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D850を修理に出す その1~修理に入るまでの話

 発売日に購入したD850も,私の手元にきてもうすぐ1年です。

 外に持ち出す機会は少なくとも,常に手の届くところに置いてあり,とても身近な存在です。

 ラフに撮っても高感度+高精度AF+トリミングOKで歩留まりが良く,私が思うカメラの最重要性能である「機会を逃さないこと」に,十分応えてくれています。

 そのD850ですが,D800に比べてちょっと華奢な感じがしています。D800の頃に比べて気にしすぎな感じもあるのですが,それにしてもD850はちょっと気になる事が多いように思います。

 保証期間が終わってしまう前に,現段階で気になっていることを修理してもらうのと,この際だからきちんと点検をしてもらって,安心して使えるようにしたいと,そんな風に考えて,先日D850をサービスに出しました。

 指摘したのは,以下の様なものです。

・マルチセレクターの左側が押しにくい。下から左に回すように押すと,ゴリッという音がして,引っかかったようになる。

・ES-2でネガを取りこんでいるときに,Errが2度発生。ミラーが上がったままになり,電池を抜いても解消されないほど。かなり焦ったがいじっている間にミラーが降りて,以後は問題なく撮影出来ようになった

・絞り開放で0.5から1段ほどアンダーになる。電磁絞りのEタイプレンズではこうした傾向はない。

・サブコマンドダイヤル,およびメインコマンドダイヤルが,ねっとりとしてクリック感がない。一度動かせばクリック感が復活するが,一晩経つとまたクリック感がなくなっている。


 シャッター回数はまだ1万カットくらいなので,そんなに酷使している感じはなく,それでもこれだけUI系のパーツが悪くなってしまうというのは,ちょっと困りました。まさか毎年修理に出すわけにもいきません。D800だとこんなに柔ではなかったのですが・・・

 で,ついでに,これは私の責任なので有償でいいんですが,アクセサリシューに傷を付けてしまい,気になって仕方がないので交換してもらいたいという事と,ラバーグリップも交換しておいて下さいとお願いをしておきました。

 先に電話をしたのですが,保証期間内に故障すれば,無償で修理と一通りの点検をするので,いわゆる点検パックは買わないで下さいという事でした。また,点検をして欲しいと言うことをいちいち指示しなくても,紙に書かなくても大丈夫です,と言うお話でした。

 私は,保証期間内は無償で修理,でも悪いところを見つける作業は保証期間内でも有償という風に,点検パックの存在を解釈していたので,電話口での説明はちょっとうれしく感じました。

 ただまあ,人によるかも知れませんので,念のためメモを同封し,せっかくだから一通り点検しておいて下さいと書いておきました。

 7月1日に発送,7月2日には横浜のサービスに到着しており,7月4日の午後にニコンから「確認完了」のメールが届きました。

 しかし,ここからがうまくいきません。

 混雑しているかもしれないなと7月11日まで待ってみましたが,なんの音沙汰もなし。これはさすがにこちらから電話しないといけないかもなあと思っていたところ,なんと,ニコンのサービスが7月14日から18日まで,夏休みに入るというではありませんか。

 詳しく調べると,7月5日までに修理センターに到着したもの,あるいは7月5日までに修理進行となっているものは13日までに修理を完了して発送する,それ以後は夏休み明けに順次修理して発送するとあります。

 いやはや,これは知りませんでした。到着が7月4日ですから,とりあえず間に合っています。しかし11日まで音沙汰なしですから,これは修理が止まっている可能性が高いです。

 心当たりがありました。今回はピックアップサービスを使ったのですが,申し込みの際にWEBから入力する電話番号を,自宅の固定電話にしたんです。それに気が付いて携帯電話にしようとしたのですが修正が出来なかったので,修理品と一緒に携帯電話の番号を書いたメモを入れておいたのです。

 もし,このメモに気が付かず,固定電話に電話をしただけで連絡がつかないということになっていたら,ここで修理が止まります。

 心配になってあわてて電話をするのですが,話し中。繋がっても10分以上待たされてしまったのですが,ようやく担当の方と話をしたところ,予感的中。

 何度か連絡したが留守だったと言われて,もうがっかりです。

 その上,私の意図もうまく伝わっておらず,しかも診断の結果も私の期待を裏切るものでした。

 まずマルチセレクターの異音ですが,これは「こんなもん」ということで,正常と判断されました。いや,こんなにゴリッと音を出しているし,感触も大きい訳だから,40万円のカメラが「こんなもん」というのは納得いかない,D800ではこんなことはなかったし,お店のD810でもこんな音はしない,D850でも最初はこんな音はしなかったと話したところ,技術と相談しますとの返事です。

 次にES-2使用時のErrについて。こちらでは再現していないのでなんとも言えないが,ライブビュー中に電池の電圧が急激に下がると,まれにミラーを下げずにシャットダウンすることがあり,おそらくこれだろうと。だとすれば復帰している現在は正常なので問題はないということです。まあこれは納得です。

 次,絞り開放でアンダーになる件。これも測定をしてみたが正常範囲であると確認出来たので問題なし。おそらく周辺光量低下のためにアンダーになるのが目立つのだろうということでした。うーん,わかった上でアンダーになっていると言っているんですが,まあ点検してもらって正常なら,それでいいです。

 次,サブコマンドダイヤルとメインコマンドダイヤルの粘りですが,これも再現せず,正常範囲とのこと。まあ,多少気になる程度だったので,仕方がありません。

 最後にアクセサリーシューとラバーグリップです。アクセサリーシューにキズはあるが,動作に支障はないので有償交換,部品代と技術料で約28000円。もし,コマンドダイヤルの交換や調整で分解することがあれば,そのついでにくらいに考えていたことですから,わざわざの修理をこの値段でしようとは思いません。

 ラバーグリップについては,分解修理の時に交換されることが多いので,もし交換されないならば有償でお願いしますということだったのですが,私がどの部分のグリップかを伝え忘れていたため,全部交換では2万円を越えると言われて絶句。

 ということで,想定を遙かに超える厳しい返事に,めまいがしました。今思うと,なんとしても夏休み前にこの件を片付けてしまいたくて,そのまま返却になるように仕向けたんじゃないかと勘ぐってみたくなります。

 他はともかく,マルチセレクターについてはどうも納得がいきません。他の機種ではこんな音も感触もない,これほどの音だから正常とは思えないと食い下がると,もう一度相談すると言って電話を終了しました。これが7月11日の昼過ぎの話です。この時,このカメラが必要になるのはいつだと聞かれたので,15日だと答えました。

 その日の夕方に電話がありましたが,マルチセレクターの音というのは,樹脂が擦れるきしみ音で,これは個体差があり,修理をしても出ることがあるので,修理はおすすめしないという返事でした。どうしてもと言うなら交換することは出来るが,その場合は機能が正常であることから,有償修理になるという冷たい返事です。

 でも私は納得出来ません。ゴリッというんですよ。これが正常というなら,設計ミスもいいところです。ニコンはこのタイプのセレクターを搭載した高級機で,誰もこの音に気が付かなかったんですか?

 先方は,今回は通常はしない分解しての確認まで行って正常であると判断しているので,これ以上はどうしようもないという話です。

 このまま押し切られるかと思ったのですが,実は昔,ゴミか何かを噛み込んで左が入らなくなったことがあり,そこからおかしくなったんだと話をし,有償修理の場合はいくらかかるか調べて電話して欲しいとお願いしました。グリップも,右の前と後ろだけでもう一度見積もってもらうことにしました。

 私はここでもう一度冷静になり,頭の中を整理します。

 ニコンは正常だと言っていますが,私は正常ではないと言っています。この食い違いはどこからくるかを考えてみると,可能性の1つとして私が異常と言っている状態を,ニコンが再現出来ていないことが考えられるでしょう。

 ニコンが「きしみ」といっているあたり,きしみのようなギシギシやギュギュという擦れる音ではないのですから,違う現象を「正常だ」と言っているように思えてなりません。

 考えてみれば,そのゴリッという音を確認したとは一言も言っていないことに気が付きました。なのでまず,この音を再現したかどうかを聞いた上で,再現して正常と判断したなら納得,。再現出来ずに正常としたなら,私が100%再現出来るのだからぜひ再現して欲しいと,いうことにしました。

 ただ,これだけの大見得を切るのですから私も不安で,お店でD850などのマルチセレクターを触って見て,同じ音が出るか出ないかを確かめてみることにしました。音が出なければ私の個体の問題として堂々と修理を依頼できますし,もし音が出ればそれはそれで納得出来ますし。

 翌12日の朝電話があり,こちらが構えて電話に出ると,なんとマルチセレクターについては,異物の噛み込み以後調子が悪いという事なら保証範囲で修理が可能なので,無料で修理をしますというお返事。うーん,良い方向の返事ではあるのですが,ちょっと生煮えです。

 グリップは,右側の前後だと約5000円。これはまあ想定範囲です。マルチセレクターの交換では,グリップの交換は発生しないようです。これは頼んでしまいましょう。

 ということで,もう修理の方針は出たわけですが,なんだかすっきりしない私は,もう一度確認して欲しいこととして,マルチセレクターの異音を出した上で正常と言っているのかを,お願いしました。

 先方は明言を避けているようで,「とにかく技術者が正常品と比較して差がないと判断している」としか言ってくれません。なんどかやりとりしているうちについうっかり異音は確認していないと口を滑らしたので,今大事なことをおっしゃいました,確認していないなら,ぜひ現象を出してから異常か正常かを判断して下さい,私はこの異音を100%出せます,その上で40万円のカメラがこんな音を出すのはおかしいと言っています。

 私を信じて下さい,と言った上で,他のカメラを触って今日確かめるからと言うと,もう既に約束できない日時に鳴っている中,夏休み前に出荷するには一刻も早く修理にかからないといけない,もう一度確認して電話してとやっていると,確実に間に合わない,と言われました。

 その通りです。確認してもらっても修理はしてもらうわけですから,私はマルチセレクターと右グリップの前後を交換してもらうことにして,修理続行をお願いしました。

 頑張って修理をして夏休みまでの返却を試みますが,もしダメそうだったら電話しますということで,電話を切りました。経験上,頑張りますが駄目な場合は連絡しますという話になるときは,概ね大丈夫な見通しの場合が多く,私はこれで済んだとほっとしていました。

 もし,戻ってきたもののマルチセレクターが変わらずゴリッという音がするなら,新宿のサービスセンターに持っていって,窓口の人の目の前で再現させて修理に出そうと思っています。

 しかし,話は簡単に終わってくれません。12日の夕方,再度電話がありました。悪い予感は的中し,やっぱり間に合わないという事です。部品がないとかそういうことを言っていたようですが,これもまあうがった見方をすると,夏休み前にどうしても返して欲しい人を優先して,私を後回しにしたのかも知れません。

 で,ニコンは送料はもらわないので,一度返却し,15日の撮影後に最後送ってもらうということにしたいんだけど,ど提案してくれました。機能としては正常なのですからそのまま返しても問題はなく,まあ気になるようなら再修理に出せということかも知れません。

 これも,私の個体が「正常」とされているから出来る話で,正常ではない修理を優先しているのでしょうね。

 しばらく考えて,私はそのまま預かってもらい,修理を続行してもらうことにしました。19日から業務が再開するので,うまくするとその週の土曜日に戻ってくる可能性があります。というか,戻ってくるでしょう。

 平日にはカメラを使うことも少ないですし,輸送中のトラブルも心配ですから,このまま預かってもらい,その代わり修理も調整も落ち着いてしっかりやってもらうことにしたのです。

 そういう話でまとめようとすると,どんな場合でも修理も点検もきちんとやるし,業務再開すぐに修理が完了する約束も出来ないと,あくまで事務的な冷たい返事。

 いや,こちらのいうことはきちんと聞いてくれるんですよ。でも,いちいち予防線を張るし,なかなかいい返事をしてもらえないのです。電話もこまめにくれるし,その場で却下というのもないから,私も怒る気もしないし,頑張ってくれるんだなあと感謝もしているのですが,結果がどうも伴わず,掛け違いがおこるというか,空回りになるというか,とにかく残念な事が続くのです。

 この流れだと,修理品が戻ってきても,修理されないままとか,修理されてもますます悪くなるとか,別の場所がおかしくなるとか,そういう話になってしまいそうな予感です。そうならないように祈ります・・・

 21日の夕方にはぜひD850を使いたい用事があります。だからこそ6月末に申し込みをして,7月頭に届くようにしたのです。電話番号を固定電話にしたミス,携帯の番号を書いたメモを見てくれなかった,すべて正常という見立てに対し何度もやりとりをした,そしてまさかの夏休みと,とにかく足を引っ張られることが多くて,今回ほどうまく話が進まなかったこともここしばらくなかったと思います。

 考え方を変えれば,私のD850は正常だったということなので,私が気にしすぎているのかも知れないと思いました。D800は一度もサービスに出す事をしなかったわけですしね。

 そんなわけで,当初1週間,長くても2週間の辛抱と思っていたD850が手元にない状況は,まさかの3週間となりました。保証期間が残り1ヶ月ほどというなかでの3週間はなかなかシビアで,これが災いして次の故障が保証期間を過ぎて出るようなオチもありそうでこわいのですが,それ以上にD850が手元にないことがこれほどストレスになるとは想像していませんでした。

 毎日使うものではないと言いましたが,それでも手元にいつも置いていて,撮影したいなあと思った時には我慢せずに撮影するという習慣を持つ私は,撮影したいと思ってもカメラがなく,そもそも撮影したいと思う事も辛抱するような状況がこれほどしんどいものとは思っておらず。代わりにと手元に置いてあるD300が代わりにならないものと知ったことも含めて,さみしい毎日を送っています。

 買い換えた大三元も十分に使えず,カメラロスが結構こたえています。

 果たして,いつ戻ってくるでしょうか。戻ってきたものは期待通りのものとなっているでしょうか。傷が付いたり修理箇所がさらに悪くなったり,今うまく動いているものがダメになっていたりと,そういう嫌なことが起きないでしょうか。

 心配はつきません。

 

AF-S Nikkor 70-200mmF2.8E FL ED VRは最優先で買うべきレンズ

 遅ればせながら,AF-S 70-200mmF2.8E FL ED FLの話です。

 はっきりいって,このレンズについてはとにかく「最高」とだけ書けば済んでしまいます。確かに高価ではありますが,それでも日常的に使える最高画質のレンズが25万円までで買えるのであれば,これは少々の無理をしても買う価値があると思います。

 この手の望遠ズームを使ってみて思うのは,このこのレンズがカバーする範囲では,すでに単焦点を使う理由はなくなったということです。明るさ,画質,利便性,大きさ,すべての面でこのAF-S 70-200mmF2.8E FL ED VRが優位だと思います。

 24-70mmF2.8Eと同時に使って思うのは,やっぱり70-200mmというのは無理のない設計が出来るんだなあということです。もちろん新しい硝子を使うなどで設計も日々進歩しますが,画質への貢献と同時に,小型化や軽量化を目指したものであったりするので,画質の向上という点だけで見れば,一世代前のものと比べてそんなに大きく変わらないと思います。

 しかし,この画質がこの大きさで,これだけ寄れて,VRもびしっと効いて,ということに大きな価値があるわけで,無理をしない設計故のゆとりであるとか,バラツキの少なさも,安心感に繋がり,とても望ましい結果に繋がってきます。


(1)大きさ,重さ

 やや短くなった全長,100g以上も軽くなったことで,ぱっと見たところの「大げさ」な感じは軽減され,周囲に与える威圧感も軽減されました。

 また,軽くなったことで取り回しが随分楽になり,後述する強力なVRによって,三脚座を外して使うことが増えそうなレンズになっています。


(2)寄れる

 そして今回高まった機動力は,ぐぐっと寄れるようになったことでさらに価値を増します。

 以前のレンズは高画質で,素晴らしい画を出してくれたのですが,残念なのは今一歩近寄ることが出来ず,せっかくの好ましいこのレンズの性能を発揮出来るシーンが限られてしまい,結果として出番が少なくなってしまいました。

 しかし,AF-S 70-200mmF2.8E FL ED VRはさらにもう一歩踏み込めます。綺麗なボケ味と濃厚な色合い,そしてシャープネスを,この距離にいる被写体に適用できるというこの喜び,この開放感を,ぜひ味わって欲しいです。


(3)VR

 以前のレンズの泣き所の1つは,VRの不安定さにあると私は思っていました。

 AF-S 70-200mmF2.8G ED VRIIのVRは,効けば強力で効果絶大ではあるのですが,なにせ効くまでに時間がかかり,安定する前にシャッターを切るとブレブレになるという問題があります。

 特に,レンズを一度下向きにするなど,大きく姿勢を変えた後では,VRを起動しファインダー像が安定するまでに五秒ほどかかることもあり,この間の焦りとストレスは,もはやVRなしを使おうかと思わせるほど辛いものがありました。

 しかし,今度のAF-S 70-200mmF2.8E FL ED VRは違います。

 どんな姿勢からのVRでも,スパッとファインダー像が止まります。止まればもうこっちのもので,しっかり手ぶれが押さえられています。ここまでしっかり止まってくれれば,ついつい脇を緩めてダルな感じでシャッターボタンを押してしまいます。

 個人的には,VRはこのくらいでなければダメだと思うのです。以前のVRは効き始めるのに時間がかかり,しかもその時間は一定ではありませんでした。これではシャッターチャンスを逃してしまいます。

 他社を含め,これだけVRがのんびりしているのも珍しく,私の個体の問題化と思ったくらいですが,どうもそうではなかったようです。


(4)AF

 善もAFに不満はありませんでしたが,今回もさらに制御が高速化,高精度化され,気が付いたらピントが合っています。ボディの追従能力と相まって,もはや動くものにこれだけ食いついて行くのは,感動的ですらあります。


(5)操作性

 このレンズについて話が出ると,必ず出てくるのがズームリングとフォーカスリングの位置が変わってしまった事です。

 ズームリングは手前というのがこれまでの常識で,すっかりそういう操作系になれている人が多い中,ニコンはこのレンズで前後を入れ替え,フォーカスリングを手前に,ズームリングを奥に配置しました。

 MF時代はフォーカスリングは一等地に置かれていて,それは必ず,そしていつも操作するものであり,ズームだろうがサンニッパだろうが例外はないことに理由があったのだと思います。

 しかし時代はAFを使いこなして撮影するようになりました。レンズの性能も向上し,ズームであることの利便性が重視されるようになるにつけ,フォーカスリングの優先度が下がると同時に,ズームリングの優先度が上がってきました,

 結果,左手が添えられる一等地は,ズームリングに明け渡されるようになったのでしょう。

 私はまあ,どちらでもいいのですが,今は手前がズームリングと体が覚えているので,さっとズームできずに困っているのが現状です。また,脇を締めようと左手でレンズを支えると,以前はズームリングだったものが今回はフォーカスリングになってしまうので,知らないうちに触って動かしてしまい,AFが動かかないようになってしまって慌てるということがありました。

 慣れれば問題ないという意見がほとんどではありますが,私はもうしばらくかかりそうです。

 もう1つ,レンズにもAFボタンが付きました。以前のニコンのレンズには付いていたそうですが,私は初めてです。

 これ,素晴らしいです。すべてのレンズに欲しいボタンです。

 親指AFの私は,ボディのAF-ONは不安定であまり押したくありません。ですが,ここを左手で扱えるになると,右手はしかkりカメラをホールド出来るので,安定してカメラを構えることができます。

 AFロックとAF-ONを選べるようになっているのもよいですね。私は迷わずAF-ONに設定しました。


(6)まとめ

 高価なレンズですが,前のレンズを安く買えて,差額もそんなに大きくなく,うまく買い換えることが出来たと思います。

 

 噂に違わず,死角なしの本当に良いレンズです。70mmから始まってこれだけ寄れれば,もしかすると24-70mmなんかは持ち歩かなくてもいいんじゃないかと思うほどです。

 一つ心配事があるとすれば,ニコンはFLレンズをそんなに多くの機種に使っていません。使い慣れていないというか,先行するキヤノンに比べて,特に信頼性の面で大丈夫なのかと思います。

 いずれにせよ,VRを筆頭とする高度な電子回路と駆動部を持つこのレンズは,もはや一生ものになるとは思えません。壊れないうちに買い換えてしまうのが最善ではなかろうかと思いますが,今回については買い換えて正解だと,本当にそう思います。

 

AF-S 24-70mmF2.8E ED VRへの買い換えは正義なのか

 手に入れてから数日経過し,楽しいと言うよりも不良を見つけなければと言う焦りから,買ったばかりのAF-S24-70mmF2.8E ED VRを触っています。

 このレンズ,品薄で飢餓感を煽っている感じもなくもないのですが,一方で手放しで絶賛というわけでもなく,かなり否定的な意見も散見され,それらが一様に筋が通っていたりするので,実はあまり信用していないのです。

 とりわけ,既に手元にない前世代のAF-S24-70mmF2.8G EDが「あたり」で,目の覚めるような画質に感激したことが強烈な記憶として残っており,これを基準として新しいレンズを評価すれば,その差が小さいために印象が薄くなるだけでなく,ちょっとした欠点や不良がとても気になってしまうことに繋がります。

 ですので,どうも疑いの目を向けてしまい,気が付いたら自分自身の気持ちがすり減ってしまったりするので,どうもいけません。

 いろいろ見ていくと,新旧2つの24-70mmF2.8という標準ズームは,標準といいつつも得意不得意が結構あるレンズで,万能レンズではないのだという意見が多いです。光学特性が改善され,設計が進化していくと欠点がなくなり個性も消えるというのが正論なのですが,この2つについては高画質で良い設計をしているという評判の一方で,AF-S24-70mmF2.8Gについては像面湾曲が大きいとか,AF-S 24-70mmF2.8Eではテレ端での近距離で解像度が落ちるとか,常に頭に入れておかないと失敗しそうな個性の存在が話題に上っています。

 ニコンの公式の見解ではありませんし,測定器で数値を出しそれをもとに評価した結果ではなく,あくまで使った人の感想に過ぎませんから,問題のある現象の原因としてこれらがマッチするかどうかも不確かですし,そもそもそれは個体不良の可能性もあるわけで,気にしても仕方がなく,あくまで使う人がその使い方で問題を感じたら個別にメーカーに相談,というスタイルでしか解決出来ない気がします。

 まあ,もしニコンが公式に「近距離でぼけます」なんていっちゃったら,近距離撮影をしたい人は買わないようにするだろうし,自分が手にした個体のボケ具合が強くて気に入らない場合でも相談しにくくなりますわね。そう考えると,ニコンが公式な見解を出さないでおいてくれることは,とりあえず相談という形を取る事ができるわけで,むしろありがたいことなのかも知れません。

 てなわけで,AF-S 24-70mmF2.8E ED VRを短い時間ですが触って見ました。これまでの印象を書いておきます。


(1)大きさと重さ

 1つ前のGに比べて今回のEはもはや別物という印象です。以前のレンズはそれでも標準ズームだなと思いましたが,今回はフードまで付けるとすでに望遠レンズの風格で,これでそこら辺をウロウロしていると通報されそうな勢いです。

 それもそのはずで,フィルター径は82mmともはや一般的とは言えないくらいのサイズとなり,鏡筒も太くなりました。全長も伸びているので,並べておけば一回り膨らんだように見えます。

 以前何かで読んだのですが,Gタイプは鏡筒を細く作るアイデアが出たことであの大きさを実現出来たそうで,それがあのレンズの個性の1つだと思っているわけですが,今にして思うと鏡筒が壊れやすいとか華奢だという評価は,やはり多少の無理をしたからだったのかも知れません。

 いずれにせよ,機械的な面と光学的な面において大型化するのが最善との判断がこのレンズの現実に現れているわけで,我々はそれらを改良したことと一回り膨らんだことを天秤にかけて判断することになると思います。

 重さについても大きく増加していて,以前が約900gだったのに,今回のEタイプ(なんかジャガーみたいですね)は1070gと,とうとう1kgの壁を突破しました。1割の重量増加はさすがに気のせいでは済まなくて,数字以上に重くなったという印象を与えるに十分です。

 ならハンドリングはどうか,という話になるとこれが不思議で,全然ダメだとか,違う気分で持ち歩くしかないという気分にはならず,それでも標準ズームだという気分で使えるので,このあたりはさすがにうまくまとまっているなと感じました。

 長時間持つ時の疲労の度合いにちょっとした差があることもわかったので,それでようやく新しいレンズが巨大化したことを実感するわけですが,持ちやすさや重量配分から,少なくとも持ちにくいとか使いにくいという感想は出てこないと思います。

 そうはいってもこの大きさですから,被写体との距離が短いときに相手に与える威圧感は強烈ですし,狭い空間ではレンズの大きさが強調されて,あきらかに「邪魔」という空気を作ってしまいます。

 よく,レンズの大きさを議論するのに持ちやすくないからOKとか,使う人の視点でのみ語られることが少なくないようですが,使う人はたった一人でも,その周りで影響を受ける人は複数いるのが不自然ではないので,周囲に与える印象や影響を考えてレンズをデザインすることが新しい流れになって欲しいと,私は以前から思っています。

 ニコンはどうもこの視点に欠いていて,それが画質優・先性能優先というストイックなイメージと相まってファンに支持されているきらいがあると私は見ていますが,繰り返しますが撮影現場において撮影者はたった一人であり,ゆえにカメラとレンズのデザインは撮影者のためではなく,周囲の大多数の人に向けて行われるべきです。

 この点において,AF-S24-70mmF2.8E ED VRは,あえて改善の余地のあるレンズと私は思います。例えは良くないかも知れませんが,ルートセールスの営業車にベンツのSクラスは相応しくないわけで,画質や性能面からだけではなく,AF-S 24-70mmF2.8E ED VRは万能レンズとはいえない,使えるシーンに制限があるレンズだということを,ニコンは認識すべきでしょう。

 ごく個人的な話でいえば,以前の細い鏡筒は持ちやすくて気に入っていただけに,今回のサイズアップは残念です。これは,VRがあるからとか光学性能が改善したからとか,そういう理由であきらめてよい問題ではありません。私がとりわけ残念だったのは,この性能と機能だからサイズアップは仕方がなかったと言ってしまえる,撮影者しか見えていない設計者の傲慢とも言える姿勢でした。


(2)質感,使い勝手

 と辛辣なことを書いた後でいうのもなんですが,質感と使い勝手はさすがにニコンです。質感は1つ前のGタイプも高く,満足感も高かったのですが,今回のEタイプも悪くなく,手に馴染みます。

 とはいえ,触った感じのプラスチッキーな感じは強まっていて,一部に高級感がなくなったとかペラペラになったという意見があるのは,そのせいでしょう。

 デザインも以前ものを踏襲しつつ,大きくなってしまった外観をできるだけ小さく機能的に見せる工夫が成されていて,デザイナーは苦労しただろうなあと思います。

 あと,フードですね。以前のフードも悪くはなかったですが,今回のフードは格好良くなりました。レンズ本体との間に段差がなくなり,付属物ではなく一体のものだという主張がはっきりしました。これはすばらしいです。

 ズームリングの焦点距離の刻印も,撮影者から見やすいテーパーを切った斜めの面に成されており,格段に見やすくなりました。さすがです。

 持ちやすさも犠牲にはなっておらず,こと使う人の視点では不満はありません。

 しかし,困った事もあります。

 フォーカスリングに触れやすくなっているのです。このレンズは恒久連zに当たり前となった,マニュアルフォーカスにシームレス切り替える機能があります。AF動作中でもフォーカスリングが動けば,そこからマニュアルに切り替わります。

 つまりフォーカスリングはAFとMFの切り替えスイッチの役割をしているわけですが,その重要なスイッチが今回随分巨大化し,これを避けて持つ部分が大幅に減ってしまいました。

 失敗だなと思うのは,フォーカスリングの回転部分がゴムリングの部分だけにとどまらず,鏡筒の一部も一緒に回ってしまうことです。そこはゴムリングよりも径が大きいので,少し指がかかれば動いてしまうくらいです。

 実は,一日に一度くらいの割合で,AFが動かないという問題に悩まされたのです。初期不良を疑いましたが,三脚では問題が出ない事から,フォーカスリングではないかと疑い,AF-ONを押した瞬間に少し動かしてみるとAF動作をしないことが判明しました。手がフォーカスリングに触れていて,AF-ONを押したと気にカメラが動いて,フォーカスリングも回ってしまうのですね。

 MFに切り替わらないようにここを避けようとすると,本当に持つところに困ります。脇があかず,顔にカメラを押し当てるに最適な場所は人によって違いますので,むやみに持つ部分を減らす事には慎重であるべきです。


(3)フード

 フードはロック付きで質感も高く,なにより本体の一部と主張するまとまったデザインで,とてもよいです。大昔はフードにも個性があり,アルミで出来たシャープな角形フードを広角レンズに取り付けたりすれば,それはそれは格好のよいものだったのですが,ズームレンズが主流になり,フードも腫れぼったいプラスチックで出来た花形フードになると,「どうせ誰も使わないんだし」というあきらめムードの漂う,とりあえず付属しましたというような,本体との一体感のない不細工な安っぽいものが普通になりました。

 これがますますフード離れを招いていると私は踏んでいますが,ニコンは最近やたらと「フードを付けろ」と言うようになりました。光学性能の改善もそうですが,フードを付ける事でぶつけたときの破損が軽くなることも,期待しているのでしょう。

 意地悪な言い方をすれば,レンズの機械的強度を本体だけでは確保出来ず,フードにも任せようということになるのですが,ニコンが偉いのはそのためにずっと取り付けたくなるようなフードを実際に添付するようになったことです。

 そう,フードありきで性能を語るなら,フードを常時付けてもらえるような格好いいデザインにしないといかんことに,気が付いたということです。さすがです。

 前述のように,本体とのつなぎ目は緩やかなテーパーがあり,一体感を演出していますが,ロック部分は平面で繋がっていて,これがむしろ左右非対象な格好良さを醸し出して,私は気に入っています。

 また,レンズとの取り付けもちょっと窮屈なくらいになっていて,一体感があります。少し外形が大きいフィルターを付けると,フードがはまらないくらいです。

 しかし,フードの付け根にはスリットが開いていて,フードハットを被せたときに空気が抜けるようになっているので,着脱がとてもスムーズです。これもさすがです。そしてこのスリット,大きさと言い長さと言い,格好いいですよ。

 まだまだ格好良くなると思います。フードを格好良くすることのメリットに,多くの人が気付くきっかけになるこのレンズで,今後ますますフードが格好良くなることを期待したいと思います。


(4)AF

 1つ前のGタイプも感激しましたが,今回のEタイプはもう俊足です。素晴らしいです。

 EタイプのAFは,絶対的な速度もそうですが,加減速が洗練されています。こんな速度で立ち上がって止まれるんかよ,という不安をよそに,すぱっと止まります。

 もう他のレンズには戻れません。


(5)VRの利き具合

 これも想像以上でした。24mmや35mm付近ではそんなにありがたいと思いませんが,中望遠域になる70mmや,50mmくらいでもVRの恩恵は十分に受けられると実感しました。

 もちろん被写体ブレは防げませんから,暗い所で使えるなんて甘い期待はしませんが,止まった被写体ならとても有効で,手持ちでラフに撮っても1/8でぶれないというのは,新しい撮影スタイルが開拓されるのではないかと思います。

 ファインダー像が安定するまでの時間も大変短く,シャッターを切っていいかと待つこともなく,自分の体躯が強化されたと錯覚するほどです。

 先程,広角域ではありがたくないといいましたが,24mmでもぶれるときはぶれるわけで,ここで1/4秒を切れるかどうかは,大きな差になることは事実です。特に広角は絞り込んで使うことも多いでしょう。感度を維持して絞り込むときに,VRは強い味方になるはずです。

(6)画質

 これはまた微妙なのです。

 誤解のないように先に行っておくと,AF-S 24-70mmF2.8E ED VRは大変高画質で,多くの条件で破綻することなく,あらゆる光線を高純度でカメラに注ぎ込む絶対性能とそこから生まれる信頼感を,我々が裏切られることはないと思います。

 一方でGタイプも十分高画質でした。高画質という一言で片付けてしまうのはちょっとまずくて,色のりの良さと同時に,フォーカスが外れていくまでの変化がとてもなだらかで,合焦している被写体を独特な描画で浮かび上がらせる,個性的で主張の強いレンズでした。

 この点をもっと評価されてもいいと私は常々思っていますが,世の中の評価はそうではないようで,この個性と引き換えに残ってしまった収差を目の敵にする人が多いようです。

 Eタイプは,どうもその収差バランスを見直すことに方針が改まったのではないかと思うような画質の変化があり,一部の人が言うようにGタイプの後継ではなく,別のレンズだというのは,妙に説得力があったりします。

 色のりはさらによくなり,色収差も減りました。シャープさはさらに増し,周辺部での画質低下も減っています。周辺光量の低下も改善されて,電磁絞りになったことで絞りの精度も抜群です。

 ですが,フォーカスが外れていくまでの変化は平凡なものとなり,被写体の浮かび上がり方もごく普通になりました。

 そして,テレ端の近距離での画質低下が目立ち,絞りを開放にして近寄ってテレ端でアップで狙うときには,やや眠い平凡な写真になりがちです。この点,Gタイプでは強い個性が出てきて,とても楽しいものだっただけに,残念でした。

 言い換えれば,それ前提で撮影に臨まないといけない個性の強いレンズではなく,より汎用で,性能が全般に向上した優等生になったということなんでしょうが,便利で安心感がある反面で。個性が薄くなったことを素直に喜べなかったりします。

 まあこれも,こういう個性は単焦点レンズに任せてしまい,大三元の役割から切り離したとみれば納得なのですが,Gタイプが面白かったのは,ニッコールを代表する大三元に,そうした個性を盛り込んだことが許されたことにあったので,最新のレンズでの方針変更(の可能性)は,複雑な気持ちです。

 私の個体については,いろいろ試してみましたが,幸い初期不良も調整不良もなさそうで,とりあえずはこのまま使っていけそうです。設計が高度で生産が難しく,調整もシビアでなにかと大変なレンズであろうと想像されますが,発売から2年以上が経過して,ようやくこなれてきたのかも知れません。


(7)買いなのか

 今持っているGタイプのレンズが「あたり」で,VRの世話にもならず,その個性が嫌いでなく,ヘビーデューティーな使い方をしない人なら,買い換えてはいけないです。そのまま使い続けるべきでしょう。

 これから大三元を買う人は,Eタイプを選んだ方がなにかと幸せです。

 Gタイプの個性が嫌いな人,VRが欲しい人,乱暴に扱う人は買い換えるしかありません。また,気に入った個性を持つ単焦点を1本持っているなら,Eタイプに買い換えた方が幅が広がるように思います。

 なにより,すでに十分高画質なGタイプとの差額がこれほどあると,その差分に納得出来ないといけないわけですから,それが見栄だけで埋まらない人は,後継への買い換えではなく違うものに置き換えると考えて,慎重に検討すべきだと思います。

 その性能は価格に見合っています。大きさや重さも,撮影者は辛抱できるでしょう。

 でも待って下さい。

 このレンズの買い換えは,それ以上の要因をこれまでよりもずっと真剣に考えないといけないように,私は思いました。


 

ES-2でネガを取りこんでみる

 長期にわたる発売延期の末,さる3月末にようやく発売になったニコンのES-2。名前だけ聞いて「あああれか」と思う人とはじっくり呑みたいと思うのですが,多数の知らない方々のために少し説明をすると,D850のオプションとして用意された,フィルムのデジタイザです。

 デジタイザというからにはフィルムをデジタルデータ化するものなのですが,大げさなものではなく,マイクロニッコールでフィルムを等倍で撮影するための,フィルムを保持したりする小物群の総称です。

 これを使えばかつて高価だったフィルムスキャナと同じことが出来る(というよりもっと簡単にできる)わけですが,そもそもまともなフィルムスキャナが新品で手に入らない現状では,とてもありがたい製品です。

 仕組みはなにも大げさなものではなく,フィルムをマクロレンズを使って等倍で撮影するための,補助用具です。

 とはいえ,マクロレンズで等倍の複写を行うのって,やってみればわかるのですがなかなか難しいものです。平面を維持すること,均一でムラのない光源を用意すること,カラーなら演色性の高い光源が必要な事など,理屈は簡単でもなかなかうまくいかないものです。

 しかも今回はフィルムという小さなものが相手です。平面を維持して固定するだけでもなかなか大変ですし,フィルムは光を透過させて撮影しますから,面光源でなくてはなりません。

 そこでES-2は,フィルムを挟み込むホルダー,そのホルダーをマクロレンズと平行に固定する本体で構成されています。本体の後ろ側はすりガラスのような拡散板がついていて,面光源を作る役割を担っています。

 本体とマクロレンズの先端にねじ込むアダプタはある範囲で動くようになっていて,マクロレンズと平行を保ったまま,距離を固定することができます。

 こうした小物がいくつかで構成されたES-2で,確かにフィルムを「撮影」してデジタルデータ化することは出来るでしょう。しかしそれだけでは実用的ではなく,ミソはD850に内蔵されたネガポジ変換機能です。

 いや,単なるネガポジ変換などPCのソフトでどうにでもなるだろう,というなかれ。ネガフィルムはネガポジ変換(補色への置き換え)だけでは綺麗な色は出ません。これは,フィルムのベースがオレンジ色をしているからで,このオレンジかぶりを補正しないといけません。

 このネガポジ変換機能を本体の機能として組み込んでおくことで,手軽にカラーネガをデジタルデータに出来るというわけです。

 この手のものは昔からあるにはあって,ニコンもES-1という安価な製品を出しています。他社カメラのユーザーも買っている隠れた人気商品ですが,実のところデジタルカメラ本体の性能も良くないといけませんし,画像処理の手間を考えると,お遊びのレベルを超えてなかったように思います。

 フィルムスキャナが優れていたのはオレンジかぶりの補正もそうですが,カラーネガは適正露出から外れるとカラーバランスが崩れてくるので,露出の補正は明るさと色の補正を必要とし,これをきちんとやってくれることにもあります。

 さらに高級機(というより実用機)は赤外線を使ったゴミ取り機能も持っているので,手作業で行うゴミ消しのレタッチをしなくて済むという,大量の写真を処理する時には,そのありがたみを実感したものです。

 また,カラーネガにもポジにも言えますが,画像処理を細かく調整し,フィルムや撮影画像の個性をうまく引き出すような設定も可能になっています。

 D850とES-2の組み合わせで実現するフィルムのデジタイズは,カラーバランスの補正もゴミ消しもやってくれません。画像処理の設定も触れないので,基本的にはフィルムをセットしてシャッターボタンを押すだけの作業です。

 ところが,たったこれだけのことで,とてもうまくデジタル化が出来るのです。

 ところで,なんで「スキャナ」じゃないのか,と言う話ですが,フィルムスキャナは1次元のラインセンサを使い,1ラインずつフィルムを取りこんでいったのでスキャナ,一方でD850は2次元のイメージセンサを使い,一発で画像を取りこみます。

 だからスキャンはやっておらず,そこは生真面目なニコンのこと,スキャナではなくデジタイザなんですね。

 話を戻すと,ES-2はその品物を見ると,2万円は高価だと思います。先に言ってしまうと,得られる価値は2万円を優に超えると思いますが,これなら数千円で買えるES-1を使おうと思う人がいるのも無理はありません。

 しかしそのES-2,待たされた&高価なだけに,細かいところに気が利いて,とても良く出来ています。

 対応レンズはマイクロニッコールの60mm(AF-SとAIAFの両方)と,40mmの3本に正式対応です。とはいえ,レンズと連動する機構があるわけではなく,本体がES-2を認識して設定が自動的に切り替わったり,特殊な機能が発動したりといったギミックはありません。

 余談ですが,そういうギミックがあることを喜んだり,逆にギミックがないことを残念がったりするのが自然な発想のように思うものですが,見方を変えるとそうしたギミックがなくてもちゃんと便利に使えるものならそれが一番いい訳で,まずはそうしたシンプルで機能的に十分なものを考えていく必要があると私は思います。

 光源は各自で準備しないといけませんが,窓際で太陽光を使ってもいいくらいです。しかし,蛍光灯やLED電球の演色性の低いものを使ったり,最初から色味が付いている光源を使うと,発色が悪かったり,色が転んだりしますので注意が必要ですし,いくら拡散板があるとはいっても,やはり点光源だと明るさにムラが出てしまいますので,できるだけ面光源を確保したいところです。

 私の場合,昔買ったライトボックスを使いました。今はもう見る事のない冷陰極管を使ったもので,今どきのLEDのものに比べて見劣りしますが,実は冷陰極管は演色性が高い(ものを作れる)ので,このライトボックスはこういう用途には好ましいです。

 これをES-2と平行に置いて,平行光にします。

 フィルムホルダーにネガを挟み込み,本体に差し込みます。D850をライブビューにしてES-2本体を前後に動かしたり回転させたりして,ちょうどいい大きさで,まっすぐ取り込めるように位置を調整して,固定用のネジで動かないようにします。

 D850の設定から,ライブビューのネガの取り込みを選ぶと,さっとネガがポジに変化します。これはなかなか見事です。

 あとはオートフォーカスでフィルム面にフォーカスを合わせて,どんどん撮影していきましょう。1コマ撮影したら1コマずらして,あっという間に6コマ終わります。これは早いし楽です。

 F8まで絞り込まれるのでシャッター速度は1秒近くになり,手ぶれが心配になる課も知れませんが,カメラと一緒にフィルムも動くので,手ぶれはありません。とはいえ,手ぶれなどの振動でフィルムだけ別の動きをしたり,風があったりしたらぶれるので,出来るだけ早い方がいいのは確かです。光源が明るい方がノイズも少なくて好都合ですし。

 そんなわけで,1コマ1秒くらいで撮影出来るので,ネガの交換の手間を考えても,36枚撮りのフィルム1本を数分で処理できます。

 取りこんだ画像はなかなかよく,考えてみたら高性能なマクロレンズと4500万画素の高級機を使うのですから,かなりお金のかかったスキャナということが言えるわけで,この結果は当たり前といってもいいでしょう。

 実際,銀の粒子がきちんと描画されており,すでにネガフィルムの解像度をD850は越えていることが伺えます。

 期待していたのは,ネガフィルムの画質が今風になっていることだったのですが,そこはやっぱりネガフィルムらしさを残しているので,昔のネガフィルムを現代に甦られるというような使い方には厳しいと思います。

 ちなみに,フィルムのデジタイズ機能にはネガポジ反転を行うカラーネガフィルムだけではなく,そのままを取りこむポジや,モノクロネガを反転させるモノクロネガフィルムにも対応します。

 このうちポジの取り込みは通常の撮影と同じということもあり,RAWでも残せるし,ホワイトバランスも調整可能なのですが,カラーネガについてはネガポジ反転の処理をやる関係か,JPEGのみの出力です。これはちょっと残念です。

 とまあ,全部で8本のカラーネガを取りこんでみました。

・良い点

(1)スタンドアロンでカラーネガが取りこめる

 これは結構重要です。後述しますが,ディスコン前に意を決して購入したフィルムスキャナCoolScanVは,本体はまだまだ元気なのにPCのソフトが更新されず,現行のMacでは全く使うことが出来ません。

 Windowsでも裏技を使い自己責任で動くようにするのがやっとで,やはりPCを使うことが前提になると,案外早くに使えなくなってしまうものです。

 トータルの性能はPCの処理能力にも引っ張られますし,PCのメンテを怠るとサ行が止まることもしばしばですから,スタンドアロンで動くのであればそれが一番いいです。


(2)高速

 なんといっても,シャッターボタンを押すだけで取りこみ完了ですから,早いです。フィルムスキャナでは1コマに数分かかります。


(3)高画質

 素晴らしい解像度,素晴らしい発色,そして素晴らしい画質で,これがフィルムかと思うほどの高画質で取りこめます。安価なフィルムスキャナには,高速でも画質がビデオ並みというのもありますから,これはD850とマクロレンズの高性能が生かされた例だと思います。


(4)テレビに映してみんなで見られる

 そして,その高画質をHDMIでみんなでテレビで見られます。これもこれまで,出来そうで出来なかったことで,昔の写真をワイワイみんなで見るという楽しい使い方が出来ると思います。


(5)なかなかうまくネガポジ反転しているので色もいい

 オレンジベースのネガフィルムは単純な反転ではダメで,ちゃんと画像の処理をしないといけません。そこはやはり,かつてフィルムスキャナをやっていたニコンだけに,ノウハウが伝承されていると期待したいです。


(6)作業スペースが少なくていい

 小さい作業スペースがあれば十分で,これがフィルムスキャナにPCだと大ごとになっていました。電池で動くことも重要で,これでフィルムの取り込みが身近なものになったことは間違いないでしょう。


・悪い点

 大きく重くPCが不可欠で取り込みに時間がかかるフィルムスキャナとの比較でES-2と比較してみると,案外ES-2の欠点が見えてきます。

(1)ゴミ,ホコリ,キズに全く無力

 CoolScanVには,DigitalICEという赤外線を使って取りこんだ画像からゴミ,ホコリやキズを消す機能が備わっています。

 赤外線を使えばこうしたゴミやキズだけをスキャンできるので,これを元にゴミやキズの場所を特定し,消したりぼやかしたり出来るという機能です。

 ES-2を使って取りこむと,当然こうした機能の恩恵にあずかれません。キズもそうですし,案外面倒なのはホコリで,ポンポンとテンポ良く撮影して取りこんでも,あとで見返すと大きなゴミでやり直しになることが多く,うんざりします。

 それでもホコリはやり直せますが,キズはもうどうにもなりません。


(2)ホルダーが使いにくくて6コマごとのネガの交換に時間がかかる

 ES-1とは違って,ES-2では6コマのスリーブを連続して扱えるホルダーが使えるようになりましたが,このホルダーが案外くせ者で,なかなかうまくネガを挟めません。無理に挟むと傷を付けたりしますし,油断すると斜めになります。

 それに,古いカメラでは案外コマ間がばらつくので,結局1コマごとにいちいち確認して位置を合わせる必要があったりします。

 だから,取り込みそのものは1秒までで終わるのですが,フィルム1本を終わるのにかかる時間は案外多くて,30分ほどかかってしまいます。実は,これだとCoolScanVでかかる時間とそんなにかわりません。


(3)RAWで残せない

 これも問題です。私としては,ネガの画像もじっくり仕上げたいと思っていて,それは現像と言うよりもプリントという作業工程だと考えていました。ですが,ES-2ではJPEGしか出力出来ませんので,そこからの加工にほとんど自由度がありません。

 CoolScanVもRAWで残せない(残せるのだが現像ソフトで扱えず,しかもその実態はTIFFらしい)ので期待したのですが,その期待は裏切られてしまいました。

 ホワイトバランスや色の調整,トーンカーブの修正もしたいし,ノイズの除去,退色の補正は必要でしょう。ホコリやキズを自動で消せないなら,せめて手動で消すためにも,JPEGではなくRAWで残せるようにしてほしいと思いました。


(4)色の調整が出来ないので退色したネガには無力

 JPEGでの出力でも構わないのですが,なにせわずかな明るさの変更くらいしか調整がほとんど出来ないので,ネガを作品として仕上げるのはあきらめた方がいいかもしれません。

 D850はホワイトバランスが優秀なのでつい忘れがちですが,フィルムのホワイトバランスは太陽光で固定です。蛍光灯では緑にかぶりますし,適正露出から外れると色が転びます。さらに,経年変化でも色が変わっていきます。

 デジタルは,こうした色の修正などは得意技なのだから,取りこんだネガもある程度の自由度があると信じていましたが,ほとんど変更出来ません。JPEGでいじるとあっという間に破綻しますので実質無理だと割り切るしかなく,つまるところES-2はフィルムの写真を作品に仕上げるというより,手軽に見るのを楽しむものだというコンセプトだと,思い知らされました。


(5)電池の消耗が激しい

 ライブビューで長時間動かすわけですから,かなり電気を消費します。おかげで,フル充電の電池も2本ほどスキャンすればもう電池は半分以下になっています。


(6)光源の確保が難しい

 前述しましたが,演色性の高い面光源で,かつ長時間駆動が可能な光源って,ありそうでないものです。


 とまあこんな感じで,個人的にはES-2にはすごく期待したのですよ。もしかしたら家にあるたくさんのネガとポジを,これで全部取り込み直さないといけないかもと思うくらいの覚悟をしていたのです。

 しかし,結果は良く出来ているけどもう一歩で,作品として作り込むことも出来なければ,作品の素材としての素性も良くないので,結局ネガがテレビで鑑賞できてよかった,でおしまいになってしまいそうな感じです。

 この機能の搭載はまだまだ始まったばかりですし,今後さらに良くなっていくだろうと思いますが,現段階ではこの機能でどこまでをカバーしようとしているのか,今ひとつ見えないと思いました。

 大げさな準備もいらないし,場所も必要なく,簡単な作業で高画質が得られるので,今後も出番はあると思います。しかし,素材として取りこむとか,作品に仕上げるという場合にはこれではやはり物足りません。

 今回,ES-2を使った結果,CoolScanVも引っ張り出すことになってしまいました。Macではもう動かないのでWindows8.1で動かしてみましたが,最初は手間取ったものの案外簡単に動き出し,傷もホコリも消えて,おかしなクセもない,さすがフィルムスキャナという素材性の高い画像が得られました。

 今回は退色していないネガばかりだったのですが,CoolScanVには退色の補正機能も備わっていますから,やっぱり今の段階では,専用機が一番だなと見直しました。

 CoolScanVは時間のかかるスキャナですが,6コマのスリーブなら自動で給装してくれますし,その場に張り付いていないといけないわけではないので,案外負荷は軽いです。

 もちろん,そのCoolScanVはすでに入手出来なくなっています。安価なフィルムスキャナは論外として,今まともなフィルムの取り込み手段はこのES-2くらいしかありません。

 だから,それなりの高画質でフィルムをデジタルにすることが出来るものとして。このES-2には大きな価値があると思います。

 だからといって,フィルムスキャナがもうゴミになるかといえばそうではないということです。

 フィルムの面白さを支えるのは,フィルムスキャナです。まだまだCoolScanVには頑張ってもらうことになりそうです。

 

GR1のLCDを修理した

 

20180503101308.jpg

 子供の入学式が先月あり,節目には銀塩で写真を撮ろうと思っていた私は,久々にフィルムを買って,防湿庫から銀塩でしか楽しめないカメラを引っ張り出しました。

 1つ目はCLEとコシナのレンズ。NOKTON Classic40mmF1.4MCと,ColorSkopar28mmF3.5です。このカメラは,自分で電気回路をほぼスクラッチしたもので,娘の生まれたばかりの姿を残してくれたものであって実に思い出深いカメラですが,それゆえにちゃんと動くかどうかが心配でした。

 少し動かしたところ問題なく動いたようで,早速1本通したのですが,もう胸が高鳴ってたまりません。レンジファインダーのカメラはいいですねえ。撮る側も撮られる側も,心地よい緊張感があります。

 もう1つはPENTAXのSuperAとFA43mmF1.9ltd。K-1を買わなかった私はこのお気に入りのレンズをフルサイズで使うことが出来ないため,銀塩専用レンズと考えています。

 APS-Cで使うと43mmという絶妙な画角が変わってしまいますし,銀塩の解像度,銀塩の発色でこそこのレンズの収差が生きる,と感じているので,無理にデジタルで使わないことに決めたのです。

 そうなるとボディをどうするかですが,やはりこれはうちで比較的まともなKマウントのMFボディであるSuperAでしょう。ちょっと挙動がおかしかったのですが,これもフィルムを通してみれば全く問題なし。

 どちらのカメラで撮影したフィルムも,綺麗に現像されて戻ってきました。

 で,このフィルムを3月下旬に発売になったES-2とD850を使ってデジタイズしたのですが,その話は後日。今回はそうしてちょっとした銀塩ブームである私が,これまた久々にGR1を手に取り,修理にあたった話です。

 GR1は言わずと知れたリコーの高級コンパクトで,とにかく良く写るGRレンズ28mmF2.8に,マグネシウム合金製の軽くて丈夫な筐体を持ち,パトローネの大きさが全体の大きさを決めたという小型パッケージングで,今なお人気のカメラです。

 私が持っているのは1996年に発売になった初代で,カメラ雑誌で見た花畑の広告にやられて,旅行用に妥協しない画質のカメラとして新宿のカメラのドイで買いました。懐かしいなあ。コンパクトのくせにF2.8で,絞り優先AEが使えるのが決め手でした。

 その後,私と嫁さんの二人がなにかと言えば持ち出すカメラだったのでそれなりに活躍してくれたのですが,私は私でどうも使いこなせず,AFの中抜けや動作音の軽さに興ざめしてしまい,ちょっと疎遠になっていました。

 話が飛びますが,このちょっと使えてないなあ,という感覚はデジタルのGRになっても感じていて,それであまりGRを使っていません。

 GR1はなんといってもレンズです。とにかく良く写るレンズで,階調も豊かです。

 TC-1や28Tiのように偉そうな面構えでなく,軽快なスナップに向いていることもあり,最終形のGR1vなどは中古でも6万円以上,初代のGR1でも3万円の値段が付きます。もともと10万円のカメラだったとは言え,この値段はちょっとすごいです。

 機構がシンプルで,R1というカメラでこなれていることもあってか,メカが原因の故障は少なく,比較的丈夫なカメラなのですが,それでもやっぱり持病はあり,特に有名なのはLCDのセグメント欠けです。

 GR1のLCDは小さく,セグメントなので大した情報は出てこないんですが,それでもないと不便なのは事実で,残り枚数を示す数字が見えなかったり,各種モードが表示されないことで悲しみに暮れるオーナーは世界中にいます。

 私のGR1は数年前に見たところ,セグメント欠けはなかったのですが,先日確かめてみると見事に欠けていました。いよいよダメになってしまいましたか・・・

 それ以外にも,ファインダー部分の塗装が剥げて黒い地の色がたくさん出てしまってみっともないし,モルトはボロボロになっているしで,これはちゃんと修理しないといけないなあと,意を決して分解を始めました。

 メーカーが修理をやってくれれば潔く修理に出すのですが,もう部品が払底したらしく,LCDについては断られるんだそうです。ただ,数年前まで修理を受け付けていたそうなので,LCDの修理を自分でやった例は検索しても出てきませんでした。

 さて,軍艦部を外してみると,マイコンと操作系をマウントしたフレキが折りたたまれて入っているのですが,ここにLCDも取り付けられています。LCDはハンダ付けではなく,カーボンにょる導電性の印刷がなされたフレキを熱で溶ける接着剤で接着してあります。ああ,この実装方法は安価なLCD製品にはよくあるものです。

 これ,数年間は大丈夫なんですが,10年もすると確実に剥がれてしまい,セグメントの欠けがおこります。

 根本的な修理はフレキの交換で,GR1の場合はLCDごと交換していたんでしょう。調べてみると基板側のフレキが剥がれていて,ここを押さえると欠けがおさまります。

 最初はクリップか何かで押さえつけようと思いましたが,そんなスペースもないし,きっとうまくいかないように思ったので,なにかいい方法がないかと考えていました。

 ふと思い出したのは,この手のフレキの剥がれは,最後熱溶着すれば治るという話を思い出しました。具体的な温度は忘れましたが,フレキが溶けない程度の温度(つまりハンダゴテはNG)で押さえつけてやれば,また導電性を保ったままくっつくという話です。

 事実,私はこの方法で時計を何度か修理しています。コツは,熱のかけ方です。ドライヤーでは範囲が広すぎますし,温度の管理も難しいです。そこで,フローリングの床を補修するキットに含まれていた,電熱のコテを使いました。これは補修剤を熱で溶かす温度にはなりますが,ハンダやフレキを溶かしてしまうような高温にはなりません。

 先端が広がっているのも好都合で,これで数秒間熱を加えて押しつけます。それでもうまくいくことは少ないのですが,ちょっとずつ熱を加えて何度もやり直すより,思い切って熱をたっぷりかけて一発で修理した方が好成績だったりします。

 今回もその方法で試します。

 まず,LCDフレキn接着面を表に出すため,ハンダ付けを外して折りたたまれたフレキを広げます。LCDフレキが出てきたらここに補修用のコテを数秒間当てて,綺麗にくっつけます。

 くっついたら電源をいれて,セグメントの欠けを確認します。

 私の場合,とても簡単に復活しました。その後も不具合は出ていません。もしかすると私は,GR1の持病を治した世界でも稀少な人になったのではないでしょうか。

 ファインダー部分の塗装は,剥げた部分のタッチアップだけと思っていたのですが,あまりに範囲が広いので全部剥がして塗り直すことにしました。数年ぶりにエアブラシを取り出し,似たような色を作って塗装です。これも1時間ほどかかりましたが,まずまずの仕上がりです。

 実はこのファインダー部分のプラスチックは割れがあるのと,一部爪が折れてしまっているので,うまく本体に固定できませんでした。そこでABSの板を細く切って爪を作り,割れた部分もアクリサンデー先着剤で溶着して,ようやく本体に取り付けできるようになりました。

 そして最後に,ボロボロになったモルトを全部交換して完成です。

 こうなるとやっぱりうれしいわけで,フィルムを詰めて外に出ました。いいですね,軽快です。デジカメのようにいちいちLCDで確認しなくてもぱっぱと撮影出来ますし,小さく軽いのはとても楽ちんです。

 ただ,いちいち現像に出し,出来上がったらそれをデジタルにする作業が必要で,写真として仕上がるのに時間がかかることを考えると,残念ながら銀塩が主流になることはもうないだろうなと思いました。

 銀塩には銀塩に良さがあるのでしょうが,今となっては銀塩はあまりに非日常です。以前のようにインフラが整っていたころならまだしも,今のように写真屋さんを探して中1日かかる現像に680円かけるというのも,なんだかもったいない気がします。

 だから私にとっての銀塩は,やっぱりデジタルでは使う事の出来ないレンズを味わう行為なんだと思います。同じ写真とはいえ,もはや気構えも全然違って来ているものです。

 

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