*istDLを買う
- 2007/05/15 15:01
- カテゴリー:散財
先日,私の誕生日だったのですが,誰も祝ってくれないので,自分自身に誕生日プレゼントを買いました。
というのは口実で,買った物はペンタックスのデジタル一眼*istDLです。
なんで今さら,と思われるでしょうが,安かったのです。30800円。送料まで入れるともう少しかかりましたが,それでも32000円までです。
いや,少し前にカメラ量販店で3万円にポイントという破格値でたたき売られていたのは知っていて,それに比べればかなり高いと思われるのですが,同じところで1月だったか,3万円で処分されていたのを一度買い逃していたので,今回は買おうと思い,注文をしたのが金曜日の夜,届いたのが日曜日の昼でした。
ペンタックスのデジタル一眼は,*istDが出たときから迷っていたのですが,当時は結局レンズ資産を生かそうということでニコンにした経緯があります。ただ,MZ-10やMEsuperをジャンクで手に入れて修理したことをきっかけにFA43mmを買ってしまったことから,このレンズを常用して使い切るにはデジタル一眼が必要だろうと,そんな風に考えていました。
だからといって,何万円もするボディーを買うのも非現実で,安売りでもされていたら買うかな,くらいのものでした。
*istDLは2005年の発売で,*istDシリーズの下位機種にあたります。小型軽量,低価格を狙ったもので,ペンタミラー搭載というあたりがいかにも低コスト機であることを主張しています。(ついでにAFセンサーも3点と少ないです)
とはいえ,基本性能は初代*istDシリーズと変わらず,600万画素,1/4000秒のシャッター,Kマウント/M42マウントなど幅広いレンズを装着可能と,私が欲しい機能はきちんと確保されていますので問題はなし。これが3万円ちょっとなわけですから,処分とはいえペンタックスが気の毒なくらいです。
色はシルバーとどちらかというと好みではありませんが,色についてはこだわらず,その時手に入る色を「何かの縁」と納得するのが私の姿勢。果たしてシルバーも,安っぽさが強調されますが,そんなに悪い色ではありません。
てことで,インプレッションです。
・小さい,軽い
今でこそD40やE-410など,小型軽量のデジタル一眼がたくさん出ていますが,このサイズとこの軽さを2005年で実現していたというのは,さすがにペンタックスだなあと思います。
D2Hには重さを感じさせないデザインの良さとホールド性の良さがありましたが,*istDLは実際の大きさよりも大きく見えるような感じがします。特にグリップが大きいので,損をしているように思います。
加えて重量には落とし穴があり,単三4本という重たい電池を必要とします。これを入れると,一気に重量感が増してしまい,せっかくの軽さを満喫出来ません。ここにCR-V3というリチウム電池を使えば軽くなりますが,不経済です。私はエネループを使うことにしましたが,見た目の華奢さに反してちょっと重たいなと感じました。
・シャッター
MZ-10の修理で分解をしたシャッターユニットと基本構造は同じと思われ,ミラーの上下,シャッターの開閉などすべての動作を1つのモータで行うシャッターユニットのようです。
これはどういうことかと言うと,それぞれの動作は個別に制御されているわけではなく,モータの回転によって順番に行われるということです。それだけメカも電気回路も簡略化できるのですが,どうしても動作が緩慢になりますし,ずっとモータとギアの音が「ジー」とし続けます。これはD2Hなんかと比べても非常に違和感のあるところで,MZ-10を使ったときの感触そのものといっていいと思います。
個人的には,MZ系の持病であったモータのピニオンギアの割れが起きないように,負荷の最適化設計がやり直されていることを期待したいです。
そんなわけで,シャッターの動作はあまり心地よい物ではありません。ただ,連写をしない限りは,こんなものかと割り切れますし,そこは一眼レフですから,やっぱりシャッターを切ったときの楽しさは十分に備わっています。
・使い勝手
これは慣れの問題も大きいのですが,結構操作に戸惑います。カーソルボタンの中央にあるokボタンの役割がちょっと意外で,階層化された設定メニューで,下の階層に進みたいと思ってokボタンを押してもダメだったり,ちょっと統一性がないように感じます。
・開放測光と絞り環の連動
これは後で気が付いた事なのですが,開放測光のためにある,絞り値の連動レバーがないんですね。しまった*istDLだけか,と思って慌てて調べてみると,ペンタックスのデジタル一眼にレバーのついている機種はないようで,つまり絞り環を使って絞り値をボディに伝達することが出来ません。
SuperAやProgramAといったプログラムモードを搭載した一眼レフと同時に用意されたAレンズの場合,絞り切った位置に固定するAポジションがあり,さらに電気接点が最小絞り値を伝達するので,ボディから絞りを制御出来るようになりました。
当初はこの仕組みのないMレンズなどのために,絞り値を伝達するレバーも併設していたのですが,ボディから絞りを制御できればこのレバーは必要がないわけで,低コスト機から次第に省略されるようになります。
*istDシリーズはすべての機種でこのレバーが省略されています。従ってまともに使えるレンズはAレンズ以降のものになってしまいます。
使える使えないも大事ですが,私にとっては絞り環が使えないことも結構問題で,特に絞り優先AEでは絞り環を使うのが当たり前でしたから,ボディで絞り値を設定するという操作には,まだちょっと慣れていません。
悪いことに,*istDLでは,絞り優先AEで絞り環をAポジション以外の位置にした場合,レリーズの時に設定された絞り値に絞り込まれることはなく,開放のままになってしまいます。
この動作はある意味では正しい動作で,測光を開放で行っているのだから,撮影時も絞り込まれないのは当然ということでしょう。実際にそうして撮影された写真は,とりあえず適性露出になっています。
これが絞り環で絞り込みが常に行われるM42レンズなどではどうかというと,絞り込み測光が行われる(絞り込んだ状態の明るさを開放値として持つレンズを取り付けたと解釈される)訳ですから,一応絞り優先AEも使えるわけです。
ではMレンズなど初期のKマウントのレンズだけまともに使えないのか,となるわけですが,そこはさすがにペンタックスです。開放測光用のMレンズを実際に絞り込んで,適性露出を得る「ハイパーマニュアル」が用意されています。(気になるのは*istDLではハイパーマニュアルとは呼んでいない事で,ハイパーマニュアルを名乗るには何か他に条件があるのかも知れません。)
マニュアルモードでにしてAE-Lボタンを押すと,一瞬絞り込まれて,適性露出を得ることの出来るシャッター速度がさっと設定されます。ここから絞りをいじるなり,シャッター速度をいじれば露出の補正も自由自在。
実際に絞り込んだ結果ですので露出も正確です。この方法を使えばAレンズでもAFレンズでも,絞り環が使えます。
実は,M42レンズを使って絞り優先AEを使ってみたのですが,どうも2段ほどアンダーになるのです。初期不良かなと思ったのですが,調べてみるとそういう物らしい。狂っている理由は実はよく分からないのですが,ハイパーマニュアルでは適性露出になってくれます。
一応説明書にも,露出の誤差が出ると注意書きがされていますが,2段もアンダーになるというのは誤差というレベルではありません。ファインダースクリーンの問題だという記事も目にしましたが,それならFA43mmでも同じ事が起こっていいわけで,M42だけで起こっているということを考えると,装着レンズによる露出の補正が行われていないことが問題なのではないかと思います。実際,Aレンズで絞り開放で撮影すると,やっぱりアンダーになります。ROMを内蔵してレンズ情報を伝達できる仕組みがないと,どうも駄目なんじゃないかと思います。
もしそうだとすると,機械的な互換性があるのに,肝心な部分で互換性を失っていることになります。ROMを持つレンズを使えば補正も出来る訳ですから,ROMの内レンズでもう少しオーバーになるようしてくれてあっても問題はないはずで,なぜそうなってしまったのか,もう少し考えてみたいと思います。
・サクサク感
悪い物ではないと思います。切れ味という点で言えば物足りませんが,不用意に待たされることもなく,撮影のリズムは崩されません。必要にして十分という感じでしょう。
・画質
良くも悪くも,一般受けのする画質です。JPEGのポン出しでも使い物になる画質だと思います。600万画素のAPS-CのCCDはこなれたCCDと言えて,特に破綻があったり,使いこなしに難しい訳ではないようです。
画質も,鮮やかとナチュラルの2つを大きく選べるようになっています。ピクチャープログラムでは鮮やかに固定されてしまうので注意が必要ですが,むしろ受けのいい写真を撮るには鮮やかになっていた方がいい場合もあるでしょう。
私の場合,幸か不幸かRAWで使うことに慣れているので,JPEGでは使いません。
・現像ソフト
PENTAX PHOTO LABORATORYというソフトが付属しています。RAW現像ソフトなのですが,これが非常に使いにくいです。画面の拡大は出来ず,ルーペでの一部拡大だけですし,ほとんどの機能で使いにくいなと感じるものでした。
考えてみると,NikonCaptureもCaptureNXも1万円以上するソフトなわけで,これと付属のソフトを比べるのも酷なのですが,現像のエンジンが最新のものを使える 現像ソフトは,やはりそれなりに使いやすくあって欲しいものです。
ただ,ペンタックスがすごいのは,初代*istDのユーザーに対しても,最新のソフトを無償で提供していることです。PENTAX PHOTO LABORATORYはバージョン3になって,エンジンをSILKY PIXのものに変更になりました。
定評ある現像ソフトでもあるし,なにより*istDが最新のK100Dと同じ画質を得られるようになるということがすごいことでしょう。
それに,昔撮影した画像でもRAWであれば,最新の現像ソフトを使って画質を向上させることが出来るわけです。古い機種を見捨てない姿勢も素晴らしいですが,蓄積された財産を最新の技術で処理できることのメリットも大変に素晴らしいと思います。このあたりはニコンも見習って欲しいところです。
ところが,私の環境では,最新のバージョン3にアップデート出来ませんでした。付属のソフトはバージョン2.1で,アップデータがバージョン3を検出できないと作業を中止してしまいます。
この春に入れ替えられたアップデータの仕様のようで,2006年夏に用意されたアップデータを使っておかないと最新のアップデータを使えないようです。電話して確認すると古いものをCD-Rにして送ってくれるというありがたいお返事だったのですが,その後調べてみるとペンタックスのアメリカのホームページには古いアップデータがまだ残っていて,これを使って最新のアップデータまで使えるようになりました。
SILKY PIXのエンジンですが,なめらかさは定評がある通りですが,どうも不自然なのです。被写体と背景の縁におかしな縁取りが現れたりするので,ちょっと困ったなあという感じです。もう少し試行錯誤が必要なのかも知れません。
・SDカード
*istDLはSDカード専用です。しかし,CFを使う必要もないし,SDカードは高容量品が安く買えるので,むしろありがたいくらいです。手持ちの1GB(遅いです)を使っていますが,RAWではちょっと枚数が少ないですし,速度も遅いので,150倍速の2GBを注文中です。
特に撮影後の記録時間と,そこから再生までの時間,画像の消去の時間が短縮されることを期待しています。
・そんなわけで・・・
M42のレンズが使えること,FA43mmが使えること,これに加えて軽くて小さいというのは,私が*istDLを買おうと思った理由を十分に満たしています。撮影していて楽しいと思うのはさすがにD2Hで,質感といい音といい操作感といい,全く歯が立ちませんが,では*istDLがダメかというとそんなことは全然なく,気軽に外に持ち出せるカメラであると思います。
なんといっても,FA43mmが常用できるようになったというのが最大のメリットです。早速使ってみましたが,階調が深いと言いますか,彩度の低い色でも情報が飛ばずに,きちんと粘っているように思います。
これでリチウムイオン電池ならいう事ないし,縦位置と横位置の自動検出があれば,縦位置を多用する私にとっては手間が省けてありがたいところですが,低コストの機種では,無理な注文なのかも知れません。
単三の電池は,いつの間にか切れていたり,液漏れしたりして,私はどうも好きにはなれないのですが,使いたいときにさっと使えないことは,ひょっとしたら最大のデメリットになるような気がします。
いずれにせよ,D2Hに買い増すデジタル一眼としては,あまりに性格が違いすぎることでちょうどいい組み合わせになったのではないかと思います。
課題ですが,現像ソフトによる画質の調整にはまだまだ慣れが必要です。精進しないといけません。
あとレンズですね。この小さなボディを生かした,取り回しの良いズームレンズを1つ手に入れたいところです。
それにしても,これが3万円か・・・ちょっと前なら考えられないことです。
