインが綺麗に浮かび上がってくるではありませんか。

 少なくとも,今回指摘した1cmの大きなキズもなければ,ボリュームツマミのキズも皆無です。9月初旬の画像で,修理に出したのが10月初旬ですからこの1ヶ月を指摘されれば弱いですが,この間ラックから出すこともせず,なにかをぶつけた記憶もないことを考えると,やっぱり私が付けた傷である可能性は低いなあと,思った次第です。

 あと,10月の満月をD850で撮影した画像もちょっと感動しました。満月って結構明るいので高感度云々はそれ程重要ではないのですが,それでもコントラストの大きな被写体になるので,月面の模様がきっちり出てくるというのは,なかなか大したものです。

 AF-S70-210/F2.8VRにテレコンで280mm相当,F8まで絞り込んで撮影したものは,手ぶれもきちんと補正されていますし,画面の真ん中に小さく移ったお月様も,高画素機で拡大すればその模様もしっかり確認出来ます。

 汚れた窓ガラスによってぼやっとしてしまった事は残念ではありますが,肉眼では見られない月の姿をとらえたこの写真を見て,D850はこんなことまで出来るんだなあと感心しました。

 一通り写真を印刷してみて思ったのは,まだまだD850を使いこなせていないという事です。特に色の傾向をまだつかめていない感じで,D800の頃には何の苦労もせずに出せていた深みのある緑や茶色が出ていないこともあり,特にホワイトバランスに気をつけないといけないと思いました。

 インタビュー記事でも出ていましたが,D850には自然光AUTOというホワイトバランスの設定があります。人工光と自然光は全然傾向が違うので思い切って分けたという話ですが,私が今回子供の撮影を行ったのは野外,それも晴天の午前中でしたから,もともと青みがかった色だったはずです。

 背景には常緑樹の濃い緑が頻繁に入るのですが,どうもこの緑の記憶色との間にずれが生じているんじゃないかと思います。これから屋外では,AUTOではなく自然光AUTOにして撮影しようと思います。

 こうしてみると,D850というのは実に高い次元で性能がバランスした,優れたオールラウンダーだと思います。

 4500万画素はトリミングを躊躇なく行える画素数ですし,センサは高感度でも処理の難しいコントラストが低下せず,ソフトでどうにかなるノイズが増えるくらいで済むのがうれしいですし,それがISO12800くらいまでは対応可能というのですから,明らかに撮影領域が拡大しています。

 それでいて最大9コマ/秒の連写に高速高精度なAFシステムが被写体に食いつきますし,D800に比べてほとんど気を遣うことがなくなった露出の正確さも地味に素晴らしい改善点です。ホワイトバランスも難しい条件でなければ,特に室内の人工光では,AUTOにしておくだけで大変に好ましい結果を出してくれます。

 XQDを使ったメモリシステムは高画素と高速をスポイルしない足腰を持っていますし,軽快なシャッター音に上品な振動は,撮影者をその気にさせます。

 つまり,撮影時にあれこれと考えないといけないことが,圧倒的に少ないのです。


 今もって品薄が続くD850ですが,40万円もするカメラがなぜそんなに馬鹿売れなのかという素朴な疑問は,このカメラを手に取って撮影すれば,おそらく大半の人が即座に理解出来るのではないでしょうか。

 

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