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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

サンヨンの実力

 先日,AF-S300mmF4Dを買ったと書きました。

 もともと,15年ほど前に買ったトキナの100-300mmF4の置き換えを狙ったもので,なにか出番があって購入したものではありません。

 置き換えを狙うというのですから,そこには「性能」というわかりやすい差がなければならず,大枚10万円を工面して手に入れたレンズですから,無理にでもその差を確かめたいと思うのも,これ人情というものです。

 そんなわけで,購入した日に,動作チェックも兼ねて室内で撮影をして,その結果両者の違いに愕然としました。その時の写真をアップしておきたいと思います。


 ややこしいので詳しくは述べませんが,嫁さんのCDラックを撮影しました。先日のオリンピックの開会式にも登場したスーパースターも在籍したバンドの,名作中の名作と称されるアルバムの背中を映したものです。撮影距離は約2mと近いところです。遠距離の場合の画質は未確認です。

 また,夜の室内ですからシャッター速度も遅くなり,当然手ぶれも入っていると思いますが,言うまでもなく手持ちで撮影することは不可能であり,一応台に置いて撮影しています。

 まず,トキナのAT-X100 100-300mmF4です。絞り優先モードでF4開放,シャッター速度は1/30,ISO感度は2800です。元々の画像サイズは3680x2456でJPEG撮って出しです。これを,フォーカスを合わせた部分を中心に356x498で切り出しました。

ファイル 583-1.jpg

 文字がモヤモヤとして,崩れています。解像度の低さだけではなく,コントラストも低くて,ソフトフォーカスレンズのようになっていますね。収差がかなりあるという感じです。解像度が低いので手ぶれも目立ちません。

 次に,AF-S 300mmF4Dです。プログラムモードでF4開放,シャッター速度は1/50秒,ISO感度は3200になっていました。元々の画像サイズは先程と同様,JPEG撮って出しで,切り出した画像のサイズも同様です。

ファイル 583-2.jpg

 一目瞭然です。解像度の高さ,コントラストの高さは,ぱっと見るだけで差が分かります。解像度の高さのせいで,ぶれもはっきりわかります。

 300mmという焦点距離で,これだけの能力を持つレンズですから,10万円という価格はお買い得価格です。いつ値上げされてもおかしくないと思いました。

 F4開放でこれだけ写るのですから,絞ればもっと良くなるでしょう。1段絞っただけでも相当違ってくるはずで,高画質な単焦点レンズのよさが生きてきます。

 少し使って見て思ったのですが,やはりこの手のレンズに,手ぶれ補正はなくてもいいかなあと感じました。確かに静物を撮影するときには便利でしょうが,そういう場合には三脚を使ってじっくり取り組むことになるでしょうし,サンヨンというレンズの持つ機動性を考えると,フィールドで動く物を狙うことも多いはずです。

 相手が動く以上,手ぶれだけ押さえ込んでもだめで,結局シャッター速度を上げて被写体ぶれも押さえないといけなくなります。なら,欲しいものは手ぶれ補正機能ではなく,高感度ということになってきます。

 D800は,それでもISO3200までならほぼ問題なく,ISO6400でも十分使えるカメラです。ISO400で1/125を切るために高価なF2.8のレンズを持ち出すことを考えると,ISO1600にして1/250を,F4で切るようにした方が,ずっと良い条件で撮影出来ます。ISO3200にして1/500,F5.6までくれば,もうなにもいう事はないです。

 そういえば,先日オリンピックの中継を見ていて気が付いたのですが,報道のカメラマンが,三脚を使わなくなっていますね。サンヨンくらいだと思われるレンズを手持ちで構えています。もちろん,相変わらず300mmF2.8を三脚なり一脚でしっかり撮影するシーンもあると思いますが,室内競技を手持ちで狙っていくというのは,やはろ機材の進歩が大きいんだろうなあとつくづく思いました。

 そう考えると,私がサンヨンを買ったのは正解だったと思います。

Ai AF-S Nikkor 300mm F4D が海外からやってきた

 先日,勢い余ってAF-S300mmF4Dを手配した,と書きましたが,手もとに届きました。

 今回の買い物はそこそこ高額だったこともそうですが,買い方が面白いものですので,ちょっとその辺も書いておこうと思います。

 まあ,別に珍しい事でも何でもないんですが・・・海外の業者から個人輸入で購入するという,この手の話としては定番の話題です。

 お願いしたのはこれまた定番のB&H。アメリカ・ニューヨークのカメラ,ビデオ,コンスーマエレクトロニクス機器のお店です。

 ここがアメリカにおける最安値かどうかはわかりませんが,海外発送をしてくれることが大前提で,日本からの買い物客にも丁寧確実,しかも迅速で海の向こうからやってくる商品が注文から僅か3日で届くという韋駄天っぷりで,大変評価が高いお店です。

 ということで,円高が長く続いてお買い得感も高く,数々の実績で名の知れたB&Hを私も一度は使って見たいと思っていたのですが,いくら円高と言っても5000円を超える送料や配達時に立て替えてもらった消費税を支払うことを考えると,あまり安い買い物であるとか,国内との差額が小さなものを買うと,かえって損になります。リスクも高く,その上国内で購入した商品と違って保証やサポートも難しくなる個人輸入は,慎重になる必要があります。

 今回,買うことにしたAF-S300mmF4Dは,国内では12円ちょっとくらいが最安値です。仮に125000円としましょうか。

 で,1ドル80円として,B&Hの売値が1149ドルですから,日本円で91920円です。その差はなんと33000円ですよ。

 うーん,そもそも91920円では,日本では中古だって買えません。

 で,実際にはUPSによる配送料62.23ドルも加わります。この段階で96898円です。これに消費税3%を支払うとすると,約99800円です。10万円として,差額はそれでも25000円です。

 その代わり,この商品はImportedということで,俗に平行輸入品と呼ばれるもので,ニコンが保証しない,非正規な商品です。初期不良があっても,故障があっても,お店の保証を使わないなら,すべて有償の修理扱いです。ここらがリスクですね。

 昨年だと,もう100ドルほど安かったのですが,タイの洪水や品不足もあってか,今はこの値段でした。それでも安いし,不良の少ないニコンのレンズですから,これは買っても良いだろうと踏んだわけです。

 ですが,日本人としてはちょっと複雑な気もしますね。もともとこのレンズは日本製で,日本の通貨「円」で作られて,売られるべきものです。

 10万円の商品を1ドル80円で輸出すれば,1250ドル。これを私が1ドル80円で買えば元の10万円になりますので,差し引きゼロに見えるのですが,ミソは日本人にとって125000円のレンズの値打ちは,アメリカ人にとって1149ドルしかないというところにあります。

 本来なら,日本で125000円のレンズは,アメリカでも1560ドルで売れて欲しいわけですね。でも,アメリカの人はこのレンズに1560ドルの値打ちはないといっていて,それで1149ドルという値段がついて売られているわけです。

 ですから,ニコンは日本国内なら125000円で売れているレンズを,アメリカでは9万円で売らねばならないことになっているのです。当然,ニコンは日本国内で売るよりも,アメリカに輸出した方が少ないお金しか手にできません。

 そして,いろいろな流通を通って,このお店に1149ドルで並びます。やがてそれを私がドルで支払って購入するのです。最終的に日本に住んでいる日本人の私は3万円も安く買えてしまうのですが,誰がこの差額を負担しているのでしょうか・・・そう,多くはニコンが負担しています。

 品物はのべで地球を一周するほど移動し,しかも飛行機や船の燃料を消費して,結局日本に戻ってきます。個人レベルの小さな事ではありますが,無駄なことをやれば儲かるなんて,根本的におかしいですよね。無駄を省かないと,儲かるはずもないのに・・・アメリカ人の価値観に合わせて安くしたレンズを,日本人が買う。本来だったら発生しないアメリカと日本を往復する運送費用と,クレジットカードのドルでの決済手数料が発生し,これが関係する会社を潤します。いわば,不必要な仕事で儲かってしまうのですね。

 いやはや,もう国とか関係ないなあと思います。


 それはともかく,日本時間で7月18日の夜に注文,翌日の朝には出荷されていました。時差があるとは言え早い対応です。

 そして成田に着いたのが7月20日,そしてなんとその日の夕方に届いてしまいました。2日で届いてしまうとは・・・おそるべし。

 UPSと提携するヤマトに,消費税を2700円ほど支払い,私だってしたことがない長い旅をしてやってきた,AF-S300mmF4Dを手に取ります。そうか,こいつがMJQやビリー・ジョエルのニューヨークからやってきたレンズか。

 まず,箱の大きさにびびります。嫁さんにばれないように,目に付かないうちに押し入れに入れてしまおうと思ったのですが,こんなに隠しようがありません。

 箱を開けると,ソフトケースが出てきます。そしてこの中にレンズが収まっています。大さは結構ありますが,重さは想像していたよりも軽い印象です。手で持つにも無理だ,と思うほどのことはありません。十分手持ちは可能でしょう。

 さすがにもともと18万円クラスのレンズです。プラチックが多用されているとはいえ,高級感もありますし,しっかりとした質感が好印象です。

 室内での試写を行いますが,これがもう鳥肌が出るほどの,素晴らしさです。

 F4開放から,びしっと解像感が出ています。色収差も小さく,さすが銘玉と言われているだけあります。トキナの100-300mmF4と比べてみましたが,もう比べるまでもないという感じです。誰の目にも明らかに差があります。もう完全にこの100-300mmには出番はありません。

 最初の間,AFを動かすとキーキーと音がして,やばいな初期不良かと思いましたが,そのうち音が全くしなくなって,スムーズに動くようになりました。ちょうど左手がフォーカスリングの所に来るのですが,AFモータが動作するとき,くくっとトルクがかかるのが今ひとつですが,これくらいは仕方がありませんね。

 そして,なんといっても寄れます。これもトキナの100-300mmF4では勝負にならない高性能さだと言えるでしょう。

  開放から十分シャープで使えるレンズ,色もコントラストも解像度も申し分なく,AFは高速,案外持ちやすく,振り回しやすいし,その上1.4m近くまで寄れる自由度が素晴らしく,まさしくこれは銘玉です。

 野鳥や動物,昆虫といったネイチャー系,飛行機などの飛びもの,自動車や鉄道などの動きものを捉えるのによく使われるレンズですが,なかなかどうして,人を撮影してもよいじゃないですか。ちょっと背景のボケがうるさいなあという印象がありますが,少し絞ってボケを減らしてやれば,解像度も上がってびしっと決まります。

 こういう写りがポートレートに良いかどうかは疑問ですけど,レンズの基本はやはり解像度です。300mmという焦点距離ゆえに,それなりに被写体との距離をとらないといけませんが,それだけのことをしても十分元が取れるほどの,素晴らしい写りです。これは,もっと早くに買っとけば良かったです。

D800に戸惑う私

 D800を買って約1ヶ月,外に持ち出す機会にも恵まれず,室内で細々とシャッターを切る毎日ですが,撮った写真をMacで拡大してみることも,印刷することもなく,Lightroom4で現像を行うことも,時間的に出来ずにいます。

 D800はかなり手に馴染んできましたが,それでもどうも慣れないところがあって,ちょっと困り気味です。前に使っていたD2Hとの比較をついついしてしまいがちですが,結局D2Hというカメラは優秀だったんだなあと,見直すことが多いです。

 D800でDXにクロップするとD7000相当ということで,D2Hの出番はもうないだろうと思っていましたが,二束三文で手放すくらいならサブ機,あるいは高速連写機として,残しておくことにしました。後述しますが,実はサンヨンを手配してしまったので,D800でも楽しみですが,D2Hでもどれくらいすごいか,楽しみなのです。

 
 ということで,D800について気になっていることをいくつか書いてみます。


(1)被写体に奥行きが感じられない

 とても不思議なのですが,被写体が立体に見えないのです。

 例えば円柱を撮ります。真横から撮影しても,D2Hならちゃんとそれが円柱だと分かるのですが,D800だと長方形が写っているように見えます。エッジに微妙な陰影がつかず,奥行き情報が薄まってしまうのではないかと思っています。

 そんな話を同じ時期にD800Eを買った友人に話してみると,被写体の原寸大ポスターを撮影したような感じになる,と言っていました。同じような印象だと聞いて,やはりそうなのか,と思った次第。


(2)のっぺりとした画

 ノイズを無理矢理に潰した「塗り絵」とは全く違うのですが,ザラザラとした荒い粒状感がないせいか,平面的なツルツルとした画という印象です。(1)とも共通するのですが,これが被写体の立体感を損なっているように思います。

 3600万画素という高画素は,フィルムを越えたきめの細やかさを持つわけですが,もしかするとこれを手放しに喜べないのかも,知れません。

 先の友人との話で,私はD2Hの画を「挽き割り納豆のような」と表現しました。D800はすり鉢ですりつぶしたドロドロの納豆です。


(3)色が偏る

 ニコンの傾向だと友人は言っていましたが,ナチュラルで淡泊な傾向はニコンならではだとして,どうも黄色や赤に,やや偏る傾向があるように思います。特に肌色が黄色に偏るために,色の白さが損なわれるように思います。

 これがD2Hだと,ほんのり桜色になった赤ちゃんの白い顔がちゃんと再現されていて,とてもよいのです。確かに,D2Hはニコンのなかでも異端であり,独特の発色はD1同様,好む人は好むという感じです。一時期女子カメラとして中古が注目されたことがありましたが,その時も発色(と安さ)が原因でした。

 やっぱあれですね,CCDとLBCASTとCMOSで,色や画質の傾向って違うものですね。


 ここまでが,出てくる画像についての気になる点です。D2Hでは,出てくる画が想像できますから,思い通りに撮影出来ますし,結果については大きく外すか,思った通りになるかの二択です。

 D800は,出てくる画が全く想像出来ず,「ちょっと違うんだよなあ」という感想ばかりです。高い基本性能と圧倒的な高画素に救われて大きな失敗はない代わりに,自分が見ている「伝えたい」シーンを取り込めずにいて,フラストレーションがたまるのです。


(4)AFがちゃんと動いてくれない

 ハードウェアとしてはこれが最も困っています。

 AF-Sモードでシャッターボタンを半押ししAFを動作させてロック,構図を決めてから全押しするのですが,シャッターが切れません。ほとんど場合,一発で切れてくれないので,シャッターチャンスを逃してばかりです。

 なんでだろうと思ってフォーカスインジケータをよく見てみると,ファインダーで合焦しているように見えた時,丸い合焦マークではなく,前ピンと後ピンのマークが両方点滅する状態でした。つまり,合焦していないのです。

 フォーカス優先の設定なので,フォーカスが合っていないからシャッターが切れないのは当たり前の話ですが,こんなに合焦しないものかと,D800のレンズを外してD2Hに付け替え,同じ条件で試して見ました。

 結果,D2Hはほとんど迷うことなく,合焦マークが点灯し,チャンスを逃すことなくシャッターがどんどん切れます。

 一瞬,前ピンと後ピンのマークが点滅することもありますが,すぐに修正が入ってあっという間に合焦します。AFの性能はD2Hが一番だと確信しました。今や秒間8コマは珍しくないですが,当時のニコンの高速連写に対する意気込みは,並々ならぬものがあったということでしょうね。あらゆる部分が高速連写向けにチューニングされてるわけです。そりゃ快適なはずです。

 友人は,D800のAFは迷う,最後にジジジと前後してから合う傾向がある,と言っていました。確かにそんな感じです。

 AF-Cを使ったり,AF-Sでもレリーズ優先にすればシャッターは切れますが,ほぼピンぼけです。すでに,AFセンサの分解能は,3600万画素のCMOSセンサの分解能を下回っていると言われますし,3600万画素ゆえに,AFの精度を追求した結果,最後の微調整のところで時間がかかってしまうのではないかと,私と友人の意見が一致したのですが,もしこれが本当に事だとしたら,3600万画素という圧倒的な画素数がシャッターチャンスを逃すというカメラとしては致命的な問題を引き起こすということになり,非常に深刻です。

 このこととは違いますが,D800のAFには問題があって,ようやくニコンもその問題を認めたと聞きました。ファームの更新で対応するのか,サービス対応となるのかは分かりませんが,製造過程の調整にミスをしていたということらしいので,面倒な話になるかも知れません。同時にAFの切れ味も改善されるとうれしいのですが・・・


(5)広角に戸惑う

 D2HはAPS-Cですので,広角が苦手なカメラでした。18-200mmの広角端は27mm相当ですが,そのために大きなレンズを持ち出すのも気が進まず,どうしても中望遠域で撮影するのが中心になっていました。

 しかし,D800では普通に28mmなどの広角レンズが使えます。50mmでも,当たり前ですが,本当に50mmです。

 その結果,被写体の周辺にぽっかりと空間が出てしまうことがあります。同じ50mmでもD2Hで使えば75mm相当ですので,ぱっとファインダーを覗き込めば,すでにある程度の構図の整理は済んでいます。同じレンズを使っても,50mmだと被写体は小さく,周辺に余計なものがいっぱい映り込んでいます。距離感と画角の関係を,フルサイズに合わせて再構築しないといけません。

 あれ・・・フィルム時代はみんあフルサイズだったはずなんだけどなあ。


(6)フルサイズに戸惑う

 (5)と同じ理由に帰結しますが,フルサイズゆえに,想像以上に背景がぼけてしまいます。D2Hのつもりでちょうどよいボケ具合だと想像して絞っても,結果は思った以上にぼけています。

 センサのサイズが違うのですから当たり前なのですが,APS-Cではついつい絞りを開けがち(逆の見方をすると,フルサイズのつもりで絞ればぼけにくい)ですから,その癖が染みついてフルサイズを使っていると,どうしても開けすぎてぼけすぎるのです。

 これもフィルム時代には結構鍛えたつもりだったのですが,慣れというのは恐ろしいです。


 ということで,D800を使うのは,ストレスとの闘いです。

 D2Hのつもりで手に取れば,手に取った瞬間の印象が大きく重く,ファインダーを覗けば遠く小さく見えて,AFはなかなか合焦せず,シャッターボタンを押してもシャッターは切れずにチャンスを逃してしまい,しかも出来上がった写真は黄色にかぶり,過剰にぼけた大きな空白が小さな被写体を取り囲んでいる・・・

 気を取り直してD2Hを使うと,思い通りに撮影出来ます。実に快適です。K10Dでも思い通りです。

 こんなに違うものなんですね。

 今さらD800を放棄するわけにもいきません。慣れていくしかないのですが,果たして自分の思い通りになるのは,いつのことか・・・

 ところでところで,最初にサンヨンを手配したと書きました。

 詳しいことは届いてから書きますが,手配したのは現行のサンヨン,AF-S300mmF4Dです。欲しかったのですよ,これ,数年前から。

 10年ほど前に発売された古いレンズですが,その分価格も当時のもので比較的安く,しかしその画質,光学性能は圧倒的,飛びものを撮る人には「これ以外はない」と言われる定番のレンズです。

 人気も高く,中古の買い取りもこの時代のレンズとしては結構高めのようで,新品が13万円ほどなのに,中古が10万円ほどということで,中古の値段が下がらないのは人気がある証拠です。

 300mmといえばサンニッパですが,まるで新興宗教のツボみたいな大きさと重さは機動性を大きく損ないますし,値段も目を剥くような高さです。あんな高価なものを外で振り回すなんて,わたしゃー気が知れません。

 サンヨンは手で持てるサイズで値段も手頃ですし,冷静に考えてみるとF4とF2.8は1段しか違いません。言うまでもなくサンニッパは,シャープネスはもちろん,ボケの大きさや1段絞ってもF4というゆとりに凄さがあるのですが,手もとでISO感度をさっさと切り替えられるデジタル時代において,以前ほど1段のゆとりが現場で役立つシーンは,そんなにないように思います。

 安いレンズが高いレンズに画質で大きく見劣りするというのが世の常ではありますが,ニコンのAF-S300mmF4Dについてはちょっと事情が違うようで,サンニッパは別格としても,開放からびしっと決まる高画質で,ホントに悪い評判を全く聞かないのです。

 ズーム全盛の現代において,わざわざ単焦点のレンズを買うなんていうのは馬鹿にされるかもしれないですが,いかにズームレンズが単焦点に匹敵する性能を持つようになったとはいえ,それは最新のズームレンズに限った話。お値段も随分高くなりますし,大きく重たくなるものです。

 私の場合,ズームを使うのが下手くそで,結局ワイド端とテレ端の2箇所で使うだけだったりします。なら,70-200/F2.8VR買うよりサンヨンでしょう。

 私は銀塩の頃に,トキナのAT-X100-300mmF4というMFのズームを買って,今でも持っています。一応300mmでF4ですし,見た目に立派なレンズなので手もとに置いて,何も知らない知り合いを威嚇しているわけですが,これも15年ほど前にフジヤカメラで4万円の特価をしているときに買いました。

 特に300mmという望遠を使うシーンが日常的にあったわけではないのでそんなに出番はなかったのですが,望遠のMFがなかなか大変だったことと,ISO400程度ではシャッタースピードを稼ぎつつ絞ることも出来ずに,もやーっとした眠たい画質になりがちで,あまり良い印象があるレンズではありません。

 ですが,一眼レフの存在意義の1つに,望遠,超望遠レンズが使えるというのがあると私は信じていて,一眼レフを持っているからには300mmクラスは持っておくべきと思っているのです。

 この時代のズームはまだまだ単焦点にはかなわず,利便性によって画質が犠牲になることが当たり前でした。ですから,開放だと甘い画質ですし,色収差も派手に出ます。

 D2Hをメインに使っている頃,やはりレンズ類のてこ入れを行っていたとき,このAF-S300mmF4Dが欲しくて,かなり真剣に迷いました。ですが,300mmを今すぐ使うという状況でもなかったため,購入に踏み切らずに,今日まできてしまったわけですね。

 しかし,D800を買った今,思い切って買うことにしました。

 理由ですが,1つに娘が生まれて,これから出番が必ず出てくるであろうということ。遠方から狙うことも多くなるだろうし,D800に見合う望遠系のレンズで最も安いものは,おそらくこれしかありません。

 もう1つは,今を逃すと後々後悔するであろうということです。以前からこのレンズは手ぶれ補正がないことを指摘する声が高く,設計の古いレンズであることも手伝って,手ぶれ補正付きにリニューアルされることは間違いないと,ずっと言われ続けていました。

 同時に噂になっていた85mmF1.4などのレンズがGレンズになってリニューアルされたのに,不思議とこのレンズだけは現行のままです。

 これだけ長い間リニューアルされないのはきっと理由があります。説得力のある理由が,手ぶれ補正を入れてしまうと,今のレンズの性能に劣ってしまうため,と言うものです。

 昨今のレンズ設計技術に加えて,こなれてきた手ぶれ補正技術,そしてナノクリスタルコートを施せば,D800も一安心のサンヨンが出来る事は間違いないと思うのですが,おそらく倍近い値段になってしまうことは避けられない中で,性能を最低でも維持,出来れば向上させないといけないという大きな課題が突きつけられていて,これが非常に高いハードルになっているのではないか,というわけです。

 なるほど,手ぶれ補正の光学系を入れれば確実に画質は低下しますし,今のサンヨンは画質について特に不満も聞かれないほどの銘玉ですから,お値段が上がった分きちんと性能向上させないと,納得しません。それで時間がかかっているんじゃないでしょうか。

 とはいえ,リニューアルも一巡し,現行のサンヨンも随分古くなっていますので,大幅に光学系を見直した手ぶれ補正付き(ついでに絞りリングはなくなって)の高級レンズとして,登場することは自明でしょう。そうなったら現行のサンヨンは即座にディスコンです。

 そうなると,この光学性能をこの価格で手に入れる機会を失うことになります。そしてその時は,確実に近づいています。

 いずれ買うものなのですから,今買っておいたほうが良いです。

 ということで,結構簡単に購入を決めてしまいました。

 買い方も今回は新しい方法を試しています。このあたりも後日。

D800をエネループで使った時の切れ味

 D800パワーアップ作戦の番外編は,マルチパワーバッテリーパックMB-D12をつかって,連写速度を上げてみようです。

 D800は本体のみの場合,フルサイズで4コマ/秒,APS-Cサイズにクロップしたときは5コマ/秒です。中級機でも6コマ/秒は当たり前,8コマ/秒くらいのカメラが結構ごろごろしていることを考えると,ここをD800の弱点と見る人も少なくありません。

 参考までにD2Hは当時最速の8コマ/秒です。8コマ/秒を実現するためには,単にミラーの開閉速度やデータ転送速度を上げるだけではなく,他の関連する動作のすべてを全体で高速化する必要があり,それぞれの機構がお互いに綺麗に連動して無駄な動きをしないことも大切であって,そうして生まれた高速性能というのは,8コマ/秒を使わない人にとっても十分体感できる差になるものだと思っています。

 言い換えれば,高速な連写によって必要とされる骨格と筋肉と無駄のない動きは,連写をしないときにもスムーズでキレのある感触を生み出し,撮影時のテンポや高揚感を高めてくれるものだという事です。

 だから私は連写速度にこだわります。連写速度が遅いカメラは,全体の動作速度が遅い,レスポンスが悪い,信頼性が低い,精度が低い,とカメラの根底に関わる基本機能に見劣りすると感じているからです。

 では,D800のポテンシャルは本当に5秒/コマ程度なのかどうか。

 MB-D12を使えば,D800の電池であるEN-EL15,D4用の電池NE-EL18,そして単三8本の3種類の電池が使えるようになります。このうち,NE-EL18と単三8本を使えば,フルサイズでの連写速度は4コマ/秒のままですが,APS-Cにクロップすると6コマ/秒まで向上します。

 連写速度を上げるには,モータの速度を上げる必要があって,そのために電源電圧が高い必要があります。EN-EL18の公称電圧は7.0Vですが,NE-EL18は10.8V,単三8本だと12V,ニッケル水素電池でも9.6Vになります。この3V近い電圧の差というのが,モーターを高速で回転させ,また大きなトルクを生み出す源となります。

 APS-Cで1.2倍もの速度アップがあるのに,フルサイズで速度が上がっていないということは,これは3600万画素という強烈な画素数が作り出すデータの転送がボトルネックになっていることがはっきりするわけで,シャッターやミラーなどのメカは,最低でも6コマ/秒で動作し,かつ耐えられるものになっているということになります。

 そういうことなら,試してみたいじゃないですか。そこで,エネループを8本新規に購入し,これでどれくらい高速になるかを,見てみます。

 電池が切れたと判断する電圧は,アルカリ電池とニッケル水素で違います。メニューからニッケル水素に設定をして,エネループを8本,MB-D12にセットします。そしてAPS-Cにクロップして,連写します。

 明らかに,高速です。コマ数が問題なのではなく,全体の速度が1.2倍になっていることがはっきりわかります。シャッターの切れ味も抜群です。D2Hと同じとはいかないまでも,少なくとも緩慢な動きという印象はなくなりました。これはすごい。

 念のため電池をEN-EL15に戻します。もう別のカメラのように,ゆっくり動きます。ミラーの開閉速度が落ちたことがとにかくストレスになります。これは,連写ではなく,1コマだけ撮影するときでも同じです。シャッターの切れ味が全然違います。

 これはいい。

 もしかすると,フルサイズで撮影したときも,全体の動作が高速になるのではないか,と思って,また試してみます。

 すると,連写速度は4コマ/秒で変わりませんが,1つ1つの動作の速度は6コマ/秒の時と同じで,1.2倍になっています。シャッターが切れる間隔が250msということだけで,1つ1つの動作の速度は確実に上がっています。

 ですから,1コマだけ撮影しても,その違いは歴然です。同じ4コマ/秒とは思えない,切れ味です。

 これはいい。

 ブラックアウトの時間も短くなっているし,全体が高速に動き,シャッターの音も高くなります。よりD2Hに近くなり,小さなボディにみなぎった力を感じつつ,私もテンポ良くシャッターボタンを押していきます。これがD4から譲り受けた,D800のメカの本当の力なのだと思います。

 ですが,かなり重くなります。D2Hと比べてみると明らかにD800の方が重いです。これってどうなのよ,D2Hの重さと大きさを超えてもなお,D2Hの速度には追いつかないわけです。小さい事はいいことだけではなく,そういうの妥協の上に成り立っているんですね。

 気になったのでちゃんと調べます。D800の本体重量が900g,MB-D12と単三電池ケースの合計が270gだそうです。ここにエネループを8本入れると,210gほどになりますから,その合計は480g。これをD800に取り付けると1380gです・・・

 なんと1.4kg近いんですね。こりゃー重いわ。これにさらにレンズの重さが加わるんですから,体を鍛えないと手がぶるぶる震えますよ。

 D2Hはどうかというと,ボディのみで1070g,電池(EN-EL4)が170gということですので,合計すると1240gです。

 やっぱり・・・D800の方が重くなるんですね。これは厳しいなあ。

 しかし,あのシャッターの切れ味は捨てがたい。そこでもう1つの方法である,D4用の電池を使う方法を考えて見ましょう。

 D800にMB-D12,そしてEN-EL18という電池に専用のフタBL-5の合計は,1325gだそうです。えー,こんなに重いの?

 ではでは,D800にMB-D12,そして元々の電池であるEN-EL15だったら?1265gだそうです。えー,まだD2Hより重いんですか?

 これは参りました。一番軽いD800 + MB-D12 + EN-EL18という組み合わせを考えた場合,電池が18000円,電池カバーが2000円,充電器が36000円くらいですので,ざっと56000円!

 いやー,これはきついわ。エネループ8本だと2300円ほどですから,雲泥の差です。しかし,120g(ということは約1割)重たいというのは,かなりのものです。

 あ,そうだ,エネループにLiteというのがありますね。これだと1本あたり19gらしいので,8本だと152gです。ということは60gほど軽くなる計算ですね。うーん,こっちにしとけばよかったかなあ。

 ということで,D800は重たいカメラということがわかりました・・・D700よりも軽量化されているということですから,D700で同じ事をするともっと大変だったことになるのですが,カメラって大型化&重量化しているんですね。困ったものです。

 ただし,重いことは悪いことばかりではありません。今までEN-EL15だったものが,エネループ8本になったということは,それだけ下側に重心が移るという事を意味しています。

 実際に,ちょっと大きめのレンズを取り付けると,重心が低い分だけしっかりと安定し,ホールド感も増すように思います。床に置くと簡単に前のめりになったものが,少しは踏ん張ってどっしりと座ってくれます。重心の位置が下がってくれることは,いろいろな意味でとてもありがたいことです。

 で,レンズは例えば先日買ったばかりのTAMRONのA09NIIだと約510g程度。軽いですね。これと組み合わせてやれば,なんとか2kgを切るわけですか・・・重いなあ。

 とりあえず,MB-D12は標準でつけっぱなしにしましょう。電池は家の中で使う分にはエネループでいきます。外に持ち出すときはEN-EL15でいいし,旅行など他に持っていく者が多いときには,MB-D12も外していくことにしましょう。

 まあ,こういう風に調整が出来る事が,D800のメリットかも知れませんね。D4ではこういうわけにはいかないでしょうから。

 

続々登場する魅力的なカメラ

 現在主力であるD2Hを購入したのが2005年で今から7年近く前,サブのK10Dを購入したのが2008年で今から4年前です。

 特にD2Hの陳腐化が目立って来ました。切れ味,レスポンス,そして動作音などメカに不満は一切ありませんが,いかんせん400万画素という少ない画素数,高感度のノイズのみならず,低感度でも暗部に浮き上がる派手なノイズ,そしてバッテリーの劣化と将来の供給の不安と,当時発展途上であった技術課題の解決が急速に進んだ昨今,もはや「これで十分」と意地を張るのも難しくなってきました。

 月並みな理由ですが,子供の貴重な一瞬一瞬を出来るだけ多くの情報量で記録しようと考えた時,高次元でバランスしている良いカメラが欲しいと思うようになりました。

 昨年はタイの洪水もあり,その要求を満たすカメラにお目にかかることがなかったのですが,今年に入っての新製品ラッシュには期待をはるかに超えるものがあって,腰の力が抜けていきそうです。

 性能が突出しているもの,デザインに優れているもの,設計思想にしびれるものなど,どれも個性を放っていて,今年はすでに豊作の予感です。

 実に悩ましい。

 「宝くじでもあたらんかなあ・・・」「宝くじを買ってからいえよ」とお約束の突っ込みを自分で寂しく入れつつ,ちょっとここ数日で発表になった新しいカメラを私の視点でまとめてみようと思います。


・ニコンD800 / D800E

 まずは3600万画素のフルサイズセンサを搭載していることが強烈です。単純な画素数競争ではなく,あくまで「意味のある情報」としての高画素をねらったものであることは,公開されたサンプル画像からみて理解出来ます。まさにニコンの良心です。

 もちろん,カメラボディのポテンシャルとしての3600万画素であり,ここまで来るとレンズも最高性能のものを用意しないといけないという意見は理解出来ますが,実は解像度の低いレンズや収差の大きいクセ玉も,低い画素数では個性が隠れてしまいがちです。

 3600万画素と言えば,間違いなくISO100のネガフィルムと同じくらいの線解像度を持ちます。フィルムを前提としたレンズは,この画素数にしてようやくその個性をフルに表現出来るのではないでしょうか。

 ニコンは,中判に迫る性能で風景写真に,と言っていますが,実は多彩なレンズを駆使しする芸術志向のフォトグラファーから強く支持されるように思えてなりません。

 20万回のシャッター耐久も素晴らしいです。明らかにプロの使用を前提としています。このカメラの最大の欠点が連写速度の低さにありますが,毎秒4コマにして20万回の耐久ですので,長期信頼性の向上が主目的でしょう。

 D4が画素数を絞って幅広い用途に向けた完全プロ機なのに対し,D800は画素数を高めたカメラ本来の性能追求を果たしたカメラです。いずれDヒトケタの後継機種は,この画素数で毎秒10コマやら超高感度やら実現するでしょうが,連写や感度は使い方の工夫が出来ても,画素数だけはどうにも工夫が出来ません。

 賛否両論がある3600万画素ですが,数に負けていない実際の解像度の高さを見せつけられると,もう反論できないです。

 そしてなにより,この価格です。いきなり27万円スタートですから,フルサイズ機でもこの価格が普通になったという感慨と,価格以上の価値のあるカメラだという感心が,素直にわき上がってきます。

 このカメラなら,私の使い方なら10年は大丈夫です。下手をするとF3のような長生きになるかも知れません。


・ペンタックスK-01

 Kマウントのミラーレスの噂は,私はてっきりガセネタだと思っていたのですが,全然違っていました。

 そもそもKマウントはM42プラクチカマウントと同じフランジバックを持つ,一眼レフ専用のマウントです。ミラーとぶつかることを避けるために,45.46mmmものフランジバックがあるわけです。

 故に,Kマウントを採用すればミラーレスだろうがなんだろうが,必ず45.46mmは出っ張るわけで,そんなミラーレスに魅力があるはずがない,と思っていました。

 ですが,マーク・ニューソンのデザインするK-01を見て,これは!と思いました。

 確かに本体を薄くすることは出来ませんが,レンズを薄くすることは出来ます。これで全体の厚みを押さえることは出来そうです。レンズ内モーターが主流になる昨今に置いて,薄くできないボディーのスペースにモーターを入れて,レンズは極力薄くすると言う発想は実に正しいでしょう。

 ですから,ボディのみの販売は行われず,レンズキットのみになっていることは,なるほど理にかなっています。特にDA40mmと同じ光学性能を持つ超薄型のレンズはいいですね。35mm換算で60mm相当の単焦点レンズですので,とても楽しいことでしょう。

 ミラーレスになったことで連写速度も向上し,K-5のウィークポイントが改善されたことも素晴らしいです。音も静かになっているでしょうから,Kマウントのレンズ資産を引き継ぎ,新しい使い方を開拓するカメラとして,大変面白いと思います。

 個人的に気に入ったカラーは,イエローです。黄色と黒なんて,まさにコダックの色です。先日経営破綻したコダックに対するオマージュでしょうか。

 ただし,ペンタックスには1つ心配な事があります。近々行われるCP+の発表内容を見ていると,645Dのレンズ,Kのレンズ,Qのレンズと,ペンタックスの規模から考えるとマウントが多すぎです。

 まあ,これがペンタックスの伝統なので今さらなのですが,今もユーザーはマウントに忠誠を誓うわけで,同じ会社が3つもマウントを持っていることに,いいようもない不安を感じていることもまた事実です。


・オリンパス OM-D

 案外好意的な評価が多いように思われるOM-Dですが,カメラとしての基本性能を高めたところはさすがです。防塵防滴にマグネシウムフレームで,マイクロフォーサーズも,これでようやくプロの道具になることでしょう。

 しかし,そういう方向性と,かつての名機OMシリーズを模したデザインとは,ちょっと相容れないと私は思います。ちょうどペンタックスのK-01とは逆の発想になっているように感じるのですが,ミラーも光学ファインダもないのに,なぜあの三角屋根なのか,なぜレンズを中心とした左右の比率がOM1と同じでなければならないのか。

 特に三角屋根の部分は,一眼レフの弱点の1つだったわけで,EVFを搭載したこの機種が三角屋根を持つのは,それがデザインモチーフであり,懐古主義だからであるということでしか,説明が付きません。

 例えば,同じ懐古主義でもペンタックスのOptio I-10などは,全く必然性のない中で,デザインだけauto110です,という明確な主張と遊び心にあふれていました。また,今ヒットしているオリンパスのPEN-Dも,ミラーレスだからこそ可能になったデザインです。

 なら,OM-Dは,ミラーありのフォーサーズでやるべきではなかったのか。見やすい光学ファインダをちゃんと装備して,名機OMをきちんとなぞることこそ,OM-Dの役割だったのではないかと思います。


・シグマSD1 Merrill

 SD1が出たときには本当に驚きました。儲かるかどうかは横に置き,明らかにカメラとしての完成度が低い中で,これでしか手に入らない画質を70万円で買いませんかというのですから,余程の人しか手を出せないでしょう。

 しかし,私も大変気に入っている三層構造のセンサFoveonX3が,APS-Cサイズになって高画素化し,これが吐き出す強烈な情報量に舌を巻いた人は多いでしょう。

 しかし,なぜこの値段なのか,と当時も私は釈然としなかったのです。この値段のカメラなら,カメラとしての基本性能も高くなければなりません。それはEOS-1Dであり,D3が期待されるわけです。

 もともとSD1って,20万円くらいで出るべきカメラじゃないのか,と思っていたら,SD1 Merrillの発表です。実質50万円近い値下げが行われたわけで,メーカーも価格改定だと自ら言っています。

 メーカー,というより山木社長のメッセージによると,SD1に搭載したセンサは製造上の困難があり,どうしても値段が高くなったと。それが1年余りの改良により,全く同じ性能で価格を大幅に下げることに成功したと。

 ゆえに,SD1は20万円で新たに販売するというわけです。70万円のSD1を買ったユーザーはシグマにとっても特別なお客様,だから40万円相当のポイントを提供するプログラムも計画中とのことです。

 なかなか出来る事ではありません。多くの人が「感動した」と言っています。

 普通,発売からそれなりに時間が経過していれば,名称を変えて値段を下げるのは「マイナーチェンジ」で済まされます。値段を下げるにはそれなりの改良があり,投資も行われるから,別機種として展開することは言い訳でもなんでもありません。

 ですが,冷静に考えてみると,センサの値差だけで50万円もあるのか?です。

 ボディは明らかに20万円クラスのカメラです。センサがもう10万円高いものになったとして,売価への影響は20万円アップくらいまででしょう。もしセンサが20万円高いなら売価は40万円くらいアップでしょうが,20万円以上のセンサなんてもう手作り品で,量産品としてはありえません。

 製造上の問題という事ですので,歩留まりも悪く,品質のバラツキもひどかったのでしょう。数が揃わないので,その数で利益の出る採算構造を考えると,70万円で売るしかなかったというのが本当のところではないかと思います。

 だから,このままでも長く生産し,ロングセラーになってくれれば,最後には値段が下がったかも知れません。(そう簡単な話ではありませんが)

 一部で言われている,売れないようにするために最初から40万円ほど乗っかっていたんじゃないのか,はちょっと疑いすぎで,今のシグマにそんなことをしてまで新しいカメラを投入しないといけない理由は見当たりません。 

 なので,70万円で利益がようやく出るカメラを売って,あとで値下げしたから差額を返しますなんてのは,シグマにとってはやはり大英断なのです。差額を返すといった瞬間に,ではいくらならいいのかが議論になるわけで,それが20万円でもなく50万円でもなく,40万円になったことの行間を,もう少し読んでみても良さそうです。

 そもそもSD1の販売数がそんなに多くないことも,可能になった理由でしょう。しかし,40万円もの巨額の返金(とはいえ,自社製品への交換の権利ですので,実質20万円以下でしょうが)には,大きな決断があったはずです。

 SD1を買ったユーザーの内訳が,本来大事にすべき個人ユーザーよりも,実は評価用に買ったライバル会社が結構いたり,70万円の価格に見合った価格で買い取った中古カメラ屋さんが即死するんじゃないかとか,いろいろ心配な事もあります。ですが,そんな話は置いておいて,まず自分達を支持してくれた人々を裏切らないことを真っ先に考えたことは,理由のいかんに関わらず,賞賛されるべきことでしょう。

 SD1 Merrill,売れてくれればいいと思います。Foveonを買い取ったシグマには,FovenX3の凄さを広く知らしめる義務がありますから。


・シグマDP1 Merrill,DP2 Merrill

 前述の新世代FoveonX3センサが安くなったことと,おそらく量産が可能になったことで,コンパクトカメラであるDP1とDP2にも搭載されるようになったという話なのですが,これも私は驚きました。

 このシリーズについては,私もDP1sを持っていますが,これも旧モデルになった時に投げ売りされたものを買ったまでで,販売当初に急いで買った熱心なユーザーではありません。

 でも,普通に良く写るコンパクトデジカメが1万円台のご時世に,FoveonX3を使いたいと言うだけの理由でその何倍ものお金を出すことにはやはり抵抗があります。それで3万円くらいになったときに買ったのですが,これはこれまでのデジカメとは全く違う体験だったので,さらに改良されて販売されることを期待しました。

 ただでさえ競争の激しいコンパクトデジカメですから,DP1もDP2も,すぐにやめになるだろうと思っていたのですが,どっこい今でもちゃんと現行機種です。その上,SD1でも使われる新世代のセンサまで搭載した,フルモデルチェンジまだ行われるというのですから,もうビックリです。

 お値段も,おそらく従来機種と同じくらいになることでしょう。そうなると,あの強烈な画像を10万円以内で楽しめることになるわけで,とても魅力的な話となります。

 APS-CサイズのFoveonX3になると,もうレンズの性能を抜きには語れません。私の目から見て,今回のフルモデルチェンジの2つ目の目玉は,レンズの大幅な改良です。

 従来のDP1/DP2でもレンズの性能には定評がありましたが,今回は贅沢にもFLDガラスや非球面レンズを駆使して,なんとF2.8という明るさのレンズを搭載してくれました。これまで開放がF4でしたので,実はなにかと不便をしていましたし,せっかくの大きなセンササイズを生かしたボケも出にくくて,表現上の制約が結構あったのです。

 それが開放F2.8からですので,これはかなり使い甲斐があります。F4からですと1段明るいのですから,実質的に感度は2倍に相当します。ちょっと暗い部屋でもなんとかシャッターを切ることが出来るでしょう。

 また,20cmまで寄ることが出来ることも素晴らしいですね。従来のDP1が30cmまででしたので,DP1のレンズの弱点をちゃんと潰してきたと言えるでしょう。28mm相当のレンズでも,一眼レフ並みのボケを駆使できるに違いありません。シグマというのはなんと真摯な会社でしょうか。

 他にも,旧モデルではLCDの質が悪く,マニュアルフォーカスなど実質出来ない状態でしたが,これも改善されたようです。

 しかし,値段も気になりますし,実質RAW専用機になることも覚悟せねばなりません。現時点ではISO感度は未発表ですし,AF精度の問題,レスポンスの悪さ,ユーザーインターフェースの悪さ,電池寿命,そしてストロボがなくなったことなど,心配な部分も多そうです。

 値段によっては,私も欲しいと思いますが,PENTAX Qに高画質な28mm相当の単焦点レンズが出たら必要がなくなります。カメラは最終的には,全体のバランスです。あるポイントに突出していても,他がダメなら被写体に迫れません。

 ところで,このmerrillという名前ですが,言うまでもなくFoveonX3の発明者の一人,Dick B.Merrill氏から取られています。FoveonX3の開発に大きな足跡を残した彼は,同時に写真家でもありました。

 あまり日本では報道されなかったようですが,彼は2008年10月17日の朝,長いガンとの闘いの果てに,亡くなりました。シグマはFoveonX3の記念すべき最初のジェネレーションネームに,このmerrillを起用して,その功績を永遠にたたえることにしたのです。

 まあその,うちわの話と言ってしまえばそこまでですが,今のシグマを見ていると,志半ばで亡くなった開発者への尊敬を素直に感じて,背筋の伸びる想いがします。

 


・ペンタックスKマウントレンズ用アダプターQ

 これはカメラではないのですが,個人的に絶対買うことになるものです。今年の夏頃という事なので,とても楽しみです。

 なんのことはない,PENTAX Qの発売当時から言われていた,Kマウントのレンズを使うためのアダプタです。

PENTAX Qは35mm換算に焦点距離を5倍することになります。そうするとFA43mm/F1.9は215mmとなりますし,FA77mm/F2は385mmです。テレ端200mmのズームだと実に1000mmですから,これはもう未体験ゾーンです。

 単純にマウントの変換を行うだけなら,これまでも方法がなかったわけではありません。しかし,PENTAX Qにはメカシャッターがないため,被写体が動くときにローリング歪みが発生するので,被写体が歪むのです。

 私が注目しているのは,今回発表になったマウントアダプターには,ちゃんとメカシャッターが搭載されていることです。さすが純正,さすがPENTAXだと思いました。

 FA43mmやFA77mmという,あえて残した収差を味わうレンズもそうですし,FA35mmのような基本性能に長けたレンズや,1000mm相当の超望遠レンズの世界も今からとても楽しみです。なんといっても最も画質の良い中央部だけを使うのですから,画質についての心配はないでしょう。

 しかし,PENTAX Qというカメラは,実はレンズの収差を画像エンジンで補正することを積極的に利用したカメラです。特に歪曲収差については,無理に光学的に追い込むよりは,画像処理で補正することとして,他の収差の改善や性能の向上を優先しています。

 PENTAX Qの画像をRAWで扱うと,収差の補正を画像処理で行う事への抵抗など吹き飛んでしまうくらいの衝撃があるのですが,Kマウントレンズの収差補正は,どういうスタンスで行われるのでしょうか。

 仮に収差補正無しとなった場合,収差が理想的に補正されたいつものPENTAX Qの画像に見慣れた我々が,Kマウントのレンズの補正無しの画像を見て,どんな印象を持つことになるでしょうか。FA43mmなんて眠いレンズだとか,そんな風に言われてしまうかも知れませんね。


・タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD

 ワンランク上の標準ズームにF2.8通しのレンズがあります。すでに単焦点レンズに迫る画質を実現したこのランクのレンズは,プロも使うレンズということで性能は素晴らしいですが,価格も高いです。

 そんな中,アマチュアでも手が届き,しかも性能も抜群という銘玉として,タムロンの28-75mm/F2.8(A09)があります。実売3万円台でF2.8通しのズームが買えるだけでも驚きですが,その画質は価格を大きく超えて,多くの人に「もうこれでいいじゃないか」と言わせてしまう,そんなレンズです。

 しかもこのレンズはフルサイズ用のレンズです。高価なフルサイズ機を買った人が」レンズでけちるのもどうかと思いますが,初期投資が安く済むというのはとてもありがたい話です。

 この定評あるレンズの後継として登場するのが24-70mm F/2.8 Di VC USDです。長い名前ですが,広角域は24mmまで広がりましたし,手ぶれ補正も内蔵しました,AFモータも超音波モーターらしいですから,とりあえず全部入りです。

 あとは価格次第ですが,仮に実売価格が1万円上がっても,従来のレンズの画質を維持するならお買い得でしょう。確かにA09は古いレンズで,そのせいで値段も大きく下がっていますから,このレンズも登場時はそんなに安くないかも知れません。

 ですが,もし私がD800を買ったなら,このレンズも一緒に買うことになると思います。純正はとてもとても・・・

 

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