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歪率計と低周波発振器の設計ミス

  • 2011/11/11 19:34
  • カテゴリー:make:

 秋も深まり,気温も下がって,日中も20度前後になる毎日,すっかり調整びよりです。

 夏休みに作った歪率計と低歪み低周波発振器は,秋になったらもう一度再調整をしようと考えていましたので,まずは調整が必要かどうか,確認をすることにしました。

 歪率計の完成後に出来上がった周波数カウンタを使って1kHzと10kHzの発振周波数を測定すると,ややずれている感じです。再調整はやっぱり必要だなあと,100Hzを見てみると発振していません。

 あれ,おかしい。波形を見ると,1kHzもクリップしていますし,100Hzも全然発振しません。調整がそんなに狂ったのかとVRをグルグル回しますがほとんど変化無しです。

 出力調整のVRを絞る方向に回すと,少し回しただけで大幅に振幅が小さくなります。もちろん波形はクリップしています。

 壊れたのかなあ・・・こういうときは電源電圧の確認だと,電圧を測定してみました。

 歪率計には±17V,発振器には±15Vが供給されているはずなのですが,今測定するとどちらも±14V付近です。どっかショートしているのかも知れないと確認しますがそういう場所も見つからず,電源回路を確認すればトランスの2次側が16Vrmsまで下がっています。三端子レギュレータを通れば3Vのドロップがありますから,このくらいの電圧は妥当です。

 どうやら,トランスが小さすぎたようです。16V-100mAの小型のトランスを使ったのですが,そんなに大きな電流が流れないアナログ回路ですから,トータル100mAも流れないだろうと高をくくっていました。

 確かに無負荷時の電圧を測定すると,ちゃんと±17Vと±15Vが出ていますが,特にリレーの載っている入出力基板が繋がると,途端に電圧が下がります。トランスの2次側が下がるので,±15Vも引っ張られて下がるのですね。

 こりゃーいかん。

 もう少し電流に余裕のあるトランスか,もう少し2次側の電圧の高いトランスに交換する必要があります。探してみてもそんなものはあるはずがなく,これは買うしかないとあきらめました。

 しかしトランスは現物を見てみないと大きさのイメージもわきませんし,値段もバラバラですので,通販はちょっとこわいです。(とはいえ真空管用のバカでかいトランスを持って帰るのは愚の骨頂なわけですが)

 背に腹は代えられません。まともなメーカーのトランスを800円ちょっとで購入。これは24V-100mAが2回路で,少し大きくなりますが,まあなんとか入るでしょう。

 トランスを注文して届くまでの間,少し状況を整理してみます。

 周波数カウンタを外せば,クリップもなくなるし,出力調整ボリュームも正常に動作します。ということは周波数カウンタに原因があるということです。

 周波数カウンタの入力アンプに問題があるとすれば,これはまた厄介な話です。せっかく上手く動いているのに,また検討しないといけません。

 まさか,と思い,ケーブルを周波数カウンタから外してみたのですが,やっぱり波形はクリップしたまま。ということは,どうもケーブルに問題があるようです。

 調べてみると,ケーブルがどこかでショートしているらしく,テスターであたれば,芯線と網線の間に数百Ωの抵抗が見えます。ケーブルを曲げればその値も変わりますので,間違いないでしょう。

 さすが,古いオシロのプローブの再利用です。ケーブルが内部でショートしているとは思いませんでした。ショートしている部分はケーブルの真ん中当たりのようで,これはもう捨てるしかありません。

 うーん,細身で曲がりやすく,かつ50Ωの同軸ケーブルって手持ちがないのよねえ。

 ということで,発振器の波形のクリップの原因は電圧の低下ではなく,周波数カウンタのケーブルのショートでした・・・

 しかし,電源電圧が正常ではなかったことが発覚した以上,ほっとくわけにはいきません。トランスが届いた翌日,さっさと組み込んで見ました。

 単純に交換しただけですので問題はないと思いますが,それでもAC100Vの部分ですのでやっぱりこわいです。

 恐る恐る電源を入れると,「パンッ」という何が破裂する音がします。なにか青白い火も見えました!

 あわてて電源を切って,ちょっとぼーっとしていたのですが,気を取り直して電源基板を見ても,どの部品も壊れた様子がありません。おかしいなあと思い,今度は電圧計を繋いで電源を入れてみます。電圧は正常値を示すのですが,5秒ほどするとまた「パンッ」という音が・・・

 これは確実にアウトです。でも,基板の上の部品には変化がありません。なにが破裂したのか確認するのに,さらに破裂をさせないといけなくなりました。しかし,以後は破裂音はしなくなりました。

 もしや,と思い基板を裏返すと,やっぱり・・・チップコンデンサが焦げていました。

 最近私は,パスコンなど0.1uF程度のパスコンには積極的にチップセラミックを使っています。取り付けも楽だし,ICの足下に置けますので性能も出ます。

 ところが,この手のチップセラミックって,耐圧が16V程度なわけです。部品に書いていないので記憶をたどるしかありませんが,例えば16Vだったら,今回のトランスの変更で入力電圧が30V近くになるわけですから,耐えきれなくなったんでしょう。

 負電圧側は同じ電圧がかかっていても破裂していなかったので,中途半端に壊れずにあるより,はっきり壊れてくれてむしろ助かりました。

 チップセラミックはせいぜい25V程度ですので,ここは50V耐圧のリード型のセラミックを用意して,これにすべて交換します。

 通電,電圧チェックをしますが,問題なし。回路の動作も問題なく,電圧が上がった分だけこれまで怪しかった動作が改善されているようです。

 しかし,三端子レギュレータに触ってみると,かなりの発熱です。これまでは発熱などほとんどなかったのですが,今回は50度を超えている感じです。

 ざっと計算してみますか。三端子レギュレータ(LM317)での電圧ドロップが10Vあって,電流が100mAとすれば,単純に1Wが熱になります。

 今回のLM317はTO220パッケージですので,仕様書からその熱抵抗を調べてみます。熱抵抗というのは文字通り熱の伝わりにくさを示す数字で,℃/Wという単位になります。1Wあたりの温度上昇を示しているわけですね。

 メーカーによって結構数字が違うのですが,ここではJRCの数字を使って見ます。LM317のオリジナルメーカーであるナショセミの仕様書は,随分緩いんですね。だから厳しいJRCのものを使うのですが,調べてみると,70℃/Wとあります。

 今回の回路では1Wが熱になるわけですから,TO220パッケージでは70℃まで上昇するな,とこんな風に考えるのです。

 では,何度まで上昇していいかを考えてみましょう。シリコンのジャンクション温度の最大値は150℃とされていますが,150℃になると確実に壊れるので,一般的に保存温度の最高値である125℃を限界と考えます。

 そして,周囲温度はどうするかですが,密閉空間ということもあり,50℃くらいまでは動いて欲しいなあと思いますから,ここは50℃とします。すると許容される温度情報は125-50で,75℃となります。

 先程,1Wの電力ではTO220パッケージは70℃まで温度が上がるとなっていました。温度上昇は75℃まで許容できるのですから,今回のケースではヒートシンク無しで大丈夫そうです。

 ということはですね,75℃の温度上昇がある時の電力は1.07Wとなります。これは電圧ドロップが10Vの時107mAに相当しますので,ちょっと余裕がなさ過ぎです。

 もしも,温度上昇の最大値を超える発熱があるのであれば,周囲温度を下げる(強制空冷や水冷),ジャンクション温度を上げる(シリコン以外を使う),あるいは発熱を下げる(電流を減らすか入出力電位差を小さくする)ことになります。しかしいずれも出来ない場合がほとんどですので,その場合にはパッケージの熱抵抗を下げて,1Wあたりの温度上昇を小さくするしかありません。ヒートシンクを取り付けるというのは,このことに他なりません。

 今回のケースでは,どうやらヒートシンクなしでもギリギリ大丈夫という結論ですが,かなり熱いのは事実ですし,出来れば少しでも温度を下げた方がいいと考えて,1.0mm厚のアルミ板をL字に曲げて取り付けました。

 これもざっと概算してみます。

 1.0mm厚のアルミ板を今回の40mmx25mmにしたとき,その熱抵抗は,あるデータによると,ざっと40℃/Wだそうです。

 この放熱器を取り付けた場合のトータルの熱抵抗は,ジャンクションとパッケージの接触面までの熱抵抗θjcと,パッケージ接触面から放熱器の表面までの熱抵抗θCHと,放熱器の熱抵抗θHSの和です。

 TO220のθjcは5℃/W,θCHは絶縁シートや締め付けトルクに寄りますが,一般的に0.4℃/Wを使います。故にトータル45.4℃/Wとなります。これが75℃になるのは1.65Wとなりますので,10Vの電圧ドロップ時には165mAとなります。まあ,これくらいなら少しはゆとりもあるでしょうか。

 一方,±15V系を計算して見ます。電圧ドロップが12Vで電流が30mAとすれば0.36Wです。78L15のパッケージであるTO92の熱抵抗はJRCの仕様書にある数字を採用すれば,200℃/Wということですので,温度上昇は72℃となりました。

 そして,許容される最大温度上昇については,先程の計算と同じで75℃です。ギリギリです。

 電圧ドロップが12Vと大きいので,ここを17Vから生成できればわずか2Vとなりますので,相当余裕が生まれます。しかし78L15の最低電位差は1.7Vですので,こちらも結構ギリギリです。難しい所ですが,ここは17V系の消費電力が上がってしまうことも気になりますので,少々危険ですが現状のままとしましょう。

 ところで,このTO92の熱抵抗ですが,ナショセミの数字を見ると,足の長さを基板から10mm程伸ばした場合には180℃/Wとのことで,これを3.2mm程まで近づけると,160℃/Wまで下がるんだそうです。奥が深いですね。

 で,電源電圧が変わったのですから,これはもう再調整しかありません。まず発振器をざっくり調整します。ざっくりといっても,周波数だけは真面目にあわせます。

 そして,歪率計を1kHz,10kHz,100Hzと調整をしていきます。調整箇所から大きく外れていないようですが,トータルゲインだけは少しズレがあったので再調整です。

 歪率計が調整出来たら,再度発振器です。周波数は調整済みですので,今度は帰還率と積分器を調整します。歪率を下げると発振がなかなか安定しないので,そこそこのところで妥協しますが,その結果これまでの値よりも若干悪くなってしまいました。

 発振器の最終結果です。

0.00064%(1kHz)
0.00205%(10kHz)
0.0038%(100Hz)

 これまでの最終値は,

0.0005%(1kHz)
0.0022%(10kHz)
0.0031%(100Hz)

 というわけで,10kHzを除いて若干悪くなっています。まあ誤差みたいなものですし,もともと低い値ですので,これくらいはもう気にしません。

 さて,これで歪率計・低歪み低周波発振器の検討は,本当に終了。あとは実戦配備のみです。しかし,実際に歪み率の測定をやってわかったのですが,結構大変なのです。時間もかかるし,同じ作業を何度も繰り返すので,ついうっかり手順を間違えてそのまま先に進んだり,測定中に条件が変わったりするようなことがあると,どうも値が綺麗に出てこないので,また測定し直しになったりします。

 それでも,温度や経年変化に対する変動の実力が案外小さいことが分かったので,一安心です。これでなにを測定しようか?

爆誕

  • 2011/11/02 22:08
  • カテゴリー:make:

 えと,娘が生まれました。もちろん,私にとっての初めての子供です。

 さすがに私たちの子供らしく,まあ大変でした。

 公式には26時間にもおよぶ難産で,陣痛があった総時間は約40時間という壮絶さ。

 長時間にわたる分娩の促進剤投与によるリスク。ギリギリの判断で急遽行われた吸引分娩。

 最新の設備,圧倒的な物量,そして優秀なドクターやスタッフの美しい連携と献身的なサポート。

 なにより,嫁さんの不屈の精神。私も一晩病院に泊まりました。

 何かが一つ間違っていれば,必ず誰かが「後悔」したと思います。それほどの難産でした。

 不思議なもので,生まれた直後の娘を見ても,私は何も感じなかったのです。

 嫁さんも自分の事で精一杯で,なんだか感動が薄いのです。

 でも,私の手の中で,興味深そうに私を見つめる小さな眼を見返すと,勝手に涙がぼろぼろとあふれてくるのです。なぜだかさっぱりわかりません。

 2011年11月2日14時ちょうど。この日は我々にとっての,大事な記念日になります,

絶滅危惧種確保part2

  • 2011/10/27 17:27
  • カテゴリー:make:

 先日,周波数カウンタのプリアンプの検討の際に,思いの外の好成績を挙げた2SA562ですが,とても使いやすく性能も出やすいという手応えを感じた一方で,名前から察するにかなり古いトランジスタと思われ,今のうちに数を確保しておこうと考えました。

 この2SA562,私の感触では2SA1015なんかよりもずっと懐の深いトランジスタで,ちょっと重い負荷でもへこたれず,ちょっと周波数が高くなっても踏ん張ってくれる,なかなか頼もしいトランジスタです。

 で,コンプリメンタリの相手方を捜してみると,2SC1959とあります。なるほど,2SC1959も使いやすい便利なトランジスタです。個人的には,小学校の時に初めて買ってもらった電子工作キットに使われていたトランジスタが2SC1815と2SC1959でしたから,2SC1815の次に覚えた懐かしいトランジスタだったりします。

 2SC2120という同じ大きさでさらに電力の大きなトランジスタにその座を譲った感がありますが,fTは2SC2120なんて目じゃないです。

 それにしても,2SC1959の相手が2SA562っていうのは,ちょっと年が離れた夫婦みたいになってませんかね。おかしいと思って,2SA562の古い仕様書を見てみると,相手はなんと2SC735とあります。

 なるほど,2SA562は再婚でしたか。

 2SC735といえば,2SC372よりも一回り大きな電力を扱えるトランジスタでした。やがて2SC372が2SC1815になり,2SC735が2SC1959になったわけですが,2SC1959についてはコンプリメンタリの相手をそのまま2SA562が務めることになったんですね。

 そんなわけで,2SA562の安いところを探したのですが,ついでにそこで見つけた,面白いトランジスタをいくつか買うことにしました。

・2SA562 / 2SC1959

 前述のトランジスタです。それぞれ50個ずつ買いました。2SC1815の気分で使えるのですが,電力,周波数特性に少しずつゆとりがあり,便利なトランジスタです。


・2SC382

 2SC380は40年ほど前の高周波トランジスタとしてメジャーな存在でしたが,そういえば2SC382ってなんだろうと思って調べてみると,フォワードAGC向けのトランジスタなんだそうです。

 フォワードAGCというのは,コレクタ電流が増加するとhFEが小さくなるようなちょっと特殊なトランジスタを使ってAGCをかけるもの,ということらしく,2SC382はそのために生まれたトランジスタということです。まあ,昔のリモートカットオフ管みたいなもんですかね。

 どっちにしても,互換品も代替品も見当たらないものだそうなので,買っておくことにしました。ただ,高周波には縁のない私のことですので,あまり出番はないかも知れません。


・2SC372 / 2SC373

 言わずと知れた,東芝の汎用シリコントランジスタです。偉大なる2SC1815の先祖にあたります。考えてみると,このトランジスタのスペックが汎用品として広く受け入れられたから,他社にも2SC458,2SC536,2SC828,2SC945といったロングセラーが登場し,さらに2SC1815や2SC2450というトランジスタに繋がるわけですね。

 で,2SC373というのは,2SC372よりもhFEの大きなものです。今だと同じ品番でランク分けを行うだけで済ませる程度の差ですが,この頃の東芝は律儀に品番まで分けていました。

 2SC372や373など,別に珍しくもないのですが,この頃の東芝のトランジスタは独自の形状をしていて,ツバ付きのエポキシパッケージに丸いピンが出ていました。まあ,他社も独自形状だった時代の話なのですが,これが後にTO-92というパッケージに統一されると,2SC372や372もこのパッケージに移行しました。

 今回手に入れたのは,このツバ付きの旧パッケージです。旧パッケージにはさらにロゴの違いで新旧があるようで,古いものは「Toshiba」と筆記体で書いた懐かしいロゴが書かれています。その後「Tx:」という謎のマーキングが入るようになります。

 ということで,パッケージが古い2SC372の未使用品がいくつか手に入りました。2SC373についてはTO-92になったものなので全く珍しくありませんが,私は2SC373の手持ちが全くなかったので,これはこれでよいです。


・No.88豆コイル

 在庫処分で売られていたもので,4つ買いました。1970年代の初歩のラジオや子供の科学などでは良く登場したコイルです。何のことはない,AMラジオの帯域向けの,発振コイルです。

 スーパーラジオの局発コイル(赤いコアですね)で代用可能な例ばかりを見ていたので,特に必要性も感じなかったのですが,こういう部品こそもう入手不可能だろうということで,コレクション的に買うことにしました。というものの,実はアキバの部品屋さんでは今も買うことが出来るようです。

 私は,実物を見るのも初めてです。私より1世代上の人たちには懐かしいのでしょう。

 昔のラジオ用コイルには,端子にP,G,B,Eと名前が付いていました。真空管時代のなごりで,Pは前段のプレート,BはB電源,Gは次段のグリッドに,Eはアースに繋ぐことが前提になっていて,こんな名前が付いているのですね。

 現物が届いてみると,なかなか手作りっぽくて面白いです。存在すら知らない人が多いのではと思う現代でも,持っていれば何かの役に立つ事があるかも知れません。


・TC74HC4060

 これは別に珍しくもないし,現役バリバリですね。絶滅危惧種かどうかも分からないです。安かったので20個ほどまとめ買いしました。

 いやなに,不肖私,このICのことをついこないだまで全然知らなかったのです。名称から4000シリーズのCMOSだろうとは思いましたが,4020や4040は知っていても4060は全然馴染みがなく,聞いたこともなかったのです。

 ところが,ここ数年の子供の科学を見ていると,ちょくちょく登場するのです。あまり興味もなく読み飛ばしていましたが,ある時回路図をじっとみていると,このICに直接抵抗とコンデンサがくっついて,なにやら発振までやっていそうな感じです。

 調べてみると,14段のカウンタに,発振器として使えるインバータを内蔵しているという,誠に便利なICだと分かりました。発振器は外に4049などを使って作るのが当たり前だと思っていましたから,うーん,RCAは面白いICを作るなあと感心した次第です。

 しかし,32.768kHzの水晶発振から1Hzを作るには1段足りないわけで,なんでもう1段入れておかなかったのかと不思議な気もします。それがまたRCAっぽいと言えなくもありません。

 まあ,この手の多段カウンタ(12段とか14段とか)は結構いい値段しますので,安く買えて良かったという程度の話です。

 というわけで,いろいろ買い集めて結局死ぬまでに使い切れないと思うのですが,子供の頃は必要なだけしか買わなかった部品も,最近は2つずつ買って予備にしたり,日頃から少しずつ買い集めるようなことをしています。使いもしないのに貴重な部品を集めるのは道義的に問題があるようにも思うのですが,半導体だけは入手不可能になると代わりのものが探しにくいものですので,やっぱり馴染みのあるものは手元にある程度確保しておきたいと思うものです。

 あとは,まだ絶滅危惧種というわけではないのですが,気になっているトランジスタを少し集めておこうと思います。

・2SC982・・・ダーリントントランジスタのかつての定番で,初歩のラジオや子供の科学の工作記事で良く目にした。なにせhFEが10000という強烈な値を誇り,知識のない小学生には異次元のトランジスタに見えたものだが,VBEが1.2Vという欠点があることを知り,世の中うまい話はないと悟ることになる。そもそも2SC1815をダーリントン接続すればほとんどの場合置き換え可能。

・2SD235・・・豆電球やモータなどの負荷をドライブするときには必ず登場した,TO-220パッケージの電力用トランジスタ。2SC1061や2SC1096が互換品として引き合いに出されたが,2SD235が一番簡単に手に入った。後に2SD880に世代交代するが,2SD880も廃品種になった現在,みんなどうしているのかなあと思う。私?2SC1061を50個ほど持っているので心配ないです。

周波数カウンタをグレードアップ

  • 2011/10/11 14:59
  • カテゴリー:make:

 周波数カウンタの改良をしました。

(1)精度

 これまでは,12.8000MHzに調整したTCXOを使っていました。しかし,これも25年近く前の部品ですし,調整だってスペアナの周波数カウンタ機能を使って行った物ですので,どうも自信がありません。

 そこで,某巨大オークション経由でOCXOを買いました。といってもジャンクの外し品で,精度もどれくらい出ているかわかりません。値段も安く,あてにする方が間違いと思われるほどです。

 周波数カウンタへの内蔵も考えたので5Vで動く物を選びましたが,現物が届いてあきらめました。まず想像以上に大きいこと。そして大飯ぐらいなこと,特に起動直後は800mA近くも電流を食っています。そして熱いこと。OXCOなんですから当たり前ですが,この熱さでは小さいケースに閉じ込めるわけにいきません。致命的なのは,ウォームアップに1時間ほどかかったことです。

 15分ほどで安定してきますが,そこから1時間くらいはゆっくり周波数が上がっていきます。最終的に落ち着いたのは,電源投入後3時間を経過してからでした。これはちょっと厳しいです。

 そこで,このOCXOはリファレンスクロックとして使い,これを元にTCXOを再調整します。

 ほとんどずれておらず,気温25度で30Hzほど低くなっていました。10MHzに対して30Hzですので,-3ppmですか。おー,結構いい数字だったんですね。

 これをもう少し追い込んで,10時間で±5Hzの変動になるようにしました。これで±0.5ppmです。温度変化に対して±3ppmという仕様ですので,これを加味しても10MHzフルカウントに対し,誤差は±35Hz以内ということになります。

 まあ,8桁のカウンタとしては少々心許ないのですが,ここから先はもう泥沼になりそうなので,妥協することにします。

 それにしても,実力は10MHzに対し3Hz程度のズレだったりしますので,素人が使う測定器としては十分という事にしておきましょう。

 この検討で分かったもう1つのことは,PLLが大変安定して動作していたことでした。12.8MHzから10MHzを作るPLLは,もしかすると周波数の揺らぎが長周期であるのではないかと思っていましたが,電源投入後に30秒もすると,ぴたっと数字が止まって動きません。これなら十分使い物になります。


(2)広帯域化

 現状は,1/10プリスケーラを使った場合,DC~24MHzまででした。プリスケーラを使って精度を一桁悪くして,24MHzくらいで頭打ちというのはあまりに惜しいので,以下の改造を行います。

・高速ロジックICへの交換

 プリアンプ出力を波形整形する74HC14と,1/10分周を行う74HC390の2つが広帯域化を阻んでいますので,これを74ACシリーズに交換します。入手がそろそろ難しくなってくるころかも知れませんので,早めに手配が肝心です。

 74AC14と74AC390は,本来100MHz以上でも動作する高速C-MOSロジックです。一気に100MHzを狙えるかと思いましたが,まずICだけを交換したところ,50MHz位でミスカウントを起こします。それでも随分改善した物ですが,これはもうプリアンプに手を入れないと,実力を発揮できません。

・プリアンプのトランジスタを交換

 プリアンプは,初段が2SK241,2段目が2SC1815,3段目が2SA1015の校正です。2段目と3段目でしっかりゲインを確保して,次の74AC14に送り出します。

 実は,仕様書にかかれた2SC1815や2SA1015のfT(80MHz)は結構控えめな数字で,ちゃんとコレクタ電流を流してやると200MHzくらいまで伸びてきます。FMラジオくらいなら十分作る事が出来る性能です。

 ですが,さすがにしっかりゲインを確保するのは難しいようで,ここに定番の高周波トランジスタである2SC1906を使う事にしました。

 ピン配置も同じですので,まずは2SC1815を交換します。ついでに,電源のノイズ対策(フェライトビーズとパスコン追加)と,シュミットインバータの帰還抵抗を大きなリード部品から,チップ部品に変更しておきます。

 お,60MHzくらいまで伸びました。けど64MHzではコケますね。

 仕方がありません,あまり気乗りしませんが2SA1015を交換しましょう。PNPの高周波用トランジスタというのは品種が少なく,ちょっと定番が思いつきません。ぱっと調べて2SA1161という謎のトランジスタを購入しました。

 東芝のトランジスタなのですが,データシートが見つからず,CQ出版のデータブックで概略を掴んだ程度です。2GHzを越えるfTは立派なものですが,hFEが20というのは小さすぎないか?まるでゲルマニウム時代の2SDxxみたいです。

 これに2SA1015を交換しますと,おおー,なんと68MHzをラクラククリア。シュミットをバイパスして直接プリアンプ出力を74AC390に入れると,100MHzもカウントします。さすが高周波用トランジスタです。

 しかし,今度は低周波で感度がガタ落ちです。従来,1kHzで20mVrmsだった感度は,100mVrmsを越えてもカウントしません。ガタ落ちというか,もう低周波領域では動かなくなったといってもいいでしょう。波形を見ると,ゲインが低いようで波高値が小さいままです。

 こりゃいかんということで,手持ちのPNPトランジスタを片っ端から試すことにします。fTが1GHzの2SA711なんかは期待できそうだったのですが,いまいち。

 で,試行錯誤の末最も良い結果を出したのが,2SA562。2SC1959のコンプリです。2SC1959といえば,2SC1815ではちょっと心許ない時に使う,1ランク大きな電流を扱える便利なトランジスタです。今時はもう1ランク上の2SC2120などが定番化しているのですが,2SC1959は高周波特性も良好で,ちょっと他に変わりがないトランジスタだなあと思ったりします。

 で,2SA562と2SA1015を比べてみると,2SA562はコレクタ電流が大きくても小さくても,fTがあまり変化しません。150MHzから300MHzくらいです。一方の2SA1015は,コレクタ電流が小さい時のfTの低下が顕著で,コレクタ電流が低いときは50MHzを割り込みます。でも,コレクタ電流を50mAも流すと,fTは一気に400MHzを越えるのです。

 だから,今回の回路でもコレクタ電流を増やしてやるだけで済んだことかもしれないのですが,面倒なので2SA562に置き換えることで決着です。低周波特性も変わらず,20mVrmsを維持しつつ,高周波は68MHzをクリアする性能を実現しました。

・その他対策

 74AC390の入力部にプローブを当てると,特に64MHzを越えるところでミスカウントがウソのようになくなります。波形の乱れによってトゲが出ているのが,プローブのような小容量のコンデンサをあてがうと消えるので,ミスカウントしなくなるのではないかと思います。

 そこで,10pFくらいのコンデンサをGNDとの間に入れました。これで高周波でもミスカウントしなくなります。

 また,74AC390からの出力ですが,74ACのような高速で強力なドライバを持つICは,出力波形が結構暴れます。そこでダンピング抵抗をいれました。分周後ですので10MHz未満ですからいらないといえばいらないのですが,後段のICを保護する目的もあり,オーバーシュートとアンダーシュートを小さくする目的で,330Ωという結構重い抵抗を入れました。


 ということで,高精度化と広帯域化を実現した周波数カウンタは,かなり使える機材となった気がします。本当なら1/10プリスケーラで100MHzくらいまで測定出来ると素晴らしかったのですが,実際にそこまで必要な事は少ないでしょうし,あまりいじくり回して壊してしまっても残念なので,このくらいでよいことにします。

次の工作テーマ

  • 2011/09/27 11:07
  • カテゴリー:make:

 歪率計,低歪み発振器,そして周波数カウンタといくつかの自作測定器がに動き出しました。周波数カウンタについては,1/10分周器を74AC390で作るなど,広帯域化を行う予定でいますが,それはまあ部品を買ってきて交換するだけの話ですので,大したことではありません。

 ですが,最後の大物が1つ控えています。安定化電源器です。

 安定化電源器については,私が12歳の時に,シリコンハウス共立のオリジナルキットで作った,1~14V・3Aの電源器が現役で,随分重宝しています。ショートなどの過電流に対する保護回路がサイリスタによる電源のカットであり,良くある電流リミッタと違って,電源器の破壊を保護するのではなく,負荷の破壊を防ぐという役割が非常に助かっています。

 当時も,0V近いところから電圧を可変出来ること,3Aから5Aくらいまでの電流を取ることができる事,電圧は15V程度まで出せることを条件に選んだキットで,この25年,本当に役に立ってくれました。

 ただ,問題がないわけではなく,もう少し電圧が上がって欲しいこと,電圧の変動が結構あるということ,負荷が重いときは電圧がやや下がるということ,あと突入電流にも律儀に保護回路が働いてしまうことです。これらは「そんなものだ」と頭に入れておけば問題になることも少ないのですが,それを差し引いてもベークライトの基板はかなり劣化が進み,なにか手を打たないとまずいなと思っていました。

 そんなおり,秋月の再販リストに,超定番の安定化電源キットが出ていました。あれ,これって販売中止になっていたのか,と改めて驚いたのですが,ひょっとするとパワートランジスタや723といった部品の確保が難しくなっているのかも知れません。今回の再販も数量限定とのことでした。

 他の買い物と一緒に買っておいたこのキットですが,なにせ電源トランスにかなり大げさな物を使う必要があり,そのままつくると大変です。そこでケースや電圧計,電流計,そして電源トランスを流用することで,中身を新規にするという作戦を考えています。

 そのためにやらねばならないことがいくつかあります。


(1)電圧の低いトランスを使いこなす

 現在使っている電源器のトランスは,16Vで3Aというものです。軽負荷なら20V位のDCが取れるだろうと思いますが,秋月のキットは入出力電位差が10Vも必要です。例えば20Vの出力が欲しかったら,入力は30Vないといけないのですが,これで3Aや5Aのトランスなんてのは,もう鉄と銅の塊そのものです。

 入力と出力の電圧差を小さくするには,まずレギュレータICの723の電源電圧を別に供給することです。16Vの巻線から取ると,負荷の重い時に電圧が下がり16Vくらいまで下がるかもしれません。パワートランジスタの駆動がダーリントン接続になっていて,しかも723内部でもう1段ダーリントン接続になっているらしく,これだけで3V近く,出力電圧に対してICの電源電圧が高くないといけません。

 そこで723の電源を分離し,これを別巻線の電源から作り,20Vほどの電圧を供給するのです。723の消費電流は大きくないので,そんなに大げさな回路にはなりません。こうすると,15V位までなら制御可能になるでしょう。


(2)平滑コンデンサは22000uF

 現在の電源器は,22000uFという大きな物を搭載しています。劣化が相当進んでいるように思いますが,これはまあ流用しましょう。


(3)パワートランジスタを1つ減らす

 キットの回路では,2SC5200というパワートランジスタを2パラで使っています。結果10Aという大電流の制御が可能となっていますが,トランジスタをパラで使う時にはアンバランスが起きないよう,低い抵抗を介してパラ接続します。

 しかし,この抵抗の電圧降下がバカになりません。0.1Ωですので,例えば5A流れると0.5Vです。ただでさえ重い負荷で入力電圧に余裕がないのに,こんな所で電圧が下がったらもったいないです。

 そこで,パワートランジスタを1つにします。単純に5Aまでとなりますが,そもそもトランスが3Aまでしか取れないわけですし,10A仕様にすることはオーバースペックです。パワートランジスタを1つにすれば,現在の電源器で使っている2N3055(東芝製というのが80年代らしいですね)をそのまま,放熱器ごと流用できます。

 2N3055のhFEは100以下,一方の2SC5200は160ほどあるようですが,2N3055を1つだけドライブするなら似たようなものです。回路の変更もせずにそのまま部品を流用し,しかもバランス用の抵抗もいらず電圧降下を防ぐ事も出来て,好都合です。


(4)電流制限回路

 723は,2ピンと3ピンの電圧が0.6Vになると電流制限がかかるようになっています。ということは,負荷に流れる電流を低い抵抗でモニタし,この抵抗の電圧降下を使う必要があります。

 キットの回路では,この抵抗に0.1Ωのパラ付け(0.05Ω)を使っていますが,これだと12Aで保護回路が働くので,あんまり保護してくれそうにありません。また,この回路には保護回路の動作電流調整VRが付いていますが,これは保護回路が働く電流を大きくなるように調整する物であり,12A以下に出来るわけではありません。

 私の場合,3Aで保護回路を働かせたいわけですから,ここは0.2Ωにするのが正しいです。大きくする方向の電流リミッタ調整などあっても仕方がないので,その機能は省略し,3A以上にならないようにする回路とします。

 ちょっとgoogleで調べてみたのですが,この電流検出抵抗に直列にダイオードを入れて,0.6Vをバイアスするという方法で,0Aから動作電流を可変出来るようにしている人がいます。

 なるほど,それも手だなと思いましたが,考えてみるとここで必ず0.6Vのドロップがあること,例えば3Aの電流を引っ張ったとき0.6V x 3Aで1.8Wもの電力がここで消費されるなど,あまり良くなさそうです。

 ただ,0Aからリミッタを可変出来るのは魅力ですね。3Aなんて流れたら,あっという間に炭になってしまう部品も多いです。もうちょっと考える事にしましょう。


(5)SENS端子と電流計

 回路に入った電流計は低い抵抗に見えますから,そこで電圧のドロップがおきます。当たり前の話ですが,ドロップした電圧を計って安定化する機能が,このキットにはあります。それがSENS端子ですが,フィードバックループの一部を引っ張り回すわけですから,発振しやすくなるのも道理です。気をつけなければなりません。

 同様に,電圧可変用のVRも,あまり配線を引っ張り回すと発振します。手持ちの多回転VR(1kΩ)を使うか,1回転の巻線タイプ(2kΩ)を使うか,悩ましいところです。


(6)723に供給する電源

 先程,レギュレータICの723に供給する電圧を別巻線から取る,と書きましたが,今使っている共立のキット付属の電源トランスは,0V-35V-43Vという,いかにも往年のトランジスタアンプを前提に作られたかのようなトランスです。

 共立のキットでは,35VをGNDに接地して+35Vと-8Vを作りだし制御回路に供給することで,電圧可変範囲を1V未満からスタート出来るようなっていますが,今回は単純に20V程の電圧が欲しいだけです。

 723の耐圧は40Vまで。35V巻線から整流するだけでは簡単に越えてしまう電圧だけに,なんとかしてドロップさせねばならないのですが,ここはツェナーダイオードでも使って,ローテクでみましょう。


 とまあ,プランとしてはこんなものでしょうか。723はレギュレータICとしては初期に登場した古典で,30年以上前から多くの所で使われてきました。その割には私は一度も使ったことがなく,今回の製作が最初で最後となりそうです。

 

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