エントリー

カテゴリー「make:」の検索結果は以下のとおりです。

TDS3054Bを手に入れました

  • 2017/04/10 09:09
  • カテゴリー:make:

 先日,ふとしたことから,テクトロニクスのオシロスコープ,TDS3054Bを手に入れました。大変リーズナブルに手に入ったのですが,もちろん訳ありです。電源が入りにくかったり,突然切れたりします。

 また,アプリケーションモジュール(正面パネルの右上に4つあるスロットに入れるアップグレードモジュールのこと)はすべて抜かれており,付属品は一切なし。壊れているのかそうでないのかさえも,わかりません。

 そもそも,TDS3054Bってどんなオシロよ?

 私はデジタルに移行してからのテクトロのオシロには全く興味はなく,MEGA ZOOMが搭載されたHPのオシロを触って以降,HP(->アジレント->キーサイト)に宗門替えをしました。

 長年使っているアナログオシロの2465Aは,トリガの切れ味や見やすい表示,非常にまとまった操作系で,さすがテクトロと今でも思うのですが,その後のTASシリーズやTDSの初期のものは使いにくく,これが本当にあのテクトロなのか,と愕然としたものです。

 そこへ現れたのがHPの54645Dで,1MByteの当時としては大容量のメモリに,表示されていない部分も含めてとにかく常に目一杯記録し,水平軸を変更してもいちいち波形を取り直さないという,ごく自然なことを可能にしていたMEGA ZOOMにいたく感動したことで,私の「オシロだけはテクトロかなあ」という思い込みは覆ったのでした。

 このあたりの経緯は何度も書いているのでもう改めて書きませんが,実はこの頃のテクトロのデジタルオシロの定番品がTDS3000シリーズです。

 TDS3000シリーズはDPOと彼らがよんでいるシリーズで,波形の登場頻度を輝度の違いで表示することで,アナログオシロを擬似的に再現するもので,デジタルオシロが苦手としていた観測が可能になると,当時盛んに宣伝されていました。

 しかし,デジタルオシロの基本機能を決定付けるメモリについては,いかんせん10kWordしかありませんので,今見えている分だけが記録されるに過ぎず,水平軸を切り替えればまた波形の取り直しになるのです。

 限られたメモリを目一杯使うにはこの方法以外にないわけですが,こうした技術的制約をすでにHPが打破していたことを考えると,もうちょっとどうにかならんのかと,当時の私は思っていました。

 なにせ,トラブルシューティングには,問題の尻尾をつかむのが最優先です。オシロスコープがないと手も足も出ないトラブルが,オシロで波形を見たら一杯でわかったという経験は多くの方がされていると思いますが,これも結局そのトラブルが可視化できたからであり,オシロを使ったから解決したわけではありません。

 問題箇所の波形がいつでも取り込めるのであればいいのですが,えてしてなかなか問題発生の瞬間に波形が取り込めることは少なく,最初はとにかく手探りになります。そんな中で取り込めた「尻尾」はまさに宝物です。

 以前横河のDL1540を使っていた時,そうして取り込んだ「尻尾」が,うっかりいじった水平軸のツマミで消えてしまったことがあり,自らの愚かさに涙したことがありました。しかもご丁寧に,DL1540は水平軸を切り替えた時にキャリブレーションまで行うので,数秒間の待ち時間が発生します。私が,消えた波形を偲んで涙に暮れるには十分過ぎる時間でした。

 そんなわけで,HP54645Dはその後大活躍することになり,ライバルとされていたTDS3000シリーズには全く興味関心を持たずに来てしまったのです。

 今回改めてTDS3000シリーズを調べて見ると,2400シリーズなどがかつて担っていたメインストリームで,3000B,3000Cと改版を重ねてロングセラーになったモデルという事がわかりました。

 DPOによって波形の登場頻度が輝度でわかることから,アナログオシロからの置き換えが本当の意味で可能になった記念碑的モデルでもあります。前述のようにメモリは少なく,画面の更新頻度も今どきの廉価版に負けていますが,さすがにプロが認めたオシロスコープであり,この機種以降アナログオシロは急激に数を減らすことになるのです。

 そんなTDS3000シリーズにあって,私が手に入れたTDS3054Bは2001年に登場した2世代目のモデルで,帯域500MHz,4chの上位機種(最上位といえないのは600MHzのモデルがあるから)です。いや,もうなにも言うまい。500MHzですよ,4chですよ。当時の価格で200万円近くですよ。

 オシロスコープなどは,あまり付加機能があっても仕方がなく,どれだけレアな発生頻度の波形をきっちり取り込めるのかが最も大事です。そのために多くのトリガモードを備え,それぞれに切れ味のいいトリガがかかることがまさに命です。

 トリガがかからないのは話になりませんが,かかって欲しくない時にかかってしまうのも困りもので,その後にあったかもしれない問題波形を取りこぼしたり,余計な波形ばかりで何度も何度もやり直す羽目になったりするのは,効率も良くありません。

 欲しい波形をピンポイントで狙って取りこむ力,これこそトリガのキレであり,テクトロはその辺は心配ないでしょう。キレの悪い,ぬるいトリガのオシロは,5秒で使う気がなくなります。

 頑張っても頑張っても尻尾がつかめない時,このオシロで取れないなら,問題はここには存在しないのかもしれない,他を当たってみるかと考える事が可能かどうかは,測定器に対する信頼という形で,言い表せます。

 確かにメモリが少ないことは残念な所ではありますが,5Gsample/secというサンプリング能力は,HP54645Dとは性能以前の問題としてサンプリングに対する考え方の違いもあって圧倒的なものを持っていますし,基本性能をみてもうちで最強の500MHz,4chのオシロですから,粗末に扱うわけにはいけません。

 ロジックアナライザと統合され,トリガがアナログとデジタルで縦横無尽にかかるHP54645Dの優位性は揺らぎませんが,500MHzでないと,4chでないと,5Gsample/secでないと,見られない世界があるのは事実です。

 そんなわけで,目の前にあるTDS3054Bです。

 よく知らないのですが,TDS3000Bシリーズになって,それまで別売りのアプリケーションモジュールをささないと使えなかったFFTが,標準機能になったらしいです。ですから,アプリケーションモジュールがなにもささっていなくても,FFTは使えるようになっています。

 ファームのバージョンは3.19とのことで,現在公開されている3.41よりも古く,アップデートをしたいところではありますが,今や貴重品となっている2HDのフロッピーが4枚も必要になるので,とりあえず様子見です。FFTが無効になってもつまらないですしね。

 問題の電源ですが,ボタンを押し込んでも電源が入らなかったり,すぐに落ちたりします。そうかと思うとずっと動いていることもあり,動いている間は元気です。

 セルフテストはパス,自己校正も長い時間がかかりましたがパスし,機能そのものに致命的な問題はないようです。これは問題の出方から,電源スイッチのトラブルだと思います。

 2465Aの故障でもそうでしたが,テクトロは電源スイッチがどうも弱いようで,2465Aの時はスイッチ内部でスパークが発生し,熱で溶けていました。恐ろしいです。

 スイッチ自身の問題か,基板取り付け部のクラックのどっちかだろうと思って分解したのですが,残念ながらスイッチ周りのクラックは見つかりませんでした。また,TDS3000シリーズは,AC電源は常時通電なので,電源スイッチにAC100Vはかかっていません。

 そうこうしているうちに電源が全然入らなくなってしまったのですが,基板をコンコンと叩くと動きだしました,基板そのものは壊れていないようです。

 きっとどっかの部品のハンダ付けのクラックでしょう。目視で調べて見ても分からず。仕方がないのでそのあたり適当にハンダを盛っていきます。

 ついでですので,電源系の電解コンデンサを交換します。調べて見ると7500時間も通電されていて,1700回近く電源のON/OFFが行われていますので,好感はしておきたいです。

 手持ちの関係で交換出来るものは限られましたし,85度品しかなくてダウングレードになった箇所もあるのですが,仕方がありません。

 この頃の電子機器の問題点として,パスコンにタンタルが使われているケースがあるということです。タンタルコンデンサは壊れると短絡するので,大変危険です。幸い短絡して焦げたタンタルコンデンサを見つけることはなかったのですが,気をつけないといけません。

 汚いので分解のついでに洗浄をします。うちでは,中古品は可能な限り分解し,筐体をハンドソープでゴシゴシあらいます。これでようやく「うちの子」になる儀式が終わるわけで,TDS3054Bも,ようこそ我が家に,となるのです。

 LCDが想像以上に汚くて,保護ガラスも外して掃除をしました。おかげで綺麗になりました。

 元通り組み立てて電源を入れます。しかし画面に何も出ません。

 壊した・・・焦って中を見ると,ケーブルを1つ付け忘れています。あわてて取り付けて再度電源投入。今度は大丈夫です。何度も電源のON/OFFをしますが,問題なく起動します。セルフテストも通りました。

 この後30分ほど通電し,もう一度セルフテストと自己校正をかけ,波形をいろいろ見てみました。精度も問題なし,波形も綺麗に出ているので,実戦に十分投入可能です。

 ただ,電源投入時に画面が真っ白になってそこから先に全く進まないという問題が1回だけ起きました。何度か電源スイッチをON/OFFすると動き出し,その後問題は起きていないので気持ちが悪いです。

 ファンも回っていたので,起動に失敗している感じがします。これは当初の問題とはちょっと違っていて,同じように起動しないという問題でも,LCDのバックライトも点灯せず,ファンも周りませんでしたから,その問題は解決しているのではないかと思います。

 まあ,多少のことは仕方がないですね。

 プローブについては,500MHzということですので,帯域の狭い安いものは使いたくありません。その上,リードアウト対応品でないといけなかったりするので,とても高価です。

 とりあえず,2465A用に買っておいた,耐久性が低いけども秋月で1つ4200円と安価なテキサスのプローブを流用しましょう。1つ4200円もするのに,2465Aを使う機会がほとんどないので,ちょうど良かったかもしれません。今度秋月で買い物をするときに,もう2本買い足しておきましょう。

 そこからさらに3時間,途中,目ざとくテスト中のTDS3054Bを見つけた娘が「これなに?」と聞いてきたので,オシロスコープと教えてあげると,目をきらきらさせてボタンをおし,ツマミを回して遊び始めました。

 彼女は本当に楽しい時は「ふふっ」と声を出して遊ぶので,オシロスコープがどうも気に入ったようです。大きくなったら,このTDS3054Bをあげると,約束しました。まあ,たぶん大きくなったら興味もなくなっているだろうし,オシロスコープが欲しいほどのマニアになるなら,最新機種が欲しいと言い出すでしょうけど。

 

 つくづく思いましたが,小さくなったし,軽くなりました。奥行きが小さくなったこともそうですが,電池が内蔵できるスペースは当然空洞になっているわけで,ここにトレイが入っていて,プローブなどの小物が収納できるようになっています。

 

 内部はそれなりに複雑ですが,うまくレイアウトされているので,こんな小さなスペースに綺麗に収まっているのでしょう。大したものです。

 

 電池駆動できるという話ですので,消費電力が小さい事にも期待がかかります。実際にクランプメーターで測ってみたのですが,動作時は実測で42Wくらい,電源OFFのスタンバイ時で5Wくらいという感じでした。

 

 スタンバイ時の電力が大きいのは時代を反映しているなあと思うのですが,さすがに5Wを食わせたままでよいとは思えませんから,コンセントからは抜いておくことになると思います。

 

 ですが,動作時の50W以下というのは素晴らしい。ブラウン管のオシロスコープなど,100W越えは当たり前,300Wとか500Wの機種もざらですから,長時間使う時には大きな差になります。(オシロスコープを使う時というのは,得てして手強い相手の時ですので,長時間になるものです)

 

 この消費電力の小ささにはクラクラきていて,うちの主力機をこいつに入れ替えようかと,ちょっと本気で考えてしまいました。


 というわけで,TDS3054Bが稼働し始めました。思えば,松下製の帯域5MHzで1chの強制同期式オシロスコープを5000円で買ったのに始まり,2645Aで憧れのリードアウト/カーソル,遅延掃引付きのオシロスコープに感激し,54645Dでトリガのキレが作業効率に大きく影響することを知り,ここまで来ました。10年遅れで機材が導入されていくのですが,私自身が20年遅れているので,気分的には最新の状態です。

 ただ,いかにDPO,いかに500MHz,いかに4chとはいえ,やっぱり肌に合わないテクトロです。まだまだサクサクと操作できるほど慣れていませんし,どうももどかしいのですが,もともと置き換え目的で購入したわけではありませんから,随時使い分けを行っていくことになると思います。

 ヤフオクでは数万円程度,アキバの中古測定器店では20万円から30万円程度で売られている,アマチュア向けとしては最高級のオシロです。考えてみると,中国製や韓国製のオシロスコープで,500MHzを越えるものって極端に少ないですよね。

 これは,垂直軸のアナログ性能がオシロスコープの最も難しい部分であり,ここがきちんと作れるメーカーが限られていることを物語っています。

 繰り返し波形を見れれば良かった時代から,レーダーやコンピュータの登場で,単発現象を捉える必要性が生じて誕生した,トリガ同期式オシロスコープ。

 このトリガ同期式オシロスコープを発明した若者ががHPに持ち込んだところ,ヒューレットとパッカードは,その発明品が放つ先進性から,HPで商品化するより,自ら起業することをすすめたそうです。

 雲の上の人の声を,門前払いととらえたか,あるいは親切心ととらえたかは分かりません。分かりませんが,その後彼らが起業した計測器メーカーの隆盛が,答えの正しさを証明しているといえるでしょう。そう,その会社こそテクトロニクスです。

 数々の先進的な機能を搭載し,見えないものを見えるようにしてきた革新性,そして既存の機能を高い水準で洗練させてきた品質の高さが,電子工学がもっとも進歩したこの50年を切り開いてきたと,つくづく思います。

 もしテクトロニクスがなかったら,などと考えてしまいますが,もしかすると10年単位で技術の進歩が止まっていたかも知れません。特に,1980年代に日本が民生の電子機器で世界を席巻した時代,開発や設計の現場で困難な問題解決の心強い相棒が,テクトロニクスのオシロスコープだったことを思い起こすと,ビデオデッキもCDプレイヤーも,マザーツールである計測器がしっかりしていたからこそ,これだけの足跡を残せたのかも知れません。

 そして今もなお,テクトロニクスとHPの流れを汲むキーサイトが,オシロスコープの分野で2強として激しいデッドヒートを繰り広げていて,それらを使いこなした最先端の技術者が,新しい世界を切り開いています。

 計測器に対する憧れや夢というのは,こういうところにあるようにも思います。

トランジスタチェッカーを買ってみる

 先日出たばかりのトラ技を見ていると,ちょっと気になるコラムに目がとまりました。マルチファンクションテスタ,というやつで,LCR-T4 MTesterという名称のようです。

 各種半導体や抵抗,コンデンサ,インダクタを自動判定し,結果を少し大きめのグラフィックLCDに表示します。

 記事によるともともとドイツの有志によって開発されたもので,それを中国の企業が製品化し,世界中に安価にばらまいているという感じです。まあ最近よくあるやつですね。

 以前も目にした記憶があるのですが,あまり興味をそそられなかったので買うことはせずにいました。しかしトラ技の記事に出るくらいですので,まあ1つ買ってみてもいいかなと,amazonを調べて見ることにしたのです。

 記事の通り,国内在庫品は1800円くらいから,中国からの発送だと880円です。どちらも妥当な金額だと思います。とりあえず買っておこうということで,国内在庫品を買うことにしました。

 翌日には手に入れて開封した私は,まずアクリル板で綺麗に加工されたケースが着いていることにちょっとびっくりしました。880円のものは基板だけだと聞いていて,国内在庫品がケース付きであることは,意識していなかったのです。

 これならどう考えても国内在庫品がいいですよね。

 まず基板だけで動作させ,問題ないことを確認してからアクリル板の保護紙を剥がして組み立てます。説明書が全くないのですが,試行錯誤でさくっと完成です。

 ケースがあるのとないのとでは,やっぱり使い勝手が雲泥の差です。普段から手元に置いて使うためには,はやりケースが必須です。

 お。ゼロプレッシャーソケットが使いやすそうです。高級なROMライタの象徴である,TEXTOOLの緑色のソケットはいつ見てもいいですね・・・え,TFXTOOLと書いてある・・・パチモノですか!

 さて,まだ試せていないことが多いのですが,ファーストインプレッションから。

 試したのは,半導体チェッカーの機能です。手元にあるいろいろな半導体を差し込んで判定させてみます。

 バイポーラトランジスタはPNPとNPNの区別,ピン配置,ベース電流とベース-エミッタ電圧,そしてhFEが表示されます。基本的な機能ですね。

 ダーリントントランジスタでは非常に大きなhFEが測定出来ました。一方でパワートランジスタのhFEが数十という小さな値で表示された点については,これで正常であるという知識が必要です。

 FETはJ-FETとMOS-FETを,それぞれP-chとN-chで判別してくれます。

 次にサイリスタ。サイリスタも判別するというので期待したのですが,分かったのはピン配置だけです。他の定格については全く分かりません。

 UJTは構造からダイオード2つと判定されてしまいました。PUTも同様です。トライアックは判別不可能と出てきました。

 ということで,やったのはこのくらいなのですが,結局私が愛用している半導体チェッカ「DCA55」とあまりかわりません。今回のものの方が値段が安く,1画面にすべての情報が出てくるのでボタンを押してスクロールする必要がないこと,抵抗やコンデンサ,インダクタを測定出来ること,ソケットがゼロプレッシャーソケットなので手間がかからないことなど,良く出来ている点も多いのですが,逆に言えばそれだけの違いしかなく,得られる情報についてはそんなに違いはありません。

 LCRの測定に役に立つと思われる校正が出来るそうなので,これを試してからLCRメーターとしての機能を評価したいと思うのですが,すでにちゃんとしたLCRメーターを持っているので,これがありがたいシーンというのはあまりないように思います。

 やっぱり・・・DCA55とDE-5000を持っていたら,これはいらないだろうなあと,最初に興味を持たなかったことは正しい感覚だったとつくづく思いました。

 繰り返しますが,これを選んで使うのはボタン1つですべての情報が得られること,ゼロプレッシャーソケットがあることが便利だと思われるときくらいです。面実装や特殊形状のトランジスタはDCA55のようなICクリップのほうが便利ですし,電池の電圧が12Vと高いことで,測定範囲は精度にも違いがあるかも知れません。

 ということで,あまり出番がないだろうなぁ,という感じです。うーん。

 道具としての充足感もあまりなく,起動画面の変な漢字のロゴもなんだか萎えます。順方向電圧をUFと書いてあるのもがっかりで,せめてここは意味を考えてVFとして欲しかったです・・・

 ところで,DCA55にも共通する話なのですが,パワートランジスタでhFEが30程度にとどまるのは,正常です。

 子供の頃の私もそうだったのですが,hFEというのはとてもわかりやすいパラメータで,ベース電流をhFE倍したものがコレクタ電流になるという教科書的説明から,まるで比例定数のように誤解してしまうのですね。

 ゆえに個体差はあっても,変動しないものと考えてしまいます。

 しかし実際のhFEはベース電流によって大きく変動します。その変動率は大きいトランジスタもあれば,小さいものもあるのですが,小さいものが優秀であるという一般論は正しく,一方で大電流を扱うパワートランジスタでは,それなりのベース電流を流さないと,規格表にあるようなhFEにはなりません。

 正しいかどうかは別にしてですが,トランジスタというのは,ベース電流を流すとコレクタ電流が流れる部品であり,ベース電流とコレクタ電流は必ずしも比例関係になく,hFEなんてのもその条件下でたまたま計算された結果に過ぎないと,それくらいに考えておくといいいかもしれません。

 ですから,よくペアを組むときにhFEのマッチングを取りますが,これはhFEが揃っていることが重要ななのではなく,hFEが揃っていると他の特性もある程度揃っていると期待出来そうだから,と味方を反対に側にする必要があるということです。

 何が言いたいかと言えば,トランジスタの良否判定はそのトランジスタに適切なベース電流を流して行わないとダメだという話で,DCA55にしても今回のLCR-T4にしても,そこを固定してしまっていることが残念だということです。

 ということで,NECの中電力パワートランジスタの定番,2SC1096のhFEが30と出ても,それは不良ではありません。逆に小信号用トランジスタである2SC1815なんかは正確に出てくるでしょう。

 DCA55も6000円超えになっているんですね,ちょっとこれだと高いなあと思います。中学生くらいが,手元のジャンク品を活用したり,部品の知識を増やすのに有益な測定器ですから,2000円で買えるこのテスターは十分価値があるものとは思います。

 また,半導体も劣化し壊れます。20年以上前のラジオなどを修理する場合,結構な割合で半導体の不良が出てくることを実感するのですが,正式な良否判定は回路図を追いかけて,動作状態を正確に把握してから行うべきではあるものの,基本的な機能が損なわれて劣化している場合がほとんどですから,この手のチェッカーでさっと判定出来ると,作業が早く進みます。

 実際,私もオーディオアナライザのVP-7722Aの修理にDCA55は活躍しましたし,ダイソンのDC45の修理にも役立ってくれました。ないと困る存在になりつつあると思います。

 測定対象やその結果から見て,DCA55もLCR-T4も,半導体の判定アルゴリズムには大差がないようです。もしこの手の測定器をお持ちでないなら,この機会に手元に置いておくと便利かも知れません。


家電品のメンテ

  • 2017/03/13 08:15
  • カテゴリー:make:

 先日より続いていた掃除機や洗濯機のメンテがようやく片付き,結果が出揃ったのでまとめます。

 

(1)DC45のフィルター交換

 一難去ってまた一難,DC45のフィルターが破れてしまいました。こまめに洗えと言いつつ,こまめに洗わない私でさえ数回の手洗いで破れてしまうなんてのは,ちょっとどうなのよと思う訳ですが,なにせ掃除機の心臓部はモーターです。

 モーターの大敵は,水と粉じんです。これでやられたモーターはどんなに頑張っても修理は難しくなります。だからフィルターが破れたら,新しいものに交換するまでは使ってはいけません。

 以前から,洗い替えが欲しいと思っていたのですが,この機会に2枚買うことにしました。並行輸入品が安く買えるというので,本当に純正なのかと不安を持ちつつ,ポチりました。

 届いたものを見てみると,間違いなく純正品です。問題なしです。

 よく思いだしてみると,以前保証期間内にDC45を修理した際に,フィルターも新品に交換してもらっているのです。ですから実質1年半ほどで破れたわけで,これは洗い方の問題かも知れません。

 艦長日誌にもこまめに書いていますが,うちのDC45は,クリアビンがDC35からの移植,延長パイプとタービンブラシはDC61のものになっています。これだけ意地になってDC45を使っている人も珍しいと思いますが,まあモーターが死んでしまわないうちはなんとかなるものです。

 いろいろ調べていると,V6が安くなっているんですね。28000円ほどで買えます。安いですねえ。なんだか,修理するのがバカバカしくなりますが,そんな話を嫁さんにしたら,ハンディクリーナーに3万円なんて金銭感覚が崩壊しているにもほどがある,と怒られました。


(2)ルンバのメインブラシとフレキシブルブラシ交換

 ダストビンのファンの修理が終わって,ガッポリゴミを集めるようになり,週に1回のゴミ捨ての日に「ぎゃー」とうれしい悲鳴を上げることになるかと期待したにもかかわらず,うっすら初雪が降ったときのようなわずかなゴミが溜まっている程度の,相変わらずのうちのルンバ。

 電池も交換して動きそのものは問題ないのですが,もうちょっとゴミを集めて欲しいと思ったところ,どうやら2つの集塵ブラシ(メインブラシとフレキシブルブラシというそうです)を交換すると見違えるようにゴミを集めるようになるそうです。

 こういう重要な消耗品は純正がいいんですが,値段云々よりはすぐに届けてもらう事ができる通販サイトで買いたいわけです。しかしあいにく,純正品は公式サイトでしか買えません。

 やむなく通販サイトで購入したのは,互換品の格安品です。その中でもましなものを選んだのですが,はっきりいってamazonは魑魅魍魎なので,安くて低品質,高くて高品質という普遍的な経済原則が成り立たず,高いけど低品質とか,純正と書いてあるのに純正じゃないとか,何を信じたらいいのかわからないような,くじ引きなみの難しさがあります。

 業者で信用するしかないのですが,複数の業者が同じ物を売っていたりするので,これまた油断鳴りません。よくこれでクレームにならんもんだなと,いつも感心します。

 届いたブラシは,確かになかなかしっかり作ってあり,互換品とはいえ純正品に負けず劣らずの安心感があります。安い割には細かなところまで,大変良く出来ています。

 ただ,こういう長時間使うものは耐久性が重要で,耐久性は見た目ではわからないものです。

 一応交換前の純正品を捨てずに残し,交換したもので掃除をさせてみます。

 結果は,交換前に比べて,ゴミを集める能力が大きく改善しました。なにが違ってここまで差が出るのかわかりませんが,1回で集めるゴミの量が購入時にかなり戻った感じです。細かいホコリが集まっているのがいいですね。

 もしかして,フレキシブルブラシの中央部に髪の毛が巻き付き,ゴムが切れてしまっていたのが,ダメだったのかも知れません。

 どっちにしても,非純正の互換品でこれだけ改善されれば,もう古い純正品に戻す必要はないでしょう。


(3)洗濯機の洗濯槽洗浄

 うちの洗濯機は斜めドラムで,乾燥モードを常用しているため,カビや水垢,変な臭いの発生も,見た目にはありません。もちろん,いつも湿っている部分は必ずあるわけで,そこがヌルヌルになったりするのは,もうあきらめるしかありません。

 そんなこんなで買ってから一度も大がかりな洗浄をしてこなかったのですが,先日選択する様子を見ていると,シャワーの動作時間がえらく短いように感じました。もともとこのくらいの動作時間なのか,それとも水の流れが悪いからなのか,今となっては判断も出来ないのですが,子供が生まれてからほぼ毎日動いている洗濯機をメンテナンスしないとまずいだろうと,純正のクリーナーを使って,洗濯槽の掃除をすることにしました。

 うちのNA-VR5600には,槽クリーンモードがあり,洗浄液を入れてこのモードで動かして放置すると,綺麗になっているんだそうです。

 NW-N1というクリーナーが推奨されているのですが,ヨドバシを見ているとNW-N2という次世代製品が見つかります。なになに,斜めドラム専用?

 では,とこちらを買ったのですが,調べて見ると意外な展開が。

 まず,NW-N1とNW-N2の違い。メーカーによると,同じ物で,内容量の違いだそうです。NW-N1は汎用品で1500ml,NW-N2は斜めドラム専用で半分の750mlです。

 濃度や成分の調整もないらしく,本当に量の違いだけとのこと。

 で,その分値段を安くしました,と言うことらしく,確かに定価ベースで500円ほど安いです。ほほー。

 しかし,ここに落とし穴があり,割引率が全然違ってました。NW-N1は500円近い値引きがあり,NW-N2は数十円しか値引きがありません。結局,NW-N1の方が倍入って安いというおかしなことが起きています。

 買ってから気が付いたんですが,もともとNA-VR5600はNW-N1用を前提にしてあるのですから,やっぱりNW-N1の方が望ましかったんじゃないかと後悔しました。

 で,やってみたんですが,11時間かかると言う割には,5時間ほどで終了してしまいました。もともとカビもないし,臭いもなかったので効果を実感することは出来ません。(塩素くさいと,嫁さんにはクレームを付けられたことを書いておきます)

 ただ,本体下部にある糸くずフィルターに,鶏肉のようなへんな,肌色の塊が2つほど出てきていて,娘と二人で「ぎゃー」と声を上げてました。

 問題のシャワーですが,やっぱり動作時間が短いのは同じです。選択開始時点では長いので,短いのは動作として正常なのかも知れないなと思ったりしますが,最近嫁さんもこの洗濯機を上素に使ってくれるようになってきたので,もうこのへんでいいかなと思っています。

 
 洗濯も掃除もそうなのですが,私の場合修理や対策,改造の結果の評価という位置付けであり,これはこれで楽しい作業だったりします。やらされている感がなく,結果がまずければまた改良しますので,とても能動的だと思います。

 家事も,考えようによっては,技術的な楽しみの場になってくれます。


ルンバが壊れた~復活編

  • 2017/03/06 11:58
  • カテゴリー:make:


 前回は,ルンバの元気がないのに気が付いて,基板の故障を疑って調べてみたが,原因は結局ダストビンのファンモーターが壊れていたという話でした。(長々書いたのに要するにこれだけのことを書いたに過ぎないとは呆れてしまいます)

 で,そのモーターをどうするかが,今回のお話です。

 まず最初に,壊れたモーターがどんなものかを調べないと先に進めません。

 外したモーターの横に書かれた刻印を見ると,

STANDARD MOTOR
RC500-KW/16260/DV
SMBD043122 RoHS

 と書かれています。

 大きさを測ってみると,直径が32mm,高さが20mm,シャフトの長さが16mmでした。

 google先生に聞いてみると,RC-500という名称で,おそらくこれだろうと思う仕様が出てきました。RC-500FNという名称で販売されています。

    Operating Voltage: 3V to 12V DC
    Motor Diameter: 32mm
    Motor thickness: 19mm
    Output shaft diameter: shaft diameter 2mm, length 12mm
    RPM: 3500 r/min (Approx not tested)
    Motor test: 6V, the no-load current 20ma, locked rotor current 600ma
    Superior running quietness and stability
    Motor weight: ~42grams (approx)

 ところが,モーターというのは外形は同じでも全然違う性能のものが作れてしまうものなので,互換性は基本的にはありません。

 例えば,最大手のマブチモーターだと,RF500という形状がそっくりのモーターでも,標準品として12560と14415という2つのタイプが出てきます。

 前者は巻線の太さが1.2mmで,各スロットの巻数が560回です。後者は太さが1.4mmで巻数が440回です。簡単に言うと,巻線が太くなると電流が増えますし,回数が減ると回転数が上がります。

 なので,前者は12Vで使うモーターですし,後者は5Vでも十分な出力が得られるようなモーターになっています。もし後者のモーターを12Vで回すと,出力が出過ぎますし,電流も増えまくり,そして定格を越えて燃えてしまうかも知れません。

 逆だと出力が全然とれず,機能を果たさないかも知れません。

 ちなみに,某部品店で見つけた「ソーラーモーター」なるものには,11918と書いてありました。あれ,1.1mmで918回巻?高電圧高トルク仕様ですよね。太陽電池では回らないように思うのですが・・・

 もしこの命名ルールを元のモーターにも適用できるとするなら,16120ということですので1.6mmの銅線をわずか260回巻いただけということなり,低電圧動作を目指したものという事になってきます。うーん,実態に合わない。

 あー面倒くさい。命名ルールなんて,もうどうでもいいや。

 こんなことで悩んでいても先に進まないので,これに近いものを探します。

 思いついた部品屋さんを調べて見ても見当たらず,やっぱ店頭に出向くしかないかなあと思っていた所,amazonでもDCモーターが買えることが判明しました。

 しらみつぶしに見ていくと,使えそうなものがゴロゴロしているじゃありませんか。しかもプライムで当日に受け取り可能です。なんとまあ・・・

 シャフトの長さや定格の違いから,いくつか買ったのですが,さすがに送料込みのお値段だけに,1つ800円ほどします。合計で4000円近くになってしまったので,得なんだか損なんだかよく分からなくなってきました。

 届いたモーターを改めて見てみると,シャフトの長さの違いはあれ,同じ物に見えます。どう考えても中国製のなのにマブチモーターって書いてあるのも,同じです。

 価格も数百円違いますし,書かれていたスペックにも差があるので,互換性があるとは思えませんが,実際に回してみると電流はほとんど同じ,トルクや回転数も触った感じでは違いが分からないレベルです。本当にこれ,全部別物なんかい?


 とりあえず,ファンが取り付けられないといけませんから,シャフトの長いものを選びました。この中で一番静かに回るものを選んでみました。

 大きさもぴったり,シャフトの長さも問題なく,電流も範囲内です。スペックを信じるなら回転数も大丈夫でしょう。取付は問題なしでスムーズに終わったように思えたのですが,最終確認をするとどうも風が弱いです。

 おかしいなと思って電源を逆に繋いでみると,風が強くなります。どうも逆回転しているようです。オリジナルのモーターと比べて見ると,同じ極性で電圧をかけても,回転方向が逆になっているようです。

 そこで面倒ですが,ダストビンのモーター取り付け部にある向きを決めるイボを折り取り,180度反転させて取り付けました。これで普通に配線すれば極性は逆になってくれます。

 で,ルンバで動かしていたのですが,これも問題なし。元のように元気よく回ってくれました。モーターの精度が低いせいもあって,音と振動が結構あります。でもまあ仕方がありません。

 ところで,ファンの周囲に,トゲトゲが付いています。このトゲトゲ,部分的に上削り取られていて,最初不思議だったのですが,おそらくこれはバランス取りをした結果だと思います。

 3000回転以上で回転しているモーターで。もしバランス取りをしていないと,ワーストケースではかなりの音を出したり,ガタガタと振動したりするでしょう。そこでモーターにファンを組み付けてからこの周囲のトゲトゲを削り,バランス取りをしているんだと思います。

 そういう意味では,本来ならモーターを交換したならバランスも取り直すべきなのですが,特に何もしなくても,気になるような振動や音はないので,このままでいいことにしました。

 というわけで,とりあえず故障は修理出来ました。

 残った作業は,最終的な組み立てなのですが,手元にはルンバ780ともとの770の2つの部品があります。

 780は上位機種で,タッチボタンであることと,2.4GHzの無線によるお部屋ナビに対応が下位機種の770との差です。780は初めて見ましたが,写真以上に高級感のある外観をしているんですね。ロゴも770はシルク印刷,780はエンボスにホットスタンプですし,塗装もメタリックにクリアコートです。

 これだけの差なら元の770を組み立てて終わりにするんですが,気になるのはファームウェアのバージョンです。ルンバは頻繁にファームのアップデートが行われているんですが,この時期のルンバはユーザーの手元では行えず,メーカーのみが許されます。

 しかもアップデートは基本的に正規品を買った人への有償メンテの1つとして位置づけられているので,誰でも手軽にと言うものではありません。その上,アップデートには専用の治具が内蔵されたファームウェアを流し込むような仕組みになっているので,ファームウェアをネットでダウンロードし,PCから流し込むというような方法ではありません。

 その割には,同じ場所でグルグル回るのが対策されたりとか,結構アルゴリズムにも手が入ったりするので,油断なりません。機能アップなら有償はありですが,基本機能の対策を有償にするというのは,ちょっと私の感覚から外れています。

 とまあ愚痴ったところで仕方がありません。ちょっとでも新しいものがいいと思うのですが,いかんせん掃除機ですから,仮に780が新しいとわかっても,他の人が使って汚くなったものを使うというのはちょっと気持ちが悪いですし,しかもルンバはあちこちを動き回るので,飼い猫と同じ稼働は別にしても,770を使い続けることにもこだわりたいです。

 そこで,基板だけ780にしました。770の基板には「3.5」,780の基板には[3.61」となにやら意味ありげな手書きの数字が書かれています。まあ,こういうのは大きい方が良いのです。

 ただし,電池の端子はなぜか腐食していたので,770の基板から移植します。腐食の様子からみて,どうやら電池の液漏れがあったようですね。非純正品の電池を使い,過放電で噴き出した電解液でしょう。基板が壊れていないのが幸いですが,電界液は基板にも広がっているので,いつパターンが切れるかわかりません。

 出来上がった基板を770のシャシーに取り付けて配線を取り回し,一応完成しました。780はタッチパネルになっているので,ボタンの部分のカバーは780から流用です。また,ハンドルだけは銀色の780から移植します。

 これで見た目は770,中身は780です。余った部品は,補修用に取っておきましょう。どうせハンドルもまた折れてしまうでしょうし。

 各部の掃除をしながら駆動系を組みつけていきます。いずれ電池の交換をしょうと,サードパーティー品の電池を買ってあったのでこれを装着し動作チェックです。

 問題なさそうなので時刻を設定,実際に掃除をさせてみて,様子を見ます。よし,問題なし。電池が新しい分だけ,元気に動いています。

 壁の検出も問題なく,白い壁を前にして速度落とす仕組みもOKです。それから,汚れのひどいところを重点的に掃除する機構も動いているようなのですが,770では前後に動いて汚れたところを掃除したのに,780では汚れたところをグルグル回るようになっていました。

 前後に動く方が洗練されているように思うので,もしかしたら770の方が新しかったのかもなあと思いましたが,まあもういいです。

 ついでにいうと,ホットカーペットのコントローラに乗り上げてしまったり,小さいテーブルの脚の内側にはまり込んで出られなくなってしまったりと,そういう鈍くささは相変わらずです。

 肝心のゴミを集める能力については,ファンが回っていないときに比べると確かに増えています。細かいゴミも集めているので,修理そのものは出来ています。ただ,以前のように,ダストビンがゴミでパンパンになっている,といううれしい悲鳴状態にはほど遠く,我々がゴミの出ない人間になったわけではありませんから,やっぱりゴミを集める能力は低いまままのでしょう。

 電池も交換しましたし,あとはブラシです。ぱっと見るとそんなに悪くはなっていないように思うのですが,交換すると見違えるようにゴミを集めるようになったというレビューも多いので,交換することにします。

 純正品って,公式サイトでしか買えないんですね。公式サイトだと時間がかかるので,出来ればamazonかヨドバシで買いたいのですが・・・仕方なくパチモンを注文中です。

 現段階で,結局8000円ほどの費用がかかってしまったので全然得にはならなかったのですが,とりあえず使い続けることができたてよかったというのと,修理をして復活させることそのものに,なぜか意地になっているところもあるので,私としてはこれでよかったと思います。

 5歳の娘も「修理」という言葉を覚えて,自分の身の周りの壊れたものを修理しようと試みるので,面白いものだなあと思います。

 サードパーティー品の電池はすぐにダメになるそうです。私もそんなに期待してはいません。あと2年か3年持てば,もうそれでいいかなあと思っています。

 実のところ,ゴミをあまり吸い込まなかった状態でも家の中の様子はそんなに変わらなかったのです。もともと汚かったからなのかどうか知りませんが,ルンバの効果が実感出来るかどうかはっきりしない中で,使い続けるモチベーションというのは,やはりルンバがすでに「そこにあって当たり前」の存在になっているからだと思います。

 ロボットが近い将来,もっと賢くなり,もっといろいろな仕事を任せ,我々の生活にもっとしっかり食い込んでくるようになると,こういう人と機械との関係というは,どんな風に変わっていくのでしょう。

 そして,相応に歳を取っているはずの私は,どんな関係を築くことになるのでしょう。

ルンバが壊れた~調査編

  • 2017/03/02 12:45
  • カテゴリー:make:

 ルンバ770が2013年5月に我が家にやってきて,もうすぐ4年になります。消耗品の交換は何度かやりましたし,ハンドルは折れてしまったので部品を交換しましたが,が,月水金の自動運転と土曜日の別の部屋の掃除というスケジュールを規則的にこなし,すっかり日々の生活に溶け込んだ感があります。

 でたらめに動いているように見えますし,相変わらずおかしなものを巻き込んで止まっていたり,ホットカーペットのコントローラ部に乗り上げて立ち往生していたりと,なかなか充電ステーションに帰ることが出来ずにウロウロしていたりと,相変わらず鈍くさいわけですが,それでもダストビンにゴミが入っているのを見ると,頑張ってるんだなあと,褒めてあげたくなります。

 ゴミ捨ての前日の夜にルンバのゴミを取るわけですが,ダストビンのゴミが多いときには「おお,元気だなあ」とうれしくなりますし,逆に少ないと「どうしたのかなあ,なにかあったのかなあ」と,まるで飼い猫がご飯を残した時のように,心配になったりします。

 ルンバに名前を付けるような感情移入はありませんが,4年も一緒にいると,やっぱり一緒に生活する家族のような感覚が芽生えるものだと思いました。

 で,そんなルンバですが,3ヶ月ほど前から食が細くなりがちで,ダストビンにゴミがあまり入ってきません。ひどいときは1週間でほとんど入っていないこともあります。

 フィルターにゴミが付いているので,吸い込んでいないわけではなく,まあ何かに乗り上げて掃除が出来なかったんだろう,そのうちまたたくさん吸い込むようになるさ,くらいに考えて,放置していました。
 
 しかし,いつまで経っても回復しません。これはいよいよ,おかしいです。

 そこで,ダストビンを点検してみました。モーターが回っているかどうかは,なにせルンバが動き回るのでよくわかりません。そこでダストビンを外して,端子に電源器を繋いで回してみます。

 ブーンと音を立てて回転するので,これは問題なし。しかし,せっかくですので分解してホコリを取り除き,気休めですがモーターに模型用のオイル(KATOのユニクリーンオイル)を少しだけさしておきました。

 その後毎回,ゴミの量を気にしていたのですが,回復しないどころかますます減っています。そしていよいよフィルターにもゴミが付かなくなってしまいました。

 これは本当におかしいです。

 そこで,正確に現状を確認することにします。

 まず,動作中にダストビンのファンが回っているかどうかを確認しないといけません。そこで,ルンバを私の上着でくるんで両手で持ち上げ,左右の車輪を押し下げて,ルンバを接地していると勘違いさせます。

 ここでスタートボタンを押して,裏側を覗き込みます。うーん,やっぱりファンが回っていません。

 この世代のルンバは,ブラシでかき込んだゴミを,ダストビンのファンで作った負圧で吸い込む仕組みになっています。ファンが吸い込まなければゴミをかき混ぜて終わりです。

 モーターは先日回転を確かめていますから,これはもうモーター制御部分の問題でしょう。面倒な事になりましたが,私は一応プロの電気設計者。これくらいの修理が出来なくては存在理由も問われます。

 まず現状の把握です。ダストビンを外して端子の電圧を測定します。ダストビンが外れているので動作しませんが,端子には13.5Vが出ています。なるほど。

 次に,ダストビンの端子にミノムシクリップ付きのコードを繋ぎ,反対側をルンバ側の端子に繋ぎます。これでダストビンを外しても動作状態にできます。

 電圧を測定すると,動作開始で13.5Vから0Vに落ちます。これでは動くはずがありません。やっぱりドライバの不良ですかね。

 とまあ,ここまで推測して,分解です。操作部をあけると,中から2枚の基板が出てきます。上の基板は操作系,下の基板はメイン基板で充電やらモーター駆動,そして肝心要の掃除アルゴリズムを担当しています。

 モーター側の配線から逆に追いかけて,回路を見ていきます。どうも単純なNPNトランジスタによるスイッチだけのようです。S8050という電力用のトランジスタですが,仮に1Aの電流をON/OFFするのに,hFEが100なら10mAもベース電流を流さねばなりませんから,マイコン直結はないでしょう。するともう1段トランジスタがいました。

 どっちかが壊れているんだろうと目処を付け,外してチェッカーで調べて見ましたが問題なし。念のため交換しましたが,改善せず。

 さらに調べると,そもそもベースに信号が来ていません。

 もっと奥に入り込んで調べる必要がありますが,突如LM339というコンパレータに信号が入り込んでしまいました。こうなるともう,簡単には解析できません。

 そこで,本体が掃除を始めたらHighになる信号を見つけて,ここでダストビンのモーターを制御する回路を新規に作ってみようかと考えたのですが,故障箇所をそのままにすることになりますし,そこが悪さをして火でも噴いたら,無人運転をする機械だけに,シャレになりません。

 この計画は断念です。

 ここから先は簡単にはいかないだろうと,もうあきらめて,基板の入手を考えました。しかし,あいにくというか,当然というか,基板だけ手に入るなんてことはありません。

 基板とセンサとシャシーで修理部品になっているようで,これはamazonに出ていました。しかし売り切れ。

 ならばとヤフオクですが,これもいいものが見つかりません。丸ごと中古品を1万円とか2万円とか,そういう価格で買ってしまうのも手でしょうが,それならあまり面白くないですよね。それに,やっぱり飼い猫のような気分ですから,簡単に捨てていいという割り切った気持ちにもなりません。

 結局,基板とセンサとシャシーだけのジャンク品を買いました。ルンバ780ですので上位機種ですが,まあいいでしょう。

 届いてから,駆動部を移植し動作確認です。問題なく動作します。

 ダストビンは,最初回転しなかったのですが,もう一度やると元気に回転をします。これも壊れてないようです。よかったよかった。

 で,気になったので,古いルンバにもダストビンを取り付けてみました。アレ,回転している・・・

 また新しいルンバにダストビンを戻します。アレ,今度は回転しない・・・

 どうも,ダストビンのファンが回転しない問題は,本体に原因があったわけではなく,ダストビンそのものに問題があったようです。あちゃー。

 焦ってダストビンを安定化電源器に繋いで回してみると,止まったり回ったりです。回転が安定せず,しまいには2Aの電流が流れて,煙がモクモクでる始末。

 うーん,モーターの故障が原因だったようです。

 さすがにモーターを分解して修理するのも,一度煙が出ていますから気が引けます。かといって同じモーターが手に入ることも考えにくく,ダストビン丸ごとの交換になるかもなあと・・・これなら1万円でルンバ丸ごとを買えば良かったと,後悔しました。

 確かに,電子部品よりは機構もののモーターの方が壊れやすいです。トランジスタは結構簡単に壊れるという経験則と,得意分野にしか目が行かないという転落的発想から,モーターを真面目に調べなかったことが仇になりましたが,とにかく原因が分かったことは一歩前進です。

 ルンバが偉いなあと思ったのは,こうしてモーターが故障した場合,電源をカットして事故を防ぐ仕組みが厳格だという事です。モーターが繋がっていない場合は最初から動作せず,モーターが繋がっていても過大な電流が流れるようなら電源を切り離してしまうことで,電圧が出てこないようになっていたのです。

 モーターが起動しにくくなって,電流が流れてしまうと電源を切ってしまうので,そこから先はモーターが回りません。だから運良く起動に成功するとモーター回り続けてくれるので,ゴミも集まるし,フィルターも汚れます。

 徐々にゴミが集まらなくなったいったのは,こういう事だったのですね。モーターが少しずつ劣化していったのに,事故に至らずに済んだのはルンバの良く出来た設計のおかげだと思います。さすがです。


 ということで,うちには壊れていない本体が2つ,1つは駆動系が全然ないルンバが転がっています。1つはバラバラになっていて,まるでカニを食べた後のような悲惨さです。

 さて,ここから考えられるのは2つ。

 同じモーターをなんとしても手に入れる,似たようなモーターでしのぐ,あきらめるです。幸い,取り付け場所には空間の余裕があるので,少々大きさが違っていても大丈夫です。

 電流が大きいと保護回路のせいで止まってしまうでしょうから,電流も大事です。でも直結のファンを回すだけですので,回転数やトルクは,そんなに厳密に考えなくてもよいでしょう。

 長くなったので,続きは後日に。

 果たしてルンバは直るのか?

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed