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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

28mm頂上決戦

 Zマウントデビューの私は,レンズがない,という窮屈さを,大昔に味わった懐かしさと共にちょっと心地よく味わっているのですが,Zマウントはフランジバックが特に短く,マウントアダプターで使用可能になるレンズが理屈上は最も多くなるはずです。

 ということで,Eマウントの人がレンズ遊びを楽しんでいるのをFマウントの私は羨ましく思っていたのですが,いざZマウントを使うようになって直面したのが,似たような焦点距離のレンズをどうやって使い分けようかという悩ましい問題です。

 私は28mmが好きなので28mmはいろいろあるのですが,DXフォーマットにとって28mmは35mm換算で42mmとこれまた大好物な画角です。「この一本」を探し当てたいと思うのは,無理からぬことです。

 そこで,とりあえず28mmに限って撮り比べを行って,常用レンズを探り当てることにしました。それにしても,よくもこれだけ個性が出てくるもんだなと思います。

 なお作例は自宅の窓から撮影した風景なのですが,そのまま掲載できない事情もあり,中央部のピントを合わせた周辺を等倍で切り取りました。コメントはこの作例についてではなく全体的な印象を書いたものである事をご承知おき下さい。


・NIKKOR Z 28mm/2.8SE

 まずはキットレンズでいきましょう,最新の設計でZマウント,Zfcのために生まれてきたレンズですから,これをまずは基準におきましょう。

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 作例はF4まで絞り,中央部を切り出しています。

 印象としては中庸のコントラスト,やや線の太さがあります。しっかり色も乗っていますし,しゃきっとしていますので決して眠いわけではありませんが,少々緩い感じがするレンズです。

 暗部も潰れずボケもうるさくありません。情報量も豊富で,中央部の立体感はもちろん,そこからの破綻もなく滑らかにボケていくあたり,素晴らしいバランスです。

 よく言えば優しい感じ,悪く言えばつまらない画像といえますが,絞りによる画質の変化が少なく,開放から余裕で仕事をこなすあたり,緩さというより,本当は出来る子が手抜きして涼しい顔をしている感じさえします。


・7Artisans 28mm F1.4 ASPH

 ライカMマウント用のレンズで,本家Summilux-M 28 mm f/1.4 ASPH.の十分の一のお値段で手に入る高級レンズです。

 だって,中華製レンズで6万円を越えるお値段ですからね,私だってなんでこんなレンズを買ったのか,よく思い出せません。

 プアマンズズミルクスといわれながら,似ているのはスペックと外形くらいのもので,レンズ構成も性能も全然違います。MTFは本家に勝るとも劣らないですが,もはや100万円のレンズにMTFがどうのという話はナンセンスで,どんな画質であってもそれは「ライカで100万円の画質」なのです。

 なにを言っているのかわからなくなってきましたが,Artisans 28mm F1.4 ASPHは28mmでF1.4という明るいレンズであり,しかも開放から使えてしまう高性能レンズです。これをZfcに使ってみましょう。

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 作例はF2.8まで絞っています。

 開放からキレのある画像ですが,F2.8まで絞ると無理がなくなり,F4あたりでほぼ完全です。あらゆる収差が押さえ込まれてきます。

 そして線画のような線の細さが特徴的です。しかしコントラストは低く,黒が浮き気味です。同じ露出でもハイキー気味で写りますが,それでもしっかり線が飛んでしまわず,繊細な描写は残ります。

 色のりはやや薄く,淡泊な味わい。繊細ですが滑らかという感じはしませんし,かといってカリッとした硬質な感じもありません。なかなか立体感もあるし情報量も多いあたり,モダンなレンズだなあと思います。

 ですが,それ以前の問題として,なんといっても寄れません。広角の大口径レンズで寄れないってねぇ・・・うーん,どうしましょうかね・・・


・ColorSkopar 28mm/F3.5

 広角レンズは,レンズをフィルム面に近づけることで実現されてきた歴史がありました。しかしミラーボックスのせいでバックフォーカスに強い制限を受ける一眼レフの時代になってから,新しいレンズ構成と収差の補正が確立して,現在のような高性能レンズの時代になっています。

 しかし,ミラーレスの時代になり,またもレンズと撮像面が近づくことになり,過去のレンズを楽しめるようになってきました。

 特殊な硝子も非球面も使わず,コーティングをふんだんに使って枚数を増やすこともしないクラシックな設計の広角レンズは,それはそれで味わい深いものがあります。

 このColorSkopar 28mm/F3.5もそうしたレンズで,これまではレンジファインダーのCLEでしか私は使えなかったのですが,Zfcでは使うことができます。ワクワクしますね。

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 印象ですが,コントラストは強めで陰影がはっきりしているのと,解像感もあります。明るさを欲張っていないので全体に良くまとまっていますが。立体感はやや薄く,写実的な印象です。

 このレンズは小さく軽く,クラシックなたたずまいが格好いいレンズです。Zfcにもよく似合いますし,パンフォーカスでバシバシ撮影するのも楽しいレンズです。

 無理のない設計で安心して使える一本ですが,なにせ開放でF3.5で,F5.6くらいまで絞って使うことが多いので,それだったら他でもいいんじゃないかと思わなくもありません。(作例はF5.6まで絞っています)

・SMC PENTAX FA31mm F1.8AL Limited

 さあ,評判の良い銘玉が来ました。 FA31mmF1.8です。このレンズ,悪く言う人が誰もいないんです。姉妹であるFA43mmは私も大好きなのですが,FA77mmは気に入らずに売ってしまいましたし,それほどいうなら試してみるかと2週間ほど前にようやく買ったという感じで,早速Zfcで試してみました。

 で,その印象ですが,私の中では今ひとつ。性能も悪く,使い方が難しいという印象ですが,これを無理に使い込む必要などなく,もっといいレンズがあるじゃないかという冷めた感想しかありません。

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 まず目に付くのは,ピントが外れたところの画像の流れです。もやっと雲がかかったようなボケも厳しいし,二線ボケもあってうるさいです。しかも色ズレも派手に出ていて,これはじゃじゃ馬じゃないですか。

 かといって中央部のピントが来ている部分がすばらしいかといえばそんなこともなく,解像感はなく,コントラストも低め。立体感は感じられませんし,明部は飛んでしまっていて,昔のレンズの描写そのままです。色も濃厚というわけではありませんしねえ。

 作例ではF2.8まで絞っていますが,左下の木の幹にもやがかかっていて,かつ流れています。中央部の切り出しでこのざまですが,周辺部はもっとひどいです。これ,もしかして個体不良?

 もっとも,FAリミテッドレンズは,収差をわざわざ残して撮影結果を重視する設計思想ですので,この画像が好ましいと思う人に取っては唯一無二なんだろうと思います。しかし,私の場合,このなんとも面倒くさい画像の印象が悪く,使おうという気も起きません。FA43mmはあんなにお気に入りなのになあ。


・シグマ17-50mm F2.8 EX DC OS HSM

APS-C専用の標準ズームで,F2.8遠しなのに2万円ほどで買えたという,実に財布に優しいレンズです。しかも手ぶれ補正まで入っていて,これで画質がいまいちでも誰も怒らないだろうというお買い得なレンズです。

 しかしその実,画質も素晴らしく,近年のシグマの個性である高コントラスト,高解像度,淡色系,というキレキレの画像をきちんと作ってくれます。

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 F4まで絞った作例を見てもおわかりと思いますが,一連の撮影結果のなかで,おそらくもっとも高画質と言っていいんじゃないでしょうか。ボケもうるさくなく,滲みももやもかかっておらず,画像の流れもありませんし,解像感も高く,高コントラストで切れもすごいです。

 陰影が強すぎて立体感は控えめではありますが,これはこれでシグマの個性です。木のような生き物でさえ人工物のようなソリッドな感じで撮影出来るのは,この安いレンズでも同じです。

 個人的にはこのレンズの性能に目を見張るものがあり,FTZとの組み合わせでも持ち歩きできるギリギリの大きさという事で,常用レンズにするつもりでしたが,冷静に考えて,これを使うならZfcの個性が死ぬなあと,考えなおしています。

 これは28mm相当ですが,望遠側の50mm(75mm相当)も素晴らしく,ズーム全域で全く躊躇なく使っていけるという懐の深さもあります。シグマはすごいですね,本当に。


・Ai Nikkor 28mmF2.8S

 さあ,ニコンの新旧対決です。「寄れる広角」として名高いAi28mmF2.8Sです。

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 作例はF4まで絞っていますが,高コントラストで画像も流れておらず,ボケも自然で立体感もあります。黒の沈みがやや残念ですが,しゃきっとした画像がなかなかいいですね。

 ただ,やっぱり時代的に解像感が今ひとつ。それがまたこのレンズらしさでもあるのですが,今のところ積極的に使おうという感じはしません。


・SMC Takumar 28mm F3.5

 最後は私にとって最も重要な28mmである,SMC Takumar28mmF3.5です。レトロフォーカスの黎明期に誕生したF3.5世代のレンズで,今回のレンズの中では最長老です。1971年生まれと言いますから,50歳ですか・・・

 この時代のレンズとしては驚異的な解像感とコントラストを誇り,良く写るレンズとして知られていますが,やっぱりこの時代のレンズらしく逆光に弱く,フレアも出やすいので万能という感じではありません。

 しかし,何よりこのレンズが素晴らしいのはそのデザインとたたずまいです。49mmのフィルター径に標準レンズかと思うほどの短い全長を,クラシックレンズらしいデザインでまとめていますが,これに純正の角形フードを組み合わせてやれば,これがまたストイックな感じで実に格好が良いのです。

 もちろん当時の代表機種であるSPでも格好いいですが,少し高さのあるESやES2ならさらによく,自慢したくてウズウズします。

 私にとっては28mmでもっとも好きなレンズなのですが,作例はF5.6まで絞っています。

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 写りは50年前のレンズとは思えないほどよくまとまっていて,FA31mmの方がよっぽど破綻していますよね。色ズレは結構出ていますが,シャキッと気持ちよく写っています。解像感は今ひとつですが立体感もありますし,コントラストが高いことが硬質な印象を与えます。

 暗部の処理はちょっと乱暴な印象で,情報量も少なめですが,そもそも私が28mmで欲しい結果はこれですので,やっぱりこれが一番なんだなあと思った次第です。

 私は確か,純正フードの付いた程度の良い個体を5000円ほどで買ったのですが,今でも十分使える頼もしい相棒です。


 とまあ,こんな感じでした。今回は絞りを含めた露出を統一しておらず,私が実際に使うであろう状況を再現して比較してみたのですが,やはり新しいレンズはさすがで情報量の多さには舌を巻きます。

 どのレンズも個性がしっかりしていて好印象なのですが,期待が大きかったこともあってFA31mmのだめっぷりには落胆しました。どの方もこのレンズを褒めていますが,その褒め方が手放しに近く,こういう被写体には向いているとか,そういう褒め方をしていないんです。

 Zfcに取り付けてみると,あまり格好が良くありません。フォーカスも合わせにくいですし,35mm換算で47mmくらいですから,まんま標準レンズです。画角的にも面白味が少ないので,どうやって使うか難しいなあと思います。

 さて結論。無難なのは純正。ぱーっと明るい写真を撮りたいときは7Artisans,便利なくせに画質がいいのはシグマの17-50mmです。結局,ハンドリングと利便性を天秤にかけて選ぶというつまらないオチになってしまいましたが,Zfcは手に取った感じが良いカメラなので,レンズ探しの旅はまだまだ続きそうな気配です。

 

D850を修理に出す

 先日の土曜日は,娘の学校の運動会でした。

 コロナ禍が落ち着きを見せており,なにかと窮屈な思いを強いた子どもたちが,のびのび運動をやってくれる様子を見るのは,親として胸に迫るものがあります。それがたとえサブセットであって,徒競走とダンスの2種目だけで,自分の学年以外を見学できないものであったとしても,です。

 私は数日前に久々に腰を痛めて苦しんでいましたが,そんなことは言ってられません。D850に70-200mmF2.8Eを首から提げて出動です。

 相変わらずこの組み合わせは最強で,ファインダーを覗き込んだ段階で良い写真が撮れそうな気がします。

 とまあ,気分を高めていったのですが,AFモードを切り替えていると,ふとファインダーの表示がおかしいことに気が付きました。よく見てみると,ISO12800がISO128U0になっているではありませんか。

 下二桁目の数字のセグメントに欠けが生じています。あらー。

 別になくても困りませんが,ファインダーこそが一眼レフの存在意義です。ここに欠陥があるというのは,もう致命的と言わざるを得ません。

 発売から(そして購入から)わずか4年,持ち出すこともほとんどなく,ラフに扱う事もなく,大事に使ってきましたが,やっぱり壊れるときは壊れるものです。

 早速修理の依頼と見積もりです。概算で3万円・・・今日集荷ということですので,そこから3週間ほど使えない期間が出るでしょう。

 Zfcを買ったことで,D850の良さを見直していたときだけに,残念です。

Zfc,その後

Zfcを入手して10日ほどたちました。ちょっとずつですが自分の中でZfcというカメラが形を持つようになってきました。

(1)グリップについての考察

 1980年代にはなぜか指かけ程度のグリップが流行りました。代表的なものはニコンF3ですし,キヤノンA-1やPentaxのSuperAなどもそうで,70年代から続くクラシカルなスタイルに,このちょっとしたグリップがあるだけでぐっとモダンに見えたものです。

 Zfcではクラシカルなスタイルをモチーフにすることがその価値を体現していますが,控えめなグリップという1980年代のアイテムを付け加えることで別のテイストを楽しめるように,純正で専用のオプションが用意されています。

 ただこのオプション,特に機能的になにもないのに,2万円ちかくするというとても高価なものです。Zfcのせっかくの小ささをこんなものでスポイルするのもおかしいですし,私は最初から買うつもりがありませんでした。

 ただ,実際に使ってみると,欲しいなと思うこともあります。撮影時というよりは,大きめのレンズを付けた時の持ち運びで,ボディをつまむよりも引っかける方がはるかに安全で楽だということを,最近のニコンの一眼レフで知ってしまったからです。

 それと,底部を保護する目的でも欲しいアイテムです。

 でもそれだけで2万円はないなと思っていたら,ちょうどいいものが見つかりました。SmallRigというメーカーの製品ですが,なかなかよく考えられています。

 アルカスイス互換,縦位置にも三脚穴があり,左下にはアクセサリシューが用意されています。これだけでも欲張りな仕様です。

 グリップ部は硬質のゴムで,高級感はありませんが滑りにくく持ちやすいです。もちろん電池フタはそのままで開閉可能。プレートのグリップ側にはストラップホールも開いているので,なんとZfcを縦にぶら下げることも出来ます。うーん。


 底部は8mmほどかさ上げされるのですが,これがまたちょうど良い感じです。フードをつけたレンズとだと高さが合いますし,FTZでも高さの違いは1mmか2mmほどで違和感がなくなります。

 これでお値段は5000円。これなら失敗しても損した気分になりにくいでしょう。

 ということで,早速買ってみたのですが,予想以上によいものでした。

 加工精度も良く,グラグラもしませんしはみ出しもありません。指にかかるところがザラザラしたり引っかかったりすることもありません。塗装は安っぽい感じがしますが,まあそのくらいはいいでしょう。

 ゴムも指にうまく引っかかるもので,これなら安全です。

 取り付けた結果,重くなったり大きくなったりして持ちにくくなったりはしないかと心配していましたが,少なくとも私には全く問題になりませんでした。もともと軽いですし,厚みもギリギリのいい所で調整されていますし,グリップの張り出しもいい感じです。

 デザインも破綻がなく,高級感はありませんが80年代テイストをよく再現していますし,Zfcとの相性もよいです。実用性を高めながらこれでZfcがまた違った味わいになるので,大したものだと感心しました。

 この手のオプションはなんだかんだで使いものにならず,結局純正を買い直すことになるか,あるいは使わないままになってしまうものです。しかし今回のSmallRigのグリップは「よくわかってるなあ」と感心しました。

 まだ直販サイトか楽天やYahooの直営店でしか買えないようですが,この出来ならそのうちamazonなんかでも買えるようになるでしょう。Zfcならこれお奨めです。


(2)画質についての考察

 Zfcやその母体となったZ50の画質を絶賛する記事が多いので私もそう思って使っていたのですが,それ程でもないなあ,というのが私の実感です。

 普段使いのD850と比べてしまうと見劣りするのは仕方がないとしても,RAWからの編集で結構底にぶつかってしまったり,調整の範囲が狭くて,窮屈な感じがします。

 一番の問題はやはり感度です。私の基準では,D850はISO6400までは常用可能,ISO12800では工夫次第で利用可能という感じなのですが,Zfcはこれより1段ほど低いのが私の感触です。

 ISO6400ではもうノイズも色も崩れてしまいますし,ISO12800は話にならないレベルです。

 また,RAWで露光量を増やすと,暗部が浮かんできません。センサのダイナミックレンジの狭さが気になった瞬間です。

 メリハリのある画像ではありますが,やはり情報量は少ないですし,ちょっといじれば破綻するので,D850のような安心感はありません。

 とはいえ,レンズの個性を楽しめるくらいのポテンシャルは持っていますが,それもD850の力を知っていると,物足りなくなってしまいます。


(3)操作系についての考察

 やはりISO感度の設定がややこしいです。ISOツマミがあるのは別に良いのですが,ロックがあるので面倒です。だからついつい自動で運用するのですが,なかなか高感度側に切り替わってくれないので,ブレが連発して馴染めません。

 それから,コマンドダイヤルの問題です。絞りがコマンドダイヤルなのはDシリーズと同じなのですが,シャッター速度が背面のコマンドダイヤルで調整出来ないのは困ったものです。確かに軍艦部にシャッタースピードダイヤルがありますが,やはりDシリーズを使い慣れた人からいうと,この位置にシャッタースピードダイヤルがあっていいのは,銀塩のカメラだけだなあと思いました。


(4)アイカップについての考察

 そのうち出ると思いますが,目を完全に覆うアイカップが欲しいです。DK22やNEPS1を使えば丸窓にアイカップになると思ったのですが,近接センサが誤動作するので,顔を離してもファインダーが消えてくれなくなりました。

 仕方がないので,純正のアイピースからゴム製の丸い枠を切り取ってしまい,F3用のアイカップであるDK-2を瞬間接着剤で貼り付けました。

 DK-2はDK-19の旧製品なので,同じ22mm径のアイカップです。しかしわずかにDK-2の方が径が大きいようで,DK-19では近接センサが誤動作するのに,DK-2では誤動作しないのです。

 DK-2はすでに入手が難しいのですが,もし入手出来たらお試し下さい。


(5)AFの設定についての考察

 AUTOモードにするとオートエリアAFになります。これ,とても便利で人の顔が入ってきたら,さっと顔を認識し露出も1段明るくしてくれるほどです。

 カメラに不慣れた人に使ってもらうとき,例えば子どもなんかが面白がって使いたいと言ったときなど,これにしておけばほとんどの場合台上です。

 しかし,顔以外では一番近いものに合わせるので,なかなか思い通りになってくれません。結局顔認識よりも確実なシングルポイントAFで使うことが増えました。


(6)レンズについての考察

 詳しいことは別の機会にしようと思うのですが,私が手に入れた28mmと40mmのNIKKOR Zは,どれもちょっと甘い感じがします。特に40mmは甘いと言うより緩いという感じさえします。

 FTZでシグマの17-50を使うと,シグマらしい寒色系でカリカリのハイコントラストを楽しめますが,もしかするとZfcというのは,こういう甘さを「よし」とする価値観の人々向けなのかも知れません。

 16-50mmのF2.8通しがあると買うんだけどなあ。


(7)バッテリについての考察

 電池は小さい上にミラーレスの宿命で,あっというまに電池がなくなります。予備の電池も入手困難ということで,Zfcを使い込むにはなかなかハードルが高そうです。

 私は幸いにも一瞬在庫が復活した時に予備の電池が買えましたが,それも5000円以上と安いものではないので,やはり消費電力を優先すると一眼レフになるなあというのが結論です。


(8)D850についての考察

 やっぱりD850はいいです。安心感もありますし,画像にゆとりがあります。センサ由来の情報量の豊かさはRAWからの現像が思い通りになる快感を与えてくれます。

 シャッターも小気味良く撮影意欲を高めてくれますし,レンズの個性をしっかり受け止めてくれますからAF-S70-200mmF2,8Eだって使い心地は最高です。

 Zfcがオモチャだとはいいませんし,これで十分な用途も多いとは思いますが,やはりRAWからいじる人には底が浅く,ゆとりがないのでフラストレーションがたまるのではないかと思います。


(9)Lightroom6で扱いことの考察

 私は未だにlightroom6の買い切り版から移行出来ていないのですが,よく言われているように最新のCameraRAWからレンズとボディのプロファイルを抜き出してやり,DNG ConverterでNEFをDNGに変換してLightroomに食わせれば,ほぼ問題なくこれまでのワークフローで編集から印刷までをこなすことができるとわかりました。

 CameraStandardではカメラ内部の現像とlightroomでの現像で僅かに結果が異なりますが,わずかな差ですしどちらも破綻していないので,実用上は問題ない範囲です。

 気になったのは,Zマウントのレンスでは,レンズプロファイルが埋め込みを使うことで,しかもデフォルトでONになっていることでしょう。私のレンズは28mmと40mmだけですので,補正がなくてもそんなにおかしな画像にならないと思いますが,聞くところでは14-24mmのズームでは補正無しでは話にならないくらいの光学性能なんだとか。

 こういう場合に古いLightroomで正しい補正がかかるのかどうか,心配です。


 そんなわけで,ストラップは細身の皮のもの(PentaxのQ-S1用というのは泣かせます)を装着し,かなり体に馴染んできました。D850を久々に使うと戸惑うくらいだったのですが,ファインダーの見えやすさも軽快な感じも十分で,スマートフォンからちょっといいカメラを使いたくて買った人なら,感動するんじゃないでしょうか。

 ただ,やっぱり高級機のサブカメラにはちょっとならないかなあと思っています。もちろん,本当のプロはZfcくらいの能力があればちゃんと使いこなすのでしょうし,sRGBのJPEG撮って出しの納品ならこれで問題はなにもないのですが,作り込む素材としてはやっぱり物足りないというのが私の結論です。

 そう,一番大切なことを忘れていました。やっぱり軽いことは正義です。

いうほど悪くないぞ,FTZ

 Zfcは散歩とマウントアダプタ遊びに徹する,と決めたので,AFが使えるレンズが2本あれば十分,あとはMFで遊ぼうと思っていました。

 しかし,Zfcをしばらく使ってみると,やはりというか,使い勝手が最新のカメラで画質も良いということで,もっとAFで使えるレンズが欲しくなりました。

 悲しいのはGタイプのレンズです。絞りが機械連動なので,安いマウントアダプタに取り付けると絞りが最小に固定されてしまいます。

 今さらGタイプもなかろうと思うのですが,私のお気に入りの1つにトキナーのAT-X107DXという10-17mmの魚眼ズームがあり,これをZfcに使えたらと思ったのです。このレンズはDXフォーマットのものですので,Zfcならぴったりですよね。

 いや,中華製のマウントアダプタにも,絞りレバーを持つものもありますから,それで済ませてしまうことを最初は考えていたのです。しかし,シグマの散歩ズーム17-50mmF2.8もありますし,この際ちゃんとFマウントのレンズ資産を活かした方が賢いんじゃないかと思い始めたのです。

 AF-S70-200mmF2.8Eも,14-24mmF2.8Gも,楽しそうでしょ?

 そうなるともうFTZです。そう,あの悪名高きFTZです。

 FTZはZ6/Z7と同時にリリースされた純正マウントアダプタで,Fマウントレンズの大半を利用可能にしてくれます。とはいえあくまで利用可能という話であって,AF-Sレンズはほぼ問題ないのですが,モーターを内蔵しないAFレンズはAFが動きません。

 結局はAI連動とAFカプラーがないFマウントボディと同じになるわけですが,ミラーレスは絞り込み測光ですので,AI連動である必要が最初からなかったりします。

 FTZの最大の問題は,なんといってもあの不細工な下顎です。大きく下に飛び出した顎は大きく,三脚穴まで開いている始末。FマウントとZマウントとのフランジバックの差を埋めるために妙に厚みがあり,しかも実売3万円と高価です。

 これはあれです,20万円以上のレンズを持っている人向けに,Zマウントのレンズが揃うまでの間に合わせとして用意したものです。60年の歴史を誇るFマウントを継承するためでも,手持ちのMFレンズを楽しむためでもありません。

 あの不細工な下顎は絞りレバーを動かすために膨らんだものなのですが,その絞りレバーの駆動は絞りリングを持たず,かつ電磁絞りを持たないGタイプのレンズを救済するためだけに必となっているわけで,これに無関係な人にとっては,FTZの不細工さと高いお値段に付き合わされたものといえると思います。

 で,うちの状況なんですが,シグマの17-50mmF2.8はGタイプです。AT-X107DXもそうですね。AF-S14-24mmF2.8もそうですし,AF-S60mmF2.8マイクロもそうです。

 ついでにいうとEタイプなら24-70mmF2.8もそうですし,70-200mmF2,8も,200-500mmF5.6もそうなので,実は結構FTZで遊べるレンズが増えてくれそうです。

 下顎のないスマートな新しいFTZ2が計画されていると噂されていますが,これはどう考えてもEレンズ専用だと思いますし,Zfcを楽しむためにも,1つ買っておくことにしました。

 しかしですね,一時2万円を割っていた中古価格がここへ来て値上がりしています。新品の実売が3万円なのに,中古が28000円ってどうなっているんでしょね。

 私はギリギリ納得出来る25000円のものを探して買いましたが,それでもちょっと高いかなあと思っていますが,こういうのは待っていても仕方がないのでさっさと買いましょう。

 届いたFTZは某店Sランク品だけあって程度が良く,気持ちが良いです。早速いろいろ試してみましょう。

 まずシグマの17-50mmF2,8。AFも問題なし,手ぶれ補正も効きますので使い勝手は抜群です。これがZfcの機能と画質で楽しめるんですから,面白いですよね。
 最大の問題は大きく重いことで,Fマウントの24-70mmF2.8をつけているのかと思うほどの煩わしさです。せっかくのお手軽ズームが本気ズームになってしまいます。

 次にAT-X107DX。これはおもろいですよ。Zfcで魚眼を試している人ってまだまだ少ないと思うのですが,ミラーレスのファインダーで見た魚眼というのはなかなか不思議な景色です。ちゃんと撮影も出来ますので十分楽しめそうです。
 問題はAFが動かないことです。とはいえ,もともと魚眼でAFの必要性って低いですし,フォーカスエイド(ZfcはAFレンズをMFで使う時だけフォーカスエイドが発動します)も動きますので,とりあえず我慢しましょう。

 お次はAF-S70-200mmF2.8Eです。さすがに素晴らしい画質で,強力な手ぶれ補正と高速なAFをZfcでも楽しめるのはすごいことです。それにレンズに備わったFnボタンもちゃんと動作し,設定で機能も変更可能です。
 ついでにいうとDX機であるZfcでは105-300mm相当になりますので,望遠側にはより有利になってくれます。
最大の問題はやっぱり大きさと重さで,もはやボディがオマケレベルになりそうなほど,レンズが大きいです。重いし持ちにくいし,それに不格好(賛否はあるでしょうが,私にはニコンFに300mmF2.8をつけたような美しさとは対極にあると思います)で,正直これを持ち出すならD850だよなと思いました。

 続いてMFレンズで,AI-P45mmF2.8です。CPU内蔵のMFレンズとしては唯一の存在なのですが,FTZを使えばコマンドダイヤルで絞りを動かせますし,フォーカスエリアのマークが合焦で緑になるというフォーカスエイド(完全なフォーカスエイドは左下に前ピンと後ピンの指標が出るのですが,このケースではそれが出ません)まで使えます。これも想像以上に使い勝手がいいです。でもね,実はこのレンズって私はそんなに好きではないんですよ。
 問題はやっぱりその不細工さ。フジツボフードを備えたこのレンズでは,大きなマウントから先細りになりますので,長さに加えて見た目の不細工さも深刻レベルです。

 そして最後にAI35mmF2.8Sです。これも問題なく撮影出来ますが,開放F値を設定する必要がありますし,でも設定してもなにもいいことがないというよくわからない仕様です。フォーカスエイドも使えませんし,絞りもコマンドダイヤルで動かせませんので,FTZはただの筒として機能します。
 問題はあえてなにもなし。ただの筒です。FTZを使う理由もないほどです。

 とまあ,AiAFを試していませんが,きっとAI-Pと同じ動きでしょう。俗にCPU内蔵レンズといわれているならコマンドダイヤルで絞りを動かせ,フォーカスエイドも使えるということでしょう。

 そして,FTZそのものにもぜひ触れておきたいです。FTZの下顎,そんなに悪くはありません。確かに美しくないのですが,手に持ってみると,ちょうど左手の手のひらにのっかる感じで,悪くありません。三脚座にもなるということを考えると,これはこれでありなんじゃないでしょうか。

 Zfcとのバランスも悪くありません。Zfcが忠実にかつてのFMシリーズのシルエットをなぞっているからかも知れないですが,こういうオプションも不思議と不細工に見えないです。

 床に置くと安定しないことも指摘されていますが,実のところFマウントのレンズには大口径のものが多く,レンズとFTZとで床に安定して置けてしまいますので,これもあまり問題になりません。

 ですので,MFレンズは中華製の安いシンプルなマウントアダプタを使い,GタイプとEタイプの現役バリバリのレンズは我慢せずFTZを使うと,Zfcでも満足に使えそうです。

 ということで,なにかと文句の出るFTZですが,私としては高価であること以外に欠点は見当たらず,GとEレンズとの組み合わせでは我慢を強いられることがありませんでした。このあたりはさすがニコンという感じで,文句を言っている人はFTZを使った事がない人じゃないかと思います。

 価格としては半額,せめて2万円までが妥当かなと思いますし,ニコンはこれで儲けてはいけないとも思います。これまで支えてくれたFマウントレンズとFマウントのユーザーに,Zマウントへのクーポン券を出すような気持ちで売って欲しかったと思います。期間限定,条件付きの半額キャンペーンとかではなく,です。

3ヶ月遅れで届いたZfc

6月末,不調が伝えられるニコンが,まさかのレトロ調ミラーレスを発表,Zfc(Zとfcの間にはスペースが入るのが正しいですが,間延びするのでここではZfcと書きます)と命名されたそのカメラは,往年のFM3Aのような外観を持つ,小型で安価なカメラでした。

 中身はZ50という,Zマウント機にしてAPS-Cというエントリー向けのミラーレスなのですが,Zシリーズ全般に今ひとつ存在感が乏しく,使ったことのある人からの評価は高いものの,話題に上ることの少ないカメラだったと思います。

 ニコンはFマウントとの決別を急激に進めている所であり,ZマウントにもFマウントにも元気がない状況には,期待よりも不安の方が大きいファンも多いのではないかと思います。私もその一人です。

 そこへ突然発表になったのが,Zfcです。ニコンは銀塩時代からプロ用モデルを頂点にアマチュアや写真を学ぶ人たち向けにも良心的なモデルを用意して来ましたが,ZfcがモチーフにしたFM3Aというモデルも,マニュアルで操作するカメラの定番として長く親しまれたものです。

 そのシルエットは1977年のFMから変わらず,持ちやすさと操作性を両立した大変息の長いカメラらしいデザインだと思います。

 それを元に登場するZfc,私は即予約をしました。

 最新のカメラには,機能と操作性とのバランスが考え尽くされており,古いデザインや操作性で新しい機能を実装するのはそもそも無理があると私は思うのですが,ダイアル中心で手にすっぽりと収まる銀塩時代のカメラには筆舌に尽くしがたい心地よさもあります。

 ただこれは,その操作性に見合った程度の機能しかないシンプルさに心地よさを感じているだけかも知れず,その点で私は最新のカメラと昔の銀塩のカメラとは全く別のものと割り切って使っていました。

 ですから,Dfなんてカメラが出た時には,D4譲りの画質という点以外に興味を持たなかったのです。しかしZfcは,ベースがZ50と割り切ったものになっている上,ミラーレスの特徴である「薄型に出来る」ことを最大限デザインの実現に利用して,本当に往年の銀塩の一眼レフのようなたたずまいを見せています。

 これは,銀塩の使い勝手と最新のZマウント機の画質を手に入れるチャンスではないか。

 そう考えて発表当日に28mmキットを,Zマウント機のデビューに向けて予約したのでした。とうとうZマウントデビューです。

 Zfcには3つのセットが用意されました,本体のみ,16-50mmズームレンズキット,そして外観デザインをAi-Nikkor風にした28mmF2.8レンズとのキットです。

 レンズの評判の良さと使い勝手の良さからいえば,ズームキットです。しかしその見た目はあまりに不格好で,Zfcのしっかりしたレトロデザインに全然マッチしません。

 なら28mmキットだということになるのですが,値段が微妙にあいません。レンズ単品だと16-50mmが実売で40700円,一方の28mmF2.8は実売で38500円と2200円ほど28mmレンズの方が安いです。

 しかしZfcのキットだと価格が逆転し,16-50付きが149600円,28mm付きが159500円と28mmの方が1万円も高いのです。何かの間違いかと思いましたがそうでもないし,なにか付属品に違いがあるのかとも思いましたが,そういうことでもなさそうです。

 推測するに,16-50mmの方が原価が安い,28mmは結構高いということではないかと思います。Zfc本体だけだと129800円ということですので,差額はそれぞれ2万円と3万円という事になり,16-50mmが破格であることがわかります。

 てなわけで,お得なのは16-50mmのキットであることは分かっていたのですが,このレンズはそんなに使うことがないだろう,使わないならいかにお得といえども無駄な投資だと考えて,使用頻度が高い28mmのキットを選んだのです。

 しかし,これが悲劇の始まりでした。

 発売日がすべて7月23日に決定し,KマウントやらMマウントやらのマウントアダプター,LCDフィルムなどを用意して発売を待ちわびていたのですが,直前になって28mmのキットの発売延期が発表,発売日未定となりました。

 本体と16-50mmのキットは予定通り7月23日です。予約した商品の違いで,くっきり明暗が分かれてしまいました。

 まあ,それでも1ヶ月くらいの遅れだろうと思っていたのですが甘かった。ようやく発表になった新しい発売日は,なんと10月2日です。予約から実に3ヶ月も待たされることになったのでした。

 いやね,zfcすべてが遅れるというならそれは納得するんですよ。だけど遅れたのは28mmのキットだけです。それなら16-50mmのキットを買って楽しみ,あとで28mmが出たら(このころ10月に発売予定とありました)買うというのが,費用面でも時間面でも最適解だったことになりますよね。しかしその最適解にたどり着くには運の要素しかないのです。

 いろいろ事情があったのだろうと思いますが,予約した人は28mmが欲しくて予約したのかも知れませんし,とりあえず本体が欲しくて予約したのかも知れません。3ヶ月も遅延するのであれば,真っ先に予約した人に対しては少なくとも,本体だけの予約にするかどうかの意思確認を行ったり,先に本体だけ特別に送って28mmレンズは準備ができ次第発送するとか,そういう「後始末」を行って欲しいと強く思いました。

 ニコンからも販売店からもなんにアナウンスもなく,果たして10月2日に「予定通り」届いたZfc,私は「遅れてしまったすみません」の紙ペラ1枚くらいは入っているものと思っていたのですが,それもなし。

 ニコンと,販売店の非誠実さを強く感じました。

 まさに,しれっと3ヶ月遅れで商品を黙って送りつけ,知らん顔。
ゴメンねの一言もなし。こういう大人になるなと,私は娘に言い聞かせました。

 そして,いの一番に予約した我々優良顧客は,完全になめられているなと。
次に潰れるのは,きっとニコンでしょう。

 ということで,ここまではグチです。本題のZfcのファーストインプレッションです。発売から3ヶ月経過していますので今さらレビューも珍しくないと思いますが,これが書かずにいられないくらい,どうもよろしくありません。

 10月3日の日曜日の午後,汗ばむような秋晴れのなか,Zfcに28mmレンズの組み合わせで娘と近所の散歩を1時間ほどしました。


・大きさ,重さ

 大きさはカメラのベストサイズであるFM系が少し分厚くなったくらいの感じですので,手に馴染み持ちやすく,軽快です。重さはびっくりするほど軽く,これも良好なハンドリングです。「軽いは正義」と何度も口走ってしまいました。

 これまで重いカメラを気に入って使っていて,軽いカメラには今ひとつ信用をおいていなかったのですが,Zfcを使ってみてその考え方が変わりそうです。


・デザインと質感

 長年愛されたFM系のデザインを踏襲したのですから,悪いはずはありません。いかにもカメラ然としたたたずまいは非常に格好良く,若い人が珍しがるのもわかりますし,私のような年寄りにも懐かしさと使い勝手の良さを提供するでしょう。

 銀塩のカメラよりも本体に厚みがありますが,そこはDfと違ってベースがミラーレスのZマウント機で,大変良くまとまっています。

 デザイン上の問題でいえば,Zマウントのマウント径が大きすぎて,小振りのZfcには似合わないということ,そして左肩のISOダイヤルが大きく目立ちすぎてしまうこと,でしょうか。

 ISOダイアルはロックがかかることもあり,そんなに触りません。なにこんなにいい場所に,こんなに大きく配置されているので,私にはどうも白々しさのようなものがあり,しっくり来ません。

 ただ,FM系の操作系で最新のデジタルミラーレスカメラが扱えることのうれしさと楽しさは想像以上のものがありました。

 質感は良くありません。カメラとしてどうなのよ,10万円を越える製品としてどうなのよ,と思うくらい,よくありません。

 ダイヤルはアルミの削り出しだそうで,お金もかかっており,精緻な感じがします。しかし,軍艦部やトップカバーはプラスチックに銀色の塗装です。いや,カバーがプラスチックなのは昔のカメラでも良くあった(CLEなんかそうですよ)ので気にしませんが,塗装と表面処理がどうも安っぽくていけません。銀色は艶がありすぎてテカテカしていて,せっかくのしっとりと沈んだ輝きのダイヤルと差があります。

 ボトムカバーもプラスチックですが,これはもう数千円クラスのコンパクトカメラの安っぽさです。塗装はテカテカで下品,電池のフタはパカパカと落ち着きがありません。エプロン部の疑皮が良い感じなのに,残念です。これは将来出るかもしれないブラックのZfcだと,格好いいかも知れません。

 スイッチやボタンの質感は良いのですが,ISOダイヤルとシャッタースピードダイヤルがグラグラしていて,もはやFMシリーズに対する冒涜だと思わせるレベルです。特にISOダイヤルがグニャグニャで,遊びが大きいのではなく,回転中心の軸が左右に動きます。

 kakaku.comを見ていると,露出補正ダイヤルがグラグラしていて,数日後に取れたので初期不良交換になったという書き込みがありました。ISOダイヤルのグラグラがこれほどひどいというのは私の個体の不良かも知れませんが,確かめようもないので今後お店で触ってこようと思います。


・画質

 画質は文句ありません。さすがZマウント機です。Zシリーズはその画質の高さで,使った人は皆褒めるのですが,それはZ50も同じでした。Z50そのままであるZfcの画質が悪いはずはなく,実際その写りの良さは,写真が上手くなったんじゃないかと勘違いするほどです。

 レンズの性能も良く,切れ味とボケ味の両立を高い次元で行っていることに感心しました。

 画質とはちょっと違う論点なのですが,画素数は2000万画素と少なめで,しかしなんの不満もありません。これ以上多くても意味はないように思いますし,そもそもAPS-Cというフォーマットに求めるものを考えると,もうこれで十分です。

 そのAPS-Cですが,手持ちのレンズの個性を楽しめないという不満が甦ったこと以外は,別にこれでいいんじゃないかという感じです。フルサイズで楽しめたゆとりであるとか,レンズの個性を生かせる面白さはありませんが,それでもZシリーズは高画質なので,FA43mmF1.9Ltdの優しい眼差しや7Artisans 28mm F1.4 ASPHの開放からのキレの良さも,ちゃんと感じられます。

 広角の28mmを好む私としては,APS-Cで28mm相当になる18mmのF2.8クラスが欲しいのですが,16-50mmのF2.8ズームがあれば,少々大きくても買うだろうと思います。

 サードパーティがZマウントにはないので,ニコンがDXフォーマットをどのくらい真面目に考えてくれるかが,Zfcの生き死にを決める事になるでしょう。


・レンズ

 3ヶ月つの延期の元凶となった(と思われる)29mmF2.8は,見た目がAi-S50mmF1.2みたいな大柄なのに,前玉が小さいので,あまり格好良くありません。写りは今どきのレンズらしく,開放からシャキッと写りますし,絞ればさらに良くなり,ボケも綺麗で自然なので,良くまとまった優秀なレンズだなと思います。

 しかし,悪くいえば無個性で,感激がありません。Zfcの一本目としては最適化もしれませんが,それは16-50mmのズームに任せて,28mmの方はもう少し個性を出して欲しかったと思います。

 そうそう,40mmF2も同時に買ったのですが,こっちは素晴らしいです。60mm相当なので中望遠に片足がかかるのですが,温かみと切れ味を両立して被写体を浮かび上がらせます。デザインがZシリーズ向けなのでZfcには不似合いですが,とりあえず35mm用のねじ込みフードをつければごまかせます。

 価格も安いですが,軽くて小さく,明るくて良い画質なので,これはお奨めです。


・電池寿命

 電池寿命はさすがに短いです。これまで電池寿命でメリットのある一眼レフを使い続けていましたし,Zfcは小さい電池ですので,常時撮像センサを駆動させ続け,長時間ディスプレイを点灯させないといけないミラーレスカメラは,やっぱり電池寿命で随分不利なんだなあと思いました。

 で,これは使い勝手にも関係するのですが,少しでも寿命を延ばそうとした低消費電力化が使い勝手を極端に悪くしている例がありました。

 特に無操作が30秒続くと電源が切れるという仕様です。いいなと思ってファインダーを覗くと真っ暗,シャッター半押しで再起動させてファインダーに像が出てきた時にはもうシャッターチャンスを逃しているという事が,もう何度も何度もありました。これは話になりません。

 せっかくファインダーの見え方は素晴らしく,光学ファインダーと並ぶほどだと思ったのに,消えてしまってはファインダーとしての機能を果たしてくれません。

 オートパワーオフを無効にすると,顔を近づけた時だけファインダーが動き出すので,今はこの設定で使っていますが,常時撮像センサが動いている状態ですので消費電力も大きいはずで,どれくらいの電池寿命なのかを,今度ちゃんと確かめておこうと思います。

 悲しい事は,背面のLCDの方が電気を食わないということです。だとしたら,もうファインダーなんていらんのと違うか,と思ってしまいます。小さい穴を覗き込むのをいかに人間が好むとはいえ,LCDの方が見やすく電気も食わないなら,光学ファインダーを模するためだけに無駄な事をやっていることになるわけで,早晩個の仕組みは使われなくなるかも知れません。


・使い勝手

 使い勝手はおよそ満足からは遠いです。

 まずはレリーズボタンです。なぜ汎用のレリーズケーブルが使えるようにしてくれなかったのかという不満に始まり,半押しまでの遊びが大きく,ストロークも深いですし,全押しの重さも深さも大きくて,せめてここくらいはD850なんかと同じくらいにしても良かったんじゃないでしょうか。

 ISO感度設定はあちこちで不満が噴出しているのであえて書きませんが,自動設定ももっと上手く実装して欲しかったですし,なにが良くないといってMモードでもISO感度が自動設定されてしまうのが最悪です。

 Mモードは,露出計を見ながら最適な絞りとシャッタースピードを選びますが,露出計が変化せずISO感度が動くのは,露出の補正を行うことが出来ないのでMモードそのものが使い物になりません。

 この場合,ISO感度は固定で使わなければなりませんが,その切り替えもメニュー深くにいるので簡単にアクセスできません。マイメニューに登録するのが一番ですが,マイメニューを呼び出すのも一苦労ですので,なかなか届かないというフラストレーションは大きいものがあります。

 メインコマンドダイヤルとサブコマンドダイヤルは便利なのですが,サブコマンドダイヤルの場所が悪く,中指で操作することになります。しかし中指を器用に動かせる人はそんなに多くなく,大変使いにくいです。

 ファインダー像の拡大もわざわざ背面の拡大ボタンを押さないといけないのですが,ファインダーをのぞき込みながら拡大出来るボタンにさっと触れるようになっているべきではないでしょうか。私はFnボタンに割り当ててしまいました。

 AFモードも今ひとつです。瞳AFは優秀で驚きましたが,露出が1段ほど明るくなるのは余計な仕様なのでやめて欲しいです。

 それからMF。AFレンズをMFで使う時にはフォーカスエイドが利用出来ますが,MFレンズを使うとフォーカスエイドが使えません。これは意地悪ですか?

 ところで手ぶれ補正ですが,ボディには入っていません。私は手ぶれを押さえても被写体ブレを押さえることは出来ないと思っているので,手ぶれ補正の必要性をあまり感じていないばかりか,手ぶれ補正があるからと暗いレンズでもいいという考え方に実害出ていると思っているので,Zfcに手ぶれ補正がないことは大した問題と思っていません。

 ただ,超音波によるセンサークリーニングは絶対必要です。特にミラーレスには必要だと思うのですが,Zfcにはこれがありません。これは残念です。

 Zfcに限りませんが,ミラーレス器は常時シャッターが開いています。撮影時にはまずシャッターを閉じて,そこから露光という流れなのですが,つまりいつもセンサが露わになっているのです。

 なので,私としては電源OFF時にはシャッターが閉じる仕組みと,センサクリーニングは必要だと思うのです。

 前者のシャッターが閉じる仕組みは,ゴミの問題もそうですが,レンズ交換時にセンサを傷つけるといった問題を防ぎますし,レンズから入ってくる太陽光線やレーザーによってセンサが焼けてしまうことをも防ぎます。

 ちょっとしたことですし,他社では実際に行われていることなので,特許に引っかからないのであれば,アップデートで実現して欲しい機能です。


・アイカップとファインダー

 ファインダーが丸窓というのは「わかってるなあ」と思わずニヤニヤしてしまうポイントなのですが,これが過去のどの機種にもないような不細工なゴムの縁の丸い枠なのです。

 私が欲しいのは没入感を促進するアイカップです。せめてオプションで用意して欲しいのに,それもありません。

 DK-22にアイピースとアイカップを組み合わせてみましたが,残念ながら近接センサが誤動作するので,常時ファインダーがONになってしまいます。これではさすがに電池がすぐに切れそうです。

 そこで私は純正のアイピースのゴムの縁を切り取り,余っていたDK-2を瞬間接着剤で貼り付けました。一度は簡単に取れてしまったのですが,プライマーを使って接着して今は実用強度です。

 いずれアイカップが純正で出てくることと思いますが,こういうところに手が回っていないのは,以前のニコンにはなかったことだろうと思います。

 そうそう,ファインダーは想像以上の素晴らしい出来です。Z7なんかはこれ以上なんですよね,かなりすごいんじゃないでしょうか。

 このファインダーですが,すっきり見やすく,色も自然ですし,反応速度も上々です。確かに光学ファインダーには劣りますが,もうこれ以上の見やすさは趣味の世界のように思います。

 光学ファインダーのような精緻な感じはなく,やっぱりのぞき穴からテレビを見ているような感覚にはなりますが,気が付いたら夢中で被写体を目が追いかけていますし,光学ファインダーとの違いを意識させられるシーンも少なかったと思います。

 私の場合,撮影結果を反映しない設定にしたので,ミラーレスのファインダーのメリットを1つ潰して使っているのですが,撮影結果を反映すれば必然的に見にくいものになりますから,結局のところファインダーに何を求めるのかという話になるということでしょう。

 ただですね,表示される情報量が多すぎて,出てくるアイコンをすべて見切れません。しかもそのアイコンがなにを示しているのかわかりにくいですし,アイコンが消えていれば,その機能がもともとあったものかどうかもわかりません。


・シャッター音

 個人的には,このキレのないだらしないシャッター音は今ひとつに感じますが,だからといってダメかといえばそうでもなく,やはりカメラを使っているという感覚になり,どんどんシャッターを切るようになってしまうのは,さすがニコンのカメラという感じです。

 ただし,まるでモーターがゆっくりとミラーを上げ下げしているかのような音がするのは良くないと思います。ミラーなどないはずなのにねえ。


・総じて

 大きさと重さは○,デザインは○,画質も○,しかし質感は×,使い勝手も△と,結構がっかりしたカメラでした。
 
 軽いこと,持ちやすいこと,画質も問題なく,お値段も安い。それに今はやりのレトロデザインで,しかも格好だけではないFMシリーズで手に馴染むということで,割り切って使うなら良いカメラだと思います。

 ですが,使っていて思ったのは底の浅さです。設定ってこんだけ?とか,こういう設定って出来ないの?とか,このモードはないの?,選択肢が少ないよねえ,と感じたことがたくさんありました。

 そしてひとしきりZfcを使った後にD850に戻ると,やはりすべてが1つ上のレベルです。カメラが値段相応であることは,昔からかわらないことなのかも知れません。

 使い分けですが,やはりD850は本気のカメラで,Zfcは散歩のカメラです。そうなると16-50mmのズームが欲しくなるわけで,それなら最初からズームキットを買っておけば安くて3ヶ月も待たされずに済んだのにと,結局最初の話に戻ってしまいました。

 とにかく,Zfcについては,この誠実さのかけらもない発売延期がすべてだったと思います。これがニコンという会社の姿勢を見せてくれましたし,Zfcへの愛着も半減することに繋がりました。

 Zfcは,きっと長く使わないと思います。

 最後に,もうすぐ10歳の娘が,Zfcをいたく気に入ったようでした。軽くて小さくて自動化が進んでいて,画質も素晴らしいとくれば,あとはもう撮影するだけですもんね。

 はっ,ニコンが想定したユーザーが,私ではなく娘だとしたら・・・

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