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NIKKOR Z DX 24mm f/1.7とフード病

 久々の艦長日誌なのですが,NIKKOR Z DX 24mm f/1.7を発売と同時に買ったので,そのレビューです。

 Zfcを購入して手元に置いて,ぱっと撮影に使えるようにしてあるのですが,撮影時のレスポンスとか,撮影後の画質を考えるとやっぱりD850の方が何段も上であることを思い知り,結局元の場所に戻してしまうという事が続いています。

 撮影というユーザー体験を考えた場合,Zfcはなんだか楽しくないということです。

 その原因の1つに,明るい単焦点レンズが「ボディキャップ」の代わりに常時装着されていないというのもあると考えていました。いや,キットレンズの28mm f/2,8もいいんですが,これはちょっと好みが違います。40mm f/2は画質は好みなのですが,焦点距離が35mm換算で60mmとちょっと長いです。

 D850の「ボディキャップ」が相変わらずシグマの35mm f/1.4ですから,これに近い撮影感覚を得るものが欲しいと思っていたら,DX専用の24mm f/1.7が出るというじゃありませんか。これは期待しないわけにはいきません。

 価格も手ごろ,フードも付属となかなか良い条件なので予約して買いましたが,実際には予約しなくても買えるくらい,今ひとつ人気のないレンズだったんだなあと実感します。それもそのはず,ZでDXで単焦点で24mmが欲しい人など,そんなにいるはずないです。

 前置きはこのくらいにして,さっとレビューです。

(1)質感

 持った感じはとてもしっかりしていて,質感はとてもよいです。これを実売36000円ほど(しかも純正)で買えるというのは,今どきなかなかない話だと思います。こういっては反論を受けるかも知れませんが,プラスチックがカメラに普通に使われるようになった1980年代後半のレンズに比べて,同じプラスチックを主体とする最近のレンズというのは,本当に質感も良くなったし安っぽくなくなったと思います。

 なんなら,AiAF24mm f/2.8とか,SMC PENTAX35mm f/2なんかと,NIKKOR Z DX 24mm f/1.7を並べて比べてみてください。これは単純はデザインの流行の問題とは違う話だと思います。

 マウント径が大きいZですので,レンズ自身を小さく作る事には限度があると思います。それでもぱっと手に取ったときの馴染み方は,やはりかつての手軽な単焦点レンズです。

 フォーカスリングは実に滑らか。回してもフォーカスが動かない最近のフォーカスリングを,手慰みで無意識に回してしまうのは,このレンズが初めてです。

 しかし,どうにも許せないのがフードです。フジツボフードがついてくるというので期待していましたが,こんなにごっついフジツボフードというのは,かなり不細工です。取り付けるともう一回り大きなレンズに化けてしまいます。

 さらに残念なのは,フィルターを取り付けたあとにフードを取り付けると,キノコみたいになってしまうことでしょう。この不細工さは筆舌に尽くしがたい。

 きっと,フィルターなしの状態での一体感を求めるあまり,フィルターのあとにフードを取り付けたときの美しさをあきらめたんだと思いますが,それにしてもこれは恥ずかしくて使う気になりません。

 当然このフードは金属製ではなく,プラスチックです。それも本体の質感とは裏腹に実に安っぽい,本当にオマケ感覚満載です。デザインした人も,設計した人も,きっと心のどこかで「これでいいのか」と思っていたんじゃないかと思います。

 そのフィルターの直径は46mm。まあ,デザイン上は46mmにするのも手だったとは思いますが,28mmにしても40mmにしても52mmというニコン伝統のサイズですから,これを踏襲するのが自然な発想だったと思いますし,その上で共通項のあるデザインにまとめてくれた方が,私はうれしかったです。


(2)画質

 安いレンズとは言え,そこは外れなしの誉れも高いZの純正レンズですし,非球面を2つも奢る今どきのレンズですので期待をしていたのですが,結論から言えば,Zとしてはそれなりのレンズだと思います。声を上げるほど高画質でもないし,写真がうまくなったと錯覚するほどのレンズでもないということです。

 誤解を受けたくないのですが,低画質かといえば全くそんなことはありません。20年前のこのクラスのレンズだったらもっと性能が低い(というか当時のフィルムの世界ならそれで十分高画質だった)でしょうから,このレンズの性能は間違いなく高く,これがこの大きさとこの価格で手に入ることには,驚きさえあります。

 しかし,絞り開放ではコントラストも低く,中央はともかく周辺の画質低下が大きいので全体として眠い画像になります。周辺光量の低下は私は気にしない人なのですが,35mm換算で周辺の光量が落ちるというのは,ちょっと考えたことがないと感じた人も多いんじゃないでしょうか。

 なので,少し絞って使うことになるのですが,f/2ではまだまだ,f/2.8でももう一歩,f/4くらいで鮮鋭度も上がって満足な画質になるのですが,それだと背景をぼかすのに一工夫が必要になるので,無理にこのレンズを使う必要があるのかと思うようになります。

 全体のバランスは良いレンズなのですが,拡大して眠い画質のレンズは,全体でもシャキッとしないレンズだったりしますから,私個人の印象としてはキットレンズの28mm f/2.8と同じ傾向かなあと思っています。


(3)操作感

 ここは別に不安を感じてはいなかったのですが,期待通りAFも素早く,小気味良く撮影が出来ます。ホールド感も良くて,これは鏡筒をマウント径に対して細く作っているからだろうと思います。Zマウントは大口径ですので,小柄なレンズのデザインは難しくなりますよね。

 操作とは違うのですが,絞りの最小値がなんとf/11までしかありません。f/16やf/22まであるのが普通だと思っていましたから,f/11なんていう常用域で打ち止めとは,Zの思想が透けて見えてきます。

(4)特筆すべき事

 これは書いておかないといけないことなのですが,寄れます。ニコンの広角レンズは「寄る」ことにこだわりが強いレンズも多く,また寄れることを性能の1つとして考えている節がありますが,このレンズもまさにそうで,レンズの先端から被写体まで,なんと12cmまで近づけます。

 これくらい近づけると,35mm換算で36mmとはいえパースを強調したり背景のボケをコントロール出来たりするので,本当に表現の幅が広がります。ニコンを使っていて良かったなあと思うことの1つです。


(5)まとめ

 まず,とにかく値上がりが激しいカメラ/レンズの世界において,実売36000円で買える明るいレンズというのはありがたいと思います。DXと割り切ったせいでもあると思うので,今年秋に予定されているフルサイズのクラシックデザインモデル(仮にZfとしましょうか)には使えませんが,私はZはAPS-Cでいいんじゃないかと思ってもいるので,これはこれでありだと思っています。

 D850くらいの画素数と画質であれば,ラフに撮影してトリミングで切り出しなんてことをついついやってしまうのですが,Zfcではそういうずるいことは出来ません。写真の基本の立ち返る良い機会のように思います。

 質感も高く,手触りも幸せなレンズですが,画質はZとしては凡庸で,最低でもf/2.8まで絞らないと後悔しそうな画質だと思います。

 そして最大の難点は,フードです。ついでにいうとフィルター径です。これだけはもう少しよく考えて欲しかったと思います。


(6)そんなわけでフード病

 そんなわけで,久々にフード病を発症しました。35mm換算で36mmですから結構深いフードが必要になるので,付属のフジツボフードが随分先に伸びているのも頷けます。

 なら無理にフジツボフードにする必要はありません。もっと美しいフードにしないといけないでしょう。

 そこで,お気に入りの,takumar28mmの角形フードを取り付けようと考えました。フィルター径を49mmにするステップアップリングを使って角形フードを取り付けて見ますが,これだと見た目はよくても,肝心の遮光特性が今ひとつで,もっと深いフードでないといけません。

 手持ちのPENTAXの50mm用の角形フードがはデザイン面でも遮光特性でも100点なのですが,これはフードをしたままレンズキャップを取り付けられないので,常用は厳しいです。

 あれこれを試行錯誤を行ったところ,PENTAXの50mm用の丸形フード(35年前に買いました)を取り付けています。そんなに深いフードではないのですが,細いので十分な遮光特性が得られています。

 見た目も悪くないですし,キャップもフードを取り付けたままで出来ます。当分これでいこうと思います。

 そうそう,保護フィルターをどこに付けるかでフードの選択肢も変わってくるのですが,出来るだけ有害な反射を減らしたいので,前玉に近い場所に取り付けることにしました。

 そうするとフィルターは46mmで取り付ける事になるわけですが,これもまたフード選びを厳しいものにしています。もしステップアップリングの後の49mmで取り付けるように出来ると,手持ちの関係でもう少しいろいろなフードが選択肢に入ってくるだけに,随分迷いました。(そんなに迷うところか?)

 もう少し試行錯誤をやってみても面白いでしょう。もう一段49mm-52mmのステップアップリングを入れて,純正の35mm用フードを取り付けても面白いでしょうし,もしかしたら45mm f/2.8Pのフジツボフードを付けてみてもいいかも知れないです。

 フード病が治るには,もう少し療養が必要みたいです。


 

唯一無二のレンズ

 気になっていたレンズを,とうとう買うことにしました。

 厳密に言うと,変わったレンズだなと気になっていただけであり,買うか買わないかで気になっていたわけではなく,それこそ買おうと持ってから実際に購入鉄津起きに至るまでの行動は15分にも満たないものでした。

 AF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6D,という長い名前のレンズです。

 Nikkorというほどですので,もちろんニコン。1997年生まれといいますから,ちょうど名機F5と同じ時期に投入されたレンズです。

 F5と同じく,高い理想を技術と材料で実現した贅沢なレンズと言えると思いますが,先に結論を書いてしまうとあまり売れなかったそうで,中古市場では幻のレンズになる一歩手前の印象があります。少なくとも,欲しい時にいつでも買えるレンズではないですし,同時に複数のレンズを比較して一番良いものを選ぶ事の出来るようなレンズでもないということです。

 ではなにが高い理想だったのか。それはZoomでMicroだったことです。

 1990年代の終わり頃というのは,まだまだズームレンズの画質が単焦点のそれには届かないものであるのが常識で,どちらかというとズームであることの利便性を訴求した商品が多数派だったと記憶しています。

 それは1本で広角から望遠までとりあえずカバーする便利ズームであったり,ボディとのセット価格を引き下げるためにとにかく安く作った標準ズームであったりしました。

 性能ではなく,それ以外で選んでもらえるレンズである事が,当時のズームレンズだったのです。

 この時期のズームレンズは,ビデオカメラの製品開発の過程で鍛え上げられたそうです。コンスーマー向けのビデオカメラの市場が大きくなり,開発競争が激しくなるにつれ,画素数が限定されるビデオの世界で倍率とコストで競争が起きるのは自明です。

 一方で,21世紀には当たり前になる,単焦点に迫る高画質ズームの萌芽もこのころで,それらは新しいチャレンジとして自ずと高額になる運命を背負い,しかし高額商品を手にできる「保守的なユーザー」の厳しい評価に挑み続けねばなりませんでした。

 そんな中で生まれたのが,このAF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6Dです。

 今さら説明の必要もないでしょうが,随分昔に書かれた「ニッコール千夜一夜」の第18話に登場するこのレンズは,当時の記述らしく,この商品が持つ可能性や開発者の熱量を考えた時に,これが今の「ニッコール千夜一夜」に採り上げられていたら,と残念でならないほど,実にあっさりと,別の言い方をすれば禁欲的にまとめられています。

 曰く,花のマクロ撮影が流行していた,花の撮影こそズームが便利なはず,しかしズームとマクロ(マイクロ)レンズとは両立しない難しい技術,しかもフィールド撮影が目的なんだから持ち運び出来ないとダメだ,と言う制限のなかで,2年歳月を経て完成したのが,このレンズだとあります。

 14群18枚,重さは1kgを越える,まるでガラスのかたまりで,最終的な価格は168000円とあります。前述の通り1997年に発売され,2005年に販売が終了したという短命なレンズです。

 正確なことは分かりませんが,当時はまだニッコールという名前に厳しい基準があり,焦点移動があったらZoomを名乗れないとか,様々な性能の基準があるなかで,Zoomと歪曲収差があってはならないMicroとの両立は,さすがに困難だったのではないかと思います。

 そしてその性能は,70mmから180mmまでのズームをF4.5から5.6まででカバーし,全域で37cmまで寄れ,倍率は180mmでは1/1.32倍と立派なマクロレンズです。しかも通常のマクロレンズと違って被写体との距離によって露出倍数が変化しません。どこでも露出倍数は1なのです。

 ZoomでありMicroであるこの見事のレンズは,新しいマクロ領域の撮影方法を開拓しました。マクロ撮影を行った人なら経験があると思いますが,構図を先に決めるとフォーカスが合わず,フォーカスを先に合わせると構図が狂うということが多いです。

 構図の調整だけではなく,フォーカスも被写体との距離で調整することがあるマクロ撮影では,自分が動けなければ手も足も出ません。さらに相手が動く被写体ならまずます難易度が上がります。

 そこでズームです。ズームが出来れば構図も拡大率も思いのままです。ズームレンズは撮影者が動かずに済むため,多くの名のある写真家が単焦点レンズを使って「自ら動け」と若者を鼓舞した時代にあって,実は自ら動けないマクロ撮影こそ,ズームが欲しい撮影の代名詞だったというわけです。

 とはいえ,設計はとても難しいものだったそうです。噂に聞くに,メーカーを越えたレンズ設計者のとある座談会では「真似の出来ないレンズ」というお題でこのレンズが筆頭に上がったとか,似たようなレンズが他社から全く出なかったのは売れそうにないからというより,そもそも作れなかったからじゃないかとか。

 実際,このレンズは発売時にいくつかの賞を受賞していますし,学会発表では第一回光設計大賞という名誉ある賞も手にしています。このエピソードを聞くと,このレンズの設計は同業者を震撼させたレンズだったと言えそうで,写真家よりも設計者の心に響いたレンズだったということでしょう。

 しかし,一部の写真家はこのレンズの優位性に気付いており,もともと数が少ない上に分かっている人は手放さず使い倒しますので,中古市場にも出にくく,まして新品同様の程度のいいものなど期待薄なわけです。

 登場が1997年というのもまた問題で,18枚ものレンズに世代の古いコーティング,プラスチック製の鏡筒に塗装の劣化,華奢なスイッチやレバーの経年的な劣化と破損,VR非搭載は当然としてAFモータすら内蔵ではないと,明らかに旧世代のレンズなのです。加えてとっくの昔に修理可能な時期を過ぎており,つまり壊れたらもうおしまいです。

 かように厳しいレンズではありますが,世界初のズームのマクロレンズは,今のところ唯一のレンズでもあり続けており,これを使いたいならFマウントを選ぶしか選択肢がありません。

 とまあ,私の事情に話を移すと,やっぱりマクロ撮影は難しいのです。MicroNikkor60mmF2.8Gは性能は申し分ないのですが,いざマクロ撮影をやろうとすると思い通りにいきません。三脚を使えば大丈夫なのですが,小さい相手に大げさな準備というのも敷居が高く,だったらスマホで十分か,といういつもの結論に流れてしまいます。

 そんなとき知ったのがこのズームです。マクロ領域こそ望遠だ,と言うニコンの設計者の主張を頭の片隅に残っており,でも本当ならズームこそ最強なんじゃないかと,もしかしたらマクロ領域の撮影を根本から変えてくれるんじゃないかと,そんな風にストーリーが組み上がって,中古市場を探して回ることになったのです。

 とはいえ中古は縁のものです。いいものがなければ諦める予定だったのですが,幸い自称Aランクの中古がキタムラの地方のお店に安価に出ており,クモリもなく大きな傷もなく,フードも付いているというので買いました。マップカメラではフードなしの使用感あり,でこれよりも高い値段がついていました。

 しばらくして届いた個体は,Aランクと言うよりBランクという感じの使い込まれた1本で,細かい擦り傷も多いですし,プラスチックのテカリもあるし,スイッチも動きが渋く,値段相応だなという感じです。でもいいんです,私も使い倒すつもりで買いましたから。

 幸い小さいホコリはあるものの,クモリもなく,性能も出ているようです。光学的には問題なく,実用品として使うにはなんら問題はありません。

 ただ,そもそもD850のお奨めレンズリストからには記載がない(これはこのリストが作られた当時にすでに販売が終了していたからかも知れませんが),そんなに高解像度なレンズでは覚悟しておくべきだとも思います。

 試写してみましたが,まずマクロ領域では申し分ないです。解像度も十分,歪曲などの収差も問題なく,なにより撮影が想像以上に楽ちんです。撮影倍率が変化しないことも想像以上に便利です。

 一方でAF-S MicroNikkor60mm2.8Gのような切れ味はありませんし,あと一歩寄りたいというところで限界を迎える点で,やっぱ等倍撮影というのはいいなあと思い直した次第です。

 AFが遅いことはなにも問題はありません。確かに静物ならAFは便利ですが,相手が動くならもうMFであわせた方がずっと楽です。

 絞り開放のF5.6でもF8でもF11でもそんなに画質に変化はありませんから,確かに絞り開放から使えるというのは嘘ではありませんが,F11まで絞ってこれか,というがっかり感があるのは事実です。

 ということで,VRがない事を加味すると,F8くらいで撮影するのがこのレンズの良い使い方ではないかと思いますが,総じて本来のマクロ領域の撮影については期待通りです。

 ではもう1つ,一般撮影ではどうでしょうか。実はマクロレンズというのは一般撮影でも好ましい結果を得られることが多いです。やや暗いので敬遠されがちですし,一般撮影用にはもっと良いレンズがたくさんありますのでわざわざマクロレンズで撮影することもないのですが,ボケ味といい解像度といい色のりといい,なかなか高い次元でバランスしているのがマクロレンズです。

 MicroNikkorを名乗る事の出来るほど収差が補正されているズームですので,私はかなり期待していました。しかしこの期待には少々届かなかった様です。

 まず,全体に眠いです。解像度が不足し,線が太いです。それから若干ハレ気味で,白く飛びがちです。またコントラストも今ひとつで,このあたりは当時のズームレンズらしい個性を引き摺っているように思います。

 これらは絞れば改善しますが,F11あたりまで絞ってしまえばVRがないこのレンズではかなり撮影可能な状況が限定されてくるでしょう。歪曲収差がソフトウェアによって完璧に補正される現代において,光学的に補正することに主眼を置いたこのレンズの出番は,もうないのかも知れません。

 とはいえ,ボケはなかなか良好です。自然ですし,滑らかです。そしてちゃんと光を読めば立体的な表現も十分可能なレンズだと思います。

 ちなみにAIですので,F2にも使えます。実際撮影してみましたが,まったく問題なく使用することができました。

 でもさすがに25年前のレンズですね,これを現代にも通用する等とはちょっと言えないですし,はたまたこれに10万円の価値があるかと言えばないと思います。マクロ撮影はセンサのサイズが小さくても構わない撮影領域ですし,持ちやすいことやブレの防止,拡大率やフォーカスの合わせやすさという点が重要ですから,実質的にもうスマホに任せるべき世界なのかも知れません。

 Fマウントが徐々に終わりの時を迎える中で,これは私が買うおそらく最後のFマウントレンズとなることでしょう。実際の稼働率は上がらないとは思いますが,なにより技術的に大変興味深い唯一無二のレンズですし,また評価が大きく分かれるレンズとして,おそらく最後まで持っているレンズになるんじゃないかと思います。

 春になったら外に持ち出してみます。

HELIAR40mmF2.8 ASPH L39マウントを買った

 40mmがブームです。

 50mmという標準域ではなく,かといって35mmという準広角でもないという,まさに40mmです。人間の視野により近いことが語られたり,反面で標準でも広角でもない中途半端さが嫌われたりしてきたのですが,ここ数年の40mmブームはいよいよ本物のようです。

 私はもともと40mm付近の焦点距離が好きで,50mmでもなく,35mmでもないという独特の視野がとても心地よく思っています。私が持っている40mm付近といえば,SMC-PENTAX FA43mmF1.9Ltd,Rollei35のTessar40mmF3.5というあたりで,これはもう本当に好きなレンズです。

 逆にAI-P Nikkor45mmF2.8や,RolleiLEDのTriotar40mmF3.5はちょっと苦手で,どうも思ったような写真になりません。

 ここでもう1つ,NoktonClassic40mmF1.4というレンズに触れないわけにはいきません。友人にもらった壊れたミノルタCLEの電気回路をPICマイコンで作り直し,なんとか使えるようにした際に,Mマウントのレンズが必要になってとにかく安いものをと言う理由で買ったのが,このレンズでした。

 本来なら純正の-ROKKOR40mmを買うべきなんでしょうけど,この時は程度の用意ものを見つける事が出来ず,またちょっと予算オーバーなところもあり,代わりの新品を手に入れたという経緯でした。

 CLEは幸いにして40mmのブライトフレームが出てきますのでちょうど良く,F1.4ということで距離計の精度を確かめるのも好都合と,デザインや使い勝手も含めて,文字通りCLEの標準レンズとして使っていました。

 ですが,その画質と言えば,50年ほど前の50mmF1.4という当時よくセット販売されたレンズそのもので,私個人はあまり良い印象を持っていませんでした。レンジファインダーでわざわざガウス型を使うというのも値打ちがなく,CLEの本命は後で買ったColorSkopar28mmF3.5という対象型の広角レンズと,割り切りました。

 それとて安いレンズであり,わざわざCLEを使わないといけない理由が薄いのですが,レンジファインダーの面白さを知るにはこの2つのレンズでも十分なものがありました。

 28mmはその後7Artisanの28mmF1.4という中国製としては高価なレンズで幅を広げたのですが,レンジファインダー機では珍しい40mmのブライトフレームを持つCLEをせっかく持っているのに,40mmがNoktonClassicだけというのもさみしく,この際M-ROKKORを買うかと思っていたのでした。

 そこへ登場したのが,HELIAR40mmF2.8ASPHです。

 この最新のレンズの出自はあちこちで枕詞のように語られているので割愛しますが,注目すべきは古典的なデザインを持ったトリプレットながら,なぜか真ん中の凹レンズに非球面が使われているというヘンテコな設計です。

 もともと十分な画質で知られるトリプレットです。3枚という最低限のレンズしか持たないゆえに収差が取り切れないのがトリプレットの限界ですが,これを非球面というまさかの設計で克服しようというのですから,よくもまあ製品化を考えたものです。

 だって,トリプレットは,低コストを優先するときに選ぶレンズタイプです。お金をかけていいなら他の方法がもともっと選べるはずで,それをしないでわざわざ非球面を使うというのですから,ちょっと設計者の気持ちを聞いてみたいです。

 ともあれ,トリプレットにすることで,小型化したのは事実です。とても小さく,そのクラシカルな外観を纏ったHELIAR40mmF2.8ASPHは,私の物欲を久々に刺激したのでした。

 調べてみるとなかなか人気で,品薄状態です。すでに完売という話もあるくらいで,お金があってもすぐには手に入らないようですが,amazonに1つだけあった在庫を買うことにしました。

 L39マウントのブラックです。いや,これは不人気のやつですよ。

 でもいいのです。私はもともとL39を買うつもりでしたし,色も黒が欲しかったのです。

 ということで,手に入ったHELIAR40mmF2.8ASPHですが,ビルドクオリティの高さも,ヘリコイドの滑らかさも,絞りのクリックの軽快さもどれも素晴らしく,ずっしりとした真鍮とガラスで出来たレンズの重さも実に心地よいです。

 画質ですが,Zfcで試した限り,トリプレットのくせに絞り開放から使える面白さを備えています。1段絞ればカリッと解像度が上がり,F8まで絞れば現代風味を醸し出します。

 しかし絞り開放ではいい具合に周辺光量が落ち,しかも遠近感が滑らかに出ます。ピントが外れる領域の画質変化が自然で滑らかなのでしょうね。立体感の出方も今風と言えるかも知れません。

 まだまだこれから使い込むことになるので,ファーストインプレションとしてはこんな程度なのですが,色もしっかり乗っていますし,中央付近の解像度も申し分ありません。周辺の画質低下は絞りでコントロール出来ますし,とても楽しいレンズだと思いました。

 ZfcよりはCLEで使うことになると思います。CLEのボディの質感がレンズに追いついていないという大先生のご意見もありましたが,なんのなんの,私は十分に格好いいと思いました。

Zfcを修理に出す

 いかにZマウント,いかに最新の機種,とはいえ,基礎体力に根本的な差があるZfcとD850ですが,気軽さや小ささでZfcにはそれなりの出番があります。

 ですが,昨年くらいから,シャッターボタンを押し込んでもシャッターが切れないことがしばしば起こるようになりました。

 あれ,おかしいなと思っているとカシャッとシャッターが切れたりしますし,そうかと思うと2回連続でシャッターが切れたりします。このくらいの押し込みでシャッターが切れると思っていても,その通り切れることもあれば切れないこともあり,どうも安定しないのです。

 これはよろしくありません。強く押し込めば切れるのでしょうが,それではブレを防ぐ為に苦しい修行を重ねてようやく体得した「握るようにシャッターボタンを押す」という技が無駄になります。

 このまま悶々として使っていても精神衛生上よろしくないので,思い切って修理に出すことにしました。

 保証期間中ですので,持ち込み修理をすれば返却に配送を使ってもらっても無償です。ただ,電車賃をかけて,わざわざオミクロン株がまん延している町中に飛び込むのもバカバカしいので,小さめの箱に入れて発送します。

 1月25日に発送,翌日ニコンが受け取ってそのまま修理進行,2月4日に修理が完了し翌日受け取りました。

 結果ですが,シャッターボタンのスイッチを交換して頂いていました。これは期待出来ます。事実,最初はなんの問題なく,やっぱり購入直後は問題がなかったんだなあと思ったのです。

 しかし,何度か使っているとやはり再発,やはり解決していませんでした。

 そこはもう過度な期待をしておらず,こんなもんだとニコンが言えばそのまま引き下がるつもりであったこともあり,これ以上文句を言う気もないのですが,D850では同じように使っても起きないことですので,やはりZfcは手を抜いているということだと思います。

 まあ,もともとクラスも違いますし,押し心地も底を打った感じも全然違いますので,同じ物を求めるのは酷だろうと思います。こういうところで差が出るものなのですね,高級機とそうでないものの間には・・・

 幸い,2回シャッターが切れる問題はまだ出ていません。しかし時間の問題でしょう。
 
 そして今回の修理には失敗が2つ。

 1つは交換された部品の返却をお願いし忘れていたこと。特に今回のような念のための修理では,交換された部品も十分使える場合が多いのでなにかと役に立つのです。

 もう1つは,ISOダイヤルがグラグラすることをきちんと伝えきれなかったことです。発送時に思い出したのでメモに手書きして送ったのですが,見事にスルーされてしまいました。シャッターダイヤルと比べて見ると,明らかにグラグラするんですが,他の個体を見ていないので,これでいいのかどうかがわからないのです。

 相手も仕事でやっているわけですから,こちらもちゃんとお願いをしないといけません。次は気を付けないとなあと思うのですが,それにしても今回は得られるものが少ない修理だったと思います。


理想のフードを探す旅

 レンズのオプションに,フードというものがあります。

 若かりし頃,フードのような邪魔なものは付けずに,ストイックに現場に挑むことが格好がいいことであると,私は勘違いをしていました。

 当時に私に若干の同情が許されるとすれば,その当時のフードというものは,プラスチック製で不細工な花びらのようなものをはめ込むものであり,多くはレンズの付属品,すなわちオマケであって,それそのものに興味などわこうはずもありません。

 しかし,私は思い出したのです。中学生の時,運動会を撮影していた写真屋さんのカメラのレンズに角形フードが取り付けられていて,それが妙に格好良かったことを。

 さらに私は思い出しました。一ノ瀬泰三のニコン(正確にはニコマート)が,ベコベコに変形したフードを実に誇らしげであったことを。。

 つまり,私は14歳にして,フード病に感染していたのでした。

 フード病・・・ほとんど顧みられることのない,ジャンクワゴンのマジョリティであるフードに,異様に執着する病気です。「レンズはフードとセットで完成する」やら「フードの良し悪しで格好の良さは決定的になる」などと,フードに比重を置いた発言と共に,以下の症状が見られます。

・中古レンズのお店に行くと必ずフードを買っている
・フードが別売りのレンズには納得出来ない
・1つのレンズに複数のフードを用意していて,気分で付け替えている
・フードが用意されていないレンズを不憫におもい,似合うフードを捜す旅に出る
・フードを含めたレンズとボディの姿形に,美意識を強く持っている
・ライカやオールドニッコールのフードが高価な事を心底理解している

 フードはなにかと軽く見られがちな存在ですが,機能的にとても重要なものです。

 1つには光学特性の改善です。レンズには画角というものがあり,画角の内側の光が画像を作り出します。画角の外側の光が無視されてしまうだけなら平和なのですが,それらの光が硝子の表面や鏡筒内部で意図しない反射を繰り返して,画像に写り込んだりして悪さをするから,困った事になります。

 もともと画像に関係ない光ですから,それらをカットすればよいわけで,必要な光以外は遮ってしまうために,いわば「手をかざす」ことをやれば有害な反射をする光を防げます。これがフードの大切な役割です。

 ということは,もともと反射が少ないレンズにはフードはいらん,ということになるのですが,実際に最近はその通りになっており,設計者が「優れたコーティングと設計で反射の影響はほとんどないのでフードはいらない」というものも登場しています。

 しかし,もう1つのフードの役割を聞けば,あなたもフードをしようという気になるはずです。それは,レンズの保護です。

 レンズは高価です。しかも,重くて長く,およそ人間が持ち歩くに適切な形状とは言えません。自分の体の動作範囲から大きく外れたレンズは,とにかくぶつけたり落としたりするものです。

 悪いことに,レンズにとってぶつける,落とすは最悪の事故です。壊れてしまえば高額な修理代がかかり,最悪修理が不可能なこともあり得ます。しかし,フードがあれば,衝撃をフードの変形という形で受け止めてくれるので,レンズ本体への襲撃が衝撃が随分と緩和されるのです。

 もちろん,身代わりになったフードは交換が必要でしょうが,それは一般に安価です。

 それだけではありません。画角の外側からやってくる光を遮るなら,光以外の水や砂なども防いでくれるでしょう。レンズを守る働きもあるのです。

 こんな大切な役割のフードを粗末にするなんて,ひどすぎます。

 フードの役割はわかった。しかし,それは結局レンズ設計者の力不足を,後付けの部品でごまかそうとした薄汚い行動に過ぎないのでは?

 鋭い,しかし,こう考えて下さい。高額設計者は,最初からフードを含めて成功の性能を出すように設計したのだと。フードを付けない事こそ,設計者の想いを踏みにじる行為であると,そしてその結果,性能が出ないと揶揄されることを設計者は甘んじて受けねばならないことを。

 かくして,フードはレンズの一部であるとの結論に至るわけです。

 望遠レンズほど長いフードを,広角レンズほど浅いフードを使わないと画角に引っかかってしまうわけで,フードを見れば画角もわかるというメリットもあります。

 ところで,レンズは円形ですので,当然フードも円形になるのが正しいわけですが,実際に画像を描くのは円形ではなく,その内側の四角形です。6x6版のようn正方形のこともあるし,ライカ版のように3:2のこともあれば,4/3のように4:3の場合ありますが,厳密に言えばそれら四角形の外側の光は不必要な光ですので,フードも円形ではなく,四角形の方が,さらに言えば四隅は浅く,編の真ん中ほど深いものが理想となります。

 性能を重視すれば花形になりますが,花形フードの弱点は,性能を追求するあまり敬樹が複雑になり,金属では加工出来ず,現実的にプラスチック製になってしまうと言うことでしょうか。

 不細工な上に安っぽく,しかも最初はそもそもの性能が十分ではないズームレンズに付属されていたという経緯もあってか,特に望遠側では全く役に立たない花形フードはとにかく馬鹿にされ続けていました。
 
 ひいてはそれがフード全体と貶める結果になったことに,共感される方も多いのではと思います。

 しかし,これまでに多くの美しいフードが,レンズの先端を飾ってきたことを思い出して欲しいのです。

 ファインダーを隠してしまうので穴を開けてあるフード。
 鏡筒が短い広角レンズのフードは広く深いのが特徴です。
 角形フードは取り付け後に位置を調整する機構が備わっています。
 外側に広がるのではなく,内側にすぼまるフジツボフード。
 レンズ内蔵のフードの,あの滑らかなスライド感覚。
 二眼レフのフードは正方形です。

 アルミにはアルミの,真鍮には真鍮の,そしてプラスチックにはプラスチックの,それぞれに趣があります。それは良し悪しではありません。

 性能と格好の良さ,つまり機能性と芸術性の按分は,レンズやボディのように性能が重要視されるものとは違って,ずっと芸術よりだと想うのです。

 なのに,フードはなかなか顧みられません。最近は別売りになることも増えました。ひどいものは,フードが最初から用意されないことも散見されます。

 これでよいのでしょうか。一部の重篤なフード患者が騒いでいるという現状は歪んでおり,もっとフードにお金をかけ,性能と美しさが高い次元で両立する独自の世界を,我々は求めていかねばならないのではないでしょうか。

 閑話休題。

 TTArtisan 17mmF1.4です。

 35mm換算で25.5mmの大口径レンズとしては破格の安さ,性能も良く良く写り,ビルドクオリティも素晴らしくて,この値段で量産できるなんておかしい,と,昨今の中国の人権侵害の話まで飛び火しそうな素晴らしいレンズで,私もすっかり常用することになっています。

 しかし,悪いことが2つ。1つは決定的に不細工なデザインです。先端がすぼまった形状は,大口径レンズに一般的なたくましさに背を向けています。

 そして,似合うフードがありません。専用のフードが用意されていれば,少々不細工でも使うでしょう。しかし専用フードがないことは,好きなものを選べるという自由度以上に,似合うものを探し当てる苦労の方が勝ってしまうものです。

 こうして,私はまたもフード探しの旅に出ることになりました。

 最初に考えたのは,40.5mmのフィルター径にねじ込める広角レンズ用のフードを試すことです。amazonを探すと,丸形の浅いフードと,角形のフードが広角用として販売されていました。しかし,焦点距離が17mmでかつ鏡筒が長いレンズのですで,ケラれる可能性が高いです。

 しかも私は保護フィルターまで付けないと気が済まない面倒な人です。試して見るしかないと言うことで,とりあえず両方買うことにしました。フード病の患者は,ダブってしまうことを恐れません。

 届いた2つのフードは,悪いことにどちらもケラれてしまいました。

 それは,フィルターにフードを重ねても,逆にフードにフィルターを取り付けても同じでした。

 ならばやむを得ません。ステップアップリングを使いましょう。広角レンズにはフィルター径を大きくしてケラれることを防ぐといういにしえより伝わる先人の知恵があります。

 40.5mmをニコンの標準である52mmと,タクマーの標準である49mmにする2つを注文します。ダブっても恐れないのがフード病患者です。

 52mmだとニコンの金属製のねじ込みフードが使えます。49mmなら私の大好きなタクマー用の角形フードが使えるでしょう。確実なのは52mm,攻めるなら49mmです。

 結果は,52mmは余裕でOK。思った以上に格好良く,首から提げればまるで一ノ瀬泰三です。

 49mmはギリギリOK。ちょっと取付位置がずれるとケラれますが,正面からの格好良さは,思わずため息が出るほどです。

 これで勝負あり,このレンズには49mmのステップアップリングにタクマーの角形フードで決まりです。

 ここまで2週間。無駄なお金も時間も使いましたが,すべてはフード病の急性発作を抑えるための負担です。やむを得ません。

 そして,傍らには,まるでジャンクワゴンのように山盛りにあふれたフードとフィルターが満載の,ヨドバシの段ボール箱がひっそりとたたずんでいます。

 

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