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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

PENTAX SPのシャッターが鳴く


 先日,実家から食べ物が送られて来るときに,ついでにとアサヒペンタックスSP(以下PENTAX SP)とSMC Takumar2本を送ってもらいました。

 残念な事に私が10代の頃に使っていたものは壊れてしまい,今はありません。後になってわかったのは,これは初期型であったことです。

 ファインダーに蒸着の剥がれもあり,半分ほど見えなくなってしまっていただけではなく,シャッターも露光ムラがひどく,フィルム送りも安定せず重なることすらあったもので,壊れてしまってもそれは当然だったように思います。

 今回送ってもらったのは20年ほど前に購入した程度のよい中古品で,55mmF1.8込みで15000円と当時としてもそれなりにいい値段のものでした。

 後期型で使用頻度も少なく, なにより動作が滑らかで,当時新品を買えばこんな感じだったんだろうなと感動した記憶があるのですが,さすがに20年以上も誰も使わず放置されているということなら,もうダメかも知れないと思ったのです。

 果たして手元に届いたSPは,ミラーも下がらず,スローシャッターが動作しない完全な不良品に成り下がっていました。200mmF4と135mmF3.8の2本のtakumarは全く問題なったのですが・・・

 問題があるとわかってほっとくわけにはいきません。分解と整備です。もともとも程度が良かったことを知っているので,この時は簡単に済むと信じていました。

 ところが,これがとても大変でした。

 スローシャッターが不良の県は,ガバナーをとりだして洗浄,注油で解決しました。ミラーの件も注油で解決です。簡単にシャッター速度を見てみると,1/8秒だけ出ていないのでもう一度分解。

 ガバナーの取付位置を調整して解決(実は解決していないことが後で判明します),もう一度シャッター速度を全速で確認します。

 全体的に遅めですが,それなりに揃っていて実用上問題ないレベルです。

 あとは適当に注油を行い,ファインダーのゴミを取り除いて,露出計を調整します。簡単簡単。

 これで終わりかなと組み立てたのですが,1/60秒でシャッターが鳴くのです。よく聞いてみると1/125秒でも出ていますし,1/30秒でも出ています。しかし1秒やBでは出ないので,原因が先幕なのか後幕のなのか,特定出来ません。

 ああ,シャッター鳴きというのはこういうのをいうんだなと思ったわけですが,得にシャッター速度にも影響が出ないので,気にしないことにしていたのです。ところが徐々に音が大きくなり,黒板を爪でひっかいたような音になってきたので,これはさすがにまずいと,再度分解することにしました。

 まず音の原因を調べないと話が前に進みません。ですが,結論から先に書くと,結局この原因はわかりませんでした。

 あちこち注油したり指で動かしたりしてみますが,さっぱりわかりません。そのうちシャッターが正しく動かなくなったり,組み立てられなくなったりと泥沼にはまり始めました。

 もうあかん,そんな風に何度も思ったのですが,結局泣きは解決せず。

 そしていよいよ,シャッタードラムに手をかけます。そう,ドラムを外してしまうと,テンションを再調整しなければなりません。しかし私はそのための測定方法を持ち合わせていません。私にとっては禁断の分解箇所なのです。

 しかし,もうここしか残っていません。幕速を調整するネジを回してみますが,それでも鳴きは収まりません。いよいよ万策尽きて,ドラムを緩めます。そしてドラムの軸の周辺を徹底的に注油します。

 すると,あれほどしつこかった鳴きがやみました。しゅぱっとシャッター幕が動きます。結果オーライです。このまま組み立てましょう。

 しかし,一難去ってまた一難。すんなり前に進みません。また1/8秒が出なくなったり,1秒や1/2秒でガバナーがさっと戻りません。どうもガバナーのテンプをガンギ車から切り離す部分がおかしいようです。

 カムの動きを慎重に見極めますが,何度やっても上手くいきません。いよいよダメだとあきらめかけたのですが,カムの動きをガバナーに伝達するシャフトの調整がズレていることが判明し,ここを再調整し,なんとか解決です。

 シャッターブレーキのかかり具合でもガバナーの動きが変化するほどだったので,これでなんとかなりそうです。

 とりあえずシャッターの組み立てが終わったのですが,幕速を調整する仕組みをなんとか考えないといけません。適当に合わせてしまうと幕やドラムのバネが壊れますし,時間と共に幕速が変化してしまいます。

 ES2の時は,幕速を出すだけでも2週間ほどかかってしまいましたが,今回はもっと上手い方法を考えたいところです。

 そこで,自作のシャッター速度測定器を改良することにしました。フォトトランジスタをもう1つ追加し,オシロスコープで時間差を測定し,幕速を出すのです。

 早速改造してバージョンアップします。2.54ピッチのユニバーサル基板を使って作りましたので,5穴分あけて新しいフォトトランジスタを取り付けます。こうすると12.7mmの間隔ができますね。

 PENTAX SPの幕速は,36mmを14msで走ります。先幕は後幕より0.1ms程速めに設定するのだそうですが,12.7msなら約4.9msですので,1/1000秒に設定してまず後幕から4.9msを出し,そこから先幕を少しだけ速めにしてから,1/1000秒のシャッター速度が出るように追い込むとよさそうです。

 この方法は面白いほど上手くいき,あっという間に幕速と1/1000秒が出ました。全速出るように調整ネジを使って調整を完了しましたが,一晩経っても狂っていません。

 上手くいきました。

 そこからは早いです。さっさと組み立てますが,ミラー上昇時にロックしないとか,ファインダーのゴミが何度も出るとか,しょーもない問題が出てはバラし,出てはバラしを繰り返して,ようやく完成。

 組み立て後,最終的なシャッター速度は,以下の様になりました。

1 910ms
1/2 484ms
1/4 244ms
1/8 117ms
1/15 58.0ms
1/30 32.8ms
1/60 16.9ms
1/125 7.2ms
1/250 3.76ms
1/500 2.42ms
1/1000 1.30ms

 もう一踏ん張りな感じもありますが,よく頑張っているんじゃないでしょうか。一応全速JISに入っていますし。

 PENTAX SPは,速度の調整を行う仕組みが事実上1つしかありません。その1つで1/1000秒から1/30秒まで全部合わせないといけないので,調整は楽な代わりに妥協も必要です。

 改めて空シャッターを切りますが,なんとすばらしいフィーリングなことか。

 PENTAX SPの巻き上げはゴリゴリとしか感じがあって今ひとつなのですが,かなり改善されています。ミラーの音もシャッターが吸い込まれる音もなかなかよくて,もう癖になる音です。

 途中一度だけシャッターがジャムってしまって,また分解することになったのですが,それはもう再現しません。

 実は,M42のレンズとして,SMCtakumar105mmF2.8を買ったのですが,M42なんて何年ぶりかなあという感じです。ファインダーを覗いた限り,良い写りしそうな予感がします。

 心配しているのは,なかなか鳴きが収まらず,丁寧さを欠いた注油のせいでシャッター動作で油が飛び散ってしまう可能性です。レンズの後玉が油で汚れているようだと要注意です。

 先日久々にフィルムを通したES2は,少し調子が悪かったのですが,何度か空シャッターを切っているうちに調子が戻ってきました。この時代のPENTAXはファインダーが絶望的に暗いのでちょっと遠ざかっていたのですが,それでもどうしてあんなに不満なく毎日のように使えていたのを考えるに,中央のマイクロプリズムが良く出来ていたからなんだろうなと思いました。

 同じように,F3でもマイクロプリズムに交換したのですが,あまりピントの山が綺麗に見えず,こんなもんだったかなあと思っていたのですが,改めてSPのファインダーを覗き込んでみて,これなら全然いけるな,と思い直しました。

 昨今のカメラ市場に拭く逆風にどう対処していくか,根本的な問題の解決がどのカメラメーカーにも課題となっています。紆余曲折を経てリコーの一部門になって久しいPENTAXもこのままというわけには行かず,なんらかの選択肢を選ばねばなりません。

 その選択肢がどういうものになるかは,ファンとしては見守るしかありません。カメラはヨーロッパの発明品ですが,フランスやイギリスのメーカーはほとんど消滅し,ドイツでもライカくらいしか残っていません。

 写真好きの日本人が育てたカメラが,今後どうなるのか,私も興味を持って見ていこうと思います。

 - 3月23日追記 -

  このSPで撮影したフィルムを現像しました。

 シャッタースピードもコマ間隔もバッチリ揃っています。1/1000秒も出ているようです。露出計も問題なく動作しており,光漏れなどのかぶりもありません。とにかく問題がなさ過ぎて,何も書くことがありません。いはやは,苦労した甲斐がありました。

ミノルタオートコードがまた壊れて,そして復活させた話


 コロナ禍という言葉が日本の社会に根を下ろして1年。

 この1年で変化したことも変化していないこともありますし,それら1つ1つに対して思う事感じる事も人それぞれだと思いますが,もともと出不精で人が苦手だった引きこもり体質の私にとって,まさか家に引き籠もることを正負が推奨する時が来るとは思っておらず,ある程度の不自由は受け入れるか,と割り切って生活を続けています。

 コロナのせいで直接間接に変化することに対応することが,家にいて変化を感じにくい生活ゆえに難しい事も感じています。いつの間にやら電車が減っていた,いつの間にやらお店が潰れていたなど,それまでの生活で当たり前だった事や物が失われていくのは,理由が理由だけに恐ろしい気がします。

 閑話休題。

 その,ちょうどコロナが騒がれる少し前に手に入れた私にとって初めてとなる中判カメラ,ミノルタオートコードは,私の写真の楽しさに全く別の物を追加してくれた,豊かな写真体験を提供してくれたのでした。

 そのオートコードが,またも壊れてしまいました。

 少し前から1秒が遅くなって1.5秒くらいになっていることは気が付いていました。ただ,動かないわけではないですし,もうあんな地獄を味わうのはゴメンだと逃げていたのです。

 しかし,状況は叙情に悪化,レンズを上に向けるとシャッターが切れなくなるという問題が出始めたと思ったら,とうとうどんな向きでもシャッターが閉じなくなってしまいました。これはもう放置出来ません。

 問題は1/2秒や1秒と言ったスローで発生しているので,状況からスローガバナーの問題です。上手くすればガバナーのメンテだけで済むかも知れません。

 ということで,ちょっと時間を作って分解です。とはいえ,出来るだけ影響範囲を小さくしたいので,無闇に分解することはしません。

 とりあえずシャッターを開腹。ガバナーをとりだして指で動かして見ますが,なるほど動きが渋いです。どうやら,油ぎれのようです。

 そう,ベンジンにつけ込んでガバナーを清掃したのですが,その後の注油がちょっと不足していたようです。ベンジンで薄めた油を注油したのですが,薄めすぎかも知れません。

 特にガンギの部分に,少し濃い油を爪楊枝でちょいちょいと塗りつけてやると,実に軽快に動き出しました。これならいけそうです。

 ここまでの分解なら高速側のシャッター速度に影響はないだろうし,フォーカスの無限遠の確認もファインダーのテストも必要ありません。分解と注油,組み立てにかかった時間はわずか30分です。

 翌日シャッター速度の測定を行ってみました。

1 970ms
1/2 512ms
1/5 194ms
1/10 118ms
1/25 40.4ms
1/50 23.6ms
1/100 13.7ms
1/200 7.0ms
1/400 5.16ms

 低速側は漢文に復調したという感じです。ただし,1/400秒と1/200秒は絶望的で,これはもはや使えないと言っていいでしょう。原因はシャッターの劣化でなければ,おそらく注油不足じゃないかと思います。

 こうなると気になって夜も眠れません。分解し,シャッターを動かす機構に注油を行っていきます。羽根に回り込みそうな場所に注油することは怖いのでしなかったため,おそらく性能回復は限定的な物になるでしょう。

 結果は以下の様な感じです。

1 940ms
1/2 484ms
1/5 194ms
1/10 105ms
1/25 40.4ms
1/50 21.2ms
1/100 13.8ms
1/200 5.08ms
1/400 4.44ms

 おお,良いじゃないですか。1/5秒,1/10秒,1/25秒,1/50秒,1/200秒など,ほぼジャストといっていいでしょう。1/400秒が遅いのは残念ですが,これもまあこの程度の分解で済ませた結果なら,立派なもんです。

 せっかくですのでレンズの中玉を清掃(ゴミだらけでした),これでいけると組み立てて,張り皮まで貼ってから,そう言えばとセルフタイマーをテストしたら,これがNGでした。ヨレヨレになりながらもどうにか戻って行くセルフタイマーですが,最後にシャッターを蹴飛ばしません。

 私は久々にくずおれました。

 しかし,このまま放置できません。再度分解,セルフタイマーを確認しますが,どうもグラグラになっているので固定したネジの緩みと判断。

 はて,そのネジとやらはどこにあったんかいの,と探してみますが見当たりません。これはきっとシャッターユニットの裏側だろうと,意を決してシャッターを本体かrあ取り外します。

 この時点で,無限遠出しは必要になり,自動的にファインダーのテストも必須となりました。

 シャッターユニットの裏側を見ても,それらしいネジはありません。きっと更に分解しないといけないんだと,あやふやな記憶をたどって裏側のネジを4つ外しました。

 すると,バラバラとシャッターが分解し,目の前にはバラバラになったシャッター羽根が出てきました。

 ああ,やってしまいました。そういえば,このネジを外すとシャッターの羽根を組み直さないといけないんでした。忘れていましたよ・・・

 この段階で,かつて徹夜をした地獄のシャッター組み立て作業が必要となり,しかも高速側のシャッター速度出しも必要になりました。

 1/400秒は調整出来るものではなく,出たとこ勝負なので,永遠に出ないかも知れません。なんと言うことをしたんでしょうね。

 激しく後悔しながらも,ほっとくわけにいかんので,作業開始です。

 まずはセルフタイマーです。これ,思い出したのですが,ネジで留まっているのではなく,シャフトに差し込んで固定するタイプでした。ネジが見あたらなのも道理です。

 で,せっかくですのでとりだして確認すると,どうも油ぎれでガンギの部分が渋いです。結局スローガバナーと同じことが起きているのでした。

 一応ベンジンで清掃して,濃いめの油を注油し,スムーズに動くようになりました。

 次に最大の難関,シャッターの組み立てです。2度失敗しましたが,これは案外簡単に作業が終わりました。ただ,シャッターを閉めるバネが外れて閉まっていることに気が付かず,後になってパニックになりました。

 続けてスローガバナーの組み付けです。ここがなかなか上手くいかず困りました。取り付けたのはいいが,シャッターが閉まりません。原因は前述のバネの外れでした。バネを引っかけるのにガバナーを再度外して,それからまた取り付けます。

 上手くいったかに思えたのですが,また1/10秒が上手く動作しないという頻発しました。スローガバナーが正常な位置に取り付けられないと,1/10秒でガンギ車が空回りして,/100秒くらいでシャッターがしまってしまうのです。

 この段階で翌日に持ち越したのですが,翌日は作業がスムーズに進み,1/10秒も万全になりました。ここでシャッター速度をチェックしますが,概ね許せる範囲です。

 後はシャッターユニットを本体に組み付けて,フォーカスと平行度を確認,その後ファインダーのテストを行って作業終了。正直もうダメかと思いましたが,なんとかなりました。

 最終的なシャッター速度は,こんな感じです。

1 890ms
1/2 452ms
1/5 174ms
1/10 89.0ms
1/25 35.6ms
1/50 19.6ms
1/100 12.1ms
1/200 4.64ms
1/400 3.84ms

 1/400秒がダメなこと,そしてスローが速いことは気になりますが,常用域では良く揃っていると思います。一番調子が良かった頃の速度が,

1 920ms
1/2 484ms
1/5 194ms
1/10 98.0ms
1/25 36.9ms
1/50 19.2ms
1/100 12.2ms
1/200 4.00ms
1/400 2.92ms

 でしたので,これに比べると今ひとつなわけですが,速い速度は経年変化で遅くなるでしょうし,まあいいことにします。

 それより,1/10秒が結構大きめにばらつくことがわかりました。速いときでは78ms,遅いときでは110msくらいになります。特に-20%というのは厳しいなあという感じなのですが,ここにこだわってしまうと本当に壊してしまうので,あきらめました。

 そして,作業中に油が付いたボディの内面を手直しです。当初つや消し黒を塗ったのですが,どうもうまく艶が消えず,ベンジンで拭き取って1mm厚のモルトを貼りました。どんなもんんかは,試写の結果を見てみないといけません。

 とまあ,こんなわけで,シャッターの音は確実に良くなりました。レンズも綺麗にしましたし,フォーカスもばちっと出ていることを確認し,ファインダーも掃除してテストしています。

 結果オーライ,気持ちよく安心して使えるミノルタオートコードになりました。
ちょうどフジのPRO400Hをまとめ買いした所なのですが,その前にお気に入りのイルフォードのFP5を通して見たいと思います。

 不思議と新しい二眼レフを買おうと言う気が起きないのは,やっぱりこのミノルタオートコードが気に入っているからだと思います。あとどれくらい使えるか分かりませんが,治して動く間はなんとか使っていこうと思います。

 

EN-EL18の充電とFマウントの今後

 D850は私の体にすっかり馴染み,出てくる画像が自分の思ったとおりになっています。それどころか,未だに「すごいなこれは」と思うようなドキッとする画を見せてくれることがあり,結果にこだわらない撮影でない限り,これ以外の選択肢はありません。

 縦位置を多用する私は,縦グリップであるMB-D18を常用している一方で,秒間9コマを実現するためのEN-EL18は(持ってはいるが)使っておらず,安価なEN-EL15を使っています。

 以前も書きましたが,EN-EL18を使うことで変化するスペックは,秒間9コマを実現することなわけですが,そのために全体的なレスポンス,特にミラーの動作速度が大きく向上しており,これがシャッターフィーリングを大きく変えている要因になっています。

 全体的なレスポンスの向上によって,キビキビとした小気味よい音とフィーリングが手に入ることは歓迎なのですが,その分ミラーショックも大きくなり,ブレには気を遣うことになります。

 先日,コロナ禍でギリギリの判断の結果,規模を大幅に縮小した運動会が開催されることになりました。娘も頑張って練習に励んでいますし,歴史に残るコロナ禍の日常を残したいとD850にAF-S70-200mmF2.8Eを使うことにしたわけですが,せっかくなので久々にEN-EL18を使って秒間9コマで運動会を記録しようと考えました。

 EN-EL18は高価な電池で,Dヒトケタのプロ機のために用意されている電池です。充電器はさらに高価で,これらに加えて縦グリップも必要なD850では,秒間9コマを実現するための追加投資が10万円を越えてしまいます。

 電池は仕方がないとして,充電器に4万円近くを出すのもバカらしいと思った私は,EN-EL4用の充電器を改造し,後に中国製の純正充電器のコピー品を使うようになっていました。

 電池そのものは内蔵のマイコンで本体と通信することが分かっていたので安価な互換品を買うことは避ける一方,充電器についてはマイコンを読む事はあっても書き込むことはないだろうと私は考えていて,電池の電圧と充電電流で充電の状況を管理するだけの充電器に,あまり価値を見いだしていませんでした。

 1年半ぶりにEN-EL18を取り出し,偽物の充電器で充電を行いました。80%程の容量が残っており,充電はすぐに終わりました。なんの心配もせずD850(正確にはMB-D18
)に取り付けてみますが,電源が入りません。

 おかしいなと思ってよく見ると,電池のアイコンが点滅しており,どうも正しい電池として認識していない様子です。

 電池はもちろん純正で,前回は問題なく使用出来ていました。

 おかしい。何度か放電させて再充電を行いますが変化はありません。電池の抜き差しも縦グリップの付け外しも何度も行いましたが,これでも改善されません。電池の電圧も正常,劣化も起きておらず,定電流負荷で1Aを引っ張っても2時間以上動いています。

 なにかがおかしいのですが,運動会まであと2日。これは間に合わないかも知れません。

 まず電池の故障です。マイコンのデータが壊れたとか,実は劣化が進んでいたとか,そういう話です。

 D850や縦グリップの故障も可能性はありますが,MB-D15で問題なく動いているので,可能性は低いと思います。

 あとは,考えたくはないのですが充電器の問題です。

 とりあえず,安い互換品の電池をバックアップで1つ手配です。4300円ほどですので随分安いですが,この業者の電池にハズレはこれまでにありませんでした。

 充電器は高価なので,これが原因でなかった場合にはショックが大きいですし,google先生に聞いてみてもこれが理由で問題が出たという情報は見つからなかったので,手配することはしないでいました。

 しかし,せめて中古でも出ていない物かと調べていたら,あるお店でアウトレット品が2万円で出ていました。それでも高価ですが,この機会を逃すと後悔すると思い,買うことにしました。

 2日後届いた純正のMH-26aAKで,認識しないEN-EL18bをキャリブレーションしてから満充電し,D850に取り付けたところ,すんなりと認識してくれました。

 そうか,これが原因でしたか。

 私は充電器が電池のマイコンに書き込むことはしないと思い込んでいましたが,これ本当かいな?

 ニコンのプロ用電池の充電器には,キャリブレーション機能があります。時間がかかるのと必要だと言われることはなかったので私は使っていませんでしたが,これは劣化などによる電池の実際の容量と表示される容量との間に出てくる差を校正する機能です。

 やっていることは,まず完全充電を行い,そこから満充電を行うというものなのですが,冷静に考えてみると完全放電時に0%を,満充電時に100%をマイコンに書き込むという仕組みという事から,充電器はマイコンに読み書きを行う機能を有しているのは間違いなく,私の推測が根本的に間違っていたことに気が付きました。

 そういえば,偽物の充電器で充電を行っても,なぜか100%にならなかったことを思い出しました。それでも実害はなかったので気にしなかったのですが,しばらく使っていなかったことでマイコンに記録された残容量と,実際の容量との間に大きな差が出るようになってしまい,この電池は故障しているか非純正品だと判断されて,跳ねられてしまったのでしょう。

 互換品の安い電池も届き,これも満充電後にD850に取り付けたところ問題なく動作しています。

 ということで,EN-EL18を2つ持ちでD850を使うことが出来るようになってしまいました。

 ちょっと重くなりますし,9コマの連写はしないので無駄なように思いましたが,せっかくの投資ですし,シャッターフィーリングの良さを買ったと思って,常用することに決めました。

 ところで,D850とFマウント周辺の状況について雑感を。

 ニコンは業績が良くないようです。とはいえ,ニコンはD800やD850といった高額なヒット商品があったときには業績がぱーっと上向き,そうしたヒット商品に恵まれないとサーッと業績が下がってしまうという事を繰り返すので,今回の事も大騒ぎするようなことでもないかなあと思っています。

 コロナ禍でD6の発売が遅れたことを理由にする筆もいますが,あれはそんなに数の出る商品ではないでしょうから,ここまでの業績悪化に関与しているとは思えません。

 ちょうどZシリーズへの移行期で,ボディだけではなくレンズの開発にリソースを集中しているために,Fマウントのレンズの更新需要が消えたことが大きいと思います。

 また,Fマウントボディが更新されないことも理由で,例えばD850SやD860が出ていれば,買い換えを行った人もたくさんいたはずで,そうした手堅い顧客を失ってでも,Zマウントに移行しようというニコンの決意を感じますし,あれだけの会社が社運をかけて行うことですから,それなりの準備も勝算もあってのことでしょう。

 Zマウントはゼロから立ち上げですので大変ですし,頑張ってもFマウントのレンズよりは売れないはずです。Fマウントは買い換えだけでかなりの数が手堅く読めるでしょうから,私はもったいないなあと思ってしまいます。

 それが証拠に,神レンズと言われたAF-S14-24mmF2.8Gが更新されず,その後継機はZマウントで登場しています。この新レンズはFマウントの14-24mmの欠点をことごとく解決していて,まさに決定版の広角ズームと言える出来になっていますが,それがZマウントという新マウントのおかげで達成出来るものであったとはいえ,10年以上前の設計のFマウントの14-24mmの改良は可能であったと思いますし,そうした声に応えることでニコンの台所事情も随分改善されたのではないかと思います。

 ただ,中途半端なものを出してしまうことを是とせず,出すからには最高のものをという心意気が,単純なお金儲けでレンズを出すことをしないのだと私は思いたいですし,その答えが社運をかけたZマウントだったということだと思っています。

 内心,ボディとレンズの更新に悩むこともなく,また大きな出費をすることもなくなったことにホッとしているところもあって,現在の機材に対する不満を解決するにはFマウントとの決別という判断を先にしないといけないという高い壁に阻まれて,しばらく現状維持することが許されることも,正直助かっています。

 一方で,それを退屈だと思っている私もいて,ニコン純正に限らず,シグマやタムロンといったレンズメーカーでさえ,まるで潮が引くようにFマウントを見放した事実は,それまで無視できない存在として常に真ん中にいたFマウントが,すでに相手にされなくなりつつあることを,Fマウントを支持し,これまで様々なメリットを受けていたものとして,今後どうするかの判断を突きつけられていると感じます。

 画質や操作性,レンズの性能に現時点で不満はありません。腐っても現行機種でユーザーも多い機種ですので,買い換えの必要は今はありません。しかし,Fマウントに未来はなく,Dシリーズも既に主役ではありません。

 D850の受け皿になるようなZマウント機がない現状では,移行したくても出来ない訳ですが,仮にD850の代わりになるようなZマウント機が出ても,似たような機種への移行という話だけなら,別にD850のままでいいです。

 大きな動機となるのは,更新されないFマウントのレンズがZマウントのレンズに比べて見劣りするようになることだと思います。すでにそうした兆候は見えていますし,前述の14-24mmF2.8などはその証拠とも言えますので,いずれ何らかの手を打たないといけなくなるように思います。

 レンジファインダーのSシリーズから一眼レフのFに移行するときも,こういう葛藤がユーザーとメーカーにあったのでしょう。Sシリーズは確かに名機ですが,今レンズが揃うかと言えばそれはなく,今使っている人もほとんどいません。

 少々無理をしてもニコンではなくライカにしておけば,今でもMマウントを使っていられたはずなので,ニコンSPのユーザーは悔しい思いをしたのかも知れません。

 そう考えると,カメラというのは,やっぱり量産品なんだなと思います。

Rollei35LEDの完結


 私は医者でも専門家でもないし,生き物はずっと苦手だった人なのでさっぱりわかりませんが,とにかく見えない存在であるコロナウイルスに戦々恐々とする毎日です。

 私のような持病もなく,。酒も煙草もやらないおっさんでも怖いのですから,お年寄りや持病をやむなく抱える人にとって,これがどれほど恐ろしい存在あるかは想像に難くありません。

 なにせ死ぬかも知れない,死なないけどとってもしんどい,と言われている上,ワクチンがない現在かからない方法は感染しないようにする事以外にありません。加えて,かかってしまえば自然に治るのを待つしかありません。

 これを風邪の一種だと言ってしまうのはたやすいですが,肺炎に進行し,あっという間に重篤化してしまうというのはやっぱり風邪ではありません。

 家でおとなしくしていることしかない現在ではありますが,永遠に家から出ないわけにも,人と会わないわけにもいきません。

 やがて緊急事態宣言も解除されて普通の生活を少しずつ取り戻すのでしょうが,そうすれば自動的に感染してしまうわけですから,医療崩壊が起こらないようにすることが最も大事なことではあるとはいえ,個人レベルで見ると命のリスクと闘病の苦しさはなにも変わりません。

 ここで私は袋小路にはいってしまい,新型コロナウイルスに怯えてしまう本質が命の問題である事に改めて気付かされてしまい,私の足はすくんでしまうのです。

 閑話休題。

 そんなことは今あれこれ考えていても答えは出ません。

 出ませんので,仕掛かりとして気がかりであった,Rollei35LEDを仕上げます。

  Rollei35LEDは,私にとってはなかなか解決しない難問の1つでした。安くて手軽,露出計も高性能なRollei35LEDをレストアしたのはいいのですが,レンズが完全にダメになっており,コーティングを剥がしただけでは足りず,クモリを取り除くために前玉をセリウム入りの研磨剤で研磨まで行っています。

 一応それなりに写るようにはなっていますが,張り皮もすぐに浮いてきてしまいますし,手にした感触も悪くて,今ひとつ手が伸びない可愛そうなカメラになっていました。

 なんといってもレンズが3枚のくせに良く写ると評判のトリオターが,私にその実力を見せてくれてはいません。レンズを研磨した時点ですでにそれは無理な相談となっているのですが,鬼門と言われた露出計が完調であることを考えると,やっぱり普段使いにしたいもんだなと思う訳です。

 そこで,安いジャンクのRollei35LEDを普段から探していたところ,4000円ほどでジャンクを手に入れました。完全に壊れていて撮影は無理なのですが,ケースに入っていたせいでそれなりに程度は良く,レンズも綺麗(にみえた)だったのです。

 ただ,なんとなく気が進まず3ヶ月ほど放置していたのですが,ふとしたことからレストアを再開することにしました。

 ニコイチにすることはもう決まっていたのですが,問題はどちらを残すか,そしてどれくらいの部品を融通するか,という話です。

 まずは新しいジャンクのRollei35LEDの程度を分解してきっちり確認します。

 まずレンズです。綺麗だと思っていたレンズですが,前玉の裏側にクモリのようなものが出ています。まるで砂粒のような点々がいっぱい出ているのですが,ガラスの劣化でしょう。この段階でかなりがっかりです。

 シャッターや絞りそのものは問題なし。しかし,シャッターのバネは破断していました。

 ひどかったのは電池周りで,水銀電池が派手に液漏れしており,バッテリーケースが開きません。電池端子も溶けてなくなっていますし,ファインダーの周辺まで見るからにやばそうな水色の結晶がへばりついています。

 あと,落下したと思われる後が上カバーにあります。Rollei35LEDの骨格はプラスチックなので落下しても割れていなければゆがみに強いと思うのですが,無理に使うこともないでしょう。

 結論としては,レンズユニットだけを使い,古いRollei35LEDに移植することになりました。

 そうと決まれば作業は簡単です。サクサクと分解し組み直します。無限遠を出し,シャッタースピードを確認し,露出計の精度も確かめます(Rollei35LEDは絞りと連動するので,レンズユニットを交換したら露出計にも影響が出るのです)。

 張り皮も新しいジャンクから移植します。あと下ケースも新しいジャンクの物を使います。程度がいいですからね。

 そうして完成した新生Rollei35LED。早速試写しますが,悪くありません。

 手放しで褒められないのは,研磨した古いレンズでも,このくらいの画像が得られたよなあと思ったからです。

 Rollei35のテッサーと比べると,やはり一目瞭然なのです。

 研磨前のレンズと比べると,さすがに研磨前がいかにひどかったかわかるのですが,研磨後もそんなに悪くなく,当時研磨してこれなんだから,オリジナルはもっとすごいに違いないと思い込んでいただけに,今回の結果は期待が大きすぎただけに,ちょっとさみしい印象を受けたのです。

 繰り返しますが,悪いわけではありません。次第点だと思いますし,今回はモノクロフィルムですので発色はわかりません。またコーティングが健在なことによる有利さは,逆光の条件下で撮影していないのでこれもよくわかりません。

 さいわいなことに,前玉に見られた点々の影響はほとんど見らないように思います。

 要するに限定的な条件でそれなりに写ります,と言うことがわかっただけの話であって,テスト撮影といっていいか,書いていて自信がなくなってきました。

 とはいえ,張り皮が綺麗になり,触った感じも手に馴染んで気分がいいというのは,心理的な影響がとても大きいです。目に付けばついつい手にしてしまう手軽さというのは,私がRollei35LEDに求めていたものです。

 露出計の動作は以前よりも快調になりました。以前はレンズユニットに内蔵されていた絞りと連動する可変抵抗が劣化していて,露出計がちらついてしまいましたが,今回はこれも修理されているので,露出計が安定して動作するので,とても気分がよいです。

 そんなわけで,これでRollei35LEDは決着とします。カラーフィルムを使うこと,もっといろいろな条件で撮影すること,粒子の細かいフィルムを使うことで,今後このカメラの良さも悪さも見えてくることでしょう。

 普段使いのRollei35として入手したRollei35LEDですが,こんなに手こずるとは思えませんでした。その上,やはりRollei35とは全然別物であって,これを代用品に使うことは無理と悟りました。これはこれ,Rollei35LEDとしてきちんと使わないとダメだと考え直しました。

 

GW690で感じた世界

 中判のフィルムにしっとりと広がる銀の粒子が,肉眼でも良し悪しがわかるくらいに大きく画像を作り出す様にすっかり魅了され,現在私が手にすることの出来る最高画質と信じて疑わなかったD850をしのぐ情報を残す事の出来る事実に,自らの浅さと焦りを感じた2ヶ月を過ごしました。

 中判に対する大きな可能性を知ってしまったからには,もっと大きなフォーマットに手を出すのも自然な流れです。

 中判の次は大判,しかし大判はロールフィルムではありません。さすがにシートフィルムに手を出すのは非現実で,そうなると中判で最も大きなものを体験するしかありません。

 そこで6x9版です。6x9版と言えば,フジのGW690シリーズです。21世紀になっても新品が買えた6x9版のレンジファインダー機です。

 もちろん,6x9以上のフォーマットもあるにはあって,6x17というのがどうも最大のようですが,これは横長のワイドで私の好みに合いませんし,そもそもそういうカメラをほとんど見た事がありません。

 6x9ならおなじみなの?というあなた,そうおなじみです。

 最近の小中学校は違うのですが,10年くらい前までの集合写真では,この6x9版が使われていました。そしてそれは,ほぼGW690シリーズで撮影されていました。

 特に40年も昔になると,1クラスの生徒の数も40人を超えていて,1枚の写真にまとめるにはかなりの解像度を要求されました。一人一人の顔がきちんと写っていないといけませんし,中央と端っこで写り方に違いがあるという事は,公平をなにより好む学校において許される事ではありません。

 当時の技術でこれが可能だったのは中判以上。私くらいの年寄りになると大判で撮影されたことを覚えているわけですが,大判になるとすでに撮影がメインの写真屋さんの仕事であるのに対し,GW690を使えばDPEをメインにやっている街の写真屋さんでも対応可能です。

 写真屋さんの大半が富士フイルムのネットワークに組み込まれていたことを考えると,GW690を使って学校の写真を撮るというのは悪い商売ではなかったはずで,我々は知らないうちに,6x9版に映り込んでいたといえるでしょう。

 目的が目的ですから,GW690に求められた性能は,隅々まで写る高画質,高解像度。コッテリとした記憶色を再現する発色,ピンボケは絶対に許されないので高精度な距離計,そして簡単には壊れない堅牢性,余計な機能を持たず確実に動作する信頼性です。つまり,プロの道具です。

 集合写真ですし,動く被写体を撮るわけではありませんから,高速シャッターも高精度AFも必要ありません。明るいレンズである必要もないし,連写も必要ありません。露出計を内蔵することも必須ではなく,仮に露出計を内蔵していても確実に撮らねばならない現場なら入射式の単体露出計を使うことがほとんどでしょう。

 これをアマチュアが検討したとき,面倒なカメラ,プロしか使えないカメラと考えるか,落ち着いて被写体と向き合えるカメラととるか,そこが分かれ道だと思います。

 私は後者です。120フィルム1本で8枚しか撮影出来ないのに,被写体と向き合わずなんとするか。撮影者と被写体が同じ目的に向かって協力し合う結果得られた高画質な銀塩写真には,それでしか得られない空気感があるはずです。

 かくして,私の手元にGW690がやってきました。

 初代のGW690で,フジカブランドです。基本設計はIII型でも同じですので,程度の良し悪しと外観デザインだけを気にしておけば済むカメラです。

 入手価格は2万円。程度は悪く,ギリギリ実用レベルです。実は3台あって,これだと思う良い程度の物を買ったはずなのですが,間違えて2番目の程度のカメラでポチってしまいました。

 ドキドキしながら届くのを待って,手にしたGW690は想像以上に程度が悪かったのでさらにがっかりです。

 レンズにはチリやホコリが入っており,心なしか曇っています。ファインダーは曇っていると言うより濁っていて不快なレベルです。

 カウンターは669でしたから,この段階で7000ショットほど。10000ショットで1周しますので,まだ少しはオーバーホールなしで使えるでしょう。

 肝心なシャッターは確認したところ,全速JIS規格をオーバーしています。

1/500 3.44ms
1/250 6.08ms
1/125 9.80ms
1/60 22.2ms
1/30 39.2ms
1/15 78.0ms
1/8 166ms
1/4 320ms
1/2 650ms
1 1240ms

 うーん,辛い。すべてのシャッタースピードで遅れています。ちょっと迷ったのですが,ここでGW690IIIのサービスマニュアルを見てみます。ここにこのカメラの規格が出ていまして,

1/500 1.16 - 3.28ms
1/250 2.33 - 6.58ms
1/125 4.64 - 13.13ms
1/60 11.0 - 22.1ms
1/30 22.1 - 44.1ms
1/15 44.2 - 88.4ms
1/8 88.4 - 177.0ms
1/4 177.0 - 354.0ms
1/2 354.0 - 707.0ms
1 707.0 - 1414.0ms

 だそうです。

 これ,ちょっと緩すぎないかと思うのですが,カメラの仕様としては1/125までは±0.75EV,そこから遅くは±0.5EVまでOKなんだということで,確かに隣のシャッタースピードまで許容範囲が広がっています。これでも十分なんでしょうね,現実的には。

 そう考えるとミノルタオートコードなどはとても優秀で,正直あそこまで神経質になることなどなかったかも知れません。

 改めて見てみると,1/500秒と1/60秒がアウトです。1/500秒は大幅にアウトで,もう当てにならないくらいですが,1/250秒との差分がしっかりあるので,使い道はあります。

 1/60秒がアウトなのは辛いところですが,それもまあわずか100usのオーバーですし,誤差に紛れて毎回変わる数字でしょうから,あんまり気にしなくてもよいと思っています。

 まあ,全体的に遅めとは言え,どれも等しく遅いわけですから,整っていると考えてシャッターには手を出さないことにします。

 で,距離計とフォーカスですが,まず無限遠はバッチリ。オートコリメータで確認しましたが,完全に無限遠は出ていました。

 距離計も1.2mで確認しましたが十分な精度が出ていました。ただ無限遠はちょっとオーバーインフ気味な感じがします。いじるとすれば距離計ですが,近距離で十分な精度が出ていると判断しているわけですし,これももうこのまま触らないことにします。

 可能な限りの清掃を行って,見栄えもかなりスッキリしました。ピント合わせが楽しくなりそうです。

 フィルムの給装も問題なし,軍艦部をあけたついでに注油を行い,スムーズさも出てきました。

 さて問題の,レンズのホコリです。

 シャッターを挟んで存在する前群と後群を外して拭き掃除をしようとしましたが,あまりにネジが固くて分解出来ず,最終的に可能になったのは前群だけでした。それでもホコリは綺麗になり,気分的にもすっきりしたのですが,残念な事に後群に全く手が届かず,広がるホコリや中央に居座る大きなゴミに,とてもイライラしてしまいます。

 無理に分解して壊したりレンズに傷を付けたらもうおしまいです。画質に影響がなければいいかと,割り切りも大事です・・・

 あとは,あちこち剥げたペイントを修正し,彫り込んだ文字にエナメルカラーを流し込んで仕上げます。

 そして試写。

 実は現像に失敗して(120フィルムを1つのリールに2本巻いたのですが,重なってしまってました),正確な評価は難しいのですが,とりあえずフォーカスも問題なし,コマ間隔も正常で,実用に耐えると判断しています。

 画像も十分にシャープですし,素晴らしいと思います。ゴミの影響はほとんどないと思います。無理にバラさなくて良かった。

 そして,手ぶれがかなり目立ちます。一眼レフなら1/30秒でもなんとかなるのに,このカメラだと1/30秒はアウト,1/60秒でも気を抜いたらアウトです。厳しいです。それに十分に絞り込まないと高画質は得られず,F5.6位だと眠いんですね。35mmの一眼レフとは,考え方を変えないといけないようです。

 ついでに言うと,FOMAPAN200に,大きなごま粒のような黒い粒子が一面に広がってしまっていて,6x9ならではの高精細さを感じたり,階調の豊かさに感激したりという事はなく,ちょっと肩すかしのような感じがしています。

 同じような印象は同時に同じフィルムで撮ったミノルタオートコードにもあって,現像液の疲労なのか,フィルムのロット不良なのか,あるいは現像ミスに起因する物なのか,ちょっと考えているところです。

 FOMAPAN200はPETベースでベースが抜けていて,シャープな印象もある,私には好ましい傾向のフィルム故に,20本ほど買い込みました。しかしこうした問題が出てしまうというのはちょっと想定外で,無駄になったらいやだなあと思っているところです。

 そんなわけで,とうとう6x9に手を出しました。滅多に使わないかも知れません。しかし,ここぞというところで,わずか8枚を撮りきることのスリリングさを,堪能したいと思っています。

 引き延ばすことなく,べた焼きで名刺くらいの写真が出来上がる世界。私を含む多くの人が感じている一瞬を切り取るという写真の世界とはまた違った,絵画のように1枚を丁寧に仕上げる写真の世界を知った事は,とてもうれしいことだったと思います。

 

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