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パナコラン充電器を作る

  • 2015/02/23 15:34
  • カテゴリー:make:

ファイル 735-1.jpg

 割り箸の端っこを加工して作った充電治具を用いて,なんとか使えるようになったパナコランですが,数日試したところ,なかなか効き目がある事が分かってきました。

 日によって,あるいは痛い場所によって違ったりするのですが,概ね痛みが取れるようです。ただ,内服薬のように傷みが全体に消えるわけではないし,貼り薬(うちはおきゅ膏Zかロイヒツボ膏)のように,張り付けた場所の周辺も痛みが取れるわけではなく,あくまでパナコランを張り付けた直下だけ,が効いている感じです。

 ですから,正確に張り付ける必要があるということ,そして痛みが取れるまでに少々時間がかかり,一晩では駄目で,効き目が出るまでに12時間以上はかかること,そして痛みが消えても,すぐ隣の痛みを意識するようになるので,結局痛みが消えていないと感じてしまうことに注意すれば,なかなかよいものであるとわかりました。

 使ってみると不便なことも分かるのですが,なにせ4時間充電で2日しか動きません。効き目が出るのに12時間以上かかることを考えると,予備を常にフル充電で待機させておかないと効果的に回せません。

 それに,効き目の出る範囲が狭いということは,数が少ないと駄目という事でもあるので,私の結論は「2つでは無理」でした。

 パナコランの最盛期には,4つまで一気に充電できる充電器も売られていたようですが,今はもちろんありません。

 私の場合はどうせ,パナコラン本体を交換部品で手にれるしかなく,充電器は自分でなんとかしないといけないのですから,ここは4つまで充電出来る充電器を作る事にしましょう。

・基本的なこと

 先日の解析で,充電制御は本体がそれぞれで行う事が分かっています。充電電流は約3mAで,電圧は4Vほどあれば大丈夫です。

 ここでぱっと閃いたのは,3mAの定電流回路なわけですから,ここにLEDをただ直列に突っ込めば充電インジケータになるんじゃないのかということです。

 早速実験してみると,当然というか当たり前というか,ちゃんと3mAの電流が流れ,LEDも点灯しています。電圧が低いと充電が行われませんが,4Vの充電電圧にLEDの順方向電圧である2Vを加えた6V以上があれば,ちゃんと充電が出来ています。

 充電が完了するとLEDも消えています。これで充電インジケータは簡単に実現可能です。


・構造

 割り箸の端っこを加工して作った先日の充電治具を4つ作ってしまえば,それで解決という作戦もあるのですが,実はこの治具,木で出来ているために変形してしまい,3階ほど使ったらもう固定できなくなってしまいました。どっちにしても作り直しが必要です。

 電気回路は簡単ですが,こういうのはメカ的な難しさがあります。どうしたものかといろいろ思案したのですが,目に入ってきたのが,本棚にあった「型どり剤」です。

 これ,プラリペアの武藤商事が販売している「型どり君」という,プラリペアの関連商品です。よく似た商品は昔からあり,私も昔「型想い」という商品名の型どり剤を使っていました。

 この型どり君を70℃のお湯に入れて3分ほど暖めると,水飴のように柔らかくなります。冷えると硬くなるのですが,肉やせもなく,変形も小さいので,これで型をってプラリペアで部品を作るというものです。

 固まったプラリペアが型から外せるように,冷えて硬くなった型も,カチカチになっているわけではなく,ちょっと片目のゴムのように弾力があります。これが重要です。

 この型どり君を,半分の大きさにカッターで切ります。4つ分用意したら,鍋でグツグツ煮て柔らかくします。

 箸で取り出して,粘土のようにこねて円錐型にし,上からパナコランを押しつけます。すると,電池端子の窪んだところに型どり君が入り込みますが,さらに押しつけると,パナコランの外周部からはみ出るように型どり君が広がってきます。

 5mmほどはみ出たら,割り箸を使って綺麗に整形,パナコランの外周部に沿うように割り箸を押しつけます。この時にパナコランの上側にも,柔らかくなった型どり君が回り込んで,しっかり固定できるようになるんですね。

 冷えたら型を取り外します。綺麗にパナコランの「魚拓」が取れました。

 充電端子もうっすらと型が取れていますので,ここに3mmの穴を開けます。そして大きめの万能基板にゴム系のボンドで接着です。

 先ほどの穴に合うように,基板にも2.5mmの穴を開けて,Nゲージの集電バネを通ります。基板の裏側からハンダ付けです。

 これで,パナコランのホルダーと充電端子が完成しました。見た目は悪いですが,素人としてはまあこんなもんでしょう。

 残る作業は配線です。LEDを4つのホルダーごとに用意し,配線していきます。こうして4つの充電回路を並列に繋いで,おまじないのパスコンを入れます。

・電源の確保

 6V以上の電源が必要になるのですが,製品のように乾電池で動くものにすれば,確かに便利かも知れません。しかし,パナコランは充電完了後,端子に電圧が印加されているときだけ動作を停止する仕様になっており,電圧がかからなくなると本体が動作を始めてしまいます。

 つまり,満充電でスタンバイさせるには,電圧がかかっていないといけないのです。この考え方だと,乾電池では「いつの間にか」電池が切れてしまいます。

 まあ,4つのパナコランを同時に充電しても15mA程度,アルカリ電池が2000mAhくらの容量を持つとすれば,130回ほど充電出来ますし,充電が終わってからの電流は全部で20uAほどですから,これも電池が切れることなど考えなくてもよいのかも知れません。

 ニッケル水素を使うことも考えました。4本だと4.8Vとなり,6Vには全然足りません。6本にすると7.2Vなので大丈夫ですが,ニッケル水素の充電が4本までしか一度に出来ないので,なんとか4本で動くようにしたいです。

 そうすると,5Vを6V程度の昇圧するDC-DCコンバータを組み込もうという話になります。そうすれば電池2本で動かせたり,USBで充電出来たりと夢は広がってきます。

 HT7750AというICを使って昇圧回路を検討した事もありますし,やってみようかと思ったのですが,部品集めが急激に面倒になり,やめました。

 それに,充電完了後にHT7750Aが消費する電流が見えてくると思いますので,やっぱりこの作戦は,手間がかかる一方でメリットが薄そうです。

 いろいろ考えた結果,ここはACアダプタ方式にします。ジャンク箱を探してみると,6VのACアダプタが見つかりました。スイッチング方式,実測6.2Vとちょうどいい電圧です。

・作ってみて

 型どり君で作ったホルダーは,案外がっちりとパナコラン本体をホールドするのが好印象なのですが,解析のために分解し,その後接着剤で修復したパナコランは,うまく充電出来ません。ホルダーにセットしても,上から押さえないと充電してくれないのです。

 分解していない無傷のパナコランなら,全く問題なく4つのホルダーのどれでも,ちゃんとい充電が出来ています。

 バネを引っ張って伸ばしてみたり接点を磨いたりしましたがだめ。パナコランの底部の穴を真円にするためにカッターで削りましたがそれでも駄目。仕方がないので再度分解して組み立てなおすことにしました。

 しかし,よく見ると本体のLEDが点滅しなくなっています。基板をちょっと曲げてみると点滅を開始します。あれ,こわれたんと違うの?

 分解した基板に直接電圧をかけても充電は行われません。部品のハンダが割れた可能性もあると思ってハンダ付けをやり直しましたが,改善せず。ICがマウントされている黒い樹脂を加熱したり,スルーホールにハンダを流し込むと,一応LEDの点滅はするようになりましたが,それでも充電は出来ません。

 むむー。壊してしまったようです。

 分解するときに壊したのか,カッターで穴を削るときにパターンを切ってしまったのかわかりませんが,とにかく修理不可能な壊れ方をしたのは事実です。あきらめが付くようにと,電池を予備の部品として取り外した後,基板をペキッと割って,ゴミ箱に捨てました。

 彼の貴い犠牲のおかげで,充電仕様の解析が出来,治療の効果も確認できました。かれの偉大な功績をたたえ,彼に与えられたシリアル番号「1」は永久欠番とします。

 かくして,最初に買った2つのうち1つは壊れてしまい,もう1つの番号を「2」,土曜日に購入した追加の2つに「3」と「4」,1つ壊れたことであわてて補充したもう1つに「5」を割り当てることにしました。ああ,高くついたなあ。

 日曜日の夜に4つ全部が揃ったところで,全部一気に充電している様子が,冒頭の写真です。前述の通り,4つまでなら充電出来る純正品がありましたし,急速充電が出来るわけでもなく,使い勝手が良いわけでもなく,ただ入手困難なものを自分で作っただけの寂しい工作ではありますが,これでパナコランが4つ,常に使える状態でスタンバイできるようになり,これからその使い勝手を工夫して,長年に渡る肩凝りの対策になればいいなと思います。

MX-10のレストア

  • 2014/11/10 14:51
  • カテゴリー:make:

 エフェクターで有名なBOSSブランドに,一時期BOSS PROというシリーズがありました。

 もともとBOSSは安価なリバーブやディレイなどをハーフラックのサイズに詰め込んだシリーズを出していましたが,この後継という感じで登場したのを覚えています。

 最初に出たのは,記憶違いでなければステレオマルチエフェクターのSE-50だったのですが,BOSSのくせに結構いい値段,PROのくせにノイズが多いという欠点があり,それでもステレオの空間系エフェクターとしては安かったので,私も2台買って使っていました。

 その後出た10chのミキサーMX-10は,複数台のシンセサイザーをステージで使っていた私としては,まさにぴったりの製品に思えたので,すぐに購入して私のラックに収まるようになりました。

 MX-10は10chといいながらも,ch1からch8まではステレオ入力専用で,レベルは2ch分が同時に変化しますし,パンは奇数が左,偶数が右で固定されています。また基本的にラインミキサーですので,マイク入力が可能なのはch9とch10の2つだけです。

 そのch9とch10はマイク入力に対応し,パンも調整可能ですし,レベルもそれぞれ独立したツマミでコントロールできます。

 エフェクトのSENDとRETURMはありますが,EQはありません。だからちゃんとしたミキサーというよりも,キーボードミキサーとして割り切って使うべきものです。

 ただ,8chのミキサーでもステレオだと4台分しかまとまりませんから,やっぱりこれではつらいです。だから,ハーフラックでステレオでも最大5台分が入るMX-10は,結構便利な存在でした。

 現在,RD-700とMicronしか置いていない部屋でも,MX-10だけは実家から持ってきてあり,ここで一度まとめています。ですが,どうも音質的にしっくりこないように感じていました。

 まず,RD-700のヘッドフォン端子から直接聞いた場合と,MX-10を通した場合とで明らかに音が違います。MX-10の方が中低域が大きいというか,高域が不足している感じです。
 
 ケミコンの劣化だろうなと思いつつ分解すると,見えてきたのはオーディオ用に特に気を遣ったような感じの部品が見当たらず,この時期のローランドやBOSSに多用された,三菱の4558互換であるM5218が9つ使われていることがわかりました。

 4558は悪いオペアンプではないのですが,いかんせん設計が古く,今ならもっと良いオペアンプが使えます。ここは1つ,オペアンプもコンデンサも良いものに交換してみることにしました。

 とはいうものの,M5218はよく見かける8ピンDIPではなく,8ピンSIPです。万能基板でささっと変換をしてもよいのですが,さすがに9つもあると面倒です。

 と思って秋月を探すと,やっぱりありました。SOPをSIPに変換する小基板が売られています。25枚セットで750円。1つ30円というのは,安くもなければ高くもないという絶妙な値段です。

 問題はSOPのオペアンプをどうするかですが,これは私がたまたま手持ちで腐るほど持っているOPA2134を使います。数を数えたことはありませんが,300個くらいはあるんじゃないかと思います。

 OPA2134はオーディオ用としては良いオペアンプだと思いますが,地味な音質で,高音質という評価には異論は出ないにせよ,今好まれる音ではないと思いますが,私は好きです。

 コンデンサは,22uFが40本近く使われていました。22uFの電解コンデンサだと一般品でも10円,50V品だと25円くらいです。それが秋月ではオーディオ用の50V品が1つ20円だったので,これにしました。

 何だかんだで多めに買ったので,電解コンデンサばかりで7000円近くもかかってしまいました。とほほ。

 交換前に特性を測っておきます。80kHzのLPFを通して測定した結果,歪率は1kHzで0.04%,周波数特性は20Hzから75kHz,S/Nは85dBと,別におかしくない値です。

 あれ,これでなんでそんなに悪く聞こえたんだろうなあ。

 まあいいです,とりあえず部品の交換です。まずOPA2134を変換基板にハンダ付けして,9つ分のSIP版OPA2134を作ります。

 そしてもともとついていたM5218を外し,交換します。

 この勢いにのり,電解コンデンサを一気に交換します。全部で100本近く交換しましたが,良くパターンを追いかけていくと,どうもピークインジケータのために使われているコンデンサもあるようで,これは音質に影響がないことから,交換するのをやめました。

 最後に,もともとついていなかったのですが,電源とGNDの間に0.1uFのパスコンを入れておきました。ついていないわけではなく,電解コンデンサの10uFがついていますが,高周波特性の良い積層セラミックを一緒に取り付けておくことで,保険をかけようという話です。

 さて,案外簡単に作業が終わり,目視によるチェックをしてから通電です。音を聞く前に準備が済んでいる測定を早速開始しますと,歪率は1kHzで0.03%と下がりました。周波数特性は変化無しで20Hzから75kHzです。

 S/Nは改善し,92dBになっています。これはなかなかよいですね。

 ということで,音を聞いてみますが,以前よりもずっと良くなっています。4558はザラザラした音が華やかなオペアンプですが,OPA2134はきめ細かい一方で元気がないおとなしいオペアンプという印象を私は持っていますが,その印象どおりのMX-10になっていると思います。

 ただですね,電源かいろの発熱が大きく,オペアンプ自身も随分発熱しているようなのです。触れないほどではないですから,正常動作範囲だと思いますが,M5218の時にどれくらいのい発熱があったかを調べていませんので,これで正しく動作しているかどうかは,もうわかりません。

 ざっと調べた限り,発振もしていませんし,おかしな電圧もかかっていません。なにより無理に動かせば測定値が急激に悪くなるものですけど,以前よりも改善しているわけですから,回路そのものは動作していると考えてよいと思います。

 ということで,実はあまりレストアする意味はなかったのかもしれないのですが,電解コンデンサのような寿命が短い部品を20年経って交換したことは意味があり,もう10年くらいは問題なく使えるようになったと思います。

 
 

aitendoの時計キットでかつてのLEDクロックを復活

  • 2014/09/02 16:06
  • カテゴリー:make:

 2010年頃の話ですが,大型の7セグLEDの,ラジオクロックを寝室用に買いました。

 当時はまだ高価だった青緑の発光色で電波時計でしたが,結構な値段だったのにいかにも中華品質という感じで,購入時からあまり良い調子ではありませんでした。

 ACアダプタの接触不良に始まり,電波時計の感度が低すぎる,あるいはどんなに頑張っても電波を受信しない,LEDが明るすぎて眠れないくらい,ラジオは周波数がずれるなど,不満だらけでした。

 その度に修理や改造を繰り返して,なんとか騙し騙し使っていたのですが,新居への引っ越しをしたときにどうしても時刻が自動修正されず,買い換えました。

 ただ,私には思い出深いものでしたから捨ててしまうのも惜しく,購入当時に高価だったことを「まあ青緑の大型LEDだしな」と納得したことを思い出して,この7セグLEDだけ残してあったのです。

 ところで,先日aitendoで時計のキットを買ってきて組み立てたことを書きましたが,この時計のLEDの輝度ムラがひどいことから,対策を考えていました。

 ここでピコーンと繋がるのですが,ならばこのaitendoの時計に,大型7セグLEDを取り付けてみようと思い立ちました。とはいえ,詳細を検討するとなかなか簡単にはいきません。

(1)7セグLEDの改造が必要

 この7セグLEDには,2つの改造が必要になります。

 まず,時計キットはダイナミックドライブですが,このLEDはスタティックドライブ用に端子が引き出されています。幸いどちらもアノードコモンだったので,そこは大丈夫です。

 まあ,スタティックドライブというのは要するに全ピン出ているということですので,適当にまとめれば良いだけですから,面倒という話以外はどうにかなります。

 ですが,次が問題です。

 このLEDは12時表示のため,時刻の10の桁が,「1」しか表示出来ません。ほかのセグメントはLEDが仕込まれていないですし,その上「1」だって2つのセグメントが内部ですでに繋がっています。

 aitendoの時計は24時表示なので,このままでは使えません。そこでLEDを改造しなければなりません。

 まず,LEDを分解します。するとLEDチップが直接ベークの基板にボンディングされています。むき出しです。おお!

 次に,時刻の10の桁の2つのセグメントを分離します。パターンを切るだけなのでそんなに難しいものではありませんが,なにせLEDがむき出しですので,触ったらもうアウトです。

 そして,LEDが取り付けられていないセグメントにLEDを用意して上げます。同じ色のチップLEDをマルツ電波で安く買えそうだったので調達し,1セグメントあたり2チップを接着剤でまず接着,固定できた頃に細いワイヤーで配線していきます。

 ここで私は勘違いをしたのですが,時刻の桁は1と2だけ表示出来ればいいので,左上のセグメントにはLEDは必要ないと思っていたのですね。これは正しいのですが,aitendoの時計キットを使う限り,誤りです。

 なぜ?それは,このキットがゼロブランキングを行わず,0の表示を行う仕様だからです。0を表示するためには,左上のセグメントも必要です。これに気が付いたのはLEDを組み立てて実際に光らせてからでした・・・なんとも鈍くさい話です。

 配線も完了し,基板とセグメントをはめあわせて元に組み立て直しますが,悲劇はこの時起きました。つい手が滑って,落としてしまったのです。あわれ,基板はLEDの面を下側にしてぶつかり,滑って床に落ちました。

 確かめてみると,4つほどLEDが死んでいます。死んだLEDは削って,新たにチップLEDを取り付け直します。新たに作業中に1つ壊してしまい,これはえらいことになったなあと思いながらなんとか作業を収束させました。

 光らせてみると,案外新しいセグメントも違和感なく,綺麗に光ってくれます。そしてこれをダイナミックドライブ用に配線して,一応完成です。


(2)ゼロブランキングの実装

 前述のように,LEDを組み立ててから,時刻の10の桁にすべてのセグメントが必要な事が分かったわけですが,それなら左上のセグメントを光るようにすれば問題が解決するのかと言えば,そんな簡単な話ではありません。

 確かに,0時を00時,7時を07時と表示するaitendoの時計キットの仕様が許せるならそれでもよいでしょうが,冷静に考えてみるとそんな時計,みたことないですよ。

 やっぱり07時ではなく,7時と表示されないと。

 この,最上位桁のゼロを表示しないようにすることを,ゼロブランキングといいます。

 aitendoの時計に違和感があったのは,このゼロブランキングがないせいだったとはっとするわけですが,7セグLEDを壊してしまうリスクを負って,その違和感のある表示を行うように作ることが,正しいとは思えません。

 なら,ゼロブランキングを実現するしかありません。そうすれば見た目も自然だし,7セグLEDもこのまま使えます。ついでに高価なチップLEDも2つも削減できます。

 なんちゅうか,ゼロブランキングくらいソフトで書けば簡単なのに,なんでこれくらいの機能を最初から入れておいてくれないのかと,aitendoのクオリティの低さにブツクサ文句を言いたくなるのですが,ソフトを変更出来ないのですから,もう電気的に行うしかありません。

 原理は簡単で,時刻の10の桁の左上のセグメントが点灯するときというのは,0,1,2のうち0の時だけですから,この時には時刻の10の桁そのものを消灯すればいいだけのことです。あとの1と2の時には,そのまま10の桁のドライブ信号をスルーして出します。

 ゆえに,時刻の10の桁のドライブ信号と左上のセグメント信号のANDをとって,これで10桁のドライブを行えばよいのです。

 具体的には,10の桁のドライブ信号をカット,セグメントの信号を反転させて,ドライブ信号とNANDに入れます。そしてNANDの出力を,10の桁をドライブするトランジスタのベースに突っ込みます。

 桁のドライブ信号もセグメントの信号も負論理で,Lowでイネーブルです。ですから真理値表としてはこうなります。(Aはセグメント,Bは桁のドライブ信号)

A B X
-+-+-
0 0 1
0 1 1
1 0 0
1 1 1

 こうするとほら,セグメントがLowの時(つまり0の表示)はどんな場合も必ず10の桁のドライブ信号はHighになって,この桁そのものが消灯します。セグメントがHighの時(つまり1か2)は,10桁のドライブ信号がそのまま出ますので,ちゃんと10の桁が表示されます。

 この回路を追加して,どうにかゼロブランキングが実現して,自然な表示にすることが出来ました。

 

(3)秒を表示する桁が必要

 この7セグLEDは分までしか表示出来ませんから,もし秒の表示をするなら桁を増やさねばなりません。そこでちょっと大きめの7セグLEDを用意したのですが,青緑が手に入らず,黄緑にしました。

 実際に動かしてみると,色も明るさも違うし,おさまりがどうにもよくありません。そこで思い切って秒の桁は表に出さず,基板上の小型LEDで表示させることにしました。

 基板はこのLEDの裏側に取り付けましたので,秒を見るときには裏側をみないといけなくなるのですが,まあ日常生活で秒まで必要な事はないし,時刻合わせの際には裏側をみればいいだけの話ですから,これでもいいかなと思ってます。


(4)そして精度の追求

 クオーツ時計でも時刻が狂うのがなんとなく許せない私としては,ずっと電源同期式を好んで使っていました。しかし,電波時計が手に入るようになった15年ほど前からは,これを選ぶようになっています。

 今回も電波時計なら良かったのですが,なにせキットですのでそうもいきません。そこで出来るだけ精度を追い込むことにします。

 このキットは,ATMELの8051コアのマイコンを使っているのですが,クロックは12MHzです。これを基準に1秒を生成しているはずなので,とにかく12MHzの精度を追い込む事が肝要です。

 周波数カウンタで測定すると,ちょっと高めに出ています。これならトリマコンデンサを並列に繋ぐだけで12MHzに追い込めそうです。

 マイコンの水晶発振子にバッファを1段入れて,周波数カウンタで調整します。室温が25度くらいになる頃を見計らって,12.000000MHzに追い込みました。もしこの値から本当にずれないとすると,1Hzまであっていますから,1/12000000秒しかずれません。つまり1秒ずれるには12000000秒かかるわけで,これを計算すると約140日に1秒となります。

 うーん,案外ずれるものですね。

 加えて,普通の水晶発振子ですから仮に温度変化で50ppmずれると,それだけで50Hzずれるわけで,そうなると最悪の場合3日で1秒ずれる計算になりますね。うーん,これでは実用にならないかもなあ。

 ただ,通常のATカットの水晶の場合,我々が普通に生活する範囲ならほぼ大丈夫,±25ppmの範囲でさえも-40℃から85℃ですし,-20℃から40℃くらいの範囲だとほとんど変動しません。むしろ時計用の音叉型水晶振動子の方が,温度特性は悪いんですね。


(5)ゴーストの発生

 真面目に検討する気もないのですが,実は隣の桁の点灯していないはずのセグメントが,うっすらと点灯している場合があります。いわゆるゴーストが発生しています。

 ゴーストは,ダイナミックドライブの場合には桁のドライブの切れが悪いときに発生しますが,ドライブ用のトランジスタのキャリア蓄積で素早くトランジスタがOFFしない,という場合が考えられます。

 この回路では,PNPトランジスタでドライブしているにもかかわらず,トランジスタが確実にOFFするようベースとエミッタの間に入れる抵抗が省略されていて,これが原因かなと思っていました。

 そこで2.2kΩとベースとエミッタの間に付けてみましたが,全く変化無し。これはひょっとすると桁のドライブ信号の速度が速くて,トランジスタがOFF仕切れていないのかも知れないなと思ったのですが,もう測定するのも面倒になったので,放置することにします。


 ということで,たかだかこれだけの話に,2週間ほどかかってしまいました。鈍くさいというか,時間がなくて集中出来なかったとか,まあいろいろ原因はあるんでしょうけども,これくらいなら1日か2日で片付けてるのがこれまでの実績であり,こんなに時間がかかってしまうと,さすがに衰えを感じてしまいます。

 さて,こうして復活を遂げた時計ですけども,どこに設置するのか決まっていないのです。元のように寝室にと思いましたが,電波時計ではないし,今の時計になれているので,今さら置き換えるのもどうかと思います。

 かといって,AC電源の必要な時計を置ける場所は限られていますし,主なところにはすでに電池式のLCD電波時計が置かれています。気温や湿度も表示されるので,今回のLED時計で置き換えると不便になります。

 大きな青緑の表示で,遠くからでも暗闇でもはっきり見えることが最大の売りなのですが,これに見合う場所を考えつつ,しばらくは私の机の上で精度を確認していこうかなと思っています。

周波数カウンタの改造と失敗

  • 2014/08/19 14:47
  • カテゴリー:make:

 夏はどういうわけだか,測定機関系をいじりたくなるようです。先日のTCXO搭載で実用レベルに至った周波数カウンタを,さらにアップグレードしようと画策したのですが,今回はその顛末です。先に結論を書くと,失敗に終わっていて,元に戻してしまいました。


(1)測定周波数の上限をアップ

 秋月のキットがベースになっているこの周波数カウンタは,その測定周波数の上限が2.4GHzです。これは,プリスケーラに富士通のMB506を使ったキットであるからですが,1/1024分周されるがゆえに,精度も1/1000になってしまいます。

 8桁のカウンタであることを考えると,1/1000ですので10GHzまでカウント出来るとその性能を生かせるわけですが,2.4GHzではちょっと寂しいですね。

 ということで,近頃の半導体でさくっと10GHzのプリスケーラが作れないかと調べてみたところ,秋月にありましたよ,8GHzのGaAsプリスケーラが。

 HMC434というのが,そのICです。1/8専用のGaAsプリスケーラで,8GHzまで動作します。面実装品とはいえ,そんなに小さいわけではないので,十分アマチュアの工作に使えます。価格は600円というこの手のICとしては安いです。

 しかし,このICには問題もあり,低い周波数が苦手です。一応動作可能な周波数の下限は200MHzとなっていますし,動作範囲としては1GHzから8GHzで使ってね,とあります。

 1/10のプリスケーラを使えば,70MHzあたりまでは測定出来る実力があるので,そこから1GHzまでの間は測定出来ない範囲となってしまうわけで,これは高周波専用のカウンタでもない限り,ちょっと厳しいですね。

 MB506の場合,10MHzから2.4GHzまで,一応動作するわけですから,結局どの範囲の周波数を測定したいのかによってくるような気がします。

 まあしかし,200MHzが下限と言いながらも,実際には10MHzあたりから動いてくれたりするかもなあと,淡い期待を抱きつつ,HMC434を買ってみました。

 計画としては,8GHzが入ってきた時のHMC434の出力は,分周後でも1GHzです。当然直接カウント出来ないので,これをMB506に突っ込みます。そして,HMC434とMB506の組み合わせで1/1024になるように,MB506の設定を変更し,1/256にします。

 2.4GHzプリスケーラ基板を改造し,HMC434を取り付けます。このICは3.3Vで動作するので,3.3VのLDOも取り付けます。

 さて,結果ですが,うちには136MHz以上を発生させることの出来る信号源がないことに気が付きました・・・

 いろいろ調べてみると,一応136MHzでは動作しているようです。これ以下の周波数でどこまでカウント出来るか見てみると,85MHzくらいからなら,なんとかカウント出来ているようです。

 しかし,感度という点で言えばもうボロボロで,低すぎるとカウント出来ず,高すぎると高調波をカウントしてしまいます。だから,ある範囲の入力電圧のみ正しい値を返してくるのです。これでは測定器にはなりません。

 きっと500MHzや1GHzなら問題のない動作をするのでしょうが,今度は実装面での問題があり,例えば4GHzとか5GHzでちゃんと動作するのかどうかはあやしいです。

 電源のノイズが大きいのでコンデンサで押さえ込んだりして,かなり特性を改善したのですが,それでも低い周波数では使いものにならず,かといって高い周波数はそもそも信号源もないという状況においては,私にはデメリットしかないと判断し,もとの2.4GHzのプリスケーラに戻しました。


(2)1/10プリスケーラ動作時の小数点移動

 1/10のプリスケーラを搭載し,10MHz以上の周波数の測定を行えるようにしたのはいいのですが,小数点の移動を行う機能までは搭載しなかったので,頭の中で移動させて読む必要がありました。

 別にそれでも不自由はなかったのですが,やっぱりすっきりしないので,小数点を1つ隣に動かす仕組みを考えてみました。

 ICM7216Bは7セグメントLEDをダイナミックドライブする機能を持っています。だから小数点の点灯した桁を検出し,隣を点灯させるようにスイッチすればよいだけだと簡単に考えたのです。

 実際に74HC157をつかって試したところ,どうもうまく動きません。ここで恥ずかしいミスをしていたのですが,冷静に考えると,この方法では小数点の点灯している桁をそのまま隣に動かすだけですので,小数点以外のすべてのセグメントも一緒に隣にいってしまうのですね。あーばかばかしい。

 ダイナミックドライブ用に,LED基板上ですべて繋がっている小数点をバラバラにして個別に制御をかけるような回路にしないといけないのですが,これがまたなかな面倒です。

 いや,回路は簡単でした。74HC157を使って同じような回路を組みますが,74HC157のイネーブルを小数点のドライブ端子で動かしてやり,隣の桁のドライブ信号を入力してある74HC157の出力でそれぞれの桁の小数点を点灯させるだけです。

 ただ,LED基板を改造するのが急激に面倒になり,もう頭の中でシフトするからいいや,とあきらめてしまいました。

 
 ということで,特にどちらも必要性はなく,ただの思いつきで始めた改造だったので,失敗に終わっても簡単にあきらめてしまいました。測定周波数は上限よりもシームレスであることが重要ですし,小数点の移動などは,どうせ私しか使わないんだから別に必要ではありません。

 むしろあちこちいじりたいだけじゃないか,と言われればその通りで,ほかに面白そうなネタがあれば取りかかるかもしれないのですが,今のところこのカウンタで最大の問題は,低周波数の測定に時間がかかること,つまりレシプロカル方式ではないことが最大の問題ですので,もしかしたらちゃんとした周波数カウンタを買い直して終わり,ということになったりするかも知れません。

aitendoの6石ラジオは超上級者向け

  • 2014/08/08 14:05
  • カテゴリー:make:

 aitendoで買い物をした際に,懐かしさのあまり6石スーパーラジオのキットを一緒に買いました。

 いや,懐かしさのあまり,というのは2つの点で誤りですね。1つは,私は6石スーパーを作った事がないし,子供の頃からあまり興味もなかったので,過去に作ったという懐かしさはありませんでした。

 もう1つは,20年前からずっと同じようなキットが今でも普通に買えるので,仮に懐かしいと思ったとしても,それがこのキットを買う理由にはなりません。

 細かい事はさておき,私は電子工作を趣味にしながら,ラジオをまともに作った事がないことが1つのコンプレックスにしていて,特に調整が必要なスーパーラジオを完成させたことがないことを,負い目に感じています。

 しかも,小学6年製の時に,3石スーパーを本を見て作ろうと部品を集めたのですが結局完成できず,部品も散逸してしまったことがあるだけに,失敗という汚名も背負っているのです。

 そんなわけで,この失敗という経験を思い出し,今こそリベンジだ,今なら調整も含めて完璧に仕上げられる,と息巻いて購入したと言うわけです。

 しばらく放置し,ようやく先日から作り始めましたが,これがなかなかくせ者で,とても大変なキットである事がわかりました。初心者お断り,中級者も妥協が必要,まさに定数の見直しだけではなく回路形式の変更も厭わないような。上級者向けのキットだと思います。


・回路図がない,配線図がない

 まずなんといってもこれ,回路図も配線図も,組み立て方を書いた説明書も入っていません。aitendoはコスト削減のためWEBからダウンロードせよ,といっていますが,やっぱりキットですし,子供も買うでしょうから,せめてこの手のキットくらいには,説明書を入れて上げられないものかなあと思います。

 ちなみに,私のキットにも,ケースに張り付ける周波数表示のシールが入っていませんでしたが,なんでもこれは注文時にお願いしないと,ついてこないんだそうです。なんか,そういう役所のような対応って,子供には厳しいと思いますよ。

 幸いにして,先人達の記録が広大なインターネットの海に漂っていて,google先生に聞けば探し出してくれます。私も回路図などの情報をネットから入手しました。


・ケースの仕上がりが悪すぎる

 これはもう中国のクオリティなので仕方がありません。気の毒だと思うのは,このクオリティしか知らずにいる,中国国内の人々だと思います。良いものを安く作ってみんなを幸せにするという大きな夢は,特にこれから頑張ることになる国や地域の人々には,ぜひ持っておいて欲しいものだと,私は思います。

 まあ,多少の事は辛抱する私ですが,これはひどいですね。自分でケースを探してきて加工した方がいいんじゃないかと思ったくらいです。


・回路と部品の仕様が不明

 回路図も説明書もないので当たり前の話ですが,部品の素性がわかりません。トランジスタも中国仕様,バーアンテナもバリコンもIFTも,トランスも全くどんなものかわかりません。

 基板のシルクを見ていれば組み立てられるように思いがちですが,なんとまあ低周波用のトランスは3ピンずつ合計6ピン出ているもので,どちらの向きにも取付が可能です。

 向きを間違えれば全く音が出ませんので,ここは初心者には厳しいでしょう。よくよく見ると,2次側に印付けておいてくれてあるので,これに気が付けばいいのですが,わかりにくいので向きを間違えて取り付けてから気が付く可能性は高いでしょう。

 もう1つ気が付いたのですが,普通IFTは,1段目から順番に黄色,黒,白の順番になっています。IFTの帯域は1段目が一番狭いので,調整は1段目から順に行うのが普通です。

 しかし,このラジオは,1段目が白,2段目が黒です。(中間周波増幅が1段しかないので,IFTは2つしかない)

 だから,調整も白が先,次に黒となりますが,なんで順番が違うのかなあと,不思議でなりません。

 私の場合,さすがにトランスの向きと,バーアンテナの線だけはテスターで導通だけ調べましたが,あとは行き当たりばったりで組み立てました。


・6石スーパーの標準回路ではない

 それでも,よく見かける6石スーパーの回路ならなんとか完成させることが出来るかもしれません。しかし,この6石スーパーは,6石とは言いながらも標準的な回路構成とは違っています。

 よくある6石スーパーは,局発に1石,ミキサに1石,中間周波増幅は2段で2石,検波はダイオードで行い,低周波電力増幅は2石でプッシュプルです。

 しかし,この6石スーパーは,局発に1石,ミキサに1石まではいいとして,中間周波増幅は1段で1石,検波と低周波増幅に1石,低周波s電力増幅に2石という構成です。

 なんで中間周波増幅が2段じゃないのか,なんで検波をトランジスタでやるのかなど,回路を設計した人に聞いてみたい(逆に言うと回路図からはそれらの必然性がちっとも読み取れない)です。

 特にぎょっとするのは,電力増幅段です。一見するとプッシュプルなのですが,トランジスタラジオによく見られた出力トランスを使ったプッシュプルではなく,トランスのないいわゆるSEPPです。

 それはそれで結構なのですが,NPNとPNPで作る純コンプリメンタリではなく,NPNだけで構成された回路です。これだと,片側はエミッタフォロワなのに,もう片側はエミッタ接地で動くので,どうしたってアンバランスが出ます。

 これを打ち消して補正するためにいろいろ回路的な工夫をして出来上がったのが,準コンプリメンタリという方法ですが,今は誰も使いません。

 そうかといって,このラジオが準コンプリメンタリかといえばそうではなく,入力にドライバトランスを設けてあって,位相反転をこれでやってるんですね。しかも,電力増幅にもかかわらず固定バイアスで熱暴走もどんとこい,という配慮のなさです。

 私の場合,おかしな改造はせず,一応設計者の意図を尊重して,出来るだけオリジナルで組み立てましたが,トランジスタはすべて入れ替えました。

 手持ちの関係で,電力増幅段の2つは2SC2120,残りはすべて2SC1815のYランクです。別にすべて2SC1815でも良かったのですが,2SC2120も売るほど持っているので,電気的に余裕のあるものを入れておこうと思いました。

 また,2SC1815についても,ランクを使い分けたり,hFEを実測したりしている方がいらっしゃるようですが,私はそんな面倒な事はせず,同一ロットでhFEが250前後のものを4つ使いました。


・感度がとれない

 これは他の方の検討結果なのですが,特に中間周波増幅段のトランジスタのhFEが低く,感度に影響が出るんじゃないかということでした。実測で100を切るようなトランジスタがわざわざ使われているようですが,ここに250くらいのトランジスタを選ぶと,かなり感度が上がるそうです。

 そういう話を事前に聞いていたので,前述のように2SC1815に入れ替えたのですが,あまりゲインが上がりすぎると,今度は発振するんじゃないかと思っていまして,そこは注意が必要な点かもしれません。

 
・部品の不良を疑わねばならない

 私の場合は幸いにして起こりませんでしたが,部品の不良が結構あるそうで,取り付け前にテスターで一応良品かどうかを確認しておくべきというのが,他の方からのアドバイスでした。

 これってね,初心者にはものすごく厳しいのですよ。部品の良否判定を,その部品を使う前に行うというのはとても高度な技術と知識が必要です。


・無駄な回路がある

 最たる例は,電源ONで光るLEDでしょう。ラジオですよ,音が出ていれば電源ONってわかるじゃないですか。もちろん音量を絞ればわからないかもしれないし,そのまま放置すると電池が切れてしまうかも知れません。

 しかし,それでも,電源が入っているかどうかを示すランプに,10mAも電流を食わせているんですね。そもそもこのラジオが動作する全体の電流が20mAほどなのに,何を考えているんだと思います。

 例えばですね,チューニングインジケータとかなら,まあ許せますよ。単なる電源ランプでも,1mAくらいならそれでも許せなくはありません。ですが10mAは無茶苦茶です。

 私?LEDを取り付けることをしないことにしました。無駄ですもん。


・このままでは熱暴走

 これは結構深刻です。組み立ててから気が付いたことで,他の方もあまり指摘されていないようなのですが,致命的な欠陥です。

 電力増幅段のバイアスは固定バイアスで,3Vの電池電圧を4本の抵抗で分圧して,約0.8Vを与えています。ですが,電源電圧の変動がもろにバイアス電圧と連動するので,トランジスタのベース電流が大きく変化してしまいます。

 ということは,動作点も大きく変わりますから,電池が減ると急激に歪みが出たり,電池が新品だと消費電力が増大します。

 私の場合,安定化電源器で音を出していたのですが,3.0Vなら20mA程度だった消費電流が,3.3Vにすると100mAを越え,3.5Vにすると200mAを越えます。この時電力増幅段のトランジスタはチリチリに発熱していて,やけどをするくらいです。

 電圧が上がるとバイアスが上がり,ベース電流が増えます。そうするとコレクタ電流が増え,温度が上がります。ところがトランジスタのVBEは正の温度係数を持っているので,温度が上がるとVBEも上昇し,ますますベース電流が増えます。そうするとコレクタ電流も増えて温度が上がって・・・を,トランジスタは壊れるまで繰り返します。これが熱暴走です。

 温度上昇がそれほど出ないような小さい電流の回路なら,バイアスの安定化だけで温度補償まではあまり気にしなくてもいいのですが,特に発熱のある電力増幅器で温度補償をしないのは自殺行為です。

 この回路は,温度補償はおろか,固定バイアスですのでバイアスの安定化さえ行われていません。恐ろしい・・・

 本格的な温度補償をするのは面倒だし,そこまでしなくてもいいだろうと,とりあえずバイアスの安定化だけ行います。とても簡単で,それぞれのトランジスタのエミッタに直列に,22Ωの抵抗を入れます。これだけです。

 ベース電流が増えてコレクタ電流が増えると,エミッタの抵抗に流れる電流も増えるので,この抵抗に発生する電圧も大きくなります。

 するとトランジスタのVBEは下がるので,ベース電流も下がります。同時にコレクタ電流も下がります。こうして一定の状態を維持しようとするのです。

 ただし,抵抗を入れてしまうので,出力は小さくなります。かといって抵抗を小さくしすぎると一定の状態を維持しようとする力が弱まるので,ぽろっと安定状態から外れて暴走しがちです。

 ということで,とりあえず22Ωで電源電圧を振って試したところ,うまく制御出来ているような感じです。5V以上に振っても,電流が急激に増加するようなことはなくなりました。

 この時のVBEを測定してみると,0.62V弱です。ちょっと低めですね。

 確かに,このままの回路では電圧が低めで,ベース電流も小さめですから,分圧抵抗の値を調整して,少し高めにします。ここでは4本の分圧抵抗をすべて150Ωにしました。結果としてVBEは0.63V程度に少しだけ上昇しましたが,なかなか安定せず,ジワジワと上昇するので,不安があるのは確かです。

 きっとどこかで安定するはずなのですが,時間もなく安定するまで待てませんでした。肝心の音質ですが,あまり改善していません。もうちょっとベース電流を流してもいいかも知れませんが,もう面倒だからこれでいいです。

 ところでちょっと気になるのは,この分圧抵抗には,7mA近い電流が流れ込んでいるんですね。ラジオ全体の消費電流が20mA弱である事を考えると,3割4割がここで消費されているのです。もったいないと思いませんか?

 もっとも,電力増幅段のドライブにはそれなりのベース電流が必要で,抵抗でバイアスを作るならベース電流の10倍くらいはブリーダー電流として流さないと不安定です。だから仕方がないといえば,その通りなのですが・・・

 で,ここを改善しようとすると,電力増幅段をICに置き換えるとか,そういう大きな改造が必要になるので,今回はもうあきらめてこの回路のままにします。

 ところで,この22Ωにパラレルにコンデンサを付けると,インピーダンスが下がります。交流的には抵抗がないのと同じように見えるからなのですが,今回は気休めという事で,一応10uFを入れておくことにしました。ただし,あまり効果がないように思うので,コンデンサはなくてもいいかも知れません。


・調整について

 スーパーラジオですから,最終的に完成させるには調整が不可欠です。しかし,世の中なかなか良く出来ているもので,IFTもバリコンのトリマも,出荷時の状態でとりあえず音が出るように鳴っていることが多いです。

 調整無しでもそれなりに動作するようになっているので,調整をすることが出来ない人は,変にいじらない方がよいと思います。ただし,受信出来る周波数の範囲がずれていて,端っこの局が入らない可能性は高いですが,これは割り切ってください。

 それで,調整するための機材や知識がある人は,やっぱりトライしたくなるものだと思いますが,私はちょっと戸惑いました。

 聞いた話ですが,どうもかの国の中間周波数は455kHzではなく,450kHzなんだそうです。完成品はもちろんですが,IFTも局発コイルも,だいたい450kHz付近に調整済みで出荷されているような感じです。

 ですから,これを日本の標準である455kHzで調整しようとすると,大きく調整点が変わってくることになり,もしかすると部品の持つ調整範囲を越えてしまうかも知れません。

 ということで,まずは調整の手順です。どうも発振気味なので,ちゃんと調整出来なかったことを先に書いておきます。

(1)バリコンの局発側の端子をピンセットでショートし,局発を止める。
(2)SGを455kHzに設定し,アンテナコイルの端子のどれかに適当に信号を注入する。
(3)IFTの白と黒を交互に回して,発振音がなんとなく出るようにしてから,IFTの白を回して音が最大になるようにする。
(4)IFTの黒を回して,発振音が最大になるようにする。これでIFTの調整は終わり。
(5)次に局発の調整。ショートしたピンセットを外し,SGを531klHzにセット,インダクタを繋いでアンテナコイルに結合して,ラジオの受信周波数を最低にしてから,赤いコアの局発コイルを回して,発振音が大きくなるようにする。
(6)次にSGを1602kHzにし,ラジオの受信周波数を上限にして,バリコンの局発側のトリマーを回して,音量が最大になるようにする。これを交互に何度か繰り返す。
(7)SGを531kHzにして,ラジオのダイアルを下限にしてから,バーアンテナのコアを抜き差しして,発振音が最大になるようにする。
(8)SGを1602kHzにして,ラジオの受信周波数を上限にしてから,バリコンのアンテナ側のトリマーを回して,発振音が最大になるようにする。これを交互に何度か繰り返す。
(9)バーアンテナが動かないように,接着剤なりロウで固めて終了。


 実は,なかなか最大点って見つからないし,調整というのは結構難しいものです。ですが,入ってみれば調整範囲が広いと言うことでもありますから,性能は出にくくても厳密に調整を追い込む必要もないということで,そこそこのところでやめても,そんなに性能差は出ないんじゃないかと思います。

 私の場合,調整がいまいちなときには,受信種は数の下限に近いNHKのラジオ第一が受信出来ませんでした。性能云々ではなく,明らかに受信出来ないというのは問題で,放置できません。

 それと,私はうっかりアンテナコイルのリード線をギリギリの長さに切ってしまったので,コイルを動かして調整をすることがあまり出来なくなってしまいました。コアを動かす方法で逃げようとしましたが,ケースにぶつかってあまり大きく動かせません。これから作る人は,少し余裕を持って切った方がよいと思います。

 それにしても,以前修理と調整を行った松下のポケットラジオは,調整もとても楽だったんですね。調整点がわかりやすく,追い込むのも簡単でした。中間周波増幅が1段しかないからなのか,トランジスタを交換して不安定になっているのかわかりませんが,とにかく今ひとつな感じでした。


・結論として

 最終的に,音質はともかく,十分な音量と実用的な感度で,ラジオを完成できました。消費電力も小さく出来たし,安全性もそれなりに確認出来たので,実用機として使う事ができるでしょう。

 受信出来る局も,関東の主要局はすべて入っています。ラジオは,趣味で聞くのも楽しいですが,一番活躍するのは災害時でしょう。災害時には,故障や電池切れ,その時々で入手出来る電池の種類が限られることから,いくつか,何種類か持っておくとよいと思っているので,このラジオの一応も動作する状態にしておいて,いざというときに役立つことを期待しています。

 それにしても,2日ほどあれば完成できると思っていたのに,5日もかかってしまいました。なかなか手強いですね。

 これ,ほんとに皆さん完成できてるんですか?

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