エントリー

カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

ES2復活までの道その2~調整編~

 ES2ですが,片を付けました。

 といっても,完全復活,完全修理完了というにはほど遠い状況で,どちらかというと最低限の撮影に使えるレベルで,どこが悪いのかをきちんと把握できたという感じでしょうか。

 これ以上放置しておいたら,他のどこかが壊れてしまうのではないかという気がしたことと,きりがないのでとりあえず現状で出来る精一杯の所まで追い込んで,あとは後日考えようと考えたのが,とりあえず組み立ててしまおうと思った理由です。

 今回は本当に大変でした。前回までに,一応オートモードが動くようになったと言う所まで書きましたが,この時の不良は擦動抵抗の抵抗帯をグランドに落としてあるビスがゆるんでいたために,抵抗が繋がってない状態になっていたという点でした。

 ところが,それでも露出計やシャッター速度に大きな狂いがあるので,再調整が必要だなというところで,作業が止まっていました。

 調整は基板上の半固定抵抗で行います。IC化されたESシリーズの基板は4種類あり,それぞれで部品のレイアウトも違えば,調整箇所の数も異なります。私のモデルはES2Ver.2と呼ばれているリビジョンで,半固定抵抗は7つです。

 7つの半固定抵抗は,バッテリーチェック時の電圧レベル調整,EV12における開放測光時オートのシャッター速度,EV16における開放測光時オートのシャッター速度,EV8における絞り込み測光時オートのシャッター速度,EV16における露出計の指示調整,EV8における露出計の指示調整です。もう1つオート時のシャッター速度に関する半固定抵抗があって,これは「Lergely」と書かれていたのですが,これがどうやら露出計の連動範囲を調整するものなんじゃないかと気が付くのに,しばらくかかってしまいました。

 基準光源はまた考えるとして,とりあえずラフに調整をやってみたのですが,突然露出計が全く動作しなくなりました。前回のビスがゆるんでいたのとは異なる症状で,絞り込み測光レバーをONにしても動作しません。何をやっても動いてくれないのです。

 露出計がらみの問題ですから,おそらく同じ箇所が悪くなったのだろうと推測は出来ますが,現象も異なりますし,それにビスをあれほどしっかり締めた直後だけに,ここがまたおかしくなるというのはちょっと考えにくいです。

 ちょっと焦りながら,軍幹部のカバーを外します。何十回ばらしたでしょうかね,もうすっかり慣れた手つきです。

 抵抗の値をはかってみると,無限大です。ということは抵抗として機能しておらず,回路がどこかで切れているのだとわかります。

 さらに分解を進め,前板を外します。擦動抵抗を取り外して,リード線の導通を確かめると,ここは断線していないようです。しかし,抵抗値は確実に無限大。どこかで切れていることは確実なのですが・・・

 仕方がないので,テスターの片側をリード線に,もう片側を順番にリード線側からあたっていくことにしました。すると,リード線のハンダ付け箇所では導通しているのに,抵抗帯の表面では無限大となります。範囲を狭めてあたっていくと,どうもハンダ付け箇所から抵抗帯に繋がる金メッキされた銅箔の断線があるようです。

 こんな破損が起こるんですね。経年変化とは恐ろしいものです。

 それで,細いより線にハンダメッキを施して,この破断部分の両側に渡しハンダを盛りました。これで確かめてみると抵抗の値は正しい値を示すようになりました。組み上げて動作の確認をしてみても,とりあえず原状回復のようです。

 ここからが調整です。

 本当はシャッター速度から合わせる必要があるらしいのですが,先に露出計の調整をやってしまいます。露出計の指示に合わせたシャッター速度が出てくれればいいという読みです。

 しかし,EV16などという明るい光源はありません。仕方がないので,晴れた日にグレーカードを置いて,F3で測光しながらES2を調整します。

 明るい場所,中くらいの場所,暗い場所,と交互にグレーカードで合わせていきますが,なにせ明るさはお天気任せです。ぱっと雲に入ったりしてァ春差が変わってしまうこともしばしばです。ここはねばり強く調整を行います。

 一応,明るいところでも暗いところでも,1/2段くらいの誤差になるようにあわせました。この時ついでに1秒というスローシャッターだけはある程度合わせておきます。

 しかし,調整の過程で半固定抵抗を3つも4つも同時に動かす必要があったりすると,間違えてしまったりうっかり回しすぎた場合なんかに混乱してしまいます。せっかくいいとkろおあmであわせ込んだつもりだったのに,欲を出してさらに合わせ込みを行うときに全体のバランスを崩し,1段以上のズレを発生させたこともしばしばでした。

 ついでにバッテリチェックの電圧も合わせておきます。電源電圧を4.4Vにしてバッテリチェックボタンを押し,この時のメーターの指針が1/60付近になるように半固定抵抗を回します。ところが,これが全然あいません。

 もともと,ここはそんなにずれてなかったのです。しかしある時突然ずれてしまうようになったのです。何が原因かは分かりませんが,ずれたものは再調整だと思いましたが,調整できません。

 半固定抵抗をいっぱいまで回しても,1/30くらいまでしか指針が動いてくれません。一応,6V程度の正規の電圧でバッテリーチェック機能が動いている事が分かったのでこれで妥協しましたが,そもそもこれまでずれてなかったものが,なぜ突然調整不可能なほどにずれてしまったのか,そこにこそ深刻な問題が隠れているように思います。

 次はシャッター速度の計測です。ES2は,1/60から1/1000までは機械式なのですが,低速側はもちろん,オートモードでは高速側も電子制御となります。また,EV値の違いによって調整箇所が複数存在するところを見ると,CdSのリニアリティの補正をこの方法でやっているのではないかと推測できます。

 ということなので,基準となる光源によってシャッター速度を測定できる装置が必要です。実は,LCDのバックライトを改造して,基準光源を作ってはみたのですが,シャッター速度測定器のフォトトランジスタの感度が赤外領域にあるため,波長の短い白色LEDのバックライトでは著しく感度が落ちてしまい,シャッター速度の計測が不可能でした。

 フォトトランジスタを1つから3パラに改造し,アンプまで組み込みましたが必要な感度には到達せず,プランの練り直しを余儀なくされました。

 そこで考えたのが,ムギ球を使うことです。ムギ球は幸いなことに手元にたくさんあるので,これをパラにつないで面光源にします。波長の長い光を出しますので,このフォトトランジスタにも好都合です。明るさは,12Vで1.5A近く流れていましたから,20W弱くらいの明るさだったのではないでしょうか。

 それでも,EV8あたりの明るさではフォトトランジスタの動作可能範囲に達しません。やむをえず,EV15付近とEV12付近であわせることにしました。

 まずはF3のシャッター速度を測ってみますと,ちゃんと1/1000や1/500を始め,それぞれの速度がが正しい値で測定できます。問題はないようです。次にES2で測ってみますが,1/1000はおろか,1/500も遅めに出ている感じです。

 調整マニュアルに従って半固定抵抗を回しますが,どうも高速側で調整値に追い込めないのです。1/300以上の速度がどうやっても出ないのです。1/1000を超えるような明るさでも1/300程度ですから,この期待の実力として最高値が1/300程度なのでしょうか。これではあんまりです。

 メカの調整が悪いのではないかと,禁断の幕速調整をやろうと決心します。まず機会シャッターの1/100や1/500を測定してみます。すると予想に反して,なかなかの精度で速度が出ています。結局メカ的な調整は必要なしと判断しました。

 そうなると電子回路の問題です。本当はここで,電池を抜いてオートモードでの最高速を測っておくべきだったのかも知れませんが,それはうっかり忘れました。

 いくら追い込んでも250msくらいの露光時間が精一杯。大体1/400くらいですかね。そのまま1/250や1/125を測ってみると,これが驚くほど精度良く速度が出ているんですね。

 また,いくつかある半固定抵抗をいじってみても,このあたりの中速度のシャッター速度にはあまり変化がありません。それも随分おかしな話なのですが,変わらないものは仕方がありません。

 スローシャッターは1秒をきちんとあわせれば大体他の速度も合ってきます。いろいろやってみましたが,一応1/250以下の速度についてはそれなりの速度が出ていることを確認できました。同じ作業を絞り込み測光でも行います。幸いこちらは,それほどおかしなズレが出ず,ほとんど調整せずに済みました。

 作業中にうっかりメーターの指示調整を触ってしまったりして,また最初からやり直したりと,結局丸2日かかってしまいました。

 それでも高速側は速度が出ず,しかも組み上げてから確認すると,1秒以上のスローシャッターもちょっと長めになってしまいました。うーん,疲れてしまったんでしょうね。

 夕方になっていましたが,早速試し撮りです。ISO200のカラーネガを1本通してみました。50mm/F1.4の開放測光対応のレンズ,50mm/F2.8の絞り込み測光のレンズ,そして28mm/F2.8の開放測光対応のレンズの3本で試します。

 屋外を撮影すると,F1.4で1/1000程度。順に絞り込んで撮影していきます。1/15で下限に達したので,レンズを変えて同じように撮影します。

 最後に屋内を撮影してスローシャッターを試します。撮影枚数がなくなっていることにうっかり気付かず,1/8までしか試せませんでした。

 すぐに現像します。出来上がったネガを見てみると,明らかに1/1000が1段以上濃く,1/500がやや濃い感じ,それ以下はほとんど明るさが揃っています。これが適正露出であるかどうかは議論が分かれますが,一応F3のグレーカードと合わせてありますので,オーバー気味になっているのは平均測光であるES2のクセもあるのでしょう。

 レンズによる色味や収差の違いがよく分かりますね。実に面白いものです。相変わらずSMC-Takumar28mmF3.5は素晴らしい描写です。これは大好きです。

ファイル 22-1.jpg

 それと,やはり測定結果通り1/1000が1段以上,1/500もきちんと速度が出ていないことが実写テストからもわかりました。結局の所,高速シャッターはあまり使わないようにするか,面倒でも機械式に切り替えて使うことで乗り切る必要がありそうです。

 ES2では,スローシャッターは電子制御でしか動作しません。それもオートモードでしか使えませんから,むしろここの明るさが揃ったというのは,最低限の機能と維持できた事になると思います。

 それにしても課題が残ってしまいました。バッテリチェックの電圧が正しく設定できないこと,オートで1/1000や1/500の速度が出ないこと,スローシャッターの精度が今ひとつなことです。

 このES2は,そんなに悪い個体ではないと思っていたのですが,調べてみるとやっぱりそんなに程度が良いというわけではない感じです。年齢相応といったところでしょうか。しかも,次から次へと故障がモグラたたき状態で発生してしまっていて,次はまたどこか,別の場所が壊れるに違いありません。

 予備の部品を確保しておくことが最も重要だと思われるのですが,悪いことに回路基板は部品取りの個体も壊れてしまっていますし,メモリブロックはすでに交換済みです。

 CdSも劣化しているでしょうが,部品取りのES2についていたCdSはニコマートELを修理する際に使ってしまいました(結局このCdSは熱で劣化させてしまった)し,電子回路はとにかく不安が大きいです。

 高速シャッターが出ないこと,バッテリチェックが突然ずれたことは,もう基板がおかしくなった以外の理由を考えられない状態です。シャッター速度についてはメモリブロックの不良も考えられるのですが,ここの不良もなかなかやっかいです。

 まず,小型のフィルムコンデンサの1μFを手に入れて,前回壊れたメモリブロックを作り直してみたいと思います。その上でES2に組み込み,再調整を試みて高速側が出るようにならないか,確認してみたいところです。

 バッテリチェックの機能は,実用レベルでは問題はないのでこのままですが,やはり基板がおかしいことは事実でしょうから,機会があれば基板の修理と,場合によっては基板そのものの交換を行いたいと思います。そのためには,もう1つ部品取り用にES2を手に入れないといけません。

 ひょっとすると,もう少し程度のいいES2を手に入れて,今のES2を部品取りにした法がいいのではないかという気がしてきました。焦ることはないですが,こまめにES2を探してみようと思います。

破裂寸前

 ES2は現在,露出計とシャッター速度の調整をすれば完成,というところまで来ているのですが(とはいえ,その調整がまた問題なんですが),昨日ふと思いついて手持ちのコネクタを基板に取り付けて見るわけにはいかんか,と現物あわせを行うことにしました。

 コネクタはピッチが少し合わなかったため,直接基板にハンダ付けした配線をコネクタに置き換える検討はここで終わってしまったのですが,この後ビールを飲んでしまい,床にES2を転がしておいたのがまずかった。(結果としてはよかったのですが・・・)

 お約束通り,トイレに行くときにけっ飛ばしてしまいました。あわれES2はゴロンと転がってしまいました。

 まあ,これくらいで壊れてしまったらカメラとして使い物にならんなわははは,と最初は気にもしなかったのですが,ES2はなんと言ってもソレノイドの調整が実に微妙なカメラですし,基板も30年を経過した年代物です。メカが仮にしっかりしていても,乱暴な扱いをすればすぐに壊れてしまうのは明かです。

 目の前にあるカメラが,クラシックカメラの域に達し,自力で修理した不安定な存在であることをすっかり忘れていた私は,所詮素人ということでしょう。あわてて拾い上げ,シャッターを切ってみます。

 とりあえずパシャっといつもの音がしたので,問題はないのかなあと思っていたのですが,レンズキャップをかぶせたままなのに,最高速で切れるなんておかしい。

 やばい,ソレノイドの位置がずれてしまったのか,と急に焦る私。

 ファインダーをのぞき込んで露出計を見ると,シャッターボタンを半押ししたところで1000を指し示しています。暗いところでも1000,絞りリングを回しても1000。

 あああああああ,露出計も壊れた。

 これは本当に本当に最悪です。バッテリーチェックボタンを押してみます。1000を指し示します。

 ああああああああ,基板も壊れた。

 もう目の前が真っ暗です。うかつに床に置いたままにしたこと,うかつに蹴り飛ばしてしまったこと,やってはいけないことをやってしまった報いでしょうか。後一息で修理も終わるというのに,振り出しどころか,ES2を失ってしまうという最大の危機が訪れました。

 気休めとして,まずは電池を取り外して,電池の電圧を調べてみます。酸化銀電池ですから,この使用頻度では動作が不可能なほど電池が減ってしまうとは思えませんし,それに昨日まではバッテリーチェックを行っても規定を十分にクリアしていたのですから,それがわずか1日で動作しないほど消耗しているというのは,およそ考えにくいです。

 電池ブタを開けて,私は目が点になりました。電池の1つが,ぷっくりふくらんでいます。まるで3年ねかせたシュールストレミングのようです。

ファイル 19-1.jpg

 電圧を測ると案の定0.1V程しかありません。他の3つは1.4Vから1.5Vということで,こちらもすでに交換が必要な状態になっています。

 ピンときました。もしや,と思って電池ボックスをのぞき込んでみます。

ファイル 19-2.jpg

 酸化銀電池SR44を4つ使うES2は,左から上向き,下向き,上向き,下向きと電池を入れて,フタをします。上向きに入れた電池は,底にある電極が電池の負極と接する仕組みですが,よく見るとこの電極,外側にも随分広がっていますよね。

 この外側に出ている部分が電池の縁(つまり正極)と接触するのは,もう小学生にも分かることです。そう,蹴り飛ばしたショックでショートしていたのです。

 思い起こせば半年ほど前,オート不良を連発したときも,実は電池が極端に消耗していたからでした。その時の電池も,1つだけ0V近くまで電圧が下がっていたのを思い出しました。

 電池を外して,外部に安定化電源を接続して試してみると,きちんとスローシャッターが動作しています。消費電流も小さく,どうやら本体は無傷のようです。よかったよかった。

 そこまで分かれば対策です。電池の電極のうち,不必要な部分は絶縁しましょう。電池の負極に接する部分は中心のみで良いはずですから,これ以外はテープを貼ることにします。もちろんフタ側もです。

 作業はわずか10分ほど。このことに気が付かなかったら,また同じ事をやってしまったことでしょう。大きな事故に繋がった課も知れませんし,気付かず放置していれば液漏れが発生したかも知れません。どちらも人間やカメラに大きな被害をもたらします。

 さて,少しずつ実用機として完成度を上げてくるES2ですが,なんとか今週末にでも露出計を調整したいものです。EV16,EV12,EV8でのオートのシャッター速度を調整する必要があるのですが,これがなかなか手持ちの機材では難しいのです。

 いいアイデアが浮かばず困っているのですが・・・

ES2復活までの道その1~修理編~

 現在,うまく動いていないカメラがペンタックスのES2です。

 先日調子が悪いと書いたのですが,どうも多臓器不全の様相を呈していて,なかなか手強そうです。そういう読みもあって,まとまった時間が取れないと手出しできないと思い,昨日まで手を付けずにいました。

 今回の問題は,大きく2つありました。

(1)突然露出計が動かなくなる。
(2)メーターの指示と異なる速度のシャッターになる場合がある。

 最初に発生したのは(1)の問題で,絞りリングを何度か回すと動くようになるのですが,一晩ほど経つとまた動かなくなっています。

 「動かなくなる」というより,絞り込み測光のレンズや,レンズを取り付けないでシャッターボタンを押したように,メーターが振り切ってしまうのです。ですから,絞り込みレバーを上げれば,露出計がきちんと動作するようになります。

 先日は軍幹部のカバーを外し,擦動抵抗に繋がるリード線をいじっているうちに現象が出なくなってしまい,とりあえず直ったことにしておいたのですが,数日後に再発,もう少し本格的に分解することにしました。

 擦動抵抗に繋がっているリード線は屈曲していますので,内部での断線があるかもしれません。また,抵抗とのハンダ付けがダメになっているのかも知れません。そこでもう少し柔らかいリード線に交換することにしました。こうすることでハンダ付けのやり直しも出来るので,少なくともリード線に関係する問題はここで全部払拭できるはずです。

 これも組み立て直してみると,一見して調子が良さそうに思えたのですが,なんのことはない,しばらくして現象が再現してしまいました。ここ数日はF16にすると確実に動作しなくなってきたので,擦動抵抗の皮膜が削れてしまって機能しなくなっている可能性もあります。あるいは擦動抵抗ではなく電気回路の問題かも知れません。そうなるともうお手上げです。

 この修理の過程で,基板を取り付けるコネクタが割れてしまいました。交換しようと部品取りのES2を見てみると,こちらも割れていました。さすがに誕生から30年,月日を重ねてコネクタがパンくずのようにボロボロと崩れていきます。

 やむを得ないのでコネクタではなく直接ハンダ付けを行うことにしました。部品取り用のES2は基板が壊れていることが分かっていて,基板を交換するような形での修理は当分しない(できない)だろうという気がしたからです。

 しかしこの作業後も現象は出続け,結局何も変化はありませんでした。コネクタ破損による接触不良の可能性も消えました。

 そして昨日,とうとう意を決して,真面目に修理することにしました。

 まず,現状の把握からです。擦動抵抗の抵抗値を測定します。レンズを取り付け,絞りリングを回して各絞りの時の抵抗値を測定します。すると,F8くらいまでは安定しているのですが,それ以上にすると値がばらついたり,いつまでに収れんせず値がフラフラする,最後には数百MΩという値を示したり,無限大になったりします。右回しと左回しで値が変わるなども出てきてしまい,これはもう違いなく擦動抵抗自身の問題と確信しました。

 実はほっとしたのです。ここが正常だったら,もう電気回路の問題以外になくなります。基板のスペアがない以上,修理は非常に困難になると予想されたからです。最悪のケースは回避されました。

 さて,擦動抵抗を分解します。抵抗体の汚れを取り,もう一度組み立てますが改善せず。抵抗の被膜が完全に取れたのだろうと判断して抵抗体を部品取りから移植します。

 移植して組み立て直してみると,確かに安定しています。F11やF16でも,規格値に近い値が出てきます。やはり擦動抵抗だったかと結論して,組み立てていきます。その過程でもう一度測定をしてみると・・・なんとまたあの現象が出ているではありませんか。

 擦動抵抗を交換しても現象が出てきたということは,他に原因があるというのか。

 もうお先真っ暗です。

 絞りリングと一緒に動くブラシの接触圧が低いせいかも知れないと,少しブラシを起こして接触圧を上げてみます。しかしダメ。同じです。さてさて困りました。

 ここでふと考えてみたのですが,この抵抗ってどことどこの間を測定しているんだろうか,実はきちんと追いかけていないんですね。片側はリード線なのですが。もう片側は回転側のブラシで,それが最終的にアースに落ちています。

 私はアースとをリード線の間の抵抗をはかっていたのですが,ちょっと試しにブラシのハトメとリード線の間を測定してみました。すると,実に安定して動作するじゃありませんか。

ということは,抵抗の皮膜ではないなあ・・・
ブラシの接触圧でもないなあ・・・
ところでこのブラシから先はどういう経路になってるんだろう・・・
調べてみないとなあ・・・

 ということで,抵抗体を取り付けているビスを外してみようと,ドライバをかけました。すると,既にゆるんでいます。

 原因はこれでした。抵抗体を取り付けているビスがゆるんでいたため接触不良が起きてしまい,アースされていなかったのです。

 もしやと思い,最初からついていた方も確かめてみると,こちらもゆるんでいました。2つとも同じ場所が同じようにゆるんでいたため,同じような現象が出ていたのです。

 絞りリングの回転によって接触したりしなかったりして,動作が不安定になっていたと考えれば,これほどしっくりくる理由はありません。

 それに,このビスは絞りリングのストッパーも兼ねているため,頭が勢いよくぶつかります。そのせいでゆるんでしまったのでしょう。

 これをきちんとしめて,最初からついていたものに戻して組み立てました。結果は上々。これまでの不安定さがウソのように,綺麗に抵抗値が変化していきます。基準値と比べてもほとんど差がありません。

 原因が分かってきちんと修理が出来たと思われるので,最後までちゃんと組み立てました。軍幹部のカバーも貼り皮も元の通りに戻して,露出計が正常に動作することを確認しました。

 いや,ほんと良かったです。

 (2)の問題は,こちらもなかなか面倒な話でした。

 8月初旬,(1)の問題で悩んでいた時ですが,露出計がきちんと動作している時でも,指し示しているシャッター速度よりも随分短い場合が度々出てきます。数ヶ月前にソレノイドの調整を行ったときも,時々シャッター速度が制御されていない事に気が付いて取りかかりましたが,結論から言うとソレノイドは最良の位置に取り付けられており,これが問題ではなかったのでした。

 10回に3回くらいの割合で,シャッター速度が明らかに狂います。(1)と(2)が同じ原因で起きているのではないかと考えていたのですが,結果から言うとそれぞれ別の理由でした。

 シャッター速度が狂うこの問題の解決までの顛末は,今月初めの艦長日誌に詳しく書いてあるように,メモリブロックの故障でした。交換するとこれもウソのように安定したスローシャッターが切れるようになりました。

 ところが,この後どうも露出計の指示が狂うのです。感じでは1/3段くらいずれています。加えて,指針が1秒を示していても,実際のシャッター速度は1秒よりもずっと短いのです。

 こうなった原因ですが,それはずばりメモリブロックを交換したからです。メモリブロックはFETとコンデンサで構成されていますが,シャッターを切る前はFETが露出の値をスルーするバッファアンプの役割を果たし,シャッターを切ってからはコンデンサに蓄えられた電圧を出力する働きをします。

 このFETですが,IDSSに結構バラツキがあります。IDSSにバラツキがあればCdSの値が同じであっても,最終的な出力電圧にはIDSS分のバラツキがでてしまいます。ですから,メモリブロックを交換したら再調整が必要になるということなのです。

 幸いなことに,私はES2のサービスマニュアルの一部を持っていて,調整方法については知っています。これによると,EV16,EV12,EV8のそれぞれで開放測光時のシャッター速度を合わせます。

 ただ,私は基準光源を持っていません。ニコマートやCLEでは,グレーカードに蛍光灯を当てて,F3の露出計を基準に合わせていたのですが,ES2では明るさがはっきりした光源が必要で,しかも同時にシャッター速度の測定もしなくていけないのです。

 ですから,根本的に調整環境を整えねばなりません。

 ここから先は後日,となりますが,まずは修理がきちんと出来たことで,本当に安心しました。部品取りのES2をもう1つ確保しないと,もう復活出来ないかもしれないと恐れていたのですが,最悪のケースは回避されました。

 先日再開したカラーネガの現像は,現在13本が終わって,現像液の能力から残り2本まで。しかも1ヶ月以内に使い切らねばならず,あと1週間ほどで現像液が寿命を迎えてしまいます。

 あまりのんびりやっているわけにはいかないのですが,まずは一安心。

CLEの距離計を調整

 先日の写真で発覚したCLEの前ピン。

 現在いろいろ宿題がたまっているのですが,まずはこの件から片を付けようと考えました。距離計の調整は,前回かなり適当にやって,「なんとなくましになったかなあ」という感じで逃げていたのですが,結論から言うとこれは全然調整になっていませんでした。

 まず,フィルム面でピントをきちんとあわせないといけません。フォーカシングスクリーンをどうするか考えていたのですが,これまでFM3A用のものを使っていたのを,自作のものに変えました。自作のものは素性が分かって安心だからです。

 自作といっても簡単で,0.4mmのプラ板をサンドペーパーでこすって傷を付けただけです。

 フィルムと同じサイズにしてセロテープでガイドレールに貼り付けて,ルーペでのぞき込めば一応それなりにピントが見えてきます。近視に乱視があって,普段はだましだましメガネなしで過ごしている私も,さすがに今回ばかりはメガネをしないと駄目ですが。

 ピントがぴったり合ってるF3で一応試して,このピントグラスが使い物になることを確認した上で実践投入です。

 いろいろ試行錯誤をしたのですが,CLEの距離計の調整は,以下のように行います。

ファイル 9-1.jpg

 垂直調整は偏角レンズの周りにあるギザギザを回す形のものです。水平調整はただのビスなので問題はありません。同じようなビスでピント調整ってのがありますが,これは偏角レンズの光軸上の位置を前後させて,二重像のピントを調整するものだとわかりました。今までやや見にくかったのは,ここの調整がおかしかったんですね。今はばっちりです。

 不明というのが非常に気になるわけですが,ここをいじっても水平調整が狂うだけで目に見えた変化がなかった上に,何周でもぐるぐる回るんですね。怖くなって適当なところで止めておきました。

 この不明が気持ち悪く,世界中のサイトを検索してみたのですが,CLEの距離計の調整方法を書いたところは海外のBBSで2,3の書き込みを見つけたくらいで,結局分からなかったのです。

 だからといって後にはひけません。

 何度か調整を繰り返した結果,こんな感じになりました。

ファイル 9-2.jpg

 真ん中の石にフォーカスをあわせた結果です。40mmのF2でとりあえずこれだけの精度を出せたので,まあいいとしましょう。何度やってもあわない場合が出てきてしまって困ったのですが,本当にその被写体だけだったので,もうあきらめました。

 距離計はレンジファインダー式カメラの神髄です。これをきちんとあわせないと,面白さが半減です。自分で調整するのはかなり不安があって失敗するんじゃないかと思っていたのですが,まあやってみるものですね。古いカメラを実用品として使うには,やっぱりある程度のことが出来るようになっていた方がいいなと,つくづく思いました。


 

今度はPlanar50mm/F1.4ZF

 撮りためたフィルムを現像しまくって過ごした1週間でしたが,ようやく終わりになりました。
 今回はPlanar50mm/F1.4ZFに感心したというお話です。

 先日からお見せしている猫を,F3とPlanar50mm/F1.4ZFの組み合わせで撮影したのがこれからお見せする写真です。今日スキャンが終わりました。

ファイル 7-1.jpg
 
 同じように,こちらの様子をややうかがっているようです。
 
ファイル 7-2.jpg

 同じように,見上げてみます。口がかわいいですね,口が。

ファイル 7-3.jpg

 同じように,メンチきられました。

 相変わらずスキャナが駄目なのでこんな程度の画像ではありますが,先日のNoktonClassicなんかと違って,やはりコントラスト重視といいますが,解像度の高さが違うなあと思いませんか。

 そういうレンズなんだから当然なのですが,腐ってもPlanar,腐ってもCarlZeiss。同じコシナが作ってもこれだけの差がつくんだなあとしみじみ思いました。

 あと,やっぱり基本性能の高さとしてF3を見直しました。扱いやすさもそうですし,確実に動作することがなにより素晴らしく,クラシックカメラにうつつを抜かしていた自分に反省です。

 猫ばっかりではなんですので,おまけ。

ファイル 7-4.jpg

 ちょっと珍しいですよ,このレンズは。Ai-MicroNikkor55mm/F3.5です。

 MicroNikkorの55mmなんか珍しくもなんともない,そう思うでしょ。でもメジャーなのはF2.8のもの。これはF3.5です。暗いレンズをわざわざ自慢されても,と思うでしょうが,レンズの構成が全く違うのです。

 F2.8は変形ガウス型,要するに標準レンズの発展型です。一方のF3.5はクセノター(クセノタールともいうようです)型。詳しい説明は省きますが,このクセノター型というのはとにかくカリカリのシャープさが自慢で,味もボケもあったもんじゃない。ただただ,解像度を上げることだけに心血を注いだレンズなのです。

 事実,このF3.5が生まれた頃はモノクロのフィルムが主流であり,カラーで花を撮影するなど考えなくても良かった時代です。用途は文献の複写。つまりあのややこしい日本語の漢字がきちんと解像されることが最優先だったのです。そういうこともあってか,ポスターの撮影にはこのレンズは必需品だったとも聞きます。

 だからこの写真もカリカリですよね。美しいトーンもありません。ボケもほめられたものではありませんよね。でも,やっぱMicroNikkorはこうでなくっちゃ,とちょっと思わせるものがあったりします。

 このレンズ,安いんですよ,不人気らしく。私も5000円ほどで買いましたが,いい買い物だったと思います。デジタルではさすがにちょっと厳しいのですが,もし見つけられたら,シャレで買ってみられても後悔しないと思います。

ページ移動

ユーティリティ

2026年01月

- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed