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8桁周波数カウンタの完成

  • 2011/09/25 13:47
  • カテゴリー:make:

ファイル 511-1.jpg

 8桁周波数カウンタが完成しました。

 ざっと最終的な仕様をまとめておきます。

・表示桁数 8桁
・機能 周波数,周期,周波数比,インターバル,ユニットカウンタ
・プリスケーラ 1/10および1/1000
・測定周波数帯域 0.1Hz?10MHz(1/1)
         1Hz?24MHz(1/10)
         100Hz?2400MHz(1/1000)
・感度      20mVrms(1kHz)
・タイムベース TCXO(±3ppm/-20℃~60℃,±1ppm/年)
        水晶発振器(±20ppm)1/1000プリスケーラ使用時
・ウォームアップ時間 約15分
・電源 DC6VのACアダプタ(800mA)

 秋月のICM7216Bを使用した周波数カウンタのキットを作り直したものですが,これまでの不満点を改称したものになっています。

 写真は,背面から出力している10MHzのタイムベースを,1/1000プリスケーラを通して周期測定を行っている様子です。1/1000プリスケーラ使用時のタイムベースはTCXOではなく9.765625MHzの水晶発振ですが,通電後約15分でTCXOを源発振とする10MHzの周期を,100.0000nsと測定してくれています。


(1)LED表示のゴースト

 ドライバトランジスタのキャリア蓄積が問題だと思っていた8桁目のゴーストですが,結論から言うと違っていました。波形を見ると244usのON期間の後,次のONまでの時間,なだらかに電圧が落ちていて,中途半端にONになっている長く時間があります。

 原因を調べていたのですが,2SA1015のベースが5Vになりきっておらず,トランジスタがOFFし切れていないようです。そこでベースとエミッタ間に2.7kΩをつないで,確実にトランジスタがOFFするようにしました。というか,PNPトランジスタではこれは必須の抵抗でしょう。

 さらに,0.022uFのコンデンサもベースとエミッタ間に入れました。抵抗だけだとあまりに波形が汚く,他の信号が変化するときに電源が引っ張られてベースの電圧がガクガク変動しているので,それを吸収するためです。

 この結果,8桁目のゴーストは消え,また各セグメントの輝度も揃うようになりました。(コンデンサの容量を大きくすると,今度は明らかにスイッチング速度が落ちてしまい,ぼんやり点灯するようになるのです。)

 また,DPもぼやーっと点灯する事がありました。ドライバである2SC1815に同様の対策を行って,解決しました。


(2)プリアンプの改良

 もともと5Vでもミスカウントするくらいだったのですが,以下に行った改良で20mVrmsまでカウント出来るようになりました。

・初段の2SK241のソースを直接接地
・段間のコンデンサを100uFに増大
・2段目のトランジスタを2SC2901に交換
・電源電圧を5.75Vまで上げた

 本当は作り直しをしようと思ったのですが,それも面倒になったので改良することにしました。ミスカウントは,周波数というよりは立ち上がりパルスの幅がICM7216Bの限界以下になっているからのようで,これは電源電圧を上げて速度アップすることと,プリアンプの電圧も上げて余裕を持たせることで,調整を追い込むことにしました。アナログ回路は,高電圧ほど性能を出しやすいと,実感しました。

 トランジスタの交換は,手持ちのジャンク箱を見ていたら偶然ftが750MHzくらいの2SC2901が見つかったのでこれを使いました。最初は2SC3358というft=6.5GHzのトランジスタを使ってみたのですが,うまくゲインが取れず,また発振をしているような感じもあったので,やめました。


(3)1/10プリスケーラ搭載

 新規に1/10プリスケーラを取り付けました。手持ちの74HC390を使って1/10ディバイダを追加しただけですが,これで分解能を犠牲にせず,24MHzまでのカウントが出来るようになりました。これは使い勝手に大きく貢献してくれると思います。


(4)TCXOの搭載

 20年前に買ったTCXO,TCO-703Aを12.8MHzに調整(小数点以下6桁まであわせました)しなおし,これを源発振にPLLで10MHzを作るモジュールを作って,タイムベースとしました。

 このTCXOのスペックは,温度偏差が±2?3ppm/℃,年間偏差が±1ppmというなかなかのものです。市販の安価な周波数カウンタでは,これが±5ppm位だったりしますので,そう考えると十分実用になってくれるでしょう。

 PLLがロックした場合には,左下のLEDが点灯するようになっています。VCOの制御電圧の変化で輝度が変わりますので,明るさの変動によってその安定度を見ることも可能です。

 ただし,1/1000プリスケーラ動作時は,タイムベースも通常の水晶発振で作られる9.765625MHzに切り替わりますので,TCXOの精度は出ません。この水晶発振が結構温度特性をもっているのですが,ICM7216Bと基板の間に寝かせて配置し,LSIの発熱による簡易恒温槽になることを期待しています。

 この結果,通電後約15分で規定の周波数に入ってくるようになります。もともとこの水晶発振は,1/1000のプリスケーラ用のものですから,分解能が1/1000になることを考えると,1GHz以上の高い周波数を測定する時以外は,精度を上げても表示に反映されにくいものですので,これで私は十分です。


(5)電源

 従来はトランスを内蔵し,5.6Vを三端子レギュレータで作って供給していましたが,発熱やAC100Vを扱う危険もあって,好ましくありません。ケースも小さくなりましたので,今回はスイッチング式のACアダプタで6Vを供給することにしました。小さく軽く安全で,いい世の中になりました。

 この6Vから,PLLやプリスケーラなどに供給する5.0Vと,カウンタに供給する5.75Vをそれぞれ別のLDOで作り,供給しています。PLLやプリスケーラはカウンタから信号をもらいませんので,レベルコンバートの必要もありません。

(6)ケースの加工とパネル

 ケースは定番の,タカチYM-200を使っています。やや小振りのケースですが,この大きさなら使いやすいし,取り回しも楽で,かわいらしいです。正面には文字高さ10mmの7セグLED8桁と,オーバーフローとPLLのロックを示すLEDが表示部に並び,右側に機能切り替えとタイムスケールのレンジ切り替えを行うロータリースイッチ,1/10プリスケーラの切り替えスイッチに1/1000プリスケーラ用の入力切り替えスイッチがあります。トグルスイッチの下には2つの入力端子がありますが,左側は10MHzまでの入力,右側は1/1000プリスケーラ用の入力です。

 背面は,周波数比などを計るときの入力B端子(ただし2.5MHzまでなので使い道はほとんどない)と,10MHzのタイムベースを出力する端子を設けてあります。なにせうちで一番正確な時間情報です。この10MHzを基準に使いたいと思うことは,これからもいろいろ出てくる事と思います。

 パネルは,今回はプリンタで印刷を行ってみました。表示部の角穴が大きく,どうしても素人くさい加工が目立ってしまうからです。最近はインクジェットプリンタで耐候性のあるステッカーを作るシートなども市販されていて,色も綺麗に出ます。文字のにじみもなく,ご覧のように綺麗にパネルを作ることができました。

 穴あき加工済みのパネルを部品取り付け前にスキャナで取り込み,この実寸の画像にあわせて印刷用の画像を作り込んでいきます。気に入ったフォントを使って文字を入れていくのは,その昔インスタントレタリングを使って文字を入れた手間を完全に過去のものにしてくれました。


 ということで,実用レベルの測定器に仕上がりました。マルチメータの上にでも重ねて,常用することにしたいと思います。

秋月の8桁周波数カウンタをレストアする計画

  • 2011/09/20 19:21
  • カテゴリー:make:

 先日書いた,秋月のベストセラーキットの1つ,8桁周波数カウンタのレストアを先日の週末から本格的に始めました。

 このキットを完成させたのは1991年3月だったと記録が残っていますが,完成後にこれを使って便利だったと思う記憶はほとんどありません。思うに,使いにくい,性能が信用出来ない,見た目に格好が悪いという理由で,自然に遠ざかったのだと思います。

 まず性能ですが,8桁のカウンタなのに,基準クロックの偏差が20ppmも30ppmもあるので,今ひとつ信用出来ないということです。これは先日,12.8MHzのTCXOからPLLで10MHzを生成する回路が完成したことで,解決しそうです。

 性能と言えば,なぜかDCから10MHzの入力感度が低いのです。5Vの矩形波を入れてもミスカウントが起こります。おそらく入力アンプが上手く動いていないのだと思いますが,こんなもんかなとそのままにしてありました。

 さらに,8桁目のLEDがうっすらと点灯しているのです。実害はないのですが,どうも不細工で好きになれません。この問題は,WEB上では全く見かけませんが,CQ出版から出ていた秋月のキットの本には問題の1つとして採り上げられているので,回路設計上の問題でしょう。

 ケースが鉄製でガチャガチャと嫌な音を立てることも嫌いでしたし,7セグLEDが大きすぎて,操作部が窮屈になることも嫌いでした。さらに,入力端子をBNCにしたのはよいのですが,周波数測定に適当なケーブルがなくて,結局オシロで確認する方が早いし楽だということになりました。

 また,せっかくの8桁カウンタも,プリスケーラを使わない場合は10MHzまでということで,その真価を発揮できませんでした。当時私は,2.4GHzのプリスケーラ付きを奮発しましたが,1/1024分周されることで測定周波数の上限拡大と引き替えに,周波数の分解能が犠牲になることをあまり深く考えてなかったようです。おかげで,例えば12.8MHzを測定すると,プリスケーラなしでは感度不足で動かず,プリスケーラを通すと12.8MHzとオシロ以下の精度しか出ません。

 今にして思えば,1/100分周のプリスケーラを搭載した250MHzまでのバージョンを買うべきだったと思うのですが,まあ済んでしまったことは仕方がありません。

 そしてとどめは,なぜかスイッチ類に油が浸透していて,まともに機能しなくなってしまっていることです。プリスケーラの切り替え,レンジや機能の切り替えなども上手く切り替わらないことがありますし,AC100VをON/OFFするスイッチなど,こわくて触りたくもありません。

 とまあいうわけで,このボロボロの周波数カウンタキットをレストアし,使える測定器にすることにします。

(1)精度

 何度も書いているように,20年前に秋月で買った12.8MHzのTCXOを活用すべく,TC5081を使ってPLLを組み上げ,10MHzのクロックを作る事が出来ています。このTCXOは年間1ppmの変化率,温度変化に対しては2から3ppmということですので,8桁精度としてはやや心許ないですが,安価な既製品の周波数カウンタの精度くらいは出ていますので,なんとか使い物になるという感じでしょうか。

 ところで,12.8MHzのTCXOの発振周波数の調整は,とある所のとある測定器を使って,なんとか小数点以下6桁まであわせることが出来ました。ということは8桁精度ですかね,本来8桁のカウンタに使うには,9桁精度以上が必要ですが,まあやむを得ません。


(2)入力回路

 プリアンプは,初段は2SK241のソースフォロワ,2段目は2SC1815,3段目は2SA1015という構成で,これが74HC14に入ります。74HC14には470kΩで負帰還がかかり,シュミット電圧幅を小さくして,上手く調整をすると20mVくらいの感度を持つように出来るそうです。

 この回路については,トラ技の製作記事にそのままパクられたりするほど良い回路らしく,特に問題も見聞きしません。しかし私は上手く動いていません。5Vのロジックを見るときでも,ミスカウントします。DCバランスを崩せば上手くカウントしますが,それだと感度は稼げていないでしょう。

 部品の故障やハンダ付けのミスなどを洗ってみてもいいのですが,面倒くさいので1段減らしたシンプルなプリアンプに置き換えることを計画中です。


(3)プリスケーラ使用時のクロック

 このキットに使われているプリスケーラは1/1024分周です。従ってカウント結果を直読出来ません。これは面倒ですので,普段は10MHzの基準クロックを,1/1.024の9.765625MHzにすることで,直読が可能になっています。

 10MHzの水晶発振子はカウンタLSIであるICM7216の直下に配置し,LSIの発熱で簡易恒温槽を作るという面白い工夫をしてありますが,プリスケーラ用の9.765625MHzの水晶発振子は,普通に基板の上に置かれています。

 だから,プリスケーラを使った状態では精度が随分悪いと予想されます。もともと1/1024の分解能になってしまうのですから,20ppmや30ppmでも実質問題はないよという考え方もあるのですが,それでも1GHz以上を測定するようなことがあると,結構気になるところでしょう。

 そこで,ICM7216の直下に置く水晶発振子を10MHzから9.765625MHzに置き換えることにしました。10MHzについては先程のTCXOとPLLで作り,外部発振器入力に入れて使う事になりますので,ちょうどよいです。


(4)8桁目の7セグLEDがうっすらと点灯する

 8桁目がぼんやり点灯する問題については,ダイナミックドライブゆえに,おそらく8桁目から1桁目に切り替わるときに,8桁目のドライブトランジスタのOFFになる時間が長くかかって,1桁目がドライブされる時刻でもまだONになったままだからではないかと思います。

 ICM7216で直接ドライブすればこんな問題はなかったのでしょうが,秋月のキットはトランジスタによるドライバを使っていますので,この問題が起きているのだと思います。

 実は,ICM7216のスキャン周波数は500Hzと,この手の周波数としては高めです。データシートによると,1桁分のLEDがONになる時間は244us,6usのブランキング時間を加えて合計250usです。これが8桁ですから8倍して2ms,つまり500Hzです。

 ダイナミックドライブが目の残像を利用する以上,スキャン周波数が30Hz程度だと結構ちらついて見えるものですが,高ければいいという物でもなくて,100Hzもあれば十分です。

 ですがこの回路では,500KHzという速度で100mA近い電流をバシバシ切り替えているわけで,トランジスタの仕事としては結構荷が重く,キャリア蓄積のせいでしばらくしてからでないとOFFにならないという現象が起きてしまいそうです。

 手としては,トランジスタのベース抵抗に200pF程度のコンデンサをパラに付けるか,電荷を抜く抵抗をベースとエミッタの間に入れるか,を考えています。ま,最悪駆動電流を減らして,目立たなくしてしまうと言う作戦もありでしょう。

 しかしですね,キャリア蓄積による遅延は,2SA1015なんかだと2から3us程度じゃなかったかなと思います。ブランキング時間を6usも確保してくれてあるのに,本当にこれが原因なのかどうかは,波形を見てみるしかありません。

(5)常用域でのプリスケーラ

 10MHzを境に,それ以上はいきなり精度が1/1000になるというのは,大変使いにくいものです。そこで,1/10のプリスケーラを追加することにしました。

 といっても,専用のICなど持っていませんので,74HC390を使います。30MHzくらいまでなら動いてくれるでしょう。どうせ入力アンプの帯域もこのくらいでしょうが,それでも30MHzまで1/10の分解能くらいで観測出来るのであれば,これまで1/1000になってしまったことを考えると,かなり便利なはずです。


(6)ケースと使い勝手

 薄い鉄製のケースは精度も低く,私の加工も下手で見るからにボロボロだったのですが,今回はタカチのYM-200という定番アルミケースを使う事にしました。以前のケースよりも一回り小さく,なかなか良い感じです。

 しかし,従来の7セグLEDをそのまま使うと,フロントパネルに他のスイッチやコネクタを置けません。あちゃー,と思っても後の祭りです。

 もともとLEDが大きすぎるのが嫌だったわけですし,小型の7セグに置き換えましょう。ということで,秋月の4桁ダイナミックドライブ用の7セグを買いました。ピュアグリーンなので楽しみだなと思っていたら,届いた実物の大きさが従来のLEDと同じであることがわかり,がっかりです。

 しかも,ICM7216がカソードコモンのLEDを使うので,てっきり同じと思っていたら,ドライバ回路を外付けにしてあり,アノードコモンが使われていました。さらにがっかり。

 秋月でアノードコモンの7セグを探すと,シャープの小型7セグが10個150円と大特価でさらにがっかり。悔しいのでこれと,スタンレー製のさらに小さいもの(1個50円)を買いました。

 届いてみると,スタンレーの超小型は,ピンピッチが2mmで,穴あき基板に載りません。無理に載せることも考えましたが,ここはおとなしくシャープのものを使う事にしました。文字高さは10mmで,従来が約14.2mmですので,随分小さいです。

 これで7セグ基板を作ってみると,予想通り小型にまとまってくれました。それでもYM-200の大きさと考えると,もうギリギリです。

 BNCコネクタを2つ,プリスケーラ切り替えスイッチを2つ,レンジとファンクションのロータリースイッチを並べると,もういっぱいです。これまで装備していたリセットスイッチやホールドスイッチはもう使わないと割り切って廃止します。

 ところで,周波数カウンタ(正確にはユニバーサルカウンタ)は,なにせ機能が豊富で切り替えが多いため,パネルの文字入れがたくさん必要です。文字入れをしないでおくと,実用も難しい位です。そこで以前はインレタでコツコツと文字を入れたのですが,今回はプリンタでシールを印刷し,これをパネルに貼り付けることにします。


(7)スイッチ類

 スイッチ類は,なぜか油で壊れていました。ロータリースイッチは今は入手が難しいアルプス製のものですが,接点数が希望の物とは違ったらしく,分解して無理矢理改造してありました。油のせいでこの改造も壊れていて,再利用は無理です。

 そこで,買い置きしてあったロータリースイッチを使う事にしました。このロータリースイッチは中国製だと思うのですが,接点の数を自分で決められる優れものなのです。

 2回路と1回路があり,1回路だと12接点まで,2回路だと6接点まで,金具を掛け替えるだけで設定出来るのです。素晴らしい。今回は1回路で十分ですので,ファンクションを5接点,レンジを4接点にして使う事にします。

 ただ,このスイッチは,感触はあまりよくありません。剛性感がないのと,精度が低いので,そこは我慢ですね。

 他のトグルスイッチ類は,小型のものを選びました。電源スイッチは背面に持っていきます。今回はAC電源を内蔵することはせず,5Vのスイッチング式ACアダプタから給電することにしますので,電源スイッチの重要性はそれほど高くはありません。

 
 ということで,冷静に考えてみると,キットを作るという手間(そしてそれが一番楽しい作業)がないだけで,あとはほぼ完全に作り直しになっているレストアですが,やるからには実用レベルにしないといけません。念願だったTCXOも搭載出来る目処が立ったのですから,頑張って仕上げたいと思います。

10MHzの基準クロック

  • 2011/09/14 17:34
  • カテゴリー:make:

ファイル 507-1.jpg

 もう20年近く前のことですが,その当時秋月電子のキットの定番,周波数カウンタキットのフラグシップであった,8桁周波数カウンタ2.4GHzプリスケーラ付き,を買って,さくっと作ったことがあります。

 当時の秋月電子で5000円を超えるキットというのは,結構手強いキットでした。その上貧乏学生にとって,この出費はちょっとしたチャレンジでした。

 キットの概要はICM7216BというインターシルのユニバーサルカウンタLSIが主役で,これにスタンレー製の高輝度7セグメントLEDが8桁で,その値段のほとんどを占めていたように思います。10MHzまではこのカウンタICで直接カウント,10MHzから2.4GHzまでは1024段のプリスケーラを通してカウントするという仕組みでした。

 10MHz以上の場合は表示を1024倍しないといけないことになり,これはかなり面倒という事から,このキットでは10MHzの源発振を1000/1024倍した9.765625MHzに切り替えるという工夫をしてありました。

 しかし,どちらも普通の水晶発振子を使っており,せっかくの8桁カウンタでも,その精度はせいぜい6桁から7桁ではなかったかと思います。

 当時から精度を上げるには源発振を高精度化するしかないと思っていましたが,安価に手に入るTCXOは12.8MHzでしたし,9.765625MHzに至っては手に入るかどうかすら怪しいものです。キットの説明書にあるように,そこそこ発熱するICM7216をオーブン代わりに水晶発振を安定させ,調整はテレビのカラーサブキャリアを使うという方法で完成させました。

 今にして思うと,当時の秋月のキットというのは難易度が高いとはいえ,素人の設備でもなんとか完成まで持って行けるように作ってあったんだなと思います。他のキットでも,最終的に手詰まりになることがなかったですからね。

 せっかく作った周波数カウンタでしたが,低周波の周波数はオシロスコープで測定するようになりました(2465Aは300MHzあたりまで観測出来ますから)し,その後私はGHz帯域の高周波など全く手がけなくなりましたから,結局ほとんど出番がないまま20年が経ちました。

 ところが先日手に入れたマルチメータの周波数カウンタ機能が案外便利だったのです。ただ残念な事にこの機能が1MHzくらいまでしか使えないため,少なくとも10MHzくらいまでは測定出来る環境が欲しいと,この周波数カウンタキットを使えるようにする方法を考えるようになりました。

 当時の鉄製のケースはもうボロボロですし,それはまあ作り直すこととして,問題は精度です。アナログテレビ放送が終了したこともあって高精度な周波数が手に入れにくくなっている昨今,どうにか10MHzの高精度発振器を手に入れたいなあと思っていた所,なかなかいい方法がありません。

 幸い,手持ちに20年ほど前に秋月で買った12.8MHzのTCXOがあまっていて,これを使って10MHzを使えるようにする方法を考えていたところ,google先生は偉大な先輩の製作例を探し出してくれました。

 12.8MHzを1/128し100kHzを作りこれを基準とし,10MHzのVCO出力は1/100して,100kHzがロックするようにPLLを作っている例でした。PDにはTC5081という80年代の定番を使っています。ぱっと見るととても簡単な回路です。

 しかし,面白い工夫があります。VCOの可変範囲が広いと,ロックした後でもジッタが多く,とても周波数カウンタの源発振には使えないそうで,水晶発振回路にバリキャップを付けて,狭い範囲で周波数が可変するようなVCOを採用しています。

 もともと,10MHz固定で周波数の可変をしないPLLですので,VCOの可変幅は大きい必要はなく,ジッタ軽減のために狭い範囲で可変するという方法は理にかなっています。そしてループフィルタのカットオフを10Hzと極端に下げ,位相余裕の十分な確保と,100KHzのカットを行っています。なるほど,こういう設計もあるのかとPLL初心者の私は感心したわけですが,その代わりロックアップにかかる時間は長くかかることになります。

 周波数を可変するシンセサイザではないのでロックアップが遅いことはそれほど問題にならず,またアマチュアが使うものですので,なにを重視するのか,という設計の目標の結果であると理解すると,なるほどと頷けます。

 部品点数も少なく,実用的な価値もあり,経験値も稼げますので,是非作ってみたくなりました。早速サトー電気に部品を注文です。

 TC5081はさすがに古いICで,もうとっくの昔にディスコンになっています。スタンダードCMOSと同じようなプロセスで作られているので,果たしてこの遅いPDが,どれほどの性能を持っているのか私にはわかりません。

 ふと思ったのは,PLLの定番である4046は使えないのか,と言う事です。VCOは使わないとして,PDくらいは使えそうでしたが,PLLの素人がいきなり応用をやってしまうと失敗するので,まずは実績ある回路できちんと作る事にします。

 これで正確な10MHzが得られるとよいのですが,なにせ20年前のTCXOを使いますので,温度特性は別にしても,絶対値が狂っているかも知れません。どっかで確認しないといけません。

 仮にこれが正確だったとして,次に問題となるのはプリスケーラを使った場合の源発振である9.765625MHzが問題です。これはもう,10MHzの源発振で9.765625MHzを調整するしかありません。


 さて,揃った部品を数えてみると,案外少ないなと印象です。小さく作りたいので出来るだけチップ部品を使って組み立てます。

 最初,バリキャップ周辺の配線が間違っていたのですが,修正をすると一応100kHzでPLLがかかってくれているようです。

 問題だなと思った事がいくつかあり,まず秋月で25年も前に買ったTCXOの12.8MHzが全く信用出来ないということ(仮に1ppm/年として,25ppmずれているわけですから,そこら辺の水晶発振器と同じくらいのズレになってるわけですよ)が最大の問題です。

 これは,高精度の測定器を使ってTCXOの調整をするしか方法がありません。

 次に,PLLの収束時間が結構長く,数秒かかるということです。もちろん,数秒たてば安定してくれますが,それもオシロスコープで見た限りの話です。8桁の周波数カウンタの基準クロックとしてふさわしい物かどうかは,ちょっと怪しいです。その分,ジッタは少ないのでしょうが。

 最後に,PLLのロックを示す端子の動作が期待はずれだったことです。PLLがロックしたらLEDが点灯するように,TC5081のPhaseOut端子を使ってみたのですが,ロックしたらHighになると言うより,ロックが外れてもLowにならず,いわばLowになる時間が長くなっているだけですので,LEDがちょっと薄暗くなるという感じです。

 これではロックしたかどうかなんて,わかりません。せめて,完全にロックが外れたときにLEDが消えて欲しいのですが,今ひとつです。

 ということで,さっと組み立てが終わっても,今ひとつ完成に持っていくことが出来なかった私は,今ひとつ達成感を感じることなく,休日を過ごしたのでした。

これまで見えなかったものが見える感激

  • 2011/09/12 17:24
  • カテゴリー:make:

ファイル 506-1.jpg

 夏休みの工作に作った歪率計&低歪み低周波発振器ですが,先日のお休みで完成としました。

(1)ノイズ対策
 アナログ回路でノイズ対策は大なり小なり必要なものですが,今回は信号の切り替えにせっかくリレーを使っているのに,そのリレーがシールドされていないため,指でリレーを触ると出力の値がパラパラと変化します。

 気分の物かもしれませんが,リン青銅板でリレーを覆って,シールドしました。全てのリレーを対策しましたが,案外リレーの発熱があって,リン青銅板のケースがほんのり暖かいです。

 このケースをしっかりとGNDに落とし,さらに鉄製の板を被せました。基板の半分ほどを覆うほどの鉄板でしたが,これで手をかざしても出力値が変わるという状況はほとんどなくなりました。最初から金属ケース入りのリレーを使えば良かったのかもしれません。


(2)値がレンジで異なる
 この歪率計は10%,1%,0.1%の3レンジを持っていますが,特に1kHzでは1%と0.1%で示される値が大きくずれています。1%の方がかなり小さく出るので,私はこちらを勝手に信用していましたが,どうして値が異なるのか,異なった場合どちらの値を信じるべきなのかに決着を着けないとまずいわけです。

 ふと思ったのですが,例えば0.0005%の歪み率の場合,1%では0.5mV,0.1%では5mVを示すことになります。なら,入力をGNDに落として0Vとした時,それぞれのレンジで本当に0Vとなってくれるのでしょうか。

 やってみると,なんと1%レンジは0.24mVを示しています。これが残留ノイズと考えると,この残留ノイズに対して十分大きな高調波でないと,信用出来ないということになります。そりゃそうですね,0.0005%の歪みなら,1%レンジで0.5mV,0.1%レンジでは5mVの出力です。どちらにも残留ノイズが0.24mVあるとしたら,どちらを信用出来るかなど,明らかです。

 ちなみに,TrueRMSのデジタルマルチメータDL2050ではレンジで異なる値を示していても,アナログの電子電圧計だとレンジに関係なく,どちらもだいたい0.0006%位を示してくれています。ノイズが2つの電圧計の値にどれくらいの差を作るのかは,スペアナを使って見てみないとよく分からないのですが,とりあえず0.1%レンジが信用出来るというのは正しい様に思います。

 これで,歪み率が一桁悪い100Hzと10kHzで,1%レンジと0.1%レンジで値が揃うことの理由もはっきりします。よって,回路の問題ではなく,1%レンジで測定出来る範囲を大きく下回る値だったというのが,正解です。

 ただ,これもシールドを行う対策を行ったから,残留ノイズを0.24mVまで減らすことが出来ました。


(3)低周波発振器の最終的な歪み率

 上記を踏まえ,低歪み低周波発振器の最終スペックを確定させました。

。発振周波数・・・100Hz,1kHz,10kHzの切り替え式
・周波数偏差・・・±0.2%以内
・出力電圧・・・約8.0Vrms
・歪み率・・・0.0005%(1kHz)
       0.0022%(10kHz)
       0.0031%(100Hz)

 1kHzの低歪みが光ってます。これはかなり満足な値です。10kHzや100Hzも決して悪い数字ではないと思いますが,これくらいなら普通に作れば達成出来てしまう数字ですし,1kHzとの差が大きいことも,ちょっと残念です。

 それと,私が使うという限定の回路ですので,特に100HzでのAGCの収束時間が10秒以上かかります。下手をすると30秒ほどかかることもあって,振幅が安定しないうちに測定を始めることがないように,気をつけなければなりません。

 ちなみに,VP-7201Aは1kHzで0.001%程度,10kHzと100Hzは同じくらいの値でした。メーカー品に勝利したと思うなかれ,VP-7201Aはこれを10Hzから500kHzの連続可変でやっているのですから,たいしたものです。

 そうそう,まともな検討をして訳ではないのであくまで参考に,ですが,スペック上はNJM4580Dよりも低歪みなLM4562に交換してみたところ,NJM4580Dよりもずっと悪い数字(倍近く悪い)が出てきました。

 それでも十分低歪みといえばそうですが,スペックを誇らしげに歌う最新世代OP-AMPで,それなりに高価なものだけに,この結果には拍子抜けすると共に,NJM4580DというJRCの実力の高さを思い知りました。

 まあ,発振器の歪み率は負荷のドライブ能力なんかにも影響があるので,NJM4580DとLM4652の単純比較は出来ませんが,安くて高性能でタフなNJM4580Dのバランスの良さには,感心しました。


(4)歪率計のクセ

 ここまで分かったところで,実際に歪率を測定してみることにしました。

 まず,気をつけないといけないことがあります。それは,発振器の出力レベル調整によって,発振器の歪み率が大きく変わってくるのです。単純なボリュームを使っているのですが,ここでそんなに大きく歪むとは考えられず,おそらくインピーダンスが変わることで,ノイズを拾うのではないかと思っています。ノイズは高調波ではありませんが,フィルタをすり抜けますので見た目の歪率を悪化させます。

 同じ事が,歪率計の入力レベル調整のボリュームでも起きているようです。

 フィルタをスルーさせた電圧を1Vrmsに調整してから,フィルタを通した高調波の値を測定すれば,その電圧の値がすぐ歪み率として直読出来るのですが,この1Vrmsにするためのボリュームを絞ると,歪率の値が随分悪化します。原因が同じかどうかわかりませんが,1Vrmsにするのは直読するという目的のためであり,あとで計算するという手間をかければ,別に何ボルトでもいいわけです。

 使い方の工夫として,出来るだけツマミの位置は半分を割らないように工夫をするということが大事です。大きな電圧を測定するときは出来るだけ内蔵の-20dBアッテネータを使用するのがよいようです。

 最後に,これはクセでもなんでもないのですが,この発振器と歪率計はGND基準で動くものですので,BTLのパワーアンプを接続すると,アンプの出力がショートしてしまいます。私はこれに気が付かず,うっかりHT82V739のアンプの歪み率を測定しようとして,出力が出てこないことにしばらく悩んでいました。1W位の小型アンプで良かったです。


(5)実測例1・真空管アンプ

 と言うことで,パワーアンプの実測例です。

 まず最初は,10年ほど前に自分でゼロから設計し,途中でNFBの帰還率を調整した,6V6シングルアンプの歪率です。きめの細かい,しなやかな音がするので気に入っていますし,6V6という小型出力管がなぜ今でも愛されるのか,よく分かったアンプでした。また,スクリーングリッドの電圧の設定と安定化が5極管の使い方のキモであると知ったのも,このアンプでした。

 出力が1W+1W程度の割には猛烈な発熱をするアンプで,私以外の人は怖がって使いませんが,本音を言うと私も怖いです・・・

 そのアンプの歪み率です。負荷は8Ωです。

・0.1W
0.232%(1kHz)
0.486%(100Hz)
0.224%(10kHz)

・0.5W
0.594%(1kHz)
1.49%(100Hz)
0.51%(10kHz)

・1W
1.03%(1kHz)
3.24%(100Hz)
0.71%(10kHz)

・1.5W
4.9%(1kHz)

 1.5Wの測定はちょっと怖いのと,1kHzで5%にもなっているので,100Hzと10kHzでの測定はしませんでした。これを見ると,1Wと1.5Wの間,おそらく1.2Wあたりで3%になっていると思われます。大体設計通りですね。

 そして,常用域である0.5Wくらいで,0.5%前後という値は,とても真空管アンプらしい値で,なるほどなあと思います。今回はリサージュを出しませんでしたので,偶数歪みか奇数歪みか確認していないのですが,まあこのくらいならいいんじゃないでしょうか。100Hzでの悪化が気になるところです。


(6)実測例2・MOS-FETパワーアンプ

 奥澤清吉先生の「はじめてつくるFETアンプ」に掲載されていた,40W+40Wのプリメインアンプを高校生の時に作った事は何度か書きましたが,あれから25年,一度も歪み率を測定したことがなかったのです。

 というか,ダミーロードを繋いで,最大出力も試したことがありません。

 今回,そんなことを考えながら,測定の準備をしていました。時間がなく,1KHzだけの測定になってしまったのが残念ですが,なにせアンプのセッティングを場所から長いケーブルを這わせて測定しましたので,なかなか手際が悪く時間がかかったのです。

 負荷は8Ω,Rchだけ測定しましたので,電源の負担は軽いはずです。これを2chで同時に行ったら,もっと値は悪化することでしょう。

・MOS-FET(1kHz)
0.1W 0.016%
0.5W 0.023%
1.0W 0.024%
3.0W 0.022%
5.0W 0.027%
10W 0.17%
20W 0.255%
30W 0.324%
40W 7.8%

 うむ,初めて値を取りましたが,悪くない数字ですね。5Wまでの値が0.03%以下ですので,常用域は変化が少ない,安定した性能を維持しているようです。

 一方で30Wまで0.3%程度と,これもかなり粘っています。30Wっていうとかなりでかい音ですよ。それで0.3%ですから,ちょっと安心しました。

 そして40Wになると,7.8%と急激に悪化します。さすがハードディストーションの半導体アンプだなと思いますが,これを見ると3%の歪み率は大体35W位になるような感じですから,まあ設計通りということになるでしょうか。

 本当は100Hzで低域のパワー感,10kHzで高域の純度の目安が分かるものなのですが,機会があればまた測定したいところです。


 ということで,歪率計が手に入ると,これまでどうやっても見えなかった領域の素性が見えるようになりました。うれしいですね,自作の測定器がこんな風に私の新しい目や耳になってくれるなんて。

 電圧や電流の測定は基本ですし,波形の確認も必須です。しかし,直線性が大事なリニアアンプにおいて,歪み率というのはとても大切な値です。しかしその値を測定するには,ノウハウも必要だし,高価な機材も必要です。私のように自作をすれば安くは出来ますが,膨大な手間がかかる上に,必ずしも実用レベルの物が完成するとは限りません。

 聴感上の良し悪しに感覚的に頼ることも否定しませんし,人間の耳はかなりの違いを聞き分けられるものですが,他との比較や経年変化などを評価する場合,やっぱり数値化できないとだめです。

 なかなか大変な工作でしたが,一応アンプの歪み率を測定出来るところまで来たことで,これにて終了です。

 今後のこの歪率計でしたいこと,ですが,まずは300Bシングルアンプと5998のプッシュプルアンプの歪み率を測定しておきたいです。

 そして,自作D-Aコンバータのポストフィルタに使っている,私が設計したディスクリートのOP-AMPの歪み率を見ておきたいと思います。これ,実は市販のモノリシックOP-AMPに気に入ったものが見当たらず,ディスクリートで設計した方がいい物を作れるとふんで,バラのトランジスタを使って設計したものです。聴感上,歪み率はかなり優秀と思っていましたが,測定しないうちに自慢するわけにもいきません。

 今回の工作は,従来のノウハウの積み重ね以上に,根気が要求されるものでした。部品点数の多さ,実装の工夫,基板配置や配線の引き回し,そして部品選びと,アナログの醍醐味を味わった,大作だったと思います。

 部品集めを始めてから3年以上が経過し,もう完成しないのではないかと内心思っていましたが,これだけの成果が出て,本当に良かったと思います。

発振器の改良と歪率計の再調整

  • 2011/09/04 23:55
  • カテゴリー:make:

ファイル 505-1.jpg

 夏休みの電子工作で意を決して作り始めた歪率計と低ひずみ発振器ですが,今日一応の完成を見ました。

 実は,まだまだ実装上の問題を綺麗に潰して,ノイズの影響を押さえ込まないといけないのですが,実用上ほぼ問題なしというレベルになったので,今日完成としました。

(1)発振器

 OP-AMPを交換してもそれほどひずみ率に変化がなかったのですが,それならAGCのJ-FETを交換して見ました。FETはもともとばらつきの大きい部品で,同じ品種,同じランクのものでも交換すればひずみ率が改善されることがあります。

 実は後述するフォトカプラを本命と考えていたので,FETの交換で改善することはそれほどあてにしていませんでした。

 もともとの2SK30A-GRで0.00273%@1kHzになるように調整をした後,これを手持ちの2SK160Aと,別の2SK30A-GRに交換してみます。結果,どれも同じ0.00273%となりました。なお,2SK107では発振することすらありませんでした。

 確かに,FETを交換すると歪み率は変わるのですが,再調整をすると似たような収束時間で似たようなひずみ率になるので,結局同じなのです。構造的に三次ひずみを作るFETを使う以上,これ以上の改善は難しいと判断しました。

 そこで本命の,フォトカプラです。LEDとCdSのフォトカプラは,少なくとも国内での生産はなく,ほとんど使われる事もなくなった絶命種です。そもそもCdSが環境対応できない部品なので,使いたくても使えない国がほとんどでしょう。

 ですが,半導体を使わない抵抗素子ならではのリニアリティは他に変わるものはなく,ギターのエフェクタでもキーパーツの1つとして珍重されています。

 で,半年ほど前にアキバで手に入れたP873-G35-911という,浜松ホトニクス製のフォトカプラを,今回使ってみようと思ったわけです。フォトカプラの使い方としては,まさにぴったりです。

 しかし,本を見ても,google先生に聞いてみても,案外フォトカプラを発振器に使った例というのは出てこないものです。仕方がないので,自分で設計します。

 FETを外し,代わりにフォトカプラをつないで,電流制限の抵抗として3.3kΩをLEDとOP-AMPの間に入れておきます。やったことはそれだけです。これでさくっと発振しました。

 CdSには直列に5kΩのボリュームをいれてありますが,CdSの可変抵抗の動作範囲が大きいおかげで,ボリュームをどこに回しても,ほとんどひずみ率に変化がありません。さすがです。

 で,結局最終的に得た数値は,0.00046%@1kHz,0.0032%@100Hz,0.00238%@10kHzというところです。100Hzと10kHzは平凡な数字ですが,1kHzの低ひずみはなかなかのものだと思いました。ただ,上手な人が作るとFETでもこのくらいの数値をたたき出すものなので,フォトカプラを使ってこれ,というのはちょっと情けないといえるかも知れません。

 ところで,周波数の安定度はそれなりによくて,0.1%くらいのずれがあるかどうか,という程度です。

(2)歪率計

 フィルタの調整を行ったとき,VP7201Aを使った関係で周波数がどんどんずれてしまうのでうまく出来なかったのですが,今回は発振器が完成しましたから,これで調整をやり直します。

 しかし,調整がとにかく大変でした。ちょっとボリュームに触れるだけで,大きく電圧が変化します。これだけ急峻な特性だとやむを得ないところもありますが,それにしても,時間が経つとじわじわ調整がくるってきますし,もう二度とやりたくないというのが正直なところです。

 調整が終わって,ひずみ率の再測定を行ったのですが,1kHzの0.1%レンジの値が,1%レンジの測定値と大きくずれるのです。ノイズを拾っているようなので,対策をするのですが,原因はリレーにありました。リレーを指で触ると,大幅にノイズが増えて,値が悪化します。そこで,リレーの上に鉄板を張り付けてGNDにおとしてやると,少し収まりました。それでも最終的に2つのレンジで値が一致しないので,まだまだ対策が不十分なのだと思います。

 10kHzと100Hzについては,レンジが異なってもおおむね値が一致するので,これは安心です。もしかすると1kHzの配線が間違っているのかも知れません。その方向でも確認をしてみます。

 ということで,現時点で真空管のアンプくらいは測定出来そうです。でももう少し頑張りたいと思います。

ファイル 505-2.jpg

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