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54645Dが壊れていた~部品を探してみる編

  • 2017/04/18 10:49
  • カテゴリー:make:

 かなり前から,実はCH2でトリガがかからなくなっていた私のHP54645D。CH1とCH2それぞれに用意された超高速コンパレータSPT9687のうち,CH2側の破損が原因だと突き止めたところで,交換を画策するも入手不可能という壁にぶつかり,修理は暗唱に乗り上げたのでした。

 選択肢は4つ。買い換える,TDS3054Bにリプレースする,互換部品を探す,他のオシロスコープから外して使うことも含めてSPT9687を意地でも手に入れる,です。

 買い換えると簡単にいいましたが,54645Dってあまり中古市場に出てきません。もともと高価だったこともあり,20年前のオシロスコープなのに値段もそんなに下がらず,この値段で買うんなら新品を買うよなと思うくらいです。

 TDS3054Bにリプレースというのは現実的な選択肢で,今回の原因究明にも大活躍してくれましたが,使いやすくてなにも問題なし。もっとも単純な波形を見るだけの仕事でしたから,54645Dほどの活躍が出来るとは思えませんし,それにこの選択肢はいつでも選ぶ事が出来るので,とりあえず今は考えません。

 最後の「意地でもSPT9687を手に入れる」は,やっぱり難しそうです。故障した54600シリーズのオシロが仮にオークションに出ていたとしても,やっぱり1万円以下にはなりません。1万円出してSPT9687だけ取り出すと言うのももったいないし,それも良品が取り出せるとは限りません。この選択肢もちょっと後回しにしたいです。

 残るは互換品です。アメリカ生まれの,こういう尖った半導体というのは軍用だったりするので,セカンドソースが案外いたりします。正直に言えば日本の民生品に大量に使われたNECや東芝のリニアICに比べると,まだつぶしが利くことが多いものです。(ただ,民生品用の半導体は数が膨大なので在庫があちこちに残っていますから,探せば見つかったりします)

 高速コンパレータですから,これはもうリニアICです。となると,MAXIM,Analog Devices,Linear Technology,Exar,Burr-Brownあたりでやってそうです。9687という番号を手がかりに探してみると,あったあった,ありました。

 MAX9687(MAXIM),AD9687(ADI),SPT9687(Exar)という感じです。オリジナルメーカーは断定できないのですが,SPTという半導体メーカーで「Signal Processing Technologies」というのが正式な名称のようです。

 もしSignal Processing Technologiesだとすれば,この会社は1957年10月に創業した老舗で,昔からADコンバータや高速コンパレータなどをやっていたようですが,2002年にFairchildに買収されています。ただ,FairchildからSPT9687が出ているかと言えば,そういうことでもないようです。

 そのSPT9687も完全なオリジナルかと言えばそうではなく,ピン配置の起源はAMDのAm687ということもわかりました。高速コンパレータとして登場したもので,ECLの差動出力にラッチ付きで,8nsの遅延でした。

 SPT9687は2.3nsですので,ここまでくるとセカンドソースと言うより,アップグレード版という感じですね。よってこれをオリジナルと見なしていいんじゃないでしょうか。

 Exarは同じ名前でSPT9687の互換品を作っていて,もし手に入るとすればこれなんだろうと思いますが,あいにく生産中止で手に入りません。MAX9687も互換品っぽいですが,これも見つかりません。

 AD9687については少しは引っかかるのですが,どうも型番を新しくしたAD96687が現在も生産されている現行品で,Am687の後継者としては唯一の現役です。これなら安価に手入ります。

 AMDが公表している,軍用品の互換品リストによると,Am687はAD96687にそのまま置き換え可能とありました。

 実はこのAD96687,54645Dにも1つ使われています。もしSPT9687と置き換え可能ならAD96687に統一するだろうと思う訳ですが,わざわざこれらを使い分けているところをみると,ちょっとしたスペックの違いにこだわっている可能性があります。

 AD96687の遅延は2.5ns,SPT9687は2.3ns,MAX9687は1.9nsです。NSのLM6687は3.5nsということですので,AD96687に置き換えることで,何かが犠牲になるかもしれません。トリガがかかる時間が200ps以上遅れることになるわけで,CH1とCH2との時間差がこれだけ出ると,ちょっとまずいかも知れないですね。

 そういうことなら,どちらもAD96687に交換して揃えてしまった方がよいかも知れませんし,100MHzのオシロスコープで200psにこだわってどうするという気もします。ケーブルの遅延で200psくらい出ますからね・・・

 電源電圧はどれも同じ,消費電流には違いはありますが,もともとECLですし,そんなに気にしても仕方がない感じです。

 で,AD96687をとにかk買うしかありません。探してみると,digikeyで買えそうです。SOPのパッケージも入手可能で,お値段は日本円で878円。高いですが,こういう特殊な部品を手早く買えるというのはありがたいです。

 CH1とCH2の両方を交換し,しかもその後の保守のために4つ買うことにしました。digikeyって,以前は7500円以上で2000円の送料が無料になったのですが,今は6000円で無料になるんですね。むむ,SA612やATtiny2313のSOPを買ったりして,6000円ちょっとにしました。

 すでに出荷されたそうで,到着したら早速試してみようと思います。結果は後日。

54645Dが壊れていた~原因が分かった編

  • 2017/04/17 16:03
  • カテゴリー:make:

 我が愛しのHP54645Dの故障が発覚,CH2にトリガかかからない問題をどうするか,修理か,買い換えか,TDS3054Bにリプレースか,果たしてどうしたものか・・・

 とりあえず修理を試みるのですが,メインボードを見て,その部品点数の多さに絶句します。もっとも,部品点数が少ないものは,それはそれでASICに集約されているという事ですから,修理出来る可能性は非常に低くなってしまうわけで,故障箇所を探すのに苦労するけど修理は可能なものと,故障箇所はすぐに分かるが分かったところで修理不可能なものと,どっちがいいかという話です。

 まずは基本に忠実に,基板を目で見てみて,破損した部品がないかどうかを見てみるのですが,悪いところは見当たりません。こうなったら,信号を追いかけていくしかないのですが,回路図もないのに,こんな複雑な回路を追いかけるなんて,うまくいく気がしません。

 ダメモトで探してみると,54600Aと54645Aというアナログ入力のオシロスコープの回路図が見つかりました。前者はデジタルオシロ,後者はMEGA ZOOM搭載ですが,残念ながらミックスドシグナルオシロスコープではありません。

 とはいえ,時期も似たようなものですし,きっと共通の回路も多いだろうと回路図を眺めていると(これが実に楽しい),トリガは垂直のプリアンプから分岐し,マルチプレクサで選択された後,波形整形と高速コンパレータでトリガ信号を作るようになっていました。これならなんとかなりそうと,基板を見てみますが,それらしい部品は見当たりません。

 何度も何度も確認しましたが,プリアンプからの分岐も,高速コンパレータも見つかったのに,故障の可能性が高いマルチプレクサがないのです。

 ここでくじけそうになったのですが,HPジャーナルというHPの社内報によると,54645Dはミックスドシグナルオシロスコープなので,トリガが他のアナログ入力のみのオシロとは異なっていて,ASICになっているということでした。

 万事休す。ASICの故障だとすれば,もう手はありません。でも,まだそうと決まったわけではありません。あきらめるためにもきちんと原因をはっきりはっきりさせたいところです。

 やったことはとても地道で,プリアンプから出ているトリガ用の配線をテスターで追いかけて,どこに繋がっているのかを調べていきます。いわば回路図を起こすわけですね。

 この作業は,テスターの導通チェック機能を使うわけですが,横で見ていた5歳の娘が「ピー」と音の出るのを面白がり,さっぱり捗らなかったことを書いておきます。

 娘が眠った後,頑張って作業再開です。順番に追いかけていくと,どうもCH1とCH2で同一の回路が個別に作られているような感じです。あれ,アナログ入力だけのオシロなら,CH1とCH2を切り替えるマルチプレクサがあり,そこから先の回路は1つしかないはずなんだけど・・・

 ここで,この54645Dがミックスドシグナルオシロスコープであることを思い出しました。ミックスドシグナルオシロスコープの本質は,デジタルとアナログのすべての入力を観測出来ることというよりも,これらの入力から縦横無尽にトリガ条件を組み合わせて作る事が出来る事にあります。

 とうぜん,CH1とCH2からトリガ条件を作ることも出来るわけで,そうなると当然,トリガを生成する回路も独立していないといけないわけです。

 なるほど,54645Dでトリガ発生回路が2つ存在する理由がわかりました。なら,2つの回路の動作を比較していくと,故障箇所が判明します。

 トリガ発生回路は,アナログ入力だけのオシロのトリガ発生回路とほぼ同じのようです。テスターで大体の回路構成を把握してからTDS3054Bに持ち替えて,波形を追いかけていきます。CH1にはTDS3054Bの校正出力(1kHz)を,CH2にはファンクションジェネレータで2KHzを作って突っ込みました。

 信号を順に追いかけていくと,トリガパルスを生成する,トリガ回路の心臓部に来ました。SPT9687という見慣れない部品がコンパレータで,こいつでトリガを作っているようです。

 SPT9687もCH1とCH2で別々に存在しているので,それぞれの信号波形を比較すると,CH2のSPT9687の出力になにも波形が出てきていないのがわかりました。入力端子は正常ですし,CH1の出力には,トリガレベルに応じた波形が出てくるので,明らかに異常です。

 こいつが犯人かもと思って,CH1とCH2のSPT9687を入れ替えて見ました。

 すると,CH1でトリガがかからず,CH2でトリガがかかるようになりました。

 ビンゴ!

 CH2のSPT9687は壊れているのが,CH2でトリガかからない原因でした。

 いやー,我ながら,よくやるわと思いました。計測器の修理が出来るというのは結構なスキルが必要だと感じて以来,自分のいつかは出来るようになったらいいなあと憧れてきましたが,オーディオアナライザもデジタルオシロスコープも,ここまで出来るようになっていたんですね,自分は。ありがたい話です。

 原因が汎用の半導体なわけですから,これはもう交換して修理をしたいですわね。そこでSPT9687を探してみますが,全然変買えそうにありません。なんでもECL出力の差動出力コンパレータで,2.3nsという超高速なものです。イネーブル端子もあるもので,私はこんなもん,見たことがありません。

 この高速性というのは,おそらくトリガのキレにかかってくるんだろうと思います。高いんだろうなあと,背筋がゾクゾクします。

 しかし,どれだけ探しても見つかりません。唯一見つかった日本の業者に見積もりを出すも,在庫無しと簡単に断られてしまいました。個人だから,きっと邪気にされたんでしょうね。寂しい話です。

 すでに生産中止になり,入手が難しい部品が壊れているという現実に,打てる手は限られています。置き換え可能な互換品を探す,他のオシロスコープから外して使う,全く別の部品を無理矢理使う,くらいでしょう。

 まだまだ続きます。

54645Dが壊れていた~どうしたものか編

  • 2017/04/14 14:14
  • カテゴリー:make:

 先日,TDS3054Bを手に入れた話を書きました。いい機会なので,うちの主力機で,私の大好きな54645Dもメンテをしようと考えました。

 54645Dは古い機械なので,調子が悪くなっています。特にフロントパネルのロータリエンコーダがチャタリングを起こしていて,水平,垂直共に誤動作が増えてきました。

 それに,考えてみるとうちにきてから一度も分解掃除をしていません。気になるともう止まらないのが私の性分で,これらの問題をパッパと片付けようと思ったのです。

 最初の問題は,分解でした。なにせフロントパネルが外れてくれません。ちゃんとサービスマニュアルをみれば良かったのですが,面倒なので適当に分解すると,ようやく外れたパネルに続き,なにやらプラスチックの部品も一緒に出てきました。

 パネルを固定していた,爪も一緒に折れてしまったようです。

 これが折れてしまうとパネルが固定できず,ブラブラします。心も折れそうになるのを必死で踏みとどまり,まずは水洗いをします。

 乾かしている間に,ロータリーエンコーダの修理です。一番いいのは新品への交換なのですが,そういうわけにもいかず,とりあえずクリーニングをやります。ただ,よく知られる接点復活剤はかえって部品を劣化させるので,使わないのはもはや常識です。

 そこで,投入したのが,クレのエレクトロニッククリーナーです。速乾性の強力な洗浄剤で,スイッチやボリュームの接点の汚れを取り除くことができます。評価も概ねいいようで,基板の洗浄に使っている人がいるくらいですから,部品を壊す心配はないと思います。

 ただ,軸に塗り込まれたグリスが溶け出して接点に流れ込むことが懸念され,そうなってしまうともう交換しか方法がないですから,覚悟を決めてスプレーします。

 結果は上々で,チャタリングもだいぶ少なくなりました。副作用もなく,シャフトも軽く回るようになり,なかなか良い感じです。よし,これで1つ問題は解決。

 で,組み立てに入るのですが,先程の爪の破損をどうにかせねばなりません。

 ABSの接着はなかなか難しく,固定用の爪のように,材料自身の粘りに頼って力がぐっとかかるような部品は,なかなかうまく接着できません。

 そこで,アクリル板をあてがい,これと一体化するようにエポキシ接着剤で固める事にしました。これが案外うまくいき,一晩経過するとがっちり固定できています。

 よろこんで組み立てるのですが,問題の詰めはがっちり本体に引っかかるものの,パネルの他の部分がプカプカと浮いてしまいます。よく見ると,そこにも爪があり,これが折れかかっているのがわかりました。

 うむ-,結局2つある爪を両方とも折ってしまったわけですね。

 仕方がないので,パネルをもう一度外し,もう1つの折れた爪を修理しようとしたところ,接着した爪もポロッと外れてしまいました。導電性のメッキがかかっているので,これが接着しにくくなる原因になっているようです。

 作戦の練り直しが必要になりました。しかし手元にあるのはエポキシ接着剤だけです。出来るだけ大面積で,しかもたくさんの接着剤を盛って接着したのですが,これがなかなかよくて,どちらの爪もしっかり接着できたようです。

 この話,ABSの接着をみんなどうしているのか調べてみたところ,アクリサンデーの接着剤で要略するのが一番いいというのがわかりました。幸いアクリサンデーの接着剤は手元にありますので,これを最初から使えば良かったのですね,トホホ。

 念のため,これと同じ成分を含む,プラモデル用の接着剤を買っておきました。これが後々役に立つのです。

 ちゃんと組み上がって,動作試験です。以前と同じように動いてくれるのでこれでおしまい,と思ったのですが,これもまたせっかくの機会ですので,自己校正をテストも兼ねてかける事にしました。

 54645Dは背面のキャリブレータ出力端子からフロントパネルの端子に信号を入れることで,自己校正が出来るようになっているのです。もちろん出来る事は限られますが,細菌のオシロでは割に当たり前の装備です。

 ところが,この自己校正でエラーが出ます。CH2のトリガがかからず。ここでFailとなり,他の校正結果もキャンセルされています。

 そういえば,1年か2年ほど前に,確か2465Aの修理が終わった時に,54645Dの自己校正をやってみたらエラーになったことを思い出しました。全く同じ状態です。

 その時は,まあいいかで済ませたんですが,今回は冷静に考えて見ました。このエラーから推測するに,CH2でトリガがかからないわけですから,結構致命的な問題となります。

 CH1とCH2に信号を入れ,トリガソースをCH1からCH2に切り替えてみたら,やはりトリガがかかりません。これはえらいことです。Ch2で本当にトリガがかかりません。

 54645Dを私が気に入って使っているには理由があって,これはMEGA ZOOMの便利さもあるのですが,ミックスドシグナルオシロスコープであることも理由です。

 ミックスドシグナルオシロスコープは,アナログとデジタルの波形が見られることをメリットだと感じている人も多いと思いますが,実はトリガの条件にアナログとデジタルを複雑に組み合わせることが出来ることこそ,最大のメリットです。

 アナログだけのオシロなら,トリガをどちらかのCHでかければ済むだろうと思うわけですが,54645Dの強さは18個の入力を縦横無尽に組み合わせてトリガをかける事ができることにあるわけで,貴重なアナログ入力が1つ死んでいるというのは,もう普通のオシロでいいじゃないかと言ってしまっていいほどの問題なのです。

 まあ,偉そうなことを言っていますが,こういう使い方をして助かったことは実は数えるほどしかなく,日常的にはアナログ入力だけで,しかもトリガはCH1でしかかけていないので,別にどうでもいいのですが,ここ一番欲しい機能であるには違いないので,54645Dでないといけない理由が壊れていることに,とてもがっかりしました。

 選択肢は4つ。修理する,同じ物を中古で探す,現行の新品に買い換える,キーサイト(HPですね)のオシロはあきらめて,TDS3054Bを主力に据える,です。

 中古を探しましたが,54645Dはなかなか見つかりません。これは気長に探すことになるでしょう。

 現行の新品ですが,アナログ入力のデジタルオシロなら,MEGA ZOOM搭載の高性能なモデルがとても安く売られているんですね。DSOX1000シリーズがそれで,100MHzの2HCで12万円です。デジタル入力がないこと以外は54645Dと同等以上ですから,これを買ってしまおうかと思ったくらいです。

 一応ミックスドシグナルオシロスコープも調べましたが,これは今でも強烈に高いですね。車が買えるほどの値段ですので,あきらめました。

 滅多に使わない機能のために何十万円も追加が必要になるわけで,それならもうアナログ入力だけでいいじゃないかと思う訳です。

 でも,それだったら操作系が気に入らないとはいえTDS3054Bをそのまま使えばいいわけですし,54645Dも全く使えないわけではないので,無理をして新品を買う必要はありません。

 残った選択肢は,修理です。

 

 長くなったので,続きは後日。

 

TDS3054Bを手に入れました

  • 2017/04/10 09:09
  • カテゴリー:make:

 先日,ふとしたことから,テクトロニクスのオシロスコープ,TDS3054Bを手に入れました。大変リーズナブルに手に入ったのですが,もちろん訳ありです。電源が入りにくかったり,突然切れたりします。

 また,アプリケーションモジュール(正面パネルの右上に4つあるスロットに入れるアップグレードモジュールのこと)はすべて抜かれており,付属品は一切なし。壊れているのかそうでないのかさえも,わかりません。

 そもそも,TDS3054Bってどんなオシロよ?

 私はデジタルに移行してからのテクトロのオシロには全く興味はなく,MEGA ZOOMが搭載されたHPのオシロを触って以降,HP(->アジレント->キーサイト)に宗門替えをしました。

 長年使っているアナログオシロの2465Aは,トリガの切れ味や見やすい表示,非常にまとまった操作系で,さすがテクトロと今でも思うのですが,その後のTASシリーズやTDSの初期のものは使いにくく,これが本当にあのテクトロなのか,と愕然としたものです。

 そこへ現れたのがHPの54645Dで,1MByteの当時としては大容量のメモリに,表示されていない部分も含めてとにかく常に目一杯記録し,水平軸を変更してもいちいち波形を取り直さないという,ごく自然なことを可能にしていたMEGA ZOOMにいたく感動したことで,私の「オシロだけはテクトロかなあ」という思い込みは覆ったのでした。

 このあたりの経緯は何度も書いているのでもう改めて書きませんが,実はこの頃のテクトロのデジタルオシロの定番品がTDS3000シリーズです。

 TDS3000シリーズはDPOと彼らがよんでいるシリーズで,波形の登場頻度を輝度の違いで表示することで,アナログオシロを擬似的に再現するもので,デジタルオシロが苦手としていた観測が可能になると,当時盛んに宣伝されていました。

 しかし,デジタルオシロの基本機能を決定付けるメモリについては,いかんせん10kWordしかありませんので,今見えている分だけが記録されるに過ぎず,水平軸を切り替えればまた波形の取り直しになるのです。

 限られたメモリを目一杯使うにはこの方法以外にないわけですが,こうした技術的制約をすでにHPが打破していたことを考えると,もうちょっとどうにかならんのかと,当時の私は思っていました。

 なにせ,トラブルシューティングには,問題の尻尾をつかむのが最優先です。オシロスコープがないと手も足も出ないトラブルが,オシロで波形を見たら一杯でわかったという経験は多くの方がされていると思いますが,これも結局そのトラブルが可視化できたからであり,オシロを使ったから解決したわけではありません。

 問題箇所の波形がいつでも取り込めるのであればいいのですが,えてしてなかなか問題発生の瞬間に波形が取り込めることは少なく,最初はとにかく手探りになります。そんな中で取り込めた「尻尾」はまさに宝物です。

 以前横河のDL1540を使っていた時,そうして取り込んだ「尻尾」が,うっかりいじった水平軸のツマミで消えてしまったことがあり,自らの愚かさに涙したことがありました。しかもご丁寧に,DL1540は水平軸を切り替えた時にキャリブレーションまで行うので,数秒間の待ち時間が発生します。私が,消えた波形を偲んで涙に暮れるには十分過ぎる時間でした。

 そんなわけで,HP54645Dはその後大活躍することになり,ライバルとされていたTDS3000シリーズには全く興味関心を持たずに来てしまったのです。

 今回改めてTDS3000シリーズを調べて見ると,2400シリーズなどがかつて担っていたメインストリームで,3000B,3000Cと改版を重ねてロングセラーになったモデルという事がわかりました。

 DPOによって波形の登場頻度が輝度でわかることから,アナログオシロからの置き換えが本当の意味で可能になった記念碑的モデルでもあります。前述のようにメモリは少なく,画面の更新頻度も今どきの廉価版に負けていますが,さすがにプロが認めたオシロスコープであり,この機種以降アナログオシロは急激に数を減らすことになるのです。

 そんなTDS3000シリーズにあって,私が手に入れたTDS3054Bは2001年に登場した2世代目のモデルで,帯域500MHz,4chの上位機種(最上位といえないのは600MHzのモデルがあるから)です。いや,もうなにも言うまい。500MHzですよ,4chですよ。当時の価格で200万円近くですよ。

 オシロスコープなどは,あまり付加機能があっても仕方がなく,どれだけレアな発生頻度の波形をきっちり取り込めるのかが最も大事です。そのために多くのトリガモードを備え,それぞれに切れ味のいいトリガがかかることがまさに命です。

 トリガがかからないのは話になりませんが,かかって欲しくない時にかかってしまうのも困りもので,その後にあったかもしれない問題波形を取りこぼしたり,余計な波形ばかりで何度も何度もやり直す羽目になったりするのは,効率も良くありません。

 欲しい波形をピンポイントで狙って取りこむ力,これこそトリガのキレであり,テクトロはその辺は心配ないでしょう。キレの悪い,ぬるいトリガのオシロは,5秒で使う気がなくなります。

 頑張っても頑張っても尻尾がつかめない時,このオシロで取れないなら,問題はここには存在しないのかもしれない,他を当たってみるかと考える事が可能かどうかは,測定器に対する信頼という形で,言い表せます。

 確かにメモリが少ないことは残念な所ではありますが,5Gsample/secというサンプリング能力は,HP54645Dとは性能以前の問題としてサンプリングに対する考え方の違いもあって圧倒的なものを持っていますし,基本性能をみてもうちで最強の500MHz,4chのオシロですから,粗末に扱うわけにはいけません。

 ロジックアナライザと統合され,トリガがアナログとデジタルで縦横無尽にかかるHP54645Dの優位性は揺らぎませんが,500MHzでないと,4chでないと,5Gsample/secでないと,見られない世界があるのは事実です。

 そんなわけで,目の前にあるTDS3054Bです。

 よく知らないのですが,TDS3000Bシリーズになって,それまで別売りのアプリケーションモジュールをささないと使えなかったFFTが,標準機能になったらしいです。ですから,アプリケーションモジュールがなにもささっていなくても,FFTは使えるようになっています。

 ファームのバージョンは3.19とのことで,現在公開されている3.41よりも古く,アップデートをしたいところではありますが,今や貴重品となっている2HDのフロッピーが4枚も必要になるので,とりあえず様子見です。FFTが無効になってもつまらないですしね。

 問題の電源ですが,ボタンを押し込んでも電源が入らなかったり,すぐに落ちたりします。そうかと思うとずっと動いていることもあり,動いている間は元気です。

 セルフテストはパス,自己校正も長い時間がかかりましたがパスし,機能そのものに致命的な問題はないようです。これは問題の出方から,電源スイッチのトラブルだと思います。

 2465Aの故障でもそうでしたが,テクトロは電源スイッチがどうも弱いようで,2465Aの時はスイッチ内部でスパークが発生し,熱で溶けていました。恐ろしいです。

 スイッチ自身の問題か,基板取り付け部のクラックのどっちかだろうと思って分解したのですが,残念ながらスイッチ周りのクラックは見つかりませんでした。また,TDS3000シリーズは,AC電源は常時通電なので,電源スイッチにAC100Vはかかっていません。

 そうこうしているうちに電源が全然入らなくなってしまったのですが,基板をコンコンと叩くと動きだしました,基板そのものは壊れていないようです。

 きっとどっかの部品のハンダ付けのクラックでしょう。目視で調べて見ても分からず。仕方がないのでそのあたり適当にハンダを盛っていきます。

 ついでですので,電源系の電解コンデンサを交換します。調べて見ると7500時間も通電されていて,1700回近く電源のON/OFFが行われていますので,好感はしておきたいです。

 手持ちの関係で交換出来るものは限られましたし,85度品しかなくてダウングレードになった箇所もあるのですが,仕方がありません。

 この頃の電子機器の問題点として,パスコンにタンタルが使われているケースがあるということです。タンタルコンデンサは壊れると短絡するので,大変危険です。幸い短絡して焦げたタンタルコンデンサを見つけることはなかったのですが,気をつけないといけません。

 汚いので分解のついでに洗浄をします。うちでは,中古品は可能な限り分解し,筐体をハンドソープでゴシゴシあらいます。これでようやく「うちの子」になる儀式が終わるわけで,TDS3054Bも,ようこそ我が家に,となるのです。

 LCDが想像以上に汚くて,保護ガラスも外して掃除をしました。おかげで綺麗になりました。

 元通り組み立てて電源を入れます。しかし画面に何も出ません。

 壊した・・・焦って中を見ると,ケーブルを1つ付け忘れています。あわてて取り付けて再度電源投入。今度は大丈夫です。何度も電源のON/OFFをしますが,問題なく起動します。セルフテストも通りました。

 この後30分ほど通電し,もう一度セルフテストと自己校正をかけ,波形をいろいろ見てみました。精度も問題なし,波形も綺麗に出ているので,実戦に十分投入可能です。

 ただ,電源投入時に画面が真っ白になってそこから先に全く進まないという問題が1回だけ起きました。何度か電源スイッチをON/OFFすると動き出し,その後問題は起きていないので気持ちが悪いです。

 ファンも回っていたので,起動に失敗している感じがします。これは当初の問題とはちょっと違っていて,同じように起動しないという問題でも,LCDのバックライトも点灯せず,ファンも周りませんでしたから,その問題は解決しているのではないかと思います。

 まあ,多少のことは仕方がないですね。

 プローブについては,500MHzということですので,帯域の狭い安いものは使いたくありません。その上,リードアウト対応品でないといけなかったりするので,とても高価です。

 とりあえず,2465A用に買っておいた,耐久性が低いけども秋月で1つ4200円と安価なテキサスのプローブを流用しましょう。1つ4200円もするのに,2465Aを使う機会がほとんどないので,ちょうど良かったかもしれません。今度秋月で買い物をするときに,もう2本買い足しておきましょう。

 そこからさらに3時間,途中,目ざとくテスト中のTDS3054Bを見つけた娘が「これなに?」と聞いてきたので,オシロスコープと教えてあげると,目をきらきらさせてボタンをおし,ツマミを回して遊び始めました。

 彼女は本当に楽しい時は「ふふっ」と声を出して遊ぶので,オシロスコープがどうも気に入ったようです。大きくなったら,このTDS3054Bをあげると,約束しました。まあ,たぶん大きくなったら興味もなくなっているだろうし,オシロスコープが欲しいほどのマニアになるなら,最新機種が欲しいと言い出すでしょうけど。

 

 つくづく思いましたが,小さくなったし,軽くなりました。奥行きが小さくなったこともそうですが,電池が内蔵できるスペースは当然空洞になっているわけで,ここにトレイが入っていて,プローブなどの小物が収納できるようになっています。

 

 内部はそれなりに複雑ですが,うまくレイアウトされているので,こんな小さなスペースに綺麗に収まっているのでしょう。大したものです。

 

 電池駆動できるという話ですので,消費電力が小さい事にも期待がかかります。実際にクランプメーターで測ってみたのですが,動作時は実測で42Wくらい,電源OFFのスタンバイ時で5Wくらいという感じでした。

 

 スタンバイ時の電力が大きいのは時代を反映しているなあと思うのですが,さすがに5Wを食わせたままでよいとは思えませんから,コンセントからは抜いておくことになると思います。

 

 ですが,動作時の50W以下というのは素晴らしい。ブラウン管のオシロスコープなど,100W越えは当たり前,300Wとか500Wの機種もざらですから,長時間使う時には大きな差になります。(オシロスコープを使う時というのは,得てして手強い相手の時ですので,長時間になるものです)

 

 この消費電力の小ささにはクラクラきていて,うちの主力機をこいつに入れ替えようかと,ちょっと本気で考えてしまいました。


 というわけで,TDS3054Bが稼働し始めました。思えば,松下製の帯域5MHzで1chの強制同期式オシロスコープを5000円で買ったのに始まり,2645Aで憧れのリードアウト/カーソル,遅延掃引付きのオシロスコープに感激し,54645Dでトリガのキレが作業効率に大きく影響することを知り,ここまで来ました。10年遅れで機材が導入されていくのですが,私自身が20年遅れているので,気分的には最新の状態です。

 ただ,いかにDPO,いかに500MHz,いかに4chとはいえ,やっぱり肌に合わないテクトロです。まだまだサクサクと操作できるほど慣れていませんし,どうももどかしいのですが,もともと置き換え目的で購入したわけではありませんから,随時使い分けを行っていくことになると思います。

 ヤフオクでは数万円程度,アキバの中古測定器店では20万円から30万円程度で売られている,アマチュア向けとしては最高級のオシロです。考えてみると,中国製や韓国製のオシロスコープで,500MHzを越えるものって極端に少ないですよね。

 これは,垂直軸のアナログ性能がオシロスコープの最も難しい部分であり,ここがきちんと作れるメーカーが限られていることを物語っています。

 繰り返し波形を見れれば良かった時代から,レーダーやコンピュータの登場で,単発現象を捉える必要性が生じて誕生した,トリガ同期式オシロスコープ。

 このトリガ同期式オシロスコープを発明した若者ががHPに持ち込んだところ,ヒューレットとパッカードは,その発明品が放つ先進性から,HPで商品化するより,自ら起業することをすすめたそうです。

 雲の上の人の声を,門前払いととらえたか,あるいは親切心ととらえたかは分かりません。分かりませんが,その後彼らが起業した計測器メーカーの隆盛が,答えの正しさを証明しているといえるでしょう。そう,その会社こそテクトロニクスです。

 数々の先進的な機能を搭載し,見えないものを見えるようにしてきた革新性,そして既存の機能を高い水準で洗練させてきた品質の高さが,電子工学がもっとも進歩したこの50年を切り開いてきたと,つくづく思います。

 もしテクトロニクスがなかったら,などと考えてしまいますが,もしかすると10年単位で技術の進歩が止まっていたかも知れません。特に,1980年代に日本が民生の電子機器で世界を席巻した時代,開発や設計の現場で困難な問題解決の心強い相棒が,テクトロニクスのオシロスコープだったことを思い起こすと,ビデオデッキもCDプレイヤーも,マザーツールである計測器がしっかりしていたからこそ,これだけの足跡を残せたのかも知れません。

 そして今もなお,テクトロニクスとHPの流れを汲むキーサイトが,オシロスコープの分野で2強として激しいデッドヒートを繰り広げていて,それらを使いこなした最先端の技術者が,新しい世界を切り開いています。

 計測器に対する憧れや夢というのは,こういうところにあるようにも思います。

トランジスタチェッカーを買ってみる

 先日出たばかりのトラ技を見ていると,ちょっと気になるコラムに目がとまりました。マルチファンクションテスタ,というやつで,LCR-T4 MTesterという名称のようです。

 各種半導体や抵抗,コンデンサ,インダクタを自動判定し,結果を少し大きめのグラフィックLCDに表示します。

 記事によるともともとドイツの有志によって開発されたもので,それを中国の企業が製品化し,世界中に安価にばらまいているという感じです。まあ最近よくあるやつですね。

 以前も目にした記憶があるのですが,あまり興味をそそられなかったので買うことはせずにいました。しかしトラ技の記事に出るくらいですので,まあ1つ買ってみてもいいかなと,amazonを調べて見ることにしたのです。

 記事の通り,国内在庫品は1800円くらいから,中国からの発送だと880円です。どちらも妥当な金額だと思います。とりあえず買っておこうということで,国内在庫品を買うことにしました。

 翌日には手に入れて開封した私は,まずアクリル板で綺麗に加工されたケースが着いていることにちょっとびっくりしました。880円のものは基板だけだと聞いていて,国内在庫品がケース付きであることは,意識していなかったのです。

 これならどう考えても国内在庫品がいいですよね。

 まず基板だけで動作させ,問題ないことを確認してからアクリル板の保護紙を剥がして組み立てます。説明書が全くないのですが,試行錯誤でさくっと完成です。

 ケースがあるのとないのとでは,やっぱり使い勝手が雲泥の差です。普段から手元に置いて使うためには,はやりケースが必須です。

 お。ゼロプレッシャーソケットが使いやすそうです。高級なROMライタの象徴である,TEXTOOLの緑色のソケットはいつ見てもいいですね・・・え,TFXTOOLと書いてある・・・パチモノですか!

 さて,まだ試せていないことが多いのですが,ファーストインプレッションから。

 試したのは,半導体チェッカーの機能です。手元にあるいろいろな半導体を差し込んで判定させてみます。

 バイポーラトランジスタはPNPとNPNの区別,ピン配置,ベース電流とベース-エミッタ電圧,そしてhFEが表示されます。基本的な機能ですね。

 ダーリントントランジスタでは非常に大きなhFEが測定出来ました。一方でパワートランジスタのhFEが数十という小さな値で表示された点については,これで正常であるという知識が必要です。

 FETはJ-FETとMOS-FETを,それぞれP-chとN-chで判別してくれます。

 次にサイリスタ。サイリスタも判別するというので期待したのですが,分かったのはピン配置だけです。他の定格については全く分かりません。

 UJTは構造からダイオード2つと判定されてしまいました。PUTも同様です。トライアックは判別不可能と出てきました。

 ということで,やったのはこのくらいなのですが,結局私が愛用している半導体チェッカ「DCA55」とあまりかわりません。今回のものの方が値段が安く,1画面にすべての情報が出てくるのでボタンを押してスクロールする必要がないこと,抵抗やコンデンサ,インダクタを測定出来ること,ソケットがゼロプレッシャーソケットなので手間がかからないことなど,良く出来ている点も多いのですが,逆に言えばそれだけの違いしかなく,得られる情報についてはそんなに違いはありません。

 LCRの測定に役に立つと思われる校正が出来るそうなので,これを試してからLCRメーターとしての機能を評価したいと思うのですが,すでにちゃんとしたLCRメーターを持っているので,これがありがたいシーンというのはあまりないように思います。

 やっぱり・・・DCA55とDE-5000を持っていたら,これはいらないだろうなあと,最初に興味を持たなかったことは正しい感覚だったとつくづく思いました。

 繰り返しますが,これを選んで使うのはボタン1つですべての情報が得られること,ゼロプレッシャーソケットがあることが便利だと思われるときくらいです。面実装や特殊形状のトランジスタはDCA55のようなICクリップのほうが便利ですし,電池の電圧が12Vと高いことで,測定範囲は精度にも違いがあるかも知れません。

 ということで,あまり出番がないだろうなぁ,という感じです。うーん。

 道具としての充足感もあまりなく,起動画面の変な漢字のロゴもなんだか萎えます。順方向電圧をUFと書いてあるのもがっかりで,せめてここは意味を考えてVFとして欲しかったです・・・

 ところで,DCA55にも共通する話なのですが,パワートランジスタでhFEが30程度にとどまるのは,正常です。

 子供の頃の私もそうだったのですが,hFEというのはとてもわかりやすいパラメータで,ベース電流をhFE倍したものがコレクタ電流になるという教科書的説明から,まるで比例定数のように誤解してしまうのですね。

 ゆえに個体差はあっても,変動しないものと考えてしまいます。

 しかし実際のhFEはベース電流によって大きく変動します。その変動率は大きいトランジスタもあれば,小さいものもあるのですが,小さいものが優秀であるという一般論は正しく,一方で大電流を扱うパワートランジスタでは,それなりのベース電流を流さないと,規格表にあるようなhFEにはなりません。

 正しいかどうかは別にしてですが,トランジスタというのは,ベース電流を流すとコレクタ電流が流れる部品であり,ベース電流とコレクタ電流は必ずしも比例関係になく,hFEなんてのもその条件下でたまたま計算された結果に過ぎないと,それくらいに考えておくといいいかもしれません。

 ですから,よくペアを組むときにhFEのマッチングを取りますが,これはhFEが揃っていることが重要ななのではなく,hFEが揃っていると他の特性もある程度揃っていると期待出来そうだから,と味方を反対に側にする必要があるということです。

 何が言いたいかと言えば,トランジスタの良否判定はそのトランジスタに適切なベース電流を流して行わないとダメだという話で,DCA55にしても今回のLCR-T4にしても,そこを固定してしまっていることが残念だということです。

 ということで,NECの中電力パワートランジスタの定番,2SC1096のhFEが30と出ても,それは不良ではありません。逆に小信号用トランジスタである2SC1815なんかは正確に出てくるでしょう。

 DCA55も6000円超えになっているんですね,ちょっとこれだと高いなあと思います。中学生くらいが,手元のジャンク品を活用したり,部品の知識を増やすのに有益な測定器ですから,2000円で買えるこのテスターは十分価値があるものとは思います。

 また,半導体も劣化し壊れます。20年以上前のラジオなどを修理する場合,結構な割合で半導体の不良が出てくることを実感するのですが,正式な良否判定は回路図を追いかけて,動作状態を正確に把握してから行うべきではあるものの,基本的な機能が損なわれて劣化している場合がほとんどですから,この手のチェッカーでさっと判定出来ると,作業が早く進みます。

 実際,私もオーディオアナライザのVP-7722Aの修理にDCA55は活躍しましたし,ダイソンのDC45の修理にも役立ってくれました。ないと困る存在になりつつあると思います。

 測定対象やその結果から見て,DCA55もLCR-T4も,半導体の判定アルゴリズムには大差がないようです。もしこの手の測定器をお持ちでないなら,この機会に手元に置いておくと便利かも知れません。


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