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アナログテスタの常用機としてCX-270Nを購入

 先日,サンワのアナログテスタ「YX-361TR」を買いましたが,2%以上の誤差があまりに目に付き,力業で調整を試みたという話を書きました。

 結果,私が使いたい範囲において満足な精度を達成したわけですが,そうなってくると妙な愛着と5000円近い価格もあって,常用して使い潰すのがもったいなくなってきます。

 「フルークは神棚に,現場はサンワのPM3」と言った人もいるそうで,まさに言い得て妙です。

 そんなわけで,アナログテスタが使い道によっては大変便利で有用であるとわかったこともあり,もう1つ,安くて使い潰せる実用機を買いたいと思いました。精度の追い込みはすでに出来る事がわかっているので,どんなテスタが来ても,基本部分がしっかり作られていさえすればあとはどうにでもなります。

 そこで早速調べてみたところ,カスタムのCX-270Nというモデルがよさそうです。実用的な機能とレンジ,そしてしっかりとした基本性能で,価格は3000円程度ととてもリーズナブルです。

 とはいえ安いには理由もあって,保証期間が1年間と短いこと,落下の衝撃に対する保証がないこと(これはYX-361TRにもありません),設置角度の規定がないこと,温度や湿度などに対する規定がないこと,校正のトレーサビリティが不可能で公式なドキュメントには測定値を記載できないという問題があるわけですが,個人の趣味でそこまで求めることはなく,年に数回精度の確認をやって安心出来ればそれでよいです。まして,国産かどうかということには,こだわりません。

 まあ,このあたりが神棚か現場かの違いの本質なのでしょう。

 基本性能は,DCが20kΩ/V,ACが9kΩ/Vで,DC電圧のレンジが0.1-0.5-2.5-10,50,250,1000V,DC電流も50uA-2.5-25-250mAとなっていて,YX-361TRと同じで使いやすいです。

 特に電圧の最小レンジと電流の最小レンジが共通になっているあたり,メータそのものの感度が50uAであることを示しています。これもYX-361TRと同一です。

 その上,YX-361TRでは別売りオプションが必要なhFEの測定が最初から可能になっているので,実用性は高いと思います。

 とはいえ,LEDによる導通チェッカも,バッテリチェッカーも持っていないですし,なによりセンターメータ機能がありません。まあ,個人的にこれらの機能はほとんど使わないし,アナログテスタに期待するものでもないので,全然構いません。

 ということで,基本機能がしっかりした安価なCX-270Nに狙いを定めてみると,この商品は家電関係のパーツのメーカーにOEMで供給され,家電のルートでも手に入ることがわかりました。

 計測器のルートでは値引きは少ないし,お店も限られてしまうのですが,家電やホームセンターならいくらでもありますし,安いです。

 案の定,ヨドバシで2750円にポイント10%と,実質2500円以下という価格で買うことが出来ました。YX-361TRの半額です。

 届いたら早速確認です。ブリスターパックを開けると,想像以上に綺麗な筐体と,ゆったりとした動きのメータにワクワクします。ロータリースイッチの感触も素晴らしいです。

 詳しい説明は見当たらなかったのですが,直接見てみたところ,どうもトートバンド式のようです。このあたりもYX-361TRと同じです。

 ただ,そこはやはり値段の問題もあり,全体的に作りは雑です。筐体も厚ぼったい感じがしますし,汚れのような焦げのような成型不良もあります。ヒューズや電池を交換するときには必ず回すことになる背面のネジは太いタッピングビスで,何度か開け閉めするだけでなめてしまいそうな感じです。

 メーターも動きは良いのですが,どうも見にくいです。ミラーはあるのですが曇っていて針の反射が見えないので,その効果がほとんどわかりません。スケールの印刷もなぜか見にくく,こういう所はさすがにYX-361TRは良く出来ています。(余談ですが横河の2051は精度と言い読みやすさと言い,本当に素晴らしいです)

 背面にはスタンドもありますが,アナログのテスターは水平で使わないと指示が狂いますから,実は使ってはいけません。その意味では無用の長物といえるのですが,こういうところのこだわりのなさが,また残念な気分になります。

 こういう細かいところで価格や長く売られているかという差が出るのかも知れません。

 で,測定器の命である精度を見ていきます。

 電圧と電流を前回同様,基準電圧発生器,HP34401A,横河2051などで確認していきますが,電圧も電流も,なんとほとんどズレていません。十分許せるレベルです。最初にきちんとゼロ点調整をしてやれば,ほぼ値が正確に出ます。

 例えば,CX-270Nで10Vになるよう電源を調整してやると,この時34401Aは10.02Vになっています。私の読み取り誤差まで含めて,0.2%の誤差です。どうです,なかなか優秀でしょう。

 電流もCX-270と2051で200mAになるように電子負荷を調整して(そう,CX-270Nと2051の指示はほぼ一致しているのです)やると,この時34401Aは198.6mAです。これで0.7%ですが,250mAフルスケールの電流計としては,十分過ぎる精度でしょう。(JIS1級で1%ですからね)

 これならなにも調整することなく,実戦投入できます。ちょっと拍子抜けです。

 半額なのに,最初からこの精度です。YX-361TRは仕様の範囲内とはいえ,一目盛り分の誤差があったわけですから,なにより精度が重要な測定器において,これはちょっと残念な事だといわざるをえません。

 やれ国産だの,やれ老舗だの,やれ専門メーカーだのと言いますが,結局精度で半額のテスターに負けてしまうサンワに対して,私はがっかりしましたし,それまで私が持っていたサンワの良いイメージが崩れてしまったことも,もう隠しようがありません。

 もし,この精度が2%ズレたYX-361TRを,中学生が奮発して買ったものだとしましょう。彼はもうこの1台で,やっぱりアナログテスタはだめだなと,そう思ってしまうんじゃないでしょうか。

 アナログテスタの良さをもっとも知らしめないといけないサンワが,その評判を落としてしまうようなことをするとは,確かに使用の範囲内ですから問題はないとしても,やっぱり残念でなりません。

 

アナログテスタの新品を買って調整をする

 秋です。電子工作の秋,測定器の秋です。

 そんなわけで,アナログテスタを買いました。サンワのYX-361TRです。

 小学校の6年生の時に買った1000円ほどのテスタはもちろんアナログだったわけですが,中学2年の時にもう少しまともなものが欲しいと,奮発して買ったのがサンワのBX-85TRでした。

 このテスタは当時としては高価な部類に入るものでしたが,友人が持っていた割引クーポンがこの機種限定で,他に選択肢がなかったこともあり,他者も含めた機種の比較検討は全く行っていませんでした。

 しかし,このモデル,この個体は大当たりで,機能も精度も使い勝手の良さも,見た目も格好良く,しかも堅牢で壊れることがないと,いいことずくめでした。初期の私の電子工作を支えた,まさにマザーツールです。

 この後,デジタルテスタに移行して,BX-85TRの出番は減っていくのですが,デジタルテスタを何度も買い直したことに比べて,アナログテスタを買い直すことはありませんでした。そう,今に至っても,アナログテスタはBX-85TRしか持っていません。

 しかし,国内の計測器の需要が落ちているところに,安価な中国製のテスタが大量に入ってきましたし,そもそもアナログテスタが絶滅寸前な現状では,いつアナログテスタの新品が買えなくなってもおかしくありません。

 BX-85TRも先日,針の戻り悪く,何度か揺すって復活したこともありますし,旧安全規格品ゆえに今のテスタリードとは互換性がないですし,壊れてしまったらもうおしまいだと不安に思っていました。そう,アナログテスタはメーターがすべてで,これが壊れたらもうおしまいなのです。

 そこで,いつか新品のアナログテスタを買っておこうと,数年前から思っていたのです。

 そして,ふとしたことから,アナログテスタを買うことを思い出したのです。

 心のゆとりがあったその日,早速サンワのページに飛んで,機種選定です。

 BX-85TRに近いテスタとして,SH-88TRとYX-361TRの2つを選びました。どちらも仕様はほぼ同じで,なんでどっちも残っているのだろうと思うほどなのですが,きっとなにかが違うのだろうと目を皿のようにして比較を続けます。

 名称から,BX-85TRに近いのはきっとSH-88TRなんだろうと思った(BX-85TRからロジックアナライザを省いたモデルにSH-83TRというのがあったのですが,おそらくこの後継でしょう)のですが,YX-361TRの方がフルスケールがわかりやすく(YX-361TRは5の倍数ですが,SH-88TRやBX-85TRは3の倍数だったりします),こちらの方が好印象です。

 そして決定的な違いを見つけます。SH-88TRがピボット式なのに対し,YX-361TRはトートバンド式なのです。

メーターの構造による分類なのであまり意識することはないのですが,指針を幅の狭い金属の帯で吊り下げ,ねじれの反発力で針を戻すトートバンド式に対し,ピボット式は指針の回転部を尖った針で支え,ヒゲゼンマイで戻る力を得るという,まるで機械式時計のような仕組みです。

 不詳わたくし,アナログメータにこうした違いがあることを知りませんでした。いえ,正確には知っていましたが,どっちも同じようなものだと思っていて,この違いを意識することはなかったというべきでしょうか。

 しかし,少し調べてみると,この違いは案外大きいようです。とはいえ,どちらが有利なのか,どちらが高級なのかという話はなかなか出てこず,どちらの構造にも精度が出易いだの高級品だのと,同じ事が書かれていたりします。

 ただ,ピボット式が構造的に衝撃に弱いことは事実でしょうし,トートバンド式が利用する金属のねじれによる力はねじれ角度によって変わってくるものなので,動き始めとフルスケール付近では針の反応速度に違いが出ると思います。

 また,トートバンド式は,厳密にはリニアなスケールにならないはずで,一長一短がありながらも,ことテスタに関して言えば,ピボット式の方が有利なんじゃないかと思います。

 BX-85TRはどうもピボット式のようです。ならば,今回はぜひトートバンド式を買ってみましょう。

 ということで,YX-361TRを買うことに決めました。お値段は専用のケースと一緒で,約6100円のポイント10%です。

 取り寄せだったのでしばらく待っている間,この機種がどんなものかを調べてみました。するとなんとまあ,YX-360TRというマイナーチェンジ前のモデルが出たのが1970年代の中頃,さらにこのベースとなった360-YTRまで遡れば1960年代の後半にまで行き着くという,大変息の長いモデルだとわかりました。

 アナログテスタの完成形とまでいう人がいるくらい,50年近く変わっていないということも驚異的なのですが,1986年頃の雑誌の広告を見ていても,YXで始まる製品は見当たらないのです。1990年頃になるとAXで始まる製品が出てくるのですが,もしかするとYX-361TRは一時中断か,あるいは海外だけに出荷されていたのかも知れません。

 このあたりは要研究ですね。

 YX-361TRについてはもう1つ面白い話があり,中国製の違法コピー品がたくさん出回っていたということです。SUNWAというパチモノブランドに書き換えたもの,GBW-361と違う名称を与えられたもの,名称までコピーしたものなど様々なんだそうですが,作りは雑で,中身もひどいものだったとの話です。

 とはいえ価格は正規品の半額程度で,ある時期秋月でも売られていたというのですから,笑えません。(秋月のパチモノは,ある時から店頭から消えて,八潮店の店頭でひっそりとジャンク扱いで放出されたと聞いています)

 これも手頃で実用的な人気機種だったことの証でしょう。

 というわけで,届いたYX-361TRは,私が期待した1980年代のかっちりとした日本製テスターのそれではなく,今どきの頑張って作ってます的な,ちょっとやれた感じのアナログテスタでした。

 BX-85TRと比べると,それはもう全然感触が違います。30年前に6500円だったBX-85TRと,現在5000円ほどで買えるYX-361TRとを比べるのも無理がありますが,それだけBX-85TRが良く出来ていたということだと思います。

 まあ,計測器ですから,精度が命です。さっそく調べてみます。

 うちにある基準電圧発生器で,10Vを出して測定です。

 ・・・9.8Vしか振れません。

 うーん,一目盛り少ないというのはさずがにアウトだろうと思って計算して見ると,10Vに対して-0.2Vですから,-2%の誤差です。YX-361TRの仕様では±2.5なので,なんとこれはOKなんです。

 いやいや,これだと結果が変わってくるだろうと,あわてて確認を進めます。

 基準電圧発生器の問題かもと,HP34401Aでも測定をしますが,やはり10Vです。BX-85TRで調べるとぴったり10V。さすがです。

 YX-361TRで10Vになるよう電源を繋ぎ,この時のHP34401の表示を見てみると,10.22Vと出ています。およそ2.2%のズレですから,仕様にはギリギリ入っています。

 他のレンジでも調べてみると,やっぱり一目盛り分くらい少なめに出ます。

 これ,確かに仕様に入っているとはいえ,実用に適さないレベルの差です。温度や経年変化まで考えると,私の基準ではNGです。

 困りました。

 なら,自分でなんとかしてみましょう。幸い,アナログテスタには十分過ぎる基準電圧発生器もありますし,高精度な電圧計も揃っています。

 しかし,アナログテスタの校正や調整は,もはやメータの性能に依存してしまうわけで,基本的にはAS ISで使うものですから,本当に出来るのかちょっと不安があります。

 まずは回路図の入手します。回路は非常にスタンダードなもので,50uAのメーターに分圧器と分流器を切り替えて使うものです。私のYX-361TRはチップ部品が多用された今どきもモデルではありますが,その定数もほとんど変わっていません。

 いろいろ試行錯誤をしたのですが,こんな感じで調整を済ませました。

(1)まずメータ感度を調整。910ΩのR1を,750Ωの金皮と100Ωの多回転VRと直列にしたものに交換し,0.25Aレンジで250mAを流し,VRを調整してフルスケールにする。どうも分流器が発熱することで,しばらくすると値がずれるようで,30分ほど放置するのがコツ。

(2)25mA,2.5mAレンジでも確認をするが,分流器の相対比は揃っているようなので,ほとんどに狂わないはず。ちなみに基準となる電流計はHP34401Aと横河の2051,そしてBX-85TRの3つだが,3つともぴったりと値が一致するので実に気分がいい。

(3)次に直流電圧計の確認。よく使う2.5Vと10Vレンジで確かめる。やはり少しズレているので,まず2.5Vレンジの分圧器から調整する。40kΩのR5を33kΩの金皮と10kΩの多回転VRに置き換えて調整。

(4)次に10Vを確かめるが,やはりズレがある。そこで150kΩのR6を,130kΩと15kΩの金皮,10kΩの多回転VRの組み合わせに置き換えて調整。

(5)あとは50V,250V,1000Vでも確認をするが,これ以下の倍率器が揃ってきたこともあり,大きなズレは見られないので,このままOKとする。

(6)抵抗レンジも確認。これはズレがほとんどない。

(7)交流電圧計の確認は,そもそもあまり使わないこともあり,AC100Vでさっと確かめるだけ。問題なし。

(8)そうそう,センターメータも確認しておく。これもばっちり。


 ということで,直流電流計と2.5V,10Vの直流電圧計の調整が出来ました。

 アナログ電流計というのは今どきなかなか貴重なもので,例えば充電や放電の電流をモニタするのに,駆動のための電池がいらないというメリットがあるのに,数は少ないんですよ。

 それに,電流計は安全規格の関係もあり,小型のテスターには搭載出来ないという事情もあって,電流計だけ搭載していないテスターが多いのです。

 電圧計も,やはり駆動用の電池が必要ないというメリットは大きくて,長時間のモニターにはぴったりなのです。

 それに,今回つくづく思ったのは,電圧の測定にはデジタルの方が便利でも,決まった電圧に調整を行う場合は,アナログのメータの方がずっと楽だという事でした。

 ただのノスタルジーということではなく,それぞれの利点を活かして使いこなすことも,とても楽しいものです。現行機種の精度が今ひとつな事には確かにがっかりさせられましたが,他のテスタとほぼ精度を揃える事ができたので,積極的に使っていこうと思います。

 それともう1つ,BX-85TRの精度のよさです。購入からすでに30年以上の時間が経過し,大切に扱ってきたとはいえ中学生の荒っぽさに耐えて,ここまで生き残った測定器とは思えないほど,ぴったりの精度を誇っていました。

 手に入れた当時もそうですし,その後しばらくの間は,BX-85TRの値を信じるしかなかったわけで,疑うことも知らずその値を信じたこのテスタが,信じるに足る値をずっと出してくれていたことを今知るに至り,私はいいものを手に入れて使う事が出来たことを,本当に良かったなと思いました。

 そういえば,初めて買ったデジタルテスタのRD-500との測定値のズレもほとんどなかったんですよね。だから測定器ごとに値がズレるなんて気持ちの悪いことが,それを自力で解決出来なかった当時に起こらなかったことを,運が良かったと思います。

 思い起こせば,当然値が一致すると思っていた私に,そうではない現実を突きつけたのは,秋月でMETEXの高級テスタを買って,その値がズレていたときだったと思います。以後,私は精度についてどこで折り合いを付けるか,考え続けることになるのです。

 

Raspberry Piでサーバーをたてる

 OSを最新にしてから,ローカル内DNSとして使っていたdnsmasqが動かなくなってしまった,私のTS-231Pは,それ以降なにかと調子が悪く,知らぬ間にCPU負荷が100%になっていたり,スワップが大きくなりすぎて警告が出たり,ウイルススキャンの定義ファイルを更新できなかったりと,どうもすっきりしません。

 思えば,dnsmasqもopkgから入れて見たり,たはまたQPKGを見つけて入れて見たりと,よく分かってもいないのにいろいろ試してみては失敗するものだから,気が付いたら調子が悪くなっていて,すでになにがきっかけだったかわからないということが起こっています。

 見た目に問題なく動いているNASも,よく見てみると問題が出ていたりするので,なにかをきっかけにして初期化をしないといけないかも知れません。

 とにかく,このままdnsmasqをNASに任せてようと頑張ることは傷口を広げてしまう恐れが大きいので,もうこの作戦はやめにして,別の方法を考える事にします。

 そして私は閃きました。

 そうだ,ラズパイだ!

 電子工作のひとも,makerな人も,Linuxが大好きな人も,35ドルで買えるフルスペックのLinuxが走る,この名刺サイズのシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」に夢中です。

 2012年に登場した初代からすでに6年が経過し,イギリス生まれのこのシステムもすっかり定着した感があります。Arduinoのようなアングラ感もなく,大手メーカーも巻き込んで,知ってる人は知ってるというレベルから,技術者なら普通に知っているべきものへ変わって来たなあと感じます。

 とはいえ,レジスタを叩いてLEDをチカチカさせるのが好きなハード屋さんにとって,linuxというOSの壁は厚く,いくらGPIOがヘッダピンで出ていても,直接触っている感覚が薄くなってしまうんじゃないかと思います。

 そんなわけで,電子工作やIoTという側面から,私はRaspberry Piを触ることはないだろうなと思い続けていたのですが,家庭内のサーバーとして利用するという切り口に気付くと,猛烈に身近な存在になってくるから不思議なものです。

 で,Raspberry Piを同じような用途で使っている人を調べてみると,どうもたくさんいらっしゃるようです。そりゃまあ,1GHzを越えるマルチコアCPUにLANと16GBのストレージを内蔵したコンピュータがちゃんとしたLinuxを走らせているんですから,大抵のことは出来てしまうでしょう。

 しかも安い。しかも低消費電力。しかも小さい。

 これこそ,最良の解決策です。

 こういうきっかけを待っていた感もあるのですが,購入を前提に早速調べてみると,どうも最新のRaspberry Pi 3+はまだちょっと高く,こなれているのはRaspberry Pi 3です。これなら4000円ほどで買えます。

 初代や2はもっと安いかと思ったのですがむしろ高いくらいで,そういうことならRaspberry Pi 3 Model Bをとりあえず買っておきましょう。

 届くまでの間にセットアップの方針と作業の準備を行っておきます。

 まず,本体にディスプレイやキーボードを直接繋ぐことはせず,リモートで運用します。いわゆるPCとして使うわけではないので,GUIもいりませんし,オフィススイートもいりません。

 ネットワークは有線のLANを基本とし,WiFiもBluetoothも使いません。

 動かすサービスはDNSサーバーであるUnboundとNTPくらいのもので,後は必要に応じて考える事にします。

 ということで,OSはRaspbianで,Stretchという最新版のLiteを選びます。これならストレージのmicroSDは8GBでも十分過ぎるくらいで,手持ちの余剰品を有効活用出来ます。早速ダウンロードしておきます。

 そんなこんなので,Raspberry Pi 3 model Bも手元に届き,作業スタートです。


(1)microSDの準備

 ストレージのmicroSDにOSを書き込み,起動できるようにするのがまず最初にやるべきことです。なにせ初めての事ですし,なにかと失敗しやすい作業でもありますので,ここは確実な専用ツールを使います。

 Etcherというのがそれで,Mac版をダウンロードして使いました。これはzipになっているOSのイメージを解凍せずにそのまま突っ込み,展開先のmicroSDを指定してやればあとは勝手に作業が進むという優れものです。

 使ったイメージは2018-06-27-raspbian-stretch-lite.zipです。

 正常に書き込んだら,デフォルトでは閉じているsshを有効にするため,ファイル名をsshとした0バイトのファイルを作成し,/bootに投げ込んでおきます。

 こうして出来たmicroSDを,LANですでに繋いであるRaspberry Piに突っ込み,2.4AのACアダプタに繋いで起動します。


(2)sshでログイン

 Raspberry Piは初期状態ではDHCPでIPアドレスを取得するので,sshでログインするにはどのIPアドレスが割り当てられたかを調べないといけません。

 Macだと「raspberrypi.local」でIPアドレスを自動的に見つけてくれるのですが,手動で調べるのも1つの方法です。

 私の場合,IPアドレスを調べてsshでログインを試みたのですが,connection resetと出てしまい拒否されてしまいます。

 googleで調べると。どうもopensshの問題らしく,Raspberry Piのsshのファイルを消してコンフィギュレーションをやれば解決するらしいのですが,そもそもLCDもキーボードも繋がっていない環境なのですから,sshで繋がるまでなにも出来ません。

 早くもここで白旗を揚げそうになったわけですが,よく考えるとLCDもキーボードも繋げてしまえばいいだけの話で,こうしてローカルでログインして作業をすればよいのです。

 長めのHDMIケーブルでLCDをつなぎ,余っていたUSBキーボードを差し込んで起動すると,ちゃんとLCDに起動画面が出てきます。当たり前ですがちょっと感激です。

 起動していることまではわかったので,piでログイン。そして

sudo rm /etc/ssh/ssh_host_*
sudo dpkg-reconfigure openssh-server

 と入力します。これでsshでリモートログイン出来るようになりました。


(2)初期設定

 なにはともあれ,パッケージの更新です。

sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade -y

 小一時間ほどかかりました。待ってるだけの時間ですので,もったいないです。

 これも無事に終了し,再起動。

 続けて設定の変更です。タイムゾーン,ロケール,ホストネームを設定します。

sudo raspi-config nonint do_change_timezone Asia/Tokyo
sudo raspi-config nonint do_change_locale en_US.UTF-8
sudo raspi-config nonint do_hostname hogehoge

 ロケールは日本語を指定したのですが,全角文字がなんだか鬱陶しくなり,USにしました。ちなみにデフォルトはGBです。


(3)NTP

 サーバーですので,正確な時刻は必須。従ってNTPは入れないといけません。

sudo apt-get install ntp
sudo vi /etc/ntp.conf

 そして,NTPサーバーにおなじみのnictを設定します。

"server 0-3.debian.pool.ntp.org iburst"をコメントアウトし,"pool ntp.nict.jp iburst"を追記するだけです。

sudo service ntp restart

そして,

ntpq -p

 として,ここに*nictが出ていればOKです。


(4)固定IP

 DNSサーバーとして使うのですから,IPは固定でないと話になりません。

sudo vi /etc/dhcpcd.conf

 以下のように修正します。

interface eth0
static ip_address=192.168.1.xxx/24
static routers=192.168.1.x
static domain_name_servers=8.8.8.8

sudo reboot

 固定IPで再ログインして,ifconfigで確認します。次。


(5)ユーザーの管理

 piというユーザー名を使い続けるのは嫌なので,このあたりを片付けます。

 方向はpiを別のユーザー名にすることです。そのためには,一度暫定ユーザーを作り,ここで作業をして最後に削除です。

(5-1)暫定ユーザーの作成
sudo useradd -m -G sudo -s /bin/bash tmpuser
sudo passwd tmpuser
sudo reboot

(5-2)暫定ユーザーでログインしpiユーザーを変更
ssh tmpuser@192.168.1.xxx

sudo rm /etc/sudoers.d/010_pi-nopasswd
sudo usermod -l hoge pi
sudo usermod -d /home/hoge -m hoge
sudo groupmod -n hoge pi
sudo passwd hoge
history -c
sudo reboot

(5-3)暫定ユーザーの削除
ssh hoge@192.168.1.xxx

sudo userdel -r tmpuser

 よし,ここまででようやく初期設定がおわった。


(6)Unboundのインストールと設定

 DNSサーバーには,これまで使っていたdnsmasqを使うつもりでいたのですが,軽く低機能なdnsmasqは今回の用途にぴったりとは思いつつも,最近例をよく見るようになったUnboundを使って見る事にしました。

sudo apt-get install unbound

 これでインストールまで完了です。簡単です。続けて設定です。

sudo vi /etc/unbound/unbound.conf.d/unbound.conf

 おそらくこんなファイルは存在しないと思うので,新規と出てくると思いますが,びびらずに続けます。

 Unboundは,/etc/unbound/unbound.conf.d/にある.confをすべて設定ファイルと見なすので,設定を複数に分けてもいいし,1つにまとめても構いません。

 私の場合,大した記述ではないので,1つにまとめました。

server:

use-syslog: no
log-queries: no

directory: "/etc/unbound"

interface: 0.0.0.0

access-control: 127.0.0.1/32 allow
access-control: 192.168.0.0/16 allow

hide-version: yes
hide-identity: yes

local-data: "gshoes.myqnapcloud.com. IN A 192.168.1.xxx"
local-data-ptr: "192.168.1.xxx gshoes.myqnapcloud.com."

 たったこれだけです。

 本当はもっといろいろ設定しないとまずいのですが,面倒なのでログさえもとりません。

 しかもデフォルトでは,ここで解決しなかった場合,上位のDNSサーバーに合わせることになっているので,わざわざ設定ファイルに記述しないという手抜きっぷりです。

sudo /etc/init.d/unbound restart

 これでUnbopundを再起動します。

 他のマシンのDNSをRaspberry PiのIPアドレスにしてから,nslookupで期待したIPアドレスがかえってくるか,試してみましょう。

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 とまあ,やったことはこれだけです。

 とても簡単ですし,待ち時間を除けば30分もあれば終わってしまうでしょう。わずか4000円の費用と,これだけの設定で,ローカル内DNSが立ち上がってしまうんですから,すごいものです。

 とはいえ,書けば簡単に見えますが,実は結構苦しんでいました。

失敗1:ファームウェアのアップデート

 初期設定の途中で,ファームウェアのアップエーとを試みました。

sudo rpi-update

 しかし,tarがread onlyだとかなんだとか言い出して,正常に終了しませんでした。

 その後起動もしなくなり,これまでの設定作業をすべて捨てて,最初からやり直す羽目になりました。ううう。

 1回目のやり直しでは起動メッセージにfailと出るようになってしまい,気持ち悪いのでもう一度最初からやり直します。

 今度はすべて問題なく,ようやく設定作業に進むことができました。

 後で調べてみると,公式にはファームウェアの更新はお奨めしないと書かれているらしく,実際トラブル出した人の苦しみの声がネットに上がっています。


失敗2:Unboundの設定ミス

 すんなりインストールまでは出来たUnboundですが,設定を書き換えて再起動しても,IPアドレスを解決してくれません。問い合わせに対してタイムアウトさせているので,DNSサーバーとして動いていないようです。

 こういう場合はおおむね設定ファイルの書き間違いなのですが,案の定ローカルIPアドレスを書き間違えていたり,最後にピリオドを打ち忘れていたり,スペースが抜けていたりと散々でした。

 これらを修正してやると,ウソのように動き出しました。コンピュータというのは本当に正直です。


 こんな感じで,あれほど苦しんだNASでのローカル内DNSサーバーですが,NASを触ることなくさっさと解決することが出来ました。

 一応基幹系のハードウェアで24時間の運用ですから,ケースくらいは入れておかねばなりません。ヒートシンクはTO-220用の小さいものを専用の接着剤で貼り付けておきましたが,これを含めて後日届くケースに入れ込んで,明日には正常運用に入りたいところです。

 最近は,子供の科学にも「じぶんパソコン」としてRaspberry Piが取り上げられています。確かに,これだけ充実していれば,パソコンとしても十分使えると思います。子供にとっては,やっぱり自分のパソコンを持つことは,まだまだ憧れなんでしょうね。

 35ドルでこの機能と使い勝手ですから,安さの源泉は信頼性だと言えるかも知れません。事実24時間駆動の用途には苦しいという意見もありますし,面白そうだけど今ひとつ信用出来ないというのが,一般的な評価でしょう

 しかし,裸の基板に電源を入れるという儀式ですっかり心もハードウェアのエンジニアになっているのに,いざ触るとLinuxというこのギャップは面白く,サーバーではなく,PCとしてもう1つ買って遊んで見るのもいいかなあと思い始めています。

 

X-07復活

 今から35年も前のハンドヘルドコンピュータであるキヤノンのX-07ですが,LCDドライバの劣化を理由に,しばらく分解されたままの状態になっていました。

 半年ほど前から部品取り用のドナーを入手して修理しようと思っていましたが,忙しさにかまけてなかなか取りかかることがかなわず,数日前に一念発起して修理に取り組んだところまで,書きました。

 劣化したLCDの反射フィルムと偏光フィルムを剥がし,粘着付きの新しい偏光フィルムをLCDの背面に張り付け,さらにシルバーで塗装するという方法でLCDの復活を試みたのですが,結果をいえばこれは大正解でした。非常にうまくいっています。

 LCDの場合,偏光フィルムにしても反射フィルムにしても,密着していることが望ましく,本来ならガラスの厚さも邪魔になるくらい,光路が短いことが見やすさに直結します。

 素人が入手出来る部材で修理を試みても,偏光フィルムは反りますし,反射フィルムも平滑性が悪く,とても見にくくなってしまいます。これがほぼ完全に払拭されるというのは,LCDの修理に大きな可能性を見ました。

 粘着性の偏光フィルムさえ手に入れば,あとは身近な材料で片が付き,その結果も上々とあれば,他の機種にも展開したくなります。
 
 で,気をよくした私は早速組み込みをして修理をぞっこうするわけですが,最近とみにどんくさくなった私の事,LCDの枠を壊してしまうわ,フラットケーブルを断線させてしまうわで,もうなかなか先に進みません。

 10分ほどで終わる作業が1時間以上もかかりましたが,とりあえずやっつけました。

 確実な作業と,横着しないこと,そして見込みで進めないことという,若いときに手に入れた成功への秘訣をおろそかにし,時間ばかりを気にして結局余計に時間もかかり,下手をすれば失敗までしてしまうと言う,初心者に舞い戻ったようなもどかしさに打ちひしがれ,丁寧さに勝るものはないなあと改めて思ったのですが,LCDがかなり良好な状態で復活し,X-07はまた私に入手したときに感激を思い出させてくれました。

 そうそう,こういう感じだったんだよなあ・・・

 実は,ドナーと一緒に,専用のプリンタも手に入れています。ただしこれはNi-cd電池の液漏れで完全に壊れており,電源を入れても全く動作しません。

 プロッタプリンタに特有のボールペンも完全にダメになっていますし,これが復活してもあまりうれしくないですから,積極的な修理をしようという気持ちもありません。

 さりとて捨てるのもちょっともったいないしで,とりあえず分解して見るか,と言う感じです。

夏休みの検討課題

 今年から長期の連休ではなく,2日程度の連休が何度かあるという形の夏休みにしたのですが,子供の頃から続けてきた「夏の工作」も様変わりし,じっくり取り組むものというより,何かあったら困るからと言う理由で避けてきたいろいろな検討課題を潰す良い機会に位置づけました。

 まあその,何かあったら困るのうちほとんどが自分で余計な事をして何かを起こしてしまうという自爆なわけですが,それも最後にはなんとか片付いているので,良いとしましょう。

 で,今回は少し趣を変えて,以下の2つをやってみました。


(1)地デジPCのSSD導入

 これまで私の地デジPCは,信頼性を重視してSSDを使わず,HDDを使っていました。筐体の都合もあり2.5TBのHDDを500GBと2TBで区切って,前半にWIndowsをインストール,後半にデータを入れるようにしてあります。

 ところがこの2.5TB,かなり昔から動いているもので毎日長時間動き続けているものでもあり,そろそろ故障が心配になってきました。壊れてからでは遅すぎるので早めに手を打ちたいのですが,なにせコピーだけではHDDを置き換えられないのがWIndowsの世界で,そうして何ヶ月も気になったままになっていたのでした。

 そんなおり,SSDの価格が急激に下がっていることを知ります。私はSSDはサンディスクを好んで使うのですが,普及グレードであれば6500円ほどで240GBが買えてしまいます。安くなったものです。

 私のシステムでは起動をSSDから行ってもそれほどメリットはなく,むしろ信頼性でデメリットになるような気がしていたのですが,価格がここまで下がったら導入しない手はありません。

 SSDにすると,筐体のスペースの関係でこれまで出来なかった,起動用とデータ用を物理的に別のドライブ分けることが可能になります。また,万が一スワップが発生したときにもSSDなら有利でしょう。

 ということで,いずれやってくるHDDの故障に対する備えと,堆積の小さなSSDにすることでドライブを物理的に分けることが出来るというメリットを動機にし,SSD導入を断行しました。

 まずSSDの入手です。サンディスク製で最も安価なSSD PLUSの240GB(SDSSDA-240G-J26)にしました。ヨドバシで7130円,ポイントを差し引くと6400円ほどです。

 データ用のドライブはQNAPのNASに入れて使っていた3TBのWD REDです。これも2年以上24時間動作していたので,もういくらももたないだろうと思いますが,SMARTを見てもまだまだいけそうですし,もったいないのでこれを使い潰します。なにかあっても,データ用だけなら新しいものを買って交換するだけですから,そんなに心配はありません。

 本当はマウンタとかケーブルとか買わないといけないのですが,面倒なので手持ちを活用します。ただ電源の分岐だけは必要になることがわかっていたので,同時にかいました。

 作業ですが,本来ならWindowsをクリーンインストール,ドライバやアプリを入れ直してさっさと環境を再構築するべきなのですが,作業時間はともかく,(つきっ切りで作業をしないといけないので)放置しておけない今の私の状況から,クローニングソフトを使うことにしました。

 その昔,NortonGhostの世話になったのですが,今はEFIやらGPTやらで古いものを使うのも怖いですから,ここは皆さんがどうやっているかをgoogle先生に聞いてみます。

 なになに,EaseUS Todo Backupがいいという話です。無償でクローンが作れます。たくさんの方が利用されているようです。私もこれにしましょう。

 作業を始めると,クローン出来ないというエラーが出ました。これはディスクを修復して解決したのですが,クローンした物からブートしないというトラブルが発生。後でわかったのは,私の環境が64bitのWindows10でGPTであったことと,EFIの設定がブートデバイスとしてレガシーなものを排除したことが理由ではないかということです。

 このソフトでクローンを作ると,EFI用のパーティションなどが作成されないのです。MBRならそれでもいいんですが,GPTではそうもいきません。Windows7の32bitでMBRだと問題なく起動したかもしれません。(間違っているかも知れません)


 もうあれこれ考えている時間もありません。セクタ単位のコピーも試しましたが,EFIパーティションが作られない状況に変化はなく,従って起動しない状態も変わりません。

 BIOSから起動ドライブを変えようにも,SSDが選択出来ません。万事休す。

 そこでツールを変えてみます。AOMEI Backupperです。

 これもよく見るソフトで,起動してみるとちゃんとEFIパーティションを含めてクローニングしてくれそうな画面がでています。期待したのですが,無償版クローンの作成は出来ない事がわかり,ここでまたくじけそうになりました。

 ならばと,ここでHDDをバックアップ,SSDに復元という方法でクローンを作ります。無事作成が出来てからSSDだけを繋いで起動すると,見事にSSDからWindowsが起動しました。特に起動が高速という事もないのですが,起動してからの動作が機敏になったように思います。

 ここまできたら,後はデータを3TBのHDDにコピーして作業は終了です。6時間ほどもかかったでしょうか,最後はSSDを筐体に押し込み,フタを閉じて完成です。

 このあと,BIOSを最新のものにアップデートしたら,ブートデバイスにSSDを選ぶ事が出来るようになったのですが,その代わりレガシーなブートオプションを無効に出来なくなってしまいました。よくわかりませんが,もう深追いはしません。

 その後1週間ほど経過していますが,全く問題なく動作しています。速度という面でのメリットは予想通りあまりないのですが,ドライブを完全に分けられることの安心感は大きいです。

 価格的には1万円までで片付いたのですが,トラブルの未然防止が目的でもあったので,手に入れたものは安心感でした。今ひとつ費用対効果が目に見えないので,ちょっとさみしいなというのが,本音の所です。


(2)携帯電話

 私は未だにガラケーの愛用者です。とはいってもアンチスマホではないので,スマホは持っています。ただ,通話とデータ通信を分けているだけです。もちろんスマホは格安SIMで使っています。

 格安SIMで運用するスマホの泣き所は通話とキャリアメールにあるわけで,バリュープランのタイプSSでファミ割りMAXを使うと1000円未満で通話回線が維持できます。しかも無料通話分が1000円付いてくる上,家族間なら通話もiモードメールも無料です。

 これは当時も今も最安値でドコモの回線を維持する方法なのですが,端末を一括購入する代わりに安い料金プランを選択出来るというサービスだっただけに,対象機種がほとんど存在しない現在はなかなか加入できないプランらしいです。

 ということで,私は月々2000円ほどでドコモの通話とスマホを維持できているわけですが,これで全く不足はなく,ここでやみくもにスマホに完全移行すると倍の料金に跳ね上がるのに出来る事はなにも変わらないということが起きてしまうので,とてもバカらしいのです。

 ガラケーはその意味ではなかなか貴重な存在で,特にFOMA端末(3G専用端末)は新規に作られていないだけに,壊さないように大切に使う必要があります。

 しかし,傷だらけのFOMAに愛着などあろうはずものなく,実は長年使っていたSH-03Bを充電スタンドに置くとき,乱暴に押し込んだためにたわんでしまい,なんとLCDが割れてしまったのです。

 さすがに私はうろたえました。修理も出来ず,現在の契約を維持できる端末に買い換えることが出来るのかどうかもはっきりせず,とにかくどうしていいやらという状態でした。

 音声付きの格安SIMに切り替えて,全面的にスマホに移行する事も考えたのですが,それだと家族間の通話とメールの無料が外れてしまうので大変なことになります。やはり,なにか環境が変わらない間は,今の状況を維持した方がよさそうです。

 となると,方法は2つ。SH-03Bに代わる新しい端末を中古で買うこと,もう1つはSH-03Bを修理すること,です。

 前者は3GのFOMAに限られます。形はガラケーだけど中身はスマホ,と言う奴はだめなので,FOMAの最終機種を探してみます。するとSH-07Fが該当しそうです。これを中古で6000円ほどで調達しました。傷なしの備品という触れ込みでしたが,届いて見ると大きなキズがあり,がっかりです。
 
 後者は,汚く程度の悪い白のSH-03Bを3000円ほどdえ買いました。LCDだけ交換すればと思っていましたが,LCDだけの交換はかなり難しい事がわかり(両面テープをあっちこっち剥がさないといけない),スライドするLCD部を丸ごと交換することにしました。私のSH-03Bは黒だったので,上半分が白,下半分が黒のパンダSH-03Bが出来上がりました。

 もともと,データの移行用に修理したのでまともに動く事すら期待しなかった修理でしたが,6歳の娘の目の前で交換作業をした思い出も手伝って,まだまだちゃんと使える状態で復活してくれました。

 その翌日,SH-07Fが届き,キズにがっかりしたわけですが,これはこれでサクサクと動いて,なかなか快適なのです。SH-03Bを買った頃は,なんでもこれでやらねばならず,フルキーボードは非常にありがたかったのですが,通話とメールだけの端末ですから,別にテンキーでも文句はありません。

 なら,私が過去に使っていて,今でもお気に入りのD704iを通話とメール用に復活させてもよかったのですが,そこはほら,できるだけ壊れない新しいものが欲しいじゃあないですか,だから最終機種であるSH-07Fを買ってみたわけです。

 ということで,SIMを差し替えてSH-07Fを使おうとすると問題発生。SIMのサイズが合いません。手持ちのSIMパンチでmicroSIMにしてもいいんですが,壊れてしまうと面倒なのでここは素直にドコモショップに出向きます。

 特に面倒な話もなく,手数料2000円でSIMを交換してもらいました。念のためドコモのインフォメーションセンターに電話して,料金プランなどがSIMに紐付いていることと,違う端末に差し替えても契約内容はそのまま継承されることを確認しました。

 これでおしまい,といいたい所ですが,実は電池がへたっていたので新規に買おうとドコモショップでお願いしたのです。ところが買うことが出来ませんでした。

 SH-03B用の電池も頼んだのですが,こちらはすでに製造中止。まあこれはわかります。

 でも,SH-07Fものもドコモとしては販売していないというじゃありませんか。2014年の端末ですからね,2年に一度の交換として,まだ2回目くらいですよ。

 いくらなんでもそれはないと言いましたが,ダメなものはダメと言われて帰ってきました。インフォメーションセンターでも聞いて見ましたが,結論はメーカーは製造を中止していないしドコモとしても販売を終了していないが,在庫がないので販売出来ないということでした。

 そう言ってくれればいいだけの話なんですが,実はドコモオンラインショップでは在庫ありで,私も2個買うことが出来ました。あー,バカバカしい。

 スタンドも裏蓋も在庫ありで,問題なく届きました。6000円の端末に2500円ほどかけてしまい,まるで新品を買ったくらいの値段になってしまったのが残念ですが,まあ仕方がありません。

 買ってみた感想ですが,やっぱりただのガラケーです。ただ,1.2GHzのSH-mobileを搭載した機種だけに動作は機敏で,SH-03Bのもっさりとした感じはありません。画面が小さい,解像度が低く文字が大きい,そして動作がもっさりがガラケーの特徴なわけで,SH-07Fくらいになると,この3つについてはかなり解消されていますから,今どきのスマホになれた私でも,特に違和感を感じません。

 折りたたみのガラケーは,なかなか使いやすくていいんですよ。小さいし軽いし薄いし,機能も必要十分だし,電池は良く持つし,3Gですからね,通話の廻船はパケットではなく1対1ですから信頼性も抜群です。この非効率なネットワークの維持に,ドコモはかなりのお金をかけて品質を担保しているはずです。うしし。

 ということで,2025年だか2030年だか,ドコモは3Gサービスを停止するらしいですが,それまではこのまま使おうと思います。

 あ,ところでSH-03Bの修理ですが,これは詳しく書くほどもないくらい,簡単でした。下段の裏蓋をあけて,フレキを外してメイン基板を外してしまえば,スライド機構が出てきます。

 これを固定する金具を,左右4本ずつのビスをゆるめて外せば,上段のLCDブロックが外れます。この部分を丸ごと交換するだけです。10分もかからないでしょう。

 で,microSIMを通常のSIMにするアダプタを,SIMなしで差し込んでしまい,内部の端子が引っかかって抜けなくなってしまい,もう一度ばらしてなんとかアダプタを引き抜く羽目になったことは,ここだけの秘密です。


(3)時計

 1985年頃だったと思いますが,システム手帳なるものがブームになり,なんでもかんでもカードサイズにすることが流行した時代があります。電卓はおろか,ボールペンやシャーペンまでカードサイズになったおかしな時代でしたが,中学生だった当時,カシオのカードサイズのカレンダークロックを父親にもらいました。

 当時は珍しい大きさと薄さに万年カレンダーにアラームクロックを合体させたもので,CR-2016で数年間動作するのもなかなか優れものでした。

 喜んで使い始めた私は,これは時計として基本機能を満たしていないことに気が付きます。そう,精度が無茶苦茶なのです。

 すぐに使わなくなったこの時計が,再び私の目の前に姿を現したのは,今から5年ほど前です。実家を整理していた見つけた時計ですが,当時新築したての我が家には時計の需要が旺盛で,その小型薄型を見込まれて,トイレに設置されることになりました。

 しかし,これがまた大きくズレるのです。3年ほどで実に20分ほど進んでいます。いや,1年で6分とすれば1ヶ月では30秒ですので,これは一応クオーツ時計の標準的な仕様の範囲にギリギリ収まっています。

 でも,実力としてこの精度の時計はほとんど見られませんし,なにより私が許せません。

 単に時計を合わせ直せばいいかといえばそういうことでもなく,2ヶ月で1分もズレてしまえば,1分単位で生きている早朝には対応出来ません。

 やるしかないか・・・

 30年も前の時計ですので,そんなに難しい仕組みもないでしょう。調整が出来るかどうか,とりあえず分解です。

 缶に入った水晶発振子が時代を感じさせるのですが,その脇にあるチップコンデンサのサイズも大きく,懐かしいです。

 最初,この水晶発振子を新しいものに交換すれば,もう少し精度のいいものになるだろうと思っていたのです。

 と,その前にいくつかチェックランドがありますので,これをオシロスコープであたっていきます。1つ,きっちり32kHzが出ているランドを見つけました。水晶発振子は32.768kHzなのに,どうやって32kHzを作るのか,その必要性はなんなんだと首をかしげましたが,とにかくここの周波数が32kHzからどれだけズレているかで精度を見極めることができると考えました。

 周波数カウンタを起動し,早速周波数を測ります。

 現状では,32000.4Hzでした。これは日差1.08秒進むズレです。1ヶ月だと約30秒ですので,現実とほぼ一致します。うむうむ。

 新しい水晶発振子に交換すると,あろうことか32000.6Hzに悪化しました。話になりません。

 なら,元に戻して,近くのコンデンサを調整しましょう。20pFほどパラ付けすると,随分周波数が下がります。カットアンドトライをして,手持ちの2pFをパラ付けすると,32000.04Hzとなりました。これだと日差0.108秒進む計算ですから,1ヶ月で3秒,1年では40秒ほどのズレとなります。

 それでもまだまだ,と言いたいところですが,トリマコンデンサは場所がないので取り付けられませんし,そもそもここを32kHzぴったりにすればいいのかどうかも推測に過ぎません。とりあえずこれで様子を見ます。

 両面テープを貼り直してフロントのフィルムを張り直しますが,ここで失敗があったらしく,聞かないキーがあったりしました。もう一度やり直しますが,今度は粘着力が弱く,剥がれてきます。

 しかも,手持ちの関係でCR2016の代わりにCR2025を無理矢理押し込んだので,余計に剥がれてしまいます。1時間ほどすると,電池端子が外れたらしく,表示も消えてしまう有様です。

 真面目に組み直し,電池もCR2016を用意してなんとか復活させましたが,裏の板はパラ付けしたコンデンサが盛り上がってしまい,閉じません。これはもう仕方がないので,そのまま取り付けずにいきます。

 ということで,30年前にはあきらめて時計が,今こうして精度の調整を受け,最前線に投入されることになりました。


 時計があるとき突然修正されていると,ズレていることを前提に動いていた人が修正されたことを知らず,時刻を勘違いしてしまうということが起きるので,嫁さんにこの話をしたところ,この時計のずれがひどい事はわかっていたが,これはきっと「ほらほら急げよ」という神様の叱責だと,真摯なことをつぶやいていました。

 今後は神の叱責も応援もなく,そこにある真実だけを見て生活が出来るようになりました。時計がズレないことはとても大事な事だと,つくづく思った次第です。


 というわけで,3つほど気になっていた事が片付きました。今年の夏は,こんな夏でした。

 

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