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54645Dが壊れていた~CH2のトリガが復活!編

  • 2017/04/20 10:28
  • カテゴリー:make:

 CH2のトリガがかからない原因が,チャネルごとに用意されたトリガ用の高速コンパレータの不良と判明した私のHP54645D。しかし,その高速コンパレータSPT9687が入手できず,修理まで到達出来ない・・・

 様々な作戦を考えたうち,セカンドソースか互換品を探してみた結果,ちょっとスペックが落ちるが現行品のAD96687が入手可能であり,しかもdigikeyに在庫まであるとわかって早速注文したところまでが,これまでのあらすじです。

 digikeyの利用はこれで2回目なのですが,前回も超高速で届けてくれて,本当にアメリカから飛んできているのかと疑ったほどです。誰に聞いてもdigikeyでトラブったとか,遅くなって困ったという話を聞かないので,値段,在庫,スピードも最高で,しかも信頼性も抜群という,完璧超人な電子部品店が,このdigikeyです。

 勘違いしたらだめだと思うのは,そのdigikeyもプロ相手の商売が軸だという事です。我々アマチュアは,そうしたプロのためのインフラに相乗りさせてもらえるから,こんなに素晴らしいサービスにあやかることが出来ていると,ちょっと自虐的に言い切ってしまいましょう。

 これが他の業者だと,プロとだけ(つまり法人としか相手をしない)しか商売をしないケースがほとんどなわけで,digikeyは寛容にも個人に対し,プロと同じだけのサービスを提供してくれているんだから,うれしいじゃないですか。

 秋月なんかも似たようなものなんですが,秋月の場合プロとアマチュアを区別していないというのが正解なような気がしていて,そのかわり秋月にとっては個人か法人かではなく,数が多いか少ないかを問題にしているように思います。

 ともあれAD96687を在庫していて,最短で2日で届くというのですから,前回書いたように,頼んでみたわけです。

 4月17日のお昼頃に注文し,その日の23時半頃に出荷の連絡が来ました。4月19日中に届くという予定です。早いですね。現地との時差が14時間あるので,半日得をするわけです。

 その後は順調にUPSのステータスが更新され,ミネソタからケンタッキー,そしてアンカレジと通過し,成田に到着したのは4月19日の昼前です。前回はここから16時前に自宅まで持ってきてくれました。

 自宅で待っていたのですが,UPSのステータスがなかなか更新されません。そう,成田から出て行かず,配送車で配達中になってくれないのです。

 まあ,そもそもアメリカからの電子部品が中1日で届く方がおかしいわけで,その間に想像を超える多くの人の手に渡り,関門を抜けて私の所までくるのですから,そのどこか1つでミスがあれば,こんな短時間では届きません。そういうこともあるわな,くらいの寛容な気持ちでいようと思っていました。

 呼び鈴がなります。嫁さんが娘の洋服を買ったものが4月19日の夕方の便で届くようにしてあったので,これが届いたのだろうと出てみると,なんとヤマトがdigikeyの荷物も持ってきてくれました。

 つまり,UPSは成田から自社での配送をせず,提携先のヤマト運輸に委託したんですね。そのけっかUPSのステータスは更新されず,私の荷物は成田にとどまっているように見えたわけです。

 結果オーライ。検品も終わり,希望していた部品が届いたことを確認できたら,早速修理を開始です。

 問題となっているSPT9687を外し,届いたばかりのAD96687に交換です。作業そのものはとても簡単で,5分ほどで終了です。

 ファンクションジェネレータの出力を分岐してCH1とCH2につなぎ,54645Dの電源を入れます。うーん,画面に輝線が出ないのでびびりましたが,ちょっと操作をすると問題なくCH1でもCH2でもトリガがかかって,ピタッと波形がとまります。

 よし,修理はとりあえず出来た。

 しかし,あまり感動はありません。SPT9687とAD96687は異なる仕様の部品であり,CH2でトリガがかかったとはいえ,測定器として使い物になるのかどうかは,別の問題だからです。

 設定したトリガレベルに達してから実際にトリガかかるまでの時間にズレが出ることが予測されたので,それを測定しようと試み,2kHzの矩形波を5ns/divで重ねて表示をし,CH1とCH2を同じトリガレベルに設定して,0Vを横切る時間差を見る事にしました。

 結果は,400psほどのズレがあるということになりました。SPT9687とAD96687の遅延のスペックは,前者が2.3ns以内,後者が2.5ns以内ですので,200ps位の差なら許せるのですが,ちょっと大きいです。

 これは生きているCH1のSPT9687もAD96687に交換して揃えた方がいいかもと思い立ちました。散々まよったのですが,しないで後悔する方がよくないと思い,CH1もAD96687に交換しました。

 パターンを1つ剥がしてしまい,あわてて修復しながら交換。これで壊してしまったら目も当てられません。

 幸い動作はしたのですが,遅延差は拡大し,800psまで大きくなってしまいました。1ns近くの差があるというのは悲しいものがあります。

 そこで,自己校正をかけてみることにしました。これまでCH2が壊れていたので最後まで進まず,Failで止まってしまったのですが,今回はきっとうまくいくでしょう。ひょっとすると,この校正でトリガの時間差も修正されるかも知れません。

 ドキドキしながら自己校正をかけます。数分後無事に通り(この時はちょっと感動した),遅延時間をチェックします。

 残念ながら,時間差は変わりません。

 まあ,こんなもんかなあと思ったのですが,よく見ると波高値も違っていますし,左右の波形の時間軸のズレ(スキュー)も大きいようです。スキューは引き算をすれば済むと思っていたのですが,波高値が変わってしまうとトリガレベルも変わってくるので,かなり面倒です。

 波高値の差はプリアンプの誤差かも知れませんし,もう少し調べて見ないとわかりません。どっちにしても,今トリガのかかる時間がずれることに一喜一憂することはやめた方が良さそうです。

 ということで,CH2でトリガがかかるようになり,自己校正も通るようになるところまで確認して,この日の作業は終了。あとは気になっているフロントパネルの爪が折れてブカブカしていることの対策をすること,あとはケースを閉じて1時間ほど通電して再度の校正をかける事,そして最終的な性能の確認をすることを,ゴールとしましょう。

 中途半端な状態ではありますが,改めて54645Dを触ってみたのですが,やっぱりいいですね。心配していたトリガのキレもちゃんと維持されていますし,操作つまみのチャタリングも少なくっていて,快適な操作が出来ています。

 見たい波形がどんどん見られることの面白さ,指が迷わない直感的な操作と,使って楽しいオシロスコープであることを再認識しました。

 あともう少し調整と確認をして,主役の座に戻ってもらいましょう。

 確かにまだすっきりしていないのですが,我ながらよく修理したなあと思います。以前も書きましたが,測定器を修理するにはそれなりのスキルが必要で,部品の手配も含めてよくもまあデジタルオシロを修理出来たものだと思います。

 

 もちろん,測定器の修理に高い技術力が必要と言われるには,その校正作業も首里に含まれるからなのですが,動くようにするだけでもなかなか大変なのが測定器でもあります。ただ,測定器はある程度修理も考慮されているもので,民生品のように壊れたら買い換えという話ではないだけに,修理不可能で行き止まりにぶつかることは少ないように思います。


 この話,もう少し続きます。

TDS3054Bのファームウェアアップデート

  • 2017/04/19 19:07
  • カテゴリー:make:

 我が家に縁あってやってきて,修理の結果元気になったTDS3054Bですが,54645Dの故障原因の特定にも活躍し,その実力を私に見せつけてくれました。トリガのキレも良好で,操作レスポンスもよくて,キビキビ動いてくれます。

 この時代のLCDですので,見やすいとはちょっと言えないのですが,確かにこの使い勝手ならアナログオシロから移行する人も多かったろうなと思います。

 あれ以後起動不良も起きず,全くストレス無しに使えているのですが,そうなると気になるのはファームのアップデートです。

 以前も書きましたが,最新のファームは3.41で,このセットは3.19でした。機能が増えたわけではないようなので,バグ対策でしょう。ならばアップデートしたいですよね。

 アップデートの手順は簡単で,用意するのは1.44MBのフロッピーディスクを4枚です。これをフォーマットし,disk1からdisk4までのラベルをつけておきます。そしてダウンロード下ファイルを解凍して出てきた4つのフォルダのそれぞれに入ったファイルを,フロッピーディスクにコピーします。

 disk1をTDS3054Bのドライブにいれて電源を入れれば,後は指示通りにすすんでいくという手はずです。

 しかしですね,このフロッピーディスク4枚というのが,なかなか今どき高い壁になってます。私も手持ちのフロッピーディスクを2枚しか見つけることが出来ず,。あとの2枚は保存用のフロッピーディスクからとってきました。

 古いものなのでエラーが心配ですが,やってみるしかありません。

 で,周りを見渡すと,フロッピードライブのあるPCが全くありません。これも壁ですね。出てきたのはUSB接続のドライブです。これをノートPCに繋いで使ってみましょう。

 ところが,WIndows8のマシンではどういう訳だか動作せず,昔のWIndowsVistaのマシンを引っ張り出す羽目になりました。

 なんとかここまで来ましたが,フォーマットをしようとすると,書き込み禁止になっていると怒られます。確認してもそうはなっていないので,ドライブの故障です。ライトプロテクト検出スイッチの不良で書き込み禁止になってしまうということは,実はありがちなことです。

 なんどかガチャガチャと出し入れすると,書き込みが出来るようになりました。

 フォーマットからデータの書き込みをやって,TDS3054Bに突っ込んで電源ON。

 disk1とdisk2は読み込まれることなく交換を促されました。disk3は何度もゴゴーゴゴーっと長距離のシーク音が繰り返されて,もうダメかもと思いましたが,なんとかパス。

 disk4も冷や冷やしながら読み込みを待ちましたが,トータル10分弱でアップデートが完了しました。

 再起動すると,ちゃんと3.41になっています。なっていますが,どこが変わったのかわかりません。その上,ありがちなことですが,保存して置いたセットアップが消えてしまっていました。トホホ。

 心配していたFFTなどの機能もちゃんと生きていて,なにも問題はありません。うまくいったのでほっとしました。

 この過程で少し気になったのが,垂直軸のDCオフセットです。オシロスコープには付きものの問題ですので不良でもなんでもないのですが,起動直後は中央から少し下がっていて,15分ほどかけて真ん中に来ます。

 また,4つのチャネルで中央の揃わないのも気持ち悪いです。こういうことがあるということを,頭に入れて測定を行わないといけないですね。1時間ほど放置した後,自己校正を欠けておきました。

 ということで,TDS3054Bについてやるべき事は,全部終わりました。特に故障も問題もなく,私の武器になってくれると思います。

 プローブをもう2本ほど買い足さないといけないなあ。

54645Dが壊れていた~部品を探してみる編

  • 2017/04/18 10:49
  • カテゴリー:make:

 かなり前から,実はCH2でトリガがかからなくなっていた私のHP54645D。CH1とCH2それぞれに用意された超高速コンパレータSPT9687のうち,CH2側の破損が原因だと突き止めたところで,交換を画策するも入手不可能という壁にぶつかり,修理は暗唱に乗り上げたのでした。

 選択肢は4つ。買い換える,TDS3054Bにリプレースする,互換部品を探す,他のオシロスコープから外して使うことも含めてSPT9687を意地でも手に入れる,です。

 買い換えると簡単にいいましたが,54645Dってあまり中古市場に出てきません。もともと高価だったこともあり,20年前のオシロスコープなのに値段もそんなに下がらず,この値段で買うんなら新品を買うよなと思うくらいです。

 TDS3054Bにリプレースというのは現実的な選択肢で,今回の原因究明にも大活躍してくれましたが,使いやすくてなにも問題なし。もっとも単純な波形を見るだけの仕事でしたから,54645Dほどの活躍が出来るとは思えませんし,それにこの選択肢はいつでも選ぶ事が出来るので,とりあえず今は考えません。

 最後の「意地でもSPT9687を手に入れる」は,やっぱり難しそうです。故障した54600シリーズのオシロが仮にオークションに出ていたとしても,やっぱり1万円以下にはなりません。1万円出してSPT9687だけ取り出すと言うのももったいないし,それも良品が取り出せるとは限りません。この選択肢もちょっと後回しにしたいです。

 残るは互換品です。アメリカ生まれの,こういう尖った半導体というのは軍用だったりするので,セカンドソースが案外いたりします。正直に言えば日本の民生品に大量に使われたNECや東芝のリニアICに比べると,まだつぶしが利くことが多いものです。(ただ,民生品用の半導体は数が膨大なので在庫があちこちに残っていますから,探せば見つかったりします)

 高速コンパレータですから,これはもうリニアICです。となると,MAXIM,Analog Devices,Linear Technology,Exar,Burr-Brownあたりでやってそうです。9687という番号を手がかりに探してみると,あったあった,ありました。

 MAX9687(MAXIM),AD9687(ADI),SPT9687(Exar)という感じです。オリジナルメーカーは断定できないのですが,SPTという半導体メーカーで「Signal Processing Technologies」というのが正式な名称のようです。

 もしSignal Processing Technologiesだとすれば,この会社は1957年10月に創業した老舗で,昔からADコンバータや高速コンパレータなどをやっていたようですが,2002年にFairchildに買収されています。ただ,FairchildからSPT9687が出ているかと言えば,そういうことでもないようです。

 そのSPT9687も完全なオリジナルかと言えばそうではなく,ピン配置の起源はAMDのAm687ということもわかりました。高速コンパレータとして登場したもので,ECLの差動出力にラッチ付きで,8nsの遅延でした。

 SPT9687は2.3nsですので,ここまでくるとセカンドソースと言うより,アップグレード版という感じですね。よってこれをオリジナルと見なしていいんじゃないでしょうか。

 Exarは同じ名前でSPT9687の互換品を作っていて,もし手に入るとすればこれなんだろうと思いますが,あいにく生産中止で手に入りません。MAX9687も互換品っぽいですが,これも見つかりません。

 AD9687については少しは引っかかるのですが,どうも型番を新しくしたAD96687が現在も生産されている現行品で,Am687の後継者としては唯一の現役です。これなら安価に手入ります。

 AMDが公表している,軍用品の互換品リストによると,Am687はAD96687にそのまま置き換え可能とありました。

 実はこのAD96687,54645Dにも1つ使われています。もしSPT9687と置き換え可能ならAD96687に統一するだろうと思う訳ですが,わざわざこれらを使い分けているところをみると,ちょっとしたスペックの違いにこだわっている可能性があります。

 AD96687の遅延は2.5ns,SPT9687は2.3ns,MAX9687は1.9nsです。NSのLM6687は3.5nsということですので,AD96687に置き換えることで,何かが犠牲になるかもしれません。トリガがかかる時間が200ps以上遅れることになるわけで,CH1とCH2との時間差がこれだけ出ると,ちょっとまずいかも知れないですね。

 そういうことなら,どちらもAD96687に交換して揃えてしまった方がよいかも知れませんし,100MHzのオシロスコープで200psにこだわってどうするという気もします。ケーブルの遅延で200psくらい出ますからね・・・

 電源電圧はどれも同じ,消費電流には違いはありますが,もともとECLですし,そんなに気にしても仕方がない感じです。

 で,AD96687をとにかk買うしかありません。探してみると,digikeyで買えそうです。SOPのパッケージも入手可能で,お値段は日本円で878円。高いですが,こういう特殊な部品を手早く買えるというのはありがたいです。

 CH1とCH2の両方を交換し,しかもその後の保守のために4つ買うことにしました。digikeyって,以前は7500円以上で2000円の送料が無料になったのですが,今は6000円で無料になるんですね。むむ,SA612やATtiny2313のSOPを買ったりして,6000円ちょっとにしました。

 すでに出荷されたそうで,到着したら早速試してみようと思います。結果は後日。

54645Dが壊れていた~原因が分かった編

  • 2017/04/17 16:03
  • カテゴリー:make:

 我が愛しのHP54645Dの故障が発覚,CH2にトリガかかからない問題をどうするか,修理か,買い換えか,TDS3054Bにリプレースか,果たしてどうしたものか・・・

 とりあえず修理を試みるのですが,メインボードを見て,その部品点数の多さに絶句します。もっとも,部品点数が少ないものは,それはそれでASICに集約されているという事ですから,修理出来る可能性は非常に低くなってしまうわけで,故障箇所を探すのに苦労するけど修理は可能なものと,故障箇所はすぐに分かるが分かったところで修理不可能なものと,どっちがいいかという話です。

 まずは基本に忠実に,基板を目で見てみて,破損した部品がないかどうかを見てみるのですが,悪いところは見当たりません。こうなったら,信号を追いかけていくしかないのですが,回路図もないのに,こんな複雑な回路を追いかけるなんて,うまくいく気がしません。

 ダメモトで探してみると,54600Aと54645Aというアナログ入力のオシロスコープの回路図が見つかりました。前者はデジタルオシロ,後者はMEGA ZOOM搭載ですが,残念ながらミックスドシグナルオシロスコープではありません。

 とはいえ,時期も似たようなものですし,きっと共通の回路も多いだろうと回路図を眺めていると(これが実に楽しい),トリガは垂直のプリアンプから分岐し,マルチプレクサで選択された後,波形整形と高速コンパレータでトリガ信号を作るようになっていました。これならなんとかなりそうと,基板を見てみますが,それらしい部品は見当たりません。

 何度も何度も確認しましたが,プリアンプからの分岐も,高速コンパレータも見つかったのに,故障の可能性が高いマルチプレクサがないのです。

 ここでくじけそうになったのですが,HPジャーナルというHPの社内報によると,54645Dはミックスドシグナルオシロスコープなので,トリガが他のアナログ入力のみのオシロとは異なっていて,ASICになっているということでした。

 万事休す。ASICの故障だとすれば,もう手はありません。でも,まだそうと決まったわけではありません。あきらめるためにもきちんと原因をはっきりはっきりさせたいところです。

 やったことはとても地道で,プリアンプから出ているトリガ用の配線をテスターで追いかけて,どこに繋がっているのかを調べていきます。いわば回路図を起こすわけですね。

 この作業は,テスターの導通チェック機能を使うわけですが,横で見ていた5歳の娘が「ピー」と音の出るのを面白がり,さっぱり捗らなかったことを書いておきます。

 娘が眠った後,頑張って作業再開です。順番に追いかけていくと,どうもCH1とCH2で同一の回路が個別に作られているような感じです。あれ,アナログ入力だけのオシロなら,CH1とCH2を切り替えるマルチプレクサがあり,そこから先の回路は1つしかないはずなんだけど・・・

 ここで,この54645Dがミックスドシグナルオシロスコープであることを思い出しました。ミックスドシグナルオシロスコープの本質は,デジタルとアナログのすべての入力を観測出来ることというよりも,これらの入力から縦横無尽にトリガ条件を組み合わせて作る事が出来る事にあります。

 とうぜん,CH1とCH2からトリガ条件を作ることも出来るわけで,そうなると当然,トリガを生成する回路も独立していないといけないわけです。

 なるほど,54645Dでトリガ発生回路が2つ存在する理由がわかりました。なら,2つの回路の動作を比較していくと,故障箇所が判明します。

 トリガ発生回路は,アナログ入力だけのオシロのトリガ発生回路とほぼ同じのようです。テスターで大体の回路構成を把握してからTDS3054Bに持ち替えて,波形を追いかけていきます。CH1にはTDS3054Bの校正出力(1kHz)を,CH2にはファンクションジェネレータで2KHzを作って突っ込みました。

 信号を順に追いかけていくと,トリガパルスを生成する,トリガ回路の心臓部に来ました。SPT9687という見慣れない部品がコンパレータで,こいつでトリガを作っているようです。

 SPT9687もCH1とCH2で別々に存在しているので,それぞれの信号波形を比較すると,CH2のSPT9687の出力になにも波形が出てきていないのがわかりました。入力端子は正常ですし,CH1の出力には,トリガレベルに応じた波形が出てくるので,明らかに異常です。

 こいつが犯人かもと思って,CH1とCH2のSPT9687を入れ替えて見ました。

 すると,CH1でトリガがかからず,CH2でトリガがかかるようになりました。

 ビンゴ!

 CH2のSPT9687は壊れているのが,CH2でトリガかからない原因でした。

 いやー,我ながら,よくやるわと思いました。計測器の修理が出来るというのは結構なスキルが必要だと感じて以来,自分のいつかは出来るようになったらいいなあと憧れてきましたが,オーディオアナライザもデジタルオシロスコープも,ここまで出来るようになっていたんですね,自分は。ありがたい話です。

 原因が汎用の半導体なわけですから,これはもう交換して修理をしたいですわね。そこでSPT9687を探してみますが,全然変買えそうにありません。なんでもECL出力の差動出力コンパレータで,2.3nsという超高速なものです。イネーブル端子もあるもので,私はこんなもん,見たことがありません。

 この高速性というのは,おそらくトリガのキレにかかってくるんだろうと思います。高いんだろうなあと,背筋がゾクゾクします。

 しかし,どれだけ探しても見つかりません。唯一見つかった日本の業者に見積もりを出すも,在庫無しと簡単に断られてしまいました。個人だから,きっと邪気にされたんでしょうね。寂しい話です。

 すでに生産中止になり,入手が難しい部品が壊れているという現実に,打てる手は限られています。置き換え可能な互換品を探す,他のオシロスコープから外して使う,全く別の部品を無理矢理使う,くらいでしょう。

 まだまだ続きます。

54645Dが壊れていた~どうしたものか編

  • 2017/04/14 14:14
  • カテゴリー:make:

 先日,TDS3054Bを手に入れた話を書きました。いい機会なので,うちの主力機で,私の大好きな54645Dもメンテをしようと考えました。

 54645Dは古い機械なので,調子が悪くなっています。特にフロントパネルのロータリエンコーダがチャタリングを起こしていて,水平,垂直共に誤動作が増えてきました。

 それに,考えてみるとうちにきてから一度も分解掃除をしていません。気になるともう止まらないのが私の性分で,これらの問題をパッパと片付けようと思ったのです。

 最初の問題は,分解でした。なにせフロントパネルが外れてくれません。ちゃんとサービスマニュアルをみれば良かったのですが,面倒なので適当に分解すると,ようやく外れたパネルに続き,なにやらプラスチックの部品も一緒に出てきました。

 パネルを固定していた,爪も一緒に折れてしまったようです。

 これが折れてしまうとパネルが固定できず,ブラブラします。心も折れそうになるのを必死で踏みとどまり,まずは水洗いをします。

 乾かしている間に,ロータリーエンコーダの修理です。一番いいのは新品への交換なのですが,そういうわけにもいかず,とりあえずクリーニングをやります。ただ,よく知られる接点復活剤はかえって部品を劣化させるので,使わないのはもはや常識です。

 そこで,投入したのが,クレのエレクトロニッククリーナーです。速乾性の強力な洗浄剤で,スイッチやボリュームの接点の汚れを取り除くことができます。評価も概ねいいようで,基板の洗浄に使っている人がいるくらいですから,部品を壊す心配はないと思います。

 ただ,軸に塗り込まれたグリスが溶け出して接点に流れ込むことが懸念され,そうなってしまうともう交換しか方法がないですから,覚悟を決めてスプレーします。

 結果は上々で,チャタリングもだいぶ少なくなりました。副作用もなく,シャフトも軽く回るようになり,なかなか良い感じです。よし,これで1つ問題は解決。

 で,組み立てに入るのですが,先程の爪の破損をどうにかせねばなりません。

 ABSの接着はなかなか難しく,固定用の爪のように,材料自身の粘りに頼って力がぐっとかかるような部品は,なかなかうまく接着できません。

 そこで,アクリル板をあてがい,これと一体化するようにエポキシ接着剤で固める事にしました。これが案外うまくいき,一晩経過するとがっちり固定できています。

 よろこんで組み立てるのですが,問題の詰めはがっちり本体に引っかかるものの,パネルの他の部分がプカプカと浮いてしまいます。よく見ると,そこにも爪があり,これが折れかかっているのがわかりました。

 うむ-,結局2つある爪を両方とも折ってしまったわけですね。

 仕方がないので,パネルをもう一度外し,もう1つの折れた爪を修理しようとしたところ,接着した爪もポロッと外れてしまいました。導電性のメッキがかかっているので,これが接着しにくくなる原因になっているようです。

 作戦の練り直しが必要になりました。しかし手元にあるのはエポキシ接着剤だけです。出来るだけ大面積で,しかもたくさんの接着剤を盛って接着したのですが,これがなかなかよくて,どちらの爪もしっかり接着できたようです。

 この話,ABSの接着をみんなどうしているのか調べてみたところ,アクリサンデーの接着剤で要略するのが一番いいというのがわかりました。幸いアクリサンデーの接着剤は手元にありますので,これを最初から使えば良かったのですね,トホホ。

 念のため,これと同じ成分を含む,プラモデル用の接着剤を買っておきました。これが後々役に立つのです。

 ちゃんと組み上がって,動作試験です。以前と同じように動いてくれるのでこれでおしまい,と思ったのですが,これもまたせっかくの機会ですので,自己校正をテストも兼ねてかける事にしました。

 54645Dは背面のキャリブレータ出力端子からフロントパネルの端子に信号を入れることで,自己校正が出来るようになっているのです。もちろん出来る事は限られますが,細菌のオシロでは割に当たり前の装備です。

 ところが,この自己校正でエラーが出ます。CH2のトリガがかからず。ここでFailとなり,他の校正結果もキャンセルされています。

 そういえば,1年か2年ほど前に,確か2465Aの修理が終わった時に,54645Dの自己校正をやってみたらエラーになったことを思い出しました。全く同じ状態です。

 その時は,まあいいかで済ませたんですが,今回は冷静に考えて見ました。このエラーから推測するに,CH2でトリガがかからないわけですから,結構致命的な問題となります。

 CH1とCH2に信号を入れ,トリガソースをCH1からCH2に切り替えてみたら,やはりトリガがかかりません。これはえらいことです。Ch2で本当にトリガがかかりません。

 54645Dを私が気に入って使っているには理由があって,これはMEGA ZOOMの便利さもあるのですが,ミックスドシグナルオシロスコープであることも理由です。

 ミックスドシグナルオシロスコープは,アナログとデジタルの波形が見られることをメリットだと感じている人も多いと思いますが,実はトリガの条件にアナログとデジタルを複雑に組み合わせることが出来ることこそ,最大のメリットです。

 アナログだけのオシロなら,トリガをどちらかのCHでかければ済むだろうと思うわけですが,54645Dの強さは18個の入力を縦横無尽に組み合わせてトリガをかける事ができることにあるわけで,貴重なアナログ入力が1つ死んでいるというのは,もう普通のオシロでいいじゃないかと言ってしまっていいほどの問題なのです。

 まあ,偉そうなことを言っていますが,こういう使い方をして助かったことは実は数えるほどしかなく,日常的にはアナログ入力だけで,しかもトリガはCH1でしかかけていないので,別にどうでもいいのですが,ここ一番欲しい機能であるには違いないので,54645Dでないといけない理由が壊れていることに,とてもがっかりしました。

 選択肢は4つ。修理する,同じ物を中古で探す,現行の新品に買い換える,キーサイト(HPですね)のオシロはあきらめて,TDS3054Bを主力に据える,です。

 中古を探しましたが,54645Dはなかなか見つかりません。これは気長に探すことになるでしょう。

 現行の新品ですが,アナログ入力のデジタルオシロなら,MEGA ZOOM搭載の高性能なモデルがとても安く売られているんですね。DSOX1000シリーズがそれで,100MHzの2HCで12万円です。デジタル入力がないこと以外は54645Dと同等以上ですから,これを買ってしまおうかと思ったくらいです。

 一応ミックスドシグナルオシロスコープも調べましたが,これは今でも強烈に高いですね。車が買えるほどの値段ですので,あきらめました。

 滅多に使わない機能のために何十万円も追加が必要になるわけで,それならもうアナログ入力だけでいいじゃないかと思う訳です。

 でも,それだったら操作系が気に入らないとはいえTDS3054Bをそのまま使えばいいわけですし,54645Dも全く使えないわけではないので,無理をして新品を買う必要はありません。

 残った選択肢は,修理です。

 

 長くなったので,続きは後日。

 

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